JPH09132689A - 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線

Info

Publication number
JPH09132689A
JPH09132689A JP8234543A JP23454396A JPH09132689A JP H09132689 A JPH09132689 A JP H09132689A JP 8234543 A JP8234543 A JP 8234543A JP 23454396 A JP23454396 A JP 23454396A JP H09132689 A JPH09132689 A JP H09132689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
plasticizer
acid ester
vinyl chloride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8234543A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3706208B2 (ja
Inventor
Hideyo Tsutaya
英世 蔦谷
Seiichi Masuko
誠一 益子
Hideji Matsumura
松村  秀司
Yuji Kurashige
雄二 倉重
Kiyoaki Tsuwa
清明 津和
Tomohiro Fukao
友博 深尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP23454396A priority Critical patent/JP3706208B2/ja
Publication of JPH09132689A publication Critical patent/JPH09132689A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3706208B2 publication Critical patent/JP3706208B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱老化性が良好で色相並びに加工時の初期
着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
た少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤1
0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
および金属石鹸0.1〜10重量部が配合されてなる
か、またはさらに25℃での粘度が1000cps以上
のポリエステル系可塑剤1〜100重量部が配合されて
なる塩化ビニル系樹脂組成物である。この塩化ビニル系
樹脂組成物は被覆電線、高温用パッキン等に用いられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱老化性が良好で
色相並びに加工時の初期着色防止性に優れる塩化ビニル
系樹脂組成物、および耐熱老化性、耐油性、その他耐熱
電線用途に適した諸特性を有する塩化ビニル系樹脂組成
物とそれを用いた被覆電線に関する。
【0002】
【従来の技術】可塑剤により可塑化された塩化ビニル樹
脂は柔軟性や引張特性などの優れた機械的物性を有する
ため、電線、ホース或いは建材等の多くの分野で利用さ
れている。しかしながら、汎用の可塑剤により可塑化さ
れた塩化ビニル樹脂は、高温下に曝されることにより可
塑剤が揮発し、柔軟性や伸びが容易に損なわれる。ま
た、塩化ビニル樹脂の熱劣化によっても同様な機械的物
性の低下がおこる。このような高度な耐熱老化性を得る
ための手段として、トリメリット酸エステル系或いはピ
ロメリット酸エステル系の可塑剤を用いる方法が知られ
ているが、原料に直鎖率の低いアルコールを用いた可塑
剤では得られる耐熱老化性は十分とは言えない。
【0003】また、熱安定剤として珪酸鉛系化合物を使
用することにより耐熱老化性が向上する(特開平2−1
55942号公報)ことが知られているが、珪酸鉛系化
合物の単独使用では色相や加工時の初期着色防止性が劣
る。さらに、上記のような耐熱性可塑剤を用いた場合、
耐油性が劣るという問題も生じる。また、電線用途特に
自動車電線用途では、耐熱性付与の手段として通常架橋
技術が採用されているが、そのための装置や工数増の問
題があり、架橋以外の方法としてトリメリット酸エステ
ル系或いはピロメリット酸エステル系可塑剤の使用が検
討されているが、耐油性、耐寒性、耐摩耗性、硬度など
自動車電線に要求されるその他の特性を総合的に満足さ
せる塩化ビニル系樹脂組成物は見出されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第1
の目的は、耐熱老化性が良好で色相並びに加工時の初期
着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、さらに耐油
性にも優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することに
ある。さらに第3の目的は、特に耐熱老化性、耐油性に
優れかつ電線用途に適した耐摩耗性、耐寒性、適度の硬
度等の諸特性を有する耐熱電線用途に好適な塩化ビニル
系樹脂組成物とそれを用いた被覆電線を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を行った結果本発明を完成さ
せるに至ったものである。すなわち、本発明は、第1の
目的を達成するために、(1)塩化ビニル系樹脂100
重量部に対して、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜1
00%の飽和脂肪族アルコールを原料として得られるト
リメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルの
群から選ばれた少なくとも一種の多価カルボン酸エステ
ル系可塑剤10〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜
20重量部、および金属石鹸0.1〜10重量部が配合
されてなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物を
提供するものであり、また、第2の目的を達成するため
に、(2)塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、炭
素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和脂肪族
アルコールを原料として得られるトリメリット酸エステ
ルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれた少な
くとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可塑剤1
0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
金属石鹸0.1〜10重量部、さらに25℃での粘度が
1000cps以上のポリエステル系可塑剤1〜100
重量部が配合されてなることを特徴とする塩化ビニル系
樹脂組成物を提供するものである。
【0006】さらに、本発明は、第3の目的を達成する
ために、(3)塩化ビニル系樹脂100重量部に対す
る、多価カルボン酸エステル系可塑剤およびポリエステ
ル系可塑剤の配合量がそれぞれ30〜50重量部および
3〜20重量部で、前記可塑剤の合計量が35〜60重
量部であり、かつ全可塑剤中のトリメリット酸エステル
の割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステ
系可塑剤の割合が重量比で0.4以下であることを特徴
とする(2)記載の塩化ビニル系樹脂組成物、(4)多
価カルボン酸エステル系可塑剤が炭素数8〜10で直鎖
率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料とするピ
ロメリット酸エステルからなり、全可塑剤中のポリエス
テル系可塑剤の割合が重量比で0.1〜0.4であるこ
とを特徴とする(3)記載の塩化ビニル系樹脂組成物、
(5)塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、炭素数
が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和脂肪族アル
コールを原料として得られるトリメリット酸エステルお
よびピロメリット酸エステルの群から選ばれた少なくと
も一種からなる多価カルボン酸エステル系可塑剤30〜
50重量部、25℃での粘度が1000cps以上のポ
リエステル系可塑剤3〜20重量部、塩基性珪酸鉛0.
