JP5034677B2 - ポリアミド樹脂系多層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の方法によると,従来の延伸条件では強度や外観の面で良好なものを得るのが困難とされていた,層状化合物を均一に分散させたポリアミド樹脂を均一にかつ外観の低下もなく延伸することが可能であり,この方法により吸湿寸法安定性が小さく,高湿度下や高温下での力学特性に優れたポリアミド樹脂フィルムを提供することが可能となる。
本発明で使用されるポリアミド樹脂(X)は,環状ラクタムの開環重合体,ジアミンとジカルボン酸の縮合物,アミノ酸類の自己縮合物など特に限定されないが,例示すると,ナイロン6,ナイロン7,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン4,ナイロン46,ナイロン69,ナイロン612,メタキシリレンジアミン系ナイロンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また共重合型ポリアミド樹脂を使用することも可能である。具体的にはメタキシリレンジアミンを共重合したナイロン6およびナイロン66,ナイロン6T,ナイロン6I,ナイロン6/6T共重合体,ナイロン6/6I共重合体,ナイロン6/MXD6共重合体などの芳香族系ポリアミド樹脂が挙げられるがその他の成分を共重合したものも使用可能であるが,好ましくはナイロン6,ナイロン66,メタキシリレンジアミン系ナイロンが好ましい。
層状化合物を分散させたポリアミド樹脂(Y)としては,一般にはナノコンポジット・ナイロンと呼ばれている。該層状化合物は均一に分散されており,該層状化合物の2μm以上の粗大物を含まないことが必要である。2μm以上の粗大物を含む場合,透明性の低下や延伸性の低下が起こるため好ましくない。層状化合物を分散させたポリアミド樹脂の製造方法を例示すると,
1)層間挿入法:
1)モノマー挿入重合法
2)ポリマー挿入法
3)有機低分子挿入(有機膨潤)混練法
2)In-situ法:In-situフィラー形成法(ゾルーゲル法)
3)超微粒子直接分散法
などがその製造方法として挙げられ,具体的にはCP Polymers Co., Ltd.製のCress Alon NF3040,NF3020,宇部興産製のNCH 1015C2,Nanocor製Imperm103,Imperm105などが挙げられる。ポリアミド樹脂中に含まれる層状化合物の粗大物の発生を抑制するために層状化合物の分散性を高めることを目的に各種の有機処理剤で層状化合物は処理される必要があるが,溶融成形時の処理剤の熱分解による悪影響を避けるために,熱安定性の良い低分子化合物の使用や低分子の化合物を使用しないモノマー挿入重合法などの方法を用いて得られたものが好ましい。熱安定性については,処理を行った層状化合物の5%重量減少温度が150℃以上の化合物が好ましい。測定にはTGAなどが使用できる。
挑戦するナノテク材料 用途展開の広がるポリマーナノコンポジット,発行:住ベ・筒中テクノ(株)
本発明の多層ポリアミド樹脂フィルムは,本質的には層状化合物が均一に分散されたポリアミド樹脂層を有する未延伸ポリアミド樹脂多層シートを延伸して得られるものであるが,以下のいずれかの要件を満たすものである。
(2) 層状化合物を0.5〜20重量%の範囲内で分散され,該層状化合物の2μm以上の粗大物を含まないポリアミド樹脂からなる層(A層)および層状化合物を20重量%以下含有したポリアミド樹脂からなる層(B層)を必須とし,全層数が5〜500層の範囲内からなり,A層の厚みを0.1〜30μmの範囲内の厚みとした層を積層して得られる未延伸シートを面積換算で4〜20倍の延伸倍率で,少なくとも一軸方向に延伸して得られることを特徴とするポリアミド樹脂系多層フィルム。
また,上記(2)においてA層の厚みの下限値は,0.3μm以上がより好ましく,0.5μm以上が更に好ましい。上限値は,5μm以下がより好ましく,3μm以下が更に好ましい。0.1μm未満では層中の結晶サイズが小さくなりすぎ,熱収縮率が大きくなるため好ましくない。また30μmを超えると延伸性改善効果が見られず好ましくない。
(4) 層状化合物含有量の異なる二種類のポリアミド樹脂が交互に積層され,少なくとも5層以上からなる,(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
(5) 層状化合物含有量の同じポリアミド樹脂を少なくとも5層以上積層した,(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
(6) 層状化合物を含有するポリアミド樹脂が少なくとも5層以上積層されており,各層が同一の樹脂からなる,(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
(7) ヘイズが0.2〜3%の範囲であり,160℃,10分での熱収縮率が-3〜3%の範囲である,(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
(8)スタティックミキサー方式またはフィードブロック方式により多層化された未延伸シートの幅方向の両端部を,切り取り,最端部において積層されている各層の厚みを少なくとも0.1〜30μmの範囲内の厚みとなるようにした後,少なくとも一方向に延伸を行うことにより得られることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルムの製造方法。
