JPH07196686A - 化合物tan−1746類、その製造法および用途 - Google Patents

化合物tan−1746類、その製造法および用途

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JPH07196686A
JPH07196686A JP6000295A JP29594A JPH07196686A JP H07196686 A JPH07196686 A JP H07196686A JP 6000295 A JP6000295 A JP 6000295A JP 29594 A JP29594 A JP 29594A JP H07196686 A JPH07196686 A JP H07196686A
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tan
compound
acid
medium
group
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JP6000295A
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English (en)
Inventor
Koji Yoshimura
浩二 吉村
Shigetoshi Tsuboya
重利 坪谷
Kenjiro Okazaki
賢治朗 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】腫瘍治療剤として有用な化合物を提供する。 【構成】一般式 【化1】 (式中、Rはエステル化されていてもよい水酸基を示
す)で表される化合物またはその塩。 【効果】本発明の化合物またはその塩は、優れた抗腫瘍
作用を示し、ヒトあるいは哺乳動物の悪性腫瘍の治療に
用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗腫瘍剤として有用な新
規環状ペプチド化合物TAN−1746(以下、TAN
−1746と略称することもある)に関する。
【0002】
【従来の技術】環状ペプチドとして、マウスの肥満細胞
腫の増殖抑制作用を有するクラミドシン(Chlamydoci
n)〔ヘルベチカ・キミカ・アクタ(Helvetica Chimica
Acta)、第57巻、533頁(1974年)、ヨーロ
ピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European Jou
rnal of Cancer)、第10巻、801頁(1974年)
等〕、抗腫瘍作用を示すトラポキシン(Trapoxin)Aお
よびB〔ザ・ジャーナル・オブ・アンチビオチクス(Th
e Journal of Antibiotics)、第43巻、1524頁
(1990年)〕等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】悪性腫瘍による死亡例
は年々増加の一途をたどっており、有効な新しい治療法
の開発が切望されている。中でも、化学療法の分野で
は、現在使用されている抗腫瘍剤の効果が充分なものと
は言えず、悪性腫瘍を完全に抑制できる新しい抗腫瘍剤
の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑みて、新たな観点から研究を重ねた結果、土壌か
ら分離された多数の微生物中、ある種の微生物が新規物
質を産生すること、該微生物がバーティシリウム属に属
すること、該微生物を適宜の培地に培養することによっ
て、ヒトおよび動物細胞由来の癌細胞の増殖を阻害し、
rasガン遺伝子で形質転換したマウスNIH3T3細
胞の形態を正常細胞様に復帰する活性化合物を培地中に
蓄積しうることを知り、活性化合物を単離し、これをT
AN−1746と称することにした。本発明者らは、こ
の化合物の物理化学的および生物学的性質から新規物質
であることを確かめ、さらに検討を加えた結果、本発明
を完成した。本発明は、(1)一般式
【化2】 (式中、Rはアシル化されていてもよい水酸基を示す)
で表される化合物またはその塩、(2)Rが水酸基であ
る上記(1)記載の化合物TAN−1746、(3)バ
ーティシリウム属に属し、化合物TAN−1746を生
産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に
化合物TAN−1746を生成蓄積せしめ、これを採取
することを特徴とする化合物TAN−1746の製造
法、(4)上記(1)記載の化合物またはその塩を含有
してなる抗腫瘍剤および(5)化合物がTAN−174
6である上記(4)記載の抗腫瘍剤を提供するものであ
る。
【0005】上記一般式(I)に関し、Rで表されるア
シル化されていてもよい水酸基におけるアシル基として
は、例えば有機カルボン酸から誘導されるアシル基等が
挙げられる。該アシル基としては、例えばホルミル基、
アルカノイル(アルキルカルボニル)基、アリールカル
ボニル基、アラルキルカルボニル基、アルキルオキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル
オキシカルボニル基、複素環カルボニル基などが挙げら
れる。上記アシル基は、好ましくは、アルカノイル基、
アリールカルボニル基およびアルキルオキシカルボニル
基である。アルカノイル(アルキルカルボニル)基およ
びアルキルオキシカルボニル基におけるアルキル基とし
ては、例えば炭素数1ないし6の直鎖状もしくは分枝状
のアルキル基等が挙げられる。このようなアルキル基と
しては例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げ
られる。アリールカルボニル基およびアリールオキシカ
ルボニル基におけるアリール基としては、例えば炭素数
6ないし14のアリール等が挙げられる。このようなア
リール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリ
