JP3265686B2 - 液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法 - Google Patents

液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法

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JP3265686B2
JP3265686B2 JP04244693A JP4244693A JP3265686B2 JP 3265686 B2 JP3265686 B2 JP 3265686B2 JP 04244693 A JP04244693 A JP 04244693A JP 4244693 A JP4244693 A JP 4244693A JP 3265686 B2 JP3265686 B2 JP 3265686B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融した際、光学異方性
を呈する液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、合成繊維の高性能化に対する要求
が益々高まり、種々の新規性能を有する合成繊維が市場
に提供されている。このような新規性能繊維の中で、溶
融状態で光学異方性を呈する液晶形成性ポリエステルか
らなる繊維は、優れた機械的性質を有することが注目さ
れている。該ポリエステルは溶融紡糸するだけで、高強
度、高弾性の繊維にし得ること、紡糸後の繊維を不活性
気体中で熱処理することによって、さらに高強度、高弾
性の繊維にし得ることが特公昭55−20008号公報
や特開昭50−158695号公報等に開示されてい
る。しかし、前記した優れた性質にも拘らず、まだ量的
な生産が行われていない。その原因は種々あるが、その
1つに液晶形成性ポリエステルは紡糸口金吐出孔部で高
度に配向する特徴を有していて、紡糸ドラフトを大きく
することが困難であるため、単糸繊度の小さい糸条が得
にくいという問題がある。また、単糸繊度の小さい糸条
を得るべく吐出量を下げるにしたがって、溶融滞留時間
が長くなるため、ポリマーが熱分解して発泡し、紡糸性
が低下するという問題がある。
【0003】一方、紡糸後の繊維を不活性気体中で熱処
理することなく、溶融紡糸するだけで、高強度,高弾性
の繊維を得ることを目的として、特開昭58−9181
2号公報には、紡糸口金下に異方性溶融物を形成するポ
リエステルの軟化点以上の温度に加熱したゾーンを設
け、このゾーンの中で伸長させた後冷却固化させる方法
が提案されている。しかしながら、該ポリエステル吐出
糸条の細化点は紡糸口金下数cm以内に存在するため、
紡糸口金下の雰囲気温度が高い領域で大きな随伴気流が
発生することになり、前記方法のように紡糸口金下に加
熱ゾーンを設けると前記随伴気流によって、紡糸口金下
の雰囲気温度にばらつきを生じ、均一な糸条が得にくい
と言う欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述した従来
の問題点を解決すること、すなわち、溶融状態で光学異
方性を呈する液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸におい
て、単糸繊度の小さい糸条を均一に、かつ、紡糸性の良
好な溶融紡糸方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、以下
の構成を要する。 1.溶融状態で液晶を形成する液晶形成性ポリエステル
がp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位と
4、4−ジオキシビフェニルとテレフタル酸から生成し
たポリエステルの構造単位とエチレングリコールとテ
レフタル酸から生成したポリエステルの構造単位から
なり、構造単位が全体の50〜90モル%、構造単位
と構造単位の合計が全体の50〜10モル%を占
め、構造単位/のモル比が8/2〜2/8であり、
かつ該液晶形成性ポリエステルを溶融紡糸するに際し、
該ポリエステルの液晶開始温度以上、融点+10℃以下
で溶融移送し、紡糸口金部もしくは紡糸口金直前で融点
+15℃以上に加熱しつつ、紡糸ドラフトを13d+5
以下(d:単糸繊度)とし、円筒型冷却装置を用いて冷
却固化させた後、巻取ることを特徴とする液晶形成性ポ
リエステルの溶融紡糸方法。 2.溶融状態で液晶を形成する液晶形成性ポリエステル
が下記(1)もしくは(2)であり、かつ該液晶形成性
ポリエステルの液晶開始温度以上、融点+10℃以下で
溶融移送し、紡糸口金部もしくは紡糸口金直前で融点+
15℃以上に加熱しつつ、紡糸ドラフトを13d+5以
