JPH08208601A - オクタヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸誘導体、その製造法および用途 - Google Patents

オクタヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸誘導体、その製造法および用途

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JPH08208601A
JPH08208601A JP7089150A JP8915095A JPH08208601A JP H08208601 A JPH08208601 A JP H08208601A JP 7089150 A JP7089150 A JP 7089150A JP 8915095 A JP8915095 A JP 8915095A JP H08208601 A JPH08208601 A JP H08208601A
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JP7089150A
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Takafumi Ishii
尚書 石井
Tsuneaki Hida
恒明 飛田
Yukimasa Nozaki
幸正 野崎
Koichiro Otsu
紘一郎 大津
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ファルネシルトランスフェラーゼを阻害する
新規化合物、その製造法及びファルネシルトランスフェ
ラーゼ阻害剤の提供。 【構成】 式(I): 【化1】 で表される化合物TAN−1813又はその塩;それを
含有してなるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、
抗腫瘍剤及び医薬組成物;フォーマ属に属し、化合物T
AN−1813を生産する能力を有する微生物を培地に
培養し、培養物中に化合物TAN−1813を生成蓄積
せしめ、これを採取することを特徴とする化合物TAN
−1813又はその塩の製造法;及び化合物TAN−1
813を生産する能力を有する微生物フォーマエスピー
FL−41510(FERM BP−4632)。 【効果】 低毒性で、ファルネシルトランスフェラーゼ
阻害剤、抗腫瘍剤、制癌剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファルネシルトランス
フェラーゼ阻害剤として有用な新規オクタヒドロ−2−
ナフタレンカルボン酸誘導体(以下、化合物TAN−1
813と称することもある)、その製造法および用途に
関する。
【0002】
【従来の技術】ras(ラス)遺伝子は、真核細胞に広く保
存されており、最近の研究からras遺伝子産物(Rasタン
パク質)が細胞の分化や増殖制御におけるシグナル伝達
因子として重要な働きをしていることが明らかにされつ
つある。また、種々の腫瘍において、ras系遺伝子の点
突然変異が高頻度に認められており、その機序は、変異
Rasタンパク質が常時GTP結合活性型にとどまること
により増殖促進シグナルが常に伝わっていることにある
とされる[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)
49,4682(1989)]。該Rasタンパク質は、分子
量が約21,000のGTP結合タンパク質で、そのC
末端システイン残基には3段階の翻訳後修飾によりファ
ルネシルイソプレノイドが付加されており、これをアン
カーにして細胞質膜に局在して初めてシグナルを伝える
と考えられている[ネイチャー(Nature)310,583
(1984)、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proceedings of
the National Academy ofScience,USA)
,6630(1989)等]。従って、Rasタンパク質の
ファルネシル化を抑えることによりRasタンパク質の機
能を抑制し、ひいてはras変異を有する腫瘍の増殖をも
抑制できると期待されている。一方、Rasタンパク質の
C末端領域には、ユニークなアミノ酸配列モチーフCA
AX(Cはシステイン、Aは脂肪族アミノ酸、Xは通常
セリンまたはメチオニンを示す)が認められる[アニュア
ル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Annual R
eview of Biochemistry)61,355(1992)、ア
ニュアル・レビュー・オブ・ジェネティクス(Annual
Review of Genetics)30,209(1992)等]。
ファルネシルトランスフェラーゼは、このRasタンパク
質のCAAXモチーフを認識してコレステロール生合成
中間体であるファルネシルピロリン酸をシステイン残基
へ転移する酵素として、ラット脳より単離された[セル
(Cell)62,81(1990)]。
【0003】微生物由来のファルネシルトランスフェラ
ーゼ阻害作用を有する物質として、10'−デスメトキ
シストレプトニグリン(desmethoxystreptonigrin)、グ
リオトキシン(gliotoxin)類、ペプチシンナミン(peptic
innamin)類、マニュマイシン(manumycin)類、ザラゴジ
ックアシッド(zaragozic acid)類、ケトメリックアシ
ッド(chaetomellic acid)類[いずれもトレンズ・イン
