JP2008240229A - 液晶ポリエステル繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】条件1〜4を満たすことを特徴とする液晶ポリエステル繊維。1.50℃から20℃/分昇温で測定した吸熱ピーク(Tm1)における融解熱量(ΔHm1)が、Tm1の観測後Tm1+20℃温度で5分間保持、20℃/分降温で50℃まで一旦冷却、再度20℃/分昇温で測定した吸熱ピーク(Tm2)における融解熱量(ΔHm2)に対して3.0倍以上2.Tm1におけるピーク半値幅15℃未満3.単繊維繊度18.0dtex以下4.強度14.0cN/dtex以上、弾性率600cN/dtex以上
【選択図】なし
Description
技術情報協会編、「液晶ポリマーの改質と最新応用技術」(2006)(第235頁〜第256頁)
条件2.Tm1におけるピーク半値幅が15℃未満。
条件3.単繊維繊度が18.0dtex以下。
条件4.強度が14.0cN/dtex以上かつ弾性率600cN/dtex以上。
構造単位(I)45〜65モル%
構造単位(II)12〜18モル%
構造単位(III)3〜10モル%
構造単位(IV)5〜20モル%
構造単位(V)2〜15モル%
なお本発明で用いる液晶ポリエステルには上記構造単位以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオールおよびp−アミノフェノールなどを本発明の効果を損なわない5モル%程度以下の範囲で共重合させても良い。
溶媒としてペンタフルオロフェノール/クロロホルム=35/65(重量比)の混合溶媒を用い、液晶ポリエステルの濃度が0.04〜0.08重量/体積%となるように溶解させGPC測定用試料とした。なお、室温24時間の放置でも不溶物がある場合は、さらに24時間静置し、上澄み液を試料とした。これを、Waters社製GPC測定装置を用いて測定し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:ShodexK−806M 2本、K−802 1本
検出器:示差屈折率検出器RI(2414型)
温度 :23±2℃
流速 :0.8mL/分
注入量:200μL
(2)液晶ポリエステル繊維のTm1、Tm1におけるピーク半値幅、ΔHm1、Tc、ΔHc、Tm2、ΔHm2、液晶ポリエステルポリマーの融点
繊維の熱分析はTA instruments社製DSC2920により示差熱量測定を行い、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度をTm1(℃)とし、Tm1におけるピーク半値幅(℃)、融解熱量(ΔHm1)(J/g)を測定した。
検尺機にて繊維を100mカセ取りし、その重量(g)を100倍し、1水準当たり10回の測定を行い平均値を繊度(dtex)とした。これをフィラメント数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。繊度変動率は繊度の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
繊度変動率(%)=((|最大値もしくは最小値−平均値|/平均値)×100)
(4)強度、伸度、弾性率および強力変動率
JIS L1013:1999記載の方法に準じて、試料長100mm、引張速度50mm/分の条件で、オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用い1水準当たり10回の測定を行い、平均値を強力(cN)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、弾性率(cN/dtex)とした。強力変動率は強力の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
強力変動率(%)=((|最大値もしくは最小値−平均値|/平均値)×100)
(5)熱膨張係数
島津製作所社製TMA−50を用い、処理加重0.03cN/dtexを繊維軸方向に与え40℃から250℃まで5℃/分の速度で昇温した際の50℃での試料長L0と100℃での試料長L1を用いて下式で計算した。
熱膨張係数(ppm/℃)=((L0−L1)/(L0×50))×106
(6)繊維軸垂直方向の圧縮弾性率(圧縮弾性率)
単繊維1本をセラミックス製等の剛性の高いステージに静置し、圧子の辺を繊維とほぼ平行とした状態で、下記条件において直径方向に圧子を用いて圧縮負荷を一定の試験速度で加え、荷重−変位曲線を得た後、次式から繊維軸垂直方向の圧縮弾性率を算出した。
圧子 :ダイヤモンド製平面圧子(1辺500μmの正方形)
試験速度 :50μm/分
サンプリング速度 :0.1秒
データ処理システム:Instron社製“Merlin”
測定雰囲気 :室温大気中(23±2℃、50±5%RH)
(7)広角X線回折でのピーク半値幅(Δ2θ)
繊維を4cmに切り出し、その20mgを秤量し試料とした。測定は繊維軸方向に対し赤道線方向に行い、その条件は下記とした。このとき2θ=18〜22°に観測されるピークの半値幅(Δ2θ)を測定した。
X線発生装置 :理学電気社製4036A2型
X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
出力 :40kV−20mA