下(d:単糸繊度)とし、円筒型冷却装置を用いて冷却
固化させた後、巻取ることを特徴とする液晶形成性ポリ
エステルの溶融紡糸方法。 (1)p−アセトキシ安息香酸から生成したポリエステ
ルの構造単位と2,6−ジオキシナフタレンとテレフ
タル酸から生成したポリエステルの構造単位と4,4
−ジオキシビフェニルとテレフタル酸から生成したポリ
エステルの構造単位からなり、構造単位が全体の5
0〜90モル%、構造単位と構造単位の合計が全体
の50〜10モル%を占め、構造単位の/のモル比
が9/1〜3/7。 (2)p−アセトキシ安息香酸から生成したポリエステ
ルの構造単位と4,4−ジオキシビフェニルと2,6
−ジオキシナフタレンとテレフタル酸から生成したポリ
エステルの構造単位と4,4−ジオキシビフェニルと
テレフタル酸から 生成したポリエステルの構造単位か
らなり、構造単位が全体の50〜90モル%、構造単
位と構造単位の合計が全体の50〜10モル%を占
め、構造単位の/のモル比が9/1〜3/7。 3.単糸繊度が3デニール以下である糸条として、巻取
ることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載
の液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法。 4.円筒型冷却装置を用いて冷却固化させた後、巻取る
ことを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の液晶
形成性ポリエステルの溶融紡糸方法。 5.円筒型冷却装置の冷却風吹き出し長が10〜250
mm、冷却風の吹き出し開始位置が紡糸口金下10〜1
00mmであることを特徴とする1〜4項のいずれか1
項に記載の液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法。
【0006】以下、本発明について詳述する。本発明に
用いられる溶融状態で液晶を形成する液晶形成性ポリエ
ステルとは、加熱して溶融した際に光学的に異方性を呈
するポリエステルを指す。このようなポリエステルとし
ては、A.芳香族オキシカルボン酸からなるもの、B.
芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、脂肪族ジオー
ルからなるもの、C.AとBを共重合したものなどがあ
げられる。また、溶融液晶形成性ポリエステルの重合処
方は従来公知の方法が採用できる。
【0007】ここで芳香族オキシカルボン酸としては、
ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸など、また
は上記芳香族オキシカルボン酸のアルキル、アルコキ
シ、ハロゲン置換体などがあげられる。芳香族ジカルボ
ン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、上記芳香族ジカル
ボン酸のアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などが
あげられる。芳香族ジオールとしてはハイドロキノン、
レゾルシン、ジオキシジフェニール、ナフタレンジオー
ル、上記芳香族ジオールのアルキル、フェニル、アルコ
キシ、ハロゲン置換体などがあげられる。脂肪族ジオー
ルとしてはエチレングリコール、ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコールなどがあげられる。
【0008】
【0009】特に、本発明においてはp−アセトキシ安
息香酸から生成した構造単位と4、4−ジオキシビフ
ェニルとテレフタル酸から生成したポリエステルの構造
単位とエチレングリコールとテレフタル酸から生成し
たポリエステルの構造単位からなり、構造単位が全
体の50〜90モル%、構造単位と構造単位の合計
が全体の50〜10モル%を占め、構造単位/のモ
ル比が8/2〜2/8である液晶形成性ポリエステルを
用いることが、高い紡糸安定性と高い生産性を確保でき
るため必要である。従来知られている液晶形成性ポリエ
ステルは、口金吐出孔内で高度に配向するため、紡糸ド
ラフトを大きくすることが困難で、設定しうる紡糸速度
は、高くても1000m/min程度程度であったが、
前記構成の液晶形成性ポリエステルは紡糸速度を150
0m/min〜2000m/minまで高めることがで
き、高い生産性を確保できる。これは構造単位のポリ
エステルの屈曲性に起因しているものと考えられる。こ
の他、該ポリエステルを用いることによって高い屈曲摩
耗強度と結節強度を有する繊維を得ることが出来る。さ
らに、また、p−アセトキシ安息香酸から生成した構造
単位と2,6−ジオキシナフタレンとテレフタル酸か
ら生成したポリエステルの構造単位と4,4−ジオキ
