JP5481765B2 - 電池用包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池の外装に供せられる電池用包装材に関し、さらに詳しくは、プレス成形タイプのリチウム電池の外装に供せられる電池用包装材に関するものである。
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)からなるリチウム電池本体およびそれらを包装する外装等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
前記リチウム電池の外装としては、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化、軽量化を図りやすい等の理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層した包装材が用いられるようになってきた。
そして、前記包装材には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記包装材としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための基材層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続されて外部に突設させる金属端子との接着性に優れると共に密封性を確保するための内層で構成される積層体が一般的には用いられる。
外装として包装材を用いたリチウム電池の形態としては、包装材を筒状に加工し、リチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封した袋タイプ(たとえば、特許文献1の図2参照)と包装材を容器状に成形し、この容器内にリチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、平板状の包装材ないし容器状に成形した包装材で被覆すると共に四周縁を熱接着して密封した成形タイプ(たとえば、特許文献1の図3参照)が知られている。
そして、成形タイプの二次電池は袋タイプの二次電池に比べて、リチウム電池本体等をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるために体積エネルギー密度を向上させることができると共にリチウム電池本体等の収納がし易いなどの利点があり、成形タイプが主流となっている。
しかしながら、電池用包装材に用いられるアルミニウム箔は成形性に優れる反面、成形時に生じる不均質変形による応力集中により均質に変形させることができずに、ピンホールやクラックが生じ易いという問題があり、シャープな形状で深く安定して成形するという成形安定性の点において、電池用包装材は改善の余地があるものであった。
本発明者等は、2軸延伸ナイロンフィルムと、少なくとも一方の面に化成処理層を有するアルミニウム箔と、該アルミニウム箔の前記化成処理層を有する面に、酸変性ポリオレフィン樹脂層と、一般的なオレフィン系樹脂層(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂層を意味する)とを順に積層したプレス成形タイプの電池用包装材の製造に携わってきた。そこで、2軸延伸ナイロンフィルムと、アルミニウム箔とを接着剤層を介して積層した積層体について、その成形性と各引張試験データを対比させたところ、少なくとも引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:30mm、引張速度:50mm/分〕における2軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔間の接着強度が5N/15mm巾以上であって、かつ、TD方向またはMD方向のいずれか一方の破断点強度が140N/mm2以上、かつ、MD方向およびTD方向のいずれか一方の破断点伸度が60%以上80%以下となるような条件にて構成することにより、成形時にピンホールやクラックが発生し難く、シャープな形状で深く安定して成形することが可能な成形性に優れる電池用包装材とすることができることを見出した。
そこで本発明者等は、上記したような条件を満たす積層体とするための最大の要因は2軸延伸ナイロンフィルムにあると推測して2軸延伸ナイロンフィルムの物性を種々検討したところ、積層体とした際には2軸延伸ナイロンフィルムの物性が積層体にストレートに反映されないことを発見することにより本発明に至ったものである。すなわち、2軸延伸ナイロンフィルムのTD方向の破断点伸度を一定の範囲内に収めると共にMD方向の破断点伸度をTD方向の破断点伸度よりも伸度が大きくなるようにして、さらに好ましくはMD方向とTD方向の破断点強度をいずれも一定以上の強度となるようにすることにより、
成形性に優れる積層体とすることができるという知見を得て、本発明を完成させたものである。
特開2004−74419号公報
そこで本発明は、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する成形タイプに適用することができるリチウム電池用の電池用包装材であって、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐電解液性等の電池用包材に求められる諸物性を有し、特に成形時にアルミニウム箔のピンホールやクラックの発生し難い成形性に優れた電池用包装材を提供することである。
