JP7198164B2 - 網材および網戸 - Google Patents
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Description
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図4において、本実施形態に係る網戸であるロール網戸10は、建物の外壁開口部に固定される窓の窓枠に取り付けられるものである。ロール網戸10は、窓枠に固定される網戸枠11(枠体)と、網戸枠11の内部にて左右に開閉自在に設けられるネット12(網材)とを備えている。
以下の説明において、ロール網戸10の左右方向をX軸方向とし、ロール網戸10の上下方向をY軸方向とし、ロール網戸10の見込み方向(屋内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
経糸21は、巻取軸13Aに対する巻取り方向および送出し方向に沿って延びた糸である。緯糸22は、経糸21に対して直交する方向に沿って延びた糸である。ロール網戸10では、巻取軸13Aから引き出したネット12のX軸方向に沿って経糸21が延在し、ネット12のY軸方向に沿って緯糸22が延在する。
上レール枠15側のガイドレール17は、図2に示すように、上レール枠15に係合した底壁部171と、底壁部171から垂下した一対の側壁部172と、一対の側壁部172の下端からZ軸方向において互いに近接する方向に延出した一対の開口形成片部173とを有しており、底壁部171、一対の側壁部172および一対の開口形成片部173によってX軸方向に延びたガイド溝17Aが形成されている。一対の開口形成片部173の間にはガイド溝17AのX軸方向に沿った開口17Bが形成されている。
下レール枠16側のガイドレール17は、上レール枠15側のガイドレール17と同様に形成されており、上下逆向きに配置されている。このため、一対の側壁部172は底壁部171から立ち上げられ、一対の開口形成片部173は底壁部171よりも上方に配置されている。
抜止めシート31は、ガイドレール17のガイド溝17Aに配置されている。抜止めシート31は、断面略矩形状に形成されており、ネット本体20とともに巻取軸13Aに巻取り可能な程度の可撓性を有している。抜止めシート31のX軸方向およびY軸方向に規定される仮想面(ネット本体20の面内方向に沿った面)に沿った外面は、フラットな当接外面31Aを構成している。第1実施形態では、抜止めシート31のY軸方向における幅寸法W1(図4参照)は1mmとされているが、ガイド溝17AのY軸方向における深さ寸法よりも若干小さい寸法であれば、更に大きな幅寸法とされていてもよい。抜止めシート31のZ軸方向における厚さ寸法は、ガイド溝17Aの開口17Bの幅寸法W(図2参照)やネット12の巻取状態における径寸法を考慮して1.5mmとされているが、これよりも大きい厚さ寸法であっても、またこれよりも小さい厚さ寸法であってもよい。また、抜止めシート31のゴム硬度は、一般的な軟質ゴムのゴム硬度90度以下とされており、例えば40度~80度の範囲内で設定されてもよい。
接続テープ32は、第1実施形態では布製のファスナーテープによって構成されている。接続テープ32のY軸方向における幅寸法W2(図4参照)は、抜止めシート31の幅寸法W1よりも大きい寸法とされており、図2,図3に示すようにガイド溝17Aから開口17Bを通ってガイド溝17A外まで突出している。この接続テープ32は、ネット本体20の側縁部を補強して強度を高めていると共に、ネット本体20の片面側でネット本体20自体が開口形成片部173に摺接することを防いでいる。
経糸21および緯糸22は、原料(ポリプロピレン)を溶融紡糸し、配向性を付与するために延伸をかけ、結晶化を増やすためにアニーリング工程を経て製造される。なお、経糸21や緯糸22に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤を配合してもよい。
経糸21および緯糸22の線径は、0.05mm~0.30mmの範囲で同径寸法に設定され、ネット本体20の各網目の開口幅は0.5mm~1.5mmの範囲で設定されている。
[経糸および緯糸の結晶化度および配向度]
(1)結晶化度50% 配向度0.85
(2)結晶化度53% 配向度0.83
(3)結晶化度60% 配向度0.80
(4)結晶化度65% 配向度0.77
(5)結晶化度70% 配向度0.73
(6)結晶化度75% 配向度0.70
(7)結晶化度78% 配向度0・68
本実施例では、上記(1)の経糸21および緯糸22を採用してネット本体20を形成した場合、ネット本体20のヒステリシスは1.05gf・cm/cmとなり、上記(2)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは1.00gf・cm/cmとなり、上記(3)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは0.75gf・cm/cmとなり、上記(4)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは0.55gf・cm/cmとなり、上記(5)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは0.40gf・cm/cmとなり、上記(6)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは0.20gf・cm/cmとなり、上記(7)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20のヒステリシスは0.15gf・cm/cmとなった。