ゴニオメーター:理学電気社製2155D型
スリット :2mmφ−1°−1°
検出器 :シンチレーションカウンター
計数記録装置 :理学電気社製RAD−C型
測定範囲 :2θ=5〜60°
ステップ :0.05°
積算時間 :2秒
(8)耐摩耗性
2.45cN/dtex(2.5g重/dtex)の荷重をかけた繊維を垂直に垂らし、繊維に対して垂直になるように直径3.8mmの硬質クロム梨地加工金属棒ガイド(湯浅糸道工業(株)製棒ガイド)を接触角2.7°で押し付け、ストローク長30mm、ストローク速度600回/分でガイドを繊維軸方向に擦過させ、実体顕微鏡観察を行い、棒ガイド上もしくは繊維表面上に白粉またはフィブリルの発生が確認されるまでの秒数を測定し、7回の測定のうち最大値および最小値を除いた5回の平均値を求め耐摩耗性とした。なお耐摩耗性評価はマルチフィラメントでも同様の試験法で行った。
偏光顕微鏡(OLYMPUS社製BH−2)を用いコンペンセーター法により試料1水準当たり5回の測定を行い、平均値として求めた。
100mg以上の繊維を採取し、60℃にて10分間乾燥させた後の重量を測定し(W0)、繊維重量に対し100倍以上の水にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを繊維重量に対し2.0重量%添加した溶液に繊維を浸漬させ、室温にて20分超音波洗浄し、洗浄後の繊維を水洗し、60℃にて10分間乾燥させた後の重量を測定し(W1)、次式により油分付着量を算出した。
(油分付着量(重量%))=(W0−W1)×100/W1
またポリシロキサン系化合物付着の判定は超音波洗浄後の溶液を採取し、これをIR測定し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのスルホン酸基に由来する1150〜1250cm−1のピーク強度に対しポリシロキサンに由来する1050〜1150cm−1のピーク強度が0.1倍以上あればポリシロキサンが繊維に付着していると判断した。
東レ・エンジニアリング社製テンションメーター(MODEL TTM−101)を用いて測定した。また、極低張力用には上記テンションメーターを改造したフルスケール5g、精度0.01g測定可能な張力計を用いた。計測した走行張力は単位を換算し、処理後繊維の繊度で除してcN/dtexの単位として走行応力とした。
レピア織機にて経糸に13dtexのポリエステルモノフィラメントを用い、織密度を経、緯とも100本/インチ(2.54cm)、打ち込み速度を100回/分として緯打ち込み試織を行った。この時、幅180cm、織長さ100cmの試織における給糸口(セラミックガイド)へのフィブリル、スカムの堆積から工程通過性を評価し、糸切れによる停台回数から製織性を評価し、織物開口部へのフィブリル、スカムの混入個数から織物品位を評価した。それぞれの判断基準を下記する。なお織り上がった織物の厚みはピーコック社製ダイアルシックネスゲージを用い測定した。
製織後も目視にてフィブリル、スカムの堆積が認められない;優良(◎)
製織後にフィブリル、スカムは認められるが繊維走行には支障なし;良好(○)
製織後にフィブリル、スカムが認められ、繊維走行張力が増加する;不合格(△)
製織中にフィブリル、スカムが認められ、試織を停止した;不良(×)
製織性
<製織性>
停台0回;優良(◎)、停台1〜2回;合格(○)
停台3〜5回;不合格(△)、停台6回以上;不良(×)
また織物のフィブリル混入個数から織物品位を評価した。判断基準を下記する。
0個;優良(◎)、1〜2個;良好(○)、3〜5個;不合格(△)、6個以上;不良(×)
参考例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、330℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に p−ヒドロキシ安息香酸829重量部と4,4’−ジヒドロキシビフェニル570重量部、テレフタル酸374重量部、イソフタル酸124重量部及び無水酢酸1337重量部(フェノール性水酸基合計の1.08モル当量)を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、360℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部及び無水酢酸946重量部(フェノール性水酸基合計の1.03モル当量)を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、325℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸808重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル411重量部、ハイドロキノン104重量部、テレフタル酸314重量部、イソフタル酸209重量部および無水酢酸1364重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、300℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸323重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル436重量部、ハイドロキノン109重量部、テレフタル酸359重量部、イソフタル酸194重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、325℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸895重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル168重量部、ハイドロキノン40重量部、テレフタル酸135重量部、イソフタル酸75重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、365℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸671重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル235重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸224重量部、イソフタル酸120重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、340℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸671重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン30重量部、テレフタル酸224重量部、イソフタル酸120重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、305℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸671重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル268重量部、ハイドロキノン69重量部、テレフタル酸314重量部、イソフタル酸30重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、355℃まで4時間で昇温した。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸671重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル268重量部、ハイドロキノン69重量部、テレフタル酸150重量部、イソフタル酸194重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、310℃まで4時間で昇温した。
参考例1の液晶ポリエステルを用い、160℃、12時間の真空乾燥を行った後、大阪精機工作株式会社製φ15mm単軸エクストルーダーにて(ヒーター温度290〜340℃)溶融押し出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸パックにポリマーを供給した。このときのエクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度は345℃とした。紡糸パックでは金属不織布フィルター(渡辺義一製作所社製WLF−10)を用いてポリマーを濾過し、孔径0.13mm、ランド長0.26mmの孔を5個有する口金より吐出量3.0g/分(単孔あたり0.6g/分)でポリマーを吐出した。吐出したポリマーは40mmの保温領域を通過させた後、環状冷却風により糸条の外側から冷却し固化させ、その後、ポリジメチルシロキサンを主成分とする油剤を付与し5フィラメントともに1200m/分の第1ゴデットロールに引き取った。このときの紡糸ドラフトは32である。これを同じ速度である第2ゴデットロールを介した後、5フィラメント中の4本はサクションガンにて吸引し、残り1本を、ダンサーアームを介しパーンワインダー(巻取パッケージに接触するコンタクトロール無し)を用いてパーンの形状に巻き取った。約100分の巻取時間中、糸切れは発生せず製糸性は良好であった。得られた紡糸繊維の特性を表2に示す。
吐出量、口金孔径、ランド長、紡糸速度を表2に示した条件とすること以外は実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行った。なお実施例2では口金下に100mmの加熱筒(保温領域100mm)を設け、この温度を200℃とした。実施例2では巻取開始時に糸切れが1度発生したが、再度巻き取ると100分の巻取が可能であった。なお実施例3、4では240分の巻取を行ったが製糸性は良好であった。
吐出量、口金孔数を表2に示す条件とすること以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行い、10フィラメントをまとめて巻き取り、紡糸繊維を得た(実施例5)。また吐出量、口金孔数を表2に示す条件としたこと以外は実施例1と同様の条件で溶融紡糸を行い、36フィラメントをまとめて巻き取り、紡糸繊維を得た(実施例6)。得られた繊維の物性を表2に示す。製糸性は良好であり約100分の巻取が可能であった。これを、巻量を表3に示した条件とすること以外は実施例1と同様の方法で巻き返し、固相重合、解舒を行った。この際の巻張力、巻密度、油分付着量は表3に示すとおりである。次に、解舒後のパッケージ全体を、40℃の温水に界面活性剤0.05体積%を加えた溶液で満たされた超音波洗浄機に浸し、15分の超音波洗浄を6回行った。その後、パッケージを乾燥させない状態で繊維を解舒しつつ、実施例1と同様の手法で洗浄、仕上げ油剤付与を行った。このようにして得られた繊維の物性を表4に示す。マルチフィラメントであっても単糸繊度が細く、繊度変動率が小さい均一な繊維が得られ、高い強度と弾性率を有し、耐摩耗性にも優れた繊維が得られることが分かる。
