JPH09142035A - 可逆性感熱発色組成物、およびそれを用いた可逆性記録媒体 - Google Patents

可逆性感熱発色組成物、およびそれを用いた可逆性記録媒体

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JPH09142035A
JPH09142035A JP8250824A JP25082496A JPH09142035A JP H09142035 A JPH09142035 A JP H09142035A JP 8250824 A JP8250824 A JP 8250824A JP 25082496 A JP25082496 A JP 25082496A JP H09142035 A JPH09142035 A JP H09142035A
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浩美 古屋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定な発色性と消色性を保持し、高速消去に
対応できる可逆性感熱発色組成物および可逆性感熱記録
媒体を提供すること。 【解決手段】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
合物を用い、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度の
違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成
しうる可逆性熱発色性組成物において、電子受容性化合
物として下記一般式(I)で表される芳香族カルボン酸
化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱発色組成
物。 【化1】 式中、rは1または2を示す。Xは、−NH−、−O
−、−S−または−SO2−で表される基を少なくとも
一個以上有する2価の基を表す。また、R0は、水酸
基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水
素原子を表し、R1は置換基を有していてもよい脂肪族
炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳
香環を含んでいてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子供与性呈色性
化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した
可逆性感熱発色性組成物に関する。また本発明は、その
可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御する
ことにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子供与性呈色性化合物(以下、
発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物
(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した
感熱記録媒体は広く知られており、ファクシミリ、ワー
ドプロセッサー、科学計測器などのプリンターに使用さ
れている。しかし、これらの実用化されている従来の記
録媒体はいずれも不可逆的な発色であり、一度記録した
画像を消去して繰り返して使用することはできない。
【0003】一方、特許公報によれば発色と消色を可逆
的に行うことができる記録媒体も提案されており、たと
えば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールを組
み合わせを用いるもの(特開昭60−193691号公
報)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレ
インなどの化合物を用いるもの(特開昭61−2376
84号公報)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの
均質相溶体を記録層に含有するもの(特開昭62−13
8556号公報、特開昭62−138568号公報およ
び特開昭62−140881号公報)、顕色剤にアスコ
ルビン酸誘導体を用いたもの(特開昭63−17368
4号公報)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸
または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの
(特開平2−188293号公報および特開平2−18
8294号公報)などが開示されている。しかしなが
ら、以上に示した従来の可逆性感熱記録媒体は、発色の
安定性と消色性の両立という点、あるいは発色の濃度や
繰り返しにおける安定性という点で問題を残しており、
実用的な記録媒体として満足し得るものではない。本発
明者らは、先に特開平5−124360号公報において
顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化
合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物
を用い、これと発色剤であるロイコ染料と組み合わせる
ことによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に
行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を
常温において安定に保持させることが可能であり、しか
も発色と消色を安定して繰り返すことが可能な可逆性感
熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記
録媒体を提案した。これは発色の安定性と消色性のバラ
ンスや発色濃度の点で実用レベルの性能を持つものであ
るが、さらに広範囲な使用環境への対応や発色消色条件
の適用範囲の面で改良すべき余地があった。その後、長
鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物についての
特定の構造の使用が提案されているが(特開平6−21
0954)、これも同様の問題を持っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、安定
な発色性と消色性を保持し、高速消去に対応できる可逆
性感熱発色組成物および可逆性感熱記録媒体を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な発色剤と顕色剤の組成物の可逆的な発色消色現象で
は、長鎖脂肪族基をもつ顕色剤の発色剤を発色させる能
力と分子間の凝集力のバランスが重要であると考え、種
々の構造の化合物を検討した。その結果、特定の構造の
芳香族カルボン酸化合物を顕色剤として用いることによ
り、上記の課題が解決できることを見出した。
【0006】したがって、本発明により(1)「電子供
与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度
およびまたは加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発
色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性熱発色性
組成物において、電子受容性化合物として下記一般式
(I)で表される芳香族カルボン酸化合物を用いたこと
を特徴とする可逆性感熱発色組成物。
【0007】
【化4】 式中、rは1または2を示す。Xは、−NH−、−O
−、−S−または−SO2−で表される基を少なくとも
一個以上有する2価の基を表す。また、R0は、水酸
基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水
素原子を表し、R1は置換基を有していてもよい脂肪族
炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳
香環を含んでいてもよい。」、(2)「電子供与性呈色
性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度およびま
たは加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状
態と消色した状態を形成しうる可逆性熱発色性組成物に
おいて、電子受容性化合物として下記一般式(II)で
表される芳香族カルボン酸化合物を用いたことを特徴と
する可逆性感熱発色組成物。
【0008】
【化5】 式中、rは1または2を、tは0または1を示す。Y
は、−NH−、または−S−で表される基を少なくとも
一個以上有する2価の基を表す。また、R0は、水酸
基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水
素原子を表し、R1は置換基を有していてもよい脂肪族
炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳
香環を含んでいてもよい。」、(3)「電子供与性呈色
性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度およびま
たは加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状
態と消色した状態を形成しうる可逆性熱発色性組成物に
おいて、電子受容性化合物として下記一般式(III)
で表される芳香族カルボン酸化合物を用いたことを特徴
とする可逆性感熱発色組成物。
【0009】
【化6】 式中、rは1または2を、tは0または1を示す。Zお