1〜20重量部および金属石鹸0.1〜10重量部が配
合されてなり、かつ前記可塑剤の合計量が35〜60重
量部であり、全可塑剤中のトリメリット酸エステルの割
合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステル系
可塑剤の割合が重量比で0.4以下である塩化ビニル系
樹脂組成物を被覆材に用いたことを特徴とする被覆電
線、および(6)多価カルボン酸エステル系可塑剤とし
て炭素数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族ア
ルコールを原料とするピロメリット酸エステルを用い、
かつポリエステル系可塑剤を全可塑剤に対して重量比で
0.1〜0.4の範囲で用いたことを特徴とする(5)
記載の被覆電線を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に使用される塩化ビニル系
樹脂とは、塩化ビニル単独重合体及び塩化ビニル系共重
合体であり、その製造方法は、従来公知の重合方法で行
われ、例えば懸濁重合法等が挙げられる。ここで塩化ビ
ニル系共重合体の例としては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウン
デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデ
セン等の炭素数2〜30のα−オレフィン類、アクリル
酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエス
テル類、マレイン酸およびそのエステル類、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル等の
ビニル化合物、ジアリルフタレート等の多官能性モノマ
ーおよびこれらの混合物と塩化ビニルモノマーとの共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、
塩素化ポリエチレン、ブチルゴム、架橋アクリルゴム、
ポリウレタン、ポリブタジエン−スチレン−メチルメタ
クリレート(MBS)、ポリブタジエン−アクリロニト
リル−(α−メチル)スチレン(ABS)、スチレンブ
タジエン共重合体、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レートおよびこれらの混合物へ塩化ビニルモノマーをグ
ラフトしたグラフト共重合体等が挙げられる。
【0008】本発明では、塩化ビニル系樹脂の可塑剤と
して、炭素数が4〜12、好ましくは8〜10で、直鎖
率が50%〜100%、好ましくは90%以上の飽和脂
肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸エ
ステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれる
少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤を必
須成分として用いる。この可塑剤の原料として用いるア
ルコールの炭素数が4未満であると、得られる耐熱老化
性は不十分になり、12より大きい場合には塩化ビニル
系樹脂に対する親和性が極端に劣るため加工時のゲル化
不良を引き起こす。又、直鎖率が50%未満では得られ
る耐熱老化性は不十分になる。特に炭素数8〜10、直
鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料とする
多価カルボン酸エステルが耐熱老化性の点で好適であ
り、中でもピロメリット酸エステルが最適である。
【0009】上記多価カルボン酸エステル系可塑剤は、
上述の炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽
和脂肪族アルコールとトリメリット酸或いはピロメリッ
ト酸とを通常のエステル化法によりエステル化して得ら
れるものであり、その添加量は、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対し、10〜200重量部である。添加量が
10重量部未満では得られる組成物の柔軟性が乏しく、
耐熱老化性も不十分である。200重量部より多い場合
はブリード或いは加工時のゲル化不良を引き起こすため
好ましくない。なお、この可塑剤の添加量は、用途にも
よるが、20〜100重量部の範囲がより好ましい。
【0010】電線用途の場合の添加量は、塩化ビニル系
樹脂100重量部に対し、30〜50重量部が好まし
く、30〜45重量部が最も好ましい。添加量が30重
量部未満では得られる組成物の柔軟性が乏しく、被覆材
として伸び特性に劣り、耐熱老化性、耐寒性も不十分で
ある。50重量部より多い場合は硬度、耐摩耗性が不十
分となる傾向にある。本発明で用いられる塩基性珪酸鉛
は、例えばPbOとSiO 2の混合物を溶融し、冷却後
粉砕した物であり、その混合比はPbO/SiO2=9
0/10〜60/40(重量比)の範囲が望ましい。ま
た、その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、0.1〜20重量部である。添加量が0.1重量部
未満では得られる耐熱老化性が不十分になり、20重量
部を越えると伸び等の機械的物性が損なわれるため好ま
しくない。
【0011】本発明で用いられる金属石鹸としては、例
えば、バリウム、マグネシウム、鉛、カルシウム、亜
鉛、カドミウム、アルミニウム、ナトリウム、錫等の金
属のラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、
オレイン酸塩、フタル酸塩、安息香酸塩、アジピン酸
塩、マレイン酸塩等を挙げることができるが、これらは
塩基性塩であっても構わない。さらにこれらの中でもス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステア
リン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛が好ましく用いら
れ、これらは単独もしくは二種以上を組み合わせて併用
しても良く、必要に応じて多数種を組み合わせることに
より、色相改善並びに初期着色防止性向上の効果は大き
い。また、これら金属石鹸の添加量は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
0.1重量部未満では色相改善及び初期着色防止性向上
の効果が不十分になり、10重量部を越えると加工成形
時のゲル化不良を引き起こす。
【0012】本発明において、塩基性珪酸鉛と金属石鹸
を併用することで色相並びに加工時の初期着色防止性を
向上させているが、それは、塩化ビニル樹脂の加工温度
では塩基性珪酸鉛が溶融せず分散性が悪いため、比較的
融点が低く塩化ビニル樹脂内での分散性の良い金属石鹸
を添加することで、塩基性珪酸鉛単独使用の場合に生じ
る塩化ビニル樹脂内での局所的な分解を抑制できるため
であると考える。本発明の第2および第3の目的である
耐油性向上には、上述のトリメリット酸エステルおよび
/またはピロメリット酸エステルからなる多価カルボン
酸エステル系可塑剤に加えポリエステル系の可塑剤を添
加することが重要である。ここでポリエステル系の可塑
剤としては、例えば、アジピン酸と1,3−ブタンジオ
ールおよび2−エチルヘキサノールを通常のエステル化
法によりエステル化して得られる物で、25℃での粘度
が1000cps以上の物が好ましく、2000cps
以上であれば更に好ましい。25℃での粘度が1000
cps未満では満足な耐油性が得られない。
【0013】このようなポリエステル系可塑剤の添加量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、好ましくは
1〜100重量部であり、更に好ましくは3〜50重量
部であり、最も好ましくは3〜20重量部である。1重
量部未満では耐油性の改善効果が不十分になり、又、1
00重量部を越えるとブリード或いは加工時のゲル化不
良を引き起こす。
【0014】JIS C 3406やJASO D 6
11の規格に合格する一般耐熱電線用途では、120℃
で120時間加熱し、屈曲後、1000Vに1分間耐え
る電線としての耐熱性が要求される(後述するシートで
の試験で加熱後伸び残率70%以上に相当)ほか、所定
の耐油性、耐摩耗性、耐寒性、適度の硬度等が要求され
る。そのために必要な多価カルボン酸エステル系可塑剤
の配合量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30
〜50重量部である。30重量部未満では耐熱老化性が
不足し、50重量部を越えると耐磨耗性に劣る。また、
ポリエステル系可塑剤が3重量部未満では耐油性が劣
り、20重量部以上では耐熱性が劣る。また、可塑剤の
合計量が35重量部以下では耐寒性が劣り、60重量部
以上では硬度が低下し、電線として使用できない。さら
に、使用する全可塑剤量に対するトリメリット酸エステ
ルの割合は重量比で0.3以下が好ましく、トリメリッ
ト酸エステルの全可塑剤量に占める割合が重量比で0.
3を越えると、耐熱老化性が不十分となる。また、ポリ
エステル系可塑剤の全可塑剤量に占める割合は重量比で
0.4以下が好ましく、重量比が0.4を越えると耐熱
老化性がやはり不十分となる。
【0015】特にJASO D 608の規格に合格す
る高耐熱性自動車電線用途では、120℃で168時間
加熱し屈曲後1000Vに1分間耐える電線としての高
度の耐熱性が要求される(後述するシートでの試験で加
熱後伸び残率80%以上に相当)ほか、所定の耐油性、
耐摩耗性、耐寒性、適度の硬度等が要求される。そのた
めに、多価カルボン酸エステルとして、炭素数が8〜1
0で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料
として得られるピロメリット酸エステルを塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して30〜50重量部配合する。
30重量部未満では耐熱老化性が不足し、50重量部を
越えると耐磨耗性に劣る。また、ピロメリット酸エステ
ルとポリエステル系可塑剤の合計量が35重量部以下で
は耐寒性が劣り、60重量部以上では硬度が低下し、電
線として使用できない。
【0016】上記の配合条件を満たす組成物を用いるこ
とにより、電線用途として合格するためのシート試験に
よる合格基準である160℃で200時間加熱後の伸び
残率70%以上(一般耐熱用途)もしくは80%以上
(耐熱自動車用途)、浸油後の伸び残率85%以上、耐
寒性−20℃以下、耐磨耗性40回以上、硬度88〜9
8を達成することができる。なお、本発明における塩化
ビニル系樹脂組成物は必要に応じ、上記以外の可塑剤、
安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、難燃剤、充填剤、顔料、加工助剤等の通常塩化ビニ
ル系樹脂に用いられている添加剤を本発明における効果
を損なわない範囲で適宜配合して用いても良い。例え
ば、電線の絶縁材料やシース材料などの被覆材に用いる
ときには、難燃剤として三酸化アンチモンなどを、塩化
ビニル系樹脂100重量部に対して1〜20重量部程度
配合して難燃化を図るとよい。また、本発明における塩
化ビニル系樹脂組成物によれば、所期の目的である耐熱
老化性向上が達成されるが、さらなる耐熱性向上等の物
性を改善する目的で従来公知の架橋技術を併用すること
もできる。
【0017】本発明における塩化ビニル系樹脂組成物
は、塩化ビニル系樹脂に、上述の炭素数が4〜12で直
鎖率が50〜100%の飽和のアルコールを原料として
得られるトリメリット酸エステルおよび/またはピロメ
リット酸エステルからなる多価カルボン酸エステル系可
塑剤と塩基性珪酸鉛および金属石鹸、もしくはさらに2
5℃での粘度が1000cps以上のポリエステル系可
塑剤を、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキ
サー、リボンブレンダー等の攪拌機により攪拌・配合さ
れた配合粉として、或いはその配合粉を、例えばコニカ
ル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニ
ーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により造粒し
たペレットとして得ることができる。また、本発明にお
ける塩化ビニル系樹脂組成物を導体上に被覆して電線と
するには、従来公知の押出機を備えた押出被覆装置を用
いればよく、例えば、押出機170〜195℃、クロス
ヘッド部180℃の設定温度で、線速350〜450m
/分程度の電線製造が可能である。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るがこれらは本発明の範囲をなんら制限するものではな
い。尚、実施例により得られたプレスシートの色相の評
価と、加熱後伸び残率の測定は下記に示す方法による。 ・色相:シートを目視により評価したものである。 ・加熱後伸び残率:シートの加熱前と160℃のギヤオ
ーブンで200時間加熱後の引張伸び率をJIS−K7
113に準ずる引張試験法にて測定し、加熱後の引張伸
び率を加熱前の引張伸び率にて除して算出した。 ・浸油後伸び残率:シートの加熱浸油前と120℃に加
熱したJIS−K6301に規定されるNo.1油に8
時間浸した後、引張伸び率をJIS−K7113に準ず
る引張試験法にて測定し、加熱後の引張伸び率を加熱前
の引張伸び率にて除して算出した。
【0019】さらに、電線として使用する条件としての
耐寒性、耐摩耗性、硬度についての評価はプレスシート
を用い下記に示す方法による。 ・耐寒性:JIS−K6723に準ずる耐寒性試験法に
て媒体はエタノールを使用して測定を行った。 ・耐磨耗性:JASO D 611−86に準じブレー
ド往復法試験にて、ブレード荷重を1500gとし、ブ
レードとアングル型試験台とがサンプルを挟み通電する
に至るまでの往復回数を磨耗回数として測定することに
より評価した。 ・硬度:JIS−K6301に準ずる定荷重式硬さ試験
法にて測定を行った。
【0020】まず、実施例1〜7および比較例1〜5に
より、請求項1の発明について具体的に説明する。
【0021】実施例1 平均重合度2000の塩化ビニル単独重合体100重量
部に、原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオ
クチルピロメリテート50重量部と、PbO/SiO 2
(重量比)が85/15である塩基性珪酸鉛10重量部
と、ステアリン酸鉛1重量部と、ステアリン酸バリウム
1重量部をヘンシェルミキサーにて135℃になるまで
混合し、得られた組成物を180℃のロール混練機にて
15分間混練した後、180℃のプレス成形機にて50
kg/cm2の圧力で4分間プレスし、厚さ1mmのシ
ートを得た。この得られたシートは成形時の初期着色も
無く白色であった。次いで160℃のギヤオーブンで2
00時間シートを加熱し、加熱後伸び残率を測定するに
当たり加熱前と後の引張伸び率を測定したところ各々2
