JP2010132744A - 二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】層状化合物を含む無機物が0.3〜20重量%添加されてなる二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであり、層状化合物が面内に配向しており、フィルムの面配向(ΔP)が0.057〜0.075であり、フィルムの突き刺し強度/厚みの値が0.88〜2.50(N/μm)であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
【選択図】なし
Description
1. 層状化合物を含む無機物が0.3〜20重量%添加されてなる二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであり、層状化合物が面内に配向しており、フィルムの面配向(ΔP)が0.057〜0.075であり、フィルムの突き刺し強度/厚みの値が0.88〜2.50(N/μm)であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
2. 縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積により求められる二軸延伸による面積換算の延伸倍率が8.5倍以上であることを特徴とする上記第1記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
3. 二軸延伸が縦延伸−横延伸の順の逐次二軸延伸であり、フィルムの幅方向中央部分の屈折率をNyとするとき、縦延伸前のシートのNyであるNy(A)と一軸延伸後のシートのNyであるNy(B)との差Ny(A)-Ny(B)が0.003以上であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
(ポリアミド樹脂)
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、環状ラクタムの開環重合体、ジアミンとジカルボン酸の縮合物、アミノ酸類の自己縮合物など特に限定されないが、例示すると、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン612、メタキシリレンジアミン系ナイロンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また共重合型ポリアミド樹脂を使用することも可能である。具体的にはメタキシリレンジアミンを共重合したナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I共重合体、ナイロン6/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン11/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン12/ポリアルキレングリコール樹脂、ナイロン6/MXD6共重合体などの芳香族系ポリアミド樹脂が挙げられるがその他の成分を共重合したものも使用可能であるが、好ましくはナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン系ナイロンが好ましい。特にメタキシリレンジアミン系ナイロン樹脂からなる層を少量積層させることでガス透過率を大幅に低減でき、本発明における好ましい例の一つである。
層状化合物としては膨潤性雲母、クレイ、モンモリロナイト、スメクタイト、ハイドロタルサイトなどの層状化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、無機、有機にかかわらず使用できる。
1.層間挿入法:
1)モノマー挿入重合法
2)ポリマー挿入法
3)有機低分子挿入(有機膨潤)混練法
2.In-situ法:In-situフィラー形成法(ゾルーゲル法)
3.超微粒子直接分散法
などが挙げられる。市販の材料としては、Nanopolymer Composite Corp.製のCress Alon NF3040、NF3020、宇部興産製のNCH 1015C2、Nanocor製Imperm103、Imperm105などが挙げられる。ポリアミド樹脂中に含まれる層状化合物の粗大物の発生を抑制するために層状化合物の分散性を高めることを目的に各種の有機処理剤で層状化合物は処理されることが好ましいが、溶融成形時の処理剤の熱分解による悪影響を避けるために、熱安定性の良い低分子化合物の使用や低分子の化合物を使用しないモノマー挿入重合法などの方法を用いて得られたものが好ましい。熱安定性については、処理を行った層状化合物の5%重量減少温度が150℃以上の化合物が好ましい。測定にはTGAなどが使用できる。熱安定性の低いものでは、フィルム中に気泡が発生したり、着色の原因となったりするため好ましくない(挑戦するナノテク材料 用途展開の広がるポリマーナノコンポジット、発行:住ベ・筒中テクノ(株)ご参照)。
本発明における層状無機化合物を含有する樹脂の延伸において、一般的に経済的な面で利点のある逐次二軸延伸を用いて延伸する際の問題については、(1)縦方向(以下MDと略)の延伸において、延伸時の熱で結晶化が進み、一軸延伸後に横方向(以下TDと略)の延伸性が失われてしまう、(2)TD延伸時に破断が起こる、(3)TD延伸後の熱固定時に破断が起こる、の3点が挙げられるが、(1)については、TD延伸が可能なMD延伸条件とTD延伸が不可なMD延伸条件を整理したところ、MD延伸後の一軸延伸シートの幅方向の屈折率(Y軸方向の屈折率、以下Nyと略)に違いがあることがわかった。具体的にはTD延伸可能な一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyが小さくなっているのに対して、TD延伸ができない(すなわちTD延伸時に白化する、または破断してしまう)一軸延伸シートのNyはMD延伸後にNyの変化が小さいあるいは変化が見られないことがわかった。