JPH09110780A - Tan−2342関連化合物、その製造法および用途 - Google Patents

Tan−2342関連化合物、その製造法および用途

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JPH09110780A
JPH09110780A JP26875795A JP26875795A JPH09110780A JP H09110780 A JPH09110780 A JP H09110780A JP 26875795 A JP26875795 A JP 26875795A JP 26875795 A JP26875795 A JP 26875795A JP H09110780 A JPH09110780 A JP H09110780A
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compound
salt
acid
tan
group
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JP26875795A
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English (en)
Inventor
Yasushi Shintani
靖 新谷
Kozo Hayashi
浩三 林
Yukimasa Nozaki
幸正 野崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた微小管重合阻害剤の提供。 【解決手段】一般式 【化1】 〔式中、R1はエステル化もしくはアミド化されていて
もよいカルボキシル基を、R2およびR3は同一または異
なって、オキソ基または置換されていてもよい水酸基お
よび水素原子を示す〕で表される化合物またはその塩。 【効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、優れた
微小管重合阻害作用を示し、哺乳動物の悪性腫瘍の治療
や癌転移の予防に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小管重合阻害活
性および細胞増殖阻害活性を有する新規TAN−234
2関連化合物、その製造法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】微小管は、アルファーチューブリンとベ
イターチューブリン各1分子から成るヘテロ2量体を基
本単位として重合した、すべての真核生物に存在する細
胞内構造体であり、通常13本のプロトフィラメントか
らなる管状構造をもつ。細胞内の微小管の重合は、微小
管末端のチューブリンに結合したグアニンヌクレオチド
の水解反応に支配されており、この動的不安定性(微小
管ダイナミクス)が、有糸分裂、鞭毛・せん毛運動、オ
ルガネラの輸送、分泌機能、細胞骨格形成、生体膜機能
などの多岐にわたり中枢的な機能を果たす上で重要であ
ることが知られている〔アニュアル・レビュー・オブ・
セル・バイオロジー(Annual Review of Cell Biolog
y)、7、93(1991);アニュアル・レビュー・
オブ・バイオフィジックス・アンド・バイオモレキュラ
ー・ストラクチャー(Annual Reviewof Biophysics and
Biomolecular Structure)、21、145(199
2)〕。特に、真核生物の有糸分裂期(M期)の進行に
おいて、微小管ダイナミクスの変化は生物現象における
根幹的役割を担っている。すなわち、長くて安定な間期
型微小管はM期において不安定となり消失して、代わり
に短くて不安定な紡錘体微小管が出現するのであるが、
この微小管の再構築による紡錘体形成が起こらないと真
核生物細胞は有糸分裂を行えないからである〔サイエン
ス(Science)、246、622(1989);セル(C
ell)、71、547(1992)〕。微小管系に作用
し有糸分裂を阻害する薬剤は、少数の例外を除いてチュ
ーブリン結合能を有するが、臨床的にも有用な抗癌剤が
多い。植物由来の微小管作用剤のうち、微小管重合阻害
剤としてはコルヒチン(Colchicine)、ポドフィロトキ
シン(Podophyllotoxin)、ビンブラスチン(Vinblasti
ne)類など〔キャンサー・メディシン(Cancer Medicin
e)、1、782(1993)〕が、微小管重合促進剤
としては最近その優れた治療効果により注目されている
タキソール(Taxol)〔ジャーナル・オブ・ザ・ナショ
ナル・キャンサー・インスティチュート(Journal of t
he National Cancer Institute)、82、1247(1
990)〕がある。さらに、微小管由来の微小管重合阻
害剤としては、アンサマイトシン(Ansamitocin)類
〔ネイチャー(Nature)、270、721(197
7)〕、リゾキシン(Rhizoxin)類〔ジャーナル・オブ
・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート
(Journal of the National Cancer Institute)、8
4、494(1992)〕、フォモプシンA(Phomopsi
n A)〔バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochemic
al Pharmacology)、43、219(1992)〕など
がある。さらに海産動物由来のものとしてドラスタチン
(Dolastatin)類〔バイオケミカル・ファーマコロジー
(Biochemical Pharmacology)、43、2637(19
92)〕、ハリコンドリン(Halichondorin)〔バイオ
ケミカル・ファーマコロジー(Biochemical Pharmacolo
gy)、45、421(1993)〕なども報告されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】微小管重合阻害作用
や、毒性が低く、かつ有用な抗腫瘍作用、腫瘍転移抑制
作用あるいは多剤耐性を獲得した癌種に対して有効な抗
腫瘍作用を有する新しい抗癌剤の開発が求められてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは、副作用が少なく、しかも優れた微小管重
合阻害作用を示す化合物を微生物代謝産物の中に求め、
鋭意探索した結果、TAN−2342と命名した新規化
合物を培養液中より単離することに成功し、これが微小
管重合阻害作用および細胞増殖阻害作用を有することを
見いだした。これらの知見に基づき、さらに検討した結
果、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)一般式
【化3】 〔式中、R1はエステル化もしくはアミド化されていて
もよいカルボキシル基を、R2およびR3は同一または異
なって、オキソ基または置換されていてもよい水酸基お
よび水素原子を示す〕で表される化合物またはその塩、
(2)R1がカルボキシル基である請求項1記載の化合
物、(3)R2およびR3がオキソ基である請求項1記載
の化合物、(4)化合物が式
【化4】 で表されるTAN−2342である請求項1記載の化合
物、(5)カーブラリア属に属し、化合物TAN−23
42を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培
養液中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取するこ
とを特徴とする化合物TAN−2342またはその塩の
製造法、(6)TAN−2342を生産する能力を有す
る微生物、カーブラリア ルナタ、(7)請求項1記載
の化合物またはその塩を含有してなる医薬、(8)請求
項1記載の化合物またはその塩を含有してなる微小管重
合阻害剤、(9)請求項1記載の化合物またはその塩を
含有してなる細胞増殖阻害剤および、(10)請求項1
記載の化合物またはその塩を含有してなる腫瘍転移抑制
剤に関する。
【0006】一般式〔I〕中、R1で表されるエステル
化されたカルボキシル基としては、例えば薬理学的に享
受しうるもの、あるいは生体内においてはじめて薬理学
的に享受しうるものに変化するものが用いられる。エス
テル化されたカルボキシル基としては、例えば、式−C
OOR4〔式中、R4は置換されていてもよい炭化水素基
を示す〕で表される基などが好ましい。R4で表される
炭化水素基としては、例えば(1)炭素数1ないし8の
アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等、好ま
しくは、C1-4アルキル基等)、(2)炭素数2ないし
8のアルケニル基(例、ビニル、アリル、イソプロペニ
ル、1−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2
−ヘキセニル、2−オクテニル等、好ましくは、C2-4
アルケニル基等)、(3)炭素数2ないし8のアルキニ
ル基(例、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニ
ル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−
ヘキシニル、2−オクチニル等、好ましくは、C2-4
ルキニル基等)、(4)炭素数3ないし6のシクロアル
キル基(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル等)、(5)炭素数6ないし1