・バイオケミカル・サイエンシーズ(Trends in Bio
chemical Sciences)18,349(1993)参照]、パ
ツリン(patulin)[フェブス・レターズ(FEBS Lett
ers)318,88(1993)]等がある。また、テトラペ
プチドCAAXのアナログである合成ペプチド[サイエ
ンス(Science)260,1934−1942(1993)
等]、また、もう一つの基質であるファルネシルピロリ
ン酸の合成アナログ[リピド(Lipid)28,969(19
93)等]などもファルネシルトランスフェラーゼ阻害物
質として報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した種々のファル
ネシルトランスフェラーゼ阻害物質は、代謝的に不安定
である、細胞に対して不活性であるといった欠点、ある
いはファルネシルトランスフェラーゼの阻害以外にも別
の生物活性を有し特異性に乏しいことなど副作用につな
がる懸念がある。したがって、生体内でも安定で特異性
の高い新たなファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を
開発することが望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のごと
き課題を解決すべく、新規なファルネシルトランスフェ
ラーゼ阻害物質を微生物代謝産物の中に求め鋭意探索し
た結果、TAN−1813と命名した新規化合物を培養
液中から単離することに成功し、これがファルネシルト
ランスフェラーゼ阻害作用、細胞増殖阻害作用及び抗腫
瘍作用を有することを見いだした。これらの知見に基づ
き、更に検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)式(I):
【0007】
【化2】
【0008】で表される化合物TAN−1813または
その塩、(2)化合物TAN−1813またはその塩を
含有してなるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、
(3)化合物TAN−1813またはその塩を含有して
なる抗腫瘍剤、(4)化合物TAN−1813またはそ
の塩を含有してなる医薬組成物、(5)フォーマ属に属
し、化合物TAN−1813を生産する能力を有する微
生物を培地に培養し、培養物中に化合物TAN−181
3を生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする
化合物TAN−1813またはその塩の製造法、および
(6)化合物TAN−1813を生産する能力を有する
微生物フォーマエスピー FL−41510(FERM
BP−4632)を提供するものである。
【0009】本発明に用いることができる微生物として
は、フォーマ(Phoma)属に属しTAN−1813を生産
する菌であればいずれでもよい。例えば、福島県の植物
から分離された糸状菌フォーマ・エスピー FL−41
510株(FERM BP−4632)が使用しうる例と
してあげられる。FL−41510株は以下のような性
質を示す。 (a)形態的特徴 気生菌糸 :隔壁を有する。表面は滑面または粗面で、
菌糸の巾は1〜1.5μm、所々で多数集まってループ状
に重なり、また縄状を呈する。 分生子殻 :埋没性。球形〜亜球形。一個の孔口を持
つ。暗褐色。直径150〜200μm。 分生子 :一細胞。無色で表面は滑面を示す。楕円形
〜卵円形。3〜5×1.5〜2μm。
【0010】(b)寒天培地上の性状 24℃で2週間培養後、増殖の特徴を観察した。 1)麦芽エキス寒天培地 生育は中程度で培地上での拡がりは遅く、コロニーの直
径は20〜22mmである。表面は盛り上がった羊毛状の
菌糸体よりなり、外縁はやや不規則に縁どられている。
中央部から周辺部にかけて、淡灰色から灰白色を呈す
る。裏面の中央部から中間部にかけて、暗灰黒色から暗
灰色を呈し、周辺部は淡灰色を呈する。可溶性色素の生
成は認められない。 2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は中程度で培地上での拡がりはやや遅く、コロニー
の直径は33〜35mmである。表面は盛り上がった羊毛
状の菌糸体よりなり、外縁は規則正しく縁どられてい
る。中央部から周辺部にかけて暗灰色から淡灰色を呈す
る。裏面の中央部から周辺部にかけて、暗茶褐色から淡
茶褐色を呈する。可溶性色素の生成が認められる。 3)ツアペック寒天培地 生育は中程度で、コロニーの直径は32mmである。表面
はやや盛り上がった羊毛状の菌糸体よりなり、外縁は規
則正しく縁どられている。中央部から中間部にかけて暗
黒灰色から淡黒灰色を呈し、周辺部は淡灰色を呈する。
裏面の中央部から周辺部にかけて、暗黒褐色から淡黒褐
色を呈する。可溶性色素の生成は認められない。 4)オートミール寒天培地 生育は中程度で、コロニーの直径は42mmである。表面
は盛り上がった羊毛状の菌糸体よりなり、外縁は規則正
しく縁どられている。中央部から周辺部にかけて暗灰色
から淡灰色を呈する。裏面の中央部から周辺部にかけ
て、茶褐色から淡茶褐色を呈する。可溶性色素の生成は
認められない。
【0011】(c)生理学的性状 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べると、pH3〜12のいずれでも生育し、生育温度範
囲は6〜32℃であり、至適生育温度は25〜29℃で
ある。以上の諸性質を、ディー・マロチ(D.Malloch)
著、宇田川俊一訳「かびの分離・培養と同定」(昭和58
年、医歯薬出版株式会社)51頁記載の同定検索表と照