本発明者等は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、ナイロン6を主成分とする厚さが12〜40μmの2軸延伸ナイロンフィルムと、少なくとも一方の面に化成処理層を有する厚さが20〜100μmのアルミニウム箔の他方の面とを接着剤層を介して積層した積層体の前記アルミニウム箔の前記一方の面に酸変性ポリプロピレンを介して最外層に熱接着性樹脂層を設けたプレス成形タイプの電池用包装材であって、前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上120%以下、かつ、MD方向の破断点伸度がTD方向の破断点伸度よりも大きく、MD方向の破断点伸度の値からTD方向の破断点伸度の値を引いた差分が25%以上であり、前記電池用包装材の120×80mmの短冊片に対し、33×55mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型であって雄型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm、雌型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mmを用い、雄型側に前記短冊片の前記熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に前記短冊片を載置すると共に前記短冊片を0.1MPaの押え圧で押えて、0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを段階的に変えて各段階でそれぞれ10枚ずつの短冊片について冷間成形し、アルミニウム箔にピンホールが10枚の短冊片のいずれにも発生していない成形深さを限界成形深さとして認定する成形性評価方法により、限界成形深さが少なくとも7.0mmを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のプレス成形タイプの電池用包装材において、前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上110%未満であることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載のプレス成形タイプの電池用包装材において、前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるMD方向およびTD方向の破断点強度が、いずれも230N/mm2以上であることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明の電池用容器は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備えた矩形状の凹部を形成したことを特徴とするものである。
また、請求項5記載の本発明の電池用容器は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備えた矩形状の凹部を形成すると共に該フランジ部の一つに連接して前記矩形状の凹部と該凹部の4周縁に設けたフランジ部とを略被覆する大きさの蓋体を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6記載の本発明の電池用容器は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備え、該フランジ部の一つを介して連接する開口部が合致する2つの凹部を形成したことを特徴とするものである。
本発明の電池用包装材は、厚さが12〜40μmの2軸延伸ナイロンフィルムと、少なくとも一方の面に化成処理層を有する厚さが20〜100μmのアルミニウム箔の他方の面とを接着性層を介して積層した積層体の前記アルミニウム箔の前記一方の面に酸変性ポリプロピレンを介して最外層に熱接着性樹脂層を設けた構成とし、前記2軸延伸ナイロンフィルムを引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上120%以下、好ましくは90%以上110%未満、かつ、MD方向の破断点伸度がTD方向の破断点伸度よりも大きく、MD方向の破断点伸度の値からTD方向の破断点伸度の値を引いた差分が25%以上である構成とすることにより、アルミニウム箔を積層した電池用包装材において成形時に生じる不均質変形による応力集中を抑制することができ、均質に変形させることができるので、ピンホールやクラックの発生を防止することができ、成型性に優れるという効果を奏し、さらに前記2軸延伸ナイロンフィルムを引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるMD方向およびTD方向の破断点強度が、いずれも230N/mm2以上となる構成とすることにより、成形時のアルミニウム箔に発生するピンホールやクラックを一層防止することができるために、なお一層成形性に優れるという効果を奏するものである。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかるリチウム電池に用いる電池用包装材の基本的な層構成を図解的に示す図であって、電池用包装材1は2軸延伸ナイロンフィルム21、接着剤層22、化成処理層23、アルミニウム箔24、化成処理層23が順に積層された積層体20からなると共に、該積層体20の表出する前記化成処理層23面に接着層25、熱接着性樹脂層26を順に積層したものである。
前記2軸延伸ナイロンフィルム21としては、ナイロン6を主成分とするナイロンフィルムであって、その厚さは12μm以上、40μm以下、好ましくは25μm以下である。12μm未満では、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に成形時にピンホールやクラックが発生し易く成形不良を起こし易い。また、40μm超の厚さでは、外力に対する前記アルミニウム箔24の保護という点で顕著な効果が認められないのみならず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上120%以下、好ましくは90%以上110%未満、かつ、MD方向の破断点伸度がTD方向の破断点伸度よりも25%以上となるものが成形性に優れる点から好ましい。この理由としては、後述する実施例から明らかなように、2軸延伸ナイロンフィルム自体のMD方向の破断点伸度を大きく設定しておかないと前記積層体20とした際の前記積層体20のMD方向の破断点伸度が大幅に低下し、シャープな形状で深く安定して成形することができなくなるからであり、この原因は明確ではないが、前記接着剤層22がMD方向に配向された層となっているためではないかと推測される。また、上記した2軸延伸ナイロンフィルムは、必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の適宜の易接着処理を施すことができる。なお、本書で記載するMD方向およびTD方向は当業者であれば周知のことであるが、敢えて説明するならば、MD方向はフィルムの長尺方向であり、TD方向はフィルムの幅方向を意味する。
次に、前記アルミニウム箔24について説明する。前記アルミニウム箔24としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜100μmの厚さのものが適当である。厚さが20μm未満ではアルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、100μm超ではアルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上効果が期待できず、逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
また、前記アルミニウム箔24は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、成形時に偏肉のない均一な成形品を得ることができる。鉄分の含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
また、前記アルミニウム箔24は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。
次に、前記化成処理層23について説明する。図1においては、前記化成処理層23を前記アルミニウム箔24の両面に形成したものを示したが、前記化成処理層23は前記アルミニウム箔24の少なくとも前記熱接着性樹脂層26側の面に形成すればよいものである。このように構成することにより、前記アルミニウム箔24と前記接着層25とを強固に接着させてプレス成型時のデラミネーションを防止すると共に電解液、あるいは、電解液の加水分解により発生するフッ酸による前記アルミニウム箔24と前記熱接着性樹脂層26間のデラミネーションを防止することができる。また、前記アルミニウム箔24の両面に前記化成処理層23を形成することにより、前記2軸延伸ナイロンフィルム21と前記アルミニウム箔24とを一層強固に接着させることができ、この層間のプレス成型時のデラミネーション防止に大いに寄与する。前記化成処理層23は、少なくとも前記熱接着性樹脂層26側の面に形成されるものであるが、前記接着層25と強固に接着するという点、また、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にフェノール樹脂としてアミノ化フェノール重合体と3価クロム化合物とリン化合物を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
まず、フェノール樹脂としてのアミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。下記式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(1)〜(4)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
また、下記式(1)、(3)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記(1)ないし(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
Figure 0005481765
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次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層23としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
また、前記化成処理層23の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層23を形成する前記アルミニウム箔24面は、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層23の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
なお、前記2軸延伸ナイロンフィルム21と前記アルミニウム箔24とを貼合する前記接着剤層22としては、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて、ドライラミネーション法で積層すればよいものである。
上記した物性を有する前記2軸延伸ナイロンフィルム21と前記アルミニウム箔24とを前記接着剤層22を介して積層した前記積層体20は、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:30mm、引張速度:50mm/分〕における前記2軸延伸ナイロンフィルム21と前記アルミニウム箔24との接着強度(ラミネート強度)が5N/15mm巾以上になるように構成することにより、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:30mm、引張速度:50mm/分〕におけるTD方向またはMD方向のいずれか一方の破断点強度が140N/mm2以上、かつ、MD方向およびTD方向のいずれか一方の破断点伸度が60%以上80%以下、さらに好ましくはMD方向とTD方向の破断点強度の差が絶対値で10N/mm2以上となるように構成することができ、成形時にピンホールやクラックが発生し難い成形性に優れた電池用包装材とすることができる。なお、本書で記載するMD方向、TD方向は2軸延伸ナイロンフィルムの項で説明したと同様であって、MD方向は積層体20および電池用包装材1の長尺方向であり、TD方向は幅方向を意味する。
次に、前記接着層25について説明する。前記接着層25としては、前記アルミニウム箔24の前記化成処理層23と前記熱接着性樹脂層26とを強固に接着させるために設けるものであり、前記接着層25を形成する樹脂としてその一つを例示するならば、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を挙げることができ、前記接着層25の形成方法としては上記した樹脂をTダイ押出機を用いて前記アルミニウム箔24の前記化成処理層23面に溶融押出しして、熱接着性樹脂層26を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるサンドイッチラミネーション法で積層することにより形成してもよいし、また、上記した樹脂をシート化したフィルムを用いてサーマルラミネーション法で前記アルミニウム箔24の前記化成処理層23面に積層してもよいものである。この場合の前記接着層25の厚さとしては、5〜20μm、好ましくは10〜15μmであり、5μm未満では十分なラミネート強度を得ることができず、20μm超では端面からの水分透過が多くなり、電池としての性能を低下させる虞があるからである。
