JP2004019021A - 繊維用液晶性ポリエステルおよびその繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、発生ガス、異物が少なく成形性に優れ、高強度で漁網などの水産資材用途やスクリーン紗などの繊維用材料として好適な繊維用液晶性ポリエステルを提供せんとするものである。
【解決手段】p−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位、テレフタレート単位およびイソフタレート単位から構成され、特定の組成比を有する、数平均分子量が1000以上である繊維用液晶性ポリエステルおよびその繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂からなる繊維用熱可塑性樹脂組成物およびそれらからなる繊維。
【選択図】なし
【解決手段】p−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位、テレフタレート単位およびイソフタレート単位から構成され、特定の組成比を有する、数平均分子量が1000以上である繊維用液晶性ポリエステルおよびその繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂からなる繊維用熱可塑性樹脂組成物およびそれらからなる繊維。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れ、糸径バラツキの小さな高強度の繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルに関するものである。さらに詳しくは低温で溶融成形可能で他の熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、高強度の熱可塑性樹脂組成物繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。また、一方で一部の液晶性ポリマーは高強度、低吸水寸法安定性などを生かした繊維として漁網などの水産資材用途を中心に展開が図られている。
【0003】
液晶性ポリマーとしてp−ヒドロキシ安息香酸と4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびテレフタル酸からなる液晶性ポリエステルが古くから知られているが、耐熱性に優れるものの成形加工温度が高過ぎるという欠点があった。そこで成形加工温度を下げたり、他の特徴を付与するためにハイドロキノンやイソフタル酸を共重合する試みがなされている(特開昭60−38425号公報、特開昭63−39918号公報、特開昭63−57633号公報、特開平3−52921号公報、特開平3−501749号公報、特開平10−95839号公報、特開2001−2766号公報、特開2001−114876号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの液晶性ポリエステルでは成形加工温度がまだ高く発生ガスが多かったり、異物により糸切れが発生し連続して紡糸できないために糸径バラツキも大きく、高強度の繊維を安定して得ることができなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れ、糸径バラツキの小さな高強度の繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造単位組成比にすることにより成形加工温度を下げることが可能となるだけでなく、飛躍的に発生ガス、異物が減少するため紡糸性が大幅に向上し糸径バラツキも極めて小さくなり、かつ、得られた繊維強度が非常に高くなる液晶性ポリエステルが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)が(I)、(II)および(III)の合計に対して55モル%以上80モル%以下であり、構造単位(II)が(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、構造単位(IV)が(IV)および(V)の合計に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであり、数平均分子量が1,000以上であることを特徴とする繊維用液晶性ポリエステル、
【0008】
【化2】
【0009】
(2)構造単位(II)が(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく60モル%以下であることを特徴とする(1)記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(3)構造単位(IV)が(IV)および(V)の合計に対して15モル%以上30モル%未満であることを特徴とする(1)または(2)記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(4)温度300℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が10〜200Pa・sであることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(5)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステルからなる液晶性ポリエステル繊維、
(6)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル1〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂99〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(7)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル40〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂60〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(8)その他の熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドである(6)または(7)記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(9)(6)〜(8)いずれか記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物からなる繊維を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶性ポリエステルである。
【0011】
【化3】
【0012】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
【0013】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の組成比を厳密に規定することにより、特に(II)および(III)の組成比および(IV)および(V)の組成比を特定の範囲とし、それらを組み合わせることにより、成形加工温度を下げることができ、発生ガス、異物が少なく、繊維強度が高くなる。
【0014】
すなわち、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して55モル%以上80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以上80モル%以下である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、より好ましくは50モル%より大きく60モル%以下である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、より好ましくは15モル%以上30モル%未満である。構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0015】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、上記構造単位(I)〜(V)を構成する成分以外に2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸および4,4´ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、クロルハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族、脂環式ジオールおよび6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、m−ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸などの芳香族アミノカルボン酸、1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン、p−アミノフェノールなどの芳香族ヒドロキシルアミンなどを本発明の構造単位の特異的な組成比を逸脱することなく、本発明の特徴を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0016】
本発明において使用する上記繊維用液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0017】
例えば、上記繊維用液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0018】
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましく、その反応系に原料を仕込むとき、p−ヒドロキシ安息香酸の使用量がp−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量に対して55モル%以上80モル%以下であり、70モル%以上80モル%以下であることが好ましい。また、4,4´−ジヒドロキシビフェニルの使用量が4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、50モル%より大きく60モル%以下であることが好ましく、テレフタル酸の使用量がテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、15モル%以上30モル%未満であることが好ましい。さらに4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルであることが好ましい。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.05当量未満であることが好ましく、1.03当量以下であることが好ましく、下限については0.90当量以上であることが好ましい。
【0019】
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルの溶融温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら130〜300℃の範囲で2〜6時間反応させアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度(例えば、250〜350℃の範囲)まで昇温し、1.0mmHg(133Pa)まで減圧し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。得られたポリマーはその溶融温度で反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少なく、異物量のより少ない紡糸性に優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
【0020】