73%、310%であり、その加熱後伸び残率は88%
で、耐熱老化性は良好であった。結果を表1に示す。
【0022】実施例2 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートを30重量部用いた他は実施例1と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1に示
す。
【0023】実施例3 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートを80重量部用いた他は実施例1と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1に示
す。
【0024】実施例4 ステアリン酸鉛を添加しなかった他は実施例1と同様に
してシートを得たところ目視では殆ど確認できないくら
いの薄い黄色の着色が見られたが、製品として問題のな
い範囲であった。次いでシートを加熱して加熱後伸び残
率を測定した。結果を表1に示す。
【0025】実施例5 PbO/SiO 2 が85/15である塩基性珪酸鉛を3
重量部とした他は実施例1と同様にしてシートを得て物
性を測定した。結果を表1に示す。
【0026】実施例6 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートに代えて、原料アルコールの直鎖率が9
5%であるトリオクチルトリメリテートを50重量部用
いた他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。結果を表1に示す。
【0027】実施例7 平均重合度2000の塩化ビニル単独重合体に代え、塩
化ビニル樹脂部の平均重合度が700で、且つモノマー
比で酢酸ビニルの含有量が4.5%である塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体100重量部を用いた他は実施例1
と同様にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1
に示す。
【0028】比較例1 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートに代え、原料アルコールの直鎖率が10
%であるテトラオクチルピロメリテート50重量部を用
いた他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率が低く、
耐熱老化性が不十分であった。結果を表1に示す。
【0029】比較例2 可塑剤である原料アルコールの直鎖率が95%であるテ
トラオクチルピロメリテートの添加量を250重量部と
した他は実施例1と同様にしてヘンシェルミキサーでの
混合を行ったが、135℃になるまで混合しても可塑剤
が塩化ビニル系樹脂粉に十分に吸収されず、結果として
ロール混練機での混練が出来なかった。
【0030】比較例3 PbO/SiO 2 が85/15である塩基性珪酸鉛を添
加しなかった他は実施例1と同様にしてシートを得て物
性を測定した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率
が低く、耐熱老化性が不十分であった。結果を表1に示
す。
【0031】比較例4 ステアリン酸鉛及びステアリン酸バリウムを添加しなか
った他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。加熱後の伸び残率は良好であったが色相が著しく
悪化し、赤血色であった。結果を表1に示す。
【0032】比較例5 ステアリン酸鉛を用いずにステアリン酸バリウムを20
重量部とした他は実施例1と同様にして、シートを作成
するためロール混練機による混練を行ったところ、ロー
ルへの巻き付きが起こらず混練できなかった。結果を表
1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から、請求項1の組成物に相当
する実施例1〜7の組成物は、いずれも加熱後伸び残率
70%以上であり良好な耐熱老化性を示すとともに、成
形時の初期着色防止性も良好であることがわかる。一
方、比較例3および4のように、塩基性珪酸鉛と金属石
鹸とを併用しない組成物では、耐熱老化特性が著しく劣
っていたり成形時の着色があったりして使用に耐えない
ものであることがわかる。
【0035】次に、実施例8〜16および比較例6〜1
3により、請求項2の発明について具体的に説明する。
【0036】実施例8 平均重合度2000の塩化ビニル単独重合体100重量
部に、原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオ
クチルピロメリテート50重量部と、PbO/SiO 2
(重量比)が85/15である塩基性珪酸鉛10重量部
と、ステアリン酸鉛1重量部と、ステアリン酸バリウム
1重量部と、アジピン酸、1,2−ブタンジオールおよ
び2−エチルヘキサノールを原料として得られる25℃
での粘度が3000cpsのポリエステル系可塑剤10
重量部をヘンシェルミキサーにて135℃になるまで混
合し、得られた組成物を180℃のロール混練機にて1
5分間混練した後、180℃のプレス成形機にて50k
g/cm2の圧力で4分間プレスし、厚さ1mmのシー
トを得た。
【0037】この得られたシートは成形時の初期着色も
無く白色であった。次いで160℃のギヤオーブンで2
00時間シートを加熱し、加熱後伸び残率を測定するに
当たり加熱前と後の引張伸び率を測定したところ各々2
64%、310%であり、その加熱後伸び残率は85%
であった。また浸油後伸び残率の測定に際し、120℃
に加熱したJIS−K6301に規定されるNo.1油
に8時間浸した後、引張伸び率を測定したところ各々2
79%、310%であり、その浸油後伸び残率は90%
であった。耐熱老化性、耐油性は良好であった。結果を
表2に示す。
【0038】実施例9 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートを30重量部用いた他は実施例8と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2に示
す。
【0039】実施例10 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートを80重量部用いた他は実施例8と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2に示
す。
【0040】実施例11 ステアリン酸鉛を添加しなかった他は実施例8と同様に
してシートを得たところ目視では殆ど確認できないくら
いの薄い黄色の着色が見られたが、製品として問題のな
い範囲であった。次いでシートを加熱して加熱後伸び残
率を、またシートの浸油後伸び残率を測定した。結果を
表2に示す。
【0041】実施例12 PbO/SiO 2が85/15である塩基性珪酸鉛を3
重量部とした他は実施例8と同様にしてシートを得て物
性を測定した。結果を表2に示す。
【0042】実施例13 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートに代えて、原料アルコールの直鎖率が9
5%であるトリオクチルトリメリテートを50重量部用
いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。結果を表2に示す。
【0043】実施例14 平均重合度2000の塩化ビニル単独重合体に代え、塩
化ビニル樹脂部の平均重合度が700で、且つモノマー
