JPH09194606A - ポリアミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミドフィルム及びその製造方法

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JPH09194606A
JPH09194606A JP363796A JP363796A JPH09194606A JP H09194606 A JPH09194606 A JP H09194606A JP 363796 A JP363796 A JP 363796A JP 363796 A JP363796 A JP 363796A JP H09194606 A JPH09194606 A JP H09194606A
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稔 岸田
Masanobu Hioki
正信 日置
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 突き刺しピンホール強度やレトルト処理後の
機械的性質や寸法安定性に優れたフィルムを提供する。 【解決手段】 ポリアミド90〜99.99 重量%と、膨潤性
フッ素雲母系鉱物10〜 0.01 重量%とからなるポリアミ
ド樹脂組成物を主たる原料として用いた、少なくとも1
方向に2倍以上延伸されたポリアミドフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミドと特定
のフッ素雲母系鉱物からなる、強度、弾性率、寸法安定
性、ガスバリヤー性、レトルト耐性、易滑性に優れたポ
リアミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドフィルムは、力学的性質、寸
法安定性、耐熱性、耐油性、耐溶剤性、光学的性質、耐
ピンホール性、ガスバリヤー性が優れており、食品、医
薬品、雑貨等の包装用途に使用されている。しかしなが
ら、近年、ポリアミドフィルムの用途が拡大し、用途に
よっては従来の性質では十分とはいえず、各性能の一層
の向上が望まれている。たとえば、ポリアミドフィルム
はその強靭性を利用してレトルト食品用の包装材料とし
て用いられているが、高温レトルト処理時( 130℃程
度)の寸法安定性に欠け、フィルムが大きく収縮したり
して商品価値が低下する場合がある。近年レトルト処理
の生産性を向上させるために処理温度を高くして処理時
間を短くする傾向にあり、袋体の最表層部に耐熱安定性
に優れたポリエステルフィルムを使用し、内層に強靭な
ポリアミドフィルムを使用したラミネート構造体が使用
されているが、製造コストが高くなり問題であった。ま
た、アワビ、サザエ、伊勢海老、カニ等の海産物や米、
豆等の穀物の包装体として使用する場合、運搬時の強度
が十分といえず、より一層の性能の向上が望まれてい
る。
【0003】このような問題点を解決する方法として、
ポリアミドと層状珪酸塩とからなるフィルムが提案され
ている(特開平2−105856号公報)が、層状珪酸塩をポ
リアミド中に均一に分散させるために、予め層状珪酸塩
を膨潤化剤と接触させて層間隔を拡げる前処理工程が必
要であり、コスト的にも問題があった。また、得られた
フィルムの性能においても、突き刺しピンホール耐性や
レトルト耐性は満足のゆくものではなかった。また、ポ
リアミドと層状珪酸塩とからなる樹脂組成物として、ポ
リアミドに膨潤性フッ素雲母系鉱物を配合した樹脂組成
物が優れた機械的性質や寸法安定性を有することが知ら
れている(特開平6−248176号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、ポリアミドフィルム
の優れた性質を損なわずに、強度、弾性率、寸法安定性
(乾熱、湿熱時)、ガスバリヤー性、レトルト耐性、突
き刺しピンホール耐性、易滑性を向上させた包装袋材料
として好適なフイルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミドと膨潤
性フッ素雲母系鉱物とからなる延伸ポリアミドフィルム
が優れた性能を有することを見出し本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、次の通りであ
る。 (1)ポリアミド90〜99.99 重量%と、膨潤性フッ素雲
母系鉱物 0.01 〜10重量%とからなるポリアミド樹脂組
成物を主たる原料として用いた、少なくとも1方向に2
倍以上延伸されたポリアミドフィルム。 (2)ポリアミド樹脂組成物が膨潤性フッ素雲母系鉱物
の共存下にモノマーを重合して得られたものである上記
のポリアミドフィルム。
【0007】本発明におけるポリアミドの好ましいもの
としては、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイ
ロン69、ナイロン610 、ナイロン612 、ナイロン116 、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン 6/
66、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T、ポリビス
(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイ
ロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノ
シクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチル
PACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロ
ンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド
(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロ
テレフタルアミド(ナイロン11T(H))等が挙げら
れ、2種以上併用してもよいし、これらの共重合体であ
ってもよい。なお、Iはイソフタル酸成分、Tはテレフ
タル酸成分を表す。これらのうち、特に好ましいもの
は、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン610 及びこれらの共重合ポリ
アミド、混合ポリアミドであり、最も好ましいものはナ
イロン6である。
【0008】ポリアミドの相対粘度は特に制限されない
が、溶媒としてフェノール/テトラクロルエタン=60/
40(重量比)の混合物を用い、温度25℃、濃度1g/dlの
条件で求めた相対粘度が 1.5〜5.0 の範囲のものが好ま
しい。相対粘度が 1.5未満のものでは、フィルムの機械
的性能が低下し、5.0 を超えると製膜性が低下するので
好ましくない。
【0009】本発明で用いられる膨潤性のフッ素雲母系
鉱物は次式で示される。 αMF・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (1) ここで、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α,
β,γ,aおよびbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、
2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、
a+b=1である。
【0010】このようなフッ素雲母系鉱物の製造法とし
ては、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム
等の酸化物と各種フッ化物を混合し、その混合物を電気
炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に
溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物
を結晶生長させる、いわゆる溶融法がある。また、他の
方法としては特開平2−149415号公報に開示された方法
がある。すなわち、タルクを出発物質として用い、これ
にアルカリイオンをインターカレーションしてフッ素雲
母系鉱物を得る方法である。この方法ではタルクに珪フ
ッ化アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁性ル
ツボ内で700 〜1200℃で短時間加熱処理することによっ
てフッ素雲母が得られる。たとえば、インターカレーシ
ョン法では、タルクと混合する珪フッ化アルカリあるい
はフッ化アルカリの量は、混合物の10〜35重量%となる
ようにすることが好ましく、この範囲を外れると膨潤性
フッ素雲母系鉱物の生成率が低下する。
【0011】膨潤性のフッ素雲母系鉱物を得るために
は、珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリのアルカ
リ金属はナトリウム又はリチウムとすることが必要であ
る。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用
してもよい。アルカリ金属のうち、カリウムの場合には
膨潤性のフッ素雲母系鉱物が得られないので好ましくな
いが、ナトリウム又はリチウムと併用し、かつ限定され
た量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能
である。また、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程
において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ
素雲母系鉱物の膨潤性を調節することも可能である。
【0012】本発明でいう膨潤性とは、フッ素雲母がア
ミノ酸、ナイロン塩、水分子などの極性分子あるいは陽
イオンを層間に吸収することにより、層間距離が拡が
り、あるいは更に膨潤へき開して、超微細粒子となる特
性である。また本発明で用いる膨潤性フッ素雲母系鉱物
は、X線粉末法で測定してC軸方向の層厚みが9〜20Å
である。
【0013】膨潤性フッ素雲母系鉱物の配合量はポリア
ミド90〜99.99 重量%に対して10〜0.01重量%である。
この配合量が0.01重量%未満では本発明の効果が小さ
く、10重量%を超える場合には靭性が低下するので好ま
しくない。
【0014】本発明におけるポリアミド樹脂組成物を製
造する方法は公知のいかなる方法も用いることができ
る。例えば押出機を用いてポリアミドと膨潤性フッ素雲
