JPH09132689A - 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線 - Google Patents
塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線Info
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- JPH09132689A JPH09132689A JP8234543A JP23454396A JPH09132689A JP H09132689 A JPH09132689 A JP H09132689A JP 8234543 A JP8234543 A JP 8234543A JP 23454396 A JP23454396 A JP 23454396A JP H09132689 A JPH09132689 A JP H09132689A
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Abstract
着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
た少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤1
0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
および金属石鹸0.1〜10重量部が配合されてなる
か、またはさらに25℃での粘度が1000cps以上
のポリエステル系可塑剤1〜100重量部が配合されて
なる塩化ビニル系樹脂組成物である。この塩化ビニル系
樹脂組成物は被覆電線、高温用パッキン等に用いられ
る。
Description
色相並びに加工時の初期着色防止性に優れる塩化ビニル
系樹脂組成物、および耐熱老化性、耐油性、その他耐熱
電線用途に適した諸特性を有する塩化ビニル系樹脂組成
物とそれを用いた被覆電線に関する。
脂は柔軟性や引張特性などの優れた機械的物性を有する
ため、電線、ホース或いは建材等の多くの分野で利用さ
れている。しかしながら、汎用の可塑剤により可塑化さ
れた塩化ビニル樹脂は、高温下に曝されることにより可
塑剤が揮発し、柔軟性や伸びが容易に損なわれる。ま
た、塩化ビニル樹脂の熱劣化によっても同様な機械的物
性の低下がおこる。このような高度な耐熱老化性を得る
ための手段として、トリメリット酸エステル系或いはピ
ロメリット酸エステル系の可塑剤を用いる方法が知られ
ているが、原料に直鎖率の低いアルコールを用いた可塑
剤では得られる耐熱老化性は十分とは言えない。
用することにより耐熱老化性が向上する(特開平2−1
55942号公報)ことが知られているが、珪酸鉛系化
合物の単独使用では色相や加工時の初期着色防止性が劣
る。さらに、上記のような耐熱性可塑剤を用いた場合、
耐油性が劣るという問題も生じる。また、電線用途特に
自動車電線用途では、耐熱性付与の手段として通常架橋
技術が採用されているが、そのための装置や工数増の問
題があり、架橋以外の方法としてトリメリット酸エステ
ル系或いはピロメリット酸エステル系可塑剤の使用が検
討されているが、耐油性、耐寒性、耐摩耗性、硬度など
自動車電線に要求されるその他の特性を総合的に満足さ
せる塩化ビニル系樹脂組成物は見出されていない。
の目的は、耐熱老化性が良好で色相並びに加工時の初期
着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、さらに耐油
性にも優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することに
ある。さらに第3の目的は、特に耐熱老化性、耐油性に
優れかつ電線用途に適した耐摩耗性、耐寒性、適度の硬
度等の諸特性を有する耐熱電線用途に好適な塩化ビニル
系樹脂組成物とそれを用いた被覆電線を提供することに
ある。
を達成するために鋭意検討を行った結果本発明を完成さ
せるに至ったものである。すなわち、本発明は、第1の
目的を達成するために、(1)塩化ビニル系樹脂100
重量部に対して、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜1
00%の飽和脂肪族アルコールを原料として得られるト
リメリット酸エステルおよびピロメリット酸エステルの
群から選ばれた少なくとも一種の多価カルボン酸エステ
ル系可塑剤10〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜
20重量部、および金属石鹸0.1〜10重量部が配合
されてなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物を
提供するものであり、また、第2の目的を達成するため
に、(2)塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、炭
素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和脂肪族
アルコールを原料として得られるトリメリット酸エステ
ルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれた少な
くとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可塑剤1
0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
金属石鹸0.1〜10重量部、さらに25℃での粘度が
1000cps以上のポリエステル系可塑剤1〜100
重量部が配合されてなることを特徴とする塩化ビニル系
樹脂組成物を提供するものである。
ために、(3)塩化ビニル系樹脂100重量部に対す
る、多価カルボン酸エステル系可塑剤およびポリエステ
ル系可塑剤の配合量がそれぞれ30〜50重量部および
3〜20重量部で、前記可塑剤の合計量が35〜60重
量部であり、かつ全可塑剤中のトリメリット酸エステル
の割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステ
系可塑剤の割合が重量比で0.4以下であることを特徴
とする(2)記載の塩化ビニル系樹脂組成物、(4)多
価カルボン酸エステル系可塑剤が炭素数8〜10で直鎖
率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料とするピ
ロメリット酸エステルからなり、全可塑剤中のポリエス
テル系可塑剤の割合が重量比で0.1〜0.4であるこ
とを特徴とする(3)記載の塩化ビニル系樹脂組成物、
(5)塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、炭素数
が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和脂肪族アル
コールを原料として得られるトリメリット酸エステルお
よびピロメリット酸エステルの群から選ばれた少なくと
も一種からなる多価カルボン酸エステル系可塑剤30〜
50重量部、25℃での粘度が1000cps以上のポ
リエステル系可塑剤3〜20重量部、塩基性珪酸鉛0.
