JPH09256240A - 液晶性芳香族ポリエステル長繊維の熱処理方法 - Google Patents

液晶性芳香族ポリエステル長繊維の熱処理方法

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JPH09256240A
JPH09256240A JP8065844A JP6584496A JPH09256240A JP H09256240 A JPH09256240 A JP H09256240A JP 8065844 A JP8065844 A JP 8065844A JP 6584496 A JP6584496 A JP 6584496A JP H09256240 A JPH09256240 A JP H09256240A
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fibers
treatment
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Satoshi Hirai
諭 平井
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
Mototada Fukuhara
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 液晶性芳香族ポリエステル繊維に交絡処
理を施した後、多孔質の底を有する容器に嵩密度0.0
5〜0.4g/ccとなるように収納し、該繊維のガラ
ス転移温度以上、融点未満の温度で熱処理を施すことに
より、高強度、高弾性率繊維を得る方法。 【課題】 熱処理の均一性を確保し、かつ融着を抑制す
ることにより、高強度、高弾性率繊維の生産性を高め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶性芳香族ポリ
エステル長繊維に関するものであり、詳しくは高強度・
高弾性率繊維とするために、繊維状で施す固相重合のた
めの熱処理を効率的に行う方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融紡糸が可能で溶融時に光学的異方性
を示すポリエステル繊維、すなわち液晶性芳香族ポリエ
ステル繊維は、高強度・高弾性率繊維として注目され、
近年数多くの検討が進められている。該ポリマは溶融状
態で異方性を示すことから、口金ノズルからの押し出し
条件を適正化すれば、延伸を必要とせず、紡糸されたま
まの繊維でも比較的高い強度と弾性率を有するが、さら
に高強度・高弾性率繊維とするために、融点近傍での高
温の熱処理が施される。
【0003】この熱処理の過程で、液晶性ポリエステル
は繊維状態のままいわゆる固相重合反応が進行し、重合
度が高まると同時に融点が上昇し、結晶化の進行にとも
ない強度・弾性率が向上する。これは通常のポリエステ
ルやナイロンの熱処理と異なり、固相重合という化学反
応を目的としているため、かなりの長時間を要し、生産
性を阻害する要因であった。
【0004】そのためにこれまでも各種の方法が検討、
提案されている。例えば、特開平3−294517号公
報には、繊維を穴あきのアルミボビンに巻き付け、熱処
理することが例示されている。しかしながらこのような
方法では、ボビンへの繊維の巻き量を多くすると、パッ
ケージの内・外層での処理の斑を避けることが困難で、
繊維特性の均一性に問題がある。また、加熱媒体として
のガスおよび反応で生じるガスの通気性を高めるため
に、巻き密度を低く設定し、ソフトに巻き上げることが
必要であるが、捲縮加工を施していない比較的弾性率の
高い繊維をソフトに巻き上げることは困難で、巻き崩れ
を生じたり途中の取扱い性が極めて不良であり、好まし
い方法ではない。
【0005】また、特開平3−260114号公報に
は、繊維を連続的に熱処理炉に走行させつつ処理を行う
ことが開示されている。この方法は熱処理時に張力を付
与しそれを制御することができるという利点が有るが、
一方で、該公報実施例に見られるように、数時間に及ぶ
熱処理が必要なため、処理長は極めて長大となり、処理
速度も遅く設定せざるを得ず、生産性が低いばかりでな
く、エネルギー消費量の観点からも問題が多い。
【0006】さらに、特開平5−222611号公報に