4のアリール基(例、フェニル、ナフチル等)および
(6)炭素数7ないし16のアラルキル基(例、ベンジ
ル、フェネチル等)等が用いられる。なかでも、炭素数
1ないし8のアルキル基、特にC1-4アルキル基、炭素
数7ないし16のアラルキル基などが好ましい。このよ
うな炭化水素基は置換可能な位置に、例えば(1)
(a)炭素数1ないし4のアルキル基(例、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチル等)、(b)炭素数1ない
し6のアルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロ
ピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリ
ル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイ
ル等)、(c)炭素数7ないし11のアロイル基(例、
ベンゾイル、p−トルオイル、ナフトイル等)、(d)
炭素数2ないし7のアルコキシカルボニル基(例、メト
キシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカル
ボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニ
ル等)、(e)炭素数8ないし12のアラルキルオキシ
カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネ
チルオキシカルボニル等)、(f)炭素数1ないし6の
アルカンスルホニル基(例、メタンスルホニル、エタン
スルホニル、プロパンスルホニル等)および(g)炭素
数6ないし12のアレーンスルホニル基(例、ベンゼン
スルホニル、トルエンスルホニル等)から選ばれる1な
いし2個の置換基を有していてもよいアミノ基、(2)
(a)炭素数1ないし4のアルキル基(例、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチル等)、(b)炭素数7ない
し12のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル
等)、(c)炭素数1ないし6のアルカノイル基(例、
ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニ
ル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリ
ル、ピバロイル、ヘキサノイル等)および(d)炭素数
7ないし11のアロイル基(例、ベンゾイル、p−トル
オイル、ナフトイル等)から選ばれる置換基を有してい
てもよい水酸基、(3)カルボキシル基、(4)炭素数
2ないし5のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカ
ルボニル、エトキシカルボニル等)、(5)炭素数8な
いし14のアラルキルオキシカルボニル基(例、ベンジ
ルオキシカルボニル等)、(6)ニトロ基、(7)ハロ
ゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を置
換基として1ないし3個有していてもよい。なかでも、
ハロゲン原子などが好ましい。
【0007】一般式〔I〕中、R1で表されるアミド化
されたカルボキシル基としては、例えば、薬理学的に享
受しうるもの、あるいは生体内においてはじめて薬理学
的に享受しうるものに変化するものが用いられる。アミ
ド化されたカルボキシル基としては、例えば、式−CO
N(R5)R6〔式中、R5およびR6は、同一または異な
って水素原子あるいは置換されていてもよい炭化水素基
を示す〕で表される基などが好ましい。R5およびR6
表される炭化水素基は、前述のR4で表される炭化水素
基と同様のものが用いられる。このような炭化水素基
は、置換可能な位置に、前述の炭化水素基における置換
基と同様な置換基を1ないし3個有していてもよい。R
1としては、エステル化されていてもよいカルボキシル
基などが好ましく、例えば、(1)炭素数1ないし8の
アルキル基、(2)ハロゲン原子で置換されていてもよ
い炭素数7ないし16のアラルキル基などでエステル化
されていてもよいカルボキシル基などが好ましい。特
に、R1としてはカルボキシル基が好ましい。
【0008】一般式〔I〕中、R2およびR3で表される
置換されていてもよい水酸基における置換基としては、
例えば置換されていてもよい炭化水素基または置換され
ていてもよいアシル基等が用いられる。該炭化水素基と
しては、前述のR4で表される炭化水素基と同様のもの
が用いられる。このような炭化水素基は、置換可能な位
置に、前述の炭化水素基における置換基と同様な置換基
を1ないし3個有していてもよい。該アシル基として
は、例えば、(1)炭素数1ないし6のアルカノイル基
(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピ
オニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレ
リル、ピバロイル、ヘキサノイル等)、(2)炭素数3
ないし6のアルケノイル基(例、アクリロイル、メタク
リロイル、クロトノイル、イソクロトノイル等)、
(3)炭素数4ないし7のシクロアルカンカルボニル基
(例、シクロプロパンカルボニル、シクロブタンカルボ
ニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカル
ボニル等)、(4)炭素数7ないし11のアロイル基
(例、ベンゾイル、ナフトイル等)、(5)炭素数8な
いし13のアリールアルカノイル基(例、フェニルアセ
チル、フェニルプロピオニル、フェニルブチリル等)、
(6)炭素数9ないし13のアリールアルケノイル基
(例、シンナモイル、アトロポイル等)、(7)炭素数
1ないし6のアルカンスルホニル基(例、メタンスルホ
ニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニル等)、
(8)炭素数6ないし11のアレーンスルホニル基
(例、ベンゼンスルホニル等)等が用いられる。なかで
も、炭素数1ないし6のアルカノイル基等が好ましい。
これらのアシル基は、置換可能な位置に、前述の炭化水
素基における置換基と同様の置換基を1ないし3個有し
ていてもよい。R2およびR3としては、例えば、オキソ
基、または水酸基および水素原子などが好ましい。特
に、R2およびR3がともにオキソ基の場合または水酸基
および水素原子の場合が好ましい。
【発明の実施の形態】
【0009】本発明方法で使用されるTAN−2342
を生産する微生物としては、カーブラリア(Curvulari
a)属に属し、TAN−2342を生産する微生物であ
ればいずれでも良い。その好ましい例としては、カーブ
ラリア ルナタが挙げられる。特に好ましくは、例え
ば、鹿児島県種子島西之表市の土壌より分離された糸状
菌のカーブラリア ルナタ FL−46880株が挙げ
られる。本菌株は以下の性質を示す。 (I)培養的性質 1)麦芽エキス寒天培地 生育は良好で、24℃,2週間後のコロニーの直径は8
5mmであった。表面は平坦で羊毛状の菌糸体からな
り、外縁は不規則に縁取られている。気中菌糸の発達、
分生子の形成は良好で、中央部から中間部にかけてまば
らにやや湿ったように見え、全体に菌糸が拡がってい
る。表面の色調は、中央部から中間部にかけて暗黒褐色
を呈し、周辺部は灰黒色を呈する。裏面の色調は、中央
部から中間部にかけて暗黒色を呈し、周辺部は灰黒褐色
を呈する。可溶性色素の生成は認められない。 2)バレイショ.ブドウ糖寒天培地 生育は良好で、24℃,2週間後のコロニーの直径は8
5〜90mmであった。表面は平坦で、同心輪紋状で羊
毛状の菌糸体からなり、外縁はやや不規則に縁取られて
いる。気中菌糸の発達、分生子の形成は良好で、中央部
から中間部にかけて一部湿ったように見え、全体に菌糸
が拡がっている。表面の色調は、中央部から周辺部にか
けて暗灰黒色から灰黒色を呈する。裏面の色調は、中央
部から中間部は暗黒褐色を呈し、周辺部は灰黒褐色を呈
する。可溶性色素の生成は認められない。pH3〜pH
12のいずれでも生育し、生育温度範囲は7℃〜38℃
で、至適生育温度は27℃〜33℃である。 3)ツァペック寒天培地 生育は中程度で、24℃,2週間後のコロニーの直径は
80mmであった。表面は平坦で羊毛状の菌糸体からな
り、外縁は波状で不規則に縁取られている。気中菌糸の
発達、分生子の形成は良好で、中央部から中間部にかけ
て一部湿ったように見え、全体に菌糸が拡がっている。
表面の色調は、中央部から周辺部にかけて暗灰黒色から
灰黒色を呈する。裏面の色調は、中央部から周辺部にか
けて暗灰黒色から灰黒色を呈する。可溶性色素の生成は
認められない。 4)オートミール寒天培地 生育は良好で、24℃,2週間後のコロニーの直径は8
5〜90mmであった。表面は盛り上がった、同心輪紋
状で綿状の菌糸体からなり、外縁は不規則に縁取られて
いる。気中菌糸の発達、分生子の形成は良好で、中間部
から周辺部にかけて放射状に一部湿ったように見え、全
体に菌糸が拡がっている。表面の色調は、中央部から周
辺部にかけて暗灰黒色ないし灰黒色を呈する。裏面の色
調は、中央部から周辺部にかけて灰黒色を呈する。可溶
性色素の生成は認められない。
【0010】(II)形態学的特徴 菌 糸:分枝、隔壁あり、淡色〜淡褐色、平滑、直径
2〜5.5μm。 分生子柄:菌糸上に頂生または側生に形成され単一また