ル、ビフェニル、1−または2−ナフチル、1−、2−
または9−アントリル、1−、2−、3−、4−または
9−フェナントリル、1−、2−、4−、5−または6
−アズレニル等が挙げられる。アラルキルカルボニル基
およびアラルキルオキシカルボニル基におけるアラルキ
ル基としては、例えば炭素数7ないし13個のアラルキ
ル基等が挙げられる。このようなアラルキル基として
は、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニ
ルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピ
ル、3−フェニルプロピル、ベンズヒドリル、α−また
はβ−ナフチルメチル等、さらにo−、m−またはp−
メチルベンジル、o−、m−またはp−エチルベンジ
ル、o−、m−またはp−イソプロピルベンジル、o
−、m−またはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、
2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジ
メチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,
6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチ
ルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、
2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,
5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ
−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)
エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4
−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフ
ェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エ
チル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−
(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert
−ブチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−
4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル
−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチ
ルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニ
ル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチ
ル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル
等の炭素数1〜5のアルキル基を有する置換アラルキル
基等が挙げられる。
【0006】複素環カルボニル基における複素環基とし
ては、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子のヘ
テロ原子を1〜4個含む5または6員の複素環基があげ
られる。このような複素環基としては、例えばピロリジ
ニル、ピロリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリ
ル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリ
ル、イソチアゾリル、チアゾリル、ピペリジノ、ピペリ
ジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペラ
ジニル、ピリミジニル、インドリル、1,2,3−トリ
アゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−ト
リアゾリル、テトラゾリル、1,3−ジオキソラニル、
モルホリノ、モルホリニル、2−オキソピロリジニルな
どが挙げられる。さらに該複素環基は5又は6員環
(例、ベンゼン、ピリジン、シクロヘキサンなど)と縮
合して2環性縮合環基(例、8−キノリル、8−プリニ
ルなど)を形成していてもよい。上記アルキル基、アリ
ール基、アラルキル基、複素環基は、適当な置換基
(例、ヒドロキシ基、カルボキシル基、C1-6アルキル
で置換されていてもよいアミノ基など)で1または2個
置換されていてもよい。前記のアシル基としては、さら
に好ましくは炭素数2〜7のアシル基(例、アセチル、
プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イ
ソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イ
ソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−
ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルなど)が
挙げられる。
【0007】上記一般式(I)中、立体異性体が存在す
るが、それらの各異性体も本発明に含まれる。また一般
式(I)で表される化合物は、塩を形成していてもよ
い。例えば分子中にアミノ基等の塩基性基を有する場
合、酸付加塩を形成し、またカルボキシル基等の酸性基
を有する場合、塩基塩を形成してもよい。本発明のTA
N−1746は、TAN−1746を生産する能力を有
する微生物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生
