JP5130611B2 - 電池用包装容器およびこれを用いた電池 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池に代表されるような電池性能の低下等をもたらす水分の影響を防止する水蒸気バリアー性に優れた外装体として使用される電池用包装容器およびこれを用いた電池に関するものである。
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅)からなる電池要素およびこの電池要素を包装する外装体等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
前記リチウム電池の外装体としては、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化、軽量化を図り易い等の理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層した包装材からなる外装体が用いられるようになってきた。
そして、前記包装材には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記包装材としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための基材層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、金属端子との接着性に優れると共に密封性を確保するための内層で構成される積層体が一般的には用いられる。
外装体として包装材を用いたリチウム電池の形態としては、包装材を筒状に加工し、電池要素および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封した袋タイプ(たとえば、特許文献1参照)と包装材を容器状に成形し、この容器内に電池要素および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、平板状の包装材ないし容器状の成形した包装材で被覆すると共に四周縁を熱接着して密封した成形タイプ(たとえば、特許文献2参照)が知られている。
そして、特許文献1に記載された袋タイプからなる二次電池に比べて特許文献2に記載された成形タイプの二次電池は、電池要素等をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるために、体積エネルギー密度を向上させることができるという利点があると共に電池要素等の収納がし易いなどの利点があり、成形タイプが主流となっている。
上記したいずれのタイプも、電池要素を包装材で密封する際に、電池要素の正極および負極の各々に接続された金属端子を外部に突出させると共に包装材で前記金属端子を挟持した状態で熱接着することにより密封する必要がある。このために、前記包装材の内層を金属と良好な接着性を有する熱接着性樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂を用いて熱接着して密封する、あるいは、前記内層を金属との接着性に劣る一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂)を用い、金属と良好な接着性を有する上記した酸変性オレフィン樹脂からなる金属端子部密封用接着性フィルムを前記金属端子と前記内層との間に介在させて熱接着して密封する方法が一般的に採られている。
いずれの密封方法を採るにしても、包装材のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層とこれより内側の内層とは、電池とした際の端面からの水分透過量を可能な限り抑える意味から、ポリエステル系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて行うドライラミネーション法(たとえば、特許文献3参照)による積層方法を採用することなく、サーマルラミネーション法(たとえば、特許文献4参照)による積層方法が通常は採用されている。この理由としては、接着剤層から水分が透過し、電解液(6フッ化リン酸リチウム溶液)と反応してフッ酸を生成し、これがアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と内層との接着を低下させて剥離を生じさせ、電池寿命を短いものにするからである。しかしながら、ドライラミネーション法による積層方法は、サーマルラミネーション法による積層方法に比べて生産性に優れるために、水分透過量の少ないドライラミネーション用接着剤の開発も精力的に行われている。
しかしながら、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどのモバイル品と異なり高容量、高出力が求められる自動車用バッテリーには、外装体として包装材を用いたリチウム電池は採用されていないのが実情である。この理由としては、自動車用バッテリーはモバイル品に比べて、使用される環境が厳しい上に耐用年数が長く、一層の耐久性と安全性等の性能が求められるからである。
上記性能を考慮した提案がなされている(たとえば、特許文献5参照)。特許文献5に開示された技術は、包装材をインモールド成形法でプラスチック成形品に貼り合わせるものであるが、たとえば、特許文献5の図3に示された包装容器をインモールド成形法で成形する場合には、射出成形時に包装材も同時に成形して成形容器の外面に貼着するものであり、アルミニウム箔を層構成中に有する包装材においては成形すること自体に無理があると共に、
(1)成形容器の稜線部分、
(2)成形容器の壁面とフランジ部の境界、
(3)3つの稜線の角部
等々に皺や浮きが発生するという問題があり、通常は、特許文献5の図4、5に示されているように、特許文献5の図3の包装容器をインモールド成形法で成形する場合には、上記した部分は包装材が存在しない状態の包装材(上記した部分を切除した展開形状の包装材)を用いてインモールド成形されるものである。そのために、上記した(1)、(2)、(3)の部分は、包装材で被覆されないために、この部分の水蒸気バイヤー性が好ましいものではなく、リチウム電池の外装体としては問題のある包装容器であるし、また、特許文献5の図3に示されている包装容器は、包装材が成形容器の外面に貼着されているものであり、成形容器のフランジ部15においては成形容器の樹脂そのものが端面に露出しているために、この部分からの水蒸気バリアー性において上記と同様に好ましいものではなく、リチウム電池の外装体としては問題のある包装容器である。