よびWは、それぞれ少なくとも1つのヘテロ原子を含む
2価の基を表し、これらは同一であっても異なっていて
もよい。また、R0は水酸基、アルキル基、アルコキシ
基ハロゲン原子または水素原子を表し、R1、R2および
3は、おのおの置換基を有していてもよい脂肪族炭化
水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳香環
を含んでいてもよい。」、(4)「前記(1)、(2)
又は(3)の可逆性感熱発色組成物を主成分として含有
する記録層を支持体上に設けたことを特徴とする可逆性
感熱記録媒体。」が提供される。
【0010】一般式(I)で表される化合物についてさ
らに詳細に説明する。R1は置換基を有していてもよい
脂肪族炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素
鎖に芳香環を含んでいてもよい。また、脂肪族炭化水素
基は直鎖でも分岐していてもよく、不飽和結合を有して
いてもよい。脂肪族炭化水素基につく置換基としては、
水酸基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。
【0011】またR1の脂肪族炭化水素基の脂肪族炭化
水素から構成される主鎖の炭素数が7以下では発色の安
定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好まし
く、11以上であることがより好ましい。R1の好まし
い例としては以下のものが挙げられる。
【0012】
【化7】 尚、式中のq,q’,q”,q"'はそれぞれ前記R1
炭素数を満足する整数を表す。また、式中の脂肪族炭化
水素基の主鎖は炭素数が8以上であり、q,q”はそれ
を満足する整数を表わす。
【0013】R2、R3は、置換基を有していてもよい脂
肪族炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖
に芳香環を含んでいてもよい。また、脂肪族炭化水素基
は直鎖でも分岐していてもよく、不飽和結合を有してい
てもよい。脂肪族炭化水素基につく置換基としては、水
酸基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。
【0014】
【化8】 尚、式中のq,q’,q”,q"'はそれぞれ前記R1
炭素数を満足する整数を表す。また、式中の脂肪族炭化
水素基の主鎖は炭素数が8以上であり、q,q”はそれ
を満足する整数を表わす。また、Xは、
【0015】
【化9】 で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表
す。Xの例としては、下記のものが挙げられる。
【0016】
【化10】 本発明で用いられる式(I)で示される芳香族カルボン
酸化合物の好ましい例としては、下記式(1)〜(4)
で表される化合物が挙げられる。
【0017】
【化11】
【0018】
【化12】
【0019】
【化13】
【0020】
【化14】 式中のnは8〜22を示す。またR0は水酸基、アルキ
ル基、ハロゲン原子または水素原子を表す。本発明の一
般式(I)で示される芳香族カルボン酸化合物のさらに
具体的な例としてはたとえば式(1)の例として表1に
示した化合物が挙げられる。また、ここでは構造式で示
さないが他の式(2)〜(4)で表される化合物の場合
も、表1に示される化合物におけるXと同様なXを有す
るものが具体例として挙げられる。しかし、本発明は何
等これらに限定されるものではない。以下、表1に顕色
剤構造の具体例を示す。
【0021】
【表1】
【0022】また、さらに具体的な芳香族カルボン酸化
合物として、たとえば表1中の一般式で表された下記化
合物を例にとり、その具体的な化合物を表2に挙げる。
尚、ここでは構造式で示さないが表1中の他の式で表さ
れる化合物についても表2中に示されるnと同様なnを
有するものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0023】
【化15】 (nは8〜22の整数) 以下、顕色剤の具体例を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】また、一般式(II)で表される化合物に
ついてさらに詳細に説明する。式中、r、R0、R1は式
(I)と同様なものが挙げられる。tは0または1を示
し、Yは、−NH−、または−S−で表される基を少な
くとも一個以上有する2価の基を表す。Yの例として
は、下記のものが挙げられる。
【0026】
【化16】
【0027】本発明で用いられる一般式(II)で示さ
れる芳香族カルボン酸化合物の好ましい例としては、下
記式(5)、(6)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】 式中のr、R0、R1は前記と同様である。また、とくに
好ましい例としては下記式で表される化合物が挙げられ
る。
【0030】
【化19】
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】
【化23】
【0035】
【化24】
【0036】
【化25】
【0037】
【化26】 (式中のR0,R1は前記と同様である。) 本発明の一般式(II)で示される芳香族カルボン酸化
合物のさらに具体的な例としては、たとえば式(11)
を例として表3に示した化合物が挙げられる。また、こ
こでは構造式で示さないが他の式(7)〜(10)およ
び(12)〜(14)で表される化合物の場合も表3に
おけるR0,R1と同様なR0,R1を有するものが具体例
として挙げられる。しかし、本発明は何等これらに限定
されるものではない。以下、表3に顕色剤構造の具体例
を示す。
【0038】
【表3】
【0039】また、さらに具体的な芳香族カルボン酸化
合物として、たとえば表3中の一般式で表された下記化
合物を例にとり、その具体的な化合物を表4に挙げる。
尚、ここでは構造式で示さないが表3中の他の式で表さ
れる化合物についても表4中に示されるnと同様なnを
有するものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0040】
【化27】 (式中nは前記と同様である) 以下、表4に顕色剤の具体例を示す。
【0041】
【表4】
【0042】さらにまた、式(III)で表される化合
物についてさらに詳細に説明する。式中、rは1または
2を示し、tは0または1示す。式中、R1、R2および
3は炭化水素基を示し、R1,R2及びR3の炭素数の和
は8以上を示す。また、ZおよびWはヘテロ原子を含む
2価の基を表す。R1,R2およびR3は置換基を有して
いてもよい炭化水素基を示し、これらは脂肪族炭化水素
基でも芳香族炭化水素基でもよく、またこれらの両方か
ら構成される炭化水素基でもよい。また脂肪族炭化水素
基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有して
いてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸
基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。またR1,R2
びR3の炭素数の和が7以下では発色の安定性や消色性
が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上
であることがより好ましい。R2、R3の好ましい例とし
ては以下のものが挙げられる。
【0043】
【化28】 また、R1の好ましい例としては以下のものが挙げられ
る。
【0044】
【化29】 尚、式中のq,q’,q”,q”'はそれぞれ前記R1
2,R3の炭素数を満足する整数を表す。また、Z及び
Wはヘテロ原子を含む2価の基を示し、好ましくは、
【0045】
【化30】 で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表
す。その例としては、下記のものが挙げられる。
【0046】
【化31】 また、Wはさらにアルキレン等の炭化水素基を介してさ
らに上記の基を1個以上有する2価の基でも良い。すな
わち、以下に示される構造の化合物が挙げられる。
【0047】
【化32】 ここで、R4は前記のR2と同様の2価の基および結合手
を示し、W’はZ及びWと同様の2価の基を表す。また
pは1〜4の整数を表す。このとき繰り返されるW’お
よびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良い。
【0048】本発明で用いられる好ましい芳香族カルボ
ン酸化合物の例としては、下記式(15)〜(18)で
表される化合物が挙げられる。
【0049】
【化33】
【0050】
【化34】
【0051】
【化35】
【0052】
【化36】 式中のR1〜R4、Z、W、W’及びrは前記と同様であ
る。また、とくに好ましい例としては下記式で表される
化合物が挙げられる。
【0053】
【化37】
【0054】
【化38】
【0055】
【化39】
【0056】
【化40】
【0057】
【化41】
【0058】
【化42】
【0059】
【化43】
【0060】
【化44】
【0061】
【化45】
【0062】
【化46】
【0063】
【化47】
【0064】
【化48】
【0065】
【化49】
【0066】
【化50】
【0067】
【化51】
【0068】
【化52】 式中のl,m,n,oはそれぞれ独立に1〜22を示
す。またpは1〜4の整数を表わし、pが2以上の時に
繰り返されるo及びW’は同一であっても異なっていて
も良い。ただしl,m,n,oの和は8以上である。
【0069】本発明における芳香族カルボン酸化合物の
さらに具体的な例としては、たとえば式(27)の例と
して表5に示した化合物が挙げられる。また、他の式