シビフェニルとテレフタル酸から生成したポリエステル
の構造単位からなり、構造単位が全体の50〜90
モル%,構造単位と構造単位の合計が全体の50〜
10モル%を占め、構造単位/のモル比が9/1〜
3/7である溶融液晶形成性ポリエステル、もしくはp
−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位と4,4
−ジオキシビフェニルと2,6−ナフタレンジカルボン
酸から生成したポリエステルの構造単位と4,4−ジ
オキシビフェニルとテレフタル酸から生成したポリエス
テルの構造単位からなり、構造単位が全体の50〜
90モル%,構造単位と構造単位の合計が全体の5
0〜10モル%を占め、構造単位/のモル比が9/
1〜3/7である溶融液晶形成性ポリエステルを用いる
ことが高い紡糸安定性と優れた強度、弾性率を有する
維を得ることができるため必要である。
【0010】ここで、本発明について図面を用いて説明
する。図1は本発明で用いる好ましい溶融紡糸装置の1
例を示す概略図である。図1において1はエクストルー
ダー、2は紡糸頭、3は紡糸パックであり、エクストル
ーダー部と紡糸頭部で液晶形成性ポリエステルの液晶開
始温度以上、融点+10℃以下で溶融移送し、紡糸パッ
ク3の中に設置した紡糸口金4もしくは紡糸口金4の直
前で融点+15℃以上に加熱し、紡糸ドラフトが13d
+5以下となる条件下で紡糸し、円筒型冷却装置5を用
いて冷却固化させた後、油剤付与装置6で所定の油剤を
付与し、第1ゴデーロール7と第2ゴデーロール8を介
してワインダー9に巻取る。なお、図1中のL1は円筒
型冷却装置5の冷却風吹き出し長、L2は紡糸口金面か
ら冷却風の吹き出し開始位置までの長さである。
【0011】本発明においては、液晶形成性ポリエステ
ルを液晶開始温度以上、融点+10℃以下の温度で溶融
移送する必要があり、液晶開始温度以上、融点+5℃以
下の温度で溶融移送することがより好ましい。本発明で
いう液晶開始温度とは液晶形成性ポリエステルのチップ
をホットステージ付き偏光顕微鏡下で、昇温しつつ観察
した時に、光学異方性が確認できる最低の温度を意味す
る。また、本発明でいう融点とは示差走査熱量計(DS
C)に現れる溶融ピーク温度を意味する。単糸繊度の小
さな糸条を得るためには吐出量を下げていく必要がある
が、吐出量を下げるにしたがって、溶融移送時の滞留時
間が長くなるため、融点+10℃を越えた温度で長時間
滞留するとポリマーが熱分解して発泡し易くなり、紡糸
性が極めて悪化する。
【0012】しかし、単に低温で溶融移送しただけで
は、単糸繊度の小さな糸条を安定した紡糸性で得ること
は困難であり、液晶開始温度以上、融点+10℃以下で
溶融移送した液晶形成性ポリエステルを紡糸口金もしく
は紡糸口金直前で融点+15℃以上に急速に加熱する必
要がある。紡糸口金もしくは紡糸口金直前の温度が融点
+15℃未満ではポリマーの流動性が十分でなく、紡糸
口金吐出孔での分子鎖の再配列が不十分となるため、曳
糸性に乏しくなり糸切れしやすく、得られる糸条の強
度、弾性率が低くなってしまう。したがって、紡糸口金
もしくは紡糸口金直前で融点+15℃以上に急速に加熱
し、該ポリエステルの溶融粘度を十分に低下せしめて紡
糸口金吐出孔および紡糸口金直下での流動性を高めるこ
とが重要である。紡糸口金の加熱手段としては、紡糸口
金表面にプリントしたヒーターや紡糸口金内部に鋳込ん
だヒーターで加熱する方法、特公昭46−37777号
公報のように紡糸パックの外周に加熱器を取り付け、熱
伝導により紡糸口金を加熱する方法等が採用できるがこ
れらに限定されるものではない。また、紡糸口金直前で
加熱する手段としては特開平1−40612号公報に開
示された紡糸口金直前に設けた静的混練素子と、該静的
混練素子に沿って加熱器を密接して設けた装置によるポ
リマーの均一加熱方法がより好ましく採用できるが他の
手段であっても良い。
【0013】上記のようにポリマーを加熱する手段は、
単糸繊度が3デニール以下であるとき特に効果を発揮す
る。というのは、単糸繊度が3デニールを越える場合
は、溶融移送過程での滞留時間が短くなり、融点+10
℃を越える一定温度でポリマーを移送することが可能で
ある。したがって本発明の効果をより発揮するためには
単糸繊度が3デニール以下、特に2.5デニール以下の
液晶形成性ポリエステル溶融紡糸に適用することがより
好ましい。
【0014】さらに、本発明においては紡糸ドラフトを
13d+5以下(d:単糸繊度)とすることが必要であ
る。特に単糸繊度の小さな液晶形成性ポリエステルの溶
融紡糸においては紡糸ドラフトが13d+5を越える
と、紡糸口金直下で糸切れが多発し、紡糸安定性が悪化
するため好ましくない。本発明者らはこの点を鋭意検討
