JP2003165881A - ポリ塩化ビニル系組成物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系組成物

Info

Publication number
JP2003165881A
JP2003165881A JP2001365720A JP2001365720A JP2003165881A JP 2003165881 A JP2003165881 A JP 2003165881A JP 2001365720 A JP2001365720 A JP 2001365720A JP 2001365720 A JP2001365720 A JP 2001365720A JP 2003165881 A JP2003165881 A JP 2003165881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyvinyl chloride
group
weight
parts
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001365720A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Kashiwabara
進 柏原
Masaki Sato
正喜 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001365720A priority Critical patent/JP2003165881A/ja
Publication of JP2003165881A publication Critical patent/JP2003165881A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性や耐久性に優れ、且つ、抗血栓
性、内分泌攪乱物質の体内への移行量削減などの安全性
の点でも優れた特性を有する医療用チューブなどの医療
用具成形用のポリ塩化ビニル系組成物を提供するもので
ある。 【解決手段】 ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニルを軟質
化できる可塑剤とからなるポリ塩化ビニル系組成物であ
って、該可塑剤が、(a)ジオール成分とジカルボン酸
成分の炭素原子数の和が9〜20であるエステル単位か
らなり末端にカルボキシル基を有するポリエステルと末
端にエポキシ基を有する末端エポキシ基含有化合物とを
反応させて得られる改質ポリエステルと(b)トリメリ
ット酸エステルとを必須成分として含むことを特徴とす
るポリ塩化ビニル系組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性や耐久
性に優れ、且つ、抗血栓性、内分泌攪乱物質の体内への
移行量削減などの安全性の点でも優れた特性を有する医
療用途に適するポリ塩化ビニル系組成物を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、医療用チューブの成形材料として
ポリ塩化ビニル樹脂が広く用いられている。ポリ塩化ビ
ニル樹脂には、可塑剤として、フタル酸エステル、脂肪
族ポリエステル、エポキシ化合物等、種々の化合物が用
いられているが、可塑化効果が高く、得られる樹脂の透
明性や加工性が優れており、コストも安いことから、フ
タル酸エステルが多く用いられている。フタル酸エステ
ルと一般名称で呼称される可塑剤としては、フタル酸ベ
ンジルブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブ
チル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−プロピ
ル、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−n−ヘキ
シル、フタル酸モノ(2−エチルヘキシル)、フタル酸
ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジシクロヘキシ
ル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなど
が挙げられる。
【0003】しかしながら、フタル酸エステルを用いた
ポリ塩化ビニル樹脂の成形物は、ポリエステルやポリア
ミド、ポリウレタン等の他の樹脂と接触させた状態で放
置したり、あるいは空気中で放置した場合において、該
成形物表面にフタル酸エステルが浸出、移行してしま
い、成形物の柔軟性や伸びの低下など、機械的性質の劣
化を引き起こす問題がある。また、フタル酸エステルを
使用した塩化ビニル樹脂では、成形したチューブ内に種
々の有機溶媒や血液、血漿など通過させた際には、比較
的簡単にフタル酸エステルが抽出されてしまう。フタル
酸エステルは、近年、生体内に入った場合、内分泌攪乱
物質として作用し、生物の生殖機能を阻害することが危
惧されている。したがって、医療用チューブの形成材料
には、可塑剤としてフタル酸エステルを使用しないポリ
塩化ビニル樹脂を用いることが望まれている。また、フ
タル酸エステルを使用したチューブは抗血栓性が無く、
チューブ内で血液が固まり血栓を生じやすくなる。これ
を防ぐためには、抗凝血剤であるヘパリンを用いてチュ
ーブの内壁面をコーティングする必要があるが、ヘパリ
ンは高価であるため経済的でない。
【0004】特公昭52―36896号には、可塑剤と
してフタル酸エステルを使用しないポリ塩化ビニル系組
成物として、ポリ塩化ビニル100重量部に対して、炭
素数6〜12の側鎖を有しない脂肪族カルボン酸と炭素
数4〜12の側鎖を有さない脂肪族ジオールの4〜15
モル%を炭素数3〜12の側鎖を有する脂肪族ジオール
に置き換えた混合ジオールからなるポリエステルグリコ
ールを使用して、ジイソシアネート成分1モルに対しポ
リオール成分0.98〜1.06モルの割合で反応させ
て得られるポリエステルウレタンを40〜110重量部
混合することによって毒性の低い軟質ポリ塩化ビニル組
成物が得られることが開示されている。しかし、この場
合においても、可塑剤のポリマーへの抽出性および移行
性は改良されているが、イソシアネートを使用するため
に残存イソシアネート基による細胞毒性が懸念される。
また、ウレタン結合が導入されているため、ポリエステ
ル単独の場合よりも可塑化効果が低く、加工性が悪い。
そのため、フタル酸エステル類で可塑化されたポリ塩化
ビニル樹脂に代替できてない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械的特性
や耐久性に優れ、且つ、抗血栓性、内分泌攪乱物質の体
