JPH1143616A - 射出成形用の帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

射出成形用の帯電防止性樹脂組成物

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JPH1143616A
JPH1143616A JP20334197A JP20334197A JPH1143616A JP H1143616 A JPH1143616 A JP H1143616A JP 20334197 A JP20334197 A JP 20334197A JP 20334197 A JP20334197 A JP 20334197A JP H1143616 A JPH1143616 A JP H1143616A
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Japan
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resin
injection molding
styrene
antistatic
weight
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JP20334197A
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English (en)
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Kiichi Yonetani
起一 米谷
Ikuro Yamaoka
育郎 山岡
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐洗浄性に優れ表面外観を損なわない優れた
永久帯電防止性を発揮する射出成形用の帯電防止性樹脂
組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)に、親水性樹脂
(B)及び、該樹脂(B)に対して相溶性または半相溶
性を有する樹脂(C)を溶融混練して得られた帯電防止
性樹脂組成物であって、(イ)該組成物中で樹脂(A),
(B),(C)のそれぞれの重量配合比率a,b,c
が、0.9≦a≦0.99、0.01≦b+c≦0.1、0.0005b≦c
≦ 0.1bの範囲にあり、(ロ)樹脂(A)のマトリックス
相に、樹脂(C)を取り込んだ樹脂(B)が粒子状に均
一に分散し、(ハ)該分散粒子の重量平均粒子径が 0.1×
10-6m〜4.0×10-6mであり、(ニ)射出成形時の樹脂
(C)の分子鎖の平均緩和時間が1×101〜8.0×104
であることを特徴とする射出成形用の帯電防止性樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形用の帯電
防止性樹脂組成物に関し、特に射出成形時に成形物表層
部に高度に伸長した親水性樹脂分散相が形成されること
で優れた帯電防止性を発揮し、かつ耐洗浄性にも優れ、
表面外観を損なわない射出成形用の帯電防止性樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に樹脂は電気絶縁性であるため、使
用中に表面が帯電し、埃や汚れの付着により外表面が汚
れたり、紙やフィルムの貼り付き等の不都合が生じる。
また、このような樹脂をそのまま電気・電子機器のハウ
ジング等に射出成形した場合、製品の使用中にICの誤
作動や損傷を引き起こしかねないという欠点がある。そ
こで、これらの問題点を解決するために、以下の方法が
提案されている。(1) 樹脂自体を導電性の分子構造とす
るか、または樹脂自体に多量の親水性基を導入する。
(2) 導電性フィラー、例えばカーボンブラックや金属粉
末を樹脂に練り込み射出成形する。(3) 界面活性剤や親
水性樹脂等の帯電防止剤を樹脂成形物の表面に塗布す
る。(4) 界面活性剤や親水性樹脂等の帯電防止剤を帯電
防止性を付与したい樹脂に練り込み射出成形する。
【0003】(1) の方法は、用いる導電性樹脂や親水性
基導入樹脂の安定性、機械的性質、製造コスト等の点で
実用性に乏しく、工業的に用いるには無理がある。ま
た、(2)の方法は工業的に用いられているが、導電性充
填剤の配合により射出成形性、着色性、成形物外観等が
損なわれるため、用途が制限され汎用性に欠ける。大型
成形物等には (3) の方法も試みられているが、塗布工
程によるコストアップや表面不良等の問題が伴うため、
工業的用途は制限されているのが現状である。これらに
対し、(4) の方法は、上記のような欠点が少なくユーザ
ーのニーズに比較的よく応えることができるため、スチ
レン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフ
ィン系樹脂等からの射出成形物の帯電防止化を目的に工
業的に広く用いられている。
【0004】しかし、帯電防止剤として界面活性剤を用
いた場合は耐久性に問題があり、樹脂成形物の表面に移
行した界面活性剤が、使用時の洗浄や払拭等で成形物表
面から容易に除去されてしまうため、永久的な帯電防止
性が必要な用途には適さない。特に最近では、OA機器、
AV機器のハウジング等を中心とする種々の樹脂射出成形
物に対し、洗浄液による洗浄や摩擦払拭等を想定した一
般の使用条件下でも帯電防止効果が喪失しない永久帯電
防止性付与のニーズが強い。そこでこのような用途に
は、マトリックス樹脂に練り込むべき帯電防止剤とし
て、親水性樹脂が用いられている。この場合、成形物使
用時の洗浄や払拭等で容易に除去されないよう、樹脂に
対する適度な親和性 (相溶性) と適度な分子量を有する
親水性樹脂を使用するのが一般的で、溶融混練により親
水性樹脂をマトリックス樹脂中に分散させてから射出成
形する手法を用いている。
【0005】この結果、これまでに上市された射出成形
用の永久帯電防止性樹脂はいずれも、帯電防止性を付与
したい樹脂に特定の親水性樹脂を溶融混練したものであ
る(梅田憲章,末澤寛典,プラスチックスエージ,4,1
04 (1994))。耐衝撃性ポリスチレン (HIPS) やアクリ
ロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体 (ABS) 等の
スチレン系樹脂に親水性樹脂を溶融混練することにより
永久帯電防止性を付与する具体例として、例えば、ポリ
エチレンオキサイドを用いる方法(特開平3-45641号公
報)、ポリアミドイミドエラストマーを用いる方法(特
開平2-255851号公報)、ポリエーテルアミドエラストマ
ーのマレイミド系共重合体を用いる方法(特開昭63 - 2
27648号公報)等が知られている。またスチレン系樹脂
に加え、さらにポリメチルメタクリレート (PMMA) 等の
アクリル系樹脂にも適用可能な具体例として、例えば、
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
を含む共重合体を用いる方法(特開昭55-36237号公報;
福本忠男、合成樹脂38(11),22(1992))も知られてい
る。
【0006】また、ポリプロピレン (PP)、ポリエチレ
ン (PE) 等のオレフィン系樹脂に親水性樹脂を溶融混練
することにより永久帯電防止性を付与する具体例とし
て、例えば、カルボベタイン変性オレフィン系共重合体
を用いる方法(特開昭56-120709号公報)、ポリエーテ
ルエステルアミドを用いる方法(特開昭58-118838号公
報)、高分子電荷移動型結合体を用いる方法(特開平1-
185329号公報)等が知られている。これらの熱可塑性樹
脂と親水性樹脂からなる射出成形用の組成物の多くは、
射出成形時に親水性樹脂が成形物表層部で筋状配向する
ため電荷の漏洩回路が形成され易くなり、優れた永久帯
電防止性が得られる(T.R.Mass and T.E.Fahey,Societ
y of Plastics Engineers 年次大会予稿集 (ANTEC'91)
,551(1991);板谷博治,坂本正史,成形加工,5(1
0),663(1993) 等)。
【0007】しかしながら、表層部の分散粒子どうしを
近接させ十分な帯電防止性を得るためには、一般に10重
量%を越える多量の親水性樹脂を配合する必要があり、
射出成形時のハンドリング性の低下、得られる射出成形
物の耐衝撃性の低下や、成形物表面の層状剥離等の表面
外観を損なう欠点があった。そこで、より少量の親水性
樹脂の配合で必要な帯電防止性を得るため、射出成形時
における剪断流動の制御により、表層部の筋状分散構造
の改善が試みられている。例えば、剪断速度やマトリッ
クス樹脂/親水性樹脂間の剪断粘度比の調整により、筋
状分散構造を発達させる試みがなされている(中條澄,
プラスチックス,44(11),84(1993);T.R.Mass and T.
