JPH07112995A - 化合物tan−1711,その製造法および用途 - Google Patents

化合物tan−1711,その製造法および用途

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JPH07112995A
JPH07112995A JP5259749A JP25974993A JPH07112995A JP H07112995 A JPH07112995 A JP H07112995A JP 5259749 A JP5259749 A JP 5259749A JP 25974993 A JP25974993 A JP 25974993A JP H07112995 A JPH07112995 A JP H07112995A
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tan
salt
compound
collagenase
medium
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JP5259749A
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English (en)
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Yukimasa Nozaki
幸正 野崎
Yasunori Funahashi
康昇 舟橋
Naofumi Ishii
尚書 石井
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コラゲナーゼ阻害活性、チロシン・カイネー
ス阻害活性及び細胞増殖阻害活性を有する新規化合物T
AN−1711、その製造法並びに該化合物を含有する
コラゲナーゼ阻害剤及びチロシン・カイネース阻害剤を
提供する。 【構成】 アスペルギルス属に属する微生物の培養によ
り得られる新規化合物TAN−1711またはその塩;
アスペルギルス属に属し、化合物TAN−1711を生
産する能力を有する微生物を培地に培養し、化合物TA
N−1711を生成蓄積せしめ、これを採取することを
特徴とする化合物TAN−1711またはその塩の製造
法;及び化合物TAN−1711またはその塩を含有し
てなるカラゲナーゼ阻害剤及びチロシン・カイネース阻
害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコラゲナーゼ阻害活性、
チロシン・カイネース阻害活性および細胞増殖阻害活性
を有する新規化合物TAN−1711(以下、単にTA
N−1711と称することもある)、その製造法および
用途に関する。
【0002】
【従来の技術】コラゲナーゼは結合組織に存在するコラ
ーゲンを分解する酵素であるが、このうちI型コラゲナ
ーゼ(MMP1)は主として間質に存在するI型コラーゲ
ンを、IV型コラゲナーゼ(MMP2および9)は主とし
て基底膜に存在するIV型コラーゲンを分解することが
知られている。[トレンズ・イン・ジェネティクス(Tre
nds in Genetics)、、121(1990)/トレン
ズ・イン・バイオテクノロジー(Trends in Biotech
nology)、10、200(1992)]。一方、種々の病態
においてコラゲナーゼが異常に亢進していることが知ら
れているが、特に癌細胞の浸潤、転移過程や癌増殖に伴
う血管新生においてはIV型コラゲナーゼが重要な役割
を果たしていると考えられている[キャンサー・アンド
・メタスタシス・レビューズ(Cancer and Metastas
is Reviews)、、289(1990); セル(Cell)、
64、327(1991)]。
【0003】低分子性のコラゲナーゼ阻害剤として、コ
ラーゲン基質の分解部位のアナログである数多くの合成
ペプチドが報告されている[プログレス・イン・メディ
シナル・ケミストリー(Progress in Medicinal C
hemistry)、29、271(1992)]。さらに、微生物
由来のヒドロキサム酸残基含有阻害剤として、アクチノ
ニン(Actinonin)[ジャーナル・オブ・アンティビオテ
ィクス(J.Antibiotics)、40、1757(198
7)]、YL−01869P物質[特許公開公報 平3−
157372]、BE−16627類[特許公開公報 平
3−223300]、マトリスタチン(Matristatin)類
[ジャーナル・オブ・アンティビオティクス(J.Antibi
otics)、45、1723(1992)]がある。また、ミ
ノサイクリン[ジャーナル・オブ・ナショナル・キャン
サー・インスティテュート(J.NCI)、75、517
(1985)]、アンスラサイクリン[バイオケミカ・エト
・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et BioPhy
sica Acta)、1035、218(1990)]、没食子
酸[特許公開公報 平4−290819]、SC4446
3[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、