した結果、単糸繊度を小さくするにしたがって、紡糸ド
ラフトを小さくしていく必要があること、前記式で規定
される紡糸ドラフト値でクリティカルに紡糸安定性が変
化することを見出したのである。より安定した紡糸性を
確保するためには紡糸ドラフトが13d以下であること
がより好ましい。また、紡糸ドラフトの下限値は10以
上であることが好ましい。紡糸ドラフトが10未満では
紡糸口金の吐出孔から吐出されるポリマー流が曲りやピ
クツキを起こし易くなるため、紡糸安定性が低下する傾
向にある。
【0015】紡糸ドラフトDrは次式にしたがって求め
る。 Dr=V1/V2 (V1:吐出線速度(m/min),V2:紡糸速度
(m/min))
【0016】さらに、本発明においては溶融吐出された
糸条をよりすみやかに冷却固化させるために、紡糸口金
の下方に円筒型冷却装置を設置することが好ましい。円
筒型冷却装置を用いない場合、外乱によって、紡糸口金
下の雰囲気温度分布が変化しやすく、紡糸性がやや不安
定になる傾向がある。溶融吐出後、細化した糸条を効率
的に冷却固化せしめるためには、冷却風吹き出し長L1
を10〜250mm、冷却風の吹き出し開始位置L2を
紡糸口金下10〜100mmに設定することが好まし
い。冷却風吹き出し長が10mm未満では冷却効果が少
なく、250mmを越えると相対的に冷却風量が多くな
るため、円筒型冷却装置の下方で排出風によって、糸条
の糸揺れが大きくなる傾向にある。また、冷却風の吹き
出し開始位置が紡糸口金下10mm未満では口金面が冷
え過ぎ、100mmを越えると、溶融吐出した糸条の細
化点近傍を効率的に冷却することが困難になる傾向にあ
る。なお、紡糸口金面を冷やし過ぎない範囲で、冷却風
を口金面に向けて吹き付けることも可能である。また、
本発明においてはエクストルーダー溶融輸送部でベント
することによって、昇華物や分解ガス等を効率的に除去
できるので、ベント付エクストルーダーを用いることが
好ましい。
【0017】本発明によって得られる糸条は熱処理(固
相重合)を施すと、繊維の強度は飛躍的に向上する。熱
処理は少なくとも液晶形成性ポリエステルのガラス転移
温度以上で、液晶開始温度近辺、あるいはそれ以上で行
うのが良い。熱処理は窒素ガスなどの不活性ガスの気流
中や真空中で実施することが好ましいが、空気中でも可
能である。なお、この時各種の固相重合触媒などを併用
しても構わない。本発明による方法は芯鞘型複合糸、バ
イメタル型複合糸、海島型複合糸、分割型複合糸などの
複合紡糸に適用でき、液晶形成性ポリエステル以外のポ
リマーとの複合繊維や極細繊維の液晶形成性ポリエステ
ルを得ることも可能である。また、本発明においては液
晶形成性ポリエステルに耐候剤、カーボンブラック、酸
化チタンなど各種の粒子、原着剤、顔料、染料、帯電防
止剤、酸化防止剤などが添加されていても何ら構わな
い。また、本発明の溶融紡糸においては紡糸口金の吐出
孔形状は特に限定されるものではなく、円形断面の他、
三角断面、マルチローバル断面、偏平断面、中空断面な
ど従来公知の形状が広く適用できる。
【0018】さらに、本発明で得られる糸条は高強度、
高弾性、低吸水性、低誘電性、振動減衰性、寸法安定
性、耐熱性、耐薬品性などを有するため、漁網、光ファ
イバー用補強材、FRP、ベルト、ヘルメット、防護
服、手袋、電気絶縁材、プリント基板、太陽電池補強
材、電卓の補強材、電気の傘、ロープ、摩擦材、しゅう
動部材、ディスクブレーキ、各種フィルター、コミング
ヤーン、航空機用資材、自動車用資材、各種壁材、屋
根、床材、ブラインド、テントの柱、椅子、脚立、アン
テナ用資材、各種のフレーム、釣竿、ゴルフシャフト、
ゴルフネット、テニスラケット、卓球ラケット、筆記用
具などの用途に広範囲に適用できる。
【0019】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに具体的に
説明する。 実施例1 液晶形成性ポリエステルとしてp−アセトキシ安息香酸
から生成した構造単位と4、4−ジオキシビフェニル
とテレフタル酸から生成したポリエステルの構造単位
とエチレングリコールとテレフタル酸から生成したポリ
エステルの構造単位からなり、構造単位が全体の8
0モル%、構造単位と構造単位の合計が20モル%
を占め、構造単位/のモル比が3/5である液晶形
成性ポリエステルを用いた。該ポリエステルの液晶開始
温度293℃、融点は315℃であった。該ポリエステ
ルのチップを図1に示す紡糸装置を用いて315℃(融
点+0℃)で溶融移送し、紡糸口金直前で静的混練素子
と、該静的混練素子に沿って加熱器を密接して設けた紡
糸パックで335℃(紡糸口金面温度実測値:融点+2
0℃)に昇温させ、吐出孔径0.1mmφ、吐出孔数4
8孔である紡糸口金から、吐出孔1孔当りの吐出量0.