母系鉱物とを溶融混練する方法がある。しかし、最も好
ましい方法は、ポリアミドを形成するモノマーに、膨潤
性フッ素雲母系鉱物を所定量存在させた状態で、モノマ
−を重合することによって製造する方法である。この場
合には膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に十分細
かく分散し,本発明の目的が最も完全に達成される。
【0015】前記の特開平2−105856号公報に開示され
たポリアミドと層状珪酸塩とからなるフィルムにおいて
は、層状珪酸塩をポリアミド中に均一に分散させるため
には、予め層状珪酸塩を膨潤化剤と接触させて層間隔を
拡げる前処理工程が必要であるのに対して、本発明にお
いてはそのような膨潤化処理は必要なく、膨潤性フッ素
雲母系鉱物の存在下にモノマーを重合するだけで、所望
の樹脂組成物が得られる。
【0016】しかも、特開平2−105856号公報に開示さ
れた方法により得られた樹脂組成物を用いて製造したフ
ィルムに比べて、本発明のフィルムは機械的性質や耐レ
トルト性などの性能において、極めて優れた性能を有す
ることは驚くべきことである。
【0017】本発明のフィルムの原料として用いるポリ
アミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限
りにおいて顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃
剤、可塑剤、離型剤や他の強化材等を添加することも可
能である。このような熱安定剤や酸化防止剤としては、
ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミ
ン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲ
ン化物を挙げることができる。これらの熱安定剤、酸化
防止剤、耐候剤等の添加剤は、一般に溶融混練時あるい
は重合時に加えられる。
【0018】また、フィルムのスリップ性を向上させる
目的で、各種無機系ないし有機系滑剤を配合することも
できる。これら滑剤の具体例としては、クレー、タル
ク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリ
カ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ア
スベスト、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウ
ム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラ
スバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アン
チモン、ゼオライト、ハイドロタルサイド等が挙げられ
る。
【0019】本発明のフイルムの原料として用いるポリ
アミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限
りにおいて必要に応じて他の重合体を配合してもよい。
このような重合体としてはポリブタジエン、ブタジエン
−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン
及びこれらを無水マレイン酸等により変性したエラスト
マー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等がある。
【0020】本発明において、未延伸フィルムを製造す
る方法としては、チューブラー法、Tダイ法等の公知の
製造方法を用いることができる。また本発明の延伸フィ
ルムを得る方法としては、たとえばTダイ法では、樹脂
組成物を押出機に投入し、加熱溶融した後、フラット製
膜法におけるTダイのダイオリフィスからシート状に押
し出し、冷却ドラムに捲きつけられて未延伸フイルムを
製造する。次に、この未延伸フィルムを水分率を 1.3重
量%未満に調整し逐次二軸延伸する方法、あるいは、水
分率を 1.3〜10重量%の範囲に調整し、同時二軸延伸す
る方法がある。チューブラー法で延伸する場合には、リ
ング状ダイより押し出した樹脂組成物のチューブを空冷
または水冷して未延伸フィルムを得、その水分率を 1.3
重量%未満に調整し、チューブ内に空気等を圧入し、同
時に二軸に延伸する。
【0021】また、得られたフィルムの表面には、必要
に応じてコロナ放電処理、表面硬化処理、メッキ処理、
清浄処理、着色処理、塗装仕上げ処理やコーティング等
の物理化学的表面処理を付加してもよい。また本発明の
フィルムは単層で用いてもよいし、他の材料と多層にし
て用いてもよい。
【0022】
【作用】本発明のフィルムは、膨潤性フッ素雲母系鉱物
が核となってフィルム表面に微細突起が形成されている
ため滑性に優れる。また、膨潤性フッ素雲母系鉱物は、
ポリアミド中に超微細に分散するため、本発明のフィル
ムは膨潤性フッ素雲母系鉱物を比較的高濃度に添加して
も透明性が低下しにくく、屈曲耐ピンホール性において
も優れた特性を有する。また、膨潤性フッ素雲母系鉱物
は、ポリアミド樹脂に対する結晶核剤効果が大きいた
め、弾性率、乾熱及び湿熱寸法安定性、ガスバリヤー
性、レトルト耐性が向上する。