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
【0021】
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
【0022】
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は1,000以上であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは20,000〜50,000の範囲である。また、分子量1,000未満の成分の含有率は1重量%以下であることが好ましい。
【0023】
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
【0024】
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
【0025】
なお、この溶融粘度は300℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0026】
本発明で用いられるその他の熱可塑性樹脂は、加熱により可塑性を有することにより成形加工できる樹脂のことであり、上記液晶性ポリエステル以外のものである。
【0027】
その具体例としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステル(ポリアリレート)などの非液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0028】
さらに非液晶性半芳香族ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0029】
また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0030】
上述したその他の熱可塑性樹脂のうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いることができる。
【0031】
なかでもポリフェニレンスルフィド(PPS)を特に好ましく用いることができる。
【0032】
本発明で用いるPPSは、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0033】
【化4】
【0034】
耐熱性の観点から上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。また、PPSはその繰り返し単位の30モル%以下が下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
【0035】
【化5】
【0036】
かかるPPSは通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPSを空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0037】
PPSの加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃である。また、加熱処理時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0038】
PPSを窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0039】
本発明に用いるPPSは脱イオン処理を施されたPPSであることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶媒洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
【0040】
PPSを有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。洗浄に用いる有機溶媒として、PPSを分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド、スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどが好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上を混合して使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPSを洗浄する際の洗浄温度は特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPSは残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0041】
PPS樹脂を熱水で洗浄処理する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。熱水洗浄によるPPSの好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPSを投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPSと水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS200g以下の浴比が選択される。
【0042】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。酸処理方法として酸または酸の水溶液にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPSは残留している酸または塩などを除去するために、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPSの好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
【0043】
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は特に制限はないが、通常5〜1000Pa・s(300℃、剪断速度1000sec−1)のものが好ましく使用され、10〜600Pa・sの範囲がより好ましい。
【0044】
繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂の配合比は、両者の合計を100重量%として、繊維用液晶性ポリエステル1〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂99〜1重量%であり、好ましくは液晶性ポリエステル40〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂60〜1重量%であり、より好ましくは繊維用液晶性ポリエステル50〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂50〜1重量%である。
【0045】
さらに、本発明の繊維用液晶性ポリエステルまたは繊維用熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダートフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系、ヒドロキノン系など)、耐光(候)剤、紫外線吸収剤(たとえばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、レゾルシノール系、サリシレート系など)、赤外線吸収剤などの安定剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤およびいわゆる離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料(シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、クノフタロン系などの有機顔料、無機顔料)を含む着色剤、蛍光増白剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ(ホワイトカーボン、シリカゾル、シリカゲルなど)、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、タルク、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、架橋ポリスチレンなどの粒子、抗菌剤、消臭剤、微細孔形成剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、隠蔽剤、艶消し剤、結晶核剤、可塑剤、粘度安定剤、分散剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤(制電剤)などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
【0046】
これらの添加剤やその他の熱可塑性樹脂を配合する方法は、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜400℃の温度で溶融混練して組成物または繊維用熱可塑性樹脂組成物とすることができる。その際には、1)繊維用液晶性ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まずその他の熱可塑性樹脂に繊維用液晶性ポリエステルを高濃度に含む液晶性樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂を一度混練し、ついで充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
【0047】
かくして得られる本発明の繊維用液晶性ポリエステルおよび繊維用熱可塑性樹脂組成物は、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れており、通常の紡糸方法によって繊維に加工することが可能であり、得られた繊維は糸径バラツキが小さく、かつ、共重合組成比の異なる同構造のポリエステルと比較して高強度となる。
【0048】
紡糸方法として例えば、繊維用液晶性ポリエステルまたは繊維用熱可塑性樹脂組成物を液晶性ポリエステルの融点−50℃以上、融点+50℃以下で溶融紡糸することにより、液晶性ポリエステルが配向した繊維を得ることができる。ただし、ポリマの分解を抑制するために、溶融温度およびポリマの移送温度はなるべく低く設定し、紡糸口金の直前で昇温することが好ましい。また、適度な配向を付与するためには紡糸口金ノズルにおける剪断速度を1,000/s以上とすることが好ましい。
【0049】
なお、融点(Tm)とは示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
【0050】
紡糸された繊維は、そのままでも一般の熱可塑性有機繊維より強度が高く、かつ弾性率も高いが、これに熱処理を施すとその強度や弾性率を飛躍的に向上することができる。
【0051】
繊維は、熱処理装置に導入し熱処理を施すことができる。熱処理炉に容器を静置して行ってもよく、また、容器などに入れコンベアに乗せ、移動させつつ連続的に行うこともできる。熱処理温度は、液晶性ポリエステルのガラス転移温度以上融点未満とすることが必要で、液晶性ポリエステルの融点−50℃以上融点未満で行うのが好ましい。熱処理の進行にともない融点の上昇が見られるので、時間の経過と共に温度を高くすることが好ましい。なお、ガラス転移温度はバイブロン測定機により測定することができる。
【0052】
また、熱処理の加熱雰囲気としては窒素やアルゴンなどの不活性ガスのほか、空気や窒素、酸素、炭酸ガスの混合気体であっても良い。また、真空下で行うことも可能である。また、熱処理の際、各種の固相重合促進触媒を用いることも出来る。ただし、ポリエステルは加水分解を受けやすいので、除湿されたガスであることが好ましく、雰囲気ガスの露点は−20℃以下、より好ましくは−50℃以下とすることがよい。
【0053】