35cc/minで溶融吐出させ、紡糸速度1500m
/min(紡糸ドラフト:34、紡糸ドラフト規定値:
38)の条件下で溶融紡糸巻取を実施し120デニール
48フィラメントの糸条を得た。紡糸中、糸切れは全く
なく、従来より高い紡糸速度である1500m/min
で安定して単糸2.5デニールの糸条が得られた。
【0020】比較例1 紡糸温度(各部の加熱温度)を335℃(融点+20
℃)に一定にした他は実施例1と同じ条件下で液晶形成
性ポリエステルの溶融紡糸巻取を実施した。紡糸中、糸
切れが多発し、紡糸性が悪かった。得られた少量の糸条
を顕微鏡下で確認した結果、単糸中にポリマーの分解ガ
スに起因する泡の混入が認められた。
【0021】比較例2 紡糸温度(各部の加熱温度)を320℃(融点+5℃)
一定にした他は実施例1と同じ条件下で液晶形成性ポリ
エステルの溶融紡糸巻取を実施した。紡糸口金直前の温
度が融点+15℃未満でありポリマーの流動性が十分で
なく、紡糸口金吐出孔での分子鎖の再配列が不十分とな
り、曳糸生が低く、サクションガンで吸引しただけで糸
切れが発生した。
【0022】実施例2〜4、比較例3、4 冷却装置として冷却風吹出し長L1が120mm、冷却
風吹出し開始位置L2が50mmである円筒型冷却装置
を用い、紡糸口金の吐出孔径、吐出孔1孔当りの吐出
量、紡糸速度V2、紡糸ドラフトDrを表1のように変
更した他は実施例1と同じ条件で溶融紡糸巻取を実施し
た。本発明の規定を満足する実施例2、3および4は、
紡糸性が良好で、均一な糸条が得られた。比較例3およ
び4は、ドラフトが大きすぎて糸切れが多発した。 実施例5 液晶形成性ポリエステルとして、特開昭62−3962
2号公報に記載の方法で得た芳香族コポリエステル(p
−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位と2,6
−ジオキシナフタレンとテレフタル酸から生成したポリ
エステルの構造単位と4,4−ジオキシビフェニルと
テレフタル酸から生成したポリエステルの構造単位か
らなり、/(との和)のモル比が80/20、
/のモル比が3/2、液晶開始温度:295℃、融
点:315℃)のチップを図1に示す紡糸装置を用いて
320℃(融点+5℃)で溶融移送し、紡糸口金直前で
静的混練素子と、該静的混練素子に沿って加熱器を密接
して設けた紡糸パックで340℃(紡糸口金面温度実測
値:融点+25℃)に昇温させ、吐出孔径0.08mm
φ,吐出孔数48孔である紡糸口金から、吐出孔1孔当
たりの吐出量0.19cc/minで溶融吐出させ、紡
糸速度1000m/min(紡糸ドラフト:26、紡糸
ドラフト規定値:32)の条件下で溶融紡糸巻取を実施
し、100デニール48フィラメントの糸条を得た。紡
糸中、糸切れは全くなく極めて安定した紡糸性で単糸繊
度2デニールの糸条が得られた。該糸は強度9g/d、
弾性率650g/dであり、N2 フロー下で270℃で
5時間処理した後、引き続き310℃で7時間の熱処理
を施した結果、強度26g/d、弾性率640g/dの
優れた高強度、高弾性率糸となった。
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明の溶融紡糸方法によれば、液晶形
成性ポリエステルを低温で溶融移送し、紡糸口金もしく
は紡糸口金直前で急速に昇温して紡糸するため、熱分解
の発生しない紡糸が可能で、単糸繊度の小さい糸条が安
定して得られる。また、紡糸ドラフトを特定範囲とする
ことによって、良好な紡糸性で、かつ繊維軸方向および
断面方向に均一な液晶形成性ポリエステル糸条が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる好ましい溶融紡糸用装置の1例
を示す概略図である。
【符号の説明】
