JPH0640995A - 四環性化合物、その製造法および用途 - Google Patents

四環性化合物、その製造法および用途

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JPH0640995A
JPH0640995A JP5686193A JP5686193A JPH0640995A JP H0640995 A JPH0640995 A JP H0640995A JP 5686193 A JP5686193 A JP 5686193A JP 5686193 A JP5686193 A JP 5686193A JP H0640995 A JPH0640995 A JP H0640995A
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JP
Japan
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tan
culture
compound
medium
salt
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JP5686193A
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English (en)
Inventor
Takenori Ishimaru
武範 石丸
Shigetoshi Tsuboya
重利 坪谷
Taketoshi Saijo
武俊 西条
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サブスタンスPの受容体拮抗活性を有する、
抗炎症剤として有用な新規化合物の提供。 【構成】 一般式 【化1】 [式中、Rはメチル基またはアミノ基を示す]で表される
化合物またはその塩。 【効果】 本発明によれば、サブスタンスPの受容体拮
抗作用を有する、抗炎症剤や消炎鎮痛剤として有用な新
規化合物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗炎症剤として有用な
新規四環性化合物、さらに詳しくは、生理活性ペプチド
であるサブスタンスPの受容体拮抗活性を有する新規四
環性化合物、その製造法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】サブスタンスPはサブスタンスK(ニュ
ーロキニンA)、ニューロキニンBと共にタキキニン群
に属するペプチドで、多様な生理活性を示すことが知ら
れている[エム・オーツカ(M.Otuka)およびケイ・ヨ
シオカ(K.Yoshioka)、フィジオロジカル・プレビュ
ーズ(Physiological Previews)、、1(199
1)]。特に、脊髄後根に投射する無髄知覚神経の痛覚に
関わる神経伝達物質として、また炎症のメディエイター
として重要な働きをしていることから、その拮抗物質は
新規な鎮痛抗炎症剤としての利用が期待される。
【0003】これまでにサブスタンスP受容体拮抗作用
を有するものとしては、放線菌の代謝産物 WS−93
26 およびその誘導体(特開平3−148227号公
報)や関連ペプチド(特開平3−27399号公報)など
が知られている。また、アクチノマイシンDやサイクロ
スポリンにもサブスタンスP受容体拮抗作用のあること
が知られている[日本農芸化学会誌 65(3)、179
(1991)]。
【0004】また、四環性化合物の抗炎症の分野への応
用としては、コラゲナーゼ阻害活性を有する非抗菌性テ
トラサイクリンと抗炎症性化合物とが結合してなる化合
物の炎症治療への応用(特開平4−54160号公報)、
抗コラーゲン性を有する非抗菌性テトラサイクリン組成
物のリウマチ性関節炎治療への応用(特開昭61−24
3023号公報)、およびテトラサイクリン誘導体であ
るミノサイクリンおよびドキシサイクリンの抗炎症作用
の報告[第55回アメリカリウマチ学会(1991、1
1、ボストン(Boston)]等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、新規な
骨格を有するサブスタンスP受容体拮抗物質を見いだす
ことができれば、鎮痛抗炎症作用等を有する従来にない
治療剤が得られると確信し、その起源を微生物代謝産物
の中に求め、後記する方法で鋭意探索した結果、TAN
−1612およびTAN−1652と命名した新規化合
物を培養液中より単離することに成功し、これがサブス
タンスP受容体結合阻害作用を示し、イン・ビボ(in vi
vo)テストにおいて強い抗炎症作用を示すことを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)一般式
[I]
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Rはメチル基またはアミノ基を示
す。)で表される化合物またはその塩、(2)ペニシリウム