は、ベルトコンベア上に連続糸条をループ状に堆積し、
熱処理炉内をベルトコンベアで移行させることによる熱
処理方法が提案されている。しかしながら熱処理以前に
おいても液晶性芳香族ポリエステル繊維は、弾性率が高
く、また、特に繊度の大きな物においては形成するルー
プの直径が大きくなり、ベルトコンベア上の堆積密度を
高めようすると、ループ同志が積層し、解舒性が不良と
なるなどの欠点がある。
【0007】このように、液晶性芳香族ポリエステル長
繊維の固相重合のための熱処理は、品質の均一性、生産
性、エネルギーコスト等の点から工業生産のためには障
害が大きかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこのよ
うな従来技術の欠点に鑑み、液晶性芳香族ポリエステル
長繊維に繊維状で施す固相重合のための熱処理を効率的
に行う方法を提供するものである。すなわち、比較的高
密度の糸条処理が可能で、かつ解舒性の良好な処理方法
について鋭意検討し本発明に至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の熱処理方法は、液晶性芳香族ポリエステル繊維に交
絡処理を施した後、多孔質の底を有する容器に嵩密度
0.05〜0.4g/ccとなるように収納し、該繊維
のガラス転移温度以上、融点未満の温度で熱処理を施す
ことにより達成される。また、この時の交絡の程度はそ
れ程高くする必要はなく、CF値で1〜10であること
が望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】液晶性芳香族ポリエステルは、溶
融紡糸により繊維化することができる。本発明の液晶性
芳香族ポリエステル繊維は公知のものを含め特に限定さ
れるものではないが、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳
香族ジカルボン酸、芳香族ジオールから生成した構成単
位を主成分として得られるポリマで、溶融下時に光学的
に異方性を示すポリマで構成される。ジオールの一部は
脂肪族ジオールとすることもできる。また、芳香環の少
なくとも1つの水素原子はアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基、ハロゲン基等で置換されたものであっても
良い。特に、本発明においては、その構成単位の50〜
90モル%がヒドロキシ安息香酸から生成した構成単位
であり、50〜10モル%がヒドロキシナフトエ酸、芳
香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオールか
ら選ばれた少なくとも一種以上から生成した構成単位か
ら成る液晶ポリエステルポリマが好ましい。ここで、芳
香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソ
フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカル
ボン酸等が挙げられる。さらに、芳香族ジオールとして
は、例えばハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシ
ビフェニール、ナフタレンジオール等さらにまた、脂肪
族ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0011】なお、本発明において前記液晶性芳香族ポ
リエステルには耐光剤、カーボンブラック、酸化チタン
など各種の粒子、顔料、染料などの着色剤、帯電防止
剤、酸化防止剤などを添加することができる。
【0012】これらの液晶性芳香族ポリエステルは、液
晶形成温度以上、融点+50℃以下で溶融紡糸すること
により、配向結晶化した繊維を得ることができる。ただ
し、ポリマの分解を抑制するために、溶融およびポリマ
の移送温度はなるべく低く設定し、紡糸口金の直前で昇
温することが好ましい。また、適度な配向を付与するた
めには紡糸口金ノズルにおける剪断速度を103 sec
-1以上とすることが好ましい。
【0013】なおここで、液晶形成温度とは、使用する
ポリエステルチップの小片を加熱ステージ付きの偏光顕
微鏡下で昇温しつつ観察した時に、光学異方性が観察で
きる最低の温度を意味する。また、融点とは、示差走査