比で酢酸ビニルの含有量が4.5%である塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体100重量部を用いた他は実施例8
と同様にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2
に示す。
【0044】実施例15 25℃での粘度が3000cps以上のポリエステル系
可塑剤を5重量部とした他は実施例8と同様にしてシー
トを得て物性を測定した。結果を表2に示す。
【0045】実施例16 25℃での粘度が3000cps以上のポリエステル系
可塑剤を20重量部とした他は実施例8と同様にしてシ
ートを得て物性を測定した。結果を表2に示す。
【0046】比較例6 原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオクチル
ピロメリテートに代え、原料アルコールの直鎖率が10
%であるテトラオクチルピロメリテート50重量部を用
いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率が低く、
耐熱老化性が不十分であった。結果を表3に示す。
【0047】比較例7 可塑剤である原料アルコールの直鎖率が95%であるテ
トラオクチルピロメリテートの添加量を250重量部と
した他は実施例8と同様にしてヘンシェルミキサーでの
混合を行ったが、135℃になるまで混合しても可塑剤
が塩化ビニル系樹脂粉に十分に吸収されず、結果として
ロール混練機での混練が出来なかった。
【0048】比較例8 PbO/SiO 2が85/15である塩基性珪酸鉛を添
加しなかった他は実施例8と同様にしてシートを得て物
性を測定した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率
および浸油後伸び残率ともに低く、耐熱老化性ならびに
耐油性が不十分であった。結果を表3に示す。
【0049】比較例9 ステアリン酸鉛及びステアリン酸バリウムを添加しなか
った他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。加熱後の伸び残率は良好であったが色相が著しく
悪化し、赤血色であった。結果を表3に示す。
【0050】比較例10 ステアリン酸鉛を用いずにステアリン酸バリウムを20
重量部とした他は実施例8と同様にして、シートを作成
するためロール混練機による混練を行ったところ、ロー
ルへの巻き付きが起こらず混練できなかった。結果を表
3に示す。
【0051】比較例11 25℃での粘度が3000cps以上のポリエステル系
可塑剤を用いなかった他は実施例8と同様にしてシート
を得て物性を測定した。浸油後伸び残率が低く、耐油性
が不十分であった。結果を表3に示す。
【0052】比較例12 25℃での粘度が3000cps以上のポリエステル系
可塑剤を150重量部とした他は実施例8と同様にして
ヘンシェルミキサーでの混合を行ったが、135℃にな
るまで混合しても可塑剤が塩化ビニル系樹脂粉に十分に
吸収されず、結果としてロール混練機での混練が出来な
かった。結果を表3に示す。
【0053】比較例13 アジピン酸、1,2−ブタンジオールおよび2−エチル
ヘキサノールを原料として得られる25℃での粘度が3
000cpsのポリエステル系可塑剤に代えて25℃で
の粘度が500cpsのポリエステル系可塑剤10重量
部を用いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性
を測定した。浸油後伸び残率が低く、耐油性が不十分で
あった。結果を表3に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】表2、表3の結果から、請求項2の組成物
に相当する実施例8〜16の組成物は、いずれも加熱後
伸び残率70%以上であり良好な耐熱老化性を示すとと
もに、成形時の初期着色防止性も良好であり、特に比較
例11や比較例13と実施例との対比により高粘度のポ
リエステル系可塑剤を配合することで耐油性向上が達成
されていることがわかる。
【0057】次いで、特に電線用途に適した塩化ビニル
系樹脂組成物およびそれを用いた電線を提供するための
請求項3〜請求項6の発明について、以下の実施例17
〜29および比較例14〜22により具体的に説明す
る。
【0058】実施例17〜21 表4に示した配合割合にしたがって、平均重合度が20
00の塩化ビニル単独重合体に、多価カルボン酸エステ
ル系可塑剤として原料アルコールの直鎖率が95%であ
るテトラオクチルピロメリテートに加え、原料アルコー
ルの直鎖率が95%であるトリオクチルトリメリテート
を、全可塑剤中のトリオクチルトリメリテートの割合が
重量比で0.3以下となるよう、さらに25℃での粘度
が3000cpsのポリエステル系可塑剤をポリエステ
ル系可塑剤を全可塑剤中の割合が0.4以下となるよう
にそれぞれ配合した他は、実施例8と同様の方法で混練
後プレス成形して、厚さ0.5mm、1mm、2mm、
12mmのシートを得た。1mm厚のシートを用いて、
実施例8と同様にして成形時の色相評価および加熱後伸
び残率と浸油後伸び残率の測定を。また、2mm厚のシ
ートを用いて耐寒性、0.5mmのシートを用いて耐摩
耗性、12mm厚のシートを用いて硬度をそれぞれ測定
した。結果を表4に示す。
【0059】比較例14、15 表4に示した配合割合にしたがって、実施例17〜21
と同様の方法で各厚さのシートを得て物性を測定した。
結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】表4の結果から、実施例17〜21の組成
物はいずれも、加熱後伸び残率70%以上の耐熱老化
性、浸油後伸び残率85%以上の耐油性、−20℃以下
の耐寒性、摩耗回数40回以上の耐摩耗性、88〜98
の範囲の硬度を示し、一般耐熱電線用途で必要とする諸
特性を満足するものであることがわかる。また、実施例
17のように、トリメリット酸エステル量、ポリエステ
ル系可塑剤量を少な目に調整することにより、自動車用
耐熱架橋電線の規格を満足する高度の耐熱性も実現でき
ることがわかる。一方、比較例14の組成物はポリエス
テル系可塑剤の全可塑剤中の割合が0.5と多いため加
熱後の伸び残率が65%と低く、また、比較例15の組
成物もトリオクチルトリメリテートの全可塑剤中の割合
が0.5と多いため加熱後の伸び残率が60%と低くな
っており、一般耐熱電線用途で必要とされる耐熱老化性
が得られないことがわかる。
【0062】実施例22〜29、比較例16〜22 表5および表6に示した組成割合にしたがって、多価カ
ルボン酸エステル系可塑剤として、原料アルコーの直鎖
率が95%であるテトラオクチルピロメリテートのみを
用いた他は、実施例17〜21と同様にして厚さ0.5
mm、1mm、2mm、12mmのシートを得た。得ら
れたシートを用いて、実施例17と同様、成形時の色相
評価をし、加熱後伸び残率、浸油後伸び残率、耐寒性、
耐摩耗性および硬度をそれぞれ測定した。実施例の結果
を表5に、比較例の結果を表6にそれぞれ示す。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】表5の結果から、実施例22〜29の組成
物はいずれも、加熱後伸び残率80%以上の耐熱老化
性、浸油後伸び残率85%以上の耐油性、−20℃以下
の耐寒性、摩耗回数40回以上の耐摩耗性、88〜98
の範囲の硬度を示し、自動車用耐熱電線用途で必要とす
る諸特性(JASO D 608)を満足するものであ
ることがわかる。一方、表6の結果から、比較例16、