属に属し、一般式[I](式中Rはメチル基を示す。)で表
される化合物を生産する能力を有する微生物を培地中に
培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする該化合物またはその塩の製造
法、(3)メタルリジウム属に属し、一般式[I](式中R
はアミノ基を示す。)で表される化合物を生産する能力を
有する微生物を培地中に培養し、培養物中に該化合物を
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする該化
合物またはその塩の製造法、および(4)一般式[I]で表
される化合物またはその塩を含有してなる抗炎症剤を提
供するものである。
【0009】本明細書においては、一般式[I]でRがメ
チル基を示すものを化合物TAN−1612(以下、単
にTAN−1612と略すこともある)、Rがアミノ基
を示すものを化合物TAN−1652(以下、単にTA
N−1652と略すこともある)と称する。これらの化
合物には立体異性体が存在するが、本発明はこれらすべ
てを包含する。
【0010】化合物TAN−1612はペニシリウム属
に属する糸状菌によって生産される。TAN−1652
はメタルリジウム属に属する糸状菌によって生産され
る。例えば、TAN−1612は岩手県の土壌から新た
に分離された一菌株FL−27337によって生産する
ことができる。例えば、TAN−1652は愛知県の土
壌から新たに分離された一菌株FL−25798によっ
て生産することができる。
【0011】TAN−1612生産菌株は以下の性質を
示す。 a)形態的特徴 本菌株FL−27337は麦芽エキス寒天培地、バレイ
ショ・ブドウ糖寒天培地に良好に生育し、分生子を豊富
に形成する。ツァペック寒天培地に中程度に生育し、分
生子を形成する。菌糸は透明で、隔壁を有している。分
生子柄は基底菌糸あるいは気生菌糸から生じ、その表面
は滑面で、幾分不規則に分枝し、著しく束状を呈し、分
生子柄束を形成する。分生子柄束は堅く、単生の分生子
柄は希である。分枝の先端にとっくり型の4〜8本のフ
ィアライド(Phialides)を着生する。フィアライドの表
面は滑面で、5〜7 × 1.2〜1.8μmである。その
先端部に単一か2〜4本のメトレ(metula)が群生する。
メトレの大きさは5〜6× 2〜3μmでその先端にフィ
アロ型の分生子を形成する。分生子は楕円形、その表面
は平滑、大きさは1〜2 × 2〜3μmで長い連鎖を形
成する。また、調べた寒天培地上では菌核の形成は認め
られなかった。
【0012】b)寒天培地上の性状 i)麦芽エキス寒天培地 生育は良好であり、24℃に保つと2週間後にコロニー
の直径は30mmとなる。表面は、盛り上がった綿状の菌
糸体が束状となり、明瞭な分生子柄束がコロニー全体に
多数形成され、高さ6〜8mmとなる。外縁はやや不規則
に縁どられている。気生菌糸の発達、分生子の形成は良
好である。コロニー表面の色調は、はじめ白から明灰
色、1週間後には暗灰緑色となる。集落裏面は黄褐色を
呈する。可溶性色素の生成は認められない。
【0013】ii)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は良好で、24℃に保つと2週間後にコロニーの直
径は20mmとなる。表面は、盛り上がった綿状の菌糸体
が束状となり、分生子柄束を形成し、コロニー中央部と
外周部に疎らに立ち上がり、高さ8〜12mmとなる。外
縁はやや不規則に縁どられている。気生菌糸の発達、分
生子の形成は良好である。コロニー表面の色調は、中央
部から外周部は灰色から明灰色を呈し、分生子形成部は
灰緑色から暗緑色を呈する。集落裏面中央部は暗黄褐
色、中間部および外周部は黄褐色を呈する。可溶性色素
の生成は認められない。
【0014】iii)ツァペック寒天培地 生育は中程度で、24℃に保つと2週間後にコロニーの
直径は21mmとなる。表面は羊毛状の菌糸体よりなり、
中央部と外周部は隆起し、中央部から放射状にしわが見
られる。外縁はやや不規則に縁どられている。分生子柄
束は2週間後から形成し始める。気生菌糸の発達、分生
子の形成は中程度である。コロニー表面の色調は、はじ
め白から明灰色、その後灰緑色から暗灰緑色となる。集
落裏面は淡黄緑色から古くなると褐色となる。可溶性色
素の生成は認められない。
【0015】c)生理学的性状 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べる。pH3〜pH10のいずれにおいても生育は良好で
ある。生育温度範囲は5℃〜31℃、至適温度は23℃
〜27℃である。35℃では生育しない。
【0016】以上の諸性質を、ディー・マロチ(D.Ma
lloch)著、宇田川俊一訳「かびの分離・培養と同定」(昭
和58年、医歯薬出版株式会社)51頁記載の同定検索
表と照合すると、本菌株FL−27337はペニシリウ
ム(Penicillium)属に属することが明らかである。さら
に、宇田川俊一、椿啓介ら著「菌類図鑑(下)」(1978