通常のポリアミド樹脂の延伸においては、MD延伸後のNyはMD延伸時に幅方向にネックインが起こると同時にNyが小さくなるが、層状化合物が添加されている場合にはネックインは起こるがその層状化合物とポリアミド樹脂分子との相互作用でNyが小さくなりにくい傾向があることがわかった。これは、延伸前のフィルムの分子鎖はMD、TD方向にランダムに向いているため、MD延伸で分子鎖がMD方向に引き延ばされる際にはTD方向への力も発生するが、通常のポリアミド樹脂の延伸ではTD方向にネックインすることでTD方向にもかかる力を逃がすことができる一方、層状化合物を含有するポリアミド樹脂の場合には、分子鎖が層状化合物に拘束されているためにTD方向の力を逃がすことができずに、あたかもTD方向にも分子鎖が引き延ばされた様な状態になってしまうためや、MD延伸の際に層状化合物が回転し、それによりMD方向以外の方向にも分子が引っ張られるためと考えられた。すなわち一軸延伸後に面配向が既に高い状態にある。このため、続いて行うTD延伸時の延伸応力が高くなり破断してしまうものと考えられた。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、本質的には層状化合物が均一に分散されたポリアミド樹脂層を有する未延伸ポリアミド樹脂シートを延伸して得られるものであり、基本的には単層構成のものでも延伸可能であるが、工業的な側面からは多層化されたシートを延伸するほうが好適である。
全層数や層の厚みについて、層数の下限は、6層以上がより好ましく、8層以上が更に好ましい。6層未満では、層状化合物の延伸前の状態での面内配向が低く、また、延伸応力の低減に対しても効果が小さいため、好ましくない。
本発明において前述のポリアミド樹脂を多層化する際に、一般に採られる異種の樹脂を積層する以外に、同種の樹脂を積層することも可能である。ここで、同種の樹脂を後述の方法で多層化することに物理的な意味を見出すことが一見したところ難しいかもしれないが、実際の系において、同種の樹脂を同一の温度において溶融押出し積層した場合においても層の界面は消えずに延伸後においても存在する。これは射出成型品のウエルドラインを消すことが非常に難しいことと同義である。このように同種の樹脂であっても多層状態が維持され、厚み方向での分子の絡み合いを低く抑えることを維持できる。同種の樹脂を溶融押出し積層した際の層の界面の存在を確認する方法としては、サンプルを氷や液体窒素で冷却後、カミソリなどで切り出し断面を作製後、それをアセトンなどの溶剤に浸漬後に断面を顕微鏡で観察する方法などで観察できる。
本発明の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムはTダイより溶融押出しした未延伸のシートを逐次二軸延伸、同時二軸延伸により延伸できるほか、チューブラー方式など方法が使用可能であるが、十分な配向を行わせるためには、二軸延伸機による方法が好ましい。特性と経済性などの面からみて好ましい方法は、ロール式延伸機で縦方法に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)が挙げられる。また、MD延伸については、前述のとおりTD延伸性を改善するためにMD延伸の際にNyを小さくすることが好ましいことを述べたが、MD延伸倍率を上げつつ、Nyを小さくするためにはMD多段階延伸を使用することが好ましい。
熱固定温度が150℃未満の低温の場合は、フィルムの熱による熱固定化の効果が小さく不適切である。一方、250℃を超える高温では、ポリアミドの熱結晶化に起因する白化による外観不良および機械的強度の低下を引き起こし不適切である。
MD延伸速度を大幅に下げる方法としては、MD延伸速度を2000%/分以下にすることが好ましい。さらには1000%/分以下であることが好ましい。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは二軸延伸・熱固定・弛緩処理後の面配向(ΔP)が0.057〜0.075、好ましくは0.059〜0.07であることが好ましい。面配向は屈折率計より複屈折を求め、長手方向の屈折率をNx、幅方向の屈折率をNy、厚み方向の屈折率をNzとするとき、長手方向の屈折率をNx、幅方向の屈折率をNy、厚み方向の屈折率をNzとするとき、以下の式により求められる。
ΔP=(Nx+Ny)/2-Nz
面配向の増加は二軸延伸倍率、特にTD延伸倍率を高めることで可能であり、面配向が0.057未満では突き刺し強度が低下し、好ましくない。また0.075を超えると生産性が低下するため、好ましくない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの突き刺し強度は、突き刺し強度/厚み(N/μm)の値が0.80〜2.0の関係式を満たすことが好ましい。突き刺し強度が0.80N/μm未満では突き刺し強度が低く、本発明の目的に対して好ましくない。さらには0.90以上であることが好ましい。また上限は1.80以下であることが好ましい。1.80を超える製造条件では操業性が低下するため、好ましくない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムのヘイズは1.0〜20%の範囲にあることが好ましい。延伸時のヘイズが1.0%未満では、安定して製造することが困難であり好ましくない。ヘイズが20%を超えると、使用時の内容物などが見えにくくなる以外に、意匠性が低下するため好ましくない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは160℃、10分での熱収縮率が縦方向、横方向いずれも-3〜3%の範囲にあることが好ましい。熱収縮率をゼロに近づけるためには、延伸条件や熱固定条件の最適化のほか、層の厚みの最適化することが好ましい。延伸性の改善のためには各層の厚みが小さいほうが有利であるが、層が薄くなりすぎると、熱固定などにより熱収縮率を低減できなくなり、目的とする熱収縮率にあわせて層構成を決定することが好ましいが、熱収縮率と延伸性の両立のためには、延伸前の各層の厚みが1〜30μmの範囲内がより好ましく、更に好ましくは2〜20μmの範囲内である。前記熱収縮率の下限値は0%以上がより好ましく、0.1%以上が更に好ましい。上限値は3.0%以下が好ましく、2.5%以下が更に好ましい。
