JP3634043B2 - ポリアミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミドと特定のフッ素雲母系鉱物からなる、強度、弾性率、寸法安定性、ガスバリヤー性、レトルト耐性、易滑性に優れたポリアミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドフィルムは、力学的性質、寸法安定性、耐熱性、耐油性、耐溶剤性、光学的性質、耐ピンホール性、ガスバリヤー性が優れており、食品、医薬品、雑貨等の包装用途に使用されている。しかしながら、近年、ポリアミドフィルムの用途が拡大し、用途によっては従来の性質では十分とはいえず、各性能の一層の向上が望まれている。
たとえば、ポリアミドフィルムはその強靭性を利用してレトルト食品用の包装材料として用いられているが、高温レトルト処理時( 130℃程度)の寸法安定性に欠け、フィルムが大きく収縮したりして商品価値が低下する場合がある。近年レトルト処理の生産性を向上させるために処理温度を高くして処理時間を短くする傾向にあり、袋体の最表層部に耐熱安定性に優れたポリエステルフィルムを使用し、内層に強靭なポリアミドフィルムを使用したラミネート構造体が使用されているが、製造コストが高くなり問題であった。また、アワビ、サザエ、伊勢海老、カニ等の海産物や米、豆等の穀物の包装体として使用する場合、運搬時の強度が十分といえず、より一層の性能の向上が望まれている。
【0003】
このような問題点を解決する方法として、ポリアミドと層状珪酸塩とからなるフィルムが提案されている(特開平2−105856号公報)が、層状珪酸塩をポリアミド中に均一に分散させるために、予め層状珪酸塩を膨潤化剤と接触させて層間隔を拡げる前処理工程が必要であり、コスト的にも問題があった。また、得られたフィルムの性能においても、突き刺しピンホール耐性やレトルト耐性は満足のゆくものではなかった。
また、ポリアミドと層状珪酸塩とからなる樹脂組成物として、ポリアミドに膨潤性フッ素雲母系鉱物を配合した樹脂組成物が優れた機械的性質や寸法安定性を有することが知られている(特開平6−248176号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、ポリアミドフィルムの優れた性質を損なわずに、強度、弾性率、寸法安定性(乾熱、湿熱時)、ガスバリヤー性、レトルト耐性、突き刺しピンホール耐性、易滑性を向上させた包装袋材料として好適なフイルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミドと膨潤性フッ素雲母系鉱物とからなる延伸ポリアミドフィルムが優れた性能を有することを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)ポリアミド90〜99.99重量%と、膨潤化処理をしていない下記式(1)の構造を有する膨潤性フッ素雲母系鉱物0.01〜10重量%とからなるポリアミド樹脂組成物を主たる原料として用いた、少なくとも1方向に 2 倍以上延伸されたポリアミドフィルム。
αMF・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (1)
ここで、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α,β,γ,aおよびbは各々係数を表し、0.1≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。
(2)ポリアミド樹脂組成物が、膨潤化処理をしていない膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマーを重合して得られたものである上記のポリアミドフィルム。
【0007】
本発明におけるポリアミドの好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610 、ナイロン612 、ナイロン116 、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン 6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))等が挙げられ、2種以上併用してもよいし、これらの共重合体であってもよい。なお、Iはイソフタル酸成分、Tはテレフタル酸成分を表す。
これらのうち、特に好ましいものは、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610 及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドであり、最も好ましいものはナイロン6である。
【0008】
ポリアミドの相対粘度は特に制限されないが、溶媒としてフェノール/テトラクロルエタン=60/40(重量比)の混合物を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた相対粘度が 1.5〜5.0 の範囲のものが好ましい。相対粘度が 1.5未満のものでは、フィルムの機械的性能が低下し、5.0 を超えると製膜性が低下するので好ましくない。
【0009】
本発明で用いられる膨潤性のフッ素雲母系鉱物は次式で示される。
αMF・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (1)
ここで、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α,β,γ,aおよびbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。
【0010】
このようなフッ素雲母系鉱物の製造法としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物と各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物を結晶生長させる、いわゆる溶融法がある。