年、講談社サイエンティフィク)を参照すると、本菌株
はペニシリウム・クラビフォルメ(Penicillium clavi
forme)の記載とよく性質が一致することから、ペニシリ
ウム・クラビフォルメ(Penicillium claviforme)FL
−27337株と同定した。
【0017】本菌株は、平成3年12月27日に財団法
人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 32436と
して、また平成4年3月11日に通商産業省工業技術研
究所(FRI)に、ブタペスト条約の下、受託番号 FE
RM BP−3793としてそれぞれ寄託されている。
【0018】TAN−1652生産菌株は以下の性質を
示す。 a)形態的特徴 本菌株FL−25798はオートミール寒天培地で良好
に生育し、分生子を豊富に形成する。菌糸は無色で隔壁
を有し、1〜2μmの直径の太さでその表面は滑らかで
ある。分生子柄は基底菌糸あるいは気生菌糸から生じ、
分枝を繰り返し、各分枝から数本の分枝を生じる。最後
の分枝の先端に数本のフィアライド(Phialides)を着生
する。分生子柄は無色で隔壁が有り、その表面は滑面で
ある。また、多数の分生子柄が集合し、暗縁色の乾燥し
た円柱状の分生子塊を形成する。おおよそ縦130〜1
50μm、横140〜160μmの大きさであるが、大き
さも形も一定しない。フィアライドは3〜6本が輪生
し、円筒形で先端は幾分細くなりフィアロ型の分生子を
着生する。フィアライドの表面は滑らかで、大きさは1
〜3 × 5〜7μmである。分生子は10〜14の長い
連鎖を形成するが、円筒形で単一細胞であり、その表面
は滑面で、大きさは1.3〜1.5 × 6.0〜6.5μm
である。
【0019】b)寒天培地上の性状 i)麦芽エキス寒天培地 生育は良好で、24℃に保つと14日後にコロニーの直
径は45mmとなる。表面は平坦で、中央部が幾分盛り上
がった菌糸体からなり、中心から放射状にしわが見られ
る。外縁は規則正しく縁取られている。気生菌糸の発達
は中程度で、中央部から中間部にかけてビロード状の気
生菌糸が同心円状に広がる。中央部は黄白色、中間部は
白色ないし淡黄白色、外周部は白色を呈する。中央部か
ら中間部は疎らに、外周部は同心円状に暗縁色で円柱状
の分生子塊が形成される。裏面の色調は中央部から中間
部にかけて黄白色、外周部は象牙色を呈する。可溶性の
色素は認められない。
【0020】ii)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は良好で、24℃に保つと14日後にコロニーの直
径は50mmとなる。表面は平坦で、中央部、周辺部が幾
分盛り上がった菌糸体からなり、外縁は規則正しく縁取
られている。気生菌糸の発達は中程度で、ビロード状の
気生菌糸が同心円状に広がり淡い黄色を帯びた乳白色を
呈する。中央部から外周部にかけて同心円状に暗縁色で
円柱状の分生子塊が形成される。裏面中央部は暗黄褐
色、中間部および外周部は淡黄褐色を呈する。可溶性の
色素は認められない。
【0021】iii)ツァペック寒天培地 生育は中程度で、24℃に保つと14日後にコロニーの
直径は30mmとなる。表面は平坦で、中央部が幾分盛り
上がった菌糸体からなり、しわが見られる。外縁はやや
不規則に縁取られている。気生菌糸の発達は悪く、短い
羊毛状の気生菌糸が全体に広がり白色を呈する。菌糸の
密な中央部に暗縁色で円柱状の分生子塊が認められる。
裏面中央部はクリーム色、中間部から外周部にかけて白
色を呈する。可溶性の色素は認められない。
【0022】iv)オートミ−ル寒天培地 生育は良好で、24℃に保つと14日後にコロニーの直
径は50mmとなる。表面は平坦で、中央部が盛り上がっ
た菌糸体からなり、外縁はやや規則正しく縁取られてい
る。全体が淡黄白色を呈し、中央部に羊毛状の気生菌糸
が認められ灰白色を呈する。コロニー全体に暗縁色で円
柱状の分生子塊が認められる。特に、中央部に大きな分
生子塊が多数見られる。裏面全体の色調は、淡黄褐色か
ら黄褐色を呈する。可溶性の色素は認められない。
【0023】c)生理学的性状 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べる。pH3〜pH12のいずれにおいても生育は良好で
ある。生育温度範囲は10℃〜32℃、至適温度は15
℃〜25℃である。35℃では生育しない。
【0024】以上の諸性質を基に、宇田川俊一・椿啓介
ら著「菌類図鑑(下)」(1978年、講談社サイエンティ
フィク)およびジョウジ・エル・バロン(George L Ba
rron,Ph.D.)著「ザ・ジェネラ・オブ・ヒポミセテス・
フロム・ソイル(The Genera of Hyphomycetes from
Soil)」[1968年、222〜225頁、ロベルテ・
クリーゲルプブリシング(Roberte Kriegerpublising)
社]およびケー・エッチ・ドムシュ、ダブリュ・ガムス
とトラウト−ヘイデ・アンダーソン(K.H.Domsch,W.