熱処理時間は処理温度および目的とする性能により異なるが、一般的には30分〜10時間程度である。
【0054】
なお、本発明の液晶性ポリエステル繊維および熱可塑性樹脂組成物繊維は、芯鞘型複合糸、バイメタル型複合糸、海島型や分割型の複合紡糸で得られた繊維であってもよく、熱可塑性樹脂組成物繊維のように液晶性ポリエステル以外の熱可塑性樹脂との複合繊維や極細繊維であってもよい。また、繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、円形断面の他、三角断面、マルチローバル断面、扁平断面、中空糸等、従来公知の形状が広く適用できる。
【0055】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルおよび繊維用熱可塑性樹脂組成物から得られる繊維は、高強度、高弾性率であるばかりでなく、低吸水性、低誘電性であり、また、振動減衰性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性などに優れており、魚網、テグス、ロープ等の水産資材、テンションメンバー、光ファイバーコードやプリント基板の補強材、タイヤコードやコンベアーベルト、ホース等のゴム補強材のほか、プラスチックやコンクリートの補強剤、ケーブル、スピーカーコーン、スクリーン紗、封止剤補強、不織布、電池セパレーター、カンパス、基布としても有用である。また、安全着、防弾チョッキなど防護服や手袋、宇宙服、海底作業服等衣料資材としても用いることが出来る。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸793g(5.74モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル203g(1.09モル)、ハイドロキノン115g(1.04モル)、テレフタル酸103g(0.62モル)、イソフタル酸251g(1.51モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0058】
この液晶性ポリエステル(A−1)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して73モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して51モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して29モル%からなり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は285℃で、数平均分子量40,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、高化式フローテスターを用い、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が50Pa・sであった。
【0059】
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
【0060】
また、分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量および、分子量分布を求めた。
【0061】
液晶性ポリエステルのペレットを熱風乾燥後下記評価を行った。
(1)ガス発生量
熱重量測定装置パーキンエルマー社製TGA7を用いて液晶性ポリエステルのペレット1個(約10mg)を窒素気流下において液晶性ポリエステルの融点+10℃で40分保持した時の加熱減量を測定した。液晶性ポリエステルA−1の加熱減量は0.12%であった。
(2)異物量
液晶性ポリエステルを融点+10℃で加熱し100μm厚のプレスフィルムを作成し、20mm×20mm四方中にある0.1mm直径以上の大きさの異物数を数えた。液晶性ポリエステルA−1の異物数は0個であった。
(3)紡糸性
得られた液晶性ポリエステルA−1を(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Cを用い、融点+20℃で溶融し、クロスヘッドスピード2mm/分でピストンを降下させ0.5mm直径×5mm長のキャピラリーから吐出し、引き取り速度200mm/分で約8dtexの繊維を連続3分間採取し、紡糸性を評価した。3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であった(◎)。また、その間の糸径は7.8〜8.2dtexで糸径バラツキは0.4dtexであった。
(4)繊維強度
紡糸性評価で得られた紡糸原糸を窒素フローの可能な加熱装置内に静置し、窒素を流しつつ、融点−10℃で10時間熱処理を行い、固重糸を得た。サーチ社製引張強度測定機を用いてチャック間距離20mm、引張速度20mm/分で引張特性を測定した。液晶性ポリエステルA−1の固重糸の引張強度は26cN/dtex、引張弾性率は640cN/dtexであった。
【0062】
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル205g(1.10モル)、ハイドロキノン99g(0.90モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0063】
この液晶性ポリエステル(A−2)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは276℃で、数平均分子量42,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が55Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−2の加熱減量は0.14%、異物数は0個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.5dtexであり、固重糸の引張強度は24cN/dtex、引張弾性率は620cN/dtexであった。
【0064】
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸663g(4.80モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル266g(1.43モル)、ハイドロキノン129g(1.17モル)、テレフタル酸86g(0.52モル)、イソフタル酸346g(2.08モル)、および、無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1時間で280℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは285℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0065】
この液晶性ポリエステル(A−3)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは243℃で、数平均分子量25,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−3の加熱減量は0.09%、異物数は0個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.4dtexであり、固重糸の引張強度は22cN/dtex、引張弾性率は600cN/dtexであった。
【0066】
実施例4
無水酢酸の仕込量を1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)とした以外は実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステルA−1’を得た。液晶性ポリエステルA−1’のTmは286℃で、数平均分子量52,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が90Pa・s、加熱減量は0.18%、異物数は1個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.6dtexであり、固重糸の引張強度は25cN/dtex、引張弾性率は630cN/dtexであった。
【0067】
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸793g(5.74モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル203g(1.09モル)、ハイドロキノン115g(1.04モル)、テレフタル酸103g(0.62モル)、イソフタル酸251g(1.51モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で3時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で300℃まで昇温し0.5時間保持し、0.5時間で330℃まで昇温し0.2時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、ステンレストレイに約1cm厚みで入れ、窒素気流下で250℃まで2時間で昇温し、250℃で20時間保持し固相重合を行った。
【0068】
この液晶性ポリエステル(A−1”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して73モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して51モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して29モル%からなり、Tmは286℃で、数平均分子量55,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が105Pa・s、加熱減量は0.24%、異物数は3個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.7dtexであり、固重糸の引張強度は24cN/dtex、引張弾性率は620cN/dtexであった。
【0069】
実施例6
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル242g(1.30モル)、ハイドロキノン77g(0.70モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0070】
この液晶性ポリエステル(A−4)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは270℃で、数平均分子量40,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が55Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−4の加熱減量は0.25%、異物数は6個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間に1度しか糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.8dtexであり、固重糸の引張強度は21cN/dtex、引張弾性率は580cN/dtexであった。
【0071】
実施例7
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル242g(1.30モル)、ハイドロキノン77g(0.70モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で3時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で300℃まで昇温し0.5時間保持し、0.5時間で330℃まで昇温し0.2時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、ステンレストレイに約1cm厚みで入れ、窒素気流下で250℃まで2時間で昇温し、250℃で20時間保持し固相重合を行った。