また、前記接着層25を形成する樹脂として別の一つを例示するならば、たとえば、フッ素系樹脂を挙げることができる。前記フッ素系樹脂としては、水酸基を含有するフッ素含有共重合体と該フッ素含有共重合体と反応する硬化剤とにより形成される層である。前記水酸基を含有するフッ素含有共重合体としては、有機溶剤可溶型で分子中に架橋部位を有するものであり、架橋部位としてはアルコール性水酸基(OH基)などである。このようなフッ素含有共重合体としては、たとえば、(5)式:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるフルオロオレフィン単量体、(6)式:CH2=CR(CH3)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体、(7)式:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2ないし−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体、および、(8)架橋性官能基を有さず、かつ、前記単量体(5)、(6)、(7)と共重合体し得る他の単量体から導かれるフッ素含有共重合体を挙げることができる。
前記フルオロオレフィン単量体としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。また、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体としては、たとえば、イソブチレン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセンなどを上げることができる。また、水酸基含有単量体としては、たとえば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルなどを挙げることができる。また、前記フルオロオレフィン単量体、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体、水酸基含有単量体と共重合体し得る他の単量体としては、たとえば、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル(イソ)酪酸ビニル,カプロン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,キサフルオロプロピオン酸ビニル,リフルオロ酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、マレイン酸ないしフマル酸のジメチル,ジエチル,ジプロピル,ジブチル,ジトリフルオロメチル,ジトリフルオロメチル,ジヘキサフルオロプロピルなどのマレイン酸ないしフマル酸のジエステル、メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,n−プロピルビニルエーテル,iso−ブチルビニルエーテル,tert−ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルなどの芳香族基を有するビニルエーテル類、あるいは、パーフルオロエチルビニルエーテル,パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテル類などの他に、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、スチレンなどを挙げることができる。
前記水酸基を有するフッ素含有共重合体は、(5)〜(8)の単量体を乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することにより得ることができる。前記水酸基を有するフッ素含有共重合体はGPCで測定する数平均分子量が1000〜500000、好ましくは、3000〜100000のものである。
次に、硬化剤について説明する。硬化剤としては、フッ素含有共重合体の水酸基と架橋するものであり、有機ポリイソシアネート化合物が適当であり、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと呼称する)、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと呼称する)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、および、これらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができ、前記フッ素含有共重合体および前記硬化剤は、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解し、前記フッ素含有共重合体中の水酸基(−OH基)1当量に対して0.5〜3.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となるように配合するのが適当である。
なお、前記接着層25を上記したフッ素系樹脂で形成する方法としては、上記した水酸基を含有するフッ素含有共重合体に上記した硬化剤を配合した組成物をグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布方法で塗布・乾燥し、熱接着性樹脂層26を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるドライラミネーション法で積層することにより形成することができる。フッ素系樹脂で前記接着層25を形成することにより、水分透過の少ない層とすることができると共に密封性、耐電解液性、耐腐蝕性等の諸物性において、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて前記接着層25を形成した場合と比べて格段に優れた物性を有する層とすることができる。この場合の前記接着層25の乾燥後の塗布量としては2.0〜5.0g/m2、好ましくは3.0g/m2以上となるように塗布するのが適当である。理由としてはラミネート強度を確保する上から2.0g/m2以上は必要であり、電池とした際の端面からの水分透過およびコストを考慮すると5.0g/m2以下である。