Gams and Traute-Heide Anderson)著「コンペンディ
ウム・オブ・ソイル・ファンジャイ(Compendium of S
oil Fungi)[1980年、1巻、413〜415頁、ア
カデミック プレス(Academic Press)社出版]を参照す
ると、本菌株は、分生子が一細胞で、集合して暗縁色の
分生子塊を形成するなどの性質から、ミロセシウム(My
rothecium)属に近似であると考えられる。しかし、分生
子は乾燥型で円柱状に連鎖する分生子座を形成すること
から、ミロセシウム属とは異なり、メタルリジウム(Me
tarrhizium)属に属すると判断された。従って、本菌株
をメタルリジウム・スピーシーズ(Metarrhizium sp.)
FL−25798と同定した。
【0025】本菌株は、平成3年12月27日に財団法
人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 32435と
して、また平成4年3月11日に通商産業省工業技術研
究所(FRI)に、ブタペスト条約の下、受託番号 FE
RM BP−3792としてそれぞれ寄託されている。
【0026】本発明の一般式[I]で表される化合物は、
これらの菌株に限らず、遺伝子操作技術を含め、自体公
知の方法により、それらから誘導される一般式[I]で表
される化合物の生産能を有する変異株をはじめ、当該生
産能を有する微生物を培地中で培養し、一般式[I]で表
される化合物を培養中に生成蓄積せしめ、それを採取す
ることにより製造できる。
【0027】本発明の化合物生産菌の培養に用いる培地
は、該菌が利用し得る栄養源を含むものなら液状でも固
状でもよいが、大量に処理するときには液体培地を用い
るのがより適当である。培地には、当該化合物生産菌が
同化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源を適
宜配合する。炭素源としては、たとえばブドウ糖、乳
糖、ショ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリ
ン、マンニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆
油、ラード油、チキン油など)、n−パラフィンなどが、
窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エキス、乾燥
酵母、大豆粉、コーン・スティープ・リカー、ペプト
ン、綿実粉、廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウムなど)などを用いる。
【0028】さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜
鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ
酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類
を適宜用いてもよい。その他、アミノ酸(例、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジン、メチオニ
ン、プロリンなど)、ペプチド(例、ジペプチド、トリペ
プチドなど)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、
12、Cなど)、核酸類(例、プリン、ピリミジン、その
誘導体など)等を含有させてもよい。もちろん、培地のp
Hを調節する目的で無機または有機の酸またはアルカリ
類、緩衝剤等を加え、あるいは消泡の目的で油脂類、界
面活性剤等の適量を添加して差し支えない。
【0029】液体培養に際しては、培地のpHは中性付
近、特にpH5.5〜7が好ましい。培養温度は約20℃
〜30℃、培養時間は約48時間〜168時間が好まし
い。
【0030】培養の経過にともなって生産されるTAN
−1612およびTAN−1652の定量は、ラットの
前脳の膜画分を受容体とし、125I−BHSP[ボルトン
・ハンター(Bolton and Hunter)標識[Lys3]サブス
タンスP、81.4TBq/mmol、エム・イー・エヌ・リ
サーチ・プロダクツ(MEN Research Products)、
米国]をラジオ・リガンドとする結合阻害測定を用いる
か、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis) N
IHJ PCI−219株を被検菌とするペイパー・デ
ィスク法によって行う。通常、4〜6日の培養でTAN
−1612およびTAN−1652の生産量は最高に達
する。
【0031】目的とする化合物TAN−1612あるい
はTAN−1652を培養物から採取する方法として