、3307(1988)]なども報告されている。
【0004】一般に、増殖因子やサイトカインによる増
殖刺激は、細胞内ドメインにチロシン・カイネース活性
を有する各々の特異的受容体(レセプター)や内在性のチ
ロシン・カイネースを介して細胞核に伝達されることが
判っている[プログレス・イン・ヌクレイック・アシッ
ド・リサーチ(Progress in Nucleic Acid Rese
arch)、44、205(1993); セル(Cell)、64
281(1991)]。また、一部のヒト癌でこれらのチ
ロシン・カイネース活性が異常に亢進していることが報
告されている[サイエンス(Science)、244、707
(1989); サイエンス(Science)、254、1146
(1991)]。これまでに報告されたチロシン・カイネ
ース阻害剤として、微生物由来のものではゲニシュタイ
ン(Genistein)、アーブスタチン(Erbstatin)、ラベン
ドゥスチン(Lavendustin)、ハービマイシン(Herbimyc
in)などが、植物由来のものではピィセアタノール(Pic
eatannol)、エモディン(Emodin)、デスマール(Desma
l)などが、合成化合物としてはティルフォスチン(Tyrp
hostin)類、シンナマイド(Cinnamide)類、フラボノイ
ド(Flavonoid)類など[ジャーナル・ナチュラル・ブロ
ダクツ(J.Natural Products)、55、1529(1
992); アニュアル・レポーツ・イン・メディシナル
・ケミストリー(Anual Reports in Medicinal
Chemistry)、27、169(1992)]が知られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】コラゲナーゼ阻害作用
を有する新規物質を見出すことができれば、従来にない
抗腫瘍作用、転移抑制作用等を有する新しいタイプの抗
癌剤を開発でき、また該新規物質を中間原料としてさら
にコラゲナーゼ阻害作用を示す新規物質の開発が期待さ
れる。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは強力で副作用の少ないIV型コラゲナーゼ
阻害剤を微生物代謝産物の中に求め、後記する方法で鋭
意探索した結果、TAN−1711と命名した新規化合
物を培養液中より単離することに成功し、これがコラゲ
ナーゼ阻害作用、チロシン・カイネース阻害作用および
細胞増殖阻害作用を有することを見出した。これらの知
見に基づき、さらに検討した結果、本発明を完成するに
至った。
【0007】すなわち、本発明は、 1.次の物理化学的性状を有する化合物TAN−171
1; (1)分子式: C18148 (2)紫外部吸収スペクトル: メタノール中、 極大値: 245±3nm(ε25,400±3,000)、3
07±3nm (ε21,700±2,000)、365±3nm(ε13,8
00±2,000) (3)赤外部吸収スペクトル: KBr錠剤、波数、cm-1 3390、1630、1590、1440、1340、
1290、1210、1110、930 (4)13C核磁気共鳴スペクトル: 75MHz、重ジメチ
ルスルフォキシド中、 δppm; 194.7(CH)、190.1(CH)、151.6
(Q)、151.5(Q)、150.1(Q)、142.3
(Q)、140.8(Q)、136.4(Q)、132.6
(Q)、127.6(Q)、124.9(Q)、122.8
(Q)、118.7(Q)、117.2(Q)、112.6
(Q)、109.0(CH)、12.7(CH3)、11.0(C
3)。 (5)性質: 酸性脂溶性 またはその塩、 2.アスペルギルス属に属し、上記1記載の化合物TA
N−1711を生産する能力を有する微生物を培地に培
養し、化合物TAN−1711を生成蓄積せしめ、これ
を採取することを特徴とする化合物TAN−1711ま
たはその塩の製造法、 3.微生物がアスペルギルス エスピーFL−3683
1株 IFO 32555; FERM P−13897
である上記2記載の製造法、 4.上記1記載の化合物TAN−1711またはその塩
を含有してなるコラゲナーゼ阻害剤、および 5.上記1記載の化合物TAN−1711またはその塩
を含有してなるチロシン・カイネース阻害剤に関する。
【0008】化合物TAN−1711はアスペルギルス
(Aspergillus)属に属する糸状菌によって生産される
が、例えば、TAN−1711は福井県の土壌から新た
に分離された一菌株FL−36831によって生産する
ことができる。TAN−1711生産菌株は以下の性質
を示す。 (a)形態的特徴 本菌株FL−36831は麦芽エキス寒天培地、バレイ
ショ・ブドウ糖寒天培地に良好に生育し、分生子を豊富
に形成する。ツァペック寒天培地に中程度に生育し、分
生子を形成する。菌糸は透明で、隔壁を有している。分
生子柄は気生菌糸から生じ、その表面は滑面で、大きさ
は100〜150×5.0〜7.0μm、やや湾曲し、先
端は肥大して頂のうとなる。頂のうは半球形で、直径1
5〜20μm、上部1/2より円筒形のメトレを生じ、
その上に瓶型の2〜4本のフィアライド(Phialides)を
着生する。メトレの大きさは3.5〜4.5×1.5〜2.
