JP5613977B2 - 二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルム - Google Patents
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1.層状化合物を含む無機物が0.3〜20重量%添加され、8層以上に積層され、長手方向に2.5〜5.0倍、幅方向に3.0〜6.0倍延伸して得られる二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであって、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおいて使用されるポリアミド樹脂はナイロン6、ナイロン66、及びメタキシリレンジアミン系ナイロンから選ばれる一種の樹脂であり、平衡吸水率が3.0〜7.0%、かつ、相対湿度40%で保管された原長40mm、幅10mm、変形速度200mm/分の条件でJIS K 7113記載の方法で求められる湿度40%で12時間保管されたサンプルの最大点応力(MPa)と破断伸度(%)の積(X1)と、相対湿度80%で12時間保管されたサンプルの最大点応力(MPa)と破断伸度(%)の積(X2)の比が1.0〜1.5の範囲であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
(ポリアミド樹脂)
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、環状ラクタムの開環重合体、ジアミンとジカルボン酸の縮合物、アミノ酸類の自己縮合物など特に限定されないが、例示すると、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン612、メタキシリレンジアミン系ナイロンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また共重合型ポリアミド樹脂を使用することも可能である。具体的にはメタキシリレンジアミンを共重合したナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I共重合体、ナイロン6/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン11/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン12/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン6/MXD6共重合体などの芳香族系ポリアミド樹脂が挙げられるがその他の成分を共重合したものも使用可能であるが、好ましくはナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン系ナイロンが好ましい。特にメタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂からなる層を少量積層させることでガス透過率を大幅に低減でき、本発明における好ましい例の一つである。
本発明においては、層状化合物を均一に分散させたポリアミド樹脂は、一般にはナノコンポジット・ナイロンと呼ばれている。該層状化合物は均一に分散されており、該層状化合物の厚みが2μmを超える粗大物を含まないことが好ましい。2μmを超える粗大物を含む場合、透明性の低下や延伸性の低下が起こるため好ましくない。
これらの層状化合物は一般的なものが使用できるが、後述のモノマー挿入重合法において好適に使用される有機処理された市販品としては、Southern Clay Products製のCloisite、コープケミカル製ソマシフやルーセンタイト、ホージュン製エスベンなどが挙げられる。
1)層間挿入法:
1)モノマー挿入重合法
2)ポリマー挿入法
3)有機低分子挿入(有機膨潤)混練法
2)In-situ法:In-situフィラー形成法(ゾルーゲル法)
3)超微粒子直接分散法
などが挙げられる。市販の材料としては、Nanopolymer Composite Corp.製のCress Alon NF3040、NF3020、宇部興産製のNCH 1015C2、Nanocor製Imperm103、Imperm105などが挙げられる。ポリアミド樹脂中に含まれる層状化合物の粗大物の発生を抑制するために層状化合物の分散性を高めることを目的に各種の有機処理剤で層状化合物は処理されることが好ましいが、溶融成形時の処理剤の熱分解による悪影響を避けるために、熱安定性の良い低分子化合物の使用や低分子の化合物を使用しないモノマー挿入重合法などの方法を用いて得られたものが好ましい。熱安定性については、処理を行った層状化合物の5%重量減少温度が150℃以上の化合物が好ましい。測定にはTGAなどが使用できる。熱安定性の低いものでは、フィルム中に気泡が発生したり、着色の原因となったりするため好ましくない(挑戦するナノテク材料 用途展開の広がるポリマーナノコンポジット、発行:住ベ・筒中テクノ(株)ご参照)。