また、他の方法としては特開平2−149415号公報に開示された方法がある。すなわち、タルクを出発物質として用い、これにアルカリイオンをインターカレーションしてフッ素雲母系鉱物を得る方法である。この方法ではタルクに珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で700 〜1200℃で短時間加熱処理することによってフッ素雲母が得られる。
たとえば、インターカレーション法では、タルクと混合する珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリの量は、混合物の10〜35重量%となるようにすることが好ましく、この範囲を外れると膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成率が低下する。
【0011】
膨潤性のフッ素雲母系鉱物を得るためには、珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリのアルカリ金属はナトリウム又はリチウムとすることが必要である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用してもよい。アルカリ金属のうち、カリウムの場合には膨潤性のフッ素雲母系鉱物が得られないので好ましくないが、ナトリウム又はリチウムと併用し、かつ限定された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。
また、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調節することも可能である。
【0012】
本発明でいう膨潤性とは、フッ素雲母がアミノ酸、ナイロン塩、水分子などの極性分子あるいは陽イオンを層間に吸収することにより、層間距離が拡がり、あるいは更に膨潤へき開して、超微細粒子となる特性である。また本発明で用いる膨潤性フッ素雲母系鉱物は、X線粉末法で測定してC軸方向の層厚みが9〜20Åである。
【0013】
膨潤性フッ素雲母系鉱物の配合量はポリアミド90〜99.99 重量%に対して10〜0.01重量%である。この配合量が0.01重量%未満では本発明の効果が小さく、10重量%を超える場合には靭性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物を製造する方法は公知のいかなる方法も用いることができる。例えば押出機を用いてポリアミドと膨潤性フッ素雲母系鉱物とを溶融混練する方法がある。
しかし、最も好ましい方法は、ポリアミドを形成するモノマーに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を所定量存在させた状態で、モノマ−を重合することによって製造する方法である。この場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に十分細かく分散し,本発明の目的が最も完全に達成される。
【0015】
前記の特開平2−105856号公報に開示されたポリアミドと層状珪酸塩とからなるフィルムにおいては、層状珪酸塩をポリアミド中に均一に分散させるためには、予め層状珪酸塩を膨潤化剤と接触させて層間隔を拡げる前処理工程が必要であるのに対して、本発明においてはそのような膨潤化処理は必要なく、膨潤性フッ素雲母系鉱物の存在下にモノマーを重合するだけで、所望の樹脂組成物が得られる。
【0016】
しかも、特開平2−105856号公報に開示された方法により得られた樹脂組成物を用いて製造したフィルムに比べて、本発明のフィルムは機械的性質や耐レトルト性などの性能において、極めて優れた性能を有することは驚くべきことである。
【0017】
本発明のフィルムの原料として用いるポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤や他の強化材等を添加することも可能である。このような熱安定剤や酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物を挙げることができる。これらの熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤等の添加剤は、一般に溶融混練時あるいは重合時に加えられる。
【0018】
また、フィルムのスリップ性を向上させる目的で、各種無機系ないし有機系滑剤を配合することもできる。これら滑剤の具体例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイド等が挙げられる。
【0019】
本発明のフイルムの原料として用いるポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて必要に応じて他の重合体を配合してもよい。このような重合体としてはポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン及びこれらを無水マレイン酸等により変性したエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等がある。
【0020】
本発明において、未延伸フィルムを製造する方法としては、チューブラー法、Tダイ法等の公知の製造方法を用いることができる。
また本発明の延伸フィルムを得る方法としては、たとえばTダイ法では、樹脂組成物を押出機に投入し、加熱溶融した後、フラット製膜法におけるTダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、冷却ドラムに捲きつけられて未延伸フイルムを製造する。次に、この未延伸フィルムを水分率を 1.3重量%未満に調整し逐次二軸延伸する方法、あるいは、水分率を 1.3〜10重量%の範囲に調整し、同時二軸延伸する方法がある。チューブラー法で延伸する場合には、リング状ダイより押し出した樹脂組成物のチューブを空冷または水冷して未延伸フィルムを得、その水分率を 1.3重量%未満に調整し、チューブ内に空気等を圧入し、同時に二軸に延伸する。