【0072】
この液晶性ポリエステル(A−4”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは275℃で、数平均分子量58,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が110Pa・s、加熱減量は0.44%、異物数は15個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間に3回糸切れが発生し、紡糸性はなんとか糸引きできるレベルであり(○)、その間の糸径バラツキは1.2dtexであり、固重糸の引張強度は20cN/dtex、引張弾性率は570cN/dtexであった。
【0073】
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸884g(6.40モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル279g(1.50モル)、ハイドロキノン33g(0.30モル)、テレフタル酸100g(0.60モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で330℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0074】
この液晶性ポリエステル(A−5)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して78モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して83モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して33モル%からなり、Tmは308℃で、数平均分子量39,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.55%、異物数は32個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも2.4dtexであり、固重糸の引張強度は16cN/dtex、引張弾性率は520cN/dtexであった。
【0075】
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸884g(6.40モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル279g(1.50モル)、ハイドロキノン33g(0.30モル)、テレフタル酸100g(0.60モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、実施例7と同様にして液晶性ポリエステルA−5”を得た。
【0076】
この液晶性ポリエステル(A−5”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して78モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して83モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して33モル%からなり、Tmは310℃で、数平均分子量48,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.59%、異物数は39個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも2.6dtexであり、固重糸の引張強度は17cN/dtex、引張弾性率は510cN/dtexであった。
【0077】
比較例3
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773g(5.60モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル186g(1.00モル)、ハイドロキノン132g(1.20モル)、テレフタル酸216g(1.30モル)、イソフタル酸150g(0.90モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−6”を得た。
【0078】
この液晶性ポリエステル(A−6”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して72モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して46モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して59モル%からなり、Tmは364℃で、数平均分子量47,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.84%、異物数は63個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間糸切れが連続して紡糸することができず、紡糸性は悪く(×)、その間の糸径バラツキ、引張強度、引張弾性率を測定できるサンプルは得られなかった。
【0079】
比較例4
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸744g(5.39モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル71g(0.38モル)、ハイドロキノン211g(1.92モル)、テレフタル酸91g(0.55モル)、イソフタル酸292g(1.76モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−7”を得た。
【0080】
この液晶性ポリエステル(A−7”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して17モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して24モル%からなり、Tmは290℃で、数平均分子量39,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が65Pa・sであった。また、加熱減量は0.49%、異物数は30個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも3.2dtexであり、固重糸の引張強度は17cN/dtex、引張弾性率は500cN/dtexであった。
【0081】
比較例5
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル205g(1.10モル)、ハイドロキノン99g(0.90モル)、テレフタル酸133g(0.80モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−8”を得た。
【0082】
この液晶性ポリエステル(A−8”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して40モル%からなり、Tmは315℃で、数平均分子量41,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.55%、異物数は57個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間糸切れが連続して紡糸することができず、紡糸性は悪く(×)、その間の糸径バラツキ、引張強度、引張弾性率を測定できるサンプルは得られなかった。
【0083】
【表1】
【0084】
表1からも明らかなように本発明の繊維用液晶性ポリエステルは比較例の液晶性ポリエステルに比べ、ガス発生量、異物が大幅に少なく、紡糸性に優れ、糸径バラツキも小さく、繊維強度、弾性率も高いことがわかる。
【0085】
実施例8〜10、比較例6
サイドフィーダを備えた日本製鋼所製TEX30型2軸押出機で、実施例および比較例で得た液晶性ポリエステル60重量%とポリフェニレンスルフィド(東レ(株)製リニアタイプ“トレリナ”M2588)40重量%をドライブレンドした後ホッパーから投入し、樹脂温度が液晶性ポリエステルの融点+10℃になるようにシリンダーのヒーター設定温度を調整し、スクリュー回転数100r.p.mの条件で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物のペレットとした。熱風乾燥後、得られた熱可塑性樹脂組成物を(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Cを用い、液晶性ポリエステルの融点+20℃で溶融し、クロスヘッドスピード2mm/分でピストンを降下させ0.5mm直径×5mm長のキャピラリーから吐出し、引き取り速度200mm/分で約8dtexの繊維を連続3分間採取し、紡糸性を評価した。紡糸性評価で得られた紡糸原糸の耐摩擦摩耗性を紡糸時の毛羽立ちによるガイドローラーの付着物と顕微鏡による糸表面のフィブリル状態の観察により評価した。ガイドローラーへの付着物がなく、糸表面のフィブリルが発生していないものを◎、ガイドローラーへの付着物はないが、糸表面が部分的にフィブリル化しているものを○、ガイドローラーへの付着物が目視であり、糸表面にフィブリルが発生しているものを×とした。紡糸性評価で得られた紡糸原糸を窒素フローの可能な加熱装置内に静置し、窒素を流しつつ、液晶性ポリエステルの融点−10℃で10時間熱処理を行い、固重糸を得た。サーチ社製引張強度測定機を用いてチャック間距離20mm、引張速度20mm/分で引張特性を測定した。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2からも明らかなように本発明の熱可塑性樹脂組成物は液晶性ポリエステルとポリフェニレンスルフィドなどの熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、紡糸性、耐摩擦摩耗性、糸強度、弾性率に優れていることがわかる。
【0088】
比較例7〜9
液晶性ポリエステルとしてA−6”(比較例7)、A−7”(比較例8)、A−8”(比較例9)を使用した以外は比較例6と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物のペレットを溶融混練により得ようとしたが、高温条件と両樹脂の相互作用により、液晶性ポリエステルが分解し、十分に混ざっていない表面がざらついたペレットしか得られず、紡糸性を評価したが、まともな糸を引くことができなかった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、発生ガス、異物が少なく成形性に優れ、高強度で流動性に優れることから、漁網などの水産資材用途やスクリーン紗などの繊維用材料として好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れ、糸径バラツキの小さな高強度の繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルに関するものである。さらに詳しくは低温で溶融成形可能で他の熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、高強度の熱可塑性樹脂組成物繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。また、一方で一部の液晶性ポリマーは高強度、低吸水寸法安定性などを生かした繊維として漁網などの水産資材用途を中心に展開が図られている。
【0003】