0μm、フィアライドの表面は滑面で、5〜6×1.0〜
2.0μmである。分生子頭は円筒形ないし緩い放射状
で、80〜120×45〜70μmである。分生子は球
形〜亜球形、その表面は平滑、大きさは2.0〜2.5×
1.0〜2.0μmで連鎖を形成する。また、調べた寒天
培地上では菌核の形成は認められなかった。
【0009】(b)寒天培地上の性状 1) 麦芽エキス寒天培地 生育は良好で、24℃、2週間後のコロニーの直径は、
40〜45mmであった。表面は大きく盛り上がった羊毛
状の菌糸体よりなり、中央部は陥没し、凹凸状を呈する
が周辺部は薄くなっている。外縁は不規則である。気生
菌糸の発達、分生子の形成は良好である。中央部は灰白
色を呈し、中間部から周辺部は暗黄褐色を呈し、中間部
に多数の褐色の水滴が見られる。裏面は暗褐色ないし暗
黄褐色を呈する。淡黄褐色の可溶性色素の生成が認めら
れる。 2) バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は良好で、24℃、2週間後のコロニーの直径は、
35〜40mmであった。表面は盛り上がった羊毛状の菌
糸体よりなり、外縁はやや不規則である。気生菌糸の発
達、分生子の形成は良好である。中央部は黄褐色、中央
部から中間部にかけて暗灰褐色ないし黄褐色を呈し、周
辺部は淡黄白色を呈する。中央部に水滴が認められる。
裏面は暗褐色ないし暗黄褐色を呈する。淡黄色の可溶性
色素の生成が認められる。
【0010】3) ツァペック寒天培地 生育は普通で、24℃、2週間後のコロニーの直径は、
34〜39mmであった。表面は大きく盛り上がったビロ
ード状の菌糸体よりなり、外縁はやや不規則に縁取られ
ている。気生菌糸の発達、分生子の形成は良好である。
中央部は灰白色を呈し、中間部から周辺部にかけて淡黄
褐色ないし黄褐色を呈する。全体に多数の淡褐色の水滴
が認められる。裏面は暗褐色ないし暗黄褐色を呈する。
淡黄色の可溶性色素の生成が認められる。 4) オートミル寒天培地 生育は普通で、24℃、2週間後のコロニーの直径は、
50〜52mmであった。表面は粉状からビロード状の菌
糸体よりなり、同心円状に拡がり、周辺は薄くなってい
る。外縁は波状で不規則に縁取られている。気生菌糸の
発達、分生子の形成は良好である。中央部は黄褐色でわ
ずかに灰白色のまじりを呈する。中間部は淡黄褐色、周
辺部は灰白色を呈する。裏面は褐色ないし淡黄褐色を呈
する。可溶性色素の生成は認められない。
【0011】(c)生理学的性状 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べると、pH3〜pH12のいずれでも生育は良好、生育
温度範囲は10℃〜40℃で、24〜28℃が至適温度
である。43℃では生育しない。
【0012】以上の諸性質を、ディー・マロチ(D.Mal
loch)著、宇田川俊一訳「かびの分離・培養と同定」(昭和
58年、医歯薬出版株式会社)51頁記載の同定検索表
と照合すると、本菌は、胞子は1細胞からなり、コロニ
ー、分生子および他の器官は無色または明色で、分生子
柄は頂のうを備え、瓶状のフィアライドを形成すること
から、アスペルギルス属(Aspergillus)に属することが
明らかであり、本菌をアスペルギルス・エスピー(Asp
ergillus sp.)FL−36831と同定した。本菌株
は、平成5年3月5日に財団法人発酵研究所(IFO)に
受託番号IFO32555として、また平成5年10月
7日に工業技術院生命工業技術研究所(NIDH)に、受
託番号 FERM P−13897としてそれぞれ寄託
されている。
【0013】本発明の化合物は、これらの菌株に限ら
ず、遺伝子操作技術を含め、自体公知の方法により、そ
れらから誘導される本化合物の生産能を有する変異株を
はじめ、当該生産能を有する微生物を培地中で培養し、
本化合物を培地中に生成蓄積せしめ、それを採取するこ
とにより製造できる。本発明の化合物生産菌の培養に用
いる培地は、該菌が利用し得る栄養源を含むものなら液
状でも固状でもよいが、大量に処理するときに液体培地
を用いるのがより適当である。培地には、当該化合物生
産菌が同化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養
源を適宜配合する。炭素源としては、例えばブドウ糖、
乳糖、ショ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリ
ン、マンニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆
油、ラード油、チキン油など)、n−パラフィンなどが、
窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エキス、乾燥
酵母、大豆粉、コーン・スティープ・リカー、ペプト
ン、綿実粉、廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウムなど)などを用いる。
【0014】さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜
鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ
酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類
を適宜用いてもよい。その他、アミノ酸(例、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジン、メチオニ
ン、プロリンなど)、ペプチド(例、ジペプチド、トリペ
プチドなど)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、
12、Cなど)、核酸類(例、プリン、ピリミジン、その
誘導体など)などを含有させてもよい。もちろん、培地