【0021】
また、得られたフィルムの表面には、必要に応じてコロナ放電処理、表面硬化処理、メッキ処理、清浄処理、着色処理、塗装仕上げ処理やコーティング等の物理化学的表面処理を付加してもよい。また本発明のフィルムは単層で用いてもよいし、他の材料と多層にして用いてもよい。
【0022】
【作用】
本発明のフィルムは、膨潤性フッ素雲母系鉱物が核となってフィルム表面に微細突起が形成されているため滑性に優れる。また、膨潤性フッ素雲母系鉱物は、ポリアミド中に超微細に分散するため、本発明のフィルムは膨潤性フッ素雲母系鉱物を比較的高濃度に添加しても透明性が低下しにくく、屈曲耐ピンホール性においても優れた特性を有する。
また、膨潤性フッ素雲母系鉱物は、ポリアミド樹脂に対する結晶核剤効果が大きいため、弾性率、乾熱及び湿熱寸法安定性、ガスバリヤー性、レトルト耐性が向上する。
【0023】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例の評価に用いた原料および測定法は次の通りである。
【0024】
1.原料
(1) フッ素雲母
ボールミルにより平均粒径が2μm となるように粉砕したタルクに対し、平均粒径が同じく2μm の表1に示す珪フッ化物、フッ化物あるいはアルミナを表1に示す割合(重量部)で混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉で1時間 800℃に保持しM−1からM−3のフッ素雲母を合成した。生成したフッ素雲母は、平均粒径 1.8μm であり、また、X線粉末法で測定した結果、M−1からM−3は、原料タルクのC軸方向の厚み9.2 Åに対応するピークが消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成を示す12〜16Åに対応するピークを示した。
【0025】
【表1】
【0026】
(2) スメクタイト:コープケミカル社製 SWN
(3) 非膨潤性雲母:コープケミカル社製 MK−110(式(1)においてMがカリウムであるもの)
(4) モンモリロナイト(山形県産の天然モンモリロナイト)
(5) カオリン(林化成社製)
(6) シリカ(水沢科学社製)
【0027】
2.測定法
(1) ヘイズ(Hz)
透明性を表す指標として、15μm 厚のフィルムのヘイズを東京電色社製ヘイズメーターを使用して、ASTM D 1003−61に準じて測定を行った。
(2) 耐屈曲ピンホール性
20℃、65%RHの条件下で調湿した 20.3mm ×27.9mmの長方形のフィルムをゲルボフレックステスター(理学工学社製)に装着して、8.9mm 直進中に 440°回転し、さらに 6.4mm直進し、その後、逆の行程で元の位置に戻るまでの動きを1回と数えて、10,000回の屈曲テストを行った。
屈曲テスト後のフィルムについて、着色液(三菱瓦斯化学社製エージレスシールチェック)をフィルムの片面に塗布し、液が反対面に浸透した個数をピンホール数として計測した(測定面積は 497mm2 )。
(3) 乾熱収縮率
フィルム長手方向(MD)および巾方向(TD)にそれぞれ標線をいれた短冊試料を切り出し、オーブン内で 160℃で5分間処理し、処理後の標線間寸法を20℃、65%RH平衡状態で測定し、処理による縮み量の処理前寸法に対する百分率で表した。
(4) 引張強伸度
島津製作所社製オートグラフDSS−500 型を使用し、ASTM D 882に準じて測定し、MD、TD方向の平均値で表示した。
(5) 耐ピンホール強度
内径 100mmφの円形型枠に試料フィルムを緊張させて固定し、この試料の中央部に先端が曲率半径 0.5mmの針を50mm/分の速度で試料面に垂直に当てて突き刺し、フィルムが破れる際の強度を測定した。測定は、延伸後捲き取ったフィルムの中央部について実施した。
(6) 静摩擦係数
島津製作所社製オートグラフDSS−500 型を使用し ASTM D 1894に準じて評価した。
(7) 3次元表面粗さ
小坂研究所社製表面粗さ測定器 SE− 3AK型を使用し、JIS B 0601−1976 の方法に準じて触針径2μm R、触針圧10mg、高さ倍率 5,000倍の条件で、SRa 、SRz を測定した。
(8) レトルト耐性
5リットルの圧力容器を使用し、130 ℃の熱水中にフィルムを浸漬し30分処理後の寸法変化と力学特性を評価した。
(9) ガスバリヤー性(酸素透過度)
モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN 100A により、ASTM D−3985−81に準じて23℃、100 %RHの条件で測定した。
【0028】
実施例1〜5
ε−カプロラクタム10kgに対して、2kgの水とM−1、M−2およびM−3をそれぞれ表2に掲げた量を配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、ε−カプロラクタムの重合を行った。
重合反応は次のように行った。すなわち、攪拌しながら 250℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、4kg/ cm2 から15kg/ cm2 の圧力まで昇圧した。その後、2kg/ cm2 の圧力まで放圧し、260 ℃で3時間重合した。
重合の終了した時点で反応缶からポリマーを払い出し、これを切断してペレットとした。
得られたナイロン6ペレットを95℃の熱水で処理して精練を行い、乾燥後、押出機に投入し、260 ℃に加熱溶融した後、フラット製膜法によりTダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、表面温度10℃のドラムに捲きつけて冷却し、厚さ 150μm の未延伸フイルムを調製した。