内への移行量削減などの安全性の点でも優れた特性を有
する医療用途に適するポリ塩化ビニル系組成物を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1)ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニルを軟質化できる
可塑剤とからなるポリ塩化ビニル系組成物であって、該
可塑剤が、(a)ジオール成分とジカルボン酸成分の炭
素原子数の和が9〜20であるエステル単位からなり末
端にカルボキシル基を有するポリエステルと末端にエポ
キシ基を有する末端エポキシ基含有化合物とを反応させ
て得られる改質ポリエステルと(b)トリメリット酸エ
ステルとを必須成分として含むことを特徴とするポリ塩
化ビニル系組成物。 (2)上記末端エポキシ基含有化合物が、下記一般式
(I)〜(V)のいずれかで表されるものである上記
(1)記載のポリ塩化ビニル系組成物。
【化6】 [化学式(I)において、R1は炭素原子数2〜30のア
ルキレン基、アラルキレン基、Xはハロゲン原子、lと
mはそれぞれ独立した0〜10の整数(ただし、lとm
がともに0である場合を除く)を示す。]
【化7】 [化学式(II)において、R2は炭素原子数1〜50のア
ルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基または芳
香族基、nは1〜10の整数を示す。]
【化8】 [化学式(III)において、R3は炭素原子数1〜50の
アルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキレン基ま
たは芳香族基を示す。]
【化9】 [化学式(IV)において、R4は炭素原子数4〜50のア
ルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキレン基また
は芳香族基を示す。]
【化10】 [化学式(I)において、R5は炭素原子数1〜10のア
ルキレン基、アルケレニン基、アリーレン基、oは1〜
30の整数を示す。] (3)ポリ塩化ビニルと(a)改質ポリエステルと
(b)トリメリット酸エステルの配合比が、ポリ塩化ビ
ニル100重量部に対して(a)改質ポリエステルが5
〜140重量部、(b)トリメリット酸エステルが10
〜140重量部、かつ改質ポリエステルとトリメリット
酸エステルの合計[(a)+(b)]が15〜150重量
部の範囲である請求項1に記載のポリ塩化ビニル系組成
物。 (4)上記(1)〜(3)記載のポリ塩化ビニル系組成
物からなる医療用具。である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ塩化ビニル系組成物は、ポリ塩化ビニルを
特定の改質ポリエステルとトリメリット酸エステルを主
成分とする可塑剤にて可塑化したポリ塩化ビニル系組成
物である。
【0008】本発明のポリ塩化ビニル樹脂の可塑剤の必
須成分として用いられる(a)改質ポリエステルは,ジ
オール成分とジカルボン酸性分の炭素原子数の和が9〜
20であるエステル単位からなり末端がカルボキシル基
を有するポリエステルと後述する末端にエポキシ基を含
有する化合物とを反応させて得られる。
【0009】本発明における末端がカルボキシル基を有
するポリエステルのジオール成分としては、例えば、
1,6―ヘキサンジオール、1,4―ブタンジオール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメ
チレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチ
レングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂肪族および/または脂環式ジ
オールが挙げられる。また、ジカルボン酸成分として
は、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コ
ルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジオン
酸、ドデカジオン酸などがあげられる。
【0010】ただし、該改質ポリエステルにおいて、ジ
オール成分とジカルボン酸成分の炭素原子数の和は9〜
20、好ましくは10〜15である。ジオール成分とジ
カルボン酸成分はこの範囲で選択する必要がある。エス
テル単位の炭素原子数の和が9より小さいと、得られる
改質ポリエステルのポリ塩化ビニルへの相溶性が悪くな
り、均一なポリ塩化ビニル系組成物が得られない。ま
た、エステル単位の炭素原子数の和が20を越えても、
得られる改質ポリエステルのポリ塩化ビニルへの相溶性
が悪くなり、均一なポリ塩化ビニル系組成物が得られな
い。
【0011】上記ポリエステルの製造は、通常のエステ
ル化装置および条件が採用できる。例えば、エステル化
装置に原料のジオールおよびジカルボン酸またはその誘
導体を加えるが、この際、ジオール成分に対してジカル
ボン酸成分を過剰に仕込み、この混合物を150℃〜2
60℃の温度で攪拌しながらエステル化反応を行うこと
よって、実質的に両末端にカルボキシル基を有するポリ
エステルが得られる。上記ジカルボン酸の仕込み量は、
ジオール成分の仕込み量に対し、モル比で1.03〜
1.20、好ましくは1.05〜1.12である。上記
エステル化反応において、適当なエステル化触媒、例え
ばリン酸、亜リン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、
メタンスルホン酸、シュウ酸第一スズ塩、アルキル鉛酸
化物、チタン酸テトラブチル、酢酸亜鉛炭酸ナトリウム
などを適宜添加してもよい。当該エステル化触媒の添加
量としては、0.01〜0.5重量%が例示される。上
記エステル化反応において,常圧、150〜260℃で
2〜5時間反応を行った後、徐々に減圧とし、圧力を
0.1〜50mmHgに減じて、残存する水を完全に除
去することが好ましい。
【0012】ここで得られるポリエステルの数平均分子
量は、500〜20000、好ましくは1000〜80
00である。また、酸価は14〜110ミリ当量/k
g、好ましくは20〜70ミリ当量/kgである。
【0013】本発明における末端エポキシ基含有化合物
は、末端にエポキシ基を有するものであれば、特に制限
はないが、例えば、下記一般式(I)〜(V)で表され
るいずれかの化合物が例示される。
【0014】
【化11】
【0015】[化学式(I)において、R1は炭素原子数
2〜30、好ましくは4〜20のアルキレン基、アラル
キレン基を示す。式(I)中、Xは例えばF、C1など
のハロゲン原子を示す。式(I)中、1,mはそれぞれ
