JP5115471B2 - 液晶性ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また本発明の液晶性ポリエステル繊維は、試料量10mg、50℃から20℃/分の条件で測定した示差走査熱量計における吸熱ピークの面積ΔHmが、3.0J/g以下であることが好ましい。吸熱ピークの面積は、液晶性ポリエステル繊維が製造工程で受けた熱や応力の履歴を反映した結晶の量を示している。結晶の量は、多いほどフィブリル階層構造が明瞭である傾向が見られ、また繊維の耐摩耗性が低下する。この原因は定かではないが、結晶化度の高い繊維は、秩序性の高い結晶部分と低い非晶部分の差が大きいため、繊維断面方向に対する分子間力が局所的に高い部分と低い部分が存在することになり、このため分子間力の低い部分から選択的に剥離が進行するものと考えられる。このように結晶の量が少ないほど、液晶性ポリエステル繊維の耐摩耗性が向上する傾向が見られるため、2.0J/g以下であるとより好ましく、装置の測定限界以下の変化として実質的に観測されないことが最も好ましい。
検尺機にて繊維を10mカセ取りし、その重量(g)を1000倍し、1試料当たり10回の測定を行い、その平均値を繊度(dtex)とした。これをフィラメント数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。繊度変動率は、繊度の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
(2)強度、伸度、弾性率および強力変動率
JIS L1013:1999記載の方法に準じて、試料長100mm、引張速度50mm/分の条件で、オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用い1試料当たり10回の測定を行い、平均値を強力(cN)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、弾性率(cN/dtex)とした。強力変動率は強力の10回の平均値からの最大もしくは最小値の差の絶対値のうち、いずれか大きい方の値を用いて下式により算出した。
(3)Tm、Tmにおけるピーク半値幅、ΔHm
TA instruments社製DSC2920により示差走査熱量測定を行い、試料量10mg、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度をTm(℃)とし、Tmにおけるピーク半値幅(℃)、融解熱量(ΔHm)(J/g)を測定した。
試料を長さ4cmに切り出し、その20mgを秤量して測定試料とした。X線発生装置に、理学電機株式会社製4036A2型を用い、X線源にNiフィルター使用のCuKα線、出力を40kV、20mAとしたものを用いた。ゴニオメーターとしては、理学電機株式会社製2155D型を用い、スリット2mmφ−1°−1°、検出器をシンチレーションカウンターとした。計数記録装置には、理学電機株式会社製RAD−C型を用いた。赤道線方向に5〜60°まで0.05°刻みで積算時間2秒にて透過法にてスキャンを実施し、得られたプロファイルのうち18〜22°の範囲に極大を持つピークにおける半分の強度におけるピークの幅を半値幅とした。
(4)で得られたピークの極大値における赤道線方向の角度を固定して、方位角方向(円周方向)に0.5°ステップ、積算時間2秒で90〜270°の範囲を透過法にてスキャンして得られるプロファイルから、極大値の半分の強度におけるピークの幅をΔβとした。得られたΔβから以下の式を用いて結晶配向度πを算出した。
π=(180−Δβ)/180
(6)耐摩耗性M
2.5g/dtexの荷重をかけた繊維を垂直に垂らし、繊維に対して垂直になるように直径3.8mmの硬質クロム梨地加工金属棒ガイド(湯浅糸道工業(株)製棒ガイド)を接触角2.7°で押し付け、ストローク長30mm、ストローク速度600回/分で繊維を繊維軸方向に擦過させ、棒ガイド上もしくは繊維表面上に白粉またはフィブリルの発生が確認されるまでの時間を測定し、7回の測定のうち最大値および最小値を除いた5回の平均値を求め耐摩耗性とした。
レピア織機にて経糸に13dtexのポリエステルモノフィラメントを用い、織密度を経、緯とも100本/インチ(2.54cm)として緯糸を本発明の実施例で得られた液晶性ポリエステル繊維として緯打ち込み試織を行った。この時、幅180cm、長さ10mの試織における給糸口へのフィブリルの堆積による停台回数から製織性を評価し、1回以下を良好(○)、2回以上を不良(×)とした。また織物のフィブリル混入個数から織物品位を評価し、長さ10mあたり2個以下を良好(○)、3個以上を不良(×)とした。
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸860重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル320重量部、ハイドロキノン91重量部、テレフタル酸296重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、330℃まで4時間で昇温した。
参考例1の液晶性ポリエステルを用い、160℃、12時間の真空乾燥を行った後、大阪精機工作株式会社製φ15mm単軸エクストルーダーにて(ヒーター温度290〜340℃)溶融押し出しし、ギアポンプで計量しつつ紡糸パックにポリマーを供給した。このときのエクストルーダー出から紡糸パックまでの紡糸温度は345℃とした。紡糸パックでは金属不織布フィルター(渡辺義一製作所社製WLF−10)を用いてポリマーを濾過し、孔径0.13mm、ランド長0.26mmの孔を5個有する口金より吐出量3.0g