のpHを調節する目的で無機または有機の酸またはアル
カリ類、緩衝剤などを加え、あるいは消泡の目的で油脂
類、界面活性剤などの適量を添加して差し支えない。液
体培養に際しては、培地のpHは中性付近、特にpH6〜
8が好ましい。培養温度は約20℃〜30℃、培養時間
は約48時間から168時間が好ましい。
【0015】培養の経過に伴って生産されるTAN−1
711の定量はルイス肺癌腫(Lewis lung carcinom
a)の腫瘍塊抽出液から硫安塩析、ゼラチン・フアィニテ
ィ・クロマトグラフィーで部分精製した酵素(IV型コ
ラゲナーゼ、MMP9)標品を用いて、ヒト胎盤由来の
IV型コラーゲンのトリチウム標識化合物(デュポン社
製、0.014GBq/mg)を基質として、ステットラー
−スティーブンソンらの方法[Stetler−Stevenson e
t al.、J.Biol.Chem., 264、1353(198
9)]に従って行った。通常、4〜6日の培養でTAN−
1711の生産量は最高に達する。
【0016】培養物から目的とする化合物TAN−17
11を採取する方法を以下に述べる。該化合物は酸性で
脂溶性を示すため、この性質を利用する一般的手段を採
用すればよい。培養物中TAN−1711は菌体および
濾液中に含まれるので、まず培養液をpH2〜7、好ま
しくはpH2.5〜4に調製後、水と混和しない有機溶
媒、例えばクロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチ
ルケトンあるいはブタノールなどを加え、10分〜20
時間、好ましくは20分〜4時間撹拌混和し、濾過助剤
を加えて濾過、あるいは遠心分離によって菌体を除去す
る。得られた有機溶媒層を水で洗浄後、濃縮することに
よって、あるいは得られた有機層から適当な塩基性塩、
例えば重曹、炭酸ナトリウムなどの水溶液により水層へ
転溶して有機層と分離後、水層をpH2〜7、好ましく
はpH2.5〜4に調製し、水と混和しない前述の有機溶
媒で抽出後、抽出液を濃縮するとTAN−1711を含
有する粗物質が得られる。粗物質をさらに精製し、純粋
なTAN−1711を得るには種々のクロマトグラフィ
ー法が有利に用いられる。担体としてはシリカゲル、結
晶セルロース、セファデックスLH−20(ファルマシ
ア社製、スウェーデン)などが用いられ、これらは通常
カラムクロマトグラフィー法で行なわれる。担体から活
性物質を溶出するには適当な有機溶媒、例えばn−ヘキ
サン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ジクロロ
エタン、アセトン、メタノールなどの単独あるいは混合
溶媒が用いられる。
【0017】また、分取用高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)によってもTAN−1711を精製すること
ができる。担体としてはオクタデシルシラン(ODS)系
およびシリカゲル系のものが有利に用いられる。例えば
ODSの場合、メタノールあるいはアセトニトリルと塩
類含有水溶液の混合溶液が有利に用いられる。溶出液を
濃縮、あるいは水溶液の場合は水と混和しない適当な有
機溶媒で抽出し、濃縮すると粗粉末が得られる。粗粉末
を適当な溶媒、例えば石油ベンジン、石油エーテる、n
−ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホル
ム、酢酸エチル、エタノール、メタノールあるいはこれ
らの混合液で溶解し、冷所で放置粉末化するとTAN−
1711の精製粉末が得られる。TAN−1711はそ
の物理化学的性状より、新規化合物である。本発明の化
合物は自体公知の方法によりナトリウム塩、カリウム塩
などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩
などのアルカリ土類金属塩、あるいはエチルアミン塩、
トリエチルアミン塩などの生理学的に許容される有機ア
ミン類との塩などの塩としても得ることができる。
【0018】次に、TAN−1711の生物活性につい
て説明する。 試験例1 IV型およびI型コラゲナーゼ阻害活性試験 [方法]IV型コラゲナーゼ阻害活性測定法 分子量92キロダルトンのIV型コラゲナーゼ(MMP
9)の調製は、エフ・ウメニシ(F.Umenishi)らの方
法[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Bioche
m), 110、189(1991)]を改変して行った。す
なわち、C57BL/6マウス(雌、5週令、チャール
ズリバー社)の腹部皮下に形成せしめたルイス肺癌腫瘍
塊を取り出し、ハサミで細切りした後、5mM、CaCl2
を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)[緩衝液A]
を腫瘍塊1gにつき3ml加え、ポリトロンホモジナイザ
ーで氷中にて30秒間3回ホモジナイズし、15,00
0×gで10分間遠心し、上澄液を回収する。硫酸アン
モニウム濃度が25%〜60%の間に沈澱してくる画分
を緩衝液Aにて一晩透析し、15,000×gで10分間
遠心し上澄液を回収する。この液を緩衝液Aに1M、食
塩水と0.01%ブリッジ35を含む新たな緩衝液[緩衝
液B]で4時間透析後、15,000×gで10分間遠心
して得た上澄液をゼラチン・セルロファイン(チッソ社)
に吸着させる。緩衝液Bで十分洗浄した後、10%DM
SOを含む緩衝液BでIV型コラゲナーゼを溶出した。
【0019】上記の方法で調製したコラゲナーゼ標品
(500μg蛋白質/ml)0.5μl、15mMのp−アミノ
・フェニル・水銀・酢酸溶液5μlおよび50mMトリス
・塩酸−5mM塩化カルシウム緩衝液144.5μlから
成る反応液を37℃、1時間保温することによりコラゲ
ナーゼを活性化した。次いで、化合物TAN−1711
溶液10μlおよびヒト胎盤由来トリチウム標識IV型