独立した0〜10、好ましくは1〜7の整数を示す。]
【0016】
【化12】
【0017】[化学式(II)において、R2は炭素原子数
1〜50、好ましくは6〜20のアルキレン基、アルケ
ニレン基、アラルキレン基または芳香族基を示す。式
(II)中、nは1〜10を示す。]
【0018】
【化13】
【0019】[化学式(III)において、R3は炭素原子
数1〜50、好ましくは6〜20のアルキレン基、オキ
シアルキレン基、アラルキレン基または芳香族基を示
す。]
【0020】
【化14】
【0021】[化学式(IV)において、R4は炭素原子数
4〜50、好ましくは6〜20のアルキレン基、オキシ
アルキレン基、アラルキレン基または芳香族基を示
す。]
【0022】
【化15】
【0023】[化学式(V)において、R5は炭素原子数
1〜10、好ましくは2〜5のアルキレン基、アラルキ
レン基、アリーレン基を示す。式(V)中、oは1〜3
0の整数を示す。]
【0024】一般式(I)または(II)で示される末端
エポキシ基含有化合物としては、炭素原子数4〜50の
脂肪族ジオール(例えば、テトラメチレングリコール、
ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール
など)、あるいは炭素原子数6〜50の芳香族ジオール
(例えば、4,′4−イソプロピリデンジフェノール、
4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキ
シフェニルスルホンなど)、あるいは炭素原子数4〜5
0のポリアルキレングリコール(例えば、分子量200
〜1000のポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレン
オキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体な
ど)、などのグリコールの両末端水酸基をジグリシジル
エーテル化したものが例示される。また、例えば、4,
4′−イソプロピリデンジフェノールとエピクロルヒド
リンとから得られる分子量400〜2000の両末端に
エポキシ基を有するエポキシ樹脂なども例示される。
【0025】一般式(III)で示される末端エポキシ基
含有化合物としては,炭素原子数4〜50の脂肪族飽和
カルボン酸(例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ダイマー酸など)、あるいは炭素原子数4〜5
0の脂肪族不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、
フマル酸など)、あるいは炭素原子数6〜50の芳香族
ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸な
ど)、あるいは炭素原子数5〜50の芳香族核を側鎖に
有するジカルボン酸(例えば、1,2−ビス(ω―ヒド
ロキシカルボニルヘキサメチル−フェニル)エタンな
ど)などの両末端カルボキシル基をジグリシジルエステ
ル化したものが挙げられる。
【0026】一般式(IV)で示される末端エポキシ含有
化合物としては、オキシカルボン酸(例えば、ε−カプ
ロン酸、安息香酸など)などのグリシジルエーテル、グ
リシジルエステルが例示される。
【0027】一般式(V)で示される末端エポキシ基含
有化合物としては、ポリテトラメチレングリコールや、
一般式(VI)で示されるネオぺンチルグリコールや、下
記式(VII)で示されるレゾルシングリシジルエーテ
ル、下記一般式(VIII)で示される、例えば、1,6−
ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどが例示され
る。
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【式18】
【0031】(式(VIII)中、pは1〜10、好ましく
は4〜6の整数を示す。)
【0032】本発明の(a)改質ポリエステルを得るに
は、上記両末端にカルボキシル基を有するポリエステル
1モル当り、末端エポキシ基含有化合物を0.5〜1.
5モル、好ましくは0.7〜1.2モルの割合で反応さ
せる。反応条件は100℃〜250℃、好ましくは12
0℃〜230℃の温度で窒素気流下、攪拌しながら0.
1〜10時間反応を行う。この際、触媒としてエポキシ
基の開環触媒として一般に用いられる触媒を用いても良
いが、特に炭素数6〜50の脂肪族モノカルボン酸また
はジカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。触媒の添
加量は0.05〜0.5重量%である。得られる改質ポ
リエステルはクロロホルム溶媒中、30℃にて0.4g
/dlの濃度測定で還元粘度が0.30以上、好ましく
は0.50以上である。
【0033】もう一方の可塑剤である(b)トリメリッ
ト酸エステルは、例えば、トリメリット酸トリ−2−エ
チルヘキシル、トリメリット酸トリブチル、トリメリッ
ト酸トリエチル、トリメリット酸トリ−n−ブチル、ト
リメリット酸トリイソブチル、トリメリット酸トリ−n
−プロピル、トリメリット酸トリ−n−ペンチル、トリ
メリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリシ
クロヘキシル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメ
リット酸トリイソデシル等が挙げられる。
【0034】本発明のポリ塩化ビニル系組成物は、ポリ
塩化ビニル100重量部に対して、上記(a)改質ポリ
エステルを5〜140重量部と(b)トリメリット酸エ
ステルを5〜140重量部配合して得られる。改質ポリ
エステルとトリメリット酸エステルをあわせた重量
[(a)+(b)]は、ポリ塩化ビニル100重量部に
対して、15〜150重量部、好ましくは20〜120
重量部混合して得られる。特にローラーポンプのしごき
部分用などに使用する軟質のポリ塩化ビニルを得たい時
は、改質ポリエステルを40重量部以上混合することが
好ましい。ポリ塩化ビニル100重量部に対し、(a)
改質ポリエステルおよび(b)トリメリット酸エステル
が15重量部未満しか混合されないと、加工性(可塑
性)の向上が不充分であり、本発明の目的が達成されな
い。また、ポリ塩化ビニル100重量部に対し(a)改
質ポリエステルおよび(b)トリメリット酸エステル
を、150重量部を越えて混合すると、粘着性が増加
し、操業性、デバイスに加工した場合の操作性等に問題
が生じる。
【0035】ポリ塩化ビニルに(a)改質ポリエステル
および(b)トリメリット酸エステルを混合する方法と
しては、従来公知のロール、ヘンシェルミキサー、パン