(19)〜(22)および(24)〜(34)で表され
る化合物もこれらと同様なものが具体例として挙げられ
る。しかし、本発明は何等これらに限定されるものでは
ない。以下、表5に顕色構造の具体例を示す。
【0070】
【表5−1】
【0071】
【表5−2】
【0072】
【表5−3】
【0073】
【表5−4】
【0074】
【表5−5】
【0075】
【表5−6】
【0076】
【表5−7】
【0077】
【表5−8】
【0078】
【表5−9】
【0079】
【表5−10】
【0080】
【表5−11】
【0081】
【表5−12】
【0082】
【表5−13】
【0083】
【表5−14】
【0084】
【表5−15】
【0085】
【表5−16】
【0086】
【表5−17】
【0087】
【表5−18】
【0088】
【表5−19】
【0089】
【表5−20】
【0090】
【表5−21】
【0091】また、さらに具体的なフェノール化合物と
してはたとえば以下のものが挙げられる。その例として
表5中の下記式で表される化合物の具体的な例を表6に
挙げる。尚、表5中の他の式で表される化合物について
も同様なものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0092】
【化53】 以下、表6に顕色剤の具体例を示す。
【0093】
【表6−1】
【0094】
【表6−2】
【0095】本発明の可逆性感熱発色組成物は、基本的
に前記の顕色剤と発色剤を組み合わせることによって構
成されるものである。本発明で用いる発色剤は電子供与
性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料
前駆体(ロイコ染料)であり、とくに限定されず、従来
公知のもの、たとえばフタリド系化合物、アザフタリド
系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合
物、ロイコオーラミン経化合物などから選択できる。そ
の発色剤を以下に示す。
【0096】本発明に用いる好ましい化合物として下記
の一般式の化合物がある。
【0097】
【化54】
【0098】
【化55】 (ただし、R1は水素または炭素数1〜4のアルキル
基、R2は炭素数1〜6アルキル基、シクロアキル基ま
たは置換されていてもよいフェニル基を示す。フェニル
基に対する置換基としては、メチル基、エチル基などの
アルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ
基またはハロゲン等が示される。R3は水素、炭素数1
〜2のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲンを表わ
す。R4は水素、メチル基、ハロゲンまたは置換されて
いても良いアミノ基を表わす。アミノ基に対する置換基
としては、例えば、アルキル基、置換されていても良い
アリール基、置換されていても良いアラルキル基を示
す。ここでの置換基はアルキル基、ハロゲン、アルコキ
シ基などである。)このような発色剤の具体例として
は、例えば次の化合物が挙げられる。
【0099】2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ
(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)
フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イ
ソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニ
リノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチル
アミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−
(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2
−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−
N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メ
チル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フル
オラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso
−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリ
ノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプ
ロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル
−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フル
オラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル
−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メ
チル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラ
ン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチ
ル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフ
ルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルア
ミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリ
ノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メ
チルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニ
リノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6
−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチ
ル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピ
ル−p−トルイジノ)フルオラン、
【0100】2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−
N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニ
リノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ク
ロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−
(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミ
ノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−
(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラ
ン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トル
イジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−
メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−
ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチル
アニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N
−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジル
アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラ
ン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N
−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フ
ェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイ
ジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチ
ルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N
−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6
−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルア
ミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラ
ン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジ
メチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−
(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラ
ン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)
フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルア
ニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−
メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルア
ミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラ
ン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリ
ノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エ
チルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メ
チルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エ
チルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プ
ロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−
メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6
−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ア
ミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラ
ン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリ
ノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−
エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−
プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミ
ノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フ
ルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジ
メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−
プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2
−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フ
ルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロ
アニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピ
ル−p−クロロアニリノ)フルオラン、
【0101】2,3−ジメチル−6−ジメトルアミノフ
ルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイ
ジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフ
ルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3
−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−
ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−ク
ロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フル
オラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノ
フルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−
クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−
(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロア
ニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルア
ミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミ
ノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N
−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ
−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、そ
の他。
【0102】本発明において好ましく用いられる他の発
色剤の具体例を示すと以下の通りである。2−アニリノ
−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−
エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリ
ノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2
−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−パルミチル
アミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6
−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾ
イルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フル
オラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−
(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベ
ンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオ
ラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N
−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジ
ルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイ
ジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)
−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−
(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−
メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メト
キシカルボニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トル
イジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−
トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ
−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2
−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−6−ジブチルア
ミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロロ−
6−(N−エチル−pートルイジノ)フルオラン、2−
(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロロ−6−ジエ
チルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリ
フロロメチルアニリノ)−4−クロロ−6−ジエチルア
ミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロ
リジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ピ
ロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−
(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フ
ルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジ
エチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチル
アニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、
2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4’−
ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミ
ノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノ
フルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロ
メチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−
(ジ−N−p−クロロフェニル−メチルアミノ)−6−
ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−
トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオ
ラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オ
クチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジア
リルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エ
トキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、
【0103】ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,
6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロロアニ
リノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−
(ジエチルアミノ)]−9−(o−クロロアニリノ)キ
サンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチ
ルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジ
メチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビ
ス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミ
ノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチ
ルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4
−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−
4,5−ジクロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒド
ロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メ
トキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒ
ドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2
−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2
−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−
(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−
(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3
−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3
−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3
−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−メトキシフェニ
ル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオ
レンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリ
ド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イ
ル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニ
ル)−4−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メ
チルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4
−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3
−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7
−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジ
エチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−
ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−
7−アザフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベ
ンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−
メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、その他。
【0104】本発明の可逆性感熱発色組成物は、加熱温
度およびまたは加熱後の冷却速度により相対的に発色し
た状態と消色した状態を形成しうるものである。この基
本的な発色・消色現像を説明する。図1はこの組成物の
発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消
色状態(A)にある組成物を昇温していくと、溶融し始
める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)とな
る。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま
室温に下げることができ、固まった発色状態(C)とな
る。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態から
の降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消
色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発
色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成され
る。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していく
と発色温度より低い温度T2で消色が起き(Dから
E)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)
に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と
発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて
選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの
発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場
合もある。
【0105】本発明の組成物では、溶融状態から急冷し
て得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで
接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固
体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と
発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集
構造の形成により発色が安定化していると考えられる。
一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状
態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメイン
を形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶
化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した
状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者
が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な
消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消
色及び発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの
温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起
きている。
【0106】本発明の組成物を可逆性感熱記録媒体とし
て用いる場合、発色記録の形成はサーマルヘッドなどに
よりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよ
い。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度
よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しか
し、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結
晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じであ
る。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度ま
たは結晶化温度に保持しないようにするためである。こ
こにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的
なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組み合わせ
により変化する。
【0107】組成物中の発色剤と顕色剤の割合は、使用
する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化する
が、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1か
ら20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲
である、この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色
状態の濃度が低下し問題となる。
【0108】本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体上
に前記の組成物を主成分として含む記録層を設けたもの
である。支持体としては紙、樹脂フィルム、合成紙、金
属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層
を保持できるものであればよい。
【0109】記録層は本発明の組成物が存在していれば
どのようなものでもよいが、一般的にはバインダー樹脂
中に発色剤と顕色剤が細かく均一に分散した状態が用い
られる。発色剤と顕色剤は個々に粒子を形成していても
よいが、より好ましくは複合された粒子として分散され
た状態を形成する。これは発色剤と顕色剤をいったん溶
融したり溶解することによって達成できる。このような
記録層の形成は、各材料をそれぞれ溶剤中で分散溶解し
たのち混合した液、あるいは各材料を混合して溶剤中で
分散又は溶解した液を支持体上に塗布し、乾燥すること
によって行われる。発色剤と顕色剤はマイクロカプセル
中に内包して用いることもできる。
【0110】本発明の可逆性感熱記録媒体には、必要に
応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制
御するための添加剤を用いることができる。これらの添
加剤には、例えば分散剤、界面活性剤、導電剤、充填
剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、発
色安定化剤、消色促進剤などがある。
【0111】記録層の形成に用いられるバインダー樹脂
としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩
化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリ
スチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリ
エステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカ
ーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル
酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重
合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー
樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によ
って片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにあ
る。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂
を用いることが好ましい。例えば熱、紫外線、電子線な
どでバインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0112】本発明の可逆性感熱記録媒体は、基本的に
支持体上に上記の記録層が設けられたものであるが、記
録媒体としての特性を向上するため、保護層、接着層、
中間層、アンダーコート層、バックコート層などを設け
ることができる。
【0113】サーマルヘッドを用いた印字では熱と圧力
のため記録層の表面が変形し、いわゆる打痕ができる場
合がある。これを防止するため表面に保護層を設けるこ
とが好ましい。保護層には、ポリビニルアルコール、ス
チレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエ
チレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホル
ムアルデヒド樹脂のほか、紫外線硬化樹脂、および電子
線硬化樹脂などが使用できる。また、保護層中には紫外
線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。
【0114】記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗
布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層
への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設ける
ことも好ましい。また、記録層の上に設置される保護
層、中間層には酸素透過性の低い樹脂を用いることが好
ましい。記録層中の発色剤及び顕色剤の酸化を防止また
は低減することが可能になる。
【0115】また、印加した熱を有効に利用するため支
持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設ける
ことができる。断熱層は有機又は無機の微小中空体粒子
をバインダー樹脂を用いて塗布することにより形成でき
る。支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層
材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を設ける
こともできる。
【0116】中間層、アンダーコート層には、前記の記
録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。ま
た、保護層、中間層、記録層及びアンダーコート層には
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化
ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの
フィラーを含有させることができる。その他、滑剤、界
面活性剤分散剤などを含有させることもできる。
【0117】本発明の可逆性感熱記録媒体を用いて発色
画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加
熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、
たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱する
と記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し
急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。一方、消
色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱
し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加
熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が
昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色
が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラ、熱スタ
ンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用
いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱
するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパ
ルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録
時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サ
ーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバ
ーライトが可能になる。もちろん、熱ローラ、熱スタン
プによって消色温度域に加熱して消去することもでき
る。
【0118】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。実施例中の「部」および「%」はいずれも重量
を基準とするものである。なお、実施例で用いた本発明