成、蓄積せしめ、これを採取することにより製造され
る。本発明のTAN−1746の製造に用いることがで
きる微生物としてはバーティシリウム属に属し、TAN
−1746を生産する能力を有する微生物であればいず
れのものでもよい。例えば、福井県で採取した土壌より
分離された糸状菌FL−36581株があげられる。
【0008】FL−36581株の菌学的性状を以下に
示す。 (a)各培地における生育状態 1)麦芽エキス寒天培地 生育は良好で、24℃2週間後のコロニーの直径は、6
0〜70mmであった。表面は盛り上がった羊毛状の菌
糸体よりなり、中央部は隆起し、周辺部は薄くなってい
る。外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発達
は良好で、厚膜胞子が多数観察された。中央部から周辺
部にかけて灰白色から白色を呈する。裏面の中央部から
周辺部にかけては暗黄褐色から黄褐色を呈する。可溶性
色素の生成は認められない。 2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は中程度で、24℃2週間後のコロニーの直径は、
35〜45mmであった。表面は盛り上がった羊毛状の
菌糸体よりなり、周辺部にかけてやや薄くなっている。
外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発達、分
生子の形成は良好であり、厚膜胞子も多数観察される。
中央部から周辺部にかけて灰白色から白色を呈する。裏
面の中央部は暗黄褐色を呈し、中間部から周辺部にかけ
ては黄褐色から黄色を呈する。可溶性色素の生成は認め
られない。pH3〜pH12のいずれでも生育は良好、
生育温度範囲は10℃〜30℃である。23℃〜27℃
が至適温度である。37℃では生育しない。 3)ツァペック寒天培地 生育は中程度で、24℃2週間後のコロニーの直径は、
55〜60mmであった。表面は平坦でビロード状の菌
糸体よりなり、放射状に薄くひろがる。外縁は規則正し
く縁取られている。気生菌糸の発達は良好である。中央
部から周辺部にかけては灰白色から白色を呈する。裏面
は象牙色ないし灰白色を呈する。可溶性色素の生成は認
められない。 4)オートミール寒天培地 生育は良好で、24℃2週間後のコロニーの直径は、5
0〜60mmであった。表面は盛り上がった羊毛状の菌
糸体よりなり、中央部はやや陥没し、周辺部は薄くなっ
ている。外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の
発達、分生子・厚膜胞子の形成は良好である。中央部は
白色を呈し中間部から周辺部にかけて灰白色を呈し、水
滴が認められる。裏面中央部は黄色を呈し、中間部から
周辺部にかけて象牙色を呈する。可溶性色素の生成は認
められない。
【0009】(b)形態的特徴 分 生 子 柄 :明瞭でない。 フィアライド:葡ふく菌糸または気中菌糸から直接に、
単生あるいは2〜4本輪生状に生じる。細長く、先端に
向かって徐々に細くなる。長さ10〜15μm。幅 1.
0〜1.5μm(基部) 0.4〜0.6μm(先端部) 分 生 子 :フィアロ型分生子。フィアライド先端か
ら1個形成される。楕円形〜長楕円形。 単細胞で無
色、表面は滑面。2.5〜3.0×1.3〜1.5μm 石垣状厚膜胞子(Dictyochlamydospore):気中菌糸よ
り分枝した短い柄の上に、多数の厚膜細胞の集合からな
る石垣状厚膜胞子を生じ、多数観察される。全長の大き
さは 17〜20×13〜17μmであった。
【0010】以上の結果から本菌株の諸性質は、以下の
ようにまとめられる。すなわち、葡ふく菌糸または気中
菌糸から直接単生あるいは輪生状にフィアライドを形成
するが、分生子柄は明瞭でない。フィアライドは細長く
先端に向かって徐々に細まる。分生子形成細胞はフィア
ロ型で、フィアライドの先端に個々に形成される。一定
の形をした石垣状の厚膜胞子を形成する。以上の諸性質
を、Dr.Walter Gams 著「Cephalosporium-artige Schim
melpilze」( Gustav Fischer Verlag・Stuttgart・1971 )
記載の同定検索表で照合すると、バーティシリウム属
(Verticillium)に属する事が明らかであり、更に詳し
く種の検索をすると、本菌株はバーティシリウム クラ
ミドスポリウム(Verticillium chlamydosporium)群に
属すると判断された。したがって、本菌株をバーティシ
リウム クラミドスポリウム(Verticillium chlamydos
porium)FL-36581と同定した。FL−36581株は、
平成5年12月21日財団法人・発酵研究所(IFO)
に受託番号IFO 32602として寄託され、また、
平成5年12月27日に通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所(NIBH)に受託番号FERM P−
14038として寄託されている。
【0011】バーティシリウム属に属するTAN−17
46の生産菌は、他の糸状菌の場合と同様に、たとえば
紫外線、エックス線、放射線などの照射、単胞子分離、
種々の変異処理、その他の常用手段で変異させることが
出来、このような変異株あるいは自然に得られる突然変
異株であっても、上記した分類学的性状との比較におい
て実質的に別種とするに足らず、しかも当該化合物を生
産する性質を有するものは、すべて本発明方法に利用し
得る。TAN−1746生産菌の培養に用いられる培地
は該菌が利用し得る栄養源を含むものなら、液状でも固
状でもよいが、大量に処理するときは液体培地を用いる
のが適当である。培地には、当該生産菌が同化し得る炭
素源、窒素源、無機物質、微量栄養源等が適宜配合され
る。炭素源としては、たとえばグルコース、ラクトー
ス、シュークロース、マルトース、デキストリン、スタ
ーチ、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、油脂