パリーミキサー等が使用される。
【0036】通常、ポリ塩化ビニル樹脂を加工する場
合、安定剤、滑剤の添加は必須であるが、本発明のポリ
塩化ビニル系組成物を加工する場合も例外ではない。医
療関係で使用される際には、安定剤としては特にエポキ
シ系安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、リン系安定剤が好ましく用いられる。滑剤として
は、特に脂肪酸系エステル系、パラフィン類、シリコー
ンオイルなどが好ましく用いられる。また、他の樹脂や
フィラーを混練しても構わない。これらを上記のミキサ
ーにて混合した後、通常、押出し成形によりストランド
状に引き出し、カッターにより切断して成形用のペレッ
トを得る。
【0037】本発明は、内分泌攪乱物質を含まない抗血
栓性に優れたポリ塩化ビニル系組成であり、例えば、人
工心肺回路、血液透析回路、心臓手術用のカニューレ、
外科手術に用いられる吸引用チューブ、薬液注入用など
の用途のチューブなど、種々の医療用チューブとして使
用することができる。
【0038】これらの内分泌攪乱物質を含まないポリ塩
化ビニル樹脂に対して、特殊脂肪族ポリエステルおよび
トリメリット酸エステル単独にて可塑化したポリ塩化ビ
ニル樹脂は、チューブなどの医療用具を成形した場合本
発明のような優れた効果を得ることができない。本発明
の特定の(a)改質ポリエステル単独にて可塑化した場
合には、抗血栓性に優れたポリ塩化ビニル樹脂を得るこ
とができるが、改質ポリエステルが高分子量なためから
か低温(0℃〜37℃程度)時にチューブが大幅に硬く
なってしまい、医療用チューブとして要求される可撓性
を得ることができなくなってしまう。また、フタル酸エ
ステルを可塑剤として用いたポリ塩化ビニル樹脂製の従
来の医療用チューブと比較して、弾性等の諸物性に劣
る。さらに、該(a)改質ポリエステルは、フタル酸エ
ステルなどポリ塩化ビニル樹脂に通常用いられる可塑剤
に比べて高価であり、近年の医療費の抑制という社会的
な要求にこたえられないものとなってしまう。
【0039】また、可塑剤として(b)トリメリット酸
エステル単独にて可塑化して成形されたチューブはフタ
ル酸エステル類で可塑化されたチューブと同様、優れた
物性を示すが(a)改質ポリエステルで可塑化したポリ
塩化ビニル系組成物が有するような抗血栓性はまったく
保有しない。抗血栓性を得るためには、フタル酸エステ
ルにて可塑化された従来のポリ塩化ビニル製チューブと
同様に、高価な抗凝血剤であるヘパリンを利用したコー
ティングを行う必要がある。
【0040】また、本発明者らはこれらの問題を解決す
るために、内層部に抗血栓性に優れた該改質ポリエステ
ルを可塑剤とするポリ塩化ビニル樹脂を配し、外層部に
トリメリット酸エステルを可塑剤とするポリ塩化ビニル
樹脂を検討した。本チューブは、上記問題の解決にはき
わめて有効であるが、多層成形は単層成形と比較して成
形コストが高いことなどからその普及に当たっての障害
となる。
【0041】このように、本発明のポリ塩化ビニル系組
成物は、特定の改質ポリエステルを可塑剤とすることで
得られる抗血栓性と、トリメリット酸エステルを可塑剤
として使用することによる優れた物理的性質を兼ね備
え、かつ、従来の成形機や成形条件が使用できる。ま
た、従来のフタル酸エステルを全く含まない樹脂とする
ことが出来、医療用途としてきわめて優れた樹脂組成物
である。
【0042】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明の医療用チュー
ブをより詳細に説明するが、これらは単なる例示であっ
て、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0043】(改質ポリエステルAの合成)アジピン
酸:1524重量部、1,6−ヘキサンジオール:11
82重量部、チタン酸テトラブチル:0.108重量部
およびトリメチルホスフェート:0.089重量部をオ
ートクレーブに仕込み、窒素気流下、150℃〜230
℃に2時間かけて昇温し、攪拌しながら、生成する水を
除去し、反応を行った。次いで、230℃を保持し、徐
々に減圧し、60分間かけて0.1mmHgとした。さ
らに230℃、0.1mmHgで60分間反応を行い、
酸価24.7ミリ当量/kg、水酸基価0.50ミリ当
量/kgの両末端にカルボキシル基を有するポリエステ
ルを得た。このポリエステル:1500重量部とエポキ
シ樹脂(YD−128、東都化成(株)製、エポキシ当
量:192.3g/当量):88.9重量部およびダイ
マー酸ジナトリウム:3.0重量部をオートクレーブに
仕込み、窒素気流下、180℃で攪拌しながら4時間反
応させて、ηsp/Cが0.756の改質ポリエステルA
を得た。
【0044】(ポリ塩化ビニル系組成物(A−1)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:110
0):100重量部と上記改質ポリエステルA:40重
量部とトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル:40重
量部、エポキシ化大豆油:15重量部、ステアリン酸カ
ルシウム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.5重
量部を蒸気加熱式8インチミキシングロール(ロール温
度:115℃)を使用して90分間混練りして、ポリ塩
化ビニル系組成物(A−1)を得た。該ポリ塩化ビニル
系組成物(A−1)を、二軸押し出し成形機を使用して
175℃でストランド成形を行い、ペレット状にした。
【0045】(改質ポリエステルBの合成)アジピン
酸:1524重量部、1,4−ブタンジオール:899
重量部、チタン酸テトラブチル:0.108重量部およ
びトリメチルホスフェート:0.089重量部をオート
クレーブに仕込み、窒素気流下、150℃〜230℃に
2時間かけて昇温して、攪拌しながら生成する水を除去
し、反応を行った。次いで、230℃を保持し、徐々に
減圧とし、60分間かけて0.1mmHgとした。さら
に230℃、0.1mmHgで60分間反応を行い、酸
価24.7ミリ当量/kg、水酸基価0.50ミリ当量
/kgの両末端にカルボキシル基を有するポリエステル
を得た。このポリエステル:1500重量部とジグリシ
ジルセバケート:153重量部およびダイマー酸ジナト
リウム:3.0重量部をオートクレーブに仕込み、窒素
気流下、180℃で攪拌しながら4時間反応させて、η
sp/Cが0.78の改質ポリエステルBを得た。
【0046】(ポリ塩化ビニル系組成物(A−2)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:110