本発明における層状化合物を含有する樹脂の延伸において、一般的に経済的な面で利点のある逐次二軸延伸を用いて延伸する際の問題については、(1)縦方向(以下MDと略)の延伸において、延伸時の熱で結晶化が進み、一軸延伸後に横方向(以下TDと略)の延伸性が失われてしまう、(2)TD延伸時に破断が起こる、(3)TD延伸後の熱固定時に破断が起こる、の3点が挙げられるが、(1)については、TD延伸が可能なMD延伸条件とTD延伸が不可なMD延伸条件を整理したところ、MD延伸後の一軸延伸シートの幅方向の屈折率(Y軸方向の屈折率、以下Nyと略)に違いがあることがわかった。具体的にはTD延伸可能な一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyが小さくなっているのに対して、TD延伸ができない(すなわちTD延伸時に白化する、または破断してしまう)一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyの変化が小さいあるいは変化が見られないことがわかった。通常のポリアミド樹脂の延伸においては、MD延伸後のNyはMD延伸時に幅方向にネックインが起こると同時にNyが小さくなるが、層状化合物が添加されている場合にはネックインは起こるがその層状化合物とポリアミド樹脂分子との相互作用でNyが小さくなりにくい傾向があることがわかった。これは、延伸前のフィルムの分子鎖はMD、TD方向にランダムに向いているため、MD延伸で分子鎖がMD方向に引き延ばされる際にはTD方向への力も発生するが、通常のポリアミド樹脂の延伸ではTD方向にネックインすることでTD方向にもかかる力を逃がすことができる一方、層状化合物を含有するポリアミド樹脂の場合には、分子鎖が層状化合物に拘束されているためにTD方向の力を逃がすことができずに、あたかもTD方向にも分子鎖が引き延ばされた様な状態になってしまうためや、MD延伸の際に層状化合物が回転し、それによりMD方向以外の方向にも分子が引っ張られるためと考えられた。すなわち一軸延伸後に面配向が既に高い状態にある。このため、続いて行うTD延伸時の延伸応力が高くなり破断してしまうものと考えられた。
本発明の二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは、全総数が8層以上の未延伸ポリアミド樹脂多層シートを延伸して得られるものである。本発明において、層数は8層以上であることが好ましく、更に好ましくは16層以上である。8層未満では厚み方向の絡み合い密度低下の効果が小さく、ボイル歪み低減に対して効果が小さいため好ましくない。また層数の条件は10000層以下が好ましく、5000層がより好ましい。10000層を超えると熱固定後の熱収縮率が小さくならず好ましくない。
本発明において前述のポリアミド樹脂を多層化する際に、一般に採られる異種の樹脂を積層する以外に、同種の樹脂を積層することも可能である。ここで、同種の樹脂を後述の方法で多層化することに物理的な意味を見出すことが一見したところ難しいかもしれないが、実際の系において、同種の樹脂を同一の温度において溶融押出し積層した場合においても層の界面は消えずに延伸後においても存在する。これは射出成型品のウエルドラインを消すことが非常に難しいことと同義である。このように同種の樹脂であっても多層状態が維持され、厚み方向での分子の絡み合いを低く抑えることを維持できる。同種の樹脂を溶融押出し積層した際の層の界面の存在を確認する方法としては、サンプルを氷や液体窒素で冷却後、カミソリなどで切り出し断面を作製後、それをアセトンなどの溶剤に浸漬後に断面を顕微鏡で観察する方法などで観察できる。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムはTダイより溶融押出しした未延伸のシートを逐次二軸延伸、同時二軸延伸により延伸できるほか、チューブラー方式など方法が使用可能であるが、十分な配向を行わせるためには、二軸延伸機による方法が好ましい。特性と経済性などの面からみて好ましい方法は、ロール式延伸機で縦方法に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)が挙げられる。また、MD延伸については、ボーイングを低減するためにMD延伸の際にMD配向を小さくするほうが好ましいことから、MD多段階延伸を使用することが好ましい。
熱固定温度が150℃未満の低温の場合は、フィルムの熱による熱固定の効果が小さく不適切である。一方、250℃を超える高温では、ポリアミドの熱結晶化に起因する白化による外観不良および機械的強度の低下を引き起こし不適切である。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムの平衡吸水率は3.0〜7.0%の範囲にあることが好ましい。平衡吸水率は層状化合物を含まないポリアミド樹脂フィルムよりも高くなるが、これは層状化合物の吸水性が高いことによるためである。平衡吸水率は層状化合物添加量により変化するが、その他にも延伸条件によっても変化し、面配向の上昇とともに小さくなる傾向があることから、最終的なフィルムの平衡吸水率は層状化合物添加量と延伸条件によって決定される。平衡吸水率が3.0%未満では高湿度下での伸度が低下するため好ましくない。また平衡吸水率が7%を超えると、乾燥時に水が揮発し加工時に吸水による問題が発生するため好ましくない。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは、相対湿度40%で保管された原長40mm、幅10mm、変形速度200mm/分の条件でJIS K 7113記載の方法で求められる湿度40%で12時間保管されたサンプルの最大点応力(MPa)と破断伸度(%)の積(X1)と、相対湿度80%での積(X2)の比が1.0〜1.5の範囲にあることが好ましい。
フィルムの強靭さとは、応力−歪み曲線の下側の面積を計算することで求まるとされている。通常のナイロンフィルムは、高湿度下では伸度、最大点応力ともに高く、非常に延性の高いフィルムである反面、低湿度では最大点応力、伸度ともに低く、湿度の影響を考慮してフィルムの力学特性を設計することは実際においては不可能である。