コラーゲン溶液(比活性40,000dpm/5μg)10μl
を加え、37℃、1時間反応した。氷冷下に、0.1%
ウシ血清アルブミン溶液10μlと10%トリクロロ酢
酸−0.5%タンニン酸溶液50μlを加え、30分間放
置後、3,000回転/分、30分間遠心し、上清を1
50μl抜き取り、3mlのシンチレーターを加え、放射
活性を測定した。
【0020】I型コラゲナーゼ阻害活性測定法 I型コラゲナーゼの調製は以下のようにして行った。す
なわち、メディウム199[ホワイタッカー・バイオプ
ロダクツ(Whittaker Bioproducts)社、米国]にウシ
胎児血清FCS(Whittaker Bioproducts社、米国)を
20%およびヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を2ng/ml
添加した培地でヒト臍帯静脈血管内皮(HUVE)細胞を
1×105個/mlとなるように懸濁し、37℃、5%C
2に設定した炭酸ガスインキュベーターで一晩培養す
る。メディウム199に10nMのテトラデカノイルフ
ォルボール酢酸(TPA)(シグマ社、米国)を添加した無
血清培地に交換し、さらに17時間上記炭酸ガスインキ
ュベーターで培養した後、培地を抜き取り、1,000
×gで5分間遠心し、上澄液を回収し、これをプロI型
コラゲナーゼとした。上述のプロI型コラゲナーゼにト
リプシン(シグマ社、米国)を10μg/mlとなるよう加
え、37℃で10分間保温した後、トリプシンインヒビ
ター(和光純薬)を10μg/mlとなるよう添加し、これ
をI型コラゲナーゼ溶液とした。I型コラゲナーゼ活性
測定は上述のI型コラゲナーゼを酵素源とし、コラゲノ
キット(コラーゲン技術研修会)を用いて行った。 [結果]化合物TAN−1711はIV型およびI型コラ
ゲナーゼに対し、それぞれ0.257および10.7μg
/mlで50%阻害を示した。
【0021】試験例2 EGFリセプター・チロシン・カイネース阻害活性試験 [方法]EGFリセプターの細胞内チロシン・カイネース
・ドメイン(69キロダルトン)はギル(Gill)らの方法
[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.)、264、11346(1989)]に
準じて、バキュオ・ウィルス発現系を用いて、クローン
化した相補DNA(cDNA)をSf9昆虫細胞で高発現さ
せ調製した。活性はリビュクセン(Rijksen)らの方法
[メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in E
nzymology)、200、98(1991)]に準じて、不動
化した合成ポリペプチド[ジャーナル・オブ・バイオロ
ジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、259、2
051(1984)]を用いて、10分間反応後、生成し
たリン酸化チロシンを抗リン酸化チロシン抗体と反応さ
せることにより測定した。 [結果]化合物TAN−1711はEGFリセプター・チ
ロシン・カイネースに対し、0.185μMで50%阻
害を示した。
【0022】試験例3 細胞増殖阻害試験 [方法]TAN−1711の細胞増殖阻害作用はヒト臍帯
静脈血管内皮(HUVE)細胞およびヒーラ(HeLa)細胞
を用い、モスマン(Mossmann)の方法[ジャーナル・オブ
・イミュノロジカル・メソッド(J.Immunolog.Method
s)、65、55(1983)]を改変した方法で測定し
た。すなわち、各々の細胞を3×104個/mlの濃度で
培地に懸濁し、あらかじめ種々の濃度のTAN−171
1を溶かしたリン酸緩衝化生理食塩水(phosphate−buff
ered saline、PBS)を10μl添加した96穴平底プ
レート(ヌンク社)の各ウェルに0.1mlずつ分注した。
HUVE細胞にはメディウム199(Whittaker Biop
roducts社、米国)にウシ胎児血清(FCS)(Whittaker
Bioproducts社、米国)を20%およびヒト塩基性線
維芽細胞増殖因子を10ng/mlとなるよう添加した培
地、HeLa細胞にはイーグルのミニマムエッセンシャル
メディウム(Whittaker Bioproducts社、米国)にFC
S(Whittaker Bioproducts社、米国)を10%添加し
た培地を用いた。上記プレートを37℃、5%CO2
設定した炭酸ガスインキュベーターで3日間培養後、テ
トラゾリウム塩MTT(シグマ社、米国)を5mg/mlとな
るようにPBSに溶かした溶液を25μl添加し、上記
炭酸ガスインキュベーター中にて保温した。4時間後に
0.01Nの塩酸に10%となるようにSDSを加えた
溶液を各ウェルに0.1mlずつ加え、上記炭酸ガスイン
キュベーターにて一晩保温し、620nmでの吸光度をタ
イターテックマルチスキャン吸光度計(フロー社、米国)
を用いて測定した。PBSのみを10μl加えた場合の
吸光度を対照として、各濃度でのTAN−1711の阻
害率(%)を算出した。
【0023】[結果]化合物TAN−1711はヒト臍帯
静脈血管内皮(HUVE)細胞およびヒーラ(HeLa)細胞
の増殖をそれぞれ13.5、10.2μg/mlで50%阻
害した。TAN−1711について、マウスを用い、腹
腔内投与して急性毒性を調べたところ、200mg/kgで
死亡例は認められなかった。以上の試験例に示すように
本発明の化合物TAN−1711またはその塩は強い酵
素(例、コラゲナーゼ、チロシン・カイネース)阻害活性
および細胞増殖阻害活性を示し、低毒性な新規化合物で
ある。
【0024】本発明のTAN−1711またはその塩を
有効成分とするコラゲナーゼまたはチロシン・カイネー
ス阻害剤は、哺乳動物(例、ラット、マウス、ウシ、ウ
マ、サル、ヒト等)に投与して、コラゲナーゼ阻害薬ま
たはチロシン・カイネース阻害薬として有用であり、例