液晶性ポリマーとしてp−ヒドロキシ安息香酸と4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびテレフタル酸からなる液晶性ポリエステルが古くから知られているが、耐熱性に優れるものの成形加工温度が高過ぎるという欠点があった。そこで成形加工温度を下げたり、他の特徴を付与するためにハイドロキノンやイソフタル酸を共重合する試みがなされている(特開昭60−38425号公報、特開昭63−39918号公報、特開昭63−57633号公報、特開平3−52921号公報、特開平3−501749号公報、特開平10−95839号公報、特開2001−2766号公報、特開2001−114876号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの液晶性ポリエステルでは成形加工温度がまだ高く発生ガスが多かったり、異物により糸切れが発生し連続して紡糸できないために糸径バラツキも大きく、高強度の繊維を安定して得ることができなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れ、糸径バラツキの小さな高強度の繊維が得られる繊維用液晶性ポリエステルを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造単位組成比にすることにより成形加工温度を下げることが可能となるだけでなく、飛躍的に発生ガス、異物が減少するため紡糸性が大幅に向上し糸径バラツキも極めて小さくなり、かつ、得られた繊維強度が非常に高くなる液晶性ポリエステルが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1)下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成され、構造単位(I)が(I)、(II)および(III)の合計に対して55モル%以上80モル%以下であり、構造単位(II)が(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、構造単位(IV)が(IV)および(V)の合計に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであり、数平均分子量が1,000以上であることを特徴とする繊維用液晶性ポリエステル、
【0008】
【化2】
【0009】
(2)構造単位(II)が(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく60モル%以下であることを特徴とする(1)記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(3)構造単位(IV)が(IV)および(V)の合計に対して15モル%以上30モル%未満であることを特徴とする(1)または(2)記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(4)温度300℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が10〜200Pa・sであることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル、
(5)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステルからなる液晶性ポリエステル繊維、
(6)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル1〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂99〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(7)(1)〜(4)いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル40〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂60〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(8)その他の熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドである(6)または(7)記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物、
(9)(6)〜(8)いずれか記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物からなる繊維を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶性ポリエステルである。
【0011】
【化3】
【0012】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
【0013】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の組成比を厳密に規定することにより、特に(II)および(III)の組成比および(IV)および(V)の組成比を特定の範囲とし、それらを組み合わせることにより、成形加工温度を下げることができ、発生ガス、異物が少なく、繊維強度が高くなる。
【0014】
すなわち、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して55モル%以上80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以上80モル%以下である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、より好ましくは50モル%より大きく60モル%以下である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、より好ましくは15モル%以上30モル%未満である。構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計が実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0015】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、上記構造単位(I)〜(V)を構成する成分以外に2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸および4,4´ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、クロルハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族、脂環式ジオールおよび6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、m−ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸などの芳香族アミノカルボン酸、1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン、p−アミノフェノールなどの芳香族ヒドロキシルアミンなどを本発明の構造単位の特異的な組成比を逸脱することなく、本発明の特徴を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0016】
本発明において使用する上記繊維用液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0017】
例えば、上記繊維用液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0018】
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましく、その反応系に原料を仕込むとき、p−ヒドロキシ安息香酸の使用量がp−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量に対して55モル%以上80モル%以下であり、70モル%以上80モル%以下であることが好ましい。また、4,4´−ジヒドロキシビフェニルの使用量が4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量に対して50モル%より大きく90モル%以下であり、50モル%より大きく60モル%以下であることが好ましく、テレフタル酸の使用量がテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量に対して0モル%より大きく30モル%未満であり、15モル%以上30モル%未満であることが好ましい。さらに4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルであることが好ましい。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.05当量未満であることが好ましく、1.03当量以下であることが好ましく、下限については0.90当量以上であることが好ましい。
【0019】
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルの溶融温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら130〜300℃の範囲で2〜6時間反応させアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度(例えば、250〜350℃の範囲)まで昇温し、1.0mmHg(133Pa)まで減圧し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。得られたポリマーはその溶融温度で反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少なく、異物量のより少ない紡糸性に優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
【0020】
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
【0021】
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
【0022】
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は1,000以上であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは20,000〜50,000の範囲である。また、分子量1,000未満の成分の含有率は1重量%以下であることが好ましい。
【0023】
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
【0024】
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
【0025】
なお、この溶融粘度は300℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0026】
本発明で用いられるその他の熱可塑性樹脂は、加熱により可塑性を有することにより成形加工できる樹脂のことであり、上記液晶性ポリエステル以外のものである。
【0027】
その具体例としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステル(ポリアリレート)などの非液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0028】
さらに非液晶性半芳香族ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0029】
また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0030】
上述したその他の熱可塑性樹脂のうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いることができる。
【0031】