1〜20重量部および金属石鹸0.1〜10重量部が配
合されてなり、かつ前記可塑剤の合計量が35〜60重
量部であり、全可塑剤中のトリメリット酸エステルの割
合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステル系
可塑剤の割合が重量比で0.4以下である塩化ビニル系
樹脂組成物を被覆材に用いたことを特徴とする被覆電
線、および(6)多価カルボン酸エステル系可塑剤とし
て炭素数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族ア
ルコールを原料とするピロメリット酸エステルを用い、
かつポリエステル系可塑剤を全可塑剤に対して重量比で
0.1〜0.4の範囲で用いたことを特徴とする(5)
記載の被覆電線を提供するものである。
樹脂とは、塩化ビニル単独重合体及び塩化ビニル系共重
合体であり、その製造方法は、従来公知の重合方法で行
われ、例えば懸濁重合法等が挙げられる。ここで塩化ビ
ニル系共重合体の例としては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウン
デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデ
セン等の炭素数2〜30のα−オレフィン類、アクリル
酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエス
テル類、マレイン酸およびそのエステル類、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル等の
ビニル化合物、ジアリルフタレート等の多官能性モノマ
ーおよびこれらの混合物と塩化ビニルモノマーとの共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、
塩素化ポリエチレン、ブチルゴム、架橋アクリルゴム、
ポリウレタン、ポリブタジエン−スチレン−メチルメタ
クリレート(MBS)、ポリブタジエン−アクリロニト
リル−(α−メチル)スチレン(ABS)、スチレンブ
タジエン共重合体、ポリスチレン、ポリメチルメタクリ
レートおよびこれらの混合物へ塩化ビニルモノマーをグ
ラフトしたグラフト共重合体等が挙げられる。
して、炭素数が4〜12、好ましくは8〜10で、直鎖
率が50%〜100%、好ましくは90%以上の飽和脂
肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸エ
ステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれる
少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤を必
須成分として用いる。この可塑剤の原料として用いるア
ルコールの炭素数が4未満であると、得られる耐熱老化
性は不十分になり、12より大きい場合には塩化ビニル
系樹脂に対する親和性が極端に劣るため加工時のゲル化
不良を引き起こす。又、直鎖率が50%未満では得られ
る耐熱老化性は不十分になる。特に炭素数8〜10、直
鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料とする
多価カルボン酸エステルが耐熱老化性の点で好適であ
り、中でもピロメリット酸エステルが最適である。
上述の炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽
和脂肪族アルコールとトリメリット酸或いはピロメリッ
ト酸とを通常のエステル化法によりエステル化して得ら
れるものであり、その添加量は、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対し、10〜200重量部である。添加量が
10重量部未満では得られる組成物の柔軟性が乏しく、
耐熱老化性も不十分である。200重量部より多い場合
はブリード或いは加工時のゲル化不良を引き起こすため
好ましくない。なお、この可塑剤の添加量は、用途にも
よるが、20〜100重量部の範囲がより好ましい。
樹脂100重量部に対し、30〜50重量部が好まし
く、30〜45重量部が最も好ましい。添加量が30重