熱量計(DSC)で現われる結晶の融解に伴う吸熱のピ
ーク温度を意味する。
【0014】紡糸された繊維はそのままでも一般の熱可
塑性有機繊維より強度が高く、かつ弾性率も高いが、こ
れに熱処理を施すとその強度や弾性率を飛躍的に向上す
ることができる。
【0015】本発明の第一の特徴は、その熱処理に際
し、交絡処理された繊維を供給することにある。この交
絡処理により、熱処理容器への堆積の際に繊維のバラケ
を抑制し、処理後の繊維の解舒、引き出しを容易にする
ことができる。
【0016】繊維への交絡の付与は、マルチフィラメン
トに一定の低張力下で高速気流を噴射する方法によるこ
とが好ましい。交絡はCF値で1〜10より好ましくは
2〜7程度とするのが良い。交絡の程度は余り大きくな
ると単繊維同志のからまりがきつくなり、次の熱処理に
より融着を誘起する原因となる他、キンクバンド(繊維
軸に直行方向又は斜め方向の亀裂)が発生し易くなる。
また、少なすぎると繊維のバラケを抑制することが困難
となる。なお、ここでCF値とはJIS−L−1013
による交絡度の値である。
【0017】交絡は繊維の熱処理に先立って付与されて
いれば良く、紡糸して巻き取るまでの間に付与すること
や、熱処理のための容器に収納する過程で付与すること
もできる。巻き取った繊維の解舒性の点からは、紡糸中
に交絡処理を施すことが好ましい。
【0018】本発明の第2の特徴は容器へ収納される繊
維の嵩密度を0.05〜0.4g/ccとすることであ
る。より好ましくは0.1〜0.3g/ccである。こ
こで繊維の嵩密度とは、容器へ収納された繊維の重量を
容器の底面積と堆積高さの積で除した値である。繊維の
嵩密度は、固相重合(縮合)反応で発生するガスを系外
に放出するために、また加熱の均一性を確保するために
重要な要素である。そのためにはなるべく低くすること
が好ましいが、あまりに低いと熱処理容積が過大となる
ため、本発明では0.05g/cc以上0.4g/cc
以下である。0.4g/ccを越えると、熱処理に際し
て糸条の融着なども引き起こすので、これ以上の嵩密度
は避けるべきである。
【0019】容器へ収納する方法は、紡糸された糸条を
巻き取り機でパッケージに巻き取る事なくそのまま容器
に振り落とすことによることもできるが、一端巻き取っ
た後、パッケージをクリールスタンドに装填し、交絡処
理を施しつつ容器に収納する方法を取ることもできる。
いずれの場合でも、振り落とし装置の首振り運動や、容
器自体を遊星的に動かすなどにより、容器に収納される
繊維の嵩密度を調整することができる。また、上述した
ように本発明では繊維に交絡処理が施されているので、
熱処理後に容器から引き出し、製品を巻き取る際にもつ
れなどを生じることなく、操作性が良好である。従来技
術のように、例えばコンベア上に堆積するような場合
は、堆積密度を高めようとすると、糸層が互いに重な
り、解舒に際して下層の糸から引き出すことになるの
で、糸のもつれを生じ易く操作性に難点があった。通常
の合成繊維ステープルの様に、捲縮加工が可能であれば
繊維の取扱いを容易にすることもできるが、本発明の液
晶性芳香族ポリエステル繊維は結晶構造が発達している
ため捲縮加工が困難なばかりでなく、捲縮加工により強
度が損なわれることにもなるのでかかる方法は採用する
ことができない。
【0020】前記した堆積密度で容器に収納された繊維
は、その容器ごと熱処理装置に導入し熱処理を施すこと
ができる。熱処理炉に容器を静置してして行ってもよ
く、また、容器をコンベアに乗せ、移動させつつ連続的
に行うこともできる。熱処理温度はポリマのガラス転移
温度以上融点未満とすることが必要で、液晶形成温度近
辺あるいはそれ以上で行うのが好ましい。熱処理の進行
にともない融点の上昇が見られるので、時間の経過と共
に温度を高くすることが好ましい。
【0021】また、加熱雰囲気としては窒素やアルゴン
などの不活性ガスのほか、空気や窒素、酸素、炭酸ガス
の混合気体であっても良い。この際、各種の固相重合促
進触媒を用いることも出来る。ただし、ポリエステルは
加水分解を受けやすいので、除湿されたガスであること
が好ましく、雰囲気ガスの露点は−20℃以下、より好
ましくは−50℃以下とすることがよい。
【0022】熱媒ガスを糸層内に均一に行き渡らせるた
めに、少なくとも容器の底を(好ましくは容器の側面