の顕色剤を表7に示した。
【0119】
【表7】
【0120】実施例1 発色剤として、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチ
ルアミノフルオランを用い、顕色剤として表7に示され
た化合物No.1〜No.9を用いて本発明の0成物を
以下のように作成した。まず発色剤と顕色剤を1:2の
混合比(モル比)となるように秤量し、乳鉢で粉砕混合
した。厚さ1.2mmのガラス板をホットプレート上で
温度220℃に加熱した。続いて、溶融混合物の上から
カバーグラスをかぶせ、融液を一様な厚さに広げ、すぐ
にガラス板ごと全体を用意しておいた氷水中に沈め、急
冷した。降温後、すぐに氷水上に取り出し、付着した水
を除き、薄膜状の発色した本発明の組成物を各々得た。
次に、上記の発色状態の組成物試料を140℃に加熱し
たホットプレート上に置くといずれも瞬時に消色した。
再びこの消色した組成物試料を220℃に加熱するとい
ずれも黒色を呈した。このことから本発明の組成物は発
色消色の繰り返し特性を有することが確認された。
【0121】実施例2 下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉
砕分散して記録層塗布液を調整した。 2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン 2部 表7に示されたNo.2の本発明の化合物 8部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (ユニオンカーバイト社製、VYHH) メチルエチルケトン 45部 トルエン 45部
【0122】上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μ
mのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用い塗布
し、乾燥して膜厚約6.0μmの記録層を持つ本発明の
可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0123】実施例3 実施例2において、表7に示されたNo.2の本発明の
化合物のかわりに表7に示されたNo.3の本発明の化
合物を用いた以外は同様にして可逆性感熱記録媒体を作
製した。
【0124】実施例4 実施例2において、表7に示されたNo.2の本発明の
化合物のかわりに表7に示されたNo.4の本発明の化
合物を用いた以外は同様にして可逆性感熱記録媒体を作
製した。
【0125】実施例5 実施例3にいて、2−アニリノ−3−メチル−6ジブチ
ルアミノフルオランのかわりに2−(o−クロロアリニ
ノ)−6−ジブチルアミノフルオランにして可逆性感熱
記録媒体を作製した。
【0126】実施例6 実施例4において、2−アニリノ−3−メチル−6ジブ
チルアミノフルオランのかわりに2−(o−クロロアリ
ニノ)−6−ジブチルアミノフルオランにして可逆性感
熱記録媒体を作製した。
【0127】実施例7 実施例2において、表7に示されたNo.2の本発明の
化合物のかわりに表7に示されたNo.5本発明の化合
物を用いた以外は同様にして可逆性感熱記録媒体を作製
した。
【0128】実施例8 実施例2において、表7に示されたNo.2の本発明の
化合物のかわりに表7に示されたNo.8の本発明の化
合物を用いた以外は同様にして可逆性感熱記録媒体を作
製した。
【0129】実施例9 実施例2において、表7に示されたNo.2の本発明の
化合物のかわりに表7に示されたNo.9の発明の化合
物を用いた以外は同様にして可逆性感熱記録媒体を作製
した。
【0130】これら記録媒体を8ドット/mmのサーマ
ルヘッドによって印加電圧13.3V、印加パルス幅
1.2ミリ秒の条件で印字し発色画像を得た。この発色
画像の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し
測定した。次にこの発色した記録媒体を熱傾斜試験機を
用いて表8に示す消去温度で1秒間加熱したのち濃度を
測定した。これらの結果を表8に示す。表8より、本発
明の記録媒体が、1秒間の加熱で地肌濃度と同レベルま
で消色することがわかる。また印字、消去が安定して繰
り返されることがわかる。したがって、本発明の記録媒
体が高速に消去可能な可逆性感熱記録媒体であることが
明らかになった。
【0131】比較例 本発明の顕色剤の代わりにエイコシルホスホン酸を、ま
た、ロイコ染料として2−アニリノ−3−メチル−6−
(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン用い
た以外は、実施例2と同様にして可逆性感熱記録媒体を
作製した。
【0132】この記録媒体を実施例2と同様に印字、消
去を行った。この記録媒体は、表8に示すように1秒の
加熱では初期地肌濃度まで消色せず、消し残りが生じ
る。また、この発色した記録媒体は、地肌濃度とほぼ等
しい0.16まで低下させるのに1分間の加熱が必要で
あった。
【0133】
【表8】
【0134】
【発明の効果】本発明の可逆性感熱発色組成物は、安定
な発色状態と良好な消色状態を繰り返して形成できるた
め、これを用いた可逆性感熱記録媒体はコントラストの
高い画像の形成と消去が容易な操作により可能になる。
また発色画像は通常の使用条件下で安定であり、記録消
去の繰り返しに対する耐久性も高く、実用性の高い書替
え型記録が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱発色組成物の発色・消色特
性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 筒井 恭治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
    合物を用い、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度の
    違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成
    しうる可逆性熱発色性組成物において、電子受容性化合
    物として下記一般式(I)で表される芳香族カルボン酸
    化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱発色組成
    物。 【化1】 式中、rは1または2を示す。Xは、−NH−、−O
    −、−S−または−SO2−で表される基を少なくとも
    一個以上有する2価の基を表す。また、R0は、水酸
    基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水
    素原子を表し、R1は置換基を有していてもよい脂肪族
    炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳
    香環を含んでいてもよい。
  2. 【請求項2】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
    合物を用い、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度の
    違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成
    しうる可逆性熱発色性組成物において、電子受容性化合
    物として下記一般式(II)で表される芳香族カルボン
    酸化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱発色組成
    物。 【化2】 式中、rは1または2を、tは0または1を示す。Y
    は、−NH−、または−S−で表される基を少なくとも
    一個以上有する2価の基を表す。また、R0は、水酸
    基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水
    素原子を表し、R1は置換基を有していてもよい脂肪族
    炭化水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳
    香環を含んでいてもよい。
  3. 【請求項3】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
    合物を用い、加熱温度およびまたは加熱後の冷却速度の
    違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成
    しうる可逆性熱発色性組成物において、電子受容性化合
    物として下記一般式(III)で表される芳香族カルボ
    ン酸化合物を用いたことを特徴とする可逆性感熱発色組
    成物。 【化3】 式中、rは1または2を、tは0または1を示す。Zお
    よびWは、それぞれ少なくとも1つのヘテロ原子を含む
    2価の基を表し、これらは同一であっても異なっていて
    もよい。また、R0は水酸基、アルキル基、アルコキシ
    基ハロゲン原子または水素原子を表し、R1、R2および
    3は、おのおの置換基を有していてもよい脂肪族炭化
    水素基を表わし、さらにこの脂肪族炭化水素鎖に芳香環
    を含んでいてもよい。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の可逆性感熱発色
    組成物を主成分として含有する記録層を支持体上に設け
    たことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
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