類(例、大豆油、ラード油、チキン油など)、n−パラ
フィン等が用いられる。窒素源としては、たとえば肉エ
キス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆粉、コーン・スティ
ープ・リカー、ペプトン、綿実粉、廃糖蜜、尿素、アン
モニウム塩類(例、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)等が用
いられる。さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜
鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ
酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類
が適宜用いられる。その他、アミノ酸類(例、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジン、メチオニ
ン、プロリンなど)、ペプチド類(例、ジペプチド、ト
リペプチドなど)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチ
ン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プリン、ピリミジ
ン、その誘導体など)等を含有させてもよい。無機酸、
有機酸、アルカリ類、緩衝剤等を加えて培地のpHを調
節する、あるいは消泡の目的で油脂類、界面活性剤等の
適量を添加しても差し支えない。例えば液体培養をする
場合、培地のpHは中性付近、特にpH約5ないし8が好
ましい。培養温度は約20℃ないし30℃が好ましい。
培養時間は約48時間ないし168時間が好ましい。
【0012】培養物から目的とする化合物TAN−17
46を採取する方法を以下に述べる。該化合物は中性脂
溶性物質であるため、この性質を利用する一般的手段を
採用すればよい。また、TAN−1746は主として培
養濾液中に含まれるため、例えば次のような方法が採用
される。まず培養液に濾過補助剤を加えて、濾過あるい
は遠心分離によって菌体を除去する。得られた濾液をp
H約1.5ないし10、好ましくはpH約3ないし8に
調整後、水と混和しない有機溶媒、例えばジクロロメタ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチ
ル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン
類あるいはブタノール等のアルコール類などを加え、T
AN−1746を抽出する。得られた有機溶媒層を希ア
ルカリ(例、水酸化カリウム,水酸化ナトリウム等のア
ルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリ
ウム等のアルカリ金属炭酸水素塩またはアルカリ金属炭
酸塩等)水、希酸(例、塩酸、クエン酸等)水、水等で
洗浄後、有機溶媒層を濃縮するとTAN−1746を含
有する粗物質が得られる。粗物質をさらに精製し、純粋
なTAN−1746を得るには周知の種々のクロマトグ
ラフィー法が有利に用いられる。担体としては例えばシ
リカゲル、結晶セルロース、吸着性樹脂(例、ダイヤイ
オンHP−20(三菱化成社製),セファデックスLH
−20(ファルマシア社製、スウエーデン)など)が用
いられ、これらは通常カラムクロマトグラフィー法で行
なわれる。カラムから活性物質を溶出する方法は担体の
種類により適宜選択されるが、適当な有機溶媒、たとえ
ばクロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水
素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等の
エステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のア
ルコール類、ヘキサン等の炭化水素類などの単独あるい
はこれらの混合溶媒が、または、水と混和し得る有機溶
媒と水溶液たとえば水、前述の希アルカリ水、希酸性
水、緩衝液などとの混合溶媒が用いられる。さらに、化
合物を最終的に精製する場合に、分取用高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)法も有利に用いられる。担体
としては、例えばオクタデシルシラン(ODS)系およ
びシリカゲル系のもの等が有利に用いられる。例えばO
DSを使用する場合、YMCゲル(山村化学研究所製)
またはTSKゲル(東洋曹達工業社製)などが用いら
れ、移動相としては、例えばメタノール等のアルコール
類またはアセトニトリル等のニトリル類と水または塩類
含有水溶液の混合物が有利に用いられる。
【0013】以下に、後述する実施例1で得られたTA
N−1746の物理化学的性状を示す。 (1)外観:白色粉末 (2)比旋光度:−68℃ (c 0.50、メタノール、22
℃) (3)分子量:528 M+ (EI−マススペクトル) (4)元素分析値:(%) 実測値;C, 63.23; H, 7.76; N, 10.61 計算値;C, 63.62; H, 7.63; N, 10.60 (5)分子式:C284046 (6)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中, 極大値:235nm(ε3,900) (7)赤外線吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中,主な吸
収を示す(波数,cm-1)。 〔図1〕3460, 3310, 2980, 2940, 2860, 1680, 1630,
1530, 1430 (8)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz,
重クロロホルム中,δppm 〔図2〕212.4 (s), 175.6 (s), 174.3 (s), 172.9
