JP4063927B2 - 高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物及びその製造方法、並びにこれを用いてなるポリアミド複合材料 - Google Patents

高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物及びその製造方法、並びにこれを用いてなるポリアミド複合材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物及びその製造方法、並びにこれを用いてなるポリアミド複合材料に関するものである。さらに詳しくは、フッ素マグネシオリヒテライト(Na2Mg6Si8O22F2)の含有量が1重量%以下である高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物及びその製造方法、並びにこの高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物をポリアミド樹脂中に配合することにより得られる、高強度、高弾性率、高耐熱性、高靱性であり、かつ高伸度でそのばらつきの小さいポリアミド複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミドをガラス繊維や炭素繊維等の繊維質や炭酸カルシウム等の無機充填材で強化した樹脂組成物は広く知られている。しかし、これらの強化材はポリアミドとの親和性に乏しく、強化ポリアミドの機械的強度や耐熱性は改良されるものの、靱性が低下し、また繊維質で強化した樹脂組成物では成形品のそりが大きくなるという問題があった。しかも、前記の無機充填材で強化した樹脂組成物では、充填材を多量に配合しないと機械的強度や耐熱性が向上しないという問題もあった。
【0003】
このような強化ポリアミドの欠点を改良する試みとして、ポリアミドとモンモリロナイトに代表される層状珪酸塩とからなる樹脂組成物が提案されている(特開昭62-74957号公報、特開昭63-230766 号公報、特開平2-102261号公報、特開平3-7729号公報)。
【0004】
上記の樹脂組成物は、ポリアミド鎖を層状珪酸塩の層間に侵入させることによって、層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散された複合体とするものであり、このような目的でモンモリロナイトを用いる場合、上記の各公報に記載されているように、ポリアミドを形成するモノマーを重合するに先立って、前記モンモリロナイトをアミノカルボン酸のアンモニウム塩やオニウム塩等の有機塩で膨潤化処理し、これを単離する工程が必要であった。
【0005】
そこで本発明者らは、ポリアミドを形成するモノマーと特定の層状珪酸塩(膨潤性フッ素雲母系鉱物)とを混合し、通常は10kg/cm2以上の高圧下で前記モノマーを重合すると、上記した有機塩処理を行わなくても、膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に分子レベルで均一に分散され、かつ機械的強度や耐熱性等に優れたポリアミド複合材料が得られることを見出した(特開平6-248176号公報)。
【0006】
さらに本発明者らは、ポリアミドを形成するモノマーと膨潤性フッ素雲母系鉱物とpKa(25℃、水中での値)が0〜6又は負の酸とを混合し、前記モノマーを重合する方法を提案した(特開平8-3310号公報、特開平 8-134205 号公報)。この方法では、重合時の圧力を高圧下にする必要がなく、通常は5kg/cm2程度の圧力下で重合することにより、機械的強度、靱性、耐熱性及び寸法安定性に優れ、かつ吸水率が低く、また吸水しても前記した諸物性が低下しない吸水特性の改善された成形品とすることのできるポリアミド複合材料を得ることができた。
【0007】
しかしながら、上記の方法では、いずれの場合にも成形品にしたときの引張り伸度が十分ではなく、また、そのばらつきも大きいという問題があった。そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、強化材として用いる膨潤性フッ素雲母系鉱物中に、不純物であるフッ素マグネシオリヒテライトがかなりの量で存在していると、得られる成形片の引張り伸度が十分でなく、またそのばらつきも大きくなることを突き止めた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリアミド樹脂中に分子レベルで均一に分散され、高強度、高弾性率、高耐熱性、高靱性で寸法安定性に優れ、かつ高伸度でそのばらつきの小さいポリアミド成形品とすることのできる高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物とその製造方法、並びにこれを用いたポリアミド複合材料を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するもので、その要旨は次の通りである。
(1) 下記式▲1▼で示される膨潤性フッ素雲母系鉱物であって、フッ素マグネシオリヒテライト(Na2Mg6Si8O22F2)の含有量が1重量%以下であることを特徴とする高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物。
α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 ▲1▼
(式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、γ、a及びbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。)
(2) 下記式▲2▼で示される珪フッ化アルカリとタルクとの混合物を加熱処理した後、水ひ処理することを特徴とする上記(1) に記載の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造方法。
2 Si F6 ▲2▼
(式中、Mはナトリウム又はリチウムを表す。)
(3) 上記(1) に記載の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物を用いてなるポリアミド複合材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物は、上記式▲1▼で示されるもので、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が1重量%以下であることが必要である。この含有量が1重量%を超えると、高伸度でそのばらつきの小さいポリアミド成形品とすることができない。
【0012】
上記の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する方法としては、上記式▲2▼で示される珪フッ化アルカリとタルクとの混合物を加熱処理した後、水ひ処理することが必要である。
【0013】
上記式▲1▼で示される膨潤性フッ素雲母系鉱物を得るには、通常は、珪フッ化アルカリとタルクとの混合物を、磁性ルツボ内で 700〜1000℃で1時間程度加熱処理する方法が用いられるが、この方法ではフッ素マグネシオリヒテライトが通常は1重量%を超えて副生する。また、加熱処理時間を短くする目的で、この加熱温度を1000℃より大きくすると、フッ素マグネシオリヒテライトの副生量がさらに増大し、成形品にしたときの引張り伸度が小さくなり、そのばらつきも大きいものとなる。