0)100重量部と上記改質ポリエステルB:35重量
部とトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル:35重量
部およびエポキシ化大豆油:15重量部、ステアリン酸
カルシウム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.5
重量部を蒸気加熱式8インチミキシングロール(ロール
温度:115℃)を使用して90分間混練りしてポリ塩
化ビニル系組成物(A―2)を得た。該ポリ塩化ビニル
系組成物(A−2)を、二軸押し出し成形機を使用して
175℃でストランド成形を行い、ペレット状にした。
【0047】(改質ポリエステルCの合成)アジピン酸
1524:重量部、エチレングリコール:460重量
部、チタン酸テトラブチル:0.108重量部およびト
リメチルホスフェート:0.089重量部をオートクレ
ーブに仕込み、窒素気流下、150℃〜230℃に2時
間かけて昇温し、攪拌しながら生成する水を除去し、反
応を行った。次いで、230℃を保持し、徐々に減圧と
し、60分間かけて0.1mmHgとした。さらに23
0℃、0.1mmHgで60分間反応を行い、酸価2
6.5ミリ当量/kg、水酸基価0.35ミリ当量/k
gの両末端にカルボキシル基を有するポリエステルを得
た。このポリエステル:1500重量部とエポキシ樹脂
(YD−128、東都化成(株)製、エポキシ当量:1
92.3g/当量):88.9重量部およびダイマー酸
ジナトリウム:3.0重量部をオートクレーブに仕込
み、窒素気流下、180℃で攪拌しながら4時間反応さ
せて、ηsp/Cが0.78の改質ポリエステルCを得
た。
【0048】(ポリ塩化ビニル系組成物(A−3)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:110
0):100重量部と上記改質ポリエステルC:20重
量部とトリメリット酸トリn−オクチル:25重量部、
エポキシ化大豆油:20重量部、ステアリン酸カルシウ
ム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.5重量部を
蒸気過熱式8インチミキシングロール(ロール温度:1
15℃)を使用して90分間混練りしてポリ塩化ビニル
系組成物(A−3)を得た。該ポリ塩化ビニル系組成物
(A−3)を、二軸押し出し成形機を使用して175℃
でストランド成形を行い、ペレット状にした。
【0049】(改質ポリエステルDの合成)アジピン
酸:1524重量部、1,6−ヘキサンジオール:11
82重量部、チタン酸テトラブチル:0.108重量部
およびトリメチルホスフェート:0.089重量部をオ
ートクレーブに仕込み、窒素気流下、150℃〜230
℃に2時間かけて昇温して、攪拌しながら生成する水を
除去し、反応を行った。次いで、230℃を保持し、徐
々に減圧とし、60分間かけて0.1mmHgとした。
さらに230℃、0.1mmHgで60分間反応を行
い、酸価37.4ミリ当量/kg、水酸基価0.3ミリ
当量/kgの両末端カルボキシル基を有するポリエステ
ルを得た。このポリエステル:1500重量部とエポキ
シ樹脂(デナコール211、ナガセ化成(株)製、エポ
キシ当量:140.0g/当量):151.8重量部お
よびステアリン酸カルシウム:6.0重量部をオートク
レーブに仕込み、窒素気流下、180℃で攪拌しながら
4時間反応させて、ηsp/Cが0.78の改質ポリエス
テルDを得た
【0050】(ポリ塩化ビニル系組成物(A−4)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:110
0)100重量部と上記改質ポリエステルD:20重量
部とトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル:20重量
部とエポキシ化大豆油:10重量部、ステアリン酸カル
シウム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.5重量
部を蒸気加熱式8インチミキシングロール(ロール温
度:115℃)を使用して90分間混練りしてポリ塩化
ビニル系組成物(A−4)を得た。該ポリ塩化ビニル系
組成物(A−4)を、二軸押し出し成形機を使用して1
75℃でストランド成形を行い、ペレット状にした。
【0051】(ポリ塩化ビニル系組成物(B−1)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:170
0)100重量部とトリメリット酸トリ2−エチルヘキ
シル85重量部、エポキシ化大豆油5重量部、ステアリ
ン酸カルシウム0.5重量部、ステアリン酸亜鉛0.5
重量部を蒸気加熱式8インチミキシングロール(ロール
温度:60℃)を使用して20分間混練りしてポリ塩化
ビニル系組成物(B−1)を得た。該ポリ塩化ビニル系
組成物(B−1)を、ニ軸押し出し成形機を使用して1
65℃でストランド成形を行い、ペレット状にした。
【0052】(ポリ塩化ビニル系組成物(B−2)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:170
0):100重量部とトリメリット酸トリn−オクチ
ル:95重量部、エポキシ化大豆油:5重量部、ステア
リン酸カルシウム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:
0.5重量部を蒸気加熱式8インチミキシングロール
(ロール温度:60℃)を使用して20分間混練りして
ポリ塩化ビニル系組成物(B―2)を作った。該ポリ塩
化ビニル系組成物(B―2)を、ニ軸押し出し成形機を
使用して165℃でストランド成形を行い、ペレット状
にした。
【0053】(ポリ塩化ビニル系組成物(B−3)の樹
脂ペレットの製造)ポリ塩化ビニル(重合度:170
0):100重量部とフタル酸ジ2−エチルヘキシル:
95重量部、エポキシ化大豆油:3重量部、ステアリン
酸カルシウム:0.5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.
5重量部を蒸気加熱式8インチミキシングロール(ロー
ル温度:60℃)を使用して20分間混練りしてポリ塩
化ビニル系組成物(B−3)を得た。該ポリ塩化ビニル
系組成物(B−3)を、ニ軸押し出し成形機を使用して
165℃でストランド成形を行い、ペレット状にした。
(ポリ塩化ビニル系組成物(B−4)の樹脂ペレットの
製造)ポリ塩化ビニル(重合度:1100):100重
量部と上記改質ポリエステルC:80重量部、エポキシ
化大豆油:15重量部、ステアリン酸カルシウム:0.