なかでもポリフェニレンスルフィド(PPS)を特に好ましく用いることができる。
【0032】
本発明で用いるPPSは、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0033】
【化4】
【0034】
耐熱性の観点から上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。また、PPSはその繰り返し単位の30モル%以下が下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
【0035】
【化5】
【0036】
かかるPPSは通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPSを空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0037】
PPSの加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃である。また、加熱処理時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0038】
PPSを窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0039】
本発明に用いるPPSは脱イオン処理を施されたPPSであることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶媒洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
【0040】
PPSを有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。洗浄に用いる有機溶媒として、PPSを分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド、スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどが好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上を混合して使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPSを洗浄する際の洗浄温度は特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPSは残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0041】
PPS樹脂を熱水で洗浄処理する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。熱水洗浄によるPPSの好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPSを投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPSと水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS200g以下の浴比が選択される。
【0042】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法として以下の方法が例示できる。酸処理方法として酸または酸の水溶液にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPSは残留している酸または塩などを除去するために、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPSの好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
【0043】
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は特に制限はないが、通常5〜1000Pa・s(300℃、剪断速度1000sec−1)のものが好ましく使用され、10〜600Pa・sの範囲がより好ましい。
【0044】
繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂の配合比は、両者の合計を100重量%として、繊維用液晶性ポリエステル1〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂99〜1重量%であり、好ましくは液晶性ポリエステル40〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂60〜1重量%であり、より好ましくは繊維用液晶性ポリエステル50〜99重量%に対し、その他の熱可塑性樹脂50〜1重量%である。
【0045】
さらに、本発明の繊維用液晶性ポリエステルまたは繊維用熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダートフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系、ヒドロキノン系など)、耐光(候)剤、紫外線吸収剤(たとえばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、レゾルシノール系、サリシレート系など)、赤外線吸収剤などの安定剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤およびいわゆる離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料(シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、クノフタロン系などの有機顔料、無機顔料)を含む着色剤、蛍光増白剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ(ホワイトカーボン、シリカゾル、シリカゲルなど)、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、タルク、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、架橋ポリスチレンなどの粒子、抗菌剤、消臭剤、微細孔形成剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、隠蔽剤、艶消し剤、結晶核剤、可塑剤、粘度安定剤、分散剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤(制電剤)などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
【0046】
これらの添加剤やその他の熱可塑性樹脂を配合する方法は、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜400℃の温度で溶融混練して組成物または繊維用熱可塑性樹脂組成物とすることができる。その際には、1)繊維用液晶性ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まずその他の熱可塑性樹脂に繊維用液晶性ポリエステルを高濃度に含む液晶性樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)繊維用液晶性ポリエステルとその他の熱可塑性樹脂を一度混練し、ついで充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
【0047】
かくして得られる本発明の繊維用液晶性ポリエステルおよび繊維用熱可塑性樹脂組成物は、発生ガス、異物が少なく紡糸性に優れており、通常の紡糸方法によって繊維に加工することが可能であり、得られた繊維は糸径バラツキが小さく、かつ、共重合組成比の異なる同構造のポリエステルと比較して高強度となる。
【0048】
紡糸方法として例えば、繊維用液晶性ポリエステルまたは繊維用熱可塑性樹脂組成物を液晶性ポリエステルの融点−50℃以上、融点+50℃以下で溶融紡糸することにより、液晶性ポリエステルが配向した繊維を得ることができる。ただし、ポリマの分解を抑制するために、溶融温度およびポリマの移送温度はなるべく低く設定し、紡糸口金の直前で昇温することが好ましい。また、適度な配向を付与するためには紡糸口金ノズルにおける剪断速度を1,000/s以上とすることが好ましい。
【0049】
なお、融点(Tm)とは示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
【0050】
紡糸された繊維は、そのままでも一般の熱可塑性有機繊維より強度が高く、かつ弾性率も高いが、これに熱処理を施すとその強度や弾性率を飛躍的に向上することができる。
【0051】
繊維は、熱処理装置に導入し熱処理を施すことができる。熱処理炉に容器を静置して行ってもよく、また、容器などに入れコンベアに乗せ、移動させつつ連続的に行うこともできる。熱処理温度は、液晶性ポリエステルのガラス転移温度以上融点未満とすることが必要で、液晶性ポリエステルの融点−50℃以上融点未満で行うのが好ましい。熱処理の進行にともない融点の上昇が見られるので、時間の経過と共に温度を高くすることが好ましい。なお、ガラス転移温度はバイブロン測定機により測定することができる。
【0052】
また、熱処理の加熱雰囲気としては窒素やアルゴンなどの不活性ガスのほか、空気や窒素、酸素、炭酸ガスの混合気体であっても良い。また、真空下で行うことも可能である。また、熱処理の際、各種の固相重合促進触媒を用いることも出来る。ただし、ポリエステルは加水分解を受けやすいので、除湿されたガスであることが好ましく、雰囲気ガスの露点は−20℃以下、より好ましくは−50℃以下とすることがよい。
【0053】
熱処理時間は処理温度および目的とする性能により異なるが、一般的には30分〜10時間程度である。
【0054】
なお、本発明の液晶性ポリエステル繊維および熱可塑性樹脂組成物繊維は、芯鞘型複合糸、バイメタル型複合糸、海島型や分割型の複合紡糸で得られた繊維であってもよく、熱可塑性樹脂組成物繊維のように液晶性ポリエステル以外の熱可塑性樹脂との複合繊維や極細繊維であってもよい。また、繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、円形断面の他、三角断面、マルチローバル断面、扁平断面、中空糸等、従来公知の形状が広く適用できる。
【0055】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルおよび繊維用熱可塑性樹脂組成物から得られる繊維は、高強度、高弾性率であるばかりでなく、低吸水性、低誘電性であり、また、振動減衰性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性などに優れており、魚網、テグス、ロープ等の水産資材、テンションメンバー、光ファイバーコードやプリント基板の補強材、タイヤコードやコンベアーベルト、ホース等のゴム補強材のほか、プラスチックやコンクリートの補強剤、ケーブル、スピーカーコーン、スクリーン紗、封止剤補強、不織布、電池セパレーター、カンパス、基布としても有用である。また、安全着、防弾チョッキなど防護服や手袋、宇宙服、海底作業服等衣料資材としても用いることが出来る。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸793g(5.74モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル203g(1.09モル)、ハイドロキノン115g(1.04モル)、テレフタル酸103g(0.62モル)、イソフタル酸251g(1.51モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0058】