は束生である。 単条または分枝、直状または湾曲し、上方はしばしばジ
グザグ状を呈し胞子離脱痕は明瞭である。表面は滑面。
1〜数個の隔壁が認められる。直径4.5〜5.5μm。 分生子:ポロ型分生子、曲玉形〜紡錘状楕円形、3隔壁
で下より3番目の細胞が膨大かつ湾曲、他の細胞より大
形で色が濃い。両端の細胞はほぼ無色〜淡褐色、中間細
胞は褐色〜濃褐色を呈す。表面は滑面、へそ(Hilum)
は突起しない。 16〜24×8〜11μm。 本菌株の光学顕微鏡像を〔図1〕に、走査電子顕微鏡像
〔日立、S−570型〕を〔図2〕に示す。
【0011】本菌株の諸性質は、以下のようにまとめら
れる。すなわち、分生子形成細胞は、内生出芽型,多生
ポロ型である。分生子柄は、直生,褐色,単純または分
岐,まっすぐまたは湾曲し、しばしばジグザグ状にな
り、胞子離脱痕は明瞭であり、各屈曲点に分生子を形成
する。分生子は横に隔壁が見られ、へそ(Hilum)は突
起せず、表面は平滑であり、3隔壁で隔壁は中央にな
い、暗褐色を呈する。また分生子は湾曲していて、大き
さは16〜24×8〜11μmである。以上の諸性質
を、M.B. Ellis著「DEMATIACEOUS HYPHOMYCETES」(197
1. Commonwelth Mycological Institute KEW, Surrey,
England)記載の同定検索表で照合すると、カーブラリ
ア属(Curvularia)に属することが明らかであり、さら
に詳しく種の検索をすると、本菌株はカーブラリア ル
ナタ(Curvularia lunata)群に属すると判断された。
したがって、本菌株をカーブラリア ルナタ(Curvular
ia lunata)FL-46880株と同定した。本菌株は、平成7
年10月13日に通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所(NIBH)に、寄託番号FERM BP−5
260として、また平成7年10月16日に財団法人発
酵研究所(IFO)に、寄託番号IFO−32721と
してそれぞれ寄託されている。本発明の化合物TAN−
2342は、この菌株に限らず、遺伝子操作技術を含
め、自体公知の方法により、それから誘導される本化合
物の生産能を有する変異株をはじめ、当該生産能を有す
る微生物を培地中で培養し、本化合物を培地中に生成蓄
積せしめ、それを採取することにより製造できる。
【0012】本発明の化合物生産菌の培養に用いる培地
は、該菌が利用し得る栄養源を含むものなら液状でも固
体状でもよいが、大量に処理するときに液体培地を用い
るのがより適当である。培地には、該化合物生産菌が同
化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源を適宜
配合する。炭素源としては、例えばブドウ糖、乳糖、シ
ョ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリン、マン
ニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード
油、チキン油など)、n-パラフィンなどが、窒素源とし
ては、例えば、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆
粉、コーン・スティープ・リカー、ペプトン、綿実粉、
廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモ
ニウムなど)などを用いる。さらに、ナトリウム、カリ
ウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩類、鉄、
マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩類、
リン酸、ホウ酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸などの
有機酸の塩類を適宜用いても良い。その他、アミノ酸
(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジ
ン、メチオニン、プロリンなど)、ペプチド(例、ジペ
プチド、トリペプチドなど)、ビタミン類(例、B1
2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プリ
ン、ピリミジン、その誘導体など)などを含有させても
よい。もちろん、培地のpHを調整する目的で無機また
は有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤などを加え、ある
いは消泡の目的で油脂類、界面活性剤などの適量を添加
して差し支えない。液体培養に際しては、培地のpHは
中性付近、特にpH約6−8が好ましい。培養温度は約
14℃−28℃、培養時間は約120時間から168時
間が好ましい。培養の経過に伴って生産されるTAN−
2342の定量は、細胞増殖阻害作用を指標として、ヒ
ーラ(HeLa)細胞を用い、モスマン(Mossman)の方法
〔ジャーナル・オブ・イミュノロジカル・メソッド(Jo
urnal of immunological methods)、65、55(19
83)〕を改変した方法で行った。通常、7日の培養で
TAN−2342の生産量は最高に達する。
【0013】培養液から目的とする化合物TAN−23
42を採取する方法を以下に述べる。該化合物は脂溶性
であるので、この性質を利用する一般手段を採用すれば
よい。まず、培養液または培養濾過液を水と混和しない
有機溶媒、例えばジクロロメタン等のハロゲン化炭化水
素類、酢酸エチル等のエステル類、メチルイソブチルケ
トン等のケトン類あるいはイソブタノール等のアルコー
ル類などを加え、TAN−2342を抽出する。得られ
た有機溶媒層を水で洗浄後、濃縮するとTAN−234
2を含有する粗物質が得られる。粗物質をさらに精製
し、純粋なTAN−2342を得るには周知の種々のク
ロマトグラフィー法が有利に用いられる。担体としては
活性炭、シリカゲル、微結晶セルロース、吸着性樹脂な
ど化合物の吸着性の差を利用するもの、または分子ふる
い性樹脂など化合物の分子量の差を利用するもの等が有
利に用いられる。これら担体から目的とする化合物を溶
出するためには担体の種類、性質によって組み合わせが
異なるが、適当な有機溶媒(例、ヘキサン、ヘプタン等
の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロ
ゲン化炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢
酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブ
タノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリ
ル類など)、有機酸(例、酢酸、ギ酸等)、水溶液〔例
えば、水、アルカリ(例、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸水素ナトリウム等)含有水溶液、酸(例、
塩酸、酢酸、ギ酸、リン酸等)含有水溶液、塩類含有水
溶液(例、食塩水、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液等)な
ど〕の単独あるいは適宜の割合の混合溶媒が用いられ
る。さらに詳しくは、担体としてクロマト用活性炭(武
田薬品工業社製)、キーゼルゲル60(メルク社製、ド
イツ)、微結晶セルロール〔例、アビセル(旭化成社
製)、フナセル(フナコシ株式会社製)等〕、吸着性樹
脂(例、ダイヤイオンHP−20またはSP−207、
アンバーライトXAD−IまたはII等)、分子ふるい性
樹脂〔例、セファデックスLH−20(ファルマシア社
製、スウェーデン)等〕などが有利に用いられる。
【0014】さらに、化合物を精製する場合に、分取用
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法も有利に用
いられる。この方法を適用する場合、担体としてはオク
タデシルシラン(ODS)系、ポリマー系およびシリカ
ゲル系のものが有利に用いられる。例えばODSの場
合、YMCゲル(ワイエムシイ社製)あるいはTSKゲ
ル(東ソー社製)などが、ポリマー系の場合、ポリマー
にオクタデシル基を導入したODP(旭化成社製)ある
いはポリマーにポリアミンを導入したNH2P(旭化成
社製)などが用いられ、移動相としてはメタノールある
いはアセトニトリルと水あるいは塩類含有水溶液の混合
溶液が有利に用いられる。TAN−2342は酸性物質
なので、自体公知の方法によりナトリウム、カリウムな
どのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属との塩などの塩基付加塩としても
得ることができる。
【0015】後述する実施例2で得られたTAN−23
42は、物理化学的データおよびNMRスペクトルの詳
細な検討により下記構造式と決定した。
【化5】
【0016】次に、上記化合物〔I〕またはその塩の製
造法について述べる。一般式〔I〕においてR1がエス
テル化されたカルボキシル基である化合物またはその塩
は、例えば一般式〔I〕においてR1がカルボキシル基
である化合物またはその塩を、エステル化反応に付すこ
とにより製造することができる。エステル化反応は、自
体公知の方法、例えば次に示す方法により行われる。 1)原料化合物をジアゾアルカン(例、ジアゾメタン、
フェニルジアゾメタン、ジフェニルジアゾメタン等)と
反応させる。 2)原料化合物を活性化アルキルハライド(例、ヨウ化