1:エクストルーダー 2:紡糸頭 3:紡糸パック 4:紡糸口金 5:円筒型冷却装置 6:油剤付与装置 7:第1ゴデーロール 8:第2ゴデーロール 9:ワインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/62 301 - 308 D01F 6/84 301 - 311 D01F 6/92 301 - 309

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融状態で液晶を形成する液晶形成性ポリ
    エステルがp−アセトキシ安息香酸から生成した構造単
    位と4、4−ジオキシビフェニルとテレフタル酸から
    生成したポリエステルの構造単位とエチレングリコー
    ルとテレフタル酸から生成したポリエステルの構造単位
    からなり、構造単位が全体の50〜90モル%、構
    造単位と構造単位の合計が全体の50〜10モル%
    を占め、構造単位/のモル比が8/2〜2/8であ
    り、かつ該液晶形成性ポリエステルを溶融紡糸するに際
    し、該ポリエステルの液晶開始温度以上、融点+10℃
    以下で溶融移送し、紡糸口金部もしくは紡糸口金直前で
    融点+15℃以上に加熱しつつ、紡糸ドラフトを13d
    +5以下(d:単糸繊度)とし紡糸し冷却固化させた
    後、巻取ることを特徴とする液晶形成性ポリエステルの
    溶融紡糸方法。
  2. 【請求項2】溶融状態で液晶を形成する液晶形成性ポリ
    エステルが下記(1)もしくは(2)であり、かつ該液
    晶形成性ポリエステルの液晶開始温度以上、融点+10
    ℃以下で溶融移送し、紡糸口金部もしくは紡糸口金直前
    で融点+15℃以上に加熱しつつ、紡糸ドラフトを13
    d+5以下(d:単糸繊度)とし紡糸し冷却固化させた
    後、巻取ることを特徴とする液晶形成性ポリエステルの
    溶融紡糸方法。 (1)p−アセトキシ安息香酸から生成したポリエステ
    ルの構造単位と2,6−ジオキシナフタレンとテレフ
    タル酸から生成したポリエステルの構造単位と4,4
    −ジオキシビフェニルとテレフタル酸から生成したポリ
    エステルの構造単位からなり、構造単位が全体の5
    0〜90モル%、構造単位と構造単位の合計が全体
    の50〜10モル%を占め、構造単位の/のモル比
    が9/1〜3/7。 (2)p−アセトキシ安息香酸から生成したポリエステ
    ルの構造単位と4,4−ジオキシビフェニルと2,6
    −ジオキシナフタレンとテレフタル酸から生成したポリ
    エステルの構造単位と4,4−ジオキシビフェニルと
    テレフタル酸から生成したポリエステルの構造単位か
    らなり、構造単位が全体の50〜90モル%、構造単
    位と構造単位の合計が全体の50〜10モル%を占
    め、構造単位の/のモル比が9/1〜3/7。
  3. 【請求項3】単糸繊度が3デニール以下である糸条とし
    て、巻取ることを特徴とする請求項1または2記載の液
    晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法。
  4. 【請求項4】円筒型冷却装置を用いて冷却固化させた
    後、巻き取ることを特徴とする請求項1〜のいずれか
    1項に記載の液晶形成性ポリエステルの溶融紡糸方法。
  5. 【請求項5】円筒型冷却装置の冷却風吹き出し長が10
    〜250mm、冷却風の吹き出し開始位置が紡糸口金下
    10〜100mmであることを特徴とする請求項1〜
    のいずれか1項に記載の液晶形成性ポリエステルの溶融
    紡糸方法。
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