【0014】
したがって、本発明においては、加熱処理により得られた膨潤性フッ素雲母系物を水ひ処理して、フッ素マグネシオリヒテライト含有量を1重量%以下にする。この際、水ひ処理は、加熱処理により得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物1kgに対して20〜 100リットルの純水を加え、ホモジナイザー等の高回転・高剪断が得られる撹拌装置を用いて1000〜8000 rpmで攪拌した後、一昼夜放置し、デカンテーションにより沈澱成分を除去する方法が採用される。また、広角X線回折測定によって求めた膨潤性フッ素雲母系鉱物中のフッ素マグネシオリヒテライトの含有量が1重量%を超える場合には、前記した水ひ処理を繰り返して行えばよい。
【0015】
上記の膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する際には、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35重量%の範囲とすることが好ましい。珪フッ化アルカリが、この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成収率が低下する。
【0016】
また、上記の膨潤性フッ素雲母系鉱物を得るためには、珪フッ化物アルカリのアルカリ金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが好ましい。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用してもよい。また、アルカリ金属のうち、カリウムの場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物が得られないが、ナトリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。さらに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整することも可能である。
【0017】
次に、本発明の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物(以下「高純度フッ素雲母」という)を用いたポリアミド複合材料について説明する。
【0018】
本発明のポリアミド複合材料を製造するには、高純度フッ素雲母を含有する水溶液とポリアミドを形成するモノマー、さらには必要に応じて水を混合し、温度240 〜300 ℃、圧力2〜30kg/cm2で、1〜5時間の範囲で重合する。この際、高純度フッ素雲母の配合量は、ポリアミド樹脂 100重量部を形成するモノマー量に対して、0.1 〜20重量部とすることが好ましい。この配合量が 0.1重量部未満では、膨潤性フッ素雲母系鉱物によるポリアミドマトリックスの補強効果が小さく、機械的強度や耐熱性に優れたポリアミド成形品が得られない。一方、この配合量が20重量部を超えると、ポリアミド成形品の引張り伸度が低下する。
【0019】
また、上記重合時には酸を添加してもよく、酸を添加することによって、より高剛性で高耐熱性の成形品が得られる。上記の酸としては、pKa(25℃水中での値)が0〜4又は負の酸であるなら、有機酸でも無機酸であってもよく、例えば、安息香酸、セバシン酸、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、亜硝酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸−ペンタフルオロアンチモン(1:1)〔アルドリッチ社製「マジックアシッド」(商品名)〕、フルオロアンチモン酸等が挙げられる。
【0020】
ポリアミドを形成するモノマーとしては、アミノカルボン酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれる)が挙げられ、これらは混合して用いることもできる。
【0021】
その具体例としては、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等がある。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等がある。
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、 2,2,4−/ 2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、 2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、 1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、 2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等がある。
ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸等がある。また、これらのジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
【0022】
また、ポリアミドの好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン 610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン 612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン 116)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン 11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))又はこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド等がある。中でもナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12又はこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドが好ましく、ナイロン6もしくはナイロン12又はこれらの共重合ポリアミドが特に好ましい。
【0023】
上記のポリアミドの相対粘度は、溶媒として96重量%濃硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた値で、1.5 〜5.0 の範囲にあることが好ましい。この相対粘度が 1.5未満のものでは、成形品としたときの機械的強度が低下する。一方、この相対粘度が 5.0を超えるものでは、成形性が著しく低下するので好ましくない。
【0024】