は、以下のようなものが挙げられる。一般式[I]で表さ
れる化合物は酸性で脂溶性を示すため、この性質を利用
する一般的手段を採用すればよい。まず、培養液をpH
2〜7、好ましくはpH2.5〜5に調整後、水と混和し
ない有機溶媒、たとえばクロロホルム、酢酸エチル、メ
チルイソブチルケトンあるいはブタノールなどを加え、
TAN−1612あるいはTAN−1652を抽出す
る。抽出液を重曹水あるいは炭酸ナトリウム水溶液で転
溶後、転溶液を酸性にして前記の水と混和しない有機溶
媒で再抽出する。また、転溶液を吸着性樹脂、例えば、
アンバーライトXAD−II(ローム・アンド・ハース社
製、米国)、ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)ま
たはダイヤイオンSP−207(三菱化成社製)などを用
いたクロマトグラフィーに付す方法も有利に用いること
ができる。なお、吸着性樹脂を用いたカラムから目的の
活性物質を溶出するには、水または含水溶媒、たとえば
含水メタノール、含水アセトンなどを用いる。かくして
得られる抽出液あるいは溶出液を減圧下濃縮すると、T
AN−1612あるいはTAN−1652を含有する粗
物質が得られる。
【0032】粗物質をさらに精製し、純粋なTAN−1
612あるいはTAN−1652を得るには種々のクロ
マトグラフィー法を有利に用いることができる。例え
ば、通常のカラムクロマトグラフィーを使用する場合、
担体としてはシリカゲル、結晶セルロース、セファデッ
クスLH−20(ファルマシア社製、スウエーデン)など
を使用することができる。カラムから活性物質を溶出す
るには適当な有機溶媒、例えば、n−ヘキサン、クロロ
ホルム、トルエン、酢酸エチル、ジクロロエタン、アセ
トン、メタノール、酢酸、蟻酸などを単独であるいは混
合して用いることができる。
【0033】また、分取用高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)によってもTAN−1612あるいはTAN
−1652を精製することができる。担体としてはオク
タデシルシラン(ODS)系およびシリカゲル系のものを
有利に使用することができる。例えば、ODSの場合、
メタノールあるいはアセトニトリルと塩類含有水溶液の
混合溶液が有利に用いられる。溶出液を濃縮、あるいは
水溶液の場合は水と混和しない適当な有機溶媒で抽出し
て濃縮し、残渣を粉末化するか、濃縮残渣を適当な結晶
化溶媒、例えば、石油ベンジン、石油エーテル、n−ヘ
キサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチ
ル、メタノールあるいはこれらの混合液で溶解し、冷所
で放置すると結晶が得られる。
【0034】TAN−1612あるいはTAN−165
2は酸性物質なので、適当な塩基で処理することによっ
てTAN−1612あるいはTAN−1652の塩が得
られる。これらは自体公知の方法によって調製される。
塩の種類としてはたとえば、ナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩あるいはアンモニウム塩などがあげら
れる。これらの塩も本発明の範囲内のものである。
【0035】後記する実施例1および2で得られたTA
N−1612およびTAN−1652の物理化学的性状
を以下に示す。
【0036】TAN−1612の物理化学的性質 (1)外観:黄色結晶 (2)融点:202−206℃ (分解) (3)旋光度:[α]D +29°(c 0.34、メタノール、
23℃) (4)分子量:m/z 414(M+)(EI−マス・スペクト
ルより) (5)元素分析値:(%) 計算値;C,60.87;H,4.38 実測値;C,60.70;H,4.33 (6)分子式:C21189
【0037】(7)紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値
nm(ε)、メタノール中 228(27,200),276(44,400),320(6,
800),336(肩、5,300),407(11,800) 紫外部吸収スペクトルを図1に示す。 (8)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な吸
収を示す(波数、cm-1) 3420,1680,1640,1580,1510,14
60,1420,1390,1340,1310,1200,
1160,1090,1040,1000,960,870 赤外部吸収スペクトルを図2に示す。
【0038】(9)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:
75MHz、重クロロホルム中、δppm 202.6(Q),196.2(Q),194.8(Q),190.
