JP2014208496A - 二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%添加された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであって、層状化合物が面内に配向しており、ヘイズが1.0〜20%、相対湿度35%RHでの長手方向の弾性率が1.7〜3.5GPa、表面粗さ(Sa)が0.01〜0.1μm、法線応力0.5N/cm2での静摩擦係数(F/B)が0.3〜1.0である二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
【選択図】なし
Description
1. 層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%添加された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであって、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおいて使用されるポリアミド樹脂はナイロン6、ナイロン66、及びメタキシリレンジアミン系ナイロンから選ばれる一種の樹脂であり、層状化合物が面内に配向しており、ヘイズが1.0〜20%、相対湿度35%RHでの長手方向の弾性率が1.7〜3.5GPa、表面粗さ(Sa)が0.01〜0.1μm、法線応力0.5N/cm2での静摩擦係数(F/B)が0.3〜1.0であり、フィルムの幅方向中央部分の屈折率をNyとするとき、縦延伸前のシートのNyであるNy(A)と縦延伸後のシートのNyであるNy(B)との差Ny(A)-Ny(B)が0.001以上であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
2. 23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることを特徴とする上記第1に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
3. 50〜155℃の横延伸温度で横延伸されてなることを特徴とする上記第1又は第2に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
4. 2000%/分以下の速度で縦延伸されてなることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
5. 縦方向の延伸が一段または二段延伸であることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
(ポリアミド樹脂)
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、環状ラクタムの開環重合体、ジアミンとジカルボン酸の縮合物、アミノ酸類の自己縮合物など特に限定されないが、例示すると、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン612、メタキシリレンジアミン系ナイロンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また共重合型ポリアミド樹脂を使用することも可能である。具体的にはメタキシリレンジアミンを共重合したナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I共重合体、ナイロン6/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン11/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン12/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン6/MXD6共重合体などの芳香族系ポリアミド樹脂が挙げられるがその他の成分を共重合したものも使用可能であるが、好ましくはナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン系ナイロンが好ましい。特にメタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂からなる層を少量積層させることでガス透過率を大幅に低減でき、本発明における好ましい例の一つである。
層状化合物としては膨潤性雲母、クレイ、モンモリロナイト、スメクタイト、ハイドロタルサイトなどの層状化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、無機、有機にかかわらず使用できる。層状化合物の形状は、特に限定されるものではないが、長径の平均長さが0.01乃至50μm、好ましくは0.03乃至20μm、特に好ましくは0.05乃至12μm、アスペクト比は5乃至5000、好ましくは10乃至5000であるものを好適に用いることができる。
1.層間挿入法:
1)モノマー挿入重合法
2)ポリマー挿入法
3)有機低分子挿入(有機膨潤)混練法
2.In-situ法:In-situフィラー形成法(ゾルーゲル法)
3.超微粒子直接分散法