量部未満では得られる組成物の柔軟性が乏しく、被覆材
として伸び特性に劣り、耐熱老化性、耐寒性も不十分で
ある。50重量部より多い場合は硬度、耐摩耗性が不十
分となる傾向にある。本発明で用いられる塩基性珪酸鉛
は、例えばPbOとSiO 2の混合物を溶融し、冷却後
粉砕した物であり、その混合比はPbO/SiO2=9
0/10〜60/40(重量比)の範囲が望ましい。ま
た、その添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、0.1〜20重量部である。添加量が0.1重量部
未満では得られる耐熱老化性が不十分になり、20重量
部を越えると伸び等の機械的物性が損なわれるため好ま
しくない。
えば、バリウム、マグネシウム、鉛、カルシウム、亜
鉛、カドミウム、アルミニウム、ナトリウム、錫等の金
属のラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、
オレイン酸塩、フタル酸塩、安息香酸塩、アジピン酸
塩、マレイン酸塩等を挙げることができるが、これらは
塩基性塩であっても構わない。さらにこれらの中でもス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステア
リン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛が好ましく用いら
れ、これらは単独もしくは二種以上を組み合わせて併用
しても良く、必要に応じて多数種を組み合わせることに
より、色相改善並びに初期着色防止性向上の効果は大き
い。また、これら金属石鹸の添加量は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
0.1重量部未満では色相改善及び初期着色防止性向上
の効果が不十分になり、10重量部を越えると加工成形
時のゲル化不良を引き起こす。
を併用することで色相並びに加工時の初期着色防止性を
向上させているが、それは、塩化ビニル樹脂の加工温度
では塩基性珪酸鉛が溶融せず分散性が悪いため、比較的
融点が低く塩化ビニル樹脂内での分散性の良い金属石鹸
を添加することで、塩基性珪酸鉛単独使用の場合に生じ
る塩化ビニル樹脂内での局所的な分解を抑制できるため
であると考える。本発明の第2および第3の目的である
耐油性向上には、上述のトリメリット酸エステルおよび
/またはピロメリット酸エステルからなる多価カルボン
酸エステル系可塑剤に加えポリエステル系の可塑剤を添
加することが重要である。ここでポリエステル系の可塑
剤としては、例えば、アジピン酸と1,3−ブタンジオ
ールおよび2−エチルヘキサノールを通常のエステル化
法によりエステル化して得られる物で、25℃での粘度
が1000cps以上の物が好ましく、2000cps
以上であれば更に好ましい。25℃での粘度が1000
cps未満では満足な耐油性が得られない。
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、好ましくは
1〜100重量部であり、更に好ましくは3〜50重量
部であり、最も好ましくは3〜20重量部である。1重
量部未満では耐油性の改善効果が不十分になり、又、1
00重量部を越えるとブリード或いは加工時のゲル化不
良を引き起こす。
11の規格に合格する一般耐熱電線用途では、120℃
で120時間加熱し、屈曲後、1000Vに1分間耐え
る電線としての耐熱性が要求される(後述するシートで
の試験で加熱後伸び残率70%以上に相当)ほか、所定
の耐油性、耐摩耗性、耐寒性、適度の硬度等が要求され
る。そのために必要な多価カルボン酸エステル系可塑剤
の配合量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30
〜50重量部である。30重量部未満では耐熱老化性が
不足し、50重量部を越えると耐磨耗性に劣る。また、
ポリエステル系可塑剤が3重量部未満では耐油性が劣
り、20重量部以上では耐熱性が劣る。また、可塑剤の
合計量が35重量部以下では耐寒性が劣り、60重量部
以上では硬度が低下し、電線として使用できない。さら
に、使用する全可塑剤量に対するトリメリット酸エステ
ルの割合は重量比で0.3以下が好ましく、トリメリッ
ト酸エステルの全可塑剤量に占める割合が重量比で0.