20の組成物のように全可塑剤中に占めるポリエステル
系可塑剤の配合割合が多過ぎると加熱後伸び残率(耐熱
老化性)が不十分となり、比較例21、22の組成物の
ように少な過ぎると浸油後伸び残率(耐油性)が不十分
となることがわかる。また、比較例17、18、19の
組成物のようにポリエステル系可塑剤の配合割合を適量
としても全可塑剤量が多すぎると、耐摩耗性、硬度が不
足し電線用途としての必要特性を満足しないことがわか
る。
【0066】最後に、実施例18および実施例22の組
成物を用いて、60mmφ、L/D25の押出機によ
り、設定温度を材料投入側から順次175℃、190
℃、193℃、クロスヘッド部180℃とし、線速40
0m/分で導体上に所定厚の絶縁層を押出成形して被覆
電線を得て諸特性を評価した。評価項目、方法は、JA
SO D 611(=JIS C 3406)規格およ
びJASO D 608規格に準拠した。評価結果を表
7にまとめて示す。
【0067】
【表7】
【0068】表7の結果から分かるように、本発明にお
いて電線用途に適しているとして提供される組成物を用
いた請求項5および請求項6に該当する被覆電線は、電
線規格で定められた耐熱性をはじめとする諸特性にすべ
て合格することが確かめられた。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、耐熱老化性が良好で色相並びに加工成形時の初
期着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供で
きる。また、請求項2の発明によれば、耐熱老化性が良
好で色相並びに加工成形時の初期着色防止性さらには耐
油性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。さ
らに、請求項3および請求項4の発明によれば、特に耐
熱電線用途に適した耐熱性、耐油性のほか電線として必
要とされる耐寒性、耐摩耗性、適度の硬度等の諸特性を
満足する塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。また、
請求項5および請求項6の発明によれば、耐熱電線用途
に適した耐熱性、耐油性をはじめ耐寒性、耐摩耗性、適
度の硬度等の諸特性を満足する塩化ビニル系樹脂組成物
を被覆材に用いているため、JASO D 611(=
JISC 3406)規格ないしはJASO D 60
8規格に合格する耐熱被覆電線を提供することができ、
工業的価値は極めて大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 7/34 H01B 7/34 A (72)発明者 倉重 雄二 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 津和 清明 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 深尾 友博 滋賀県犬上郡甲良町尼子1000番地 近江電 線株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
    て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
    脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
    エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
    た少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤1
    0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
    および金属石鹸0.1〜10重量部が配合されてなるこ
    とを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
    て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
    脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
    エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
    た少なくとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可
    塑剤10〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重
    量部、金属石鹸0.1〜10重量部、さらに25℃での
    粘度が1000cps以上のポリエステル系可塑剤1〜
    100重量部が配合されてなることを特徴とする塩化ビ
    ニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対す
    る、多価カルボン酸エステル系可塑剤およびポリエステ
    ル系可塑剤の配合量がそれぞれ30〜50重量部および
    3〜20重量部で、前記可塑剤の合計量が35〜60重
    量部であり、かつ全可塑剤中のトリメリット酸エステル
    の割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステ
    系可塑剤の割合が重量比で0.4以下であることを特徴
    とする請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 多価カルボン酸エステル系可塑剤が炭素
    数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコー
    ルを原料とするピロメリット酸エステルからなり、全可
    塑剤中のポリエステル系可塑剤の割合が重量比で0.1
    〜0.4であることを特徴とする請求項3記載の塩化ビ
    ニル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
    て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
    脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
    エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
    た少なくとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可
    塑剤30〜50重量部、25℃での粘度が1000cp
    s以上のポリエステル系可塑剤3〜20重量部、塩基性
    珪酸鉛0.1〜20重量部および金属石鹸0.1〜10
    重量部が配合されてなり、かつ前記可塑剤の合計量が3
    5〜60重量部であり、全可塑剤中のトリメリット酸エ
    ステルの割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリ
    エステル系可塑剤の割合が重量比で0.4以下である塩
    化ビニル系樹脂組成物を被覆材に用いたことを特徴とす
    る被覆電線。
  6. 【請求項6】 多価カルボン酸エステル系可塑剤として
    炭素数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アル