【0023】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例および比較例の評価に用いた原
料および測定法は次の通りである。
【0024】1.原料 (1) フッ素雲母 ボールミルにより平均粒径が2μm となるように粉砕し
たタルクに対し、平均粒径が同じく2μm の表1に示す
珪フッ化物、フッ化物あるいはアルミナを表1に示す割
合(重量部)で混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気
炉で1時間 800℃に保持しM−1からM−3のフッ素雲
母を合成した。生成したフッ素雲母は、平均粒径 1.8μ
m であり、また、X線粉末法で測定した結果、M−1か
らM−3は、原料タルクのC軸方向の厚み9.2 Åに対応
するピークが消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成を
示す12〜16Åに対応するピークを示した。
【0025】
【表1】
【0026】 (2) スメクタイト:コープケミカル社製 SWN (3) 非膨潤性雲母:コープケミカル社製 MK−110
(式(1)においてMがカリウムであるもの) (4) モンモリロナイト(山形県産の天然モンモリロナイ
ト) (5) カオリン(林化成社製) (6) シリカ(水沢科学社製)
【0027】2.測定法 (1) ヘイズ(Hz) 透明性を表す指標として、15μm 厚のフィルムのヘイズ
を東京電色社製ヘイズメーターを使用して、ASTM D 100
3-61に準じて測定を行った。 (2) 耐屈曲ピンホール性 20℃、65%RHの条件下で調湿した 20.3mm ×27.9mmの
長方形のフィルムをゲルボフレックステスター(理学工
学社製)に装着して、8.9mm 直進中に 440°回転し、さ
らに 6.4mm直進し、その後、逆の行程で元の位置に戻る
までの動きを1回と数えて、10,000回の屈曲テストを行
った。屈曲テスト後のフィルムについて、着色液(三菱
瓦斯化学社製エージレスシールチェック)をフィルムの
片面に塗布し、液が反対面に浸透した個数をピンホール
数として計測した(測定面積は 497mm2 )。 (3) 乾熱収縮率 フィルム長手方向(MD)および巾方向(TD)にそれ
ぞれ標線をいれた短冊試料を切り出し、オーブン内で 1
60℃で5分間処理し、処理後の標線間寸法を20℃、65%
RH平衡状態で測定し、処理による縮み量の処理前寸法
に対する百分率で表した。 (4) 引張強伸度 島津製作所社製オートグラフDSS-500 型を使用し、ASTM
D 882に準じて測定し、MD、TD方向の平均値で表示
した。 (5) 耐ピンホール強度 内径 100mmφの円形型枠に試料フィルムを緊張させて固
定し、この試料の中央部に先端が曲率半径 0.5mmの針を
50mm/分の速度で試料面に垂直に当てて突き刺し、フィ
ルムが破れる際の強度を測定した。測定は、延伸後捲き
取ったフィルムの中央部について実施した。 (6) 静摩擦係数 島津製作所社製オートグラフDSS-500 型を使用し ASTM
D 1894に準じて評価した。 (7) 3次元表面粗さ 小坂研究所社製表面粗さ測定器 SE- 3AK型を使用し、JI
S B 0601-1976 の方法に準じて触針径2μm R、触針圧
10mg、高さ倍率 5,000倍の条件で、SRa 、SRzを測定し
た。 (8) レトルト耐性 5リットルの圧力容器を使用し、130 ℃の熱水中にフィ
ルムを浸漬し30分処理後の寸法変化と力学特性を評価し
た。 (9) ガスバリヤー性(酸素透過度) モダンコントロール社製 MOCON OX-TRAN 100A により、
ASTM D-3985-81に準じて23℃、100 %RHの条件で測定し
た。
【0028】実施例1〜5 ε−カプロラクタム10kgに対して、2kgの水とM−1、
M−2およびM−3をそれぞれ表2に掲げた量を配合
し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、ε−カプ
ロラクタムの重合を行った。重合反応は次のように行っ
た。すなわち、攪拌しながら 250℃に加熱し、徐々に水
蒸気を放出しつつ、4kg/ cm2 から15kg/ cm2 の圧力ま
で昇圧した。その後、2kg/ cm2 の圧力まで放圧し、26
0 ℃で3時間重合した。重合の終了した時点で反応缶か
らポリマーを払い出し、これを切断してペレットとし
た。得られたナイロン6ペレットを95℃の熱水で処理し
て精練を行い、乾燥後、押出機に投入し、260 ℃に加熱
溶融した後、フラット製膜法によりTダイのダイオリフ
ィスからシート状に押し出し、表面温度10℃のドラムに
捲きつけて冷却し、厚さ 150μm の未延伸フイルムを調
製した。次に、50℃の温水槽に2分間浸漬した後(吸水
率 2.8重量%)、175 ℃で縦方向に3倍、横方向に 3.3
倍に同時二軸延伸し、次いで5%の弛緩処理を施し、続
いて 210℃で熱処理し、厚さ15μm の延伸フイルムを得
た。得られた延伸フイルムの性能を評価し、その結果を
表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】比較例1〜6 M−1〜M−3の代わりに、スメクタイト、非膨潤性雲
母、モンモリロナイト、カオリンおよびシリカを、それ
ぞれ表3に掲げた量を配合した以外は、実施例1と同様