3を越えると、耐熱老化性が不十分となる。また、ポリ
エステル系可塑剤の全可塑剤量に占める割合は重量比で
0.4以下が好ましく、重量比が0.4を越えると耐熱
老化性がやはり不十分となる。
る高耐熱性自動車電線用途では、120℃で168時間
加熱し屈曲後1000Vに1分間耐える電線としての高
度の耐熱性が要求される(後述するシートでの試験で加
熱後伸び残率80%以上に相当)ほか、所定の耐油性、
耐摩耗性、耐寒性、適度の硬度等が要求される。そのた
めに、多価カルボン酸エステルとして、炭素数が8〜1
0で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコールを原料
として得られるピロメリット酸エステルを塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して30〜50重量部配合する。
30重量部未満では耐熱老化性が不足し、50重量部を
越えると耐磨耗性に劣る。また、ピロメリット酸エステ
ルとポリエステル系可塑剤の合計量が35重量部以下で
は耐寒性が劣り、60重量部以上では硬度が低下し、電
線として使用できない。
とにより、電線用途として合格するためのシート試験に
よる合格基準である160℃で200時間加熱後の伸び
残率70%以上(一般耐熱用途)もしくは80%以上
(耐熱自動車用途)、浸油後の伸び残率85%以上、耐
寒性−20℃以下、耐磨耗性40回以上、硬度88〜9
8を達成することができる。なお、本発明における塩化
ビニル系樹脂組成物は必要に応じ、上記以外の可塑剤、
安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、難燃剤、充填剤、顔料、加工助剤等の通常塩化ビニ
ル系樹脂に用いられている添加剤を本発明における効果
を損なわない範囲で適宜配合して用いても良い。例え
ば、電線の絶縁材料やシース材料などの被覆材に用いる
ときには、難燃剤として三酸化アンチモンなどを、塩化
ビニル系樹脂100重量部に対して1〜20重量部程度
配合して難燃化を図るとよい。また、本発明における塩
化ビニル系樹脂組成物によれば、所期の目的である耐熱
老化性向上が達成されるが、さらなる耐熱性向上等の物
性を改善する目的で従来公知の架橋技術を併用すること
もできる。
は、塩化ビニル系樹脂に、上述の炭素数が4〜12で直
鎖率が50〜100%の飽和のアルコールを原料として
得られるトリメリット酸エステルおよび/またはピロメ
リット酸エステルからなる多価カルボン酸エステル系可
塑剤と塩基性珪酸鉛および金属石鹸、もしくはさらに2
5℃での粘度が1000cps以上のポリエステル系可
塑剤を、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキ
サー、リボンブレンダー等の攪拌機により攪拌・配合さ
れた配合粉として、或いはその配合粉を、例えばコニカ
ル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニ
ーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により造粒し
たペレットとして得ることができる。また、本発明にお
ける塩化ビニル系樹脂組成物を導体上に被覆して電線と
するには、従来公知の押出機を備えた押出被覆装置を用
いればよく、例えば、押出機170〜195℃、クロス
ヘッド部180℃の設定温度で、線速350〜450m
/分程度の電線製造が可能である。
るがこれらは本発明の範囲をなんら制限するものではな
い。尚、実施例により得られたプレスシートの色相の評
価と、加熱後伸び残率の測定は下記に示す方法による。 ・色相:シートを目視により評価したものである。 ・加熱後伸び残率:シートの加熱前と160℃のギヤオ
ーブンで200時間加熱後の引張伸び率をJIS−K7
113に準ずる引張試験法にて測定し、加熱後の引張伸
び率を加熱前の引張伸び率にて除して算出した。 ・浸油後伸び残率:シートの加熱浸油前と120℃に加
熱したJIS−K6301に規定されるNo.1油に8
時間浸した後、引張伸び率をJIS−K7113に準ず
る引張試験法にて測定し、加熱後の引張伸び率を加熱前
の引張伸び率にて除して算出した。
耐寒性、耐摩耗性、硬度についての評価はプレスシート
を用い下記に示す方法による。 ・耐寒性:JIS−K6723に準ずる耐寒性試験法に