などが挙げられる。市販の材料としては、Nanopolymer Composite Corp.製のCress AlonNF3040、NF3020、宇部興産製のNCH 1015C2、Nanocor製Imperm103、Imperm105などが挙げられる。ポリアミド樹脂中に含まれる層状化合物の粗大物の発生を抑制するために層状化合物の分散性を高めることを目的に各種の有機処理剤で層状化合物は処理されることが好ましいが、溶融成形時の処理剤の熱分解による悪影響を避けるために、熱安定性の良い低分子化合物の使用や低分子の化合物を使用しないモノマー挿入重合法などの方法を用いて得られたものが好ましい。熱安定性については、処理を行った層状化合物の5%重量減少温度が150℃以上の化合物が好ましい。測定にはTGAなどが使用できる。熱安定性の低いものでは、フィルム中に気泡が発生したり、着色の原因となったりするため好ましくない。(「挑戦するナノテク材料 用途展開の広がるポリマーナノコンポジット」、住ベ・筒中テクノ(株)ご参照)。
本発明における層状無機化合物を含有する樹脂の延伸において、一般的に経済的な面で利点のある縦−横の順の逐次二軸延伸を用いて延伸する際の問題については、(1)縦方向(以下MDと略)の延伸において、延伸時の熱で結晶化が進み、一軸延伸後に横方向(以下TDと略)の延伸性が失われてしまう、(2)TD延伸時に破断が起こる、(3)TD延伸後の熱固定時に破断が起こる、の3点が挙げられるが、(1)については、TD延伸が可能なMD延伸条件とTD延伸が不可なMD延伸条件を整理したところ、MD延伸後の一軸延伸シートの幅方向の屈折率(Y軸方向の屈折率、以下Nyと略)に違いがあることがわかった。具体的にはTD延伸可能な一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyが小さくなっているのに対して、TD延伸ができない(すなわちTD延伸時に白化する、または破断してしまう)一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyの変化が小さいあるいは変化が見られないことがわかった。通常のポリアミド樹脂の延伸においては、MD延伸後のNyはMD延伸時に幅方向にネックインが起こると同時にNyが小さくなるが、層状化合物が添加されている場合にはネックインは起こるがその層状化合物とポリアミド樹脂分子との相互作用でNyが小さくなりにくい傾向があることがわかった。これは、延伸前のフィルムの分子鎖はMD、TD方向にランダムに向いているため、MD延伸で分子鎖がMD方向に引き延ばされる際にはTD方向への力も発生するが、通常のポリアミド樹脂の延伸ではTD方向にネックインすることでTD方向にもかかる力を逃がすことができる一方、層状化合物を含有するポリアミド樹脂の場合には、分子鎖が層状化合物に拘束されているためにTD方向の力を逃がすことができずに、あたかもTD方向にも分子鎖が引き延ばされた様な状態になってしまうためや、MD延伸の際に層状化合物が回転し、それによりMD方向以外の方向にも分子が引っ張られるためと考えられた。すなわちMD延伸後に面配向が既に高い状態にある。このため、続いて行うTD延伸時の延伸応力が高くなり破断してしまうものと考えられた。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、本質的には層状化合物が均一に分散されたポリアミド樹脂層を有する未延伸ポリアミド樹脂シートを延伸して得られるものであり、基本的には単層構成のものでも延伸可能であるが、工業的な側面からは多層化されたシートを延伸するほうが好適である。
本発明において前述のポリアミド樹脂を多層化する際に、一般に採られる異種の樹脂を積層する以外に、同種の樹脂を積層することも可能である。ここで、同種の樹脂を後述の方法で多層化することに物理的な意味を見出すことが一見したところ難しいかもしれないが、実際の系において、同種の樹脂を同一の温度において溶融押出し積層した場合においても層の界面は消えずに延伸後においても存在する。これは射出成型品のウエルドラインを消すことが非常に難しいことと同義である。このように同種の樹脂であっても多層状態が維持され、厚み方向での分子の絡み合いを低く抑えることを維持できる。同種の樹脂を溶融押出し積層した際の層の界面の存在を確認する方法としては、サンプルを氷や液体窒素で冷却後、カミソリなどで切り出し断面を作製後、それをアセトンなどの溶剤に浸漬後に断面を顕微鏡で観察する方法などで観察できる。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムはTダイより溶融押出しした未延伸のシートを逐次二軸延伸、同時二軸延伸により延伸できるほか、チューブラー方式など方法が使用可能であるが、十分な配向を行わせるためには、二軸延伸機による方法が好ましい。特性と経済性などの面からみて好ましい方法は、ロール式延伸機で縦方法に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)が挙げられる。また、MD延伸については、前述のとおりTD延伸性を改善するためにMD延伸の際にNyを小さくすることが好ましいことを述べたが、MD延伸倍率を上げつつ、Nyを小さくするためにはMD多段階延伸を使用することが好ましい。
熱固定温度が150℃未満の低温の場合は、フィルムの熱による寸法安定性改善効果が小さく不適切である。一方、250℃を超える高温では、ポリアミドの熱結晶化に起因する白化による外観不良および機械的強度の低下を引き起こし不適切である。