合すると、本菌は、胞子は1細胞からなり、コロニー、
分生子及び他の器官は暗色で、分生子は連鎖せず分生子
殻内部に形成し、菌糸は隔壁を有することから、フォー
マ(Phoma)属に属することが明らかであり、本菌株をフ
ォーマ・エスピー(Phoma sp.)FL−41510と同
定した。本菌株は、平成6年3月1日に財団法人発酵研
究所(IFO)に寄託番号IFO32613として、また
平成6年4月11日に通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所(NIBH)にブタペスト条約に基づき、寄
託番号FERM BP−4632としてそれぞれ寄託さ
れている。
【0012】本発明の化合物TAN−1813またはそ
の塩は、これらの菌株に限らず、遺伝子操作技術を含
め、自体公知の方法(例、X線、ガンマー線、紫外線等
の放射線の照射、薬剤処理、薬剤含有培地上での培養
等)により、これらの菌株から誘導される本化合物の生
産能を有する変異株をはじめ、当該生産能を有する微生
物を培地中で培養し、本化合物を培地中に生成蓄積せし
め、それを採取することにより製造できる。
【0013】本発明の化合物の生産菌の培養に用いる培
地は、該菌が利用しうる栄養源を含むものなら液状でも
固状でもよいが、大量に処理するときには液体培地を用
いるのが適当である。培地には、該化合物生産菌が同化
しうる炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源を適宜配
合する。炭素源としては、例えばブドウ糖、乳糖、ショ
糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリン、マンニ
トール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード
油、チキン油など)、n−パラフィンなどが用いられる。
窒素源としては、例えば肉エキス、酵母エキス、乾燥酵
母、大豆粉、コーン・スティープ・リカー、ペプトン、
綿実粉、廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫酸ア
ンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢
酸アンモニウムなど)が用いられる。さらに、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩
類、鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金
属塩類、リン酸、ホウ酸などの塩類、酢酸、プロピオン
酸などの有機酸の塩類などを適宜用いてもよい。その
他、アミノ酸類(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、
アラニン、リジン、メチオニン、プロリンなど)、ペプ
チド類(例、ジペプチド、トリペプチドなど)、ビタミン
類(例、ビタミンB1、ビタミンB2、ニコチン酸、ビタ
ミンB12、ビタミンCなど)、核酸類(例、プリン、ピリ
ミジン、その誘導体など)などを含有させてもよい。培
地のpHを調節する目的で、無機または有機の酸または
アルカリ類、緩衝剤などを加え、あるいは消泡の目的で
油脂類、界面活性剤などの適量を添加しても差し支えな
い。液体培養に際しては、培地のpHは中性付近、pH6
〜8が好ましい。培養温度は約20〜30℃、培養時間
は約48〜168時間が好ましい。培養の手段は、静置
培養、振盪培養または通気撹拌培養法等の自体公知の方
法に従えばよい。大量の処理には通気撹拌培養法が好ま
しい。通常、4〜6日の培養で化合物TAN−1813
の生産量は最高に達する。
【0014】培養物から目的とする化合物TAN−18
13を採取する方法を以下に述べる。該化合物は酸性で
脂溶性を示すため、この性質を利用する一般的手段を採
用すれば良い。培養液中、化合物TAN−1813は、
菌体および培養上清中に含まれるため、まず培養液をp
H2〜7、好ましくはpH2.5〜4.0に調整後、水と
混和しない有機溶媒、例えばクロロホルム、酢酸エチ
ル、メチルイソブチルケトンあるいはブタノールなどを
加え、約10分から20時間、好ましくは約20分から
4時間撹拌混和し、濾過助剤を加えて濾過するか、また
は遠心分離して有機層を分離する。このようにして得ら
れた有機層を水で洗浄後、濃縮することによって化合物
TAN−1813を含有する粗物質が得られる。あるい
は得られた有機層から適当な塩基性塩、例えば重曹、炭
酸ナトリウムなどの水溶液などにより水層へ転溶して有
機層と分離後、水層をpH2〜7、好ましくはpH2.5
〜4に調整し、水と混和しない前述の有機溶媒で再び抽
出後、抽出液を濃縮することによっても化合物TAN−
1813を含有する粗物質が得られる。
【0015】粗物質をさらに精製し、純粋な化合物TA
N−1813を得るには種々のクロマトグラフィー法が
有利に用いられる。担体としては、シリカゲル、結晶性
セルロース、セファデックスLH−20(ファルマシア
社製、スウェーデン)など、または吸着性樹脂、陰イオ
ン交換樹脂などが用いられる。これらは通常カラムクロ
マトグラフィー法で行なわれる。担体から活性物質を溶
出するには適当な有機溶媒、例えばヘキサン、クロロホ
ルム、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセト
ン、アセトニトリル、メタノール、酢酸、ギ酸などの単
独あるいはこれらの混合溶媒が用いられる。これらの溶
媒に水を混和させた溶媒も用いることができる。