次に、50℃の温水槽に2分間浸漬した後(吸水率 2.8重量%)、175 ℃で縦方向に3倍、横方向に 3.3倍に同時二軸延伸し、次いで5%の弛緩処理を施し、続いて 210℃で熱処理し、厚さ15μm の延伸フイルムを得た。
得られた延伸フイルムの性能を評価し、その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
比較例1〜6
M−1〜M−3の代わりに、スメクタイト、非膨潤性雲母、モンモリロナイト、カオリンおよびシリカを、それぞれ表3に掲げた量を配合した以外は、実施例1と同様にして、厚さ15μm の延伸フイルムを得た。
得られた延伸フイルムの性能を評価し、その結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】
実施例6
ナイロン66塩10kgに対して、3kgの水とM−1を表4に掲げた量を配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、ナイロン66塩の重合を行った。
重合反応は次のように行った。すなわち、230 ℃で攪拌しながら、内圧が18kg/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ加熱し、その圧力を保持した。280 ℃に達した時点で,常圧まで放圧し、さらに2時間重合を行った。重合が終了した時点でナイロン66を払い出し、これを切断してペレットとした。
得られたナイロン66ペレットを乾燥後、押出機に投入し、280 ℃で加熱溶融した後、フラット製膜法によりTダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、表面温度10℃のドラムに捲きつけて冷却し、厚さ 150μm の未延伸フィルムを調製した。
次に、50℃の温水槽に2分間浸漬した後(吸水率 2.7重量%)、180 ℃で縦方向に3倍、横方向に 3.3倍に同時二軸延伸し、次いで5%の弛緩処理を施し、続いて 220℃で熱処理し、厚さ15μm の延伸フィルムを得た。
得られた延伸フィルムの性能を評価し、その結果を表4に示した。
【0033】
比較例7
M−1の代わりに、スメクタイトを表4に掲げた量を配合した以外は、実施例6と同様にして、厚さ15μm の延伸フィルムを調製した。
得られた延伸フィルムの性能を評価し、その結果を表4に示した。
【0034】
比較例8
M−1を配合しない他は、実施例6と同様にして、厚さ15μm の延伸フィルムを調製した。
得られた延伸フィルムの性能を評価し、その結果を表4に示した。
【0035】
比較例9
特開平2−105856号公報に記載された方法に従ってモンモリロナイトの膨潤化処理を行い、12−アミノドデカン酸アンモニウムイオンとモンモリロナイトとの複合体を得た。
この複合体 180g を配合した他は実施例1と同様にして重合し、ポリアミド樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物中のモンモリロナイトの含有量は 2.0重量%であった。
次に、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして延伸フィルムを製造し、性能を評価した。その結果を表4に掲げた。
【0036】
【表4】
【0037】
比較例10
未延伸フィルムを50℃の温水槽に浸漬する工程を省略する以外は、実施例1〜5と同様にして延伸したが、いずれの場合もフィルムは切断し、安定生産ができなかった。なお、延伸前のフィルムの水分率は、0.08重量%であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、特に、突き刺しピンホール強度やレトルト処理後の機械的性質や耐熱寸法安定性に優れたポリアミドフィルムが提供される。
Claims (6)
- ポリアミド90〜99.99重量%と、膨潤化処理をしていない下記式(1)の構造を有する膨潤性フッ素雲母系鉱物10〜0.01重量%とからなるポリアミド樹脂組成物を主たる原料として用いた、少なくとも1方向に 2 倍以上延伸されたポリアミドフィルム。
αMF・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (1)
ここで、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α,β,γ,aおよびbは各々係数を表し、0.1≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。 - ポリアミド樹脂組成物が膨潤化処理をしていない膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマーを重合して得られたものである請求項1記載のポリアミドフィルム。
- 160℃、5分間の乾熱収縮率が、1.3 %未満である請求項1又は2記載のポリアミドフィルム。
- ポリアミドがナイロン6である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドフィルム。
- ポリアミド90〜99.99重量%と、膨潤化処理をしていない膨潤性フッ素雲母系鉱物10〜0.01重量%とからなるポリアミド樹脂組成物を主たる原料として用いた未延伸フィルムの水分率を 1.3重量%未満に調整した後、チューブラー法又は逐次二軸延伸法で延伸することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドフィルムの製造方法。
- ポリアミド90〜99.99重量%と、膨潤化処理をしていない膨潤性フッ素雲母系鉱物10〜0.01重量%とからなるポリアミド樹脂組成物を主たる原料として用いた未延伸フィルムの水分率を 1.3〜10重量%に調整した後、同時二軸延伸法で延伸することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドフィルムの製造方法。
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