JP2010131809A - 二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全層数が8層以上であり、層数比で80%以上が同一の樹脂組成物から構成される二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムであって、フィルム長手方向に2.5〜5.0倍延伸されており、面配向係数(ΔP)が0.057〜0.07であり、ボイル処理後の歪みが0.1〜2.0%であることを特徴とする二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
【選択図】なし
Description
1. 全層数が8層以上であり、層数比で80%以上が同一の樹脂組成物から構成される二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムであって、フィルム長手方向に2.5〜5.0倍延伸されており、面配向係数(ΔP)が0.057〜0.07であり、ボイル処理後の歪みが0.1〜2.0%であることを特徴とする二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
2. 層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%添加されてなり、層状化合物が面内に配向しており、15μm換算の酸素透過量が0.05〜18ccであることを特徴とする上記第1に記載の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
3. メタキシリレン骨格を有するポリアミド樹脂を主成分とする樹脂層を少なくとも1層以上積層されてなることを特徴とする上記第1又は第2に記載の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
また、同時にポリアミド樹脂として層状化合物を均一に分散させた樹脂を用いると、ボイル歪みだけでなく、バリア性にも優れたフィルムとなり、包装材料として極めて有用なフィルムとなる。
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、環状ラクタムの開環重合体、ジアミンとジカルボン酸の縮合物、アミノ酸類の自己縮合物など特に限定されないが、例示すると、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン612、メタキシリレンジアミン系ナイロンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また共重合型ポリアミド樹脂を使用することも可能である。具体的にはメタキシリレンジアミンを共重合したナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I共重合体、ナイロン6/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン11/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン12/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン6/MXD6共重合体などの芳香族系ポリアミド樹脂が挙げられるがその他の成分を共重合したものも使用可能であるが、好ましくはナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン系ナイロンが好ましい。特にメタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂からなる層を少量積層させることでガス透過率を大幅に低減でき、本発明における好ましい例の一つである。
本発明においては、通常のポリアミド樹脂以外に、以下に述べるような層状化合物を分散させたポリアミド樹脂も使用できる。この場合、樹脂の耐熱性やバリア性、吸湿歪みなどを改善でき、より好ましい方法の一つである。
1.層間挿入法:
1)モノマー挿入重合法
2)ポリマー挿入法
3)有機低分子挿入(有機膨潤)混練法
2.In-situ法:In-situフィラー形成法(ゾルーゲル法)
3.超微粒子直接分散法
などが挙げられる。市販の材料としては、Nanopolymer Composite Corp.製のCress Alon NF3040、NF3020、宇部興産製のNCH 1015C2、Nanocor製Imperm103、Imperm105などが挙げられる。ポリアミド樹脂中に含まれる層状化合物の粗大物の発生を抑制するために層状化合物の分散性を高めることを目的に各種の有機処理剤で層状化合物は処理されることが好ましいが、溶融成形時の処理剤の熱分解による悪影響を避けるために、熱安定性の良い低分子化合物の使用や低分子の化合物を使用しないモノマー挿入重合法などの方法を用いて得られたものが好ましい。熱安定性については、処理を行った層状化合物の5%重量減少温度が150℃以上の化合物が好ましい。測定にはTGAなどが使用できる。熱安定性の低いものでは、フィルム中に気泡が発生したり、着色の原因となったりするため好ましくない(挑戦するナノテク材料 用途展開の広がるポリマーナノコンポジット、発行:住ベ・筒中テクノ(株)、ご参照)。