えば、哺乳動物の腫瘍の治療あるいは転移防止に用いる
ことができる。該薬剤は、TAN−1711またはその
塩を、自体公知の方法により、薬理学的に許容される担
体と混合することにより得られる。本剤は、非経口剤と
して、例えば注射剤、点滴剤、外用剤(例、経鼻投与製
剤、経皮製剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤な
ど)、経口剤として、例えばカプセル剤、錠剤、シロッ
プ剤、散剤および顆粒剤またはそのほかの医薬組成物と
して経口的または非経口的に投与することができる。
【0025】これらの製剤は、製剤工程において通常一
般に用いられる自体公知の方法により製造することがで
きる。例えば、本発明のTAN−1711またはその塩
は分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー
社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)ポリエ
チレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アル
ギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、
プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノ
ールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリ
ン、ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性注射
剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿
実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールな
どに溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、
注射剤とすることができる。
【0026】例えば、経口投与製剤にするには、自体公
知の方法に従い、本発明のTAN−1609またはその
塩を例えば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩
壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤
(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセル
ロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセ
ルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)
などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマ
スキング、直溶性あるいは持続性の目的のため自体公知
の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とす
ることができる。そのコーティング剤としては、例えば
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン
80、ブルロニックF68、セルロースアセテートフタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネー
ト、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアク
リル酸・アクリル酸共重合)および酸化チタン、ベンガ
ラ等の色素が用いられる。
【0027】例えば外用剤とするには、自体公知の方法
に従い、本発明のTAN−1711またはその塩を固
状、半固状または液状の外用投与剤とすることができ
る。例えば、上記固状のものとしては、TAN−171
1またはその塩をそのまま、あるいは賦形剤(例、グリ
コール、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ゴム類、セルロース誘導体、アク
リル酸重合体など)などを添加、混合して粉状の組成物
とする。上記液状のものとしては、注射剤の場合とほと
んど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状の
場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のも
のがよい。また、これらはいずれも、pH調節剤(例、炭
酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムな
ど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロ
ロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを加え
てもよい。
【0028】例えば、坐剤とするには、自体公知の方法
に従い、本発明のTAN−1711またはその塩を油性
または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とするこ
とができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例
えば高級脂肪酸のグリセリド[例、カカオ脂、ウイテプ
ゾル類(ダイナマイトノーベル社製)など]、中級脂肪酸
[例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製)な
ど]、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油な