特開平9−213285号公報 特開2001−229888号公報 特公平7−19589号公報 特公平4−58146号公報 特開2005−41500号公報
そこで本発明は、電池外装体として求められる密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性等の諸物性に優れた電池用包装容器であって、特に水蒸気バリアー性や衝撃等の外部からの力に対しても十分な強度を確保することができる電池用包装容器およびこれを用いた電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明の電池用包装容器は、少なくとも熱接着性樹脂層と、接着層と、2軸延伸フィルムで構成した基材層と、接着層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材をプレス成形して周縁にフランジ部を有する成形容器となし、これにインサート成形法にて前記包装材の前記基材層に対して金属箔層が存在する側の前記熱接着性樹脂層が凹部側となるように射出成形して前記成形容器の凸部側の外表面に射出成形樹脂層を形成したことを特徴とするものである。
また、請求項2記載の本発明の電池は、請求項1記載の電池用包装容器において、前記容器内に少なくとも正極および負極を備えた電池要素を収納すると共に、前記正極および負極の各々に接続された金属端子を前記包装容器の前記フランジ部から外側に突出させ、開口部を蓋体で被覆すると共にフランジ部で熱接着して密封したことを特徴とするものである。
また、請求項3記載の本発明は請求項2記載の電池において、前記蓋体が、少なくとも2軸延伸フィルムで構成した基材層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材からなることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明は、請求項2記載の電池において、前記蓋体が、請求項1記載の電池用包装容器であることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の本発明は、請求項2記載の電池において、前記蓋体が、少なくとも熱接着性樹脂層と、接着層と、2軸延伸フィルムで構成した基材層と、接着層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材をインサート成形法にて射出成形して、前記包装材の前記金属箔層に対して基材層側の前記熱接着性樹脂層面に射出成形樹脂層を形成したものであることを特徴とするものである。
本発明の電池用包装容器およびこれを用いた電池は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成とすることにより、水蒸気バリアー性に優れると共に衝撃等の外部からの力に対しても十分な強度を有し、耐久性と安全性の向上が図れるという顕著な効果を奏するものである。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかるリチウム電池用包装容器に用いる包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図、図2は本発明にかかるリチウム電池用包装容器に用いる包装材の層構成の他の実施例を図解的に示す図、図3は本発明にかかるリチウム電池用包装容器であって、(a)は一実施例を図解的に示す断面図、(b)は他の実施例を図解的に示す断面図、図4は本発明のリチウム電池に用いる蓋体の一実施例を図解的に示す層構成図、図5は本発明にかかるリチウム電池の一実施例を概略的に示す断面図、図6は本発明にかかるリチウム電池用包装容器のさらに他の実施例を図解的に示す断面図、図7は本発明にかかるリチウム電池用包装容器のさらにまた他の実施例を図解的に示す断面図であり、図中の1,1’は包装材、2,2’,2”,2’’’は包装容器、3は蓋体、10,60は熱接着性樹脂層、20,21,22,50は接着層、30は化成処理層、40は金属箔層、70は基材層、Aは射出成形樹脂層、Dはリチウム電池、Tは金属端子、αはフランジ部をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかるリチウム電池用包装容器に用いる包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図であって、包装材1は熱接着性樹脂層10と、接着層20と、化成処理層30と、金属箔層40と、化成処理層30と、接着層50と、熱接着性樹脂層60とが順に積層されたものである。なお、以後の説明において、前記熱接着性樹脂層60を内層、すなわち、プレス成形(冷間成形)した際に凹部側の面を形成する層、前記熱接着性樹脂層10を外層、すなわち、プレス成形(冷間成形)した際に凸部側の面を形成する層として説明する。
最初に、前記金属箔層40について説明する。前記金属箔層40としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、これを満足する金属箔であれば特に限定するものではないが、軽量であって、成形性(プレス成形性)に優れるなどを考慮するとアルミニウム箔が好ましく、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜200μm厚さのものが適当である。20μm未満の厚さの場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、200μm超の厚さの場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、加工適性においても劣り、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