本発明の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは通常の方法で製造でき、各種方法により得られた多層未延伸シートを通常の条件と同様に延伸して得られるもので、その各層の厚みを制御し、所定の面配向度となるように延伸条件を調整することでボイル歪みが小さく各種特性に優れたフィルムが得られる。多層化による効果は、厚み方向の分子鎖の絡み合いを減らすことで延伸応力ひいてはボイル時の収縮応力を下げることによるもので、結果としてボーイングが小さくなり、ボイル歪みも小さくなる、というものである。
本発明の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは、全総数が8層以上の未延伸ポリアミド樹脂多層シートを延伸して得られるものである。
本発明において前述のポリアミド樹脂を多層化する際に、一般に採られる異種の樹脂を積層する以外に、同種の樹脂を積層することも可能である。ここで、同種の樹脂を後述の方法で多層化することに物理的な意味を見出すことが一見したところ難しいかもしれないが、実際の系において、同種の樹脂を同一の温度において溶融押出し積層した場合においても層の界面は消えずに延伸後においても存在する。これは射出成型品のウエルドラインを消すことが非常に難しいことと同義である。このように同種の樹脂であっても多層状態が維持され、厚み方向での分子の絡み合いを低く抑えることを維持できる。同種の樹脂を溶融押出し積層した際の層の界面の存在を確認する方法としては、サンプルを氷や液体窒素で冷却後、カミソリなどで切り出し断面を作製後、それをアセトンなどの溶剤に浸漬後に断面を顕微鏡で観察する方法などで観察できる。
本発明の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムはTダイより溶融押出しした未延伸のシートを逐次二軸延伸、同時二軸延伸により延伸できるほか、チューブラー方式など方法が使用可能であるが、十分な配向を行わせるためには、二軸延伸機による方法が好ましい。特性と経済性などの面からみて好ましい方法は、ロール式延伸機で縦方法に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)が挙げられる。また、MD延伸については、ボーイングを低減するためにMD延伸の際にMD配向を小さくするほうが好ましいことから、MD多段階延伸を使用することが好ましい。
熱固定温度が150℃未満の低温の場合は、フィルムの熱による熱固定の効果が小さく不適切である。一方、250℃を超える高温では、ポリアミドの熱結晶化に起因する白化による外観不良および機械的強度の低下を引き起こし不適切である。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは二軸延伸・熱固定・弛緩処理後の面配向(ΔP)が0.057〜0.07であることが好ましい。面配向は屈折率計より複屈折を求め、長手方向の屈折率をNx、幅方向の屈折率をNy、厚み方向の屈折率をNzとするとき、以下の式により求められる。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムのボイル歪みは0.1〜2.0%であることが好ましい。ボイル歪みはTD延伸時の中央部の収縮に対して端部のクリップに固定されていることにより生じるもので、フィルム幅方向での端部で顕著であり、ボイル処理時の収縮量が小さくするとボイル歪みは小さくなる。収縮量を小さくするためには、本発明のポイントである多層化による延伸応力の低減のほかに、延伸条件の設定も重要であるが、従来のポリアミド樹脂を延伸する条件を大きく逸脱した条件でなければ、十分に低減が可能である。ボイル歪みが2.0%を超えると、カールが顕著になり好ましくない。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムのヘイズは1.0〜20%の範囲にあることが好ましい。延伸時のヘイズが1.0%未満では、安定して製造することが困難であり好ましくない。ヘイズが20%を超えると、使用時の内容物などが見えにくくなる以外に、意匠性が低下するため好ましくない。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは耐ピンホール性に優れており、23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることが好ましい。耐ピンホール性に対して影響を与えるのは、主に延伸条件であり、その中でも特にTD延伸時の温度を高くしすぎないことが好ましい。TD延伸性が悪い場合には温度を上げる場合があるが、延伸温度を低温結晶化温度を超えて上げすぎると、充分な延伸が出来ないまま部分的に結晶化が進み、微細領域での厚みむらやピンホールが発生しやすくなる。また、得られたフィルムもピンホールが発生しやすくなる。
本発明におけるポリアミド樹脂フィルムは、平衡吸水率が3.5〜10%の範囲にあることが好ましい。一般のポリアミド樹脂の二軸延伸フィルムの平衡吸水率は3%程度であり、本発明のフィルムは、それよりも高いことが好ましい。一般的に知られる層状化合物のうち、最もよく利用されているモンモリロナイトやスメクタイトは水溶液の粘度を増加させる増粘剤として一般に利用されている。このことからも想像できるとおり、水をその層間に取り込み、容易に膨潤し、大量の水分を吸収する特性を有している。これらの化合物を樹脂中に添加しただけではそのモンモリロナイトは大量の水分を吸収してしまう。そのため、その樹脂組成物の平衡吸水率は大きな値となり、特性についても湿度依存性の高いものとなってしまう。本発明によれば、層状化合物は面内に高度に配向しており、また、マトリックスのポリアミド樹脂を高倍率の二軸延伸を行い更に配向結晶化することで平衡水分率が3.5%以上になるような添加量であっても特性の湿度依存性は低く抑えることが出来る。平衡吸水率が3.5%未満では層状化合物添加の効果が小さく、10%を超えると添加量が過剰であり好ましい特性が得られない。