ポリアミド樹脂(X),ポリアミド樹脂(Y)および必要に応じてその他の層を構成する樹脂組成物は,それぞれ別の押出機に供給され,溶融温度以上の温度で押し出されるが,溶融温度は分解開始温度よりも5℃低い温度以下であることが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムはTダイより溶融押出しした未延伸のシートを逐次二軸延伸,同時二軸延伸により延伸できるほか,チューブラー方式など方法が使用可能である。特性と経済性などの面からみて好ましい方法は,ロール式延伸機で縦方法に延伸した後,テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)が挙げられる。また,延伸は多段階延伸であっても構わない。
熱固定温度が150℃未満の低温の場合は,フィルムの熱による寸法安定性が悪く不適切である。一方,250℃以上の高温では,ポリアミドの熱結晶化に起因する白化による外観不良および機械的強度の低下を引き起こし不適切である。また弛緩処理については,縦方向の熱収縮率とのバランスなどを考慮し,その弛緩率を決定する必要がある。本発明においては,縦方向の吸湿寸法変化が小さいため,弛緩率は0〜5%の範囲が好ましい。5%以上では幅方向の熱収縮率の低減に対して効果が小さいため好ましくない。
本発明における多層フィルムは,25℃,相対湿度35%から25℃,相対湿度85%に変化させた場合の寸法変化が縦および横方向のいずれにおいて0.1〜1.0%の範囲にあることを特徴とする。幅方向の熱収縮率や吸湿寸法変化率は,熱固定時の幅方向の弛緩率により若干の調整が可能であるが,縦方向については本質的な問題であり,特に逐次二軸延伸においては,その吸湿寸法変化率を小さくすることは他の特性とのバランス化を考えると非常に困難である。従来のポリアミド樹脂は分子鎖間のアミド基による水素結合が水により切れて寸法変化を起こしやすくなるが指摘されているが,層状化合物を均一に分散させたポリアミド樹脂は,層状化合物と分子鎖中のアミド基との相互作用により,水による影響を低減したものであり,これらを使用することで吸湿寸法変化を抑制することは可能であると推定できるが,従来では適当な延伸方法が存在しなかったことから実際での実現は達成されていなかった。本発明における多層構造としたシートを延伸することにより,高度の吸湿時の寸法安定性の付与が可能となったものである。
幅10mm,長さ100mmに切り出したフィルムを25℃,相対湿度85%に調整した恒温恒湿槽に入れ,24時間放置し,その後,恒温恒湿槽の温度と相対湿度を25℃,35%に変更し,温度と湿度が安定してから24時間放置してから,その長さを測定とし初期長(A)とした。次いで,25℃,85%に再度温度と湿度を変更し24時間放置のサンプル長(B)を測定した。これらの測定結果より下記式より吸湿伸び率(%,C)を算出した。
C(%)=(B-A)/A×100
なお,縦方向のサンプルは長手方向に10mmのサンプルを,横方向のサンプルは幅方向に10mmのサンプルとして用いた。
未配向ポリアミド樹脂シートを液体窒素中で凍結し,減圧解凍後にセイコー電子社製DSCを用い,昇温速度20℃/分で測定した。
JIS K 7113に準ずる。フィルムの長手方向および幅方向に幅10mm,長さ100mmの試料を,剃刀を用いて切り出して試料とした。測定はチャック間距離40mm,引っ張り速度200mm/分の条件で行い,5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG5000Aを用いた。水浸漬後5%伸長時応力(F5)の評価について,25℃で保たれたイオン交換水中に上記のサンプルを浸漬し,10分後に取り出した。サンプル表面の水滴をふき取り,評価に供した。評価については上記と同様に行った。
理学工業(株)社製のゲルボフレックステスターを使用し,下記の方法により耐屈曲疲労性を測定した。ゲルボフレックステスター(理化学工業(株)製)を使用して,試験を行った。まず,得られたフィルムサンプルを直径8.89cm(3.5インチ)の固定ヘッドと,固定ヘッドから17.78cm(7インチ)離れて平行に配置されている同径の可動ヘッドに円筒状に取り付けた。可動ヘッドの真ん中に取り付けたシャフトで,可動ヘッドの動きをコントロールする。最初,可動ヘッドを440度ひねりながら固定ヘッドに8.89cm(3.5インチ)近づけ,次に水平運動で固定ヘッドに更に6.35cm(2.5インチ)近づけた後,正反対の動きで元の状態に戻した。このサイクルを1回として,23℃,60%RHで40回/分の速さで1000回行った。1000回繰り返し実施後のピンホール個数を測定した。
アイティー計測(株)製動的粘弾性測定装置により測定し,測定長30mm,変位0.25%周波数10Hzで,かつ測定環境温度を5℃および23℃の2通りの条件で測定した。サンプルは,フィルム幅方向と平行に長さ40mm×幅5mmに切り出し,2箇所の値の平均値を用いた。また,tanδの算出は,次式により行った。
tanδ=複素弾性率の虚数部/複素弾性率の実数部
JIS−K6714に準拠して,東洋精機製作所ヘイズメーターにてヘイズ値を測定した。
96%硫酸溶液 25mlに対し,0.25gのナイロンレジンを溶解し,20℃にて相対粘度を測定した。
フィルムを液体窒素で冷却してから取り出してすぐにフェザー刃でキャストフィルムの幅方向に切り出して断面を得た。この断面を,光学顕微鏡(オリンパス製BX60)を用いて観察し,5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚み(A)として求めた。全層数は同様の方法により求めた。