E.Fahey,Society of Plastics Engineers 年次大会予
稿集 (ANTEC'91) ,551(1991);高分子学会編,'ポリマ
ーアロイ -基礎と応用-' ,第2版,東京化学同人,p.
285 等)。
【0008】しかしながら、射出成形時、分散粒子の表
層部筋状構造の発達により大きな影響を与えるのは、表
層部において支配的な伸長流動場における粒子の伸長性
や、伸長した粒子が成形金型内で冷却・固化するまで切
れない破断耐性であり、このような伸長流動性の制御に
まで踏み込んだ先行技術は、これまでに全く見られなか
った。また、帯電防止性を発現する分散モルフォロジー
の特定、例えば、筋状構造の長径や長径/短径比を規定
する試みもなされている(特開昭63-97653号公報)が、
このようなモルフォロジーを達成するため伸長流動の制
御を考慮した技術も、これまでに全く見られなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、親水性樹脂の少量配合であっても耐洗浄性に優れ表
面外観を損なわない優れた永久帯電防止性を発揮する射
出成形物が得られる帯電防止性樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、親水性樹脂を溶融混
練する樹脂組成物において、特定の分子緩和特性及びレ
オロジー特性を有する極少量の特定の樹脂成分を、親水
性樹脂相に相溶あるいは半相溶状態で分散させることに
より本課題が解決可能であることを見出し、本発明に到
達した。即ち、本発明は、熱可塑性樹脂(A)に、親水
性樹脂(B)及び、該樹脂(B)に対して相溶性または
半相溶性を有する樹脂(C)を溶融混練して得られた帯
電防止性樹脂組成物であって、(イ)該組成物中で樹脂
(A),(B),(C)のそれぞれの重量配合比率a,
b,cが、0.9≦a≦0.99、0.01≦b+c≦0.1、0.0005
b≦c≦ 0.1bの範囲にあり、(ロ)樹脂(A)のマトリ
ックス相に、樹脂(C)を取り込んだ樹脂(B)が粒子
状に分散し、(ハ)該分散粒子の重量平均粒子径が 0.1×
10-6m〜4.0×10-6mであり、(ニ)射出成形時の樹脂
(C)の分子鎖の平均緩和時間が1×101〜8.0×104
であることを特徴とする射出成形用の帯電防止性樹脂組
成物である。
【0011】上記本発明において、射出成形時の樹脂溶
融温度下での伸長歪み速度 40sec-1における樹脂(B)
と(C)からなる分散相の伸長粘度が樹脂(B)単独の
伸長粘度の1.1〜6倍であることが好ましい。また熱可塑
性樹脂(A)としてはスチレン系樹脂類が好ましい。さ
らに上記本発明において、樹脂(C)は樹脂(B)を構
成する繰返し構造単位の少なくとも一部と同一の繰返し
構造単位を有し、且つ該樹脂(B)よりも2倍以上の平
均分子量を持つ高分子量体が好ましい。
【0012】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて、熱可塑性樹脂(A)は水に溶解あるいは膨潤せ
ず、親水性樹脂(B)との通常の溶融混練後において、
樹脂(A)中に樹脂(B)を主体とする粒子状の分散相
が形成され、かつ、成形後に樹脂構造材や部品等として
使用可能な基本物性を有するものであれば各種のものが
使用できる。かかる熱可塑性樹脂(A)の具体例として
は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂
などのビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられ、これらは1種
だけでもよく、或いは2種以上を混合したものでもよ
い。特に好ましい樹脂(A)はスチレン系樹脂である。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂(A)の1つとして
好ましいスチレン系樹脂とは、樹脂中にスチレン残基ま
たは置換スチレン残基(以下、合わせてスチレン系残基
と称する)を必須構成成分として10重量%以上含有す
るものであり、好ましくは50重量%以上含有するもの
である。該スチレン系残基を形成するスチレン系不飽和
単量体としては、スチレン、またはα−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
3,4−ジメチルスチレン等の置換スチレンが挙げられ、
これらは1種のみならず、2種以上を併用することもで
きる。また、該スチレン系樹脂は、スチレンまたは置換
スチレンと共重合可能な1種以上の他のビニル系不飽和
単量体と共重合されていてもよい。
【0014】該スチレンまたは置換スチレンと共重合可
能なビニル系不飽和単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、ア
クリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル(アル
キル基としてはC1〜C18のメチル、エチル、プロピル、n
- ブチル、i - ブチル、ヘキシル、2ーエチルヘキシ
ル、ドデシル、オクタデシル等)及びエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオールなどとのエ
ステル、酢酸、プロピオン酸等のC1〜C6のカルボン酸の
ビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジ
カルボン酸無水物、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリ
ルアミド類、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エ
チルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミド等の N 置換マレイミド、及びブタジ
エンなどの共役ジエン類が好ましく挙げられ、なかでも
アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブ
チル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸及びブ
タジエン等が好ましい。これらのビニル系不飽和単量体
は1種のみならず、2種以上を併用してもよい。
【0015】スチレン系樹脂の好ましい例は、ポリスチ
レン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸
ブチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン-スチレンブロック共重合体
等のスチレン−共役ジエンブロック共重合体及びそれら
の水添物、ならびにこれらにさらにゴム質重合体を含有
せしめたゴム含有スチレン系樹脂等が挙げられる。これ
らの樹脂は1種のみならず、2種以上組み合わせて使用
してもよい。
【0016】ここで、ゴム質重合体とは、ガラス転移温
度が好ましくは 0℃以下、より好ましくは−20℃以下の
ものであり、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共
重合体、30重量%までの(メタ)アクリル酸低級アルキ
ルエステルを含むスチレン−ブタジエン系共重合体、ポ
リイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムが好
ましいものとして挙げられる。他の適当なゴム質重合体
の例としては、アクリル酸C1〜C8アルキル、特にアクリ
ル酸エチル、ブチル及びエチルヘキシルをベースとする
アクリル酸アルキルゴムが挙げられる。該アクリル酸ア
ルキルゴムは、30重量%までの酢酸ビニル、メタクリル
酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテ
ル等が共重合されていてもよく、さらに5重量%以下の
アルキレンジオール(メタ)アクリレート、ジビニルベ
ンゼン、シアヌル酸トリアリルなどの架橋性不飽和単量
体が共重合されていてもよい。
【0017】アクリル酸アルキルゴムは、コアとして1
種または2種以上の架橋ジエンゴム、例えばポリブタジ
エン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリ
ル-ブタジエン共重合体を含むコアーシェル型ゴムであ
ってもよい。その他の好ましいゴム質重合体としては、
エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
体等のエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合
体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添
スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられ
る。これらのゴムのうち、特に好ましいものとして、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリア
クリル酸ブチル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−非
共役ジエン系共重合体が挙げられる。これらのゴムは、
必要に応じて2種類以上を併用してもよい。また、これ
らのゴムは、各種の不飽和単量体がグラフト(共)重合
されていてもよい。グラフト共重合される不飽和単量体
としては、既に述べたスチレン系樹脂を形成する不飽和
単量体が挙げられる。
【0018】本発明におけるゴム含有スチレン系樹脂の
好ましい例としては、ポリスチレンに、スチレン系不飽
和単量体がグラフトされていてもよいポリブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプ
レンブロック共重合体及びスチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重
合体を含有せしめてなる樹脂または樹脂組成物、及び、
スチレン−アクリロニトリル共重合体に、スチレン系不
飽和単量体及び共重合可能な他の不飽和単量体がグラフ
トされていてもよいポリブタジエンゴム、スチレン−ブ
タジエンランダム共重合体、ポリアクリル酸ブチル系ゴ
ム、エチレン−プロピレン-非共役ジエン系共重合体か
ら選ばれる少なくとも1種以上のゴム質重合体を含有せ
しめてなる樹脂または樹脂組成物が代表的である。
【0019】特に、ポリスチレンとスチレンがグラフト
されたポリブタジエンゴムからなる耐衝撃性ポリスチレ
ン (HIPS)、及び、スチレン−アクリロニトリル共重
合体とスチレン−アクリロニトリルがグラフト共重合さ
れたポリブタジエンゴムよりなるアクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体(ABS)が、各種の物性バ
ランスの面から最も好ましい。ゴム含有スチレン系樹脂
中のゴムの含有量は、1〜50 重量%、さらには3〜30 重
量%であることがより好ましい。本発明の熱可塑性樹脂
(A)には、発明の目的を妨げない範囲で、該樹脂
(A)と相溶性の比較的良い他の熱可塑性樹脂を配合
し、マトリックス樹脂としての性能を改良することがで
きる。この場合、本発明ではこれらの樹脂の混合物を熱
可塑性樹脂(A)とする。このような混合物は、発明の
目的を妨げなければ、組成物中で完全相溶して1相系に
なっていても、部分相溶して2相系となっていてもよ
い。
【0020】次に、本発明における親水性樹脂(B)
は、樹脂(A)と異なり水に溶解、あるいは水で膨潤す
る樹脂であり、エーテル基、アミド基等の非イオン性の
親水基を持っているか、あるいは4級アンモニウム塩
基、スルホン酸塩基のような解離基を持っているもので
ある。先ずエーテル基、アミド基等の非イオン性の親水
基を持っているポリエーテル類を例示すれば、 ・ポリアルキレンオキサイドおよびその誘導体、 ・ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエ
ーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド等の
ポリアルキレンオキサイドと他のポリマーとのブロック
共重合体、 ・アルキレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、
ポリアルキレングリコール−(メタ) アクリレート共重
合体、 ・ポリアルキレングリコールをペンダント鎖として有す
るポリアルキレングリコール−ポリエチレングラフト共
重合体等のポリアルキレンオキサイドをペンダント鎖と
するグラフト共重合体等のポリエーテル類、 ・及びこれらのポリエーテル類とアルカリ金属塩との複
合体が挙げられる。
【0021】また4級アンモニウム塩基のような解離基
を持っているものを例示すれば、 ・4級アンモニウム塩基含有 (メタ) アクリレート共重
合体、4級アンモニウム塩基含有 (メタ) アクリルアミ
ド共重合体、4級アンモニウム塩基含有マレイミド共重
合体、4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重
合体等の4級アンモニウム塩基含有 (共)重合体類が挙
げられる。 ・さらにポリスチレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩基
含有 (共)重合体類、 ・上記ポリエーテル類と4級アンモニウム塩基含有
(共)重合体またはスルホン酸塩基含有 (共)重合体との
混合物も挙げられる。 さらにまたカルボベタイングラフト共重合体等のベタイ
ン含有 (共)重合体類、高分子電荷移動型結合体等も挙
げられる。
【0022】上記ポリエーテル類、4級アンモニウム塩
基含有 (共)重合体類、スルホン酸塩基含有 (共)重合体
類、ベタイン含有 (共)重合体類等は、同じ類に属する
2種以上の樹脂を混合して用いてもよい (例えばポリエ
ーテル類の場合、ポリアルキレンオキサイドとポリエー
テルエステルアミドの混合物)。上記ポリエーテル類の
中で、ポリアルキレンオキサイドおよびその誘導体の例
としては、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(1, 2−
プロピレンオキサイド)、ポリ(1,3−プロピレンオキ
サイド)、ポリ(テトラメチレンオキサイド)、エチレ
ンオキサイドとプロピレンオキサイド、またはエチレン
オキサイドとテトラメチレンオキサイドのブロックまた
はランダム共重合体、ビスフェノール類のエチレンオキ
サイド付加物、ビスフェノール類の1,2−プロピレンオ
キサイド付加物、及びそれらのジオール、ジアミン、ジ
カルボン酸、エステル化物ならびに両末端または片末端
のアルキルまたはアリールエーテル化物が挙げられ、こ
れらは2種以上を混合して用いてもよい。特に好ましく
は、ポリ(エチレンオキサイド)が帯電防止性が優れる
ため用いられる。
【0023】ポリアルキレンオキサイドと他のポリマー
とのブロック共重合体の中で、ポリエーテルアミドは、
ポリアルキレンオキサイドジアミンとポリアミド形成成
分から、ポリエーテルエステルは、ポリアルキレングリ
コールとポリエステル形成成分から、ポリエーテルエス
テルアミドは、ポリアルキレングリコールとポリアミド
形成成分およびジカルボン酸類から、ポリエーテルアミ
ドイミドは、ポリアルキレングリコールとポリアミド形
成成分および3価または4価の芳香族カルボン酸または
その酸無水物から、それぞれ好ましくは形成される。
【0024】ここで、該ブロック共重合体におけるポリ
アミド形成成分としては、ω−アミノカプロン酸、ω−
アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノ
ペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸及び11−アミノウン
デカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン
酸、あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプ
リルラクタム及びラウロラクタム等のラクタム、及びヘ
キサメチレンジアミンーアジピン酸塩、ヘキサメチレン
ジアミン−セバシン酸塩及びヘキサメチレンジアミン−
イソフタル酸塩等のジアミン−ジカルボン酸の塩等、及
びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましくは、カプ
ロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジ
アミン−アジピン酸塩が用いられる。
【0025】またポリエステル形成成分としては、ジカ
ルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7
−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル
酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペン
タンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘ
キサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、及
びジシクロヘキシル-4,4'−ジカルボン酸等の脂環式ジ
カルボン酸、及びコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セ
パシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸
等、及びそれらの混合物と、脂肪族ジオールとして、エ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,2−、1,3−、2,3−または1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール等、及びそれらの混合物が挙げられる。
特に好ましくは、ジカルボン酸としてテレフタル酸、イ
ソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバ
シン酸、また脂肪族ジオールとして、エチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオールが用いられる。
【0026】ポリエーテルエステルアミド形成成分とし
てのジカルボン酸類は、上記のポリエステル形成成分と
して例示したものが用いられる。ポリエーテルアミドイ
ミド形成成分としての3価または4価の芳香族カルボン
酸、あるいはこれらカルボン酸の無水物としては、アミ
ノ基と反応して少なくとも1つのイミド環を形成しうる
ものであり、具体的には、3価のトリカルボン酸とし
て、1,2,4−トリメリット酸、1,2,5−ナフタレントリカ
ルボン酸、2,6,7−ナフタレントリカルボン酸、3,3',4
−ジフェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3',4
−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3',4−トリ
カルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3',4−トリカルボ
ン酸等が挙げられる。またこのような4価のカルボン酸
としては、ピロメリット酸、ジフェニル−2,2',3,3'−
テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−2,2',3,3'−テト
ラカルボン酸、ジフェニルスルホン−2,2',3,3'−テト
ラカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2',3,3'−テト
ラカルボン酸等が挙げられる。
【0027】4級アンモニウム塩基を含有する (共)重
合体を構成する4級アンモニウム塩基構造単位の例とし
ては、下記の一般式 (1) (式中の R1 は水素原子またはメチル基であり、R2
4 は水素原子または置換基を有していてもよい炭素
数1〜9のアルキル基、 n は1〜10の整数、Xは酸
素原子またはイミノ基 (=N-H基)、Y-は一価の無機ある
いは有機の酸基、または無機酸あるいは有機酸の相応す
る等価物を表わす。)で表されるものであり、これはア
ミンを有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アク
リルアミドが四級化剤によって四級化されたものであ
る。
【0028】ここでアミンを有するアクリレートまたは
メタクリレートの具体例としては、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、
ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノ
エチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタク
リレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジプ
ロピルアミノエチルメタクリレート、ジブチルアミノエ
チルメタクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチル
メタクリレート等が挙げられる。
【0029】またアミンを有するアクリルアミドまたは
メタクリルアミドの具体例としてはジメチルアミノエチ
ルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジエチル
アミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノブチルメタクリル
アミド、ジプロピルアミノエチルメタクリルアミド、ジ
ブチルアミノエチルメタクリルアミド、ジヒドロキシエ
チルアミノエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0030】さらに四級化剤としてはジメチル硫酸、ジ
エチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−
トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル
等のスルホン酸エステル類、ジメチル亜硫酸等のアルキ
ル亜硫酸類、トリメチルホスフェイト等のアルキルリン
酸類、アルキルベンジルクロリド、ベンジルクロリド、
アルキルクロリド、アルキルブロミド等の各種ハライド
特に、アルキル硫酸類およびスルホン酸エステル類が耐
熱安定性の点より好ましい。
【0031】上記一般式(1)中のnは1〜10である
が、2〜6が特に好ましい。本発明における4級アンモ
ニウム塩基を含有する (共)重合体は、上記一般式(1)
で例示されるような4級アンモニウム塩基構造単位のみ
から成っていてもよいが、該4級アンモニウム塩基構造
単位を30重量%以上含有していれば、その他の構造単
位を含むことも差し支えない。このような構造単位とし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、p−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチ
レン等の芳香族ビニル化合物や、既述のスチレン系樹脂
の項にて説明したスチレン系不飽和単量体と共重合可能
なビニル系不飽和単量体と同様の単量体から誘導される
構造単位が挙げられる。
【0032】これらの構造単位のうち、スチレン、アク
リロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ドデシル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、β−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート等が好ましい。また本発
明の樹脂組成物から得られる成形物の帯電防止性、耐洗
浄性、耐層状剥離性やその他の物性を保持あるいは高め
るという目的等のため、その他の構造単位も好適に選ば
れる。例えば、アクリロニトリルのような極性の高い構
造単位またはスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等
のようなイオン性置換基を含む構造単位を選択すると、
帯電防止性が更に向上する。また、マトリックス相を形
成する熱可塑性樹脂(A)を構成する繰返し構造単位と
同一か、または該樹脂(A)と適度な相溶性を有する樹
脂を構成する繰返し構造単位と同一のものを用いると、
本発明の樹脂組成物から得られる成形物の帯電防止性を
永久的に保つ上で特に有利である。