メチル、臭化ベンジル等)と反応させる。 3)原料化合物を酸触媒または縮合剤の存在下、アルコ
ール(例、メタノール、エタノール、ベンジルアルコー
ル等)と反応させる。酸触媒としては、例えば塩酸、硫
酸、カンファースルホン酸等が、縮合剤としては、例え
ば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩
酸 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド(WSC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド
(DIC)等が用いられる。 4)原料化合物を活性エステルに導き、アルコール
(例、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール
等)と反応させる。活性エステルとしては、例えば1-
ヒドロキシ-1H-2-ピリドン、N-ヒドロキシサクシンイミ
ド、N-ヒドロキシフタールイミド、1-ハイドロキシベン
ゾトリアゾール等とのエステルが用いられる。 5)原料化合物を酸ハロゲン化物(例、エチルクロロホ
ルメート、ベンジルクロロホルメート等)と反応させ、
酸無水物に導き、アルコール(例、メタノール、エタノ
ール、ベンジルアルコール等)と反応させる。 本反応において塩基の存在下実施される場合があり、用
いられる塩基としては、例えば3級アミン(例、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、
N-メチルピペリジン、N-メチルピロリジン、シクロヘキ
シルジメチルアミン、N-メチルモルホリン等)、2級ア
ミン(例、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、
ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族塩基(例、ピリジ
ン、ルチジン、コリジン等)、アルカリ金属の水酸化物
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカ
リ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物
(例、水酸化カルシウム等)などが用いられる。本反応
は通常溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えばアミ
ド類(例、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スル
ホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、芳香族塩
基類(例、ピリジン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、
クロロホルム、ジクロロメタン等)、エーテル類(例、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エステル
類(例、酢酸エチル、ギ酸エチル等)、アルコール類
(例、メタノール、エタノール等)など、あるいはこれ
らの適宜の割合の混合物などが挙げられる。反応温度
は、反応が進行する限り特に限定されないが、通常約−
50℃ないし150℃、好ましくは約−30℃ないし8
0℃で行われる。反応時間は、用いられる原料、塩基、
反応温度、溶媒の種類により異なるが、通常数十分から
数十時間反応させる。
【0017】一般式〔I〕においてR1がアミド化され
たカルボキシル基である化合物またはその塩は、例え
ば、一般式〔I〕においてR1がカルボキシル基である
化合物(以下、カルボン酸と略す)またはその塩をアミ
ド化反応に付すことより製造することができる。アミド
化反応は、例えば、カルボン酸またはその塩、あるいは
その反応性誘導体と、一般式 HNR56 〔II〕 〔式中、各記号は前記と同意義を有する〕で表される化
合物またはその塩とを反応させることにより行うことが
できる。カルボン酸の反応性誘導体としては、例えば、
酸ハライド、活性エステルなどが用いられ、このような
反応性誘導体を具体的に述べると次の通りである。 (1)酸ハライド ここで酸ハライドとしては、例えば、酸クロリド、酸ブ
ロミドなどが用いられる。 (2)活性エステル ここで活性エステルとしては、例えば、メチルエステ
ル、エチルエステル、メトキシメチルエステル、プロパ
ルギルエステル、4-ニトロフェニルエステル、2,4-ジニ
トロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、
ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステ
ルなどのエステルの他、1-ヒドロキシ-1H-2-ピリドン、
N-ヒドロキシサクシンイミド、N-ヒドロキシフタールイ
ミド、 1-ハイト゛ロキシヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール(HOBT)などとのエステルが
用いられる。カルボン酸と直接反応させる場合には、例
えば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、
塩酸 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボ
ジイミド(WSC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド
(DIC)などの縮合剤が用いられる。これらの縮合剤
は、上述の活性エステル、例えば1-ヒドロキシ-1H-2-ピ
リドン、N-ヒドロキシサクシンイミド、N-ヒドロキシフ
タールイミド、 1-ハイドロキシベンゾトリアゾール(H
OBT)などとのエステル合成に用いてもよい。本反応に
おいて塩基の存在下実施される場合があり、用いられる
塩基としては、例えば3級アミン(例、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N-メチル
ピペリジン、N-メチルピロリジン、シクロヘキシルジメ
チルアミン、N-メチルモルホリン等)、2級アミン
(例、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジシ
クロヘキシルアミン等)、芳香族塩基(例、ピリジン、
ルチジン、コリジン等)、アルカリ金属の水酸化物
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカ
リ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物
(例、水酸化カルシウム等)などが用いられる。本方法
においては、化合物〔II〕1モルに対してカルボン酸の
反応性誘導体を通常1モル用いるが、反応に支障のない
限り過剰に用いることもできる。塩基を用いる場合、塩
基の使用量は用いられる原料化合物、カルボン酸の反応
性誘導体の種類、その他の反応条件によって異なるが、
化合物〔II〕1モルに対して通常約1ないし5モル、好
ましくは約1ないし3モルである。本反応は通常溶媒中
で行うことができる。該溶媒としては、例えば、アミド
類(例、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スルホ
キシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、芳香族塩基
類(例、ピリジン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ク
ロロホルム、ジクロロメタン等)、エーテル類(例、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、
アセトニトリル等)、エステル類(例、酢酸エチル、ギ
酸エチル等)など、あるいはこれらの適宜の割合の混合
物などが用いられる。反応温度は、反応が進行する限り
特に限定されないが、通常約−50℃ないし150℃、
好ましくは約−30℃ないし80℃で行われる。反応時
間は、用いられる原料、塩基、反応温度、溶媒の種類に
より異なるが、通常数十分から数十時間反応させる。
【0018】一般式〔I〕においてR2、R3が水酸基お
よび水素原子である化合物またはその塩は、例えば一般
式〔I〕においてR2、R3がオキソ基である化合物また
はその塩を、還元反応に付すことにより製造することが
できる。オキソ基の還元は、例えば水素化ホウ素ナトリ
ウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウム
アルミニウム等の還元剤を用いた反応を行うのが有利で
ある。反応は、反応に悪影響を与えない溶媒中で行われ
る。該溶媒としては、例えばアミド類(例、N,N-ジメチ
ルホルムアミド、アセトアミド等)、アルコール類
(例、メタノール、エタノール等)、環状エーテル
(例、テトラヒドロフラン等)など、もしくはこれらの
適宜の割合の混合物が用いられる。反応温度は、反応が
進行する限り特に限定されないが、通常約−50℃ない
し150℃、好ましくは約−30℃ないし80℃で行わ
れる。反応時間は、用いられる原料、塩基、反応温度、
溶媒の種類により異なるが、通常数十分から数十時間反
応させる。
【0019】一般式〔I〕において、R2またはR3が炭
化水素基で置換された水酸基および水素原子である化合
物またはその塩は、例えば、一般式〔I〕においてR2
またはR3が水酸基および水素原子である化合物または