上記の方法で層の界面が分かりにくい場合は,以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず,サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては,ルアベック812,ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製),DMP30(TAAB社製)を,100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後,温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し,エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを,日製産業製ウルトラカットNに取り付け,超薄切片を作成した。まず,ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に,ダイアモンドナイフ(住友電工製,スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後,薄くカーボン蒸着を施した。
電子顕微鏡観察は,日本電子製JEM−2010を用いて,加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製,FDLUR−V)上に記録した。画像より,各層の界面の間隔より最大厚みを有する層の厚みを測定した。画像より,層状化合物の密度の濃淡より,各層を決定し,5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚み(A)として求めた。全層数は層厚みを層の厚み(A)で割った値として求めた。
サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては,ルアベック812,ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製),DMP30(TAAB社製)を,100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後,温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し,エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを,日製産業製ウルトラカットNに取り付け,超薄切片を作成した。まず,ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に,ダイアモンドナイフ(住友電工製,スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後,薄くカーボン蒸着を施した。電子顕微鏡観察は,日本電子製JEM−2010を用いて,加速電圧200kVの条件で実施し,倍率1万倍,視野10点での粗大物の有無を確認した。
酸素透過度測定装置(「OX−TRAN 10/50A」Modern Controls社製)を使用し,湿度65%,温度23℃で測定した。得られた結果は厚み15μmでの値に換算した値を酸素透過率(cc/m2/day/atm)とした。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)と層状化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させたのち,それぞれを別々の押出機に供給し260℃で溶融し,10エレメントのスタティックミキサーを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。吐出量からナイロン6樹脂と層状化合物含有ナイロン樹脂の比率は1:1とした。なお,冷却ロール側にナイロン6樹脂が接するように設定した。未延伸シートの厚みは250μm,断面より各層の厚みは0.2μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートをまず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.8倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物は見られなかった。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)と層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co.Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させたのち,それぞれを別々の押出機に供給し260℃で溶融し,2種8層フィードブロックを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで8層の未延伸シートを作製した。吐出量および厚み比からナイロン6樹脂と層状化合物含有ナイロン樹脂の比率は1:1とした。なお,冷却ロール側にナイロン6樹脂が接するように設定し,A/B/A/B/A/B/A/Bタイプの2種8層の構成とした。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。未延伸シートの厚みは240μm,幅は165mm,断面より各層の厚みは30μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートの幅方向の端部を15mmずつ除去後,まず50℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.8倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物は見られなかった。