これに対し、層状化合物が面内に配向したフィルムは、通常のナイロンフィルムと比較して、高湿度下においてはほとんど特性を変化させることなく、低湿度下における最大点応力を高める効果があることを見出し、本発明に至った。この原因については吸湿性の高い材料を含有することで低湿度下では力学的な補強を、高湿度下ではその吸湿性により、適度な分子鎖の運動性を付与することで伸度の低下などを抑制することが可能であるためと推定される。
本発明におけるポリアミド樹脂フィルムのヘイズは1.0〜20%の範囲にあることが好ましい。延伸時のヘイズが1.0%未満では、安定して製造することが困難であり好ましくない。ヘイズが20%を超えると、使用時の内容物などが見えにくくなる以外に、意匠性が低下するため好ましくない。
本発明における二軸延伸フィルムは耐ピンホール性に優れており、23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることが好ましい。耐ピンホール性に対して影響を与えるのは、主に延伸条件であり、その中でも特にTD延伸時の温度を高くしすぎないことが好ましい。TD延伸性が悪い場合には温度を上げる場合があるが、延伸温度を低温結晶化温度を超えて上げすぎると、充分な延伸が出来ないまま部分的に結晶化が進み、微細領域での厚みむらやピンホールが発生しやすくなる。また、得られたフィルムもピンホールが発生しやすくなる。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、平衡吸水率が3.0〜7.0%の範囲にあることが好ましい。一般のポリアミド樹脂の二軸延伸フィルムの平衡吸水率は3%程度である。本発明のフィルムは、それよりも高いことが好ましい。一般的に知られる層状化合物のうちで最もよく利用されているモンモリロナイトやスメクタイトは水溶液の粘度を増加させる増粘剤として一般に利用されている。このことからも想像できるとおり、水をその層間に取り込み、容易に膨潤し、大量の水分を吸収する特性を有している。これらの化合物を樹脂中に添加しただけではそのモンモリロナイトは大量の水分を吸収してしまう。そのため、その樹脂組成物の平衡吸水率は大きな値となり、特性についても湿度依存性の高いものとなってしまう。本発明によれば、層状化合物は面内に高度に配向しており、また、マトリックスのポリアミド樹脂を高倍率の二軸延伸を行い更に配向結晶化することで平衡水分率が3.0%以上になるような添加量であっても特性の湿度依存性は低く抑えることが出来る。平衡吸水率が3.0%未満では層状化合物添加の効果が小さく、7%を超えると湿度依存性が大きく好ましくない。
本発明において、層状化合物を含有する多層フィルムは、層状化合物が面内に配向しているため、バリア性に優れており、15μm換算での酸素透過度が5〜20cc/m2/day/atmの範囲にあることが好ましい。前記酸素透過度の上限値は19cc/m2/day/atm以下が好ましく、18cc/m2/day/atm以下がより好ましい。酸素バリア性はポリアミド樹脂における層状化合物の面内への配向度合いと添加量に依存し、酸素バリア性の面からみた好ましい層状化合物添加量はフィルム全体に対しての0.3〜20%の範囲内であり。0.3%未満ではバリア性の効果が小さく、20%を超えるとバリア性の効果が飽和するため好ましくない。
本発明における二軸延伸多層ポリアミド樹脂フィルムは160℃、10分での熱収縮率が縦方向、横方向いずれも-3.0〜+3.0%の範囲にあることが好ましい。熱収縮率をゼロに近づけるためには、延伸条件や熱固定条件の最適化のほか、層の厚みの最適化を行うことが好ましい。延伸応力低減の改善のためには各層の厚みが小さいほうが有利であるが、層が薄くなりすぎると、熱固定などにより熱収縮率を低減できなくなり、目的とする熱収縮率にあわせて層構成を決定することが好ましいが、熱収縮率と延伸性の両立のためには、延伸前の各層の厚みが1〜30μmの範囲内がより好ましく、更に好ましくは2〜20μmの範囲内である。前記熱収縮率の下限値は-1.0%以上がより好ましく、0.1%以上が更に好ましい。上限値は+3.0%以下が好ましく、1.3%以下が更に好ましい。
本発明における多層フィルムは、25℃、相対湿度35%から25℃、相対湿度85%に変化させた場合の寸法変化が縦および横方向のいずれにおいて0.1〜1.0%の範囲にあることが好ましい。幅方向の熱収縮率や吸湿寸法変化率は、熱固定時の幅方向の弛緩率により若干の調整が可能であるが、縦方向については本質的な問題であり、特に逐次二軸延伸においては、その吸湿寸法変化率を小さくすることは他の特性とのバランス化を考えると非常に困難である。従来のポリアミド樹脂は分子鎖間のアミド基による水素結合が水により切れて寸法変化を起こしやすくなるが指摘されているが、層状化合物を均一に分散させたポリアミド樹脂は、層状化合物と分子鎖中のアミド基との相互作用により、水による影響を低減したものであり、これらを使用することで吸湿寸法変化を抑制することは可能であると推定できるが、従来では適当な延伸方法が存在しなかったことから実際での実現は達成されていなかった。本発明における多層構造としたシートを延伸することにより、高度の吸湿時の寸法安定性の付与が可能となったものである。
JISK7105に準ずる方法で、試料を、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をヘイズとした。
未配向ポリアミド樹脂シートを液体窒素中で凍結し、減圧解凍後にセイコー電子社製DSCを用い、昇温速度20℃/分で測定した。
TAインストルメンツ製TGAを用いて、サンプル量0.1g、窒素気流下、昇温速度20℃/分、500℃まで昇温させた後の重量残渣を求めた。