て媒体はエタノールを使用して測定を行った。 ・耐磨耗性:JASO D 611−86に準じブレー
ド往復法試験にて、ブレード荷重を1500gとし、ブ
レードとアングル型試験台とがサンプルを挟み通電する
に至るまでの往復回数を磨耗回数として測定することに
より評価した。 ・硬度:JIS−K6301に準ずる定荷重式硬さ試験
法にて測定を行った。
より、請求項1の発明について具体的に説明する。
部に、原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオ
クチルピロメリテート50重量部と、PbO/SiO 2
(重量比)が85/15である塩基性珪酸鉛10重量部
と、ステアリン酸鉛1重量部と、ステアリン酸バリウム
1重量部をヘンシェルミキサーにて135℃になるまで
混合し、得られた組成物を180℃のロール混練機にて
15分間混練した後、180℃のプレス成形機にて50
kg/cm2の圧力で4分間プレスし、厚さ1mmのシ
ートを得た。この得られたシートは成形時の初期着色も
無く白色であった。次いで160℃のギヤオーブンで2
00時間シートを加熱し、加熱後伸び残率を測定するに
当たり加熱前と後の引張伸び率を測定したところ各々2
73%、310%であり、その加熱後伸び残率は88%
で、耐熱老化性は良好であった。結果を表1に示す。
ピロメリテートを30重量部用いた他は実施例1と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1に示
す。
ピロメリテートを80重量部用いた他は実施例1と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1に示
す。
してシートを得たところ目視では殆ど確認できないくら
いの薄い黄色の着色が見られたが、製品として問題のな
い範囲であった。次いでシートを加熱して加熱後伸び残
率を測定した。結果を表1に示す。
重量部とした他は実施例1と同様にしてシートを得て物
性を測定した。結果を表1に示す。
ピロメリテートに代えて、原料アルコールの直鎖率が9
5%であるトリオクチルトリメリテートを50重量部用
いた他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。結果を表1に示す。
化ビニル樹脂部の平均重合度が700で、且つモノマー
比で酢酸ビニルの含有量が4.5%である塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体100重量部を用いた他は実施例1
と同様にしてシートを得て物性を測定した。結果を表1
に示す。
ピロメリテートに代え、原料アルコールの直鎖率が10
%であるテトラオクチルピロメリテート50重量部を用
いた他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率が低く、
耐熱老化性が不十分であった。結果を表1に示す。
トラオクチルピロメリテートの添加量を250重量部と
した他は実施例1と同様にしてヘンシェルミキサーでの
混合を行ったが、135℃になるまで混合しても可塑剤
が塩化ビニル系樹脂粉に十分に吸収されず、結果として
ロール混練機での混練が出来なかった。
加しなかった他は実施例1と同様にしてシートを得て物
性を測定した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率
が低く、耐熱老化性が不十分であった。結果を表1に示
す。
った他は実施例1と同様にしてシートを得て物性を測定
した。加熱後の伸び残率は良好であったが色相が著しく
悪化し、赤血色であった。結果を表1に示す。
重量部とした他は実施例1と同様にして、シートを作成
するためロール混練機による混練を行ったところ、ロー
ルへの巻き付きが起こらず混練できなかった。結果を表
1に示す。
する実施例1〜7の組成物は、いずれも加熱後伸び残率
70%以上であり良好な耐熱老化性を示すとともに、成
形時の初期着色防止性も良好であることがわかる。一
方、比較例3および4のように、塩基性珪酸鉛と金属石
鹸とを併用しない組成物では、耐熱老化特性が著しく劣
っていたり成形時の着色があったりして使用に耐えない
ものであることがわかる。
3により、請求項2の発明について具体的に説明する。
部に、原料アルコールの直鎖率が95%であるテトラオ
クチルピロメリテート50重量部と、PbO/SiO 2
(重量比)が85/15である塩基性珪酸鉛10重量部