【0016】さらに、分取高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)によっても化合物TAN−1813を精製し
てもよい。担体としてはオクタデシルシラン(ODS)系
およびシリカゲル系のものが有利に用いられる。例えば
ODS系の担体の場合、メタノールあるいはアセトニト
リルと塩類含有水溶液の混合溶液が溶出液として有利に
用いられる。溶出液を濃縮することによって粗粉末が得
られるが、あるいは溶出液が水溶液の場合には水と混和
しない適当な有機溶媒で抽出し、濃縮すると粗粉末が得
られる。粗粉末を適当な溶媒、例えば石油ベンジン、石
油エーテル、ヘキサン、トルエン、エーテル、クロロホ
ルム、酢酸エチル、アセトニトリル、エタノール、メタ
ノールあるいはこれらの混合液に溶解し、冷所で放置し
て粉末化すると化合物TAN−1813の精製粉末が得
られる。
【0017】本発明の化合物は自体公知の方法により例
えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、
例えばカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金
属との塩、アンモニウム塩等の無機塩基類、例えばメチ
ルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピ
ルアミン、ブチルアミン、第3級ブチルアミン、ジメチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルア
ミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機
アミン類との塩、例えばリジン、アルギニンなどのアミ
ノ酸等との有機塩基塩などの生理学的に許容される塩と
しても得ることができる。
【0018】次に、化合物TAN−1813の生物活性
について述べる。 試験例1 ファルネシルトランスフェラーゼ阻害試験 [方法]ラット脳からのファルネシルトランスフェラーゼ
の調製は、ワイ・ライス(Y.Reiss)らの方法[セル(C
ell)62,81(1990)]に従った。また、以下の操作
は4℃で行った。SDラット(雄、6週令、チャールズ
リバー社)より脳を取り出しハサミで細切りした後、1m
M EDTA、1mM EGTA、0.2mMフェニル・
メチル・スルフォニル・フルオライドおよび0.1mM
ロイペプチンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5)を脳1個あたり2mlずつ加え、テフロンホモジナイ
ザー(浜田理科社製)で氷中にてホモジナイズした。この
抽出液を60,000×gで70分間遠心分離して得られ
た上澄液から、硫酸アンモニウム濃度が30〜50W/
V%の間に沈澱してくる画分を回収し、1mMジチオス
レイトール、20μM塩化亜鉛を含む20mMトリス塩
酸緩衝液(pH7.5)で一晩透析する。透析終了後に1
5,000×gで10分間遠心分離して得られた上澄液を
粗酵素液とした。
【0019】ファルネシルトランスフェラーゼ活性の測
定は、FTアッセイキット(アマシャム社製)を用いて以
下に述べるように行った。ヒトのラミンBのC末端部分
の11アミノ酸残基からなるペプチドのN末端にビオチ
ン化修飾を施したペプチド100nM、120nM 3
−ファルネシルピロリン酸、6mM 塩化マグネシウ
ム、4mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトー
ル、0.002% トリトンX−100および10mM
HEPES緩衝液(pH7.5)からなる反応液60μl
に、化合物TAN−1813の溶液20μlと上記粗酵
素液20μlとの混合液を加え、37℃で1時間保温し
た後、アマシャム社製のSPAビーズ液150μlを添
加し、反応を停止した。3H−ファルネシル化ペプチド
の定量は、SPAビーズとの結合によって生じるカウン
トをシンチレーションカウンターで測定し、化合物TA
N−1813存在下あるいは非存在下のカウントを比較
することにより化合物TAN−1813のファルネシル
トランスフェラーゼ阻害率を算出した。 [結果]化合物TAN−1813はファルネシルトランス
フェラーゼに対し、12μg/mlで50%阻害を示し
た。
【0020】試験例2 細胞増殖阻害試験 [方法]化合物TAN−1813の細胞増殖阻害作用を、
マウス胎児由来線維芽細胞株NIH3T3のK−ras形
質転換細胞株NIH3T3/K−rasを用い、モスマン
(Mosmann)の方法[ジャーナル・オブ・イミュノロジカ
ル・メソッド(Journalof Immunological Methods)
65,55(1983)]を改変した方法で測定した。すな
わち、NIH3T3/K−ras細胞を3×104個/mlの
濃度で培地に懸濁し、あらかじめ種々の濃度の化合物T
AN−1813を溶かしたリン酸緩衝化生理食塩水(pho
sphate−buffered saline、PBS)を10μl添加した
96穴平底プレート(ヌンク社)の各ウエルに0.1mlず
つ分注した。培地はダルベッコ改変型イーグル・ミニマ
ムエッセンシャルメディウム[ウィッタカー・バイオプ
ロダクト(Whittaker Bioproducts)社、米国]にウシ
胎児血清[ウィッタカー・バイオプロダクト(Whittaker
Bioproducts)社、米国]を10%v/v添加したもの
を用いた、上記プレートを37℃、5%CO2に設定し
た炭酸ガスインキュベーターで3日間培養後、テトラゾ
リウム塩MTT(シグマ社、米国)を5mg/mlとなるよう
にPBSに溶かした溶液を25μl添加し、上記炭酸ガ