(s), 171.9 (s), 137.0 (s),129.1 (d) x2, 128.6 (d)
x2, 126.7 (d), 72.6 (d), 58.8 (s), 57.8 (d),54.3
(d), 53.4 (d), 47.0 (t), 37.3 (t), 35.8 (t), 28.8
(t), 28.8(t),26.5 (q), 25.2 (t), 25.0 (t), 24.8
(t), 23.6 (q), 23.3 (t), 19.9 (q) (ただし、sはシングレット,dはダブレット,tはト
リプレット,qはカルテットをそれぞれ示す。) (9)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸、過マンガン酸カリウム反応 陰性;坂口、エールリッヒ反応 (10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体;YMC-Pack A-312, ODS 移動相;40%アセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝
液(pH6.3) 流速;2ml/分 検出法;214nm 溶出時間;5.7分 (11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;シリカゲル60F254(メルク社製、ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム:メタノール(49:1) Rf値;0.30 (12)性質:中性脂溶性物質
【0014】以上のデータおよびNMRスペクトルの詳
細な検討により、TAN−1746の構造は下式に示す
とおりであることが判明した。
【化3】 一般式(I)で表される化合物は、例えば、TAN−1
746を、アシル化反応に付すことにより製造すること
ができる。
【0015】本反応に用いられるアシル化剤としては、
例えば前記のアシル基を誘導する有機カルボン酸または
その反応性誘導体が用いられる。カルボン酸の反応性誘
導体としては、例えば常法に従って製造することができ
る酸ハライド、酸無水物、活性アミド、活性エステル、
活性チオエステル等が用いられる。このような反応性誘
導体を具体的に述べると次のとおりである。 1)酸ハライド:例えば酸クロリド、酸ブロミド等が用
いられる。 2)酸無水物:例えば対称型酸無水物、モノC1-6アル
キル炭酸混合無水物、脂肪族カルボン酸(例、酢酸、ピ
バル酸、吉草酸、イソ吉草酸、トリクロル酢酸等)から
なる混合酸無水物、芳香族カルボン酸(例、安息香酸
等)からなる混合酸無水物等が用いられる。対称型酸無
水物としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無
水ブタン酸等のC1-6アルキルカルボン酸無水物などが
あげられる。 3)活性アミド:例えばピラゾール、イミダゾール、4
−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、ベンゾトリ
アゾール等とのアミドが用いられる。 4)活性エステル:例えばメトキシメチルエステル、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロ
キシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
エステル、4−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニ
トロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、
プロパルギルエステル、ペンタクロロフェニルエステル
等のエステルのほか、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリ
ドン、N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒドロキシ
フタルイミド等とのエステル等が用いられる。 5)活性チオエステル:例えば2−ピリジルチオール、
2−ベンゾチアゾリルチオールなどの複素環チオール等
とのチオエステル等が用いられる。以上のような各種反
応性誘導体は、カルボン酸の種類によって適宜選択され
る。
【0016】前記のアシル化剤は、原料化合物TAN−
1746 1モルに対し、例えば約1モル以上使用で
き、約1ないし30モル程度が好ましい。本反応は反応
を阻害しない溶媒中、あるいは溶媒の非存在下に行われ
る。反応を阻害しない溶媒としては、例えばアセトン等
のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類;酢酸、プロピオン酸等のカ
ルボン酸類;アセトニトリル等のニトリル類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロメタ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲ
ン化炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ト
リエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホ
リン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリ
ン等の三級アミン;ピリジン、ピコリン、ルチジン、コ
リジン等のピリジン類等が用いられる。これらは一種の
みで、または二種以上適当な割合で混合して用いてもよ
い。
【0017】本アシル化反応は、原料化合物のアシル化
を促進しうる触媒を用いることによりさらに有利に進行
する。該触媒としては、例えば塩基触媒、酸触媒が用い
られる。塩基触媒としては、例えば三級アミン〔例、ト
リエチルアミンのような脂肪族三級アミン、ピリジン、
α−、β−またはγ−ピコリン、2,6−ルチジン、4
−ジメチルアミノピリジン、4−(1−ピロリジニル)
ピリジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリンのよう
な芳香族三級アミン等〕、ハロゲン化アルカリ金属
(例、フッ化カリウム、無水ヨウ化リチウム等)、有機
酸塩(例、酢酸ナトリウム)などが用いられる。酸触媒
としては、例えばルイス酸(例、無水塩化亜鉛、無水塩
化アルミニウム(AlCl3)、四塩化チタン(TiC
l4)、四塩化錫(SnCl4)、五塩化アンチモン、塩化
コバルト、塩化第二銅、三フッ化ホウ素エーテラート
等)、無機強酸(例、硫酸、過塩素酸、塩化水素、臭化
水素等)、有機強酸(例、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢
酸、カンファースルホン酸等)、酸性イオン交換樹脂
(例、ポリスチレンスルホン酸等)などが用いられる。
上記の触媒としてはカンファースルホン酸、ピリジン、
4−ジメチルアミノピリジンなどが好ましい。触媒の使
用量は原料化合物のカルボン酸によるアシル化を促進し
得る触媒量程度でよく、通常原料化合物1モルに対して
約0.001ないし10モル、好ましくは約0.001
ないし1モルである。反応温度は特に限定されないが、
通常約−30ないし100℃、好ましくは約10ないし
50℃である。反応時間は数分ないし数十時間程度(例
えば約5分ないし30時間等)である。かくして得られ
る目的化合物(I)またはその塩は、自体公知の手段、
例えば濃縮、転溶、溶媒抽出、凍結乾燥、結晶化、再結
晶、分留、クロマトグラフィーなどにより単離精製する
ことができる。
【0018】以下に、実施例1で得られたTAN−17
46の生物活性について述べる。 実験例1 TAN−1746のマウスおよびヒト腫瘍細胞に対する
増殖阻害作用 腫瘍細胞として、B16メラノーマ(melanoma)(財団
法人 がん研究振興財団リサーチ・リソース バンクよ
り入手)、P815マストサイトーマ(mastocytoma)
(アメリカン タイプ カルチャー コレクション〔Am
erican Type Culture Collection (ATCC)〕より入
手)、HeLa−S3 エピテロイド・カルシノーマ(epi
theloid carcinoma)(財団法人 発酵研究所(IFO)
より入手)、およびG361 マリグナント・メラノー
マ(malignant melanoma)(財団法人発酵研究所(IF
O)より入手)を使用した。5μM 2−メルカプトエ
タノール、2mM L−グルタミン、20μg/mlゲンタ
ミシン(フロー・ラボラトリーズ社製、スコットラン
ド)、10%(容量/容量)牛胎児血清〔ウイッタカー
・エム・エー・バイオプロダクツ社(以下MABと略
記)製、米国〕および上記の各腫瘍細胞2×104/ml
(B16のみ5×104/ml)ずつを含む各イーグルM
EM培地〔MAB製;P−815とEL−4の場合はR
PMI 1640培地(MAB製)〕に、TAN−17
46を適宜加え、37℃、5%(容量/容量)炭酸ガス
下で3日間培養した後、MTT還元法〔多田ら、ジャー
ナル・オブ・イムノロジカル・メソーズ(Journal of I
mmunological Methods)第93巻、157頁、1986
年〕に従って各腫瘍細胞の増殖を測定した。各腫瘍細胞
に対するTAN−1746の50%阻害濃度 (ng/ml)の
測定結果を〔表1〕に示す。
【0019】
【表1】 〔表1〕に示したように、TAN−1746は、各種の
腫瘍細胞に対して増殖抑制作用を示した。
【0020】実験例2 TAN−1746のマウスNIH3T3正常細胞および
ガン化NIH3T3細胞に対する増殖阻害作用 マウスNIH3T3正常細胞(IFOより入手)および
活性型erbB2〔ネイチャー(Nature)第319巻,
226頁(1986)およびネイチャー(Nature)第3
19巻,230頁(1986)〕、src〔ジャーナル
オブ バイロロジー(J. Virology)第36巻,50
頁(1980)〕またはHa−ras〔セル(Cell)第
29巻,161頁(1982)〕の各ガン遺伝子でそれ
ぞれ形質転換したマウスNIH3T3細胞を、2×10
4/ウエル(rasで形質転換したマウスNIH3T3
細胞のみ5×103/ウエル)となるように96穴プレ
ートに播種した。これらの細胞を100μg/mlカナ
マイシン(フロー・ラボラトリーズ社製、スコットラン
ド)および10%(容量/容量)牛胎児血清(ウイッタ
カー・エム・エーバイオプロダクト社製、米国)を含む
ダルベッコMEM培地(フローラボラトリー社製)で一
晩培養した。TAN−1746を該培地に適宜加え、3
7℃、5%(容量/容量)炭酸ガス下で3日間培養した
後、実験例1と同様にMTT還元法に従って各細胞の増
殖を測定した。各細胞に対するTAN−1746の50
%阻害濃度 (μg/ml)の測定結果を〔表2〕に示す。
【表2】 〔表2〕に示したように、TAN−1746は、NIH
3T3正常細胞に比べ、ガン化細胞に対して強い増殖抑
制作用を示した。さらに顕微鏡観察においてTAN−1
746はがん化細胞の形態を正常に復帰する活性が認め
られた。
【0021】実験例3 マウス腫瘍細胞M5076をマウスの静脈内に移植し、
これにTAN−1746を腹腔内投与した。TAN−1
746 25mg/kgの投与量で腫瘍の増殖は有意に抑制
された。 実験例4 TAN−1746をマウスに200mg/kg腹腔内投与し
たところ、死亡例は認められなかった。
【0022】本発明の化合物は、イン・ビトロ(in vit
ro)およびイン・ビボ(in vivo)試験で抗腫瘍作用を
示し、低毒性で、ヒトや哺乳動物(例、ラット,マウ
ス,サル,イヌ,ウマ,ウシ等)の悪性腫瘍の治療に用
いることができる。該悪性腫瘍としては、例えば上皮性
悪性腫瘍(例、大腸がん,肺がん,胃がん,肝がん,偏
平上皮がん等)、非上皮性悪性腫瘍(例、細網肉腫,骨
肉腫,リンパ肉腫等)、混合性悪性腫瘍(例、副腎腫瘍
等)等が挙げられる。本発明の化合物またはその塩を有
効成分とする抗腫瘍剤は、一般式(I)で表される化合
物またはその塩を常法に従い薬理学的に許容される担体