も)金網、パンチングメタルなどの多孔質のものとする
必要がある。また、熱媒ガスの流れは下方より上方へ流
すようにするのがよい。上方からガスを吹き付けると、
糸槽が圧縮され、特に容器の底部で融着を引き起こすの
で好ましくない。
【0023】熱処理時間は処理温度および目的とする性
能により異なるが、一般的には30分〜10時間程度で
ある。
【0024】なお、本発明の液晶性芳香族ポリエステル
繊維は、芯鞘型複合糸、バイメタル型複合糸、海島型や
分割型の複合紡糸で得られた繊維であってもよく、液晶
ポリエステル以外のポリマとの複合や極細繊維であって
もよい。また、繊維の断面形状は特に限定されるもので
はなく、円形断面の他、三角断面、マルチローバル断
面、扁平断面、中空糸等、従来公知の形状が広く適用で
きる。
【0025】本発明で得られる繊維は高強度、高弾性率
であるばかりでなく、低吸水性、低誘電性であり、ま
た、振動減衰性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性などに
優れており、魚網、テグス、ロープ等の水産資材、光フ
ァイバーコードやプリント基板の補強材、タイヤコード
やベルト等のゴム補強材のほか、プラスチックやコンク
リートの補強剤としても有用である。また、防護服や手
袋など衣料資材としても用いることが出来る。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0027】CF値の測定 JIS−L−1013に準じ、Rhthschild社
製エンタングルメントテスター(形式R−2060)を
用い、走行速度5m/分で連続的に測定した。各々の繊
維について30回の測定を行い、その平均開繊長(m
m)を求め、CF値を次の式で算出した。 CF値=1000/平均開繊長
【0028】実施例1〜7、比較例1〜3 p−アセトキシ安息香酸(A)、2,6-ジヒドロキシナフ
タレンとテレフタル酸(B)、4,4'- ジヒドロキシビフ
ェニルとテレフタル酸(C)より、A/(B+C)のモ
ル比が80/20、B/Cのモル比が3/2であるよう
な芳香族ポリエステルを合成した。加熱偏光顕微鏡下で
観察したところ、液晶開始温度が295℃であった。ま
た、DSCによる融点は315℃であった。
【0029】得られたポリマを図1に示す紡糸装置を用
い、320℃(融点+5℃)で溶融移送し、紡糸パック
部で口金面温度340℃(融点+25℃)に昇温し、吐
出孔径0.1mmφ、吐出孔数48孔の口金から1孔当
りの吐出量0.38cc/分で溶融吐出し、周速100
0m/分で回転するゴデットロールを介して引取り、巻
き取り機と前記ゴデットロールの間で交絡処理ノズルを
用いて糸条に交絡を施しながら200デニール48フィ
ラメントの繊維を巻き取った。なお、交絡ノズルとして
は、10mmφの糸条通路に0.8mmφの空気噴射孔
が3ケ設けられた非接触型のノズルを用い、圧空圧を表
1のように変更してCF値の異なる巻き取り糸を得た。
得られた紡糸原糸を直径25cmの金網底面と、高さ3
0cmの穴開き側面を有する円筒状容器に、表1に示す
ように嵩密度を調整して収納した。該容器を窒素フロー
の可能な加熱装置内に静置し、容器の下方から容器底面
の金網を通して上方に向けて窒素を流しつつ、280℃
(融点−35℃)で2時間、300℃(融点−15℃)
で2時間さらに310℃(融点−5℃)で4時間、計8
時間の熱処理を行い、表1に示す熱処理された繊維を得
た。
【0030】比較例1は嵩密度が高すぎるため、熱処理
による固相重合反応が均一に進行せず、十分な強度を得
ることが出来なかったばかりでなく、熱処理糸に部分的
に融着が発生し、解舒性も不良であった。また、比較例
2は交絡処理を施していないため、熱処理後の繊維を容
器から引き出し、巻き返す際に単糸同志が絡み合い、も
つれを生じた。また、比較例3はCF値が高すぎるた
め、熱処理糸に融着を生じており、かつ、キンクバンド
が発生し、強度も低目となった。
【0031】なお、実施例4ではCF値がやや低いた
め、巻き返す際に多少もつれを生じやすい傾向があっ
た。また、実施例7ではCF値がやや高いため、単糸間
でやや融着ぎみであった。
【0032】
【表1】 実施例8 液晶性芳香族ポリエステルとして、p−アセトキシ安息
香酸(A)と4,4'- ジヒドロキシビフェニルとテレフタ