また、前記アルミニウム箔は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、成形時に偏肉のない均一な成形品を得ることができる。鉄分の含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
また、前記アルミニウム箔は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。
次に、前記化成処理層30について説明する。図1においては、前記化成処理層30を前記金属箔層40としてのアルミニウム箔(以後、金属箔層40をアルミニウム箔40と置き換えて説明する)の両面に形成したものを示したが、前記化成処理層30は前記アルミニウム箔40の少なくとも内層となる前記熱接着性樹脂層60側の面に形成すればよいものであるが、図1のように前記アルミニウム箔40の両面に形成する方が好ましい。このように構成することにより、前記アルミニウム箔40と前記接着層20および50とを強固に接着させてプレス成型(冷間成形)時のデラミネーションを防止すると共に電解液、あるいは、電解液の加水分解により発生するフッ酸による前記アルミニウム箔40と前記熱接着性樹脂層60間のデラミネーションを防止することができる。また、前記アルミニウム箔40の両面に前記化成処理層30を形成することにより、外層となる前記熱接着性樹脂層10と前記アルミニウム箔40とを一層強固に接着させることができ、この層間のプレス成型(冷間成形)時のデラミネーション防止に大いに寄与する。また、前記化成処理層30は、少なくとも内層となる前記熱接着性樹脂層60側の面に形成されるものであるが、前記接着層50と強固に接着するという点、また、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にフェノール樹脂としてアミノ化フェノール重合体と3価クロム化合物とリン化合物を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
まず、フェノール樹脂としてのアミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。下記式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(1)〜(4)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
また、下記式(1)、(3)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記(1)ないし(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
Figure 0005130611
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次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層23としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
また、前記化成処理層30の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層30を形成する前記アルミニウム箔40面は、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層30の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
次に、前記接着層20、50について説明する。前記接着層20、50としては、前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30と後述する前記熱接着性樹脂層10、60とを強固に接着させるために設けるものであり、前記接着層20、50を形成する樹脂としてその一つを例示するならば、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を挙げることができ、前記接着層20、50の形成方法としては上記した樹脂をTダイ押出機を用いて前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30面に溶融押出しして、後述する前記熱接着性樹脂層10、60を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるサンドイッチラミネーション法で積層することにより形成してもよいし、また、上記した樹脂をシート化したフィルムを用いてサーマルラミネーション法で前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30面に積層してもよいものである。この場合の前記接着層20、50の厚さとしては、5〜20μm、好ましくは10〜15μmであり、5μm未満では十分なラミネート強度を得ることができず、20μm超では端面からの水分透過が多くなり、電池としての性能を低下させる虞があるからである。
また、前記接着層20、50を形成する樹脂として別の一つを例示するならば、たとえば、フッ素系樹脂を挙げることができる。前記フッ素系樹脂としては、水酸基を含有するフッ素含有共重合体と該フッ素含有共重合体と反応する硬化剤とにより形成される層である。前記水酸基を含有するフッ素含有共重合体としては、有機溶剤可溶型で分子中に架橋部位を有するものであり、架橋部位としてはアルコール性水酸基(OH基)などである。このようなフッ素含有共重合体としては、たとえば、(5)式:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるフルオロオレフィン単量体、(6)式:CH2=CR(CH3)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体、(7)式:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2ないし−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体、および、(8)架橋性官能基を有さず、かつ、前記単量体(5)、(6)、(7)と共重合体し得る他の単量体から導かれるフッ素含有共重合体を挙げることができる。