と混合することにより得られる。本剤は、非経口剤また
は経口剤として投与することができる。非経口剤として
は、例えば注射剤、点滴剤、外用剤(例、経鼻投与製
剤,経皮製剤など)、座剤(例、直腸座剤,膣座剤な
ど)等が、経口剤として、例えばカプセル剤、錠剤、シ
ロップ剤、散剤および顆粒剤があげられる。これらの製
剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知
の方法により製造することができる。たとえば、化合物
(I)またはその塩を分散剤(例、ツイーン(Tween)80
(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光
ケミカルズ製)ポリエチレングリコール、カルボキシメ
チルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルア
ルコール、クロロブタノールなど)、等張化剤(例、塩
化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖な
ど)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴ
マ油、ラッカセイ油、綿実面、コーン油などの植物油、
プロピレングリコールなどに溶解、懸濁あるいは乳化し
て油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
【0023】たとえば外用剤とするには、自体公知の方
法に従い、本発明の化合物(I)またはその塩を固状、
半固状または液状の外用投与剤とすることができる。た
とえば、上記固状のものとしては、化合物(I)または
その塩をそのまま、あるいは賦形剤(例、グリコール、
マンニトール、デンプン、微結晶セルロースなど)、増
粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸
重合体など)などを添加、混合して粉状の組成物とす
る。上記液状のものとしては、注射剤の場合と同様で、
油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性
または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。ま
た、これらはいずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン
酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤
(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノー
ル、塩化ベンザルコニウムなど)などを加えてもよい。
たとえば坐剤とするには、自体公知の方法にしたがい、
本発明の化合物(I)またはその塩を油性または水性の
固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。
上記坐剤に用いる油性基剤としては、たとえば高級脂肪
酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイ
ナマイトノーベル社製)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグ
リオール類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、ある
いは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが
挙げられる。また、水性基剤としては、たとえばポリエ
チレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル
基剤としては、たとえば天然ガム類、セルロース誘導
体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられ
る。
【0024】たとえば経口投与製剤にするには、自体公
知の方法に従い、本発明の化合物(I)またはその塩を
たとえば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩
壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤
(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセル
ロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピル
セルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリ
ン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000な
ど)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味
のマスキング、直溶性あるいは持続性の目的のため自体
公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤
とすることができる。そのコーティング剤としては、例
えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセル
ロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイ
ーン80、ブルロニックF68、セルロースアセテート
フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシ
ネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ,メタ
アクリル酸・アクリル酸共重合)および酸化チタン,ベ
ンガラ等の色素が用いられる。本発明の抗腫瘍剤をヒト
に用いる場合の投与量は対象の疾患、投与経路、治療す