【0033】次に、本発明における熱可塑性樹脂(C)
は、樹脂(A)よりも樹脂(B)に対し親和性が高く、
溶融混練により、樹脂(B)からなる粒子内に満遍なく
相溶あるいは半相溶状態でミクロ分散し、該粒子内で隣
接する樹脂(B)及び樹脂(C)の分子鎖同士でよく絡
み合うものであれば、どのような分子構造、分子量のも
のでも使用できる。樹脂(C)と樹脂(A)、また樹脂
(C)と樹脂(B)の相溶性の程度を充分に考慮し、特
に樹脂(A)とは相溶性が悪いが、樹脂(B)とは相溶
性が非常に良い構造の樹脂を選ぶのが好ましい。このよ
うな観点から、樹脂(C)は、既に述べた樹脂(B)を
構成する繰返し構造単位と同一(即ち樹脂(C)の繰返
し構造単位=樹脂(B)の繰返し構造単位)か、または
該樹脂(B)を構成する繰返し構造単位の一部と同一の
繰返し構造単位を有することで適度な相溶性、半相溶性
を有するものが好ましい。この場合、樹脂(C)は樹脂
(B)よりも2倍以上の平均分子量を持つ高分子量体で
あることが好ましい。
【0034】樹脂(B)と同一の繰返し構造単位を有す
る樹脂(C)の例としては、例えば、重量平均分子量10
万のポリエチレンオキサイド(B)(180℃における分
子鎖の平均緩和時間が3×10-4秒程度)に対し、重量平
均分子量400万の超高分子量ポリエチレンオキサイド
(C)(180℃における分子鎖の平均緩和時間が1×102
秒程度)が挙げられる。また、樹脂(B)と適度な相溶
性を有する樹脂と同一構造単位を有する樹脂(C)の例
としては、例えば、重量平均分子量10万のポリエチレン
オキサイド(B)に対し、重量平均分子量500万のエチ
レンオキサイドとプロピレンオキサイドの超高分子量ラ
ンダム共重合体(C)(分子鎖の平均緩和時間は共重合
比により異なるが、180℃において 2×102〜5×102秒程
度)が挙げられる。
【0035】このように樹脂(C)の平均分子量は、樹
脂(B)の平均分子量よりかなり大きく、後で述べるよ
うに、一般の溶融混練・成形加工に用いることのできる
樹脂(A)や樹脂(B)のグレードの分子量レベルより
少なくとも2倍以上の重量平均分子量を持つ高分子量体
が好ましい。従って樹脂(C)は溶融粘度が非常に高
く、殆どの場合、単独では射出成形が困難である。射出
成形時の温度下での樹脂(C)の分子鎖の平均緩和時間
が1.0×101〜8.0×104秒となる分子量範囲は、樹脂の種
類や分子構造により大きく異なるため、樹脂(C)の好
適な平均分子量の具体的な範囲を特定できないことに注
意する必要がある。
【0036】樹脂(A)の好適な分子量範囲は、用いる
樹脂の種類により大きく異なる。溶融混練や溶融成形が
可能で、かつ混練後の組成物から得られる射出成形物の
強度や剛性、耐衝撃性、耐熱性等の基本物性レベルが通
常の使用に耐える程度となる分子量範囲を選ぶ。樹脂
(A)がスチレン系樹脂の場合、重量平均分子量は10万
から75万の範囲に入るものが好ましい。スチレン系樹脂
と樹脂(B)を溶融混練、射出成形して得られる帯電防
止樹脂成形物の基本物性は、該スチレン系樹脂と樹脂
(B)の基本物性や配合比に左右されるが、マトリック
ス相となる 該スチレン系樹脂の基本物性の影響の方が
大きい。
【0037】該スチレン系樹脂の重量平均分子量が10万
未満の場合、その基本物性レベルが低く通常の使用に耐
える帯電防止樹脂成形物が得られない。また、該スチレ
ン系樹脂の重量平均分子量が75万を越える場合、剪断粘
度が高く、溶融混練や溶融成形が困難となる。樹脂
(B)の重量平均分子量は、その種類にかかわらず2000
から200万の範囲に入るのが好ましいが、その場合で
も、樹脂(C)の重量平均分子量以下である必要があ
る。樹脂(A)と樹脂(B)を溶融混練、射出成形して
得られる帯電防止樹脂成形物中で樹脂(B)は分散相と
なるため、樹脂(B)が成形物の基本物性に及ぼす影響
は、樹脂(A)の場合ほど大きくない。
【0038】特に樹脂(B)の配合比が5重量%以下の
場合はその影響が小さいため、基本物性レベルが甚だ不
十分な重量平均分子量2000から7000程度のものでも使用
できる。ただし、重量平均分子量が2000未満の場合は、
成形物表層部に分散する樹脂(B)が洗浄や払拭等によ
り失われ易く、永久帯電防止性を保持できない。また、
樹脂(B)の重量平均分子量が200万を越える場合、樹
脂(B)の少量配合にもかからわらず系全体の溶融粘度
が高くなり、溶融混練や溶融成形が困難となる。また樹
脂(B)の重量平均分子量が樹脂(C)のそれを越えた
場合は、樹脂(C)の溶融粘度は単独での射出成形が困
難なほど高いため、樹脂(B)の少量配合にもかからわ
らず系全体の溶融粘度がさらに高くなり、溶融混練や溶
融成形が困難となる。
【0039】本発明者らは、理論的アプローチと実験的
検証の両面から鋭意検討を重ねた結果、本発明の組成物
が良好な射出成形性を有し、かつ、得られる射出成形物
が親水性樹脂(B)の少量配合にもかかわらず優れた永
久帯電防止性を発揮するか否かを決める重要な因子が、
驚くべきことに、樹脂(B)相中に相溶あるいは半相溶
状態で分散する樹脂(C)の分子鎖の応力緩和時間であ
ることを見出した。即ち、本発明においては、射出成形
時の樹脂溶融温度下での樹脂(C)の分子鎖の平均の応
力緩和時間が 1.0×101〜8.0×104 秒、好ましくは 1.0
×102〜1.0×104秒となるように選ぶ必要がある。ここ
で分子鎖の応力緩和時間とは、分子鎖どうしの絡み合い
をほどくのに要する時間のことであり、樹脂の重量平均
分子量の3.4乗に比例する(井手文雄,プラスチック
エージ,2,98(1983)参照)。
【0040】ここで樹脂(C)の分子鎖の平均緩和時間
が1.0×101〜8.0×104秒の範囲になければならない理由
は次のようである。樹脂(C)の分子鎖の応力緩和時間
が、樹脂(A)や樹脂(B)の射出成形時の射出・固化
時間(成形金型内を流動する溶融樹脂中の分散粒子がメ
ルトフロント近傍に達して伸び始めた時点から、該粒子
がメルトフロントを経て成形物表層部に移動し、該粒子
を囲むマトリックス樹脂がガラス転移温度以下になり、
成形物表層部で固定されるまでの時間。製品形態や大き
さ、金型冷却条件等により異なるが、通常0.1〜10秒程
度)より充分に長ければ、該分子鎖は射出・固化時間内
で殆ど緩和・収縮しない。そのため、樹脂(C)の分子
鎖を介した分子間の絡み合いが成形中に容易に解けず、
該粒子が擬繊維状に長く伸びるまで粒子破断を防ぎ、高
度に発達した擬繊維状分散構造が得られるのである。
【0041】樹脂(C)の分子鎖の平均緩和時間が 8.0
×104秒を越えると、樹脂(C)の分子量が非常に大き
くなるため剪断粘度及び伸長粘度が非常に高くなり、溶
融混練時のミクロ分散や射出成形時の流動変形が効果的
になされない。また平均緩和時間が1.0×101秒未満の場
合は、射出成形中に伸びた樹脂(C)の分子鎖が成形物
表層部で冷却・固定される前に速やかに緩和・収縮し、
分子鎖どうしの絡み合いが解けてしまうため、これらの
分子鎖を含む筋状粒子が破断し高度な擬繊維状分散構造
が得られない。分子鎖の応力緩和時間は一定温度下で分
子量の3.4乗に比例する(例えば、H.Odani,N.Nemoto
and M.Kurata,Bull,Inst.Chem.Res.,Kyoto Univ.,50
(2),117(1972);K.Murakami,K.Ono,K.Shiina,T.Ueno a
nd M.Matsuo,Polymer J.,2(6),698(1971)等参照)が、
比例定数は樹脂の種類により異なる。しかし、どのよう
な種類の樹脂(C)であっても、好適な平均分子量の範
囲は、分子鎖の平均緩和時間の範囲から一意的に決ま
る。好適な分子量範囲はその種類により大きく異なる
が、その平均緩和時間が1.0×101〜 8.0×104秒の範囲
にある分子の分子量範囲は、樹脂(C)の種類にかかわ
らず、一般の溶融混練・成形加工に用いられている樹脂
グレードの分子量より少なくとも2倍以上の平均分子量
を持つ高分子量体である。
【0042】該組成物のマトリックス相を形成する熱可
塑性樹脂(A)、分散相を形成する親水性樹脂(B)と
樹脂(C)の配合割合は、それぞれの重量配合比率を
a,b,c,とすると、 0.9≦a≦0.99、0.01≦b+c
≦0.1、0.0005b≦c≦ 0.1bの範囲にあることが必要
であり、好ましくは0.94≦a≦0.98、0.02≦b+c≦0.