その塩を、塩基の存在下、脱離基を有する化合物と反応
させることにより製造することができる。脱離基を有す
る化合物とは、化学反応によって容易に置換される官能
基を有する化合物を表し、具体的には、例えば、ハロゲ
ン化物(例、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロ
ピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペン
チル、臭化アリル、臭化ベンジル等)、スルホン酸エス
テル類(例、メタンスルホン酸メチル、p-トルエンスル
ホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、ベンゼン
スルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチ
ル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル等)、硫酸エ
ステル類(例、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等)などが
用いられる。塩基としては、例えば、水素化アルカリ金
属(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)、水素
化アルカリ土類金属(例、水素化カルシウム等)、アル
カリ金属のアルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド等)、アルカリ金属の水酸化物
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカ
リ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物
(例、水酸化カルシウム等)、3級アミン(例、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、
N-メチルピペリジン、N-メチルピロリジン、シクロヘキ
シルジメチルアミン、N-メチルモルホリン等)、2級ア
ミン(例、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、
ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族塩基(例、ピリジ
ン、ルチジン、コリジン等)、アルキルリチウム(例、
メチルリチウム、ブチルリチウム等)などが用いられ
る。本反応は、通常溶媒中で行うことできる。該溶媒と
しては、例えば、アミド類(例、ホルムアミド、N,N-ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル
ピロリドン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホ
キシド等)、芳香族塩基類(例、ピリジン等)、ハロゲ
ン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタン
等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エステ
ル類(例、酢酸エチル、ギ酸エチル等)など、あるいは
これらの適宜の割合の混合物などが用いられる。反応温
度は、反応が進行する限り特に限定されないが、通常約
−70℃ないし150℃、好ましくは約−30℃ないし
80℃で行われる。反応時間は、用いられる原料、塩
基、反応温度、溶媒の種類により異なるが、通常数十分
から数十時間反応させる。
【0020】一般式〔I〕においてR2またはR3がアシ
ル基で置換された水酸基および水素原子である化合物ま
たはその塩は、例えば、一般式〔I〕においてR2また
はR3が水酸基および水素原子である化合物またはその
塩を、アシル化反応に付すことにより製造することがで
きる。水酸基のアシル化は、溶媒中で原料化合物とアシ
ル化剤、例えば有機酸(例、有機カルボン酸、有機スル
ホン酸等)あるいはその反応性誘導体を反応させること
により行なうことができる。有機酸の反応性誘導体とし
ては、例えば、酸ハライド、酸無水物、混合酸無水物、
活性エステルなどが用いられ、このような反応性誘導体
を具体的に述べると次の通りである。 (1)酸ハライド ここで酸ハライドとしては、例えば、酸クロリド、酸ブ
ロミドなどが用いられる。 (2)酸無水物、混合酸無水物 ここで酸無水物としては、例えば、脂肪族カルボン酸
(例えば、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸など)からなる混
合酸無水物、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸な
ど)からなる混合酸無水物、対称型酸無水物などが用い
られる。 (3)活性エステル ここで活性エステルとしては、例えば、メチルエステ
ル、エチルエステル、メトキシメチルエステル、プロパ
ルギルエステル、4-ニトロフェニルエステル、2,4-ジニ
トロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、
ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステ
ルなどのエステルのほか、1-ヒドロキシ-1H-2-ピリド
ン、N-ヒドロキシサクシンイミド、N-ヒドロキシフター
ルイミド、1-ハイドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)
などとのエステルが用いられる。カルボン酸と直接反応
させる場合には、例えば、N,N'-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(DCC)、塩酸 1-エチル-3-(3-ジメチルアミ
ノプロピル)-カルボジイミド(WSC)、N,N'-ジイソプロ
ピルカルボジイミド(DIC)などの縮合剤が用いられ
る。これらの縮合剤は、上述の活性エステル、例えば、
1-ヒドロキシ-1H-2-ピリドン、N-ヒドロキシサクシンイ
ミド、N-ヒドロキシフタールイミド、 1-ハイドロキシ
ベンゾトリアゾール(HOBT)などとのエステル合成に用
いてもよい。本反応において塩基の存在下実施される場
合があり、用いられる塩基としては、例えば、3級アミ
ン(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプ
ロピルアミン、N-メチルピペリジン、N-メチルピロリジ
ン、シクロヘキシルジメチルアミン、N-メチルモルホリ
ン等)、2級アミン(例、ジ-n-ブチルアミン、ジイソ
ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族塩
基(例、ピリジン、ルチジン、コリジン等)、アルカリ
金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等)、アルカリ金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等)、アルカリ土類
金属の水酸化物(例、水酸化カルシウム等)などが用い
られる。本反応は通常溶媒中で行うことができる。該溶
媒としては、例えば、アミド類(例、ホルムアミド、N,
N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メ
チルピロリドン等)、スルホキシド類(例、ジメチルス
ルホキシド等)、芳香族塩基類(例、ピリジン等)、ハ
ロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタ
ン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エス
テル類(例、酢酸エチル、ギ酸エチル等)など、あるい
はこれらの適宜の割合の混合物などが用いられる。反応
温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、通常
約−50℃ないし150℃、好ましくは約−30℃ない
し80℃で行われる。反応時間は、用いられる原料、塩
基、反応温度、溶媒の種類により異なるが、通常数十分
から数十時間反応させる。
【0021】上述の製造法によって得られた化合物
〔I〕は、塩として用いてもよく、好ましくは薬理学的
に許容される塩が用いられる。このような塩としては、
化合物〔I〕が酸性基を有する場合、例えばアルカリ金
属(例、ナトリウム、カリウム等)との塩、アルカリ土
類金属(例、カルシウム、マグネシウム等)との塩など
の塩基付加塩が挙げられる。化合物〔I〕が塩基性基を
有する場合、例えば無機酸(例、塩酸、硫酸、リン酸
等)との塩あるいは有機酸(例、酢酸、プロピオン酸、
クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、メタンスルホ
ン酸等)との塩などの酸付加塩が挙げられる。
【0022】後述の実施例によって得られた化合物の構
造式を下記に示す。
【化6】
【表1】
【0023】本発明の化合物〔I〕またはその塩は微小
管重合阻害作用、細胞増殖阻害作用、腫瘍転移抑制作用
を示し、微小管重合阻害剤、細胞増殖阻害剤、腫瘍転移
抑制剤等として有用であり、腫瘍の転移抑制および腫瘍
の治療に用いることができる。本発明の化合物〔I〕ま
たはその塩は、毒性も低く、哺乳動物(例、ラット、マ
ウス、ウシ、ウマ、サル、ヒト等)等に対して安全に用
いられる。発明の化合物〔I〕またはその塩を、自体公
知の方法により、薬理学的に許容される担体と適宜混合