5重量部、ステアリン酸亜鉛:0.5重量部を蒸気加熱
式8インチミキシングロール(ロール温度:115℃)
を使用して90分間混練りして、ポリ塩化ビニル系組成
物(B−4)を得た。該ポリ塩化ビニル系組成物(B−
4)を、二軸押し出し成形機を使用して175℃でスト
ランド成形を行い、ペレット状にした。
【0054】(実施例1〜4)および(比較例1〜4)
上記のポリ塩化ビニル系組成物(A−1)〜(A−
4)、およびポリ塩化ビニル系組成物(B−1)〜(B
−4)のペレットを用いてチューブ成形を行い、サンプ
ルとした。チューブの寸法は内径6.4mm、外径1
1.0mmとした。
【0055】実施例1〜4、および比較例1〜4でそれ
ぞれ得られたチューブのサンプルについて、下記の試験
項目について評価を実施した。
【0056】(溶出物試験)実施例1〜4及び比較例1
〜4で得られた各チューブのサンプルに生理食塩液10
0ccを充填して、両端をクランプし恒温漕中にて70
±3℃で30分間加温した。冷却後、内溶液を取り出し
てこれを試験液とした。同時にこの時、清浄な共栓付き
三角フラスコで注射用蒸留水を同様に処理し、これを空
試験液とした。上記の試験液及び空試験液を用いて、人
工心肺用ディスポーザブルセット基準(昭和53年3月
6日 厚生省告示第42号)の「第III−1項 人工肺
の品質及び試験方法の溶出物試験」の項に準拠して、外
観、泡立ち(空試験液との比較)、ΔpH(空試験液と
の比較)、紫外吸収スペクトルおよび過マンガン酸カリ
ウム消費物質による定量、の各項目について実施した。
試験結果を表1に示す。この結果から判明するように、
市販のポリエステル系可塑剤を用いた場合には、紫外吸
収スペクトルおよび過マンガン酸カリウム消費物質の試
験結果が、実施例と比較した場合、きわめて大きな値を
示し、可塑剤から一部の物質が溶出していることを示し
た。
【0057】
【表1】
【0058】(DOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシ
ル)の定量)実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた
各チューブのサンプルに血漿を使用し、下記の手順にて
内分泌攪乱物質であるDOPの定量を実施した。まずチ
ューブを10cmに切断して片方に栓をし、脱繊維処理
をした血漿を2ml加えて2時間37℃でインキュベー
ションした。標準物質としてフタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル−d4を用いて、取り出した血漿1mlに含まれ
るDOPの量をGC/MS測定にて定量した。この結
果、一般に医療用途として使用されているチューブから
は血漿中へDOPが抽出されていることが判明したが、
本発明の実施例からは検出されなかった。
【0059】(ローラーポンプ試験)実施例1〜4及び
比較例1〜4で得られた各チューブのサンプルについ
て、血液回路用のポンプチューブとしての耐久性を有し
ているかの確認試験を実施した。心臓手術用のローラー
ポンプに作製したチューブを取り付け、37℃の生理食
塩液20リットルが入ったタンクに流入、流出口を付け
て200回転/分の回転にて24時間の耐久性を試験し
た。24時間以内に破損した場合には、その時間を記録
した。試験結果を表2に示す。この結果、実施例では全
くクラックは発生しなかったが、(a)改質ポリエステ
ルのみで可塑化したポリ塩化ビニル系組成物から成形し
た単層のチューブ(比較例1)は、7時間の運転後に亀
裂が発生した。
【0060】(抗血栓性試験)抗血栓性試験の評価はMa
kromol.Chem.,179,1121(1978)記載のカラム法を参考に
して行った。すなわち、直径200μmのガラスビーズ
に実施例1〜5、及び比較例1〜4のチューブサンプル
の内壁面(すなわち、血液接触面)を形成する部分に使
用したポリ塩化ビニル系組成物にて被覆する。被覆する
方法はポリ塩化ビニル組成物をテトラヒドロフラン(以
下THF)に溶解して、この溶液中にガラスビーズを浸
漬した後、引き上げて40℃の乾燥機中で窒素気流下に
て24時間乾燥させる。そのビーズ0.5gを両端にコ
ックを有する内径0.3cmの市販のポリウレタン製チ
ューブ10cmに最密充填し、生理食塩水で満たす。成
犬頸静脈より10ml容量のディスポーザブルシリンジ
(ニプロ医工(株)製)を用いて2mlの新鮮血を採取
し、ただちに一定流速で押し出し可能なシリンジポンプ
にセットして、この注射器の先端に前述のビーズ充填カ
ラムを接続する。次いで1.0ml/分の分速で1分間
カラム中に血液を流し、カラムを通過してきた血液をE
DTA処理された市販のポリドナービンに採取する。カ
ラム通過血液中の血小板数はBrecher Cronkite法を用
いて算出する。血小板粘着数はカラム通過前の血流中の
血小板数からカラム通過後の血小板数を差し引いた値で
ある。
【0061】材料間の粘着した血小板の相対比較は下式
の如く求め、この値が小さいほど、血小板の粘着性が少
ない。すなわち抗血栓性が良好であることを示す。 (血小板粘着数比)=(高分子材料被覆ビーズに対する
粘着数)÷(塩ビ被覆ビーズに対する粘着数) 試験結果を表1に示す。表1から明らかなように本発明
で内層部に使用したポリ塩化ビニル系組成物は、従来の
ポリ塩化ビニル樹脂よりも良好な抗血栓性を有する。
【0062】このように本発明の特定の(a)改質ポリ
エステルと(b)トリメリット酸エステルの両方を可塑
剤必須成分として含有するポリ塩化ビニル系組成物から
なる医療用具は、ポリ塩化ビニル組成物からの内分泌攪
乱物質であるフタル酸エステル溶出の抑制、血液回路等
で要求される優れた物理的特性および抗血栓性の全ての
課題を解決できる優れた特性を有していた。
【0063】
【発明の効果】本発明のポリ塩化ビニル系組成物は、こ
れまで使用されてきたフタル酸エステルを含むポリ塩化
ビニル樹脂製の医療用具の欠点であった抗血栓性の欠
落、内分泌攪乱物質の体内への移行、などの諸問題点を
解決でき、かつローラーポンプに対する耐久性などの機
械的強度も優れた特性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AB32 BA06 CA041 CA161 DA03 4J002 BD04W CD20X CF03X CF10X EH146 FD02X FD026 4J031 AA47 AA49 AB04 AC03 AD01 AE01 AF03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニルを軟質
    化できる可塑剤とからなるポリ塩化ビニル系組成物であ
    って、該可塑剤が、(a)ジオール成分とジカルボン酸
    成分の炭素原子数の和が9〜20であるエステル単位か
    らなり末端にカルボキシル基を有するポリエステルと末
    端にエポキシ基を有する末端エポキシ基含有化合物とを
    反応させて得られる改質ポリエステルと(b)トリメリ
    ット酸エステルとを必須成分として含むことを特徴とす
    るポリ塩化ビニル系組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1の末端エポキシ基含有化合物
    が、下記一般式(I)〜(V)のいずれかである請求項
    1に記載の塩化ビニル系組成物。 【化1】 [化学式(I)において、R1は炭素原子数2〜30のア
    ルキレン基、アラルキレン基、Xはハロゲン原子、lと
    mはそれぞれ独立した0〜10の整数(ただし、lとm
    がともに0である場合を除く)を示す。] 【化2】 [化学式(II)において、R2は炭素原子数1〜50のア
    ルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基または芳
    香族基、nは1〜10の整数を示す。] 【化3】 [化学式(III)において、R3は炭素原子数1〜50の
    アルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキレン基ま
    たは芳香族基を示す。] 【化4】 [化学式(IV)において、R4は炭素原子数4〜50のア
    ルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキレン基また
    は芳香族基を示す。] 【化5】 [化学式(V)において、R5は炭素原子数1〜10のア
    ルキレン基、アルケレニン基、アリーレン基、oは1〜