前記フルオロオレフィン単量体としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。また、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体としては、たとえば、イソブチレン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセンなどを上げることができる。また、水酸基含有単量体としては、たとえば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルなどを挙げることができる。また、前記フルオロオレフィン単量体、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体、水酸基含有単量体と共重合体し得る他の単量体としては、たとえば、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル(イソ)酪酸ビニル,カプロン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,キサフルオロプロピオン酸ビニル,リフルオロ酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、マレイン酸ないしフマル酸のジメチル,ジエチル,ジプロピル,ジブチル,ジトリフルオロメチル,ジトリフルオロメチル,ジヘキサフルオロプロピルなどのマレイン酸ないしフマル酸のジエステル、メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,n−プロピルビニルエーテル,iso−ブチルビニルエーテル,tert−ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルなどの芳香族基を有するビニルエーテル類、あるいは、パーフルオロエチルビニルエーテル,パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテル類などの他に、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、スチレンなどを挙げることができる。
前記水酸基を有するフッ素含有共重合体は、(5)〜(8)の単量体を乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することにより得ることができる。前記水酸基を有するフッ素含有共重合体はGPCで測定する数平均分子量が1000〜500000、好ましくは、3000〜100000のものである。
次に、硬化剤について説明する。硬化剤としては、フッ素含有共重合体の水酸基と架橋するものであり、有機ポリイソシアネート化合物が適当であり、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと呼称する)、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと呼称する)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、および、これらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができ、前記フッ素含有共重合体および前記硬化剤は、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解し、前記フッ素含有共重合体中の水酸基(−OH基)1当量に対して0.5〜3.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となるように配合するのが適当である。
なお、前記接着層20、50を上記したフッ素系樹脂で形成する方法としては、上記した水酸基を含有するフッ素含有共重合体に上記した硬化剤を配合した組成物をグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布方法で塗布・乾燥し、熱接着性樹脂層10、60を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるドライラミネーション法で積層することにより形成することができる。フッ素系樹脂で前記接着層20、50を形成することにより、水分透過の少ない層とすることができると共に密封性、耐電解液性、耐腐蝕性等の諸物性において、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて前記接着層20、50を形成した場合と比べて格段に優れた物性を有する層とすることができる。この場合の前記接着層20、50の乾燥後の塗布量としては2.0〜5.0g/m2、好ましくは3.0g/m2以上となるように塗布するのが適当である。理由としてはラミネート強度を確保する上から2.0g/m2以上は必要であり、電池とした際の端面からの水分透過およびコストを考慮すると5.0g/m2以下である。なお、前記アルミニウム箔40よりも外層側の接着層20はポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤であってもよいものであるし、また、前記接着層20を設けることなく前記熱接着性樹脂層10をサーマルラミネーション法で前記アルミニウム箔40に直に積層してもよいものである。
次に、前記熱接着性樹脂層10、60を形成する樹脂について説明する。前記熱接着性樹脂層10、60を形成する樹脂としては、リチウム電池の電池要素の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記熱接着性樹脂層10、60と金属端子との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等の一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂)を適宜選択して用いればよいのであって、これらの一般的なオレフィン系樹脂をフィルム化して、上記したドライラミネーション法やサーマルラミネーション法で積層すればよいし、また、前記熱接着性樹脂層10、60を前記接着層20、50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等とを前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30に共押出して前記接着層20、50と前記熱接着性樹脂層10、60を同時に形成してもよいし、予め前記接着層20、50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等を共押出しして共押出しフィルムを作製し、これを前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30にサーマルラミネーション法で積層して形成してもよいものである。