スインキュベーター中にて保温した。4時間後に0.0
1Nの塩酸に10%となるようにSDSを加えた溶液を
各ウエルに0.1mlずつ加え、上記炭酸ガスインキュベ
ーター(37℃、5%CO2)中にて一晩保温し、620n
mでの吸光度をタイターテックマルチスキャン吸光度計
(フロー社、米国)を用いて測定した。PBSのみを10
μl加えた場合の吸光度を対照として、各濃度における
化合物TAN−1813の細胞増殖阻害率(%)を算出し
た。 [結果]化合物TAN−1813は、NIH3T3/K−
ras細胞の増殖を、0.4μg/mlの濃度で50%阻害し
た。
【0021】試験例3 生体内腫瘍増殖抑制試験 [方法]ヒト線維肉腫細胞株HT−1080をヌードマウ
ス1匹あたり2×106個皮下移植し、移植10日後か
ら4日間、3匹を処理群として、化合物TAN−181
3を毎日50mg/kgの用量で皮下投与した。抗腫瘍活性
は癌細胞移植後18日後の腫瘍塊の体積を測定すること
により判定した。腫瘍増殖抑制率は、未処理のコントロ
ール群3匹の腫瘍塊体積(C)mm3を測定し、化合物TA
N−1813投与群3匹の腫瘍塊体積(T)mm3と比較す
ることにより算出した。腫瘍塊体積は長径(a)と短径(b)
をキャリバーで測定し、計算式0.5×a×b2から算出し
た。 [結果]腫瘍体積比(T/C×100)は46%であった。
これより化合物TAN−1813の投与により、腫瘍の
増殖は顕著に抑制されたことがわかる。以上の試験例に
示すように、本発明の化合物TAN−1813またはそ
の塩は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害作用、細
胞増殖阻害作用及び抗腫瘍作用を示す新規化合物であ
る。
【0022】本発明の化合物TAN−1813及びその
塩は低毒性であり、これらを有効成分とするファルネシ
ルトランスフェラーゼ阻害剤は、哺乳動物(例、ラッ
ト、マウス、ウシ、ウマ、サル、ヒト等)に投与して、
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤として有用であ
り、例えば、哺乳動物の腫瘍の治療あるいは転移防止に
用いることができる。該薬剤は、化合物TAN−181
3またはその塩を、自体公知の方法により、薬理学的に
許容される担体と混合することにより得られる。本剤
は、非経口剤として、例えば注射剤、点滴剤、外用剤
(例、経鼻投与製剤、経皮製剤など)、坐剤(例、直腸坐
剤、膣坐剤など)、経口剤として、例えばカプセル剤、
錠剤、シロップ剤、散剤および顆粒剤またはそのほかの
医薬組成物として経口的または非経口的に投与すること
ができる。
【0023】これらの製剤は、製剤工程において通常一
般に用いられる自体公知の方法により製造することがで
きる。例えば、経口投与製剤にするには、自体公知の方
法に従い、本発明の化合物TAN−1813またはその
塩を、例えば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、
崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤
(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセル
ロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセ
ルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)
などを添加して圧縮成形し、次いで必要に応じ、味のマ
スキング、直溶性あるいは持続性の目的のため自体公知
の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とす
ることができる。該コーティング剤としては、例えばヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツィーン
80、ブルロニックF68、セルロースアセテートフタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネー
ト、オイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリ
ル酸・アクリル酸共重合)及び酸化チタン、ベンガラ等
の色素が用いられる。
【0024】非経口剤、例えば注射剤を製造する際に
は、本発明の化合物TAN−1813またはその塩を分
散剤(例、ツィーン(Tween)80(アトラスパウダー社
製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)、ポリエチ
レングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギ
ン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、プ
ロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノー
ルなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、
ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性注射剤に
成形する。または、例えばオリーブ油、ゴマ油、ラッカ
セイ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレング
リコールなどに溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤
に成形すればよい。
【0025】例えば、外用剤とするには、自体公知の方
法に従い、本発明の化合物TAN−1813またはその
塩を固状、半固状または液状の外用投与剤とすることが
できる。例えば、上記固状のものとしては、化合物TA
N−1813またはその塩をそのまま、あるいは賦形剤
(例、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ゴム類、セルロース誘導体、アク
リル酸重合体など)などを添加、混合して粉状の組成物
とする。上記液状のものとしては、注射剤の場合と同様
で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状の場合は、
水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものと混合
すればよい。また、これらはいずれも、pH調節剤(例、
炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムな
ど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロ
ロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを加え
ても良い。
【0026】例えば、坐剤とするには、自体公知の方法
に従い、本発明の化合物TAN−1813またはその塩
を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤と
することができる。上記組成物に用いる油性基剤として
は、例えば高級脂肪酸のグリセリド[例、カカオ脂、ウ
イテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)など]、中級
脂肪酸[例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社
製)]あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)
などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポ
リエチレングリコール類、プロピレングリコールなど
が、水性ゲル基剤としては、例えば天然ゴム類、セルロ
ースおよびその誘導体、ビニル重合体、アクリル酸重合
体などが挙げられる。
【0027】これらの製剤は経口的または非経口的に投
与され、例えばヒトに経口的に用いる場合の投与量は対
象疾病の種類、程度、患者の年齢などで変動し得るが、
通常、化合物TAN−1813またはその塩の含量とし
て、1日成人(体重50kg)1人当たり約1から40mg、
好ましくは約2から30mgが疾患の治療に用いられる。
これらの製剤は、1日1〜3回に分けて投与することが
できる。例えば化合物TAN−1813またはその塩
を、注射剤として非経口的に皮下、静脈内または筋肉内
に投与する場合、その投与量は成人(体重50kg)1人当
たり約0.5〜30mg/日、好ましくは約1〜20mg/
日である。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。培地におけるパーセント(%)は、特に断りのない限
り、重量/容量パーセントを表示する。また、溶媒の混
合比率は、特に断りのない限り、容量比を表示する。ま
た実施例中で用いる記号は次の意味を有する。 s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、
q:クワルテット、dd:ダブルダブレット、ddd:ダブル
ダブルダブレット、m:マルチプレット、br:幅広い、
j:カップリング定数 実施例1 化合物TAN−1813(化合物(I)):5−[2,5−
ジヒドロ−4−(1−オクテン−3−イル)−2,5−ジ
オキソ−1H−ピロール−3−カルボニル]−8a−ヒド
ロキシ−4,6−ジメチル−1,2,3,4,4a,5,6,8a
−オクタヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸の製造法 2.4%ポテト・デキストロース・ブロス(ディフコ社
製、米国)、2%寒天及び水からなる斜面培地上で、2
8℃で、7日間培養したフォーマ・エスピー FL−4
1510株(FERM BP−4632)を2%ブドウ
糖、3%麦芽糖、1.5%生大豆粉、1%コーン・ステ
ィープ・リカー、0.5%ペプトン、0.3%酵母エキ
ス、0.3%塩化ナトリウムおよび0.05%アクトコー
ル(商品名、消泡剤、武田薬品工業(株)製)を含む500
mlの種培地(2リットルの坂口フラスコ中、pH6.0)に
接種し、24℃、48時間往復振盪培養を行った。得ら
れた培養液1リットルを上記種培地30リットルを入れ
た50リットル容タンクに移植し24℃で更に48時間
通気撹拌培養(通気量30リットル/分、撹拌毎分28
0回転)を行うことによって得られた種培養液6リット
ルを、1%ブドウ糖、4%デキストリン、0.5%生大
豆粉、0.5%麦芽エキス、0.5%ペプトン、0.2%
酵母エキス、0.05%硫酸第一鉄(7水和物)、0.05
%硫酸マグネシウム(7水和物)、0.05%硫酸マンガ
ン(4水和物)、0.1%燐酸二水素カリウム、0.5%炭
酸カルシウムおよび0.05%アクトコール(商品名、消
泡剤、武田薬品工業(株)製)からなる主培養培地(pH
7.5)120リットルを入れた200リットル容タン
クに接種し24℃で114時間通気撹拌培養(通気量1
20リットル/分、撹拌毎分150回転)を行ない、培
養液を得た。
【0029】得られた培養液105リットルをpH2.