層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3020,層状化合物添加量:2重量%)と無機層状化合物を均一に分散させたメタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂(Nanocor製Imperm105,層状化合物添加量5%)を100℃で一晩真空乾燥させたのち,それぞれを別々の二台の押出機に供給し260℃で溶融し,2種8層フィードブロックを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで8層の未延伸シートを作製した。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。吐出量から層状化合物含有ナイロン樹脂と層状化合物含有メタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂の比率は4:1とした。未延伸シートの厚みは200μm,幅は160mm,断面より各層の厚みは25μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.2倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ18μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物は見られなかった。
層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)を100℃で一晩真空乾燥させたのち,二台の押出機に同一の樹脂を供給し260℃で溶融し,6エレメントのスタティックミキサーを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは200μm,断面より各層の厚みは約10μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートの幅方向の端部を20mmずつ除去後,まず50℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.5倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,230℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物は見られなかった。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)と層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させたのち,それぞれを別々の押出機に供給し260℃で溶融し,2種8層フィードブロックを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで8層の未延伸シートを作製した。なお,冷却ロール側にナイロン6樹脂が接するように設定して,A/B/A/B/A/B/A/Bタイプの2種8層の構成とし,また,積層樹脂比率は,その押出量から,ナイロン6樹脂/層状化合物含有ナイロン6樹脂=80/20とした。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。未延伸シートの厚みは250μm,断面より層状化合物含有層の厚みは12μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.8倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物は見られなかった。
層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)を100℃で一晩真空乾燥させたのち,押出機に供給し260℃で溶融し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで1層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの総厚みは240μmであった。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で2倍に縦延伸を行ったが,延伸時の破断が起こり,延伸フィルムを得ることができなかった。更に延伸温度を60℃から70℃,80℃,100℃と変化させたが,破断によりいずれも一軸延伸ですら困難であった。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)と層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)を100℃でそれぞれ一晩真空乾燥させたのち,チップの状態でドライブレンドし,無機化合物添加量が2%となるように混合後,押出機に供給し260℃で溶融し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで1層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの総厚みは240μmであった。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.2倍に縦延伸を行ったが,延伸時の破断が起こり,延伸フィルムを得ることができなかった。更に延伸温度を60℃から70℃,80℃,100℃と変化させたが,破断によりいずれも一軸延伸ですら困難であった。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)と層状無機化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させたのち,それぞれを別々の押出機に供給し260℃で溶融し,2種3層フィードブロックを用いて積層し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで3層の未延伸シートを作製した。なお,冷却ロール側にナイロン6樹脂が接するように設定して,A/B/Aタイプの2種3層の構成とし,未延伸シートの総厚みは240μm,その各層での厚み比は60μm/120μm/60μmであった。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で2〜3.2倍に縦延伸を行ったが,延伸時の破断が起こり,延伸フィルムを得ることができなかった。