し、医薬として非経口的、経口的に投与することができ
る。本医薬は、非経口剤として、例えば注射剤、点滴
剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤など)、坐剤
(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、経口剤として、例えば
カプセル剤、錠剤、シロップ剤、散剤および顆粒剤また
はそのほかの医薬組成物として経口的または非経口的に
投与することができる。これらの製剤は、製剤工程にお
いて通常一般に用いられる自体公知の方法により製造す
ることができる。
【0024】例えば、本発明の化合物〔I〕またはその
塩は分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパ
ウダー社製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)ポリ
エチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベ
ン、ベンジルアルコール、クロロブタノールなど)、等
張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトー
ル、ブドウ糖など)などと共に水性注射剤に、あるいは
オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油
などの植物油、プロピレングリコールなどに溶解、懸濁
あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とするこ
とができる。例えば、経口投与製剤とするには、自体公
知の方法に従い、本発明のTAN−2342あるいはそ
の塩をたとえば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンな
ど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、
結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 60
00など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要によ
り、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のた
め自体公知の方法でコーティングすることにより経口投
与製剤とすることができる。そのコーティング剤として
は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチ
ルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキ
シエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF
68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチル
セルロースアセテートサクシネート、オイドラギット
(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共
重合)および酸化チタン、ベンガラ等の色素が用いられ
る。
【0025】例えば、外用剤とするには、自体公知の方
法に従い、本発明の化合物〔I〕またはその塩を固状、
半固状または液状の外用投与剤とすることができる。た
とえば、上記固状のものとしては、TAN−2342ま
たはその塩をそのまま、あるいは賦形剤(例、グリコー
ル、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、ア
クリル酸重合体など)などを添加、混合して粉状の組成
物とする。上記液状のものとしては、注射剤の場合とほ
とんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状
の場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状の
ものがよい。また、これらはいずれも、pH調節剤
(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウ
ムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル
類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)な
どを加えてもよい。例えば、坐剤とするには、自体公知
の方法に従い、本発明の化合物〔I〕またはその塩を油
性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とする
ことができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、
例えば高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテ
プゾル類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、あるい
は植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙
げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレ
ングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤
としては、例えば天然ゴム類、セルロース誘導体、ビニ
ル重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
【0026】本発明の化合物またはその塩をヒトに用い
る場合の投与量は、対象疾病の種類、程度、患者の年齢
などで変動し得るが、通常、本発明の化合物〔I〕また
はその塩含量として、1日成人(体重50kg)1人当
たり約1mgから40mg、とりわけ約2mgから30
mgが疾患の治療に用いられることが好ましい。これら
の製剤は、1日1−3回に分けて投与することができ
る。本発明の化合物〔I〕またはその塩を、注射剤とし
て非経口的に皮下、静脈内または筋肉内に投与する場
合、その投与量は約0.5から50mg/kg/日、好
ましくは約1から50mg/kg/日である。
【0027】
【実施例】以下に実施例、試験例および製剤例を挙げて
本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明
が限定されるものではない。なお、パーセント(%)
は、特に断りのない限り、重量/容量パーセントを示
す。また、溶媒の混合比率は、特に断りのない限り、容
量比を示す。NMRスペクトルは、ブルカーAC−30
0型スペクトルメーター(1H NMR;300MHz,13C NM
R;75MHz)を用いて測定した。内部基準としてテトラ
メチルシランを用い、全δ値をppmで示した。 また、
本明細書中の記号は次のような意味を有する。 s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレット,d
d:ダブルダブレット,m:マルチプレット,Q:4級炭
素,CH:メチン,CH2:メチレン,CH3:メチル EGTA:エチレングリコールビス(2−アミノエチル
エーテル)四酢酸(ethylene glycol bis(2-aminoethyl
ether)tetraacetic acid) MES :2−モルホリノエタンスルホン酸(2-morpho
linoethanesulfonic acid) GTP :グアノシン5'−三リン酸(guanosine 5'-tr
iphosphate) PBS :リン酸緩衝溶液(phosphate-buffered salin
e) SDS :ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl s
ulfate)
【0028】
【実施例1】TAN−2342の製造 デキストリン50g、グルコース5g、生大豆粉35
g、炭酸カルシウム7g、寒天20gおよび水1リット
ルからなる斜面培地上で、28℃で、7日間培養したカ
ーブラリア ルナタ FL−46880株を2%オレイ
ン酸、1%グリセリン、1%コーン・スチィープ・リカ
ー、2%プロフロ、0.5%ドライ・イースト、0.5%
炭酸カルシウムを含む40mlの種培地(pH6.5)
に接種し、200ml容三角フラスコ中で、28℃、4
8時間回転振盪機上で培養し、種培養を得た。得られた
種培養液1mlを200ml容フラスコ内の40mlの
2%オレイン酸、1%グリセリン、1%コーン・スチィ
ープ・リカー、2%プロフロ、0.5%ドライ・イース
ト、0.5%炭酸カルシウムを含む発酵培地(pH6.
5)に移植し、17℃、7日間振盪機上で培養した。
【0029】
【実施例2】TAN−2342の単離 実施例1で得られた培養液(120リットル)をpHを
3.0に調整後、酢酸エチル(100リットル)で抽出
し、濾過補助剤(ラジオライト600、昭和化学工業社
製)を用いて濾過し、得られた有機溶媒層を2%炭酸水
素ナトリウム水(2×70リットル)で抽出した。水層
(140リットル)のpHを2.0に補正後、再び酢酸
エチル(2×50リットル)で抽出した。有機層(10
0リットル)を水洗(30リットル)後、濃縮して油状
残渣(390g)を得た。得られた油状物をシリカゲル
(キーゼルゲル60、3kg)のカラムクロマトグラフ
ィーに付しヘキサン/酢酸エチル〔85:15(Fr.