参考例3の液晶ポリエステルを用い、紡糸温度を325℃とすること以外は実施例3と同様の方法で溶融紡糸を行った。製糸性は良好であり200分の巻取が可能であった。
実施例1で得られた紡糸繊維を、固相重合を行わないままで液晶ポリエステル繊維として評価した。試織に供した繊維物性として表4に記載するが単糸繊度および繊度変動率には優れているが、強度、弾性率が低く、Tm1が低いため耐熱性に劣り、熱膨張係数は−21ppm/℃と熱寸法安定性に劣るものであった。これらのことから参考例1の液晶ポリエステルを用い、単糸繊度を細く、繊度変動率を小さくしてもΔHm1/ΔHm2が3.0未満、Tm1のピーク半値幅が15℃以上ならば液晶ポリエステル繊維としては魅力に乏しいものであると言える。
実施例1と同様に溶融紡糸を行う際、巻取ボビンをステンレス製穴あきボビンとし、これに直接6万m巻き取った。この巻取におけるテーパー角、ワインド数、巻張力、巻密度を表3に示す。これを巻き返すことなく実施例1と同様の方法で固相重合を行った。得られた固相重合パッケージを実施例1と同様の手法で解舒したところ、解舒速度200m/分で糸切れが多発し、50m/分でも糸切れが多発したため全量の解舒はできなかった。
参考例2の液晶ポリエステルを用い、紡糸温度を370℃とすること以外は実施例3と同様の方法で溶融紡糸を行った。しかし巻取開始後1分程度で糸切れが発生し、その後は巻き取ることもできない状態となったため繊維が得られなかった。参考例2の液晶ポリエステルは、その樹脂特性のため単糸繊度が細い繊維を得ることが困難であると言える。
特許文献3の比較例8にならい、吐出孔径0.5mm、ランド長0.5mmである口金孔を1個有する口金を用い、さらに吐出量、紡糸速度を表5に示す条件とすること以外は実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行った。巻取開始後、糸切れが2回発生し製糸性は劣るものであった(表5)。これを、テーパー角、巻量を変更すること以外は実施例1と同様の方法で巻き返した(表6)。固相重合は実施例1と同一の条件では強度が十分に高まらない(16cN/dtex程度)ことが分かったため、最高到達温度で45時間処理した。得られた固相重合パッケージを実施例1と同様の手法で解舒した結果も表6に記載しており、比較例5では2回の糸切れが発生した。また解舒後の繊維は実施例1と同様の方法で洗浄、仕上げ油剤付与を行った。このようにして得られた繊維の物性を表7に示すが単繊維繊度が大きく、また強力変動率も大きいことが分かる。さらに強力変動率が大きいためか耐摩耗性にも劣ることが分かる。
参考例4〜10の液晶ポリエステルを用い、紡糸温度を表5に示す条件とすること以外は実施例3と同様の方法で溶融紡糸を行った。実施例9では糸切れが1回発生したものの、その他では発生せず製糸性は良好であった。得られた繊維の特性を表5に示す。
Claims (6)
- 下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶ポリエステルからなり、下記条件1〜4を満たすことを特徴とする液晶ポリエステル繊維。
条件2.Tm1におけるピーク半値幅が15℃未満。
条件3.単繊維繊度が18.0dtex以下。
条件4.強度が14.0cN/dtex以上かつ弾性率600cN/dtex以上。 - 構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して40〜85モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜90モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して40〜95モル%であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル繊維。
- ポリシロキサン系化合物が繊維に付着されており、繊維に対する付着物の重量が0.1重量%以上、10.0重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶ポリエステル繊維。
- 繊度変動率が30%以下であり、かつ強力変動率が20%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の液晶ポリエステル繊維。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の液晶ポリエステル繊維からなる印刷用スクリーン紗。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の液晶ポリエステル繊維からなるフィルター用メッシュ織物。
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