06、0.005b≦c≦ 0.1bの範囲である。各樹脂の配合
割合がこのような範囲にあれば、成形物表層部に高度な
擬繊維状分散構造が得られるだけでなく、非常に粘度の
高い樹脂(C)の配合割合が組成物全体の1重量%未満
となるため、射出成形性を低下させることが殆どない。
(B)と(C)の配合割合の和が10重量%を越える場合
(即ち、b+c>0.1 ) 、洗浄や払拭により成形物の表
面外観が損なわれるばかりか、基本物性が著しく低下し
通常の使用に耐えられなくなる。
【0043】また(B)と(C)の配合割合の和が1重
量%未満の場合 (即ち、b+c<0.01 )には十分な帯電
防止効果が得られない。(C)の配合割合が(B)の10
重量%を越える場合 (c>0.1b)には、(B)と(C)
からなる分散粒子の剪断粘度及び伸長粘度が非常に高く
なり、溶融混練時のミクロ分散や射出成形時の流動変形
が効果的になされない。また(C)の配合割合が(B)
の0.05重量%未満の場合 (c<0.0005b)には、(B)
と(C)からなる分散粒子中で分子鎖どうしの十分な絡
み合いが得られないため、伸長変形中に筋状粒子が破断
し、高度な擬繊維状分散構造が得られない。
【0044】本発明の樹脂組成物では、樹脂(B)と樹
脂(C)からなる分散粒子の重量平均粒子径(=Σdk 4
k/Σdk 3k、但しdk;粒子径,nk;粒子径dk
粒子数)が、 0.1×10-6m〜4.0×10-6m、好ましくは
0.15×10-6m〜3.5×10-6mであることが必要である。
0.1×10-6m未満の場合、射出成形後の成形物表層部で
隣り合う分散粒子間の隔たりが大きくなり、十分な帯電
防止効果が得られない。また 4.0×10-6mを越える場
合、洗浄や払拭により表層部の粒子の一部が失われ易
く、成形物の表面外観が損なわれる。
【0045】本発明の樹脂組成物では、樹脂(B)相に
分散する樹脂(C)相の重量平均粒子径が 0.05×10-6
m以下であることが好ましく、あるいは(B)と(C)
が分子オーダーで相溶するのが特に好ましい。 0.05×1
0-6mを越える場合、樹脂(B)相と樹脂(C)相が接
触する界面の面積が少なくなるため、(B)と(C)の
分子鎖どうしの十分な絡み合い密度が得られず、伸長変
形中に筋状粒子が破断し易くなる。 成形物表層部に特
に伸長度の高い擬繊維状分散構造を発達させたい場合に
は、既述の条件に加え、さらに、実際の射出成形時に該
組成物が受ける伸長歪み速度下で効果的に伸長する条件
を考慮する必要がある。
【0046】即ち、既述の条件を満たす樹脂組成物を射
出成形する際に、射出成形時の樹脂溶融温度下での伸長
歪み速度 40sec-1(通常の射出成形時に該組成物が受け
る平均的な伸長歪み速度に近い) において、親水性樹脂
(B)と樹脂(C)から構成される分散相の伸長粘度が
樹脂(B)単独の伸長粘度の1.1〜6.0倍であることが必
要となる。ここで分散相の伸長粘度が樹脂(B)単独の
伸長粘度の6.0倍を越える場合、分散相の伸長粘度が高
くなり過ぎて変形抵抗が過大となり、高伸長度の分散構
造が得られない。また該分散相の伸長粘度が樹脂(B)
単独のそれの 1.1倍未満の場合、伸長変形性があまり改
善されず、高伸長度の分散構造が得られにくくなる。
【0047】以上のように、本発明は、射出成形時に成
形物表層部で変形する分散粒子の伸長挙動を制御する考
え方に基づきなされたもので、熱可塑性樹脂(A)と親
水性樹脂(B)及び、該樹脂(B)と親和性の高い特定
量の樹脂(C)からなる組成物に対し、さらに樹脂
(B)を主体とする相の分散径と樹脂(C)の分子緩和
時間を特定すれば、良好な射出成形性を維持しながら、
成形物表層部で隣り合う親水性樹脂 (B)粒子間の隔
たりを十分に小さくすることができ、永久帯電防止性に
優れる成形物が得られる。本発明の樹脂組成物には、得
られる成形物中に分散する親水性樹脂(B)の分散性や
永久帯電防止効果を損なわない範囲で、通常の帯電防止
剤を添加して帯電防止性を一層向上させることも可能で
ある。
【0048】ここで添加する帯電防止剤は通常使用され
ているものが利用できるが、親水性基と疎水性基とを有
する界面活性剤型の帯電防止剤が好ましく、例えば、ア
ルキルサルフェート、アルキルアリルサルフェート、ア
ルキルアシッドホスフェート、アルキルホスフェート等
のアニオン型帯電防止剤、アミン中和塩、4級アンモニ
ウム塩、錯イオン性塩等のカチオン型帯電防止剤、ベタ
イン、スルフォベタイン、重金属塩等の両性イオン型帯
電防止剤、アルキルアミン脂肪酸中和物等のアニオン/
カチオン中和型帯電防止剤、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、モノグリセリド、数平均分子量が2000未満のポリア
ルキレンオキサイド系 (共)重合オリゴマーあるいはポ
リアルキレングリコール系 (共)重合オリゴマー、トリ
アルキルホスフェート等の非イオン型帯電防止剤、アミ
ンオキサイド、ビスグリセリルボレートモノアルキレー
ト等の半極性型帯電防止剤が挙げられる。
【0049】帯電防止剤以外にも、得られる成形物中に
分散する親水性樹脂 (B)の分散性や永久帯電防止効
果を損なわない範囲で、顔料、染料、可塑剤、離型剤、
酸化防止剤、安定剤、難燃剤等の各種添加剤やガラス繊
維、炭素繊維、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム等の強化フィラー、あるいは数平均分子量が20
00未満の各種オリゴマー等を添加することができる。本
発明の帯電防止性の樹脂組成物は、上記した樹脂
(A),(B),(C)を適宜溶融混練しペレット化する
ことで製造できる。溶融混練に使用される混練機は、各
種のロール、バンバリミキサー等の2軸ローター付イン
ターナルミキサー、スクリュー式押出機、その他の混練
機のいずれでもよいが、親水性樹脂 (B)を効率良く
分散させることができるスクリュー式押出機が最も一般
的に用いられる。また、溶融成形には、成形物の用途や
形状に応じ、種々の仕様や型締力を持つ射出成形機が用
いられる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を、具体
的な実施例により説明する。なお、以下の実施例におけ