と、ステアリン酸鉛1重量部と、ステアリン酸バリウム
1重量部と、アジピン酸、1,2−ブタンジオールおよ
び2−エチルヘキサノールを原料として得られる25℃
での粘度が3000cpsのポリエステル系可塑剤10
重量部をヘンシェルミキサーにて135℃になるまで混
合し、得られた組成物を180℃のロール混練機にて1
5分間混練した後、180℃のプレス成形機にて50k
g/cm2の圧力で4分間プレスし、厚さ1mmのシー
トを得た。
無く白色であった。次いで160℃のギヤオーブンで2
00時間シートを加熱し、加熱後伸び残率を測定するに
当たり加熱前と後の引張伸び率を測定したところ各々2
64%、310%であり、その加熱後伸び残率は85%
であった。また浸油後伸び残率の測定に際し、120℃
に加熱したJIS−K6301に規定されるNo.1油
に8時間浸した後、引張伸び率を測定したところ各々2
79%、310%であり、その浸油後伸び残率は90%
であった。耐熱老化性、耐油性は良好であった。結果を
表2に示す。
ピロメリテートを30重量部用いた他は実施例8と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2に示
す。
ピロメリテートを80重量部用いた他は実施例8と同様
にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2に示
す。
してシートを得たところ目視では殆ど確認できないくら
いの薄い黄色の着色が見られたが、製品として問題のな
い範囲であった。次いでシートを加熱して加熱後伸び残
率を、またシートの浸油後伸び残率を測定した。結果を
表2に示す。
重量部とした他は実施例8と同様にしてシートを得て物
性を測定した。結果を表2に示す。
ピロメリテートに代えて、原料アルコールの直鎖率が9
5%であるトリオクチルトリメリテートを50重量部用
いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。結果を表2に示す。
化ビニル樹脂部の平均重合度が700で、且つモノマー
比で酢酸ビニルの含有量が4.5%である塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体100重量部を用いた他は実施例8
と同様にしてシートを得て物性を測定した。結果を表2
に示す。
可塑剤を5重量部とした他は実施例8と同様にしてシー
トを得て物性を測定した。結果を表2に示す。
可塑剤を20重量部とした他は実施例8と同様にしてシ
ートを得て物性を測定した。結果を表2に示す。
ピロメリテートに代え、原料アルコールの直鎖率が10
%であるテトラオクチルピロメリテート50重量部を用
いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率が低く、
耐熱老化性が不十分であった。結果を表3に示す。
トラオクチルピロメリテートの添加量を250重量部と
した他は実施例8と同様にしてヘンシェルミキサーでの
混合を行ったが、135℃になるまで混合しても可塑剤
が塩化ビニル系樹脂粉に十分に吸収されず、結果として
ロール混練機での混練が出来なかった。
加しなかった他は実施例8と同様にしてシートを得て物
性を測定した。色相は良好であったが加熱後の伸び残率
および浸油後伸び残率ともに低く、耐熱老化性ならびに
耐油性が不十分であった。結果を表3に示す。
った他は実施例8と同様にしてシートを得て物性を測定
した。加熱後の伸び残率は良好であったが色相が著しく
悪化し、赤血色であった。結果を表3に示す。
重量部とした他は実施例8と同様にして、シートを作成
するためロール混練機による混練を行ったところ、ロー
ルへの巻き付きが起こらず混練できなかった。結果を表
3に示す。
可塑剤を用いなかった他は実施例8と同様にしてシート
を得て物性を測定した。浸油後伸び残率が低く、耐油性
が不十分であった。結果を表3に示す。
可塑剤を150重量部とした他は実施例8と同様にして
ヘンシェルミキサーでの混合を行ったが、135℃にな
るまで混合しても可塑剤が塩化ビニル系樹脂粉に十分に
吸収されず、結果としてロール混練機での混練が出来な
かった。結果を表3に示す。
ヘキサノールを原料として得られる25℃での粘度が3
000cpsのポリエステル系可塑剤に代えて25℃で
の粘度が500cpsのポリエステル系可塑剤10重量
部を用いた他は実施例8と同様にしてシートを得て物性