6に調整し、酢酸エチル100リットルを加えて30分
間撹拌した。混合物にラジオライト600(昭和化学工
業社製)を加えてろ過し、得られた有機層80リットル
を水30リットルにて2度洗浄後、濃縮すると粗油状物
78gが得られた。この油状物を少量のクロロホルム−
酢酸エチル混合液に溶解し、シリカゲル(1.3リット
ル、シリカゲル60、70−230メッシュ、イー・メ
ルク社、ドイツ)のカラムクロマトグラフィーに付し
た。カラムをヘキサン2リットル、ヘキサン−アセトン
(9:1)2リットルおよびヘキサン−アセトン(8:2)5
リットルにて順次洗浄後、活性物質をヘキサン−アセト
ン(6:4)2リットルにて溶出した。溶出液を濃縮する
と褐色粉末8.9gが得られた。この粉末を5等分し、
それぞれを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(カ
ラム、YMC−Pack S−363−15、I−15、
ODS、ワイエムシー社製;溶媒、58%アセトニトリ
ル−10mM リン酸緩衝液(pH3.0);流速、20ml
/分)に付し、20mlづつ分画した。各回についてフラ
クション番号22から32を集め(合計1.1リット
ル)、400mlになるまで濃縮後、pHを3.0に補正
し、酢酸エチルにて抽出した(2×200ml)。酢酸エチ
ル層を合わせ、水洗(2×150ml)後、無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、少量のエ
ーテルに溶解しヘキサンを加えることにより、化合物T
AN−1813が淡黄色の粉末2.1gとして得られ
た。
【0030】得られた化合物TAN−1813の物理化
学的性状を以下に示す。 (1)外観:淡黄色粉末 (2)質量分析値(EIMS法) :m/z 457(M+) (3)分子式:C2635NO6 (4)元素分析値(%):C2635NO6として 計算値:C,68.25 H,7.71 N,3.06 実測値:C,67.95 H,7.63 N,2.93 (5)紫外線(UV)吸収スペクトル:メタノール中、(図
1) 極大値:240nm(ε 16500) (6)赤外線(IR)吸収スペクトル:KBr錠剤中、 主な波数を示す(cm-1)(図2) 3330、3250、2965、2935、2860、
2630、1725、1710、1670、1595、
1460、1335、1095、1005、925、7
60、700
【0031】(7)1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル:3
00MHz、重ジメチルスルホキシド中、テトラメチル
シランのシグナルを内部標準(0 ppm)とする(図
3)。 δppm;0.64(3H,d,J=6.7Hz)、0.77(3H,
d,J=7.4Hz)、0.83(3H,t,J=6.6Hz)、1.
09(1H,m)、1.15(1H,m)、1.24(4H,m)、
1.30(1H,m)、1.36(1H、t,J=12.8Hz)、
1.55(1H,t,J=10.5Hz)、1.71(2H,m)、
1.77(1H,m)、1.92(2H,m)、2.74(1H,
m)、2.77(1H,m)、3.94(1H,dd,J=10.5,
7.8Hz)、4.00(1H,q,J=8.3Hz)、4.41
(1H,s)、5.05(1H,brd,J=10.2Hz)、5.0
7(1H,brd,J=17.1Hz)、5.54(1H,dd,J=
9.5,3.7Hz)、5.65(1H,dd,J=9.5,2.1H
z)、5.99(1H,ddd,J=17.1,10.2,8.3H
z)、11.29(1H,brs)、11.99(1H,brs).