MD延伸速度を大幅に下げる方法としては、MD延伸速度を2000%/分以下にすることが好ましい。さらには1000%/分以下であることが好ましい。このような低速のMD延伸では、層状化合物によって拘束されている分子鎖を解きほぐしながら延伸することが可能であるため、MD延伸後にNyが小さくなるものと推測される。 なお、MD延伸の温度、TD延伸条件、熱固定条件は上記した条件を採用することが出来る。
本発明におけるポリアミド樹脂フィルムは二軸延伸・熱固定・弛緩処理後の面配向(ΔP)が0.03以上、好ましくは0.05以上であることが好ましい。面配向は屈折率計より複屈折を求め、長手方向の屈折率をNx、幅方向の屈折率をNy、厚み方向の屈折率をNzとするとき、以下の式により求められる。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムのヘイズは1.0〜20%の範囲にあることが好ましい。延伸時のヘイズが1.0%以下では、安定して製造することが困難であり好ましくない。ヘイズが20%を超えると、使用時の内容物などが見えにくくなる以外に、意匠性が低下するため好ましくない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、表面粗さ(Sa)が0.01〜0.1μmと非常に平滑な表面を有しながら、法線応力0.5N/cm2での静摩擦係数(F/B)が0.3〜1.0を満たすことが好ましい。一般的には表面粗さを小さくして表面の光沢などを高めると、静摩擦係数が高くなり、特に高湿度条件では全くフィルム同士で滑らなくなってしまい、工程上の各種のトラブルを起こすが、本発明における層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%の添加量となるよう含有したポリアミド樹脂を十分な面積倍率において二軸延伸することにより、特異的に表面の平滑さと滑り性の両立が可能となる。これは、層状化合物添加による効果が高いレベルで発揮され、低湿度から高湿度の広い領域において高い弾性率を維持することができためであると推定される。表面粗さが0.01未満では滑り性が悪くなることがあり好ましくない。また、0.1μmを超えると表面光沢が通常の滑剤を添加した系と変わらず、本発明の目的と合致しない。静摩擦係数が1.0を超える場合は滑り性が悪く好ましくない。静摩擦係数の下限は現実的には0.3未満である。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、平衡吸水率が3.5〜10%の範囲にあることが好ましい。一般のポリアミド樹脂の二軸延伸フィルムの平衡吸水率は3%程度であり、本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、それよりも高いことが好ましい。一般的に知られる層状化合物のうち、最もよく利用されているモンモリロナイトやスメクタイトは水溶液の粘度を増加させる増粘剤として一般に利用されている。このことからも想像できるとおり、水をその層間に取り込み、容易に膨潤し、大量の水分を吸収する特性を有している。これらの化合物を樹脂中に添加しただけではそのモンモリロナイトは大量の水分を吸収してしまう。そのため、その樹脂組成物の平衡吸水率は大きな値となり、特性についても湿度依存性の高いものとなってしまう。本発明においては、層状化合物は面内に高度に配向しており、また、マトリックスのポリアミド樹脂を高倍率の二軸延伸を行い更に配向結晶化することで平衡水分率が3.5%以上になるような添加量であっても特性の湿度依存性は低く抑えることが出来る。平衡吸水率が3.5%未満では層状化合物添加の効果が小さく、10%を超える添加量は過剰であり好ましい特性が得られない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、相対湿度35%における長手方向(MD)の弾性率が1.7〜3.5GPaの範囲にあることが好ましい。層状化合物を含有しないポリアミド樹脂フィルムは高湿度下では伸度が大きくなり延性が高いが、逆に低湿度下では伸度が低く脆い傾向があった。MD方向の弾性率を高めるためにはMD方向だけではなくTD方向の延伸倍率も高める必要があるなど、延伸条件の面でも限界があった。本発明記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、高湿度下ではの延性を維持しつつ弾性率の低下を抑え、かつ低湿度下での弾性率と伸度を改善することを可能とする。MD弾性率1.7GPa未満では改善効果が小さく、3.5GPaを超えると他の特性とのバランスがとりにくくなるため、好ましくない。
本発明における二軸延伸フィルムは耐ピンホール性に優れており、23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることが好ましい。耐ピンホール性に対して影響を与えるのは、主に延伸条件であり、その中でも特にTD延伸時の温度を高くしすぎないことが好ましい。TD延伸性が悪い場合には温度を上げる場合があるが、延伸温度を低温結晶化温度を超えて上げすぎると、充分な延伸が出来ないまま部分的に結晶化が進み、微細領域での厚みむらやピンホールが発生しやすくなる。また、得られたフィルムもピンホールが発生しやすくなる。TD延伸温度について、具体的には155℃以下であることが好ましい。155℃を超えるとフィルムが脆くなり、耐ピンホール性が悪化するため好ましくない。