を測定した。浸油後伸び残率が低く、耐油性が不十分で
あった。結果を表3に示す。
に相当する実施例8〜16の組成物は、いずれも加熱後
伸び残率70%以上であり良好な耐熱老化性を示すとと
もに、成形時の初期着色防止性も良好であり、特に比較
例11や比較例13と実施例との対比により高粘度のポ
リエステル系可塑剤を配合することで耐油性向上が達成
されていることがわかる。
系樹脂組成物およびそれを用いた電線を提供するための
請求項3〜請求項6の発明について、以下の実施例17
〜29および比較例14〜22により具体的に説明す
る。
00の塩化ビニル単独重合体に、多価カルボン酸エステ
ル系可塑剤として原料アルコールの直鎖率が95%であ
るテトラオクチルピロメリテートに加え、原料アルコー
ルの直鎖率が95%であるトリオクチルトリメリテート
を、全可塑剤中のトリオクチルトリメリテートの割合が
重量比で0.3以下となるよう、さらに25℃での粘度
が3000cpsのポリエステル系可塑剤をポリエステ
ル系可塑剤を全可塑剤中の割合が0.4以下となるよう
にそれぞれ配合した他は、実施例8と同様の方法で混練
後プレス成形して、厚さ0.5mm、1mm、2mm、
12mmのシートを得た。1mm厚のシートを用いて、
実施例8と同様にして成形時の色相評価および加熱後伸
び残率と浸油後伸び残率の測定を。また、2mm厚のシ
ートを用いて耐寒性、0.5mmのシートを用いて耐摩
耗性、12mm厚のシートを用いて硬度をそれぞれ測定
した。結果を表4に示す。
と同様の方法で各厚さのシートを得て物性を測定した。
結果を表4に示す。
物はいずれも、加熱後伸び残率70%以上の耐熱老化
性、浸油後伸び残率85%以上の耐油性、−20℃以下
の耐寒性、摩耗回数40回以上の耐摩耗性、88〜98
の範囲の硬度を示し、一般耐熱電線用途で必要とする諸
特性を満足するものであることがわかる。また、実施例
17のように、トリメリット酸エステル量、ポリエステ
ル系可塑剤量を少な目に調整することにより、自動車用
耐熱架橋電線の規格を満足する高度の耐熱性も実現でき
ることがわかる。一方、比較例14の組成物はポリエス
テル系可塑剤の全可塑剤中の割合が0.5と多いため加
熱後の伸び残率が65%と低く、また、比較例15の組
成物もトリオクチルトリメリテートの全可塑剤中の割合
が0.5と多いため加熱後の伸び残率が60%と低くな
っており、一般耐熱電線用途で必要とされる耐熱老化性
が得られないことがわかる。
ルボン酸エステル系可塑剤として、原料アルコーの直鎖
率が95%であるテトラオクチルピロメリテートのみを
用いた他は、実施例17〜21と同様にして厚さ0.5
mm、1mm、2mm、12mmのシートを得た。得ら
れたシートを用いて、実施例17と同様、成形時の色相
評価をし、加熱後伸び残率、浸油後伸び残率、耐寒性、
耐摩耗性および硬度をそれぞれ測定した。実施例の結果
を表5に、比較例の結果を表6にそれぞれ示す。
物はいずれも、加熱後伸び残率80%以上の耐熱老化
性、浸油後伸び残率85%以上の耐油性、−20℃以下
の耐寒性、摩耗回数40回以上の耐摩耗性、88〜98
の範囲の硬度を示し、自動車用耐熱電線用途で必要とす
る諸特性(JASO D 608)を満足するものであ
ることがわかる。一方、表6の結果から、比較例16、
20の組成物のように全可塑剤中に占めるポリエステル
系可塑剤の配合割合が多過ぎると加熱後伸び残率(耐熱
老化性)が不十分となり、比較例21、22の組成物の
ように少な過ぎると浸油後伸び残率(耐油性)が不十分
となることがわかる。また、比較例17、18、19の
組成物のようにポリエステル系可塑剤の配合割合を適量
としても全可塑剤量が多すぎると、耐摩耗性、硬度が不
足し電線用途としての必要特性を満足しないことがわか
る。
成物を用いて、60mmφ、L/D25の押出機によ
り、設定温度を材料投入側から順次175℃、190
℃、193℃、クロスヘッド部180℃とし、線速40
0m/分で導体上に所定厚の絶縁層を押出成形して被覆
電線を得て諸特性を評価した。評価項目、方法は、JA
SO D 611(=JIS C 3406)規格およ
びJASO D 608規格に準拠した。評価結果を表
7にまとめて示す。
いて電線用途に適しているとして提供される組成物を用
いた請求項5および請求項6に該当する被覆電線は、電
線規格で定められた耐熱性をはじめとする諸特性にすべ
て合格することが確かめられた。
よれば、耐熱老化性が良好で色相並びに加工成形時の初