この液晶性ポリエステル(A−1)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して73モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して51モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して29モル%からなり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は285℃で、数平均分子量40,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、高化式フローテスターを用い、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が50Pa・sであった。
【0059】
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
【0060】
また、分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量および、分子量分布を求めた。
【0061】
液晶性ポリエステルのペレットを熱風乾燥後下記評価を行った。
(1)ガス発生量
熱重量測定装置パーキンエルマー社製TGA7を用いて液晶性ポリエステルのペレット1個(約10mg)を窒素気流下において液晶性ポリエステルの融点+10℃で40分保持した時の加熱減量を測定した。液晶性ポリエステルA−1の加熱減量は0.12%であった。
(2)異物量
液晶性ポリエステルを融点+10℃で加熱し100μm厚のプレスフィルムを作成し、20mm×20mm四方中にある0.1mm直径以上の大きさの異物数を数えた。液晶性ポリエステルA−1の異物数は0個であった。
(3)紡糸性
得られた液晶性ポリエステルA−1を(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Cを用い、融点+20℃で溶融し、クロスヘッドスピード2mm/分でピストンを降下させ0.5mm直径×5mm長のキャピラリーから吐出し、引き取り速度200mm/分で約8dtexの繊維を連続3分間採取し、紡糸性を評価した。3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であった(◎)。また、その間の糸径は7.8〜8.2dtexで糸径バラツキは0.4dtexであった。
(4)繊維強度
紡糸性評価で得られた紡糸原糸を窒素フローの可能な加熱装置内に静置し、窒素を流しつつ、融点−10℃で10時間熱処理を行い、固重糸を得た。サーチ社製引張強度測定機を用いてチャック間距離20mm、引張速度20mm/分で引張特性を測定した。液晶性ポリエステルA−1の固重糸の引張強度は26cN/dtex、引張弾性率は640cN/dtexであった。
【0062】
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル205g(1.10モル)、ハイドロキノン99g(0.90モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0063】
この液晶性ポリエステル(A−2)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは276℃で、数平均分子量42,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が55Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−2の加熱減量は0.14%、異物数は0個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.5dtexであり、固重糸の引張強度は24cN/dtex、引張弾性率は620cN/dtexであった。
【0064】
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸663g(4.80モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル266g(1.43モル)、ハイドロキノン129g(1.17モル)、テレフタル酸86g(0.52モル)、イソフタル酸346g(2.08モル)、および、無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1時間で280℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは285℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0065】
この液晶性ポリエステル(A−3)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは243℃で、数平均分子量25,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−3の加熱減量は0.09%、異物数は0個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.4dtexであり、固重糸の引張強度は22cN/dtex、引張弾性率は600cN/dtexであった。
【0066】
実施例4
無水酢酸の仕込量を1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)とした以外は実施例1と同様の方法で液晶性ポリエステルA−1’を得た。液晶性ポリエステルA−1’のTmは286℃で、数平均分子量52,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が90Pa・s、加熱減量は0.18%、異物数は1個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.6dtexであり、固重糸の引張強度は25cN/dtex、引張弾性率は630cN/dtexであった。
【0067】
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸793g(5.74モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル203g(1.09モル)、ハイドロキノン115g(1.04モル)、テレフタル酸103g(0.62モル)、イソフタル酸251g(1.51モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で3時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で300℃まで昇温し0.5時間保持し、0.5時間で330℃まで昇温し0.2時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、ステンレストレイに約1cm厚みで入れ、窒素気流下で250℃まで2時間で昇温し、250℃で20時間保持し固相重合を行った。
【0068】
この液晶性ポリエステル(A−1”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して73モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して51モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して29モル%からなり、Tmは286℃で、数平均分子量55,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が105Pa・s、加熱減量は0.24%、異物数は3個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間全く糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.7dtexであり、固重糸の引張強度は24cN/dtex、引張弾性率は620cN/dtexであった。
【0069】
実施例6
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル242g(1.30モル)、ハイドロキノン77g(0.70モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で320℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0070】
この液晶性ポリエステル(A−4)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは270℃で、数平均分子量40,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が55Pa・sであった。また、液晶性ポリエステルA−4の加熱減量は0.25%、異物数は6個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間に1度しか糸切れがなく、紡糸性は良好であり(◎)、その間の糸径バラツキは0.8dtexであり、固重糸の引張強度は21cN/dtex、引張弾性率は580cN/dtexであった。
【0071】
実施例7
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル242g(1.30モル)、ハイドロキノン77g(0.70モル)、テレフタル酸66g(0.40モル)、イソフタル酸266g(1.60モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で3時間反応させた後、280℃まで2時間で昇温し1時間保持後、さらに0.5時間で300℃まで昇温し0.5時間保持し、0.5時間で330℃まで昇温し0.2時間保持し、得られた重合体を抜き出した。抜き出した重合体を粉砕機で粉砕し、ステンレストレイに約1cm厚みで入れ、窒素気流下で250℃まで2時間で昇温し、250℃で20時間保持し固相重合を行った。
【0072】
この液晶性ポリエステル(A−4”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して65モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、Tmは275℃で、数平均分子量58,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が110Pa・s、加熱減量は0.44%、異物数は15個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間に3回糸切れが発生し、紡糸性はなんとか糸引きできるレベルであり(○)、その間の糸径バラツキは1.2dtexであり、固重糸の引張強度は20cN/dtex、引張弾性率は570cN/dtexであった。
【0073】
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸884g(6.40モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル279g(1.50モル)、ハイドロキノン33g(0.30モル)、テレフタル酸100g(0.60モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1052g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、250℃まで2.5時間で昇温し、1時間保持後さらに1.5時間で330℃まで昇温した。その後1.5時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度FBTは328℃であった。次に反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、直径5mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0074】