JISK7105に準ずる方法で、試料を、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をヘイズとした。
未配向ポリアミド樹脂シートを液体窒素中で凍結し、減圧解凍後にセイコー電子社製DSCを用い、昇温速度20℃/分で測定した。
TAインストルメンツ製TGAを用いて、サンプル量0.1g、窒素気流下、昇温速度20℃/分、500℃まで昇温させた後の重量残渣を求めた。
フィルム の任意の3箇所より小片を切り取り、除電ブロワーで塵などを注意深く取り除いた。この熱接着層表面を非接触型三次元形状測定装置(Micromap社製、Micromap557)で測定した。光学系にはミロー型二光束干渉対物レンズ(10倍)とズームレンズ(BodyTube、0.5倍)を使用し、5600オングストロームの光源を用いて、2/3インチCCDカメラで受光した。測定はWAVEモードで行い、1619μm×1232μmの視野を640×480ピクセルのデジタル画像として処理した。画像の解析には解析ソフトウェア(Micromap123、バージョン4.0)を用いて、1次関数モードで傾斜除去(Detrending)した。これにより上記3サンプルの表裏それぞれ5視野(合計30視野)の算術平均表面粗さを測定して、その平均値を表面粗さ(Sa)とした。
JIS K 7125記載の摩擦係数の試験方法により測定した。フィルム の任意の5箇所よりサンプル10枚を切り取り、フィルム の表裏両面を対向させて測定した。滑り片に加える荷重より計算される法線方向の応力は0.5N/cm2とし、合計5回の平均値を静摩擦係数とした。なお、測定環境は23℃、65%RHとした。
光沢度(グロス )はJIS K8741に準じて、100×100mmの大きさの試験片をとり、光沢計(グロス メーターモデル1001DP(日本電色工業(株)製))を用いて85度鏡面光沢度を測定した。値は表面と裏面の平均値とした。
JIS K 7113に準ずる。フィルムの長手方向および幅方向に幅10mm、長さ100mmの試料を、剃刀を用いて切り出して試料とした。23℃、35%RHの雰囲気下で12時間放置したあと、測定は23℃、35%RHの雰囲気下、チャック間距離40mm、引っ張り速度200mm/分の条件で行い、5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG5000Aを用いた。
理学工業(株)社製のゲルボフレックステスターを使用し、下記の方法により耐屈曲疲労性を測定した。ゲルボフレックステスター(理化学工業(株)製)を使用して、試験を行った。まず、得られたフィルムサンプルを直径8.89cm(3.5インチ)の固定ヘッドと、固定ヘッドから17.78cm(7インチ)離れて平行に配置されている同径の可動ヘッドに円筒状に取り付けた。可動ヘッドの真ん中に取り付けたシャフトで、可動ヘッドの動きをコントロールする。最初、可動ヘッドを440度ひねりながら固定ヘッドに8.89cm(3.5インチ)近づけ、次に水平運動で固定ヘッドに更に6.35cm(2.5インチ)近づけた後、正反対の動きで元の状態に戻した。このサイクルを1回として、23℃、60%RHで40回/分の速さで1000回行った。1000回繰り返し実施後のピンホール個数を測定した。個数の測定方法は以下の方法で行った。フィルムをろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
96%硫酸溶液 25mlに対し、0.25gのナイロンレジンを溶解し、20℃にて相対粘度を測定した。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
フィルムを液体窒素で冷却してから取り出してすぐにフェザー刃でキャストフィルムまたは延伸フィルムの幅方向に切り出して断面を得た。この断面を、光学顕微鏡(オリンパス製BX60)を用いて観察し、5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚みとして求めた。全層数は同様の方法により求めた。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−800:相対粘度RV=2.5、滑剤不含)と層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(NanopolymerComposite Corp.製NF3040、層状化合物の添加量:4%(無機分2.6%)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させた後、重量比1/1でブレンドした。次に、ブレンドしたペレットを二台の押出機に供給した。270℃で溶融し、275℃の16エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に270℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。二台の押出機の吐出量の比率は1:1とした。未延伸シートの厚みは180μm、幅方向中央部の各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず65℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度65℃で変形速度16000%/分で2.5倍にMD延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、余熱ゾーン65℃、延伸ゾーン135℃で3.8倍にTD延伸し、210で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ12μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