本発明において、層状化合物を含有する多層フィルムは、層状化合物が面内に配向しているため、バリア性に優れており、15μm換算での酸素透過度が5〜20cc/m2/day/atmの範囲にあることが好ましい。前記酸素透過度の上限値は19cc/m2/day/atm以下が好ましく、18cc/m2/day/atm以下がより好ましい。酸素バリア性はポリアミド樹脂における層状化合物の面内への配向度合いと添加量に依存し、酸素バリア性の面からみた、好ましい層状化合物添加量はフィルム全体に対しての0.3〜10重量%の範囲内である。0.3重量%未満ではバリア性の効果が小さく、10重量%を超えるとボイル歪みなどとの特性のバランスが悪くなり好ましくない。また、更にガスバリア性を高めることを目的に、バリア性の高い樹脂の添加やバリア性の高い樹脂層の積層も好適に用いられる。ガスバリア性の高い樹脂として、メタキシリレンジアミン系ナイロン(MXD6)、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸などが例示される。これらの添加量や積層量は1〜20%が好ましい。1%未満ではバリア性改善の効果が低く、20%を超えると添加したバリア性樹脂との延伸性のバランスが取れなくなることから好ましくない。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは160℃、10分での熱収縮率が縦方向、横方向いずれも-0.5〜1.5%の範囲にあることが好ましい。熱収縮率をゼロに近づけるためには、延伸条件や熱固定条件の最適化のほか、層の厚みの最適化をすることが好ましい。延伸応力低減の改善のためには各層の厚みが小さいほうが有利であるが、層が薄くなりすぎると、熱固定などにより熱収縮率を低減できなくなり、目的とする熱収縮率にあわせて層構成を決定することが好ましいが、熱収縮率と延伸性の両立のためには、延伸前の各層の厚みが1〜30μmの範囲内がより好ましく、更に好ましくは2〜20μmの範囲内である。前記熱収縮率の下限値は0%以上がより好ましく、0.1%以上が更に好ましい。上限値は1.5%以下が好ましく、1.3%以下が更に好ましい。
JISK7105に準ずる方法で、試料を、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をヘイズとした。
未配向ポリアミド樹脂シートを液体窒素中で凍結し、減圧解凍後にセイコー電子社製DSCを用い、昇温速度20℃/分で測定した。
TAインストルメンツ製TGAを用いて、サンプル量0.1g、窒素気流下、昇温速度20℃/分、500℃まで昇温させた後の重量残渣を求めた。
面配向はアッベ屈折率計を用いて、以下の式により求めた。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz
ここで、Nxは長手方向の屈折率、Nyは幅方向の屈折率、Nzは厚み方向の屈折率をそれぞれ示す。
一辺21cmの正方形状にサンプルを切り出し、各サンプルを23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置した。各サンプルの二本の対角線の長さを測定し、処理前の長さとした。次いで、その試料を沸水中で30分間加熱処理した後、取り出して表面に付着した水分を拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した。その後、再度、二本の対角線の長さを測定し、処理後の長さとした。この値から45度方向および135度方向の沸水収縮率を下記の式で求め、その差の絶対値(%)をボイル歪みとして算出した。そして、それらの各サンプルの吸湿ズレの平均値を算出した。
沸水収縮率=[(処理前の長さ−処理後の長さ)/処理前の長さ]×100(%)
96%硫酸溶液 25mlに対し、0.25gのナイロンレジンを溶解し、20℃にて相対粘度を測定した。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、50個の層状化合物を無作為に抽出し、それぞれの傾きを評価した。いずれの層状化合物の傾きのばらつきが角度20度以下におさまる場合、面内配向は○、それ以外は×とした。
フィルムを液体窒素で冷却してから取り出してすぐにフェザー刃でキャストフィルムまたは延伸フィルムの幅方向に切り出して断面を得た。この断面を、光学顕微鏡(オリンパス製BX60)を用いて観察し、5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚みとして求めた。全層数は同様の方法により求めた。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、各層の界面の間隔より最大厚みを有する層の厚みを測定した。
酸素透過度測定装置(「OX−TRAN 10/50A」Modern Controls社製)を使用し、湿度65%、温度23℃で測定した。得られた結果は厚み15μmでの値に換算した値を酸素透過率(cc/m2/day/atm)とした。15μm厚みでの値への換算は、