    30の整数を示す。]
  3. 【請求項3】請求項1におけるポリ塩化ビニルと(a)
    改質ポリエステルと(b)トリメリット酸エステルの配
    合比が、ポリ塩化ビニル100重量部に対して(a)改
    質ポリエステルが5〜140重量部、(b)トリメリッ
    ト酸エステルが10〜140重量部、かつ改質ポリエス
    テルとトリメリット酸エステルの合計[(a)+(b)]
    が15〜150重量部の範囲である請求項1に記載のポ
    リ塩化ビニル系組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のポリ塩化ビニル系組成物か
    らなる医療用具。
JP2001365720A 2001-11-30 2001-11-30 ポリ塩化ビニル系組成物 Pending JP2003165881A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001365720A JP2003165881A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 ポリ塩化ビニル系組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001365720A JP2003165881A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 ポリ塩化ビニル系組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003165881A true JP2003165881A (ja) 2003-06-10

Family

ID=19175711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001365720A Pending JP2003165881A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 ポリ塩化ビニル系組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003165881A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2422825A1 (en) * 2009-04-24 2012-02-29 Next 21 K.K. Resin product for medical use and respiration-assisting tube
WO2014046158A1 (ja) * 2012-09-20 2014-03-27 東洋紡株式会社 医療用ペレット状組成物及び成形体
KR20160139001A (ko) 2014-03-27 2016-12-06 신닛폰 리카 가부시키가이샤 비프탈산계 에스테르를 함유하는 염화비닐계 수지용 가소제 및 해당 가소제를 함유하는 염화비닐계 수지 조성물
JP2017042939A (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 リンテック株式会社 積層体フィルムおよび粘着シート
KR20170037845A (ko) * 2015-09-28 2017-04-05 에보니크 데구사 게엠베하 트리멜리트산의 트리펜틸 에스테르
US10398625B2 (en) 2013-03-13 2019-09-03 Fenwal, Inc. Medical containers with terephthalate plasticizer for storing red blood cell products
US10836739B2 (en) 2015-05-27 2020-11-17 New Japan Chemical Co., Ltd Epoxycyclohexane dicarboxylic acid diester, plasticizer, stabilizer and resin composition
US11160728B2 (en) 2014-02-20 2021-11-02 Fresenius Kabi Deutschland Gmbh Medical containers and system components with non-DEHP plasticizers for storing red blood cell products, plasma and platelets

Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5887143A (ja) * 1981-11-18 1983-05-24 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS5998155A (ja) * 1982-11-27 1984-06-06 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS59213748A (ja) * 1983-05-20 1984-12-03 Fujikura Ltd 塩化ビニル系樹脂混和物
JPS6072956A (ja) * 1983-09-30 1985-04-25 Dainippon Ink & Chem Inc ポリエステル系可塑剤
JPS6366252A (ja) * 1986-09-08 1988-03-24 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS6443522A (en) * 1987-08-11 1989-02-15 Toyo Boseki Production of high-mw modified polyester
JPS6466260A (en) * 1987-09-07 1989-03-13 Toyo Boseki Polyvinyl chloride resin composition for medical use
JPH01181873A (ja) * 1988-01-14 1989-07-19 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPH01210447A (ja) * 1988-02-17 1989-08-24 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH02160856A (ja) * 1988-12-14 1990-06-20 Dainippon Ink & Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH08337700A (ja) * 1995-06-12 1996-12-24 Asahi Denka Kogyo Kk 可塑剤組成物
JPH09132689A (ja) * 1995-09-05 1997-05-20 Mitsui Toatsu Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JPH11140263A (ja) * 1997-09-08 1999-05-25 Mitsui Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JPH11199730A (ja) * 1998-01-06 1999-07-27 Shin Etsu Polymer Co Ltd 非移行性軟質塩化ビニル系樹脂組成物

Patent Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5887143A (ja) * 1981-11-18 1983-05-24 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS5998155A (ja) * 1982-11-27 1984-06-06 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS59213748A (ja) * 1983-05-20 1984-12-03 Fujikura Ltd 塩化ビニル系樹脂混和物
JPS6072956A (ja) * 1983-09-30 1985-04-25 Dainippon Ink & Chem Inc ポリエステル系可塑剤