この液晶性ポリエステル(A−5)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して78モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して83モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して33モル%からなり、Tmは308℃で、数平均分子量39,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.55%、異物数は32個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも2.4dtexであり、固重糸の引張強度は16cN/dtex、引張弾性率は520cN/dtexであった。
【0075】
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸884g(6.40モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル279g(1.50モル)、ハイドロキノン33g(0.30モル)、テレフタル酸100g(0.60モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、実施例7と同様にして液晶性ポリエステルA−5”を得た。
【0076】
この液晶性ポリエステル(A−5”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して78モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して83モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して33モル%からなり、Tmは310℃で、数平均分子量48,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.59%、異物数は39個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも2.6dtexであり、固重糸の引張強度は17cN/dtex、引張弾性率は510cN/dtexであった。
【0077】
比較例3
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸773g(5.60モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル186g(1.00モル)、ハイドロキノン132g(1.20モル)、テレフタル酸216g(1.30モル)、イソフタル酸150g(0.90モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−6”を得た。
【0078】
この液晶性ポリエステル(A−6”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して72モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して46モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して59モル%からなり、Tmは364℃で、数平均分子量47,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.84%、異物数は63個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間糸切れが連続して紡糸することができず、紡糸性は悪く(×)、その間の糸径バラツキ、引張強度、引張弾性率を測定できるサンプルは得られなかった。
【0079】
比較例4
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸744g(5.39モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル71g(0.38モル)、ハイドロキノン211g(1.92モル)、テレフタル酸91g(0.55モル)、イソフタル酸292g(1.76モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−7”を得た。
【0080】
この液晶性ポリエステル(A−7”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して17モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して24モル%からなり、Tmは290℃で、数平均分子量39,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が65Pa・sであった。また、加熱減量は0.49%、異物数は30個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間10回以上糸切れが発生し、紡糸性は良くなく(×)、その間の糸径バラツキも3.2dtexであり、固重糸の引張強度は17cN/dtex、引張弾性率は500cN/dtexであった。
【0081】
比較例5
攪拌翼、留出管を備えた4Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸829g(6.00モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル205g(1.10モル)、ハイドロキノン99g(0.90モル)、テレフタル酸133g(0.80モル)、イソフタル酸199g(1.20モル)および無水酢酸1075g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、比較例2と同様にして液晶性ポリエステルA−8”を得た。
【0082】
この液晶性ポリエステル(A−8”)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して55モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して40モル%からなり、Tmは315℃で、数平均分子量41,000で、かつ、分子量1,000未満の成分が1重量%以下であり、温度300℃、剪断速度1,000/sでの溶融粘度は測定できなかった。また、加熱減量は0.55%、異物数は57個であった。実施例1と同様の方法で紡糸性、繊維強度を評価した結果、3分間糸切れが連続して紡糸することができず、紡糸性は悪く(×)、その間の糸径バラツキ、引張強度、引張弾性率を測定できるサンプルは得られなかった。
【0083】
【表1】
【0084】
表1からも明らかなように本発明の繊維用液晶性ポリエステルは比較例の液晶性ポリエステルに比べ、ガス発生量、異物が大幅に少なく、紡糸性に優れ、糸径バラツキも小さく、繊維強度、弾性率も高いことがわかる。
【0085】
実施例8〜10、比較例6
サイドフィーダを備えた日本製鋼所製TEX30型2軸押出機で、実施例および比較例で得た液晶性ポリエステル60重量%とポリフェニレンスルフィド(東レ(株)製リニアタイプ“トレリナ”M2588)40重量%をドライブレンドした後ホッパーから投入し、樹脂温度が液晶性ポリエステルの融点+10℃になるようにシリンダーのヒーター設定温度を調整し、スクリュー回転数100r.p.mの条件で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物のペレットとした。熱風乾燥後、得られた熱可塑性樹脂組成物を(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Cを用い、液晶性ポリエステルの融点+20℃で溶融し、クロスヘッドスピード2mm/分でピストンを降下させ0.5mm直径×5mm長のキャピラリーから吐出し、引き取り速度200mm/分で約8dtexの繊維を連続3分間採取し、紡糸性を評価した。紡糸性評価で得られた紡糸原糸の耐摩擦摩耗性を紡糸時の毛羽立ちによるガイドローラーの付着物と顕微鏡による糸表面のフィブリル状態の観察により評価した。ガイドローラーへの付着物がなく、糸表面のフィブリルが発生していないものを◎、ガイドローラーへの付着物はないが、糸表面が部分的にフィブリル化しているものを○、ガイドローラーへの付着物が目視であり、糸表面にフィブリルが発生しているものを×とした。紡糸性評価で得られた紡糸原糸を窒素フローの可能な加熱装置内に静置し、窒素を流しつつ、液晶性ポリエステルの融点−10℃で10時間熱処理を行い、固重糸を得た。サーチ社製引張強度測定機を用いてチャック間距離20mm、引張速度20mm/分で引張特性を測定した。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2からも明らかなように本発明の熱可塑性樹脂組成物は液晶性ポリエステルとポリフェニレンスルフィドなどの熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、紡糸性、耐摩擦摩耗性、糸強度、弾性率に優れていることがわかる。
【0088】
比較例7〜9
液晶性ポリエステルとしてA−6”(比較例7)、A−7”(比較例8)、A−8”(比較例9)を使用した以外は比較例6と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物のペレットを溶融混練により得ようとしたが、高温条件と両樹脂の相互作用により、液晶性ポリエステルが分解し、十分に混ざっていない表面がざらついたペレットしか得られず、紡糸性を評価したが、まともな糸を引くことができなかった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の繊維用液晶性ポリエステルは、発生ガス、異物が少なく成形性に優れ、高強度で流動性に優れることから、漁網などの水産資材用途やスクリーン紗などの繊維用材料として好適である。
Claims (9)
- 構造単位(II)が(II)および(III)の合計に対して50モル%より大きく60モル%以下であることを特徴とする請求項1記載の繊維用液晶性ポリエステル。
- 構造単位(IV)が(IV)および(V)の合計に対して15モル%以上30モル%未満であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維用液晶性ポリエステル。
- 温度300℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が10〜200Pa・sであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル。
- 請求項1〜4いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステルからなる液晶性ポリエステル繊維。
- 請求項1〜4いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル1〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂99〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の繊維用液晶性ポリエステル40〜99重量%とその他の熱可塑性樹脂60〜1重量%とからなる繊維用熱可塑性樹脂組成物。
- その他の熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィドである請求項6または7記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項6〜8いずれか記載の繊維用熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂組成物繊維。
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