また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、前記接着層20、50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を用いることができ、この場合は前記接着層20、50を兼ねてもよいものである。前記熱接着性樹脂層10、60の厚さとしては、10〜100μm、好ましくは30〜50μmであり、10μm未満では熱接着した際に十分な接着強度を得ることができずに密封性に問題が生じる虞があり、100μm超では熱接着して密封する際の密封性に顕著な効果が認められず、また、総厚が厚くなることにより逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が好ましい。なお、前記熱接着性樹脂層10、60をフィルムで構成する場合には、必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。なお、前記前記熱接着性樹脂層10、60は同じオレフィン系樹脂であってもよいし、異なるオレフィン系樹脂であってもよいものである。
また、前記アルミニウム箔40は成形性に優れる反面、成形時に生じる不均質変形による応力集中により均質に変形させることができずに、ピンホールやクラックが生じ易いという問題があり、シャープな形状で深く安定して成形するという成形安定性の点において、外側の前記熱接着性樹脂層10と前記接着層20との間に基材層を用いてもよいものである。基材層としては、2軸方向に延伸したフィルムが特に好ましく、たとえば、2軸延伸ナイロンフィルムや2軸延伸ポリエステルフィルム、あるいは、これらの積層体であり、基材層の厚さとしては単層であれ、複層であれ、6μm以上30μm以下が適当である。また、基材層は必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。このような基材層を設けた包装材1’の構成を例示するならば、図2に示すように、(外層)熱接着性樹脂層10/接着層21/基材層70/接着層22/化成処理層30/アルミニウム箔40/化成処理層30/接着層50/熱接着性樹脂層60(内層)を挙げることができ、この場合の接着層21、22としては、上記で説明したフッ素系樹脂を用いて形成するのが好ましいが、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤であってもよいものである。注釈を加えないその他の符号は、図1で示したものと同じ意味で用いている。
上記した包装材1、1’を、矩形状の雄型とこの雄型とクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型(雄型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm、雌型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm)を用い、雄型側に前記熱接着性樹脂層60側が位置するように雌型上に載置すると共に上記した包装材1、1’を0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、所定の成形深さに冷間成形(引き込み1段成形)して周縁にフランジ部αを有する成形容器を作製し、これを射出成形金型のキャビティー内に配置し、キャビティー内に前記熱接着性樹脂層10と同じタイプの溶融樹脂を射出して成形(いわゆる、インサート成形)し、図3(a)、(b)に示すように包装材1、1’からなる成形容器の外表面に射出成形樹脂層Aを一体的に形成した包装容器2、2’を容易に作製することができる。前記包装容器2、2’は成形容器と射出成形樹脂層Aとの間で皺や浮き等が全くない美麗な容器を得ることができる。なお、いずれの包装容器2、2’も凹部側の表面(内側の表面)が前記熱接着性樹脂層60である。
射出成形に用いる樹脂としては、少なくとも前記熱接着性樹脂層10側に位置する樹脂が前記熱接着性樹脂層10と相互に溶融して接着し得る樹脂であればよいのであって、射出成形により形成する樹脂層が単層であれば、前記熱接着性樹脂層10と相互に溶融し得る樹脂を用いればよく、また、複層であれば、前記熱接着性樹脂層10側に位置する樹脂が前記熱接着性樹脂層10と相互に溶融し得る樹脂を用いて2種以上を共押出しすればよく、共押出し層を形成する他の樹脂としては、環状ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、あるいは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート等のエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセタール、フッ素樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができ、これらは更に複層として形成してもよいものである。当然、必要に応じて、接着層を介在させてもよいものである。また、射出成形に用いる樹脂は、透明であっても、半透明であっても、不透明であってもよいし、また、着色されていてもよいものである。
次に、前記包装容器2、2’内に正極および負極を備えた電池要素を収納し、前記正極および負極の各々に接続された金属端子を前記包装容器の前記フランジ部から外側に突出させ、開口部を被覆すると共にフランジ部で熱接着して密封する蓋体について説明する。