ル酸(C)、エチレングリコールとテレフタル酸(D)
とから、A+C/Dのモル比が87/13、A/Cのモ
ル比が92/8のポリマを合成した。DSCによる融点
は315℃であった。
【0033】実施例1と同様に、図1に示した紡糸装置
により、溶融移送温度320℃、口金からの吐出温度3
40℃とし、吐出孔径0.12mmφ、48孔の口金か
ら、1孔当りの吐出量0.39cc/分で溶融吐出し、
周速1000m/分で回転するゴデットロールを介して
引取り繊維を得た。巻き取り機と前記ゴデットロールの
間で実施例1で用いた交絡処理ノズルにより、圧空圧
0.5kg/cm2 に糸条に交絡を施した。得られた繊維
のCF値は3であった。この時の繊維の強度は7g/
d、弾性率は680g/dであった。
【0034】この繊維を直径25cmの金網底面と、高
さ30cmの穴開き側面を有する円筒状容器に、2kg
収納し、嵩密度0.2g/ccで堆積させた。該容器を
窒素フローの可能な加熱装置内に静置し、容器の下方か
ら容器底面の金網を通して上方に向けて窒素を流しつ
つ、280℃で2時間、300℃で2時間、さらに31
0℃で4時間、計8時間の熱処理を行い、強度18g/
d、弾性率600g/dの強度の向上した繊維を得た。
熱処理後の繊維の容器からの引き出しは、もつれもな
く、極めて順調であった。
【0035】実施例9 液晶性芳香族ポリエステルとして、p−ヒドロキシ安息
香酸(E)と6-ヒドロキシ2-ナフトエ酸(F)をE/F
のモル比70/30で合成し融点280℃のポリマを得
た。実施例1と同様に、図1に示す紡糸装置で、300
℃で溶融移送し、口金面で320℃に昇温し、吐出孔径
0.13mmφ、吐出孔48孔の口金から、1孔当りの
吐出量0.47cc/分で溶融吐出させ、周速1000
m/分で回転するゴデットロールを介して引取った。巻
き取り機と前記ゴデットロールの間で実施例1で用いた
交絡処理ノズルにより交絡を付与しつつ、240デニー
ル48フィラメントの繊維を得た。交絡処理の圧空圧は
0.5kg/cm2 で、得られた繊維のCF値は3であっ
た。この時の繊維の強度は10g/d、弾性率は650
g/dであった。
【0036】該繊維を実施例1と同じ容器に嵩密度0.
2g/ccで2kg収納し260℃で2時間、275℃
で2時間、285℃で4時間計8時間の熱処理を同様に
施した。熱処理後の繊維の強度は24g/d、弾性率は
620g/dであり、容器からの解舒性も極めて良好で
あった。
【0037】比較例4 実施例1で得られた溶融紡糸された繊維を、穴開きのス
テンレス製のボビンに巻き返し、2kgのパッケージを
得た。該パッケージに窒素フロー下、280℃2時間、
300℃2時間、310℃4時間、計8時間の熱処理を
施した。
【0038】熱処理後、パッケージからの解舒を試みた
が、融着に基づくフィブリル化が生じ、強度の低いもの
しか得られなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明の液晶性芳香族ポリエステル長繊
維の熱処理方法によれば、該繊維の固相重合のための熱
処理を効率的に行うことができ、低コストの熱処理が可
能となる他、熱処理後の解舒性が良好であるため後工程
での取扱い性に優れた高強度、高弾性率繊維が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる好ましい溶融紡糸装置の1例を
示す概略図である。
【符号の説明】
1;エクストルーダー 2;紡糸頭 3;紡糸パック 4;紡糸口金 5;交絡処理装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶性芳香族ポリエステル繊維に交絡処
    理を施した後、多孔質の底を有する容器に嵩密度0.0
    5〜0.4g/ccとなるように収納し、該繊維のガラ
    ス転移温度以上、融点未満の温度で熱処理を施すことを
    特徴とする熱処理方法。
  2. 【請求項2】 交絡処理がCF値で1〜10である請求
    項1記載の熱処理方法。
JP8065844A 1996-03-22 1996-03-22 液晶性芳香族ポリエステル長繊維の熱処理方法 Pending JPH09256240A (ja)

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