1−7)、75:25(Fr.8−16)、50:50
(Fr.17−20)、各1リットル〕で溶出分画し
た。Fr.8−18を濃縮乾固し、酢酸エチル(500
ml)を加え2%炭酸水素ナトリウム水(2×500m
l)で抽出した。水層(1リットル)を濃縮しpHを1
0.0に補正後、ダイヤイオンHP−20(500m
l、三菱化成社製)のカラムクロマトグラフィーに付し
水(1.6リットル)、10%(v/v)メタノール水
(1.2リットル)で洗浄後、50%(v/v)メタノ
ール水(1.2リットル)、80%メタノール水(80
0ml)で順次溶出した。溶出画分を集めて濃縮後凍結
乾燥し、TAN−2342のナトリウム塩(化合物1、
6.0g)を白色粉末として得た。
【0029】〔化合物1〕 1)外観:白色粉末 2)比旋光度:−5.8°(c 0.64,CH3OH, 27℃) 3)分子量:SI−マススペクトル;m/z 418(M+Na)
+ 4)元素分析値:(%)(水分1.0モルとして計算) 計算値;C, 68.78; H, 7.62; Na, 5.27 実測値:C, 69.08; H, 7.59; Na, 5.08 5)分子式:C25H31O4Na 6)UVスペクトル:水中 極大値 nm(ε);270(17,700), 297(24,100)〔図3〕 7)IRスペクトル:KBr錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1)。〔図4〕3400, 2970, 2930, 1710, 1630,
1550, 1380, 980 8)13C NMR: 75MHz,重メタノール中,δppm〔図5〕21
4.3(Q), 209.1(Q), 176.2(Q), 146.2(CH), 140.3(CH),
138.7(Q), 134.9(CH), 134.1(Q), 133.5(Q), 128.6(Q),
125.4(CH), 124.4(Q), 128.3(CH), 51.6(CH), 50.2(C
H), 49.7(CH), 47.4(CH2), 43.5(CH2), 40.5(CH), 29.6
(CH3), 18.3(CH3), 17.2(CH3), 15.2(CH3), 14.2(CH3),
11.5(CH3) 9)呈色反応:陽性;リンモリブデン酸、濃硫酸、過マ
ンガン酸カリウム 陰性;ドラーゲンドルフ、モーリッシュ試薬、ニンヒド
リン試薬 10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC-Pack A-312, ODS, 6.0 × 150 mm(ワ
イエムシイ社製) 移動相;62%(v/v)アセトニトリル/0.01Mリン酸
緩衝液(pH3.0) 流 速;2.0ml/分 検出法;214nm, 254nm 保持時間;4.6分 11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;シリカゲル60F254(メルク社製,ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム/メタノール(9:1) Rf値;0.50
【0030】
【実施例3】化合物1(30mg)を水(5.0ml)
に溶解後pH3.0に調整し、酢酸エチル(5.0ml)
で抽出した。酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、濃縮乾固して、TAN−2342(化合物
2,21mg)を無色油状物質として得た。 分子量:EI−マススペクトル;m/z 396(M)+ 1 H NMR(CDCl3); 1.10(6H,d,J=6.5H
z), 1.82(1H,m), 1.83(3H,
s), 1.88(6H,s),2.04(1H,t,
J=12.0Hz), 2.15(3H,s), 2.
39(1H,m), 2.42(1H,m), 2.6
6(1H,dd,J=12.0,6.5Hz), 2.
92(1H,d,J=15.5Hz), 3.18(1
H,d,J=10.4Hz), 3.43(1H,d,
J=15.5Hz), 5.38(1H,d,J=1
0.4Hz), 5.74(1H,s), 5.82
(1H,d,J=15.5Hz), 6.24(1H,
s), 7.38(1H,d,J=15.5Hz).
【0030】
【実施例4】化合物2(2.8mg)を酢酸エチル
(3.0ml)に溶解し、ジアゾメタンのジエチルエー
テル溶液を加え室温で30分間放置した。反応液を濃縮
乾固して、化合物3(3.0mg)を無色油状物質とし
て得た。 分子量:EI−マススペクトル;m/z 410(M)+ 1 H NMR(CDCl3); 1.10(6H,d,J=6.4Hz), 1.82(1H,m),
1.83(3H,s), 1.86(6H,s),2.03(1H,t,J=11.9Hz), 2.14(3
H,s), 2.39(1H,m), 2.44(1H,m), 2.66(1H,dd,J=11.9,6.
6Hz), 2.92(1H,d,J=15.4Hz), 3.17(1H,d,J=10.5Hz), 3.
42(1H,d,J=15.4Hz), 3.74(3H,s), 5.35(1H,d,J=10.5H
z), 5.73(1H,s), 5.83(1H,d,J=15.5Hz), 6.20(1H,s),
7.30(1H,d,J=15.5Hz).
【0031】
【実施例5】化合物1(100mg)をN,N-ジメチルホ
ルミアミド(1.0ml)に溶解後、p−ブロムベンジ
ルブロミド(66mg)を加え、室温で1時間撹拌し
た。反応液に酢酸エチル(30ml)を添加後10%ク
エン酸水溶液、2%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順
次洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、濃縮し、油状残渣(141mg)を得た。これをシ
リカゲル(30g)のカラムクロマトグラフィーに付し
ヘキサン/酢酸エチル〔95:5(45ml)、90:
10(45ml)〕で順次洗浄した後、ヘキサン/酢酸
エチル(80:20, フラクションNo.1−10、
各5ml)で溶出分画した。フラクションNo.5−7
を濃縮乾固し化合物4(97mg)を無色油状物質とし
て得た。 分子量:EI−マススペクトル;m/z 564(M)+ 1 H NMR(CDCl3); 1.10(6H,d,J=6.5H
z), 1.81(1H,m), 1.83(3H,
s), 1.86(6H,s),2.03(1H,t,
J=11.9Hz), 2.15(3H,s), 2.
39(1H,m), 2.45(1H,m), 2.6
6(1H,dd,J=11.9,6.5Hz), 2.
91(1H,d,J=15.5Hz), 3.17(1
H,d,J=10.3Hz), 3.42(1H,d,
J=15.5Hz), 5.13(2H,s), 5.
36(1H,d,J=10.3Hz), 5.74(1
H,s), 5.85(1H,d,J=15.5H
z), 6.20(1H,s), 7.25(2H,
d,J=8.3Hz), 7.33(1H,d,J=1
5.5Hz), 7.49(2H,d,J=8.3H
z).
【0032】
【実施例6】化合物2(50mg)をメタノール(5.
0ml)に溶解後、水素化ホウ素ナトリウム(34m
g)を加え、室温で30分撹拌した。反応液に酢酸エチ
ル(50ml)を添加後10%クエン酸水溶液、2%炭
酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。酢酸エチ
ル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、油状残渣
(98mg)を得た。これを分取HPLC〔カラム;YM
C-Pack D-ODS-5、移動相;52%(v/v)アセトニトリル
/0.01Mリン酸緩衝液(pH3.0)、流速;10ml/分〕に付
し、分析用HPLCで単一ピークを与える画分を集め濃
縮しpH3.0に補正後、酢酸エチルで抽出した。有機
層を水洗後濃縮乾固して、化合物5(24mg)を無色
油状物質として得た。 分子量:EI−マススペクトル;m/z 400(M)+ 1 H NMR(CDCl3); 1.01(3H,d,J=6.8Hz), 1.09(3H,d,J=
6.8Hz), 1.25(3H,d,J=6.0Hz), 1.65(1H,m), 1.68(1H,
m), 1.76(3H,s), 1.87(3H,s), 1.88(3H,s), 1.93(1H,d
d,J=13.7,3.6Hz), 2.01(1H,dd,J=12.0,4.5Hz), 2.14(1
H,m), 2.16(1H,m), 2.42(1H,dd,J=13.7,9.2Hz), 3.09(1
H,d,J=10.3Hz), 3.64(1H,s), 3.91(1H,m), 5.48(1H,s),
5.52(1H,d,J=10.3Hz), 5.80(1H,d,J=15.5Hz), 6.24(1
H,s), 7.37(1H,d,J=15.5Hz).
【0032】次に、本発明化合物〔I〕の生物活性につ
いて述べる。
【試験例1】微小管重合阻害活性の測定 本発明化合物〔I〕の微小管重合阻害活性は、ブタ脳由
来微小管を用い、岩崎らの方法〔ジャーナル・オブ・ア
ンチバイオティクス(Journal of Antibiotics)、4
0、66(1987)〕にしたがって行った。 (1)微小管の調製 ブタ脳大脳部7個を細断した後、1mM EGTA、0.