る評価は以下の方法によった。 (1)樹脂組成物における分散相の重量平均粒子径:ペ
レット状の組成物中心付近から平滑面を切り出し、極性
溶媒により樹脂(B)と(C)からなる分散粒子を除去
した後、粒子が除かれた後の凹みの残る処理面の高倍率
走査型電子顕微鏡写真を画像解析することにより得た。
本発明において、重量平均粒子径 dwは、dw=Σdk 4
k/Σdk 3k(dk;粒子径,nk;粒子径dkの粒子
数)により算出した。
【0051】(2)組成物の分散粒子内に存在する樹脂
(C)の重量平均粒子径:ペレット状の組成物中心付近
から平滑面を切り出し、樹脂(C)相を選択的に染色
後、透過型電子顕微鏡写真を画像解析することにより求
めた。ただし、樹脂(C)の構造単位が樹脂(B)と同
一の場合、(C)と(B)は分子オーダーで完全に相溶
するとみなし、粒子径を零とした。 (3)樹脂(C)の平均の分子緩和時間:平行平板型レ
オメーター(レオロジ社製;MR-300ソリキッドメータ)
で溶融樹脂の動的粘弾性の周波数変化(200℃,印加周波
数範囲 6.3×10-3〜63 ラテ゛ィアン/秒,窒素ガス気流中)
をプロットし、樹脂の粘性を反映する損失弾性率曲線の
ピーク位置より計算した。また文献値が得られるものに
ついては、これを用いた。なお、平行平板型レオメータ
ーを用いて分子緩和時間を測定する方法は、R.H.Colby,
Polymer,30,1275(1989) ; C.M.Roland,J.Polym.Sci.Par
t;Polym.Phys.,26,839(1988)等に記載されている。
【0052】(4)樹脂の伸長粘度:毛細管粘度計を用
いて毛細管流入時(伸長流動状態)の圧損測定により伸
長粘度の伸長歪み速度依存性を求め、伸長歪み速度 40s
ec-1における値を算出した。 (5)射出成形物の表面抵抗率:100mm×100mm×3.
0mm厚の射出成形板を十分に真空乾燥後、23℃、湿度
50% RH 雰囲気下に24時間静置して調湿したものを用
い、電圧印加後1分後の値(1分値)を測定した。 (6)射出成形物の耐洗浄性:100mm×100mm×3.0
mm厚の射出成形板を50℃の水中で90分間超音波洗浄
し、表面観察により、以下のように3段階に評価した。 ◎:極めて良好、○:良好、×:表面粗度の悪化や層状
剥離が見られる。
【0053】また、実施例においては、次に示す樹脂を
使用した。 ・マトリックス樹脂(A) S1 :ポリスチレン (重量平均分子量 45.6万) MS1:スチレン - メタクリル酸メチルランダム共重合体
(スチレン含有量 68重量%,重量平均分子量 21.0万) MS2:スチレン - メタクリル酸メチルランダム共重合
体(スチレン含有量 38重量%、重量平均分子量 15.2万) HI1:耐衝撃性ポリスチレン(ゴム含量 9.2重量%、重
量平均ゴム粒子径 2.6×10-6m、ゲル含量28重量%、還
元粘度 0.75 dl/g) HI2:耐衝撃性ポリスチレン (ゴム含量 14.7重量
%、重量平均ゴム粒子径2.7×10-6m、ゲル含量38重量
%、還元粘度 0.71dl/g)
【0054】・親水性樹脂(B) PEO1:ポリエチレンオキサイド (粘度平均分子量 6
5.0万) 4級SDD:スチレン - ジメチルアミノエチルメタク
リレート・ジエチル硫酸塩からなる4級アンモニウム塩
基含有ランダム共重合体 (スチレン含有量 18重量%、
数平均分子量 約13万)
【0055】・樹脂(C) HPEO1:超高分子量ポリエチレンオキサイド (粘度
平均分子量 約400万) HPEO2:超高分子量ポリエチレンオキサイド (粘度
平均分子量 約600万) PEO2 :ポリエチレンオキサイド (粘度平均分子量
12.1万) PEO3 :高分子量ポリエチレンオキサイド (粘度平
均分子量 120万) 4級MDD:メチルメタクリレート - ジメチルアミノ
エチルメタクリレート・ジエチル硫酸塩からなる4級ア
ンモニウム塩基含有ランダム共重合体(メチルメタクリ
レート含有量 55重量%、数平均分子量 約34万)
【0056】実施例1〜10 マトリックス樹脂(A)として5種類のスチレン系樹
脂、即ち、ポリスチレン(S1)、スチレン - メタクリル
酸メチルランダム共重合体(MS1及びMS2)、耐衝撃性ポリ
スチレン(HIPS1及びHIPS2)を選び、また親水性樹脂
(B)としてポリエチレンオキサイド(PEO1)、樹脂
(C)として超高分子量ポリエチレンオキサイド(HPEO1
及びHPEO2)を用い、それぞれの樹脂を表1に示す重量比
率で配合後、二軸スクリュ式押出機(スクリュ直径30m
m)を用いてシリンダ温度200℃、スクリュ回転数70rp
m で溶融混練し、得られた組成物ペレットをシリンダ
温度200℃、金型温度 40℃で成形板 (100mm×100mm
×3.0mm厚)に射出成形した。溶融混練で得られた組
成物中で樹脂(B)と樹脂(C)から構成される分散粒
子の重量平均粒子径は、組成物ペレットのミクロ構造か
ら求めた。該分散粒子中で樹脂(B)相内に存在する樹
脂(C)の重量平均粒子径は、(C)と(B)が分子オ
ーダーで完全に相溶するとみなし、零とした。樹脂
(C)の分子緩和時間、及び樹脂(B)単独の伸長粘度
は、射出成形時のシリンダ温度と同一温度下(200℃) で
求めた。また樹脂(B)と樹脂(C)からなる分散粒子
相の伸長粘度は、樹脂(B)と樹脂(C)の溶融混練物
を用い、射出成形時のシリンダ温度と同一温度下(200
℃) で求めた。結果を表1と表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】実施例11〜12 マトリックス樹脂(A)として HIPS1、親水性樹脂
(B)として4級SDD、樹脂(C)として4級MDDをそれ
ぞれ選び、表3に示す重量比率で配合後、実施例1〜1
0の場合と同一条件下で溶融混練、射出成形した。樹脂
(B)と(C)から構成される分散粒子の重量平均粒子
径、樹脂(C)の分子緩和時間、分散粒子相及び樹脂
(B)の伸長粘度は、実施例1〜10と同様にして求め
た。組成物の分散粒子内に存在する樹脂(C)の重量平
均粒子径は、スチレンを含むマトリックス樹脂(A)相
と親水性樹脂(B)相の選択的染色により樹脂(C)相
を(A)、(B)相と区別して求めた。結果を表3に示