本発明における二軸延伸フィルムは耐ピンホール性に優れており、23℃でのゲルボフレックス試験1000回後のピンホール数が0〜30個であることが好ましい。耐ピンホール性に対して影響を与えるのは、主に延伸条件であり、その中でも特にTD延伸時の温度を高くしすぎないことが好ましい。TD延伸性が悪い場合には温度を上げる場合があるが、延伸温度を低温結晶化温度を超えて上げすぎると、充分な延伸が出来ないまま部分的に結晶化が進み、微細領域での厚みむらやピンホールが発生しやすくなる。また、得られたフィルムもピンホールが発生しやすくなる。TD延伸温度について、具体的には155℃以下であることが好ましい。155℃を超えるとフィルムが脆くなり、耐ピンホール性が悪化するため好ましくない。
本発明における二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、25℃、相対湿度35%から25℃、相対湿度85%に変化させた場合の寸法変化が縦および横方向のいずれにおいて0.1〜1.0%の範囲にあることが好ましい。幅方向の熱収縮率や吸湿寸法変化率は、熱固定時の幅方向の弛緩率により若干の調整が可能であるが、縦方向については本質的な問題であり、特に逐次二軸延伸においては、その吸湿寸法変化率を小さくすることは他の特性とのバランス化を考えると非常に困難である。従来のポリアミド樹脂は分子鎖間のアミド基による水素結合が水により切れて寸法変化を起こしやすくなるが指摘されているが、層状化合物を均一に分散させたポリアミド樹脂は、層状化合物と分子鎖中のアミド基との相互作用により、水による影響を低減したものであり、これらを使用することで吸湿寸法変化を抑制することは可能であると推定できるが、従来では適当な延伸方法が存在しなかったことから実際での実現は達成されていなかった。本発明における多層構造としたシートを延伸することにより、高度の吸湿時の寸法安定性の付与が可能となったものである。
TAインストルメンツ製TGAを用いて、サンプル量0.1g、窒素気流下、昇温速度20℃/分、500℃まで昇温させた後の重量残渣を求め、その値を層状化合物含有量とした。
未配向ポリアミド樹脂シートを液体窒素中で凍結し、減圧解凍後にセイコー電子社製DSCを用い、昇温速度20℃/分で測定した。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、50個の層状化合物を無作為に抽出し、それぞれの傾きを評価した。 いずれの層状化合物の傾きのばらつきが角度20度以下におさまる場合、面内に配向しているとした。面内で配向しているものを○、配向していないものを×と記載した。
JIS K 7113に準ずる。フィルムの長手方向および幅方向に幅10mm、長さ100mmの試料を、剃刀を用いて切り出して試料とした。23℃、35%RHの雰囲気下で12時間放置したあと、測定は23℃、35%RHの雰囲気下、チャック間距離40mm、引っ張り速度200mm/分の条件で行い、5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG5000Aを用いた。
理学工業(株)社製のゲルボフレックステスターを使用し、下記の方法により耐屈曲疲労性を測定した。ゲルボフレックステスター(理化学工業(株)製)を使用して、試験を行った。まず、得られたフィルムサンプルを直径8.89cm(3.5インチ)の固定ヘッドと、固定ヘッドから17.78cm(7インチ)離れて平行に配置されている同径の可動ヘッドに円筒状に取り付けた。可動ヘッドの真ん中に取り付けたシャフトで、可動ヘッドの動きをコントロールする。最初、可動ヘッドを440度ひねりながら固定ヘッドに8.89cm(3.5インチ)近づけ、次に水平運動で固定ヘッドに更に6.35cm(2.5インチ)近づけた後、正反対の動きで元の状態に戻した。このサイクルを1回として、23℃、60%RHで40回/分の速さで1000回行った。1000回繰り返し実施後のピンホール個数を測定した。個数の測定方法は以下の方法で行った。フィルムをろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
アイティー計測(株)製動的粘弾性測定装置により測定し、測定長30mm、変位0.25%周波数10Hzで、かつ測定環境温度を5℃および23℃の2通りの条件で測定した。サンプルは、フィルム幅方向と平行に長さ40mm×幅5mmに切り出し、2箇所の値の平均値を用いた。また、tanδの算出は、次式により行った。
tanδ=複素弾性率の虚数部/複素弾性率の実数部
JISK7105に準ずる方法で、試料を、ヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をヘイズとした。
96%硫酸溶液 25mlに対し、0.25gのナイロンレジンを溶解し、20℃にて相対粘度を測定した。
フィルムを液体窒素で冷却してから取り出してすぐにフェザー刃でキャストフィルムまたは延伸フィルムの幅方向に切り出して断面を得た。この断面を、光学顕微鏡(オリンパス製BX60)を用いて観察し、5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚み(A)として求めた。全層数は同様の方法により求めた。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製、FDLUR−V)上に記録した。画像より、各層の界面の間隔より最大厚みを有する層の厚みを測定した。画像より、層状化合物の密度の濃淡より、各層を決定し、5〜20層分の層の厚みを層数で割った値を層の厚み(A)として求めた。全層数は層厚みを層の厚み(A)で割った値として求めた。