/分(単孔あたり0.6g/分)でポリマーを吐出した。
強制冷却位置を表1の通り変更して強制冷却までの時間を変化させた以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性値を表1に併せて示す。結晶面間隔が十分に乱れており、また結晶配向度も低く、耐摩耗性に優れた液晶性ポリエステル繊維が得られ、また製織も問題なく行うことができた。
強制冷却位置を200mmとし、強制冷却までの時間を0.06秒とした以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性値を表1に示すが、繊維の結晶面間隔の乱れが小さく、結晶配向度も高かったため、耐摩耗性が悪く、製織テストにおいては停台回数も多く、またフィブリルの散見されるものであった。
流体の吐出量を変化させて、その流量が繊維の単位時間当たりの体積に対する割合を変化させた以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の耐摩耗性及び力学特性は良好であり、製織テストにおいても良好な工程通過性を示した。
熱処理温度を440℃とした以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の耐摩耗性及び力学特性は良好であり、また製織テストも問題ない工程通過性を示した。
熱処理温度を300℃とした以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の力学特性は良好であったが、結晶面間隔の乱れが小さく、耐摩耗性に劣り、製織テストでの工程通過性に劣るものであった。
強制冷却に用いる流体をそれぞれ空気と窒素とし、ノズルに直径6mmφのエアノズルを用い、吐出量を120cc/minとした以外は、実施例1と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性と優れた耐摩耗性を有しており、製織テストにおいても優れた工程通過性を示した。
流体に空気を用い、流体の吐出量を表5に示す条件にそれぞれ変更した以外は、実施例12と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性と耐摩耗性を示し、製織テストにおいても良好な工程通過性を示した。
流体に空気を用い、熱処理温度を440℃にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性と繊維構造、耐摩耗性を併せ持ち、製織テストにおいても問題ない工程通過性を示した。
流体に空気を用い、熱処理温度を300℃にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性を示したが、結晶面間隔の乱れが不十分であり、耐摩耗性が悪く、また製織テストにおける工程通過性も悪かった。
強制冷却までの位置を表7の条件にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性と繊維構造、耐摩耗性を示し、製織テストにおいても良好な工程通過性を示した。
強制冷却位置を200mmとし、強制冷却までの時間を0.06秒とした以外は、実施例8と同様に液晶性ポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、良好な力学特性を示したものの、結晶面間隔の乱れが不十分であり、耐摩耗性に劣り、製織テストにおいては工程通過性が悪かった。
強制冷却を行わず、熱処理温度を520℃、ヒーター長500mm、処理速度500m/分、熱処理時間0.06秒とした以外は、実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステル繊維を得た。熱処理工程での温度が高すぎ、ヒーター中での糸揺れが激しく、安定したサンプリングを行うことができなかった。得られた少量サンプルは、優れた耐摩耗性を示したものの、製織評価に供するだけの試料を得ることができなかった。
Claims (6)
- CuKα線を線源とした広角X線回折測定において、赤道線方向の18〜22°に極大を持つピークの半値幅が3.5°以上であることを特徴とする液晶性ポリエステル繊維。
- 試料量10mg、50℃から20℃/分の条件で示差走査熱量測定において観測される吸熱ピークの面積ΔHmが、3.0J/g以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶性ポリエステル繊維。
- 液晶性ポリエステルからなる繊維を、試料量10mg、50℃から20℃/分の条件で示差走査熱量測定において観測される吸熱ピーク温度(Tm)+10℃以上の温度で熱処理し、次いで0.05秒以内に流体を用いて強制冷却を行った後に巻き取ることを特徴とする液晶性ポリエステル繊維の製造方法。
- 熱処理時間が0.01秒以上5.0秒以下であり、かつ強制冷却に用いる流体の温度が、繊維の冷結晶化温度より100℃以上低いことを特徴とする請求項3記載の液晶性ポリエステル繊維の製造方法。
- 強制冷却に用いる流体が気体であり、その流量が繊維の単位時間当たりの体積に対して500倍以上であることを特徴とする請求項3または4記載の液晶性ポリエステル繊維の製造方法。
- 強制冷却に用いる流体が液体であり、その流量が繊維の単位時間当たりの体積に対して0.5倍以上であることを特徴とする請求項3または4記載の液晶性ポリエステル繊維の製造方法。
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