上記の方法により製造されたポリアミド複合材料は、ポリアミドに高純度フッ素雲母が分子レベルで均一に分散されたものである。分子レベルで均一に分散されるとは、前記の高純度フッ素雲母がポリアミドマトリックス中に分散される際に、それぞれが平均20Å以上の層間距離を保っている状態をいう。ここで、層間距離とは高純度フッ素雲母の珪酸塩層の重心間の距離を指し、均一に分散されるとは高純度フッ素雲母の珪酸塩層の一枚一枚が平行にあるいはランダムに、もしくは平行とランダムが混在した状態で、その90%以上が、塊を形成することなく分散されている状態をいう。具体的には、ポリアミド複合材料の試験片について、透過型電子顕微鏡写真観察を行ったり、引張り伸度のばらつきの評価を行うことにより確認することができる。
【0025】
本発明のポリアミド複合材料には、その特性を大きく損わない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤等が添加されていてもよく、これらは、重合時あるいは得られたポリアミド複合材料を溶融混練もしくは溶融成形する際に加えられる。
【0026】
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
【0028】
さらに、ポリアミド複合材料には、他の熱可塑性重合体が混合されていてもよく、これらはポリアミド複合材料を溶融混練もしくは溶融成形する際に加えられる。熱可塑性重合体としては、例えばポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラストマー又はこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリレート等が挙げられる。
【0029】
本発明のポリアミド複合材料は、通常の成形加工方法で目的の成形品とすることができる。例えば射出成形、押出成形、吹き込み成形、焼結成形等の熱溶融成形法によって各種の成形品にしたり、有機溶媒溶液からの流延法により薄膜とすることができる。
【0030】
本発明のポリアミド複合材料を用いて得られる成形品は、機械的強度、耐熱性及び寸法安定性等がポリアミド単独の場合に比べて顕著に改良され、また吸水による機械的性質や寸法の変化が少ない。さらに、従来品に比して、引張り伸度が大きく、かつそのばらつきの小さい成形品とすることができるので、これらの特性を生かして、中空パイプ、把手、インク容器、カーテンレール、ギアー部品、ベアリングリテーナー、ブラシ、リール、ブレーカーカバー、スイッチ、コネクター、自動車外装用部品、自動車内装用部品、ライトカバー、インテークマニホールド、タイミングベルトカバー、ホイール、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー等に利用することができる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例並びに比較例で用いた原料及び物性試験の測定法は次の通りである。
1.原料
(1) 高純度フッ素雲母
ボールミルにより平均粒径が7μmとなるように粉砕したタルクに対し、平均粒径が同じく7μmの珪フッ化ナトリウムを全量の15重量%となるように混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて 950℃で30分間反応させることにより合成した。
この粉末について、広角X線回折測定(理学電機社製、広角X線回折装置RAD-rB型を使用)を行った結果、原料タルクのc軸方向の厚み 9.2Åに対応するピークは消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成を示す12〜13Åに対応するピークが認められた。また、フッ素マグネシオリヒテライトに対応するピークが10.5Åに観察され、後述する方法で求めたフッ素マグネシオリヒテライトの含有量は2重量%であった。
次に、この膨潤性フッ素雲母系鉱物1kgを純水50リットル中に入れ、ホモジナイザーを用いて7000rpm で攪拌した後、一昼夜放置し、デカンテーションにより沈澱成分を除去した。この操作を2回繰り返すことにより、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が 0.3重量%である高純度フッ素雲母を得た。
【0032】
2.測定法
(a) フッ素マグネシオリヒテライトの含有量
まず初めに、市販のリヒテライト(日本地科学社製)とα−アルミナの50:50(重量比)の混合物について広角X線回折測定(理学電機社製、広角X線回折装置RAD-rB型を使用)を行い、リヒテライトによるピーク(2θ=10.5゜)とα−アルミナによるピーク(2θ=35゜)の強度比(α1)を求めた。
次に、高純度フッ素雲母とα−アルミナの50:50(重量比)の混合物について同様に広角X線回折測定を行い、高純度フッ素雲母中に存在するフッ素マグネシオリヒテライトによるピーク(2θ=10.5゜)とα−アルミナによるピーク(2θ=35゜)の強度比(α2)を求めた。
高純度フッ素雲母中に存在するフッ素マグネシオリヒテライトの含有量は、次式により定量した。
(α2 /α1 )×100
(b) ポリアミド複合材料中の高純度フッ素雲母の分散性
広角X線回折装置(理学電機社製、広角X線回折装置RAD-rB型)により、曲げ測定用の試験片中における高純度フッ素雲母の分散性を測定した。
また、曲げ測定用の試験片から小さく切り出したサンプルをエポキシ樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフにて超薄切片に切り出したものについて、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM-200CX 型、加速電圧100kV)で撮影した電子顕微鏡写真観察から、高純度フッ素雲母の珪酸塩層のおおよその大きさを求めることにより分散性を評価した。
(c) ポリアミドの相対粘度
まず初めに、乾燥した樹脂ペレットを 500℃で24時間燃焼して、その灰分量を測定することにより、樹脂ペレット中の高純度フッ素雲母の含有量を求めた。
次に、上記の樹脂ペレットを96重量%濃硫酸に溶解し、ポリアミド成分が1g/dlの濃度になるように溶液を調製し、温度25℃で測定した。
(d) 試験片の引張り強度及び引張り伸度
ASTM D-638に基づいて測定した。
(e) 試験片の曲げ強度及び曲げ弾性率
ASTM D-790に基づいて測定した。
(f) 試験片のアイゾット衝撃強度
ASTM D-256に基づいて、厚み 3.2mmの試験片に所定の深みのノッチをつけて測定した。
(g) 試験片の熱変形温度
ASTM D-648に基づいて、荷重1.86MPaで測定した。
【0033】
実施例1
ε−カプロラクタム10kg、高純度フッ素雲母 0.2kg及び水1kgを内容量30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら、15kg/cm2の圧力まで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放圧しつつ、圧力15kg/cm2、温度 260℃に保って2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに30分間重合した。
重合が終了した時点で、上記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してナイロン6複合材料の樹脂ペレットを得た。
次いで、この樹脂ペレットを95℃の熱水で8時間精練を行った後、乾燥した。