    コールを原料とするピロメリット酸エステルを用い、か
    つポリエステル系可塑剤を全可塑剤に対して重量比で
    0.1〜0.4の範囲で用いたことを特徴とする請求項
    5記載の被覆電線。
JP23454396A 1995-09-05 1996-09-04 塩化ビニル系樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3706208B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23454396A JP3706208B2 (ja) 1995-09-05 1996-09-04 塩化ビニル系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-227671 1995-09-05
JP22767095 1995-09-05
JP7-227670 1995-09-05
JP22767195 1995-09-05
JP23454396A JP3706208B2 (ja) 1995-09-05 1996-09-04 塩化ビニル系樹脂組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004039077A Division JP2004158465A (ja) 1995-09-05 2004-02-16 塩化ビニル系樹脂被覆電線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09132689A true JPH09132689A (ja) 1997-05-20
JP3706208B2 JP3706208B2 (ja) 2005-10-12

Family

ID=27331311

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23454396A Expired - Lifetime JP3706208B2 (ja) 1995-09-05 1996-09-04 塩化ビニル系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3706208B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10241462A (ja) * 1997-02-25 1998-09-11 Fujikura Ltd 薄肉絶縁電線
JPH11140263A (ja) * 1997-09-08 1999-05-25 Mitsui Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JP2000136279A (ja) * 1998-11-04 2000-05-16 Achilles Corp 自己粘着性塩化ビニル系樹脂シート
JP2000191873A (ja) * 1998-12-28 2000-07-11 Servicios Condumex Sa De Cv ポリ塩化ビニル組成物、その製法及びそれを使用したケ―ブル絶縁方法
JP2001266649A (ja) * 2000-03-22 2001-09-28 Kansai Electric Power Co Inc:The ポリ塩化ビニル組成物およびこれを用いた電線ケーブル
JP2003165881A (ja) * 2001-11-30 2003-06-10 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル系組成物
JP2004193138A (ja) * 1997-09-08 2004-07-08 Mitsui Chemicals Inc 塩化ビニル系樹脂被覆電線
WO2016088841A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 株式会社クラレ 絶縁材
JP2017155093A (ja) * 2016-02-29 2017-09-07 矢崎エナジーシステム株式会社 ポリ塩化ビニル樹脂組成物及びそれを用いた電線・ケーブル
WO2017170037A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 日本ゼオン株式会社 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体
WO2017169730A1 (ja) * 2016-04-01 2017-10-05 Dic株式会社 塩化ビニル樹脂用可塑剤、塩化ビニル樹脂組成物、ワイヤーハーネス及びダッシュボード
KR20170127559A (ko) 2015-03-13 2017-11-21 가부시키가이샤 아데카 트리멜리트산 트리에스테르 가소제 및 그것을 함유하는 염화 비닐계 수지 조성물
JP2020017473A (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 青森昭和電線株式会社 ツイストペアケーブル
CN116308302A (zh) * 2023-05-19 2023-06-23 深圳抛物线科技有限公司 一种基于数字孪生的绝缘隐患超前预警方法及系统

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01182351A (ja) * 1988-01-12 1989-07-20 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 電子線照射架橋性塩化ビニル樹脂組成物
JPH02239512A (ja) * 1989-03-13 1990-09-21 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 塩化ビニル系樹脂被覆電線
JPH0753818A (ja) * 1993-08-11 1995-02-28 Asahi Denka Kogyo Kk 塩化ビニル系樹脂組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01182351A (ja) * 1988-01-12 1989-07-20 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 電子線照射架橋性塩化ビニル樹脂組成物
JPH02239512A (ja) * 1989-03-13 1990-09-21 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 塩化ビニル系樹脂被覆電線
JPH0753818A (ja) * 1993-08-11 1995-02-28 Asahi Denka Kogyo Kk 塩化ビニル系樹脂組成物

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10241462A (ja) * 1997-02-25 1998-09-11 Fujikura Ltd 薄肉絶縁電線
JPH11140263A (ja) * 1997-09-08 1999-05-25 Mitsui Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JP2004193138A (ja) * 1997-09-08 2004-07-08 Mitsui Chemicals Inc 塩化ビニル系樹脂被覆電線
JP2000136279A (ja) * 1998-11-04 2000-05-16 Achilles Corp 自己粘着性塩化ビニル系樹脂シート