また、上記(1)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは1.70gf・cm2/cmとなり、上記(2)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは1.60gf・cm2/cmとなり、上記(3)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは1.55gf・cm2/cmとなり、上記(4)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは1.15gf・cm2/cmとなり、上記(5)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは0.95gf・cm2/cmとなり、上記(6)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは0.80gf・cm2/cmとなり、上記(7)の経糸21および緯糸22を有するネット本体20の曲げ硬さは0.65gf・cm2/cmとなった。
皺つき難さは、ネット12をロール状に巻回した際にヒステリシス変形が生じたと判断できるか否か(ネット12の表面にヒステリシス変形による凹凸が生じたと判断できるか否か)を感性評価基準とし、この評価基準を十分に満たす場合(皺が生じないと判断できる場合)には「〇」とし、この評価基準を満たさない場合(皺が生じたと判断できる場合)には「×」とした。
巻回性は、ネット12をロール状に2400mm巻回した際に巻き径が59mmよりも小さいか否か、およびネット12に巻き込みが生じるか否かを感性評価基準とし、これら評価基準を満たす場合には「〇」とした。結果は表1の通りである。
上記(2)~(6)の経糸21および緯糸22を有するネット12は皺つき難さおよび巻回性が「〇」であった。このため、上記(2)~(6)の経糸21および緯糸22を有するネット12は本発明の網材として十分に採用できるものであると評価される。
上記(7)の経糸21および緯糸22を有するネット12は皺つき難さが「〇」、巻回性が「×」であった。このため、上記(6)の経糸21および緯糸22を有するネット12は、皺つき難さの感性評価基準を満たすので本発明の網材として一応採用できるものであると評価される。
前記実施形態では、経糸21および緯糸22は同じ径寸法に設定されているが、互いに異なる径寸法に設定されてもよい。
前記実施形態では、ネット12はロール網戸10に用いられるものとして説明したが、このほか、四周枠組みされた網戸枠(枠体)と、この網戸枠に張設されたネット(網材)とを備え、建物の外壁開口部に固定される窓の窓枠にスライド可能に設置されるパネル網戸(図示省略)における前記ネットとして用いられてもよい。ネット12がパネル網戸に用いられる場合、ネット12が前述した特性を有しているので、ネット12の周縁部を網戸枠に沿って形成された溝部にゴム製等の押えロープによって押し込み固定しても、ネット12に皺や巻き込みが生じることを抑制でき、ネット12を好適に張設できる。
本発明の網材は、経糸および緯糸を融着した網材であって、前記経糸および前記緯糸は、芯部および前記芯部を囲んだ鞘部を有したポリプロピレン製の複層モノフィラメント糸によってそれぞれ形成され、前記経糸および前記緯糸の線径は0.05mmから0.30mmの範囲に設定され、前記網材の各網目の開口幅は0.5mmから1.5mmの範囲に設定され、前記芯部の断面積と前記鞘部の断面積との比は1.0~3.6の範囲に設定され、前記網材のヒステリシスは0.2gf・cm/cm以上1.0gf・cm/cm以下の範囲に設定されることを特徴とする。
本発明の網材によれば、網材が0.2gf・cm/cm以上1.0gf・cm/cm以下の範囲のヒステリシスの特性を有するので、いわゆる芯鞘構造を有する経糸および緯糸を有する網材を保管、運搬のために経糸に沿った方向にロール状に巻回したり、ロール網戸においてその巻取軸に巻き取ったりすることによる皺の発生を抑制できる。
このような構成によれば、網材の曲げ硬さを0.8gf・cm2/cm以上に設定することで、網材を保管、運搬のためにロール状に巻回したり、ロール網戸においてその巻取軸に巻き取ったりする際に巻き込みが発生することを抑制できる。一方、網材の曲げ硬さを1.6gf・cm2/cm以下に設定することで、網材を巻回した際の巻き径が過度に大きくなることを抑制できる。このように網材の曲げ硬さを上記範囲に設定することで網材の巻回性を向上できる。
このような構成によれば、結晶化度53%に設定し且つ配向度を0.85以下に設定した場合にはヒステリシスを1.0gf・cm/cm以下に設定でき、また、例えば、経糸および緯糸の結晶化度を75%に設定し且つ配向度を0.70に設定した場合にはヒステリシスを0.2gf・cm/cm以上に設定できて、網材にヒステリシス変形による皺の発生を抑制できる。
また、結晶化度53%に設定し且つ配向度を0.85に設定した場合には曲げ硬さを1.6gf・cm2/cm以下に設定でき、また、例えば、経糸および緯糸の結晶化度を75%に設定し且つ配向度を0.70に設定した場合には曲げ硬さを0.8gf・cm2/cm以上に設定できる。これにより、網材の巻き径が過度に大きくなることがなく、且つ、網材の巻き込みの発生を抑えることができて、網材の巻回性を向上できる。
本発明の網戸によれば、前述した本発明の網材の作用効果と同様の作用効果を発揮可能な網戸を構成できる。
Claims (4)
- 経糸および緯糸を融着した網材であって、
前記経糸および前記緯糸は、芯部および前記芯部を囲んだ鞘部を有したポリプロピレン製の複層モノフィラメント糸によってそれぞれ形成され、
前記経糸および前記緯糸の線径は0.05mmから0.30mmの範囲に設定され、
前記網材の各網目の開口幅は0.5mmから1.5mmの範囲に設定され、
前記芯部の断面積と前記鞘部の断面積との比は1.0~3.6の範囲に設定され、
前記網材のヒステリシスは0.2gf・cm/cm以上1.0gf・cm/cm以下の範囲に設定される
ことを特徴とする網材。 - 請求項1に記載の網材において、
前記網材の曲げ硬さは0.8gf・cm2/cm以上1.6gf・cm2/cm以下の範囲に設定される
ことを特徴とする網材。 - 請求項1または請求項2に記載の網材において、
前記経糸および前記緯糸の結晶化度は53%から75%の範囲にそれぞれ設定され、
前記経糸および前記緯糸の配向度は0.70から0.85の範囲にそれぞれ設定される
ことを特徴とする網材。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の網材と、前記網材を巻取りおよび送出し可能な巻取軸とを備える
ことを特徴とする網戸。
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