【0032】(8)13C核磁気共鳴スペクトル:75MH
z、重ジメチルスルホキシド中、テトラメチルシランの
シグナルを内部標準(0 ppm)とする(図4)。 δppm:13.7(CH3)、17.6(CH3)、21.9(CH
2)、23.2(CH3)、26.6(CH2)、29.8(C
H)、30.7(CH2)、31.2(CH)、32.2(C
2)、37.7(CH)、38.3(CH2)、41.0(C
H)、41.3(CH2)、47.2(CH)、48.2(C
H)、67.1(Q)、117.4(CH2)、132.9(C
H)、133.1(Q)、134.1(CH)、137.3(C
H)、153.4(Q)、169.9(Q)、170.2(Q)、
176.8(Q)、199.6(Q)(ただし、Qは4級炭
素、CHはメチン炭素、CH2はメチレン炭素、CH3
メチル炭素をそれぞれ示す。)
【0033】(9)比旋光度:[α]D 22−48.9°(c
0.52、メタノール) (10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC−Pack A−312 ODS(ワイエム
シー社製) 移動相;65%アセトニトリル−10mMリン酸緩衝液(p
H3.0) 流速;2.0ml/分 検出;UV吸収、214nm、254nm 保持時間;4.5分 (11)薄層クロマトグラフィー(TLC): A 担体;シリカゲル60 F254 TLCプレート
(イー・メルク社製、ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム−メタノール(9:1) Rf値; 0.43 B 担体;シリカゲル60 F254 TLCプレート
(イー・メルク社製、ドイツ) 展開溶媒;ヘキサン−アセトン(1:1) Rf値; 0.50
【0034】(12)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸、ヨウ素、濃硫酸、過マンガン
酸カリウム 陰性;ニンヒドリン、エールリッヒ試薬、バートン試薬 (13)酸性、中性、塩基性の別:酸性 (14)溶解性: 易溶;メタノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチ
ルスルホキシド 難溶;水、ヘキサン これらのデータに基づき、化合物TAN−1813の構
造を以下のとおり決定した。
【0035】
【化3】
【0036】製剤例1 実施例1で得られた化合物TAN−1813を用いて、
下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプセルに
充填し、カプセル1個当たり、30mgの化合物TAN−
1813を含有するカプセル剤を製造した。 化合物TAN−1813 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mgステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg
【0037】製剤例2 実施例1で得られた化合物TAN−1813とステアリ
ン酸マグネシウムを可溶性デンプンの水溶液で顆粒化
し、乾燥後、乳糖及びコーンスターチと混合した。混合
物を圧縮成型し、下記に示す処方の錠剤を製造した。 化合物TAN−1813 30mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mgステアリン酸マグネシウム 20mg 合 計 180mg
【0038】製剤例3 実施例1で得られた化合物TAN−1813を用いて、
下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプセルに
充填し、カプセル1個当たり、10mgの化合物TAN−
1813を含有するカプセル剤を製造した。 化合物TAN−1813 10mg 乳糖 110mg コーンスターチ 50mgステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg
【0039】製剤例4 化合物TAN−1813を各バイアルに10mgずつ分配
して静注用組成物を得た。一方、ポリエチレングリコー
ル400(30%W/W)を含有する注射用蒸留水(1リ
ットル)にマンニトール(50g)を溶解した。この溶液を
滅菌濾過に付し、その1mlをバイアルに充填して可溶化
剤用組成物を得た。上記組成物を組み合わせてキットと
して使用した。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、ファルネシルトランス
フェラーゼ阻害作用、細胞増殖阻害作用及び抗腫瘍作用
を有する新規化合物TAN−1813またはその塩、そ
の製造法、および化合物TAN−1813またはその塩
を含有してなるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤
が提供される。化合物TAN−1813およびその塩は
低毒性で、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤とし
て有用であり、かつ、抗腫瘍剤、特にras遺伝子変異を
有する腫瘍の増殖および転移を防止し得る物質であるた
め、制癌剤としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物TAN−1813の紫外線吸収スペク
トル(メタノール中)である。
【図2】 化合物TAN−1813の赤外線吸収スペク
トル(KBr錠剤中)である。
【図3】 化合物TAN−1813の1H核磁気共鳴(N
MR)スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、内部標準
としてテトラメチルシランを添加)である。
【図4】 化合物TAN−1813の13C核磁気共鳴
(NMR)スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、内部
標準としてテトラメチルシランを添加)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/99 (C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 17/10 C12R 1:645)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 で表される化合物TAN−1813またはその塩。
  2. 【請求項2】 化合物TAN−1813またはその塩を
    含有してなるファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】 化合物TAN−1813またはその塩を
    含有してなる抗腫瘍剤。
  4. 【請求項4】 化合物TAN−1813またはその塩を
    含有してなる医薬組成物。
  5. 【請求項5】 フォーマ属に属し、化合物TAN−18
    13を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培
    養物中に化合物TAN−1813を生成蓄積せしめ、こ
    れを採取することを特徴とする化合物TAN−1813
    またはその塩の製造法。
  6. 【請求項6】 化合物TAN−1813を生産する能力
    を有する微生物フォーマエスピー FL−41510
    (FERM BP−4632)。
JP7089150A 1994-04-15 1995-04-14 オクタヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸誘導体、その製造法および用途 Withdrawn JPH08208601A (ja)

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