期着色防止性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供で
きる。また、請求項2の発明によれば、耐熱老化性が良
好で色相並びに加工成形時の初期着色防止性さらには耐
油性に優れる塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。さ
らに、請求項3および請求項4の発明によれば、特に耐
熱電線用途に適した耐熱性、耐油性のほか電線として必
要とされる耐寒性、耐摩耗性、適度の硬度等の諸特性を
満足する塩化ビニル系樹脂組成物を提供できる。また、
請求項5および請求項6の発明によれば、耐熱電線用途
に適した耐熱性、耐油性をはじめ耐寒性、耐摩耗性、適
度の硬度等の諸特性を満足する塩化ビニル系樹脂組成物
を被覆材に用いているため、JASO D 611(=
JISC 3406)規格ないしはJASO D 60
8規格に合格する耐熱被覆電線を提供することができ、
工業的価値は極めて大きい。
Claims (6)
- 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
た少なくとも一種の多価カルボン酸エステル系可塑剤1
0〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重量部、
および金属石鹸0.1〜10重量部が配合されてなるこ
とを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。 - 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
た少なくとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可
塑剤10〜200重量部、塩基性珪酸鉛0.1〜20重
量部、金属石鹸0.1〜10重量部、さらに25℃での
粘度が1000cps以上のポリエステル系可塑剤1〜
100重量部が配合されてなることを特徴とする塩化ビ
ニル系樹脂組成物。 - 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対す
る、多価カルボン酸エステル系可塑剤およびポリエステ
ル系可塑剤の配合量がそれぞれ30〜50重量部および
3〜20重量部で、前記可塑剤の合計量が35〜60重
量部であり、かつ全可塑剤中のトリメリット酸エステル
の割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリエステ
系可塑剤の割合が重量比で0.4以下であることを特徴
とする請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。 - 【請求項4】 多価カルボン酸エステル系可塑剤が炭素
数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アルコー
ルを原料とするピロメリット酸エステルからなり、全可
塑剤中のポリエステル系可塑剤の割合が重量比で0.1
〜0.4であることを特徴とする請求項3記載の塩化ビ
ニル系樹脂組成物。 - 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、炭素数が4〜12で直鎖率が50〜100%の飽和
脂肪族アルコールを原料として得られるトリメリット酸
エステルおよびピロメリット酸エステルの群から選ばれ
た少なくとも一種からなる多価カルボン酸エステル系可
塑剤30〜50重量部、25℃での粘度が1000cp
s以上のポリエステル系可塑剤3〜20重量部、塩基性
珪酸鉛0.1〜20重量部および金属石鹸0.1〜10
重量部が配合されてなり、かつ前記可塑剤の合計量が3
5〜60重量部であり、全可塑剤中のトリメリット酸エ
ステルの割合が重量比で0.3以下、全可塑剤中のポリ
エステル系可塑剤の割合が重量比で0.4以下である塩
化ビニル系樹脂組成物を被覆材に用いたことを特徴とす
る被覆電線。 - 【請求項6】 多価カルボン酸エステル系可塑剤として
炭素数8〜10で直鎖率が90%以上の飽和脂肪族アル
コールを原料とするピロメリット酸エステルを用い、か
つポリエステル系可塑剤を全可塑剤に対して重量比で
0.1〜0.4の範囲で用いたことを特徴とする請求項
5記載の被覆電線。
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