ど)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例え
ばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、
水性ゲル基剤としては、例えば天然ゴム類、セルロース
誘導体、ビニル重合体、アクリル酸重合体などが挙げら
れる。
【0029】TAN−1711またはその塩をヒトに用
いる場合の投与量は対象疾病の種類、程度、患者の年齢
などで変動し得るが、通常、TAN−1711またはそ
の塩含量として、1日成人(体重50kg)1人当たり約1
mgから40mg、とりわけ約2mgから30mgが疾患の治療
に用いられる事が好ましい。これらの製剤は、1日1〜
3回に分けて投与することができる。TAN−1711
またはその塩を、注射剤として非経口的に皮下、静脈内
または筋肉内に投与する場合、その投与量は約0.5〜
50mg/kg/日、好ましくは1〜50mg/kg/日であ
る。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。なお、培地におけるパーセント(%)は、特に断りの
ない限り、重量/容量パーセントを表示する。また、溶
媒の混合比率は、特に断りのない限り、容量比を表示す
る。 実施例1 化合物TAN−1711の製造法 ポテト・デキストローズ・プロス(ディフコ社製、米国)
24g、寒天20gおよび水1リットルからなる斜面培地
上で、28℃で、7日間培養したアスペルギルス・エス
ピー FL−36831株を2%ブドウ糖、3%麦芽
糖、1.5%生大豆粉、1.0%コーン・スティープ・リ
カー、0.5%ペプトン、0.3%酵母エキス、0.3%
塩化ナトリウムを含む40mlの種培地(pH6.0)に接種
し、200ml容三角フラスコ中で、28℃、48時間回
転振とう機上で培養し、種培養を得た。得られた種培養
液1mlを200ml容フラスコ内の40mlの1.0%ブド
ウ糖、4%デキストリン、0.5%生大豆粉、0.5%ペ
プトン、0.5%麦芽エキス、0.2%酵母エキス、0.
05%硫酸第1鉄(7水和物)、0.05%硫酸第1マグ
ネシウム(7水和物)、0.05%硫酸第1マンガン(4水
和物)、0.1%リン酸2水素カリウム、0.5%炭酸カ
ルシウムを含む発酵培地(pH7.5)に移植し、28℃、
5日間回転振とう機上で培養した。
【0031】実施例2 実施例1で得られた培養液(8リットル)をpH3.0に補
正し、酢酸エチル(8リットル)を加えて30分間撹拌混
和した。混合物をハイフロースーパーセル(ジョンス−
マンビル社製、米国)を用いて濾過し、得られた有機溶
媒層を水(3リットル)で洗浄後、濃縮して油状物(36.
8g)を得た。油状物をクロロホルム−メタノール−ギ酸
混合液(98:2:1、500ml)に溶解し、シリカゲル
(250g、シリカゲル60、70−230メッシュ、イ
ー・メルク社、独国)のカラムクロマトグラフィーに付
し、クロロホルム−メタノール−ギ酸混合液(98:2:
1、1リットル、95:5:1、2リットル、90:10:
1、2リットルおよび80:20:1、2リットル)で順
次溶出し、500mlづつ分画した。画分4から11を集
めて濃縮乾固し、粗粉末(760mg)を得た。得られた粗
粉末をメタノールで粉末化し、TAN−1711の灰黄
色粉末(580mg)を得た。
【0032】得られたTAN−1711の物理化学的性
状を以下に示す。 (1)外観: 灰黄色粉末 (2)分子量: m/z358(M+)、(EI−マススペクトル
より) (3)元素分析値: (%) (水分0.5モルとして) 実測値: C,59.25; H,4.06 計算値: C,58.86; H,4.12 (4)分子式: C18148 (5)紫外部吸収(UV)スペクトル: メタノール中、(図
1) 極大値: 245nm(ε25,400)、307nm(ε21,
700)、365nm(ε13,800) (6)赤外部吸収(IR)スペクトル: KBr錠剤中、(図
2) 主な吸収を示す(波数、cm-1) 3390、1630、1590、1440、1340、
1290、1210、1110、930 (7)1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル: 300MHz、
重ジメチルスルフォキシド中、(図3) δppm; 10.42(1H,s)、9.49(1H,s)、7.47
(1H,s)、2.58(3H,s)、2.02(3H,s)。 (ただし、sは一重線を示す。)
【0033】(8)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:
75MHz、重ジメチルスルフォキシド中、(図4) δppm; 194.7(CH)、190.1(CH)、151.6
(Q)、151.5(Q)、150.1(Q)、142.3
(Q)、140.8(Q)、136.4(Q)、132.6
(Q)、127.6(Q)、124.9(Q)、122.8
(Q)、118.7(Q)、117.2(Q)、112.6
(Q)、109.0(CH)、12.7(CH3)、11.0(C
3)。(ただし、Qは4級炭素、CHはメチン炭素、CH
3はメチル炭素を示す。) (9)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体; ODS、YMC−Pack A−312 移動相; 35%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝
液(pH3.0) 流速; 2.0ml/min 検出法; UV吸収、214、254nm 溶出時間; 4.4min (10)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体; シリカゲル(Silica gel)60 F254[イー・
メルク・エージー(E.Merck AG.)] 展開溶媒: クロロホルム−メタノール−ギ酸(9:1:0.