る患者個々の年齢及び疾病の程度によって変動し得る
が、通常、有効成分(化合物(I)の含量)として、1
日成人(体重50kg)1人当たり約10mgないし2g、
とりわけ約20mgないし1gを疾患の治療に用いるのが
好ましい。本発明の製剤は、1日1ないし3回に分けて
投与することができる。
【0025】以下実施例によって本発明の内容をさらに
具体的に説明するが、これによって本発明が限定される
ものではない。なお、培地におけるパーセントは、とく
に断りのない限り重量/容量パーセント(%)を表す。 実施例1 ポテトデキストロースアガー斜面寒天培地に培養したバ
ーティシリウム・クラミドスポリウム FL−3658
1株を2L容坂口フラスコ内のグルコース2%、マルト
ース3%、生大豆粉1.5%、コーンスティープ・リカ
ー1%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.3%お
よび塩化ナトリウム0.3%を含む500mlの種培地
(pH6.0)に接種し、28℃、48時間往復振盪機
上で培養し、種培養液を得た。この種培養液1リットル
を200リットル容ステンレス・スチール・タンク内
の、グリセリン1%、マルトース3%、綿実粉2%、コ
ーン・スティープ・リカー1%、ビール酵母0.5%、
沈降性炭酸カルシウム0.5%を含む120リットルの
主培地(pH6.5)に移植し、28℃、通気120リ
ットル/分、撹拌160回転/分、内圧1kg/cm2の条
件で6日間培養し、主培養液を得た。得られた主培養液
108リットルを、濾過補助剤(ラジオライト60
0、昭和化学工業社製)を用いて濾過した。濾液 90
リットルのpHを7.0に調整後、酢酸エチル 90リ
ットルで抽出した。有機層を0.01N塩酸 28リッ
トル、2%炭酸水素ナトリウム水溶液 27リットルお
よび水 26リットルで順次洗浄後、濃縮乾固した。得
られた油状物にヘキサン 500mlを加え、生じた析出
物を濾取してTAN−1746の粗粉末(889mg)を
得た。 得られた粗粉末をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー 50ml(キーゼルゲル60,70〜230メ
ッシュ,メルク社製,ドイツ)に付し、酢酸エチル:ヘ
キサン〔5:5(200ml)、7:3(150ml)〕で
洗浄後、酢酸エチル:ヘキサン〔9:1(250m
l)〕、酢酸エチル(50ml)で順次溶出した。溶出液
を濃縮乾固して得られた粉末(315mg)を、分取HP
LC〔カラム;YMC-Pack, D-ODS-5(S-5 120A), 移動
相;33%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液
(pH6.3),流速;10ml/分〕に付した。分析用
HPLCで単一ピークを与える画分を集めて濃縮し、p
Hを6.3に調整後、酢酸エチルで抽出した。有機層を
水洗して硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固したとこ
ろ、TAN−1746の白色粉末(199mg)が得られ
た。
【0026】製剤例1 実施例1で得られたTAN−1746を用いて、下記に
示す処方の全成分を常法にしたがって混和し、ゼラチン
カプセルに充填し、カプセル1個当たり、30mgのT
AN−1746を含有するカプセル剤を製造した。 TAN−1746 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg ─────────────────────────
── 合 計 180mg 製剤例2 実施例1で得られたTAN−1746およびステアリン
酸マグネシウムを常法にしたがって可溶性デンプンの水
溶液で顆粒化し、乾燥後、乳糖およびコーンスターチと
混合した。混合物を圧縮成型し、下記に示す処方の錠剤
を製造した。 TAN−1746 30mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg ─────────────────────────
── 合 計 180mg 製剤例3 実施例1で得られたTAN−1746を30%(w/
v)ポリエチレングリコール400を含む生理食塩水に
溶解してTAN−1746の0.05%溶液を調製し、
滅菌濾過して、バイアルに30mlずつ分注した。バイ
アル1個当たり、15mgのTAN−1746を含有す
る静注剤を製造した。
【0027】
【発明の効果】本発明の化合物は優れた抗腫瘍作用を示
し、ヒトや哺乳動物の悪性腫瘍の治療に用いることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TAN−1746の赤外線吸収(IR)スペク
トル
【図2】TAN−1746の13C核磁気共鳴(NMR)
スペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、Rはアシル化されていてもよい水酸基を示す)
    で表される化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】Rが水酸基である請求項1記載の化合物T
    AN−1746。
  3. 【請求項3】バーティシリウム属に属し、化合物TAN
    −1746を生産する能力を有する微生物を培地に培養
    し、培養物中に化合物TAN−1746を生成蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする化合物TAN−1
    746の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の化合物またはその塩を含有
    してなる抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】化合物がTAN−1746である請求項4
    記載の抗腫瘍剤。
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