表1に記載の条件でサンプルを作製した。また実施例のフィルム特性などを表1に、比較例のフィルム特性などを表2に示す。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物の添加量:4%(無機分2.6%)、有機処理モンモリロナイトの粉末(Cloisite 30B、Southern Clay Products製)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させた後、層状無機化合物の添加量が8%となるようでドライブレンドした後、二軸押出機に投入し、275℃で溶融混合した。得られた樹脂のペレットを再度、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させた。この樹脂を押出機に供給し、275℃で溶融し、275℃の16エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に270℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは180μm、幅方向中央部の各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず45℃の温度で予熱処理を行い、ついで、表面温度85℃のロールで変形速度4500%/分で3.2倍にMD延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、余熱ゾーン110℃、延伸ゾーン130℃で3.8倍にTD延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表1に示す。
ナイロン6樹脂のペレット(東洋紡績(株)製T−800:相対粘度RV=2.5、滑剤不含)、滑剤としてのシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させた後、270℃の押出機で混合し、滑剤濃度1000ppmとなるように275で溶融混合した。得られた樹脂のペレットを再度、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させた。この樹脂を押出機に供給し、275℃で溶融し、275℃の16エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に270℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは180μm、幅方向中央部の各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず45℃の温度で予熱処理を行い、ついで、表面温度60℃のロールで変形速度16000%/分で3.2倍にMD延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、余熱ゾーン110℃、延伸ゾーン130℃で3.8倍にTD延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表2に示す。
Claims (5)
- 層状化合物を含む無機物が0.3〜10重量%添加された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであって、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおいて使用されるポリアミド樹脂はナイロン6、ナイロン66、及びメタキシリレンジアミン系ナイロンから選ばれる一種の樹脂であり、層状化合物が面内に配向しており、ヘイズが1.0〜20%、相対湿度35%RHでの長手方向の弾性率が1.7〜3.5GPa、表面粗さ(Sa)が0.01〜0.1μm、法線応力0.5N/cm2での静摩擦係数(F/B)が0.3〜1.0であり、フィルムの幅方向中央部分の屈折率をNyとするとき、縦延伸前のシートのNyであるNy(A)と縦延伸後のシートのNyであるNy(B)との差Ny(A)-Ny(B)が0.001以上であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 50〜155℃の横延伸温度で横延伸されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 2000%/分以下の速度で縦延伸されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 縦方向の延伸が一段または二段延伸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
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