面配向はアッベ屈折率計を用いて、以下の式により求めた。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz
ここで、Nxは長手方向の屈折率、Nyは幅方向の屈折率、Nzは厚み方向の屈折率をそれぞれ示す。
JIS K 7113に準ずる。フィルムの長手方向および幅方向に幅10mm、長さ100mmの試料を、剃刀を用いて切り出して試料とした。23℃、35%RHの雰囲気下で12時間放置したあと、測定は23℃、35%RHの雰囲気下、チャック間距離40mm、引っ張り速度200mm/分の条件で行い、5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG5000Aを用いた。
96%硫酸溶液 25mlに対し、0.25gのナイロンレジンを溶解し、20℃にて相対粘度を測定した。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、50個の層状化合物を無作為に抽出し、それぞれの傾きを評価した。いずれの層状化合物の傾きのばらつきが角度20度以下におさまる場合、面内配向は○、それ以外は×とした。
フィルムを液体窒素で冷却してから取り出してすぐにフェザー刃でキャストフィルムの幅方向に切り出して断面を得た。この断面を、光学顕微鏡(オリンパス製BX60)を用いて観察し、5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚みとして求めた。全層数は同様の方法により求めた。
上記の方法で層の界面が分かりにくい場合は、以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、各層の界面の間隔より最大厚みを有する層の厚みを測定した。
10cm角のサンプルを60℃で24時間、真空下で乾燥し、その重量(a)を測定した。その後、40℃、90%RHの環境に12時間放置し、重量(b)を測定した。平衡吸水率は以下の式により求めた。
平衡吸水率(%)=(b−a)/a×100
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%)を100℃で一晩真空乾燥させたのち、二台の押出機に同一の樹脂を供給し280℃で溶融し、280℃に加熱した16エレメントのスタティックミキサーを用いて積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に275℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。二台の押出機の吐出量の比率は1:1とした。なお、未延伸シートの厚みは180μm、断面より各層の厚みは約1μmであり、層数は100層以上であった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず45℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度85℃で変形速度4500%/分で3.2倍に縦延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、予熱温度110℃、延伸温度130℃で3.8倍に横延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、幅方向に未延伸の部分を裁断除去して、厚さ18μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
実施例1と同様に表1記載の条件でサンプルを作製した。フィルム特性などを表1に示す。実施例3では6エレメントのスタティックミキサーを用いて多層シートを作製し、比較例4では単層構造のフィードブロックを用いて単層シートを用いてサンプルを作製した。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%)を100℃で一晩真空乾燥させた。次に、単層インフレ製膜機を用いて製膜した。ペレットを押出機に供給し、290℃で溶融した。ついで、280℃に加熱した環状ダイから押出し、空冷しつつ、吐出量、巻取り速度、チューブ径から面積換算での延伸倍率4倍になるよう調節した。チューブの中央部を裁断して厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
Claims (1)
- 層状化合物を含む無機物が0.3〜20重量%添加され、8層以上に積層され、長手方向に2.5〜5.0倍、幅方向に3.0〜6.0倍延伸して得られる二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであって、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおいて使用されるポリアミド樹脂はナイロン6、ナイロン66、及びメタキシリレンジアミン系ナイロンから選ばれる一種の樹脂であり、平衡吸水率が3.0〜7.0%、かつ、相対湿度40%で保管された原長40mm、幅10mm、変形速度200mm/分の条件でJIS K 7113記載の方法で求められる湿度40%で12時間保管されたサンプルの最大点応力(MPa)と破断伸度(%)の積(X1)と、相対湿度80%で12時間保管されたサンプルの最大点応力(MPa)と破断伸度(%)の積(X2)の比が1.0〜1.5の範囲であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
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