(15μm厚み換算のOTR)=(実測OTR)×(フィルム厚み、μm)/15(μm)
として求めた。
試験温度160℃、加熱時間10分間とした以外は、JIS C2318に記載の寸法変化試験法に準じた。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8、滑剤含有)を100℃で一晩真空乾燥させたのち、二台の押出機に同一の樹脂ペレットを供給し270℃で溶融し、10エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。二台の押出機の吐出量の比率は1:1とした。未延伸シートの厚みは250μm、断面より各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず40℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度60℃で3.2倍に縦延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、60℃で予熱後、130℃で3.8倍に横延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ14μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
実施例3と4は8層構成のフィードブロックを用いて8層構成の未延伸シートを、比較例1〜2、5、7〜8は単層用のフィードブロックを用いて単層の未延伸シートを、比較例3は16層構成の未延伸シートを作製し、実施例2、3、4、5、6および比較例5はMD二段延伸後にTD延伸を行った以外は実施例1と同様に表1に記載の条件でサンプルを作製した。フィルム特性などについて、実施例2及び3は表1、実施例4〜10は表2、比較例1〜5は表1、比較例6〜8は表3にそれぞれ示す。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%)を100℃で一晩真空乾燥させた。次に、単層インフレ製膜機を用いて製膜した。ペレットを押出機に供給し、280℃で溶融した。ついで、280℃に加熱した環状ダイから押出し、空冷しつつ、吐出量、巻取り速度、チューブ径から面積換算での延伸倍率4倍になるよう調節した。チューブの中央部を裁断して厚さ25μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表3に示す。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8、滑剤含有)、層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%)、メタキシリレンジアミンが共重合されバリア性に優れるMXD6系ナイロン樹脂のペレット(三菱ガス化学製S6001)を100℃で一晩真空乾燥させた。二種三層系の積層が可能な製膜機の、スキン層側の押出機とフィードブロックの間のメルトライン中に、275℃に加熱された16エレメントのスタティックミキサーを導入した構成において、スキン層側押出機二台にT814とNF3040をドライブレンドで50/50の比にブレンドしたペレットを投入し、コア層側押出機には、S6001を投入した。スキン層側樹脂は270℃、コア層側樹脂は280℃で溶融し、275℃に加熱したフィードブロックにて、多層構造のシート二枚で単層シートを挟み込む構造(多層)とし、20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。三台の押出機の吐出量の比率は45:10:45とした。未延伸シートの厚みは250μm、スキン層側の各層の厚みはその断面より約1μmであった。このシートをまず70℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度80℃で3.2倍、変形速度4500%/分で縦延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、110℃で予熱後、135℃で3.8倍に横延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表3に示す。
Claims (3)
- 全層数が8層以上であり、層数比で80%以上が同一の樹脂組成物から構成される二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムであって、フィルム長手方向に2.5〜5.0倍延伸されており、面配向係数(ΔP)が0.057〜0.07であり、ボイル処理後の歪みが0.1〜2.0%であることを特徴とする二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
- 層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%添加されてなり、層状化合物が面内に配向しており、15μm換算の酸素透過量が0.05〜18ccであることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
- メタキシリレン骨格を有するポリアミド樹脂を主成分とする樹脂層を少なくとも1層以上積層されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム。
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