5mM MgSO4、1mM 2−メルカプトエタノール
を含む100mM MES(pH6.5)〔緩衝液A〕4
00mlで洗浄し、さらに1mM GTPを含む緩衝液
A〔緩衝液B〕200mlを加えてブレンダーでホモジ
ナイズした後、これを18,000rpm、4℃で30
分間遠心し、上清を採取した。上清と同量の8Mグリセ
ロールを含む緩衝液B〔緩衝液C〕を混合し、これを3
7℃で30分間保温した後、36,000rpm、30
℃で45分間遠心して、微小管沈澱物を採取した。これ
に70mlの緩衝液Bを加えて、4℃で30分間放置す
ることにより沈澱物を解重合させた。再度、4℃、3
6,000rpmで1時間遠心し、採取した上清に緩衝
液Cを加えて沈澱物を回収する操作を繰り返し、精製さ
せた微小管画分を採取した。回収した微小管画分は6m
g/ml濃度になるように希釈した後−80℃にて保存
し、以後の測定に供することとした。 (2)微小管重合阻害活性の測定 上述の部分精製した微小管に、緩衝液Bを微小管濃度が
2mg/mlになるように加え、同希釈液500mlに
あらかじめ種々の濃度になるよう希釈した本発明化合物
〔I〕またはその塩を20μl添加した後、37℃での
微小管重合度を分光光度計にて吸光度400nmで経時
的に測定した。その結果、化合物2は2.0μg/ml
で50%阻害を示した。
【0033】
【試験例2】細胞増殖阻害試験 細胞増殖阻害作用はヒーラ(HeLa)細胞を2×104cel
ls/mlの濃度で培地に懸濁し、96穴平底プレート(ヌ
ンク社)の各ウェルに0.1mlずつ分注した。HeLa細
胞にはイーグルのミニマム・エッセンシャル・メディウ
ム(ウイッタッカー・バイオプロダクト社、米国)に牛
胎児血清(ウイッタッカー・バイオプロダクト社)を1
0%添加した培地を使用した。上記プレートを37℃、
5%CO2に設定した炭酸ガスインキュベーターで1日
間培養後、あらかじめ種々の濃度の本発明化合物〔I〕
またはその塩を溶かしたリン酸生理食塩水を細胞懸濁液
を分注した各ウェルに10μlずつ添加した。添加後さ
らに3日間培養した後、テトラゾリウム塩MTT(シグ
マ社、米国)を5mg/mlとなるようにPBSに溶か
した溶液を25μl添加し、上記炭酸ガスインキュベー
ター中にて保温した。4時間後に0.01Nの塩酸に1
0%となるようにSDSを加えた溶液を各ウェルに0.
1mlずつ加え、上記炭酸ガスインキュベーター中にて
一晩保温し、620nmでの吸光度をタイターテック・
マルチスキャン吸光度計(フロー社、米国)を用いて測
定した。PBSのみを10μl加えた場合の吸光度を対
照として、各濃度での阻害率(%)を算出した。その結
果、化合物2はヒーラ(HeLa)細胞の増殖を0.63μ
g/mlで50%阻害した。以上の試験例より、本発明
の化合物〔I〕またはその塩は、優れた微小管重合阻害
活性および細胞増殖阻害活性を有することがわかる。
【0034】
【製剤例1】実施例2によって得た化合物2を用いて、
下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプセルに
充填し、カプセル1個当たり30mgの化合物2を含有
するカプセル剤を製造した。 化合物2 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 合計 180mg
【0035】
【製剤例2】実施例2によって得た化合物2とステアリ
ン酸マグネシウムを可溶性デンプンの水溶液で顆粒化
し、乾燥後、乳糖およびコーンスターチと混合した。混
合物を圧縮成型し、下記に示す処方の錠剤を製造した。 化合物2 30mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg 合計 180mg
【0035】
【製剤例3】実施例2によって得た化合物2(500m
g)をメタノール(40ml)に溶解し、炭酸ナトリウ
ム(163mg,1.1当量)、水(30ml)を加
え、室温にて10分間撹拌した。その後、メタノールを
除去し、凍結乾燥すると化合物2ナトリウム塩(550
mg)が得られた。得られた化合物2ナトリウム塩を3
0%(w/v)ポリエチレングリコール400を含む生
理食塩水に溶解して化合物2ナトリウム塩の0.05%
溶液を調製し、滅菌濾過して、バイアルに30mlずつ
分注した。バイアル1個当たり、15mgの化合物2ナ
トリウム塩を含有する静注剤を製造した。
【0036】
【発明の効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、
微小管重合阻害活性および細胞増殖阻害活性を示し、抗
癌剤および腫瘍転移抑制剤などとして有用である。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】カーブラリア ルナタ FL−46880株の
光学顕微鏡像を示す。
【図2】カーブラリア ルナタ FL−46880株の
走査電子顕微鏡像〔日立、S−570型〕を示す。
【図3】TAN−2342のUVスペクトルを示す。
【図4】TAN−2342のIRスペクトルを示す。
【図5】TAN−2342の13C NMRスペクトルを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/738 C07C 69/738 Z C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 7/40 C12P 7/40 7/42 7/42 //(C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 7/40 C12R 1:645) (C12P 7/42 C12R 1:645)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 〔式中、R1はエステル化もしくはアミド化されていて
    もよいカルボキシル基を、R2およびR3は同一または異
    なって、オキソ基または置換されていてもよい水酸基お
    よび水素原子を示す〕で表される化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】R1がカルボキシル基である請求項1記載
    の化合物。
  3. 【請求項3】R2およびR3がオキソ基である請求項1記
    載の化合物。
  4. 【請求項4】化合物が式 【化2】 で表されるTAN−2342である請求項1記載の化合
    物。
  5. 【請求項5】カーブラリア属に属し、化合物TAN−2
    342を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、
    培養液中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取する
    ことを特徴とする化合物TAN−2342またはその塩
    の製造法。
  6. 【請求項6】TAN−2342を生産する能力を有する
    微生物、カーブラリアルナタ。
  7. 【請求項7】請求項1記載の化合物またはその塩を含有
    してなる医薬。
  8. 【請求項8】請求項1記載の化合物またはその塩を含有
    してなる微小管重合阻害剤。
  9. 【請求項9】請求項1記載の化合物またはその塩を含有
    してなる細胞増殖阻害剤。
  10. 【請求項10】請求項1記載の化合物またはその塩を含
    有してなる腫瘍転移抑制剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002014529A1 (fr) * 2000-08-15 2002-02-21 Riken Curvularol et son procede de preparation
WO2005003076A1 (en) * 2003-07-07 2005-01-13 Daeyang Foundation Novel heptatrienoic acid substitued bicyclic ketone derivative and pharmaceutical compositions comprising the same
KR100663188B1 (ko) * 2005-02-25 2007-01-02 학교법인 대양학원 신규한 헵타트리에노산으로 치환된 이중환 케톤 유도체 및이를 포함하는 약제학적 조성물

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WO2002014529A1 (fr) * 2000-08-15 2002-02-21 Riken Curvularol et son procede de preparation
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KR100663188B1 (ko) * 2005-02-25 2007-01-02 학교법인 대양학원 신규한 헵타트리에노산으로 치환된 이중환 케톤 유도체 및이를 포함하는 약제학적 조성물

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