図4は本発明のリチウム電池に用いる蓋体の一実施例を図解的に示す層構成図であって、蓋体3は基材層70と接着層22と化成処理層30とアルミニウム箔40と化成処理層30と接着層50と熱接着性樹脂層60(内層側)とからなるものであって、要するに図2で説明した前記包装材1’の層構成において、前記基材層70より外側の前記熱接着性樹脂層10と前記接着層21を設けない構成からなるものであって、各層に用いる材料は今まで説明したものと同じであるので説明は省略する。当然、前記熱接着性樹脂層60は、包装容器2、2’の内層に用いる樹脂と相互に溶融して接着するものを用いるものである。このように構成した前記蓋体3は外部からの突き刺しに対する耐突き刺し性を向上させることができると共に、水蒸気バリアー性においても優れた性能を有するものとすることができる。なお、前記蓋体3において、前記アルミニウム箔40に対して前記基材層70側の化成処理層30は必ずしも設けなくてもよいものである。
このように構成した蓋体3を、たとえば、前記包装容器2内に正極および負極を備えた電池要素を収納し、前記正極(図示せず)および負極(図示せず)の各々に接続された金属端子を前記包装容器の前記フランジ部から外側に突出させ、必要に応じて金属端子部密封用接着性フィルムを介在させて、開口部を被覆すると共にフランジ部で熱接着して密封することにより、図5に示すリチウム電池とすることができる。なお、符号Dはリチウム電池、符号Tは金属端子、符号Sは熱接着部を示す。
また、蓋体3としては、図示はしないが、図1に示した包装材1、あるいは、図2に示した包装材1’を、たとえば、前記包装容器2、2’のフランジ部αを被覆する大きさに裁断し、これを射出成形金型のキャビティー内に配置し、キャビティー内に前記熱接着性樹脂層10と同じタイプの溶融樹脂を射出して成形(いわゆる、インサート成形)し、前記熱接着性樹脂層10面に射出成形樹脂層を形成したものとしてもよいものであるし、また、図3に示した包装容器2、2’を蓋体3として用いて両側に収納部を有するように構成してよく、この場合は電池要素の収納容積を大きくすることができるために、大容量の電池とすることができる。
また、今までは包装容器2、2’をフランジ部を有することを前提にして説明してきたが、周壁の射出成形樹脂層Aがフランジ部となり得る厚さ、たとえば、1mm以上の厚さを有する場合には、図6に示すように周壁の厚さをフランジ部αと考えた包装容器2”であってもよいものである。
また、今までは水分透過量を可能な限り少なくするリチウム電池用包装容器2、2’、2”として説明してきたが、水分透過量をある程度まで許容することができる電池に用いる場合の包装容器としては、たとえば、図4に示した蓋体3を前記熱接着性樹脂層60が凹部側となるようにプレス成形(冷間成形)して、フランジ部を有する成形容器となし、これを射出成形金型のキャビティー内に配置し、キャビティー内に前記熱接着性樹脂層60と同じタイプの溶融樹脂を射出して成形(いわゆる、インサート成形)し、図7に示すような前記成形容器の内表面(凹部側の面)に射出成形樹脂層Aを一体的に形成した包装容器2’’’としてもよいものである。この場合の蓋体としては、上記で説明した前記蓋体3を用いてもよいし、また、図示はしないが、図4に示した蓋体3を、たとえば、前記包装容器2’’’のフランジ部αを被覆する大きさに裁断し、これを射出成形金型のキャビティー内に配置し、キャビティー内に前記熱接着性樹脂層60と同じタイプの溶融樹脂を射出して成形(いわゆる、インサート成形)し、前記熱接着性樹脂層60面に射出成形樹脂層を形成したものを前記射出成形樹脂層側が包装容器2’’’側となるように配置して前記フランジ部αで熱接着して密封した電池(図示せず)としてもよいものであるし、また、図7に示した包装容器2’’’を蓋体として用いて両側に収納部を有するように構成してもよいものである。なお、熱接着する側に射出成形樹脂層を設ける構成においては、熱接着面に熱接着を容易ならしめる熱接着用の突起を射出成形時に一体的に設けるようにしてもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
〔蓋体の作製〕
予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)して両面に化成処理層を有する50μm厚さのアルミニウム箔(以下、AL箔と呼称する)の一方の面に25μm厚さの2軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと呼称する)を2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して積層して後に、他方の面に不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン樹脂(以下、PPaと呼称する)をTダイ押出機で20μm厚さに加熱溶融押出しして30μm厚さの未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと呼称する)をサンドイッチラミネーション法にて積層し、ONフィルム25μm/接着剤層/化成処理層/AL箔50μm/化成処理層/PPa20μm/CPPフィルム30μmの蓋体を作製した。
〔成形容器用包装材iの作製〕
予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)して両面に化成処理層を有する50μm厚さのアルミニウム箔(以下、AL箔と呼称する)の一方の面に50μm厚さのCPPフィルムを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して積層して後に、他方の面にPPaをTダイ押出機で20μm厚さに加熱溶融押出しして30μm厚さのCPPフィルムをサンドイッチラミネーション法にて積層し、CPPフィルム50μm/接着剤層/化成処理層/AL箔50μm/化成処理層/PPa20μm/CPPフィルム30μmの成形容器用包装材を作製した。
〔成形容器用包装材iiの作製〕