次に、この乾燥した樹脂ペレットを射出成形機(三菱重工業社製、125/75MS型)を用い、シリンダー温度 260℃、金型温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6秒で射出成形を行い、厚み 3.2mmの各種の試験片を作成して物性試験を行った。
【0034】
実施例2
高純度フッ素雲母 0.2kgを 0.5kgに変えた他は、実施例1と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0035】
実施例3
85重量%のリン酸水溶液10gを加えて重合した他は、実施例1と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0036】
実施例4
ω−ラウロラクタム10kg、高純度フッ素雲母 0.2kg及び水 1.5kgを内容量30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら22kg/cm2の圧力まで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放圧しつつ、圧力22kg/cm2、温度 290〜300 ℃に保って2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに40分間重合した。
重合が終了した時点で、上記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してナイロン12複合材料の樹脂ペレットを得た。
次いで、この樹脂ペレット乾燥した後、射出成形機(三菱重工業社製、125/75MS型)を用い、シリンダー温度 230℃、金型温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6秒で射出成形を行い、厚み 3.2mmの各種の試験片を作成して物性試験を行った。
【0037】
実施例5
高純度フッ素雲母 0.2kgを 0.5kgに変えた他は、実施例4と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0038】
実施例6
85重量%のリン酸水溶液10gを加えて重合した他は、実施例4と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0039】
実施例1〜6におけるポリアミドの相対粘度及び試験片の物性値を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004063927
【0041】
比較例1
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgを用いた他は、実施例1と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0042】
比較例2
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.5kgを用いた他は、実施例1と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0043】
比較例3
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgを用い、85重量%のリン酸水溶液10gを加えて重合した他は、実施例1と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0044】
比較例4
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgを用いた他は、実施例4と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0045】
比較例5
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.5kgを用いた他は、実施例4と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0046】
比較例6
高純度フッ素雲母 0.2kgの代わりに、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgを用い、85重量%のリン酸水溶液10gを加えて重合した他は、実施例4と同様にして乾燥した樹脂ペレットを得、試験片を作成して物性試験を行った。
【0047】
比較例1〜6におけるポリアミドの相対粘度及び試験片の物性値を表2にまとめて示す。
【0048】
【表2】
Figure 0004063927
【0049】
比較例1〜6は、フッ素マグネシオリヒテライトの含有量が2重量%である膨潤性フッ素雲母系鉱物を用いたため、いずれの場合にも、実施例1〜6に比べて試験片の引張り伸度がかなり劣り、またそのばらつき(標準偏差σn を指標とする)も大きいものであった。
【0050】
なお、実施例1〜6及び比較例1〜6において、曲げ試験測定用の試験片について、広角X線回折測定を行ったところ、膨潤性フッ素雲母系鉱物の厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド中に膨潤性フッ素雲母系鉱物が微分散されていることがわかった。また、透過型電子顕微鏡写真観察を行ったところ、膨潤性フッ素雲母系鉱物の珪酸塩層の厚みは約1nmで、長さは20〜40nmの範囲にあり、いずれの場合にもポリアミド中に分子レベルで均一に分散されていることがわかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアミド樹脂中に分子レベルで均一に分散され、高強度、高弾性率、高耐熱性、高靱性であり、かつ高伸度でそのばらつきの小さいポリアミド成形品とすることのできる高純度フッ素雲母とその製造方法、並びにこれを用いたポリアミド複合材料を提供することができる。

Claims (3)

  1. 下記式▲1▼で示される膨潤性フッ素雲母系鉱物であって、フッ素マグネシオリヒテライト(Na2Mg6Si8O22F2)の含有量が1重量%以下であることを特徴とする高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物。
    α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 ▲1▼
    (式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、γ、a及びbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。)
  2. 下記式▲2▼で示される珪フッ化アルカリとタルクとの混合物を加熱処理した後、水ひ処理することを特徴とする請求項1に記載の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造方法。
    2 Si F6 ▲2▼
    (式中、Mはナトリウム又はリチウムを表す。)
  3. 請求項1に記載の高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物を用いてなるポリアミド複合材料。
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