2) Rf値; 0.41 (11)性質: 酸性脂溶性
【0034】製剤例1 実施例2によって得たTAN−1711を用いて、下記
に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプセルに充填
し、カプセル1個当たり、30mgのTAN−1711を
含有するカプセル剤を製造した。 TAN−1711 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 合計 180mg
【0035】製剤例2 実施例2によって得たTAN−1711とステアリン酸
マグネシウムを可溶性デンプンの水溶液で顆粒化し、乾
燥後、乳糖およびコーンスターチと混合した。混合物を
圧縮成型し、下記に示す処方の錠剤を製造した。 TAN−1711 30mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg 合計 180mg
【0036】製剤例3 実施例2で得たTAN−1711(500mg)をメタノー
ル(40ml)に溶解し、炭酸ナトリウム(163mg,1.1
当量)、水(30ml)を加え、室温にて10分間撹拌し
た。その後、メタノールを除去し、凍結乾燥するとTA
N−1711ナトリウム塩(550mg)が得られた。得ら
れたTAN−1711ナトリウム塩を30%(w/v)ポリ
エチレングリコール400を含む生理食塩水に溶解して
TAN−1711ナトリウム塩の0.05%溶液を調製
し、滅菌濾過して、バイアルに30mlずつ分注した。バ
イアル1個当たり、15mgのTAN−1711ナトリウ
ム塩を含有する静注剤を製造した。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、コラゲナーゼ阻害活
性、チロシン・カイネース阻害活性および細胞増殖阻害
活性を有する新規化合物TAN−1711またはその
塩、その製造法並びにそれを含有してなるコラゲナーゼ
阻害剤およびチロシン・カイネース阻害剤が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物TAN−1711の紫外線吸収(U
V)スペクトルである。
【図2】 化合物TAN−1711の赤外線吸収(I
R)スペクトルである。
【図3】 化合物TAN−1711の1H核磁気共鳴
(NMR)スペクトルである。
【図4】 化合物TAN−1711の13C核磁気共鳴
(NMR)スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 1/02 Z C12R 1:66)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の物理化学的性状を有する化合物TA
    N−1711; (1)分子式: C18148 (2)紫外部吸収スペクトル: メタノール中、 極大値: 245±3nm(ε25,400±3,000)、3
    07±3nm (ε21,700±2,000)、365±3nm(ε13,8
    00±2,000) (3)赤外部吸収スペクトル: KBr錠剤、波数、cm-1 3390、1630、1590、1440、1340、
    1290、1210、1110、930 (4)13C核磁気共鳴スペクトル: 75MHz、重ジメチ
    ルスルフォキシド中、δppm; 194.7(CH)、190.
    1(CH)、151.6(Q)、151.5(Q)、150.1
    (Q)、142.3(Q)、140.8(Q)、136.4
    (Q)、132.6(Q)、127.6(Q)、124.9
    (Q)、122.8(Q)、118.7(Q)、117.2
    (Q)、112.6(Q)、109.0(CH)、12.7(CH
    3)、11.0(CH3)。 (5)性質: 酸性脂溶性 またはその塩。
  2. 【請求項2】 アスペルギルス属に属し、請求項1記載
    の化合物TAN−1711を生産する能力を有する微生
    物を培地に培養し、化合物TAN−1711を生成蓄積
    せしめ、これを採取することを特徴とする化合物TAN
    −1711またはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】 微生物がアスペルギルス エスピーFL
    −36831株 IFO 32555; FERM P−
    13897である請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の化合物TAN−1711
    またはその塩を含有してなるコラゲナーゼ阻害剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の化合物TAN−1711
    またはその塩を含有してなるチロシン・カイネース阻害
    剤。
JP5259749A 1993-10-18 1993-10-18 化合物tan−1711,その製造法および用途 Withdrawn JPH07112995A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01238554A (ja) * 1988-03-17 1989-09-22 Ajinomoto Co Inc 抗脂血剤
WO2003076638A1 (fr) * 2002-03-08 2003-09-18 Mercian Corporation Inhibiteurs d'angiogenese

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