予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)して両面に化成処理層を有する50μm厚さのアルミニウム箔(以下、AL箔と呼称する)の一方の面に25μm厚さのONフィルムと50μm厚さのCPPフィルムとを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して順に積層して後に、他方の面にPPaをTダイ押出機で20μm厚さに加熱溶融押出しして30μm厚さのCPPフィルムをサンドイッチラミネーション法にて積層し、CPPフィルム50μm/接着剤層/ONフィルム25μm/接着剤層/化成処理層/AL箔50μm/化成処理層/PPa20μm/CPPフィルム30μmの成形容器用包装材を作製した。
〔成形容器の作製〕
上記で作製した成形容器用包装材iおよび成形容器用包装材iiを裁断して80×80mmの短冊片を作製し、33×55mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型(雄型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm、雌型のコーナーRは2mm、稜線Rは1mm)を用い、雄型側に30μm厚さのCPPフィルム側が位置するように雌型上に短冊片を載置すると共に短冊片を0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、6.5mmの成形深さに冷間成形し、周縁のフランジ部が5mm幅となるようにトリミングした成形容器をそれぞれ作製した。
〔電池用包装容器の作製〕
上記で作製したそれぞれの成形容器を射出成形金型のキャビティー内に配置し、キャビティー内にポリプロピレン樹脂を射出して成形し、図3(a)、(b)に示すような成形容器の外表面に500μm厚さの射出成形樹脂層を形成した電池用包装容器2、2’を作製した。前記電池用包装容器2、2’は成形容器と射出成形樹脂層との間で皺や浮き等が全くない美麗な容器を得ることができた。
〔水蒸気バリアー性評価〕
上記で作製した電池用包装容器2、2’を上記で作製した蓋体で一方の短辺側に開口を有するように三周縁のフランジ部でヒートシールすると共に、ドライルーム(露点−50℃)中において、開口部から3gの溶媒〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を注入して後にフランジ部でヒートシールして開口部を密封して水蒸気バリアー性評価サンプルをそれぞれ10サンプル作製した。この水蒸気バリアー性評価サンプルを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に500時間保存し、サンプル内部の水分の増加量をカールフィッシャー法で測定した。水分透過量はいずれも180〜200ppm/60℃・90%RH・500時間であり、極めて優れた水蒸気バリアー性を示した。
また、従来のプラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層した包装材からなる外装体で構成された電池においては、プラスチックケース等に収納されてモバイル品等に搭載されているのが通常であったが、本発明の電池用包装容器およびこれを用いた電池は、射出成形樹脂層を備えるために衝撃等の外部からの力に対しても十分な強度を確保することができ、このものをモバイル品等に直接搭載することが可能になるという効果を奏する。
また、今までは、リチウム電池ということで説明してきたが、本発明の電池用包装容器およびこれを用いた電池は、リチウム電池に限ることはなく、水分の影響で電池性能の低下や劣化を生じる電池にはすべて適用することができ、たとえば、ニッケルー水素電池等にも適用することができる。
本発明にかかるリチウム電池用包装容器に用いる包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図である。 本発明にかかるリチウム電池用包装容器に用いる包装材の層構成の他の実施例を図解的に示す図である。 本発明にかかるリチウム電池用包装容器であって、(a)は一実施例を図解的に示す断面図、(b)は他の実施例を図解的に示す断面図である。 本発明のリチウム電池に用いる蓋体の一実施例を図解的に示す層構成図である。 本発明にかかるリチウム電池の一実施例を概略的に示す断面図である。 本発明にかかるリチウム電池用包装容器のさらに他の実施例を図解的に示す断面図である。 本発明にかかるリチウム電池用包装容器のさらにまた他の実施例を図解的に示す断面図である。
符号の説明
1,1’ 包装材
2,2’,2”,2’’’ 包装容器
3 蓋体
10,60 熱接着性樹脂層
20,21,22,50 接着層
30 化成処理層
40 金属箔層
70 基材層
A 射出成形樹脂層
D リチウム電池
T 金属端子
α フランジ部

Claims (5)

  1. 少なくとも熱接着性樹脂層と、接着層と、2軸延伸フィルムで構成した基材層と、接着層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材をプレス成形して周縁にフランジ部を有する成形容器となし、これにインサート成形法にて前記包装材の前記基材層に対して金属箔層が存在する側の前記熱接着性樹脂層が凹部側となるように射出成形して前記成形容器の凸部側の外表面に射出成形樹脂層を形成したことを特徴とする電池用包装容器。
  2. 請求項1記載の電池用包装容器において、前記容器内に少なくとも正極および負極を備えた電池要素を収納すると共に、前記正極および負極の各々に接続された金属端子を前記包装容器の前記フランジ部から外側に突出させ、開口部を蓋体で被覆すると共にフランジ部で熱接着して密封したことを特徴とする電池。
  3. 前記蓋体が、少なくとも2軸延伸フィルムで構成した基材層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材からなることを特徴とする請求項2記載の電池。
  4. 前記蓋体が、請求項1記載の電池用包装容器であることを特徴とする請求項2記載の電池。
  5. 前記蓋体が、少なくとも熱接着性樹脂層と、接着層と、2軸延伸フィルムで構成した基材層と、接着層と、金属箔層と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材をインサート成形法にて射出成形して、前記包装材の前記金属箔層に対して基材層側の前記熱接着性樹脂層面に射出成形樹脂層を形成したものであることを特徴とする請求項2記載の電池。
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