酸素透過度測定装置(「OX−TRAN 10/50A」Modern Controls社製)を使用し、湿度65%、温度23℃で測定した。得られた結果は厚み15μmでの値に換算した値を酸素透過率(cc/m2/day/atm)とした。15μm厚みでの値への換算は、
(15μm厚み換算のOTR)=(実測OTR)×(フィルム厚み、μm)/15(μm)
として求めた。
食品衛生法の規定に従い、試料を円筒状冶具に固定し、試料面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重(N)を測定した。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%(無機分2.6%)を100℃で一晩真空乾燥させた後、二台の押出機に供給した。285℃で溶融し、285℃の10エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に280℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。二台の押出機の吐出量の比率は1:1とした。未延伸シートの厚みは240μm、幅方向中央部の各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず45℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度85℃で変形速度4500%/分で3.5倍にMD延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、余熱ゾーン65℃、延伸ゾーン135℃で3.8倍にTD延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ18μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
表1に記載の条件でサンプルを作製した。実施例3、5および6はMD二段延伸後にTD延伸を行った。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。またフィルム特性などを表1に示す。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%(無機分2.6%)有機処理モンモリロナイトの粉末(Cloisite 30B、Southern Clay Products製)をそれぞれ100℃で一晩真空乾燥させた後、重量比92/8でドライブレンドした後、二軸押出機に投入し、285℃で溶融混合した。得られた樹脂のペレットを再度、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させた。この樹脂を押出機に供給し、285℃で溶融し、280℃の16エレメントのスタティックミキサーを用いて同種の樹脂を積層し、20℃に調整した冷却ロールにシート状に270℃に加熱したTダイから押出し、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは180μm、幅方向中央部の各層の厚みは約1μmであった。このシートのTgは35℃、融点が225℃であった。このシートをまず45℃の温度で予熱処理を行い、ついで、表面温度85℃のロールで変形速度2000%/分で3.0倍にMD延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、余熱ゾーン110℃、延伸ゾーン135℃で3.8倍にTD延伸し、210℃で熱固定および5%の横弛緩処理を施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
層状化合物としてモンモリロナイトを均一に分散させたナイロン6樹脂のペレット(Nanopolymer Composite Corp.製NF3040、層状化合物添加量:4%)を100℃で一晩真空乾燥させた。次に、単層インフレ製膜機を用いて製膜した。ペレットを押出機に供給し、275℃で溶融した。ついで、275℃に加熱した環状ダイから押出し、空冷しつつ、吐出量、巻取り速度、チューブ径から面積換算での延伸倍率2倍になるよう調節した。チューブの中央部を裁断して厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。このときのフィルム物性を表2に示す。
表2に記載の条件でサンプルを作製した。比較例2、4ではスタティックミキサーを用いず単層とした。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。またフィルム特性などを表2に示す。
Claims (3)
- 層状化合物を含む無機物が0.3〜20重量%添加されてなる二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムであり、層状化合物が面内に配向しており、フィルムの面配向(ΔP)が0.057〜0.075であり、フィルムの突き刺し強度/厚みの値が0.88〜2.50(N/μm)であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積により求められる二軸延伸による面積換算の延伸倍率が8.5倍以上であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
- 二軸延伸が縦延伸−横延伸の順の逐次二軸延伸であり、フィルムの幅方向中央部分の屈折率をNyとするとき、縦延伸前のシートのNyであるNy(A)と一軸延伸後のシートのNyであるNy(B)との差Ny(A)-Ny(B)が0.003以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム。
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- 2008-12-03 JP JP2008308396A patent/JP5613976B2/ja active Active
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