次に、熱接着性樹脂層26を形成する樹脂について説明する。前記熱接着性樹脂層26を形成する樹脂としては、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記熱接着性樹脂層26と金属端子との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等を適宜選択して用いればよいし、また、前記熱接着性樹脂層26を前記接着層25を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等とを前記アルミニウム箔24の前記化成処理層23に共押出して前記接着層25と前記熱接着性樹脂層26を同時に形成してもよいし、予め前記接着層25を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等を共押出しして共押出しフィルムを作製し、これを前記アルミニウム箔24の前記化成処理層23にサーマルラミネーション法で積層して形成してもよいものである。
また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、前記接着層25を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を用いることができ、この場合は前記接着層25を兼ねてもよいものである。前記熱接着性樹脂層26の厚さとしては、10〜100μm、好ましくは30〜50μmであり、10μm未満では熱接着した際に十分な接着強度を得ることができずに密封性に問題が生じる虞があり、100μm超では熱接着して密封する際の密封性に顕著な効果が認められず、また、総厚が厚くなることにより逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が好ましい。
また、プレス成形時に金型に対して前記電池用包装材1が部分的に密着するのを防止して厚みムラ(厚みバラツキ)のない均一なプレス成形品を得る目的(プレス成形時の成形性を向上させる目的)で、前記電池用包装材1の2軸延伸ナイロンフィルム21の表面に、たとえば、流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸、エルカ酸などの脂肪酸系、ステアリルアミド、エルカ酸アマイドなどの脂肪酸アミド系、金属石鹸、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤を適当な溶媒で溶液化するなどの塗布可能な状態にして、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、パターン状に形成する場合にはグラビア印刷法等の周知の塗布法で滑剤層を形成してもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)して両面に化成処理層を有するアルミニウム箔(50μm厚さ)の一方の面と、表1に示す物性を有する25μm厚さの2軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONと呼称する)とを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して積層し、表1に示す物性を有するON(No.1〜5)に対応する積層体1〜5を作製した。また、積層体1〜5の破断点強度(単位:N/mm2)、破断点伸度(単位:%)、および、ONとアルミニウム箔間の接着強度(N/15mm巾)を表2に纏めて示した。
Figure 0005481765
Figure 0005481765
上記で作製した積層体1〜5について、アルミニウム箔の他方の面に、酸変性ポリプロピレン樹脂〔不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリプロピレン(以下、PPaと呼称する)〕とポリプロピレン〔ランダムコポリマー(以下、PPと呼称する)〕とを共押出しした2層共押出しフィルム〔PPa15μm/PP30μm〕をPPa面がアルミニウム箔側に位置するようにすると共に化成処理層面が120℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で積層すると共にこの積層体を180℃となるように後加熱して積層体1〜5に対応する電池用包装材1〜5を作製した。電池用包装材1〜5の構成はいずれも、ON25μm/接着剤層/化成処理層/アルミニウム箔40μm/化成処理層/PPa15μm/PP30μmである。
上記で作製した電池用包装材1〜5について成形性、耐電解液性、水蒸気バリアー性を下記評価方法で評価して、その結果を表3に纏めて示した。
Figure 0005481765
※1:成形性評価方法
電池用包装材を裁断して120×80mmの短冊片を作製し、33×55mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型(雄型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm、雌型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm)を用い、雄型側に熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に短冊片を載置すると共に短冊片を0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて各10枚のサンプルについて冷間成形(引き込み1段成形)し、アルミニウム箔にピンホールが10枚のサンプルのいずれにも発生していない成形深さを限界成形深さとし、その成形深さを評価値として示した。なお、ピンホールの確認は透過光を目視で確認した。
※2:耐電解液性評価方法
電解液〔6フッ化リン酸リチウムを混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)に溶解し、1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの〕に25mm(TD方向)×75mm(MD方向)角の電池用包装材を浸漬し、これを85℃にて500時間保存して後に、アルミニウム箔とこれより内側の層との間で剥離し、これを15mm幅に切断したものを島津製オートグラフ(タイプ:AGS−50D)の引張り試験機で50mm/分の速度で引張り、層間強度を測定し、5つのサンプルの平均値を示した。なお、層間強度はN/15mm幅であらわした。