す。
【0060】
【表3】
【0061】比較例1〜3 マトリックス樹脂(A)、親水性樹脂(B)、樹脂
(C)として、HIPS1、 PEO1、 HPEO2をそれぞれ選び、
表3に示す重量比率で配合後、実施例1〜10の場合と
同一条件下で溶融混練、射出成形した。分散粒子の重量
平均粒子径、樹脂(C)の分子緩和時間、分散粒子相及
び樹脂(B)単独の伸長粘度は、実施例1〜10と同様
にして求めた。組成物の分散粒子内に存在する樹脂
(C)の重量平均粒子径は、(C)と(B)が分子オー
ダーで完全に相溶するとみなし、零とした。結果を表4
に示す。
【0062】
【表4】
【0063】比較例4〜5 マトリックス樹脂(A)、親水性樹脂(B)として、そ
れぞれHIPS1、PEO1、また、(B)相に選択的に分散さ
せる樹脂(C)として、 PEO2及び PEO3を選び、それぞ
れの 樹脂を表5に示す重量比率で配合後、実施例1〜
10の場合と同一条件下で溶融混練、射出成形した。分
散粒子の重量平均粒子径、樹脂(C)の分子緩和時間、
分散粒子相及び樹脂(B)単独の伸長粘度は、実施例1
〜10と同様にして求めた。組成物の分散粒子内に存在
する樹脂(C)の重量平均粒子径は、(C)と(B)が
分子オーダーで完全に相溶するとみなし、零とした。結
果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】上記した各実施例から明らかなように、本
発明の樹脂組成物(実施例1〜12)に関して以下のこ
とが明白である。樹脂(A)〜(C)の配合比率、マト
リックス樹脂(A)に分散する粒子の平均径、樹脂
(C)の平均の分子緩和時間を本発明の範囲内に特定す
ることにより、得られる射出成形物の表面抵抗率が 10
13Ω/□未満となり優れた帯電防止性を発現するだけで
なく、耐洗浄性をも兼備する成形物が得られる。一方、
熱可塑性樹脂(A)の配合比率が90重量%未満の場合
(表4,比較例1)は耐洗浄性が劣り、(A)の配合比
率が99重量%を越える場合(比較例2)は帯電防止性が
不十分である。樹脂(C)が樹脂(B)の0.05重量%未
満の場合(即ち 0.0005b>c)は、(C)の配合で伸
長粘度があまり上昇しないため帯電防止性が不十分であ
り(比較例3)、(C)の平均の分子緩和時間が特定範
囲から外れる場合も帯電防止性が不十分(表5,比較例
4、5)である。
【0066】
【発明の効果】本発明は、射出成形時に成形物表層部に
高度に伸長した親水性樹脂分散相が発達するため親水性
樹脂の少量添加でも優れた帯電防止性を発揮する成形物
が得られると同時に耐洗浄性や表面外観を損なうことが
ない。これによって、OA機器、AV機器のハウジング等を
中心とする種々の射出成形物に適用した場合の、洗浄液
による洗浄や摩擦払拭等を想定した厳しい使用条件下で
も帯電防止効果が喪失しないような永久帯電防止性付与
のニーズに即応できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 25:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)に、親水性樹脂
    (B)及び、該樹脂(B)に対して相溶性または半相溶
    性を有する樹脂(C)を溶融混練して得られた帯電防止
    性樹脂組成物であって、(イ)該組成物中で樹脂(A),
    (B),(C)のそれぞれの重量配合比率a,b,cが、
    0.9≦a≦0.99、0.01≦b+c≦0.1、0.0005b≦c≦
    0.1bの範囲にあり、(ロ)樹脂(A)ののマトリックス
    相に、樹脂(C)を取り込んだ樹脂(B)が粒子状に分
    散し、(ハ)該分散粒子の重量平均粒子径が 0.1×10-6
    〜4×10-6mであり、(ニ)射出成形時の樹脂(C)の分
    子鎖の平均緩和時間が1×101〜8×104秒であることを特
    徴とする射出成形用の帯電防止性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 射出成形時の樹脂溶融温度下での伸長歪
    み速度 40sec-1における樹脂(B)と(C)からなる分
    散相の伸長粘度が樹脂(B)単独の伸長粘度の1.1〜6倍
    である請求項1に記載の射出成形用の帯電防止性樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂で
    ある請求項1または請求項2に記載の射出成形用の帯電
    防止性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 樹脂(C)は樹脂(B)を構成する繰返
    し構造単位の少なくとも一部と同一の繰返し構造単位を
    有し、且つ該樹脂(B)よりも2倍以上の平均分子量を
    持つ高分子量体である請求項1または請求項2に記載の
    射出成形用の帯電防止性樹脂組成物。
JP20334197A 1997-07-29 1997-07-29 射出成形用の帯電防止性樹脂組成物 Withdrawn JPH1143616A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011026555A (ja) * 2009-06-30 2011-02-10 Sekisui Plastics Co Ltd ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
JP2012162584A (ja) * 2011-02-03 2012-08-30 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ

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JP2011026555A (ja) * 2009-06-30 2011-02-10 Sekisui Plastics Co Ltd ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
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