実施例1における,層状化合物を均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(CP Polymers Co., Ltd.製Cress Alon NF3040,層状化合物添加量:4重量%)をナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)に変更した以外は,実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)を100℃で一晩真空乾燥させたのち,押出機に供給し260℃で溶融し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで未延伸シートを作製した。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。未延伸シートの厚みは250μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.8倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ18μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−814:相対粘度RV=2.8,滑剤含有)を100℃で一晩真空乾燥させたのち,膨潤性雲母(コープケミカル製ソマシフME-100)を添加量が5%になるよう混合して押出機に供給し260℃で溶融し,20℃に調整した冷却ロールにシート状にTダイから押出し,冷却固化させることで未延伸シートを作製した。フィードブロック温度,ダイ温度ともに270℃で行った。未延伸シートの厚みは250μmであった。このシートのTgは40℃,Tcは60℃であった。このシートを,まず40℃の温度で予熱処理を行い,ついで,延伸温度60℃で3.8倍に縦延伸を行い,引続きこのシートを連続的にテンターに導き,70℃で3.5倍に横延伸し,220℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し,両縁部を裁断除去して,厚さ18μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。フィルムの断面より層状化合物の2μm以上の粗大物が見られた。
Claims (9)
- 層状化合物が0.5〜20重量%の範囲内で分散され,該層状化合物の2μm以上の粗大物を含まないポリアミド樹脂からなる層(A層)および,層状化合物を20重量%以下含有するかあるいは含有しないポリアミド樹脂からなる層(B層)を必須とし,全層数が8層以上からなり,15μm換算での酸素透過度が5〜20cc/m 2 /day/atmであり,25℃,相対湿度35%から25℃,相対湿度85%に変化させた場合の寸法変化が縦および横方向のいずれにおいても0.1〜1.0%の範囲内であり,厚みが3〜200μmの範囲内であることを特徴とするポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 層状化合物が0.5〜20重量%の範囲内で分散され,該層状化合物の2μm以上の粗大物を含まないポリアミド樹脂からなる層(A層)および層状化合物を20重量%以下含有するかあるいは含有しないポリアミド樹脂からなる層(B層)を必須とし,全層数が8〜500層の範囲内からなり,A層の厚みを0.1〜30μmの範囲内の厚みとした層を積層して得られる未延伸シートを面積換算で4〜20倍の延伸倍率で,少なくとも一軸方向に延伸して得られることを特徴とするポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 請求項1記載のポリアミド樹脂層のA層およびB層の厚みが,いずれも0.01〜3μmの範囲内であり,少なくとも各2層以上有し,全層で8層以上からなる,請求項1に記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 層状化合物含有量の異なる二種類のポリアミド樹脂が交互に積層され,少なくとも8層以上からなることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 層状化合物含有量の同じポリアミド樹脂を少なくとも8層以上積層したことを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 層状化合物を含有するポリアミド樹脂が少なくとも8層以上積層されており,各層が同一の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
- ヘイズが0.2〜3%の範囲であり,160℃,10分での熱収縮率が-3〜3%の範囲であることを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド樹脂系多層フィルムを製造する方法であって,スタティックミキサー方式またはフィードブロック方式により8層以上に多層化することを特徴とするポリアミド樹脂系多層フィルムの製造方法。
- スタティックミキサー方式またはフィードブロック方式により多層化された未延伸シートの幅方向の両端部を切り取り,最端部において積層されている各層の厚みを少なくとも0.1〜30μmの範囲内の厚みとなるようにした後,少なくとも一方向に延伸を行うことを特徴とする,請求項8に記載のポリアミド樹脂系多層フィルムの製造方法。
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