※3:水蒸気バリアー性評価方法
電池用包装材を裁断して100×100mmの短冊片を作製し、該短冊片を二つ折りして短辺側の一方を10mm巾に、長辺側を3mm巾にヒートシールして他方の短辺側が開口した100×50mmの外寸からなる袋を作製すると共に、ドライルーム(露点−50℃)中において前記袋に3gの溶媒〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を注入し、開口部を10mm巾でヒートシールした水蒸気バリアー性評価サンプルを作製した。この水蒸気バリアー性評価サンプルを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に500時間保存し、サンプル内部の水分の増加量をカールフィッシャー法で測定した。なお、短辺側のヒートシール条件は190℃、2.0MPa、3.0秒であり、長辺側のヒートシール条件は190℃、1.0MPa、3.0秒で行なった。単位は500時間当たりの水分透過量(ppm)である。
表1からも明らかように、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上120%以下、好ましくは90%以上110%未満で、かつ、MD方向の破断点伸度がTD方向の破断点伸度よりも25%以上大きい2軸延伸ナイロンフィルム、さらに好ましくは引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるMD方向およびTD方向の破断点強度がいずれも230N/mm2以上の2軸延伸ナイロンフィルムを用いて、表2に示すように引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:30mm、引張速度:50mm/分〕における2軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔間の接着強度が5N/15mm巾以上となるように構成した積層体は、MD方向またはTD方向のいずれか一方の破断点強度が140N/mm2以上で、かつ、MD方向およびTD方向のいずれか一方の破断点伸度が60%以上80%以下の積層体(ON25μm/接着剤層/化成処理層/アルミニウム箔50μm/化成処理層)とすることができ、成形性に優れる電池用包装材とすることができた。すなわち、表3からも明らかなように、電池用包装材1〜3は、電池用包装材4、5に比べて成形性に優れるものとすることができた。また、電池用包装材1〜5はいずれも耐電解液性、水蒸気バリアー性に優れるものである。
本発明にかかるリチウム電池に用いる電池用包装材の基本的な層構成を図解的に示す図である。
符号の説明
1 電池用包装材
20 積層体
21 2軸延伸ナイロンフィルム
22 接着剤層
23 化成処理層
24 アルミニウム箔
25 接着層
26 熱接着性樹脂層

Claims (6)

  1. ナイロン6を主成分とする厚さが12〜40μmの2軸延伸ナイロンフィルムと、少なくとも一方の面に化成処理層を有する厚さが20〜100μmのアルミニウム箔の他方の面とを接着剤層を介して積層した積層体の前記アルミニウム箔の前記一方の面に酸変性ポリプロピレンを介して最外層に熱接着性樹脂層を設けたプレス成形タイプの電池用包装材であって、前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上120%以下、かつ、MD方向の破断点伸度がTD方向の破断点伸度よりも大きく、MD方向の破断点伸度の値からTD方向の破断点伸度の値を引いた差分が25%以上であり、前記電池用包装材の120×80mmの短冊片に対し、33×55mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型であって雄型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm、雌型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mmを用い、雄型側に前記短冊片の前記熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に前記短冊片を載置すると共に前記短冊片を0.1MPaの押え圧で押えて、0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを段階的に変えて各段階でそれぞれ10枚ずつの短冊片について冷間成形し、アルミニウム箔にピンホールが10枚の短冊片のいずれにも発生していない成形深さを限界成形深さとして認定する成形性評価方法により、限界成形深さが少なくとも7.0mmを備えていることを特徴とするプレス成形タイプの電池用包装材。
  2. 前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるTD方向の破断点伸度が90%以上110%未満であることを特徴とする請求項1記載のプレス成形タイプの電池用包装材。
  3. 前記2軸延伸ナイロンフィルムは、引張試験〔試験片の幅:15mm、標点間距離:100mm、引張速度:500mm/分〕におけるMD方向およびTD方向の破断点強度が、いずれも230N/mm2以上であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のプレス成形タイプの電池用包装材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備えた矩形状の凹部を形成したことを特徴とする電池用容器。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備えた矩形状の凹部を形成すると共に該フランジ部の一つに連接して前記矩形状の凹部と該凹部の4周縁に設けたフランジ部とを略被覆する大きさの蓋体を備えたことを特徴とする電池用容器。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材を用いて、プレス成形により前記熱接着性樹脂層が内面に位置するように4周縁にフランジ部を備え、該フランジ部の一つを介して連接する開口部が合致する2つの凹部を形成したことを特徴とする電池用容器。
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