4(Q),167.3(Q),164.5(Q),159.9(Q),
141.2(Q),133.1(Q),118.4(CH),11
0.6(Q),107.9(Q),106.1(Q),101.7(C
H),100.5(CH),79.5(Q),71.8(Q),55.
6(CH3),40.5(CH2),38.6(CH2),27.9(C
3) 図3にNMRスペクトルを示す。
【0039】(10)呈色反応: 陽性:リンモリブデン酸、濃硫酸、バートン反応 陰性:ニンヒドリン、坂口反応 (11)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体:ODS、YMC−Pack A−312 移動相:50% v/v アセトニトリル/0.01Mリン酸
緩衝液(pH3) 流速:2ml/min 検出法:UV吸収、214nmおよび254nm 溶出時間:8.2min (12)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体:Silica gel 60F254(E.Merck AG.) 展開溶媒:トルエン−酢酸エチル−蟻酸(60:40:2) Rf値:0.47 (13)性質:酸性脂溶性物質
【0040】TAN−1652の物理化学的性質 (1)外観:黄色粉末 (2)旋光度:[α]D −60°(c 0.48、メタノール、
23℃) (3)分子量:m/z 415(M+)、(EI−マス・スペク
トルより) (4)元素分析値:(%) (水分0.5モルとして計算) 計算値:C,56.61;H,4.28;N,3.30 実測値:C,56.60;H,4.11;N,3.06 (5)分子式:C2017NO9
【0041】(6)紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値
nm(ε)、メタノール中 229(25,000),272(41,100),320(6,
400),336(肩、5,100),407(11,400) 図4に紫外部吸収スペクトルを示す。 (7)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な
吸収を示す(波数、cm-1) 3390,1640,1570,1460,1430,13
90,1330,1310,1210,1160,1090,
990,960,850 図5に赤外部吸収スペクトルを示す。
【0042】(8)呈色反応: 陽性:リンモリブデン酸、濃硫酸、バートン反応 陰性:ニンヒドリン、坂口反応 (9)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体:ODS、YMC−Pack A−312 移動相:50% v/v アセトニトリル/0.01Mリン酸
緩衝液(pH3) 流速:2ml/min 検出法:UV吸収、214nmおよび254nm 溶出時間:4.2min (10)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体:Silica gel 60F254(E.Merck AG.) 展開溶媒:トルエン−酢酸エチル−蟻酸(60:40:2) Rf値:0.35 (11)性質:酸性脂溶性物質
【0043】本発明の化合物TAN−1612およびT
AN−1652またはこれらの塩は低毒性で、優れた抗
炎症作用を有し、哺乳動物(例、ヒト、ウシ、ウマ、ヤ
ギ、イヌ、家兎、マウス、ラット等)の抗炎症剤、消炎
鎮痛剤として有用である。かかる本発明の抗炎症剤、消
炎鎮痛剤は、常法に従い、一般式[I]で表される化合物
またはそれらの塩を薬理学的に許容される担体と混合す
ることにより得られ、たとえば、点滴剤、注射剤、カプ
セル剤、錠剤、座剤、液剤、懸濁液およびその他の医薬
として適切な剤型で提供される。これらは自体公知の方
法によって製造される。
【0044】非経口剤、例えば、注射剤を製造する際に
は、該化合物またはそれらの塩に等張化剤(例、グルコ
ース、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナト
リウム等)、保存剤(例、ベンジルアルコール、クロロブ
タノール、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロ
キシ安息香酸、プロピル等)、抗凝固剤(例、デキストラ
ン硫酸、ヘパリン等)および緩衝剤(例、リン酸緩衝液、
酢酸ナトリウム緩衝液等)等を加えてもよい。経口剤と
しては、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤
等の剤型が好ましく、該化合物またはその塩と共に添加
剤、たとえば