JPS6366252A (ja) * 1986-09-08 1988-03-24 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPS6443522A (en) * 1987-08-11 1989-02-15 Toyo Boseki Production of high-mw modified polyester
JPS6466260A (en) * 1987-09-07 1989-03-13 Toyo Boseki Polyvinyl chloride resin composition for medical use
JPH01181873A (ja) * 1988-01-14 1989-07-19 Toyobo Co Ltd ポリ塩化ビニル組成物
JPH01210447A (ja) * 1988-02-17 1989-08-24 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH02160856A (ja) * 1988-12-14 1990-06-20 Dainippon Ink & Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH08337700A (ja) * 1995-06-12 1996-12-24 Asahi Denka Kogyo Kk 可塑剤組成物
JPH09132689A (ja) * 1995-09-05 1997-05-20 Mitsui Toatsu Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JPH11140263A (ja) * 1997-09-08 1999-05-25 Mitsui Chem Inc 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JPH11199730A (ja) * 1998-01-06 1999-07-27 Shin Etsu Polymer Co Ltd 非移行性軟質塩化ビニル系樹脂組成物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
遠藤昭定、須藤眞, 改訂新版・プラスチックス配合剤, vol. 初版, JPN4006013205, 30 November 1999 (1999-11-30), JP, pages 20 - 21, ISSN: 0000758620 *

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2422825A4 (en) * 2009-04-24 2014-07-02 Next 21 K K RESIN PRODUCT FOR MEDICAL PURPOSES AND BREATHING TUBE
EP2422825A1 (en) * 2009-04-24 2012-02-29 Next 21 K.K. Resin product for medical use and respiration-assisting tube
WO2014046158A1 (ja) * 2012-09-20 2014-03-27 東洋紡株式会社 医療用ペレット状組成物及び成形体
US10398625B2 (en) 2013-03-13 2019-09-03 Fenwal, Inc. Medical containers with terephthalate plasticizer for storing red blood cell products
US11957639B2 (en) 2013-03-13 2024-04-16 Fenwal, Inc. Medical containers with terephthalate plasticizer for storing red blood cell products
US11160728B2 (en) 2014-02-20 2021-11-02 Fresenius Kabi Deutschland Gmbh Medical containers and system components with non-DEHP plasticizers for storing red blood cell products, plasma and platelets
KR20160139001A (ko) 2014-03-27 2016-12-06 신닛폰 리카 가부시키가이샤 비프탈산계 에스테르를 함유하는 염화비닐계 수지용 가소제 및 해당 가소제를 함유하는 염화비닐계 수지 조성물
US10407559B2 (en) 2014-03-27 2019-09-10 New Japan Chemical Co., Ltd. Plasticizer for vinyl chloride resin containing non-phthalate ester and vinyl chloride resin composition containing such plasticizer
US10836739B2 (en) 2015-05-27 2020-11-17 New Japan Chemical Co., Ltd Epoxycyclohexane dicarboxylic acid diester, plasticizer, stabilizer and resin composition
JP2017042939A (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 リンテック株式会社 積層体フィルムおよび粘着シート
KR102050944B1 (ko) * 2015-09-28 2019-12-03 에보니크 오퍼레이션즈 게엠베하 트리멜리트산의 트리펜틸 에스테르
US10577479B2 (en) 2015-09-28 2020-03-03 Evonik Degussa Gmbh Tripentyl esters of trimellitic acid
KR20170037845A (ko) * 2015-09-28 2017-04-05 에보니크 데구사 게엠베하 트리멜리트산의 트리펜틸 에스테르

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6054946B2 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形体
JP2003165881A (ja) ポリ塩化ビニル系組成物
JPH0335331B2 (ja)
JP2001525228A (ja) 特性が改良された医用デバイス
JP3226576B2 (ja) ブロックポリエーテルアミド含有ポリマーブレンド
JPH0251544A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US4478961A (en) Polyvinyl chloride composition
WO2014046158A1 (ja) 医療用ペレット状組成物及び成形体
DE60025700T2 (de) Polyester formmasse
US4329992A (en) Medical apparatus for parenteral liquids
JP2003070902A (ja) 医療用チューブ
TW201936705A (zh) 醫療裝置
JPS5887143A (ja) ポリ塩化ビニル組成物
Zhao et al. Update on medical plasticised PVC
JPS6157785B2 (ja)
JP4168904B2 (ja) ポリエステル系可塑剤および塩化ビニル系樹脂組成物
JPS5998155A (ja) ポリ塩化ビニル組成物
JPS5997668A (ja) 血液輸送管または血液取扱い用具
JPH048061B2 (ja)
JP2569675B2 (ja) ポリ塩化ビニル組成物
JPH07107119B2 (ja) ポリ塩化ビニル組成物
JP2008133372A (ja) ポリエステル系可塑剤、及びそれを含有する塩化ビニル系樹脂組成物
CN107718587A (zh) 一种多功能医用导管及其制备方法、应用
JPS5847182B2 (ja) 血液輸送管または血液容器
JPS5832986B2 (ja) 医療器具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060925

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061214