JP2000191873A (ja) * 1998-12-28 2000-07-11 Servicios Condumex Sa De Cv ポリ塩化ビニル組成物、その製法及びそれを使用したケ―ブル絶縁方法
JP2001266649A (ja) * 2000-03-22 2001-09-28 Kansai Electric Power Co Inc:The ポリ塩化ビニル組成物およびこれを用いた電線ケーブル
JP2003165881A (ja) * 2001-11-30 2003-06-10 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル系組成物
JPWO2016088841A1 (ja) * 2014-12-05 2017-09-14 株式会社クラレ 絶縁材
CN107001805A (zh) * 2014-12-05 2017-08-01 株式会社可乐丽 绝缘材料
WO2016088841A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 株式会社クラレ 絶縁材
US10811165B2 (en) 2014-12-05 2020-10-20 Kuraray Co., Ltd. Insulation material
CN107001805B (zh) * 2014-12-05 2020-10-02 株式会社可乐丽 绝缘材料
KR20170127559A (ko) 2015-03-13 2017-11-21 가부시키가이샤 아데카 트리멜리트산 트리에스테르 가소제 및 그것을 함유하는 염화 비닐계 수지 조성물
JP2017155093A (ja) * 2016-02-29 2017-09-07 矢崎エナジーシステム株式会社 ポリ塩化ビニル樹脂組成物及びそれを用いた電線・ケーブル
CN109071903A (zh) * 2016-03-29 2018-12-21 日本瑞翁株式会社 氯乙烯树脂组合物、氯乙烯树脂成型体、及层叠体
JPWO2017170037A1 (ja) * 2016-03-29 2019-02-07 日本ゼオン株式会社 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体
EP3438187A4 (en) * 2016-03-29 2019-11-20 Zeon Corporation VINYL CHLORIDE RESIN COMPOSITION, VINYL CHLORIDE RESIN MOLD AND LAMINATE
CN109071903B (zh) * 2016-03-29 2020-10-13 日本瑞翁株式会社 氯乙烯树脂组合物、氯乙烯树脂成型体、及层叠体
WO2017170037A1 (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 日本ゼオン株式会社 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体
WO2017169730A1 (ja) * 2016-04-01 2017-10-05 Dic株式会社 塩化ビニル樹脂用可塑剤、塩化ビニル樹脂組成物、ワイヤーハーネス及びダッシュボード
JP2020017473A (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 青森昭和電線株式会社 ツイストペアケーブル
CN116308302A (zh) * 2023-05-19 2023-06-23 深圳抛物线科技有限公司 一种基于数字孪生的绝缘隐患超前预警方法及系统
CN116308302B (zh) * 2023-05-19 2023-08-08 深圳抛物线科技有限公司 一种基于数字孪生的绝缘隐患超前预警方法及系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP3706208B2 (ja) 2005-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4074681B2 (ja) 難燃性ハロゲン不含組成物
JPH09132689A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JP4159118B2 (ja) エチレン−酢酸ビニルコポリマーとエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素ターポリマーとの配合物
JPH02169644A (ja) 充填された水―架橋結合性シラン共重合体組成物の製造方法
JP4663112B2 (ja) 難燃性ポリオレフィン組成物
JP5103061B2 (ja) 難燃シラン架橋ポリオレフィン系樹脂組成物および絶縁電線
JP2002508023A (ja) ポリオレフィン組成物
JPH11140263A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JP2963034B2 (ja) 自動車電線被覆用難燃性樹脂組成物及び自動車用絶縁電線
JP2004193138A (ja) 塩化ビニル系樹脂被覆電線
CN105008444A (zh) 碳酸钙和煅烧粘土的协同增效掺合物
JP2000315424A (ja) 絶縁樹脂組成物およびそれを用いた絶縁電線と絶縁部材
KR100896105B1 (ko) 이산화규소 나노입자를 함유하는 난연성 수지 조성물
JP2004156026A (ja) 難燃性樹脂組成物
KR100203442B1 (ko) 난연성 저연 열가소성 수지조성물
JPH11240992A (ja) 電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物及び該組成物により被覆されてなる電線
JP2648874B2 (ja) 難熱性ポリオレフィン組成物
JP4584394B2 (ja) 電線用被覆材料及び該被覆材料を用いた電線
JP2004158465A (ja) 塩化ビニル系樹脂被覆電線
JP4968618B2 (ja) ノンハロゲン難燃シラン架橋絶縁電線の製造方法
JPH0423854A (ja) 電線被覆用電気絶縁性樹脂組成物
JPH07211153A (ja) 電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物
JP2703049B2 (ja) ゴム混合物
JP3139683B2 (ja) 難燃性ケーブル
JPH06306246A (ja) 樹脂組成物及びそれを用いた電線

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20040723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040723

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050726

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050728

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080805

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110805

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110805

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term