にして、厚さ15μm の延伸フイルムを得た。得られた延
伸フイルムの性能を評価し、その結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】実施例6 ナイロン66塩10kgに対して、3kgの水とM−1を表4
に掲げた量を配合し、これを内容量30リットルの反応缶
に入れ、ナイロン66塩の重合を行った。重合反応は次の
ように行った。すなわち、230 ℃で攪拌しながら、内圧
が18kg/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐
々に水蒸気を放出しつつ加熱し、その圧力を保持した。
280 ℃に達した時点で,常圧まで放圧し、さらに2時間
重合を行った。重合が終了した時点でナイロン66を払い
出し、これを切断してペレットとした。得られたナイロ
ン66ペレットを乾燥後、押出機に投入し、280 ℃で加熱
溶融した後、フラット製膜法によりTダイのダイオリフ
ィスからシート状に押し出し、表面温度10℃のドラムに
捲きつけて冷却し、厚さ 150μm の未延伸フィルムを調
製した。次に、50℃の温水槽に2分間浸漬した後(吸水
率 2.7重量%)、180 ℃で縦方向に3倍、横方向に 3.3
倍に同時二軸延伸し、次いで5%の弛緩処理を施し、続
いて 220℃で熱処理し、厚さ15μm の延伸フィルムを得
た。得られた延伸フィルムの性能を評価し、その結果を
表4に示した。
【0033】比較例7 M−1の代わりに、スメクタイトを表4に掲げた量を配
合した以外は、実施例6と同様にして、厚さ15μm の延
伸フィルムを調製した。得られた延伸フィルムの性能を
評価し、その結果を表4に示した。
【0034】比較例8 M−1を配合しない他は、実施例6と同様にして、厚さ
15μm の延伸フィルムを調製した。得られた延伸フィル
ムの性能を評価し、その結果を表4に示した。
【0035】比較例9 特開平2−105856号公報に記載された方法に従ってモン
モリロナイトの膨潤化処理を行い、12−アミノドデカン
酸アンモニウムイオンとモンモリロナイトとの複合体を
得た。この複合体 180g を配合した他は実施例1と同様
にして重合し、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られた
樹脂組成物中のモンモリロナイトの含有量は 2.0重量%
であった。次に、この樹脂組成物を用いて実施例1と同
様にして延伸フィルムを製造し、性能を評価した。その
結果を表4に掲げた。
【0036】
【表4】
【0037】比較例10 未延伸フィルムを50℃の温水槽に浸漬する工程を省略す
る以外は、実施例1〜5と同様にして延伸したが、いず
れの場合もフィルムは切断し、安定生産ができなかっ
た。なお、延伸前のフィルムの水分率は、0.08重量%で
あった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、特に、突き刺しピンホ
ール強度やレトルト処理後の機械的性質や耐熱寸法安定
性に優れたポリアミドフィルムが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:16 B29L 7:00 C08L 77:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド90〜99.99 重量%と、膨潤性
    フッ素雲母系鉱物10〜 0.01 重量%とからなるポリアミ
    ド樹脂組成物を主たる原料として用いた、少なくとも1
    方向に2倍以上延伸されたポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリアミド樹脂組成物が膨潤性フッ素雲
    母系鉱物の共存下にモノマーを重合して得られたもので
    ある請求項1記載のポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】 160 ℃、5分間の乾熱収縮率が、1.3 %
    未満である請求項1又は2記載のポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】 ポリアミドがナイロン6である請求項1
    〜3のいずれかに記載のポリアミドフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリアミド90〜99.99 重量%と、膨潤性
    フッ素雲母系鉱物10〜 0.01 重量%とからなるポリアミ
    ド樹脂組成物を主たる原料として用いた未延伸フィルム
    の水分率を 1.3重量%未満に調整した後、チューブラー
    法又は逐次二軸延伸法で延伸することを特徴とするポリ
    アミドフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリアミド90〜99.99 重量%と、膨潤性
    フッ素雲母系鉱物10〜 0.01 重量%とからなるポリアミ
    ド樹脂組成物を主たる原料として用いた未延伸フィルム
    の水分率を 1.3〜10重量%に調整した後、同時二軸延伸
    法で延伸することを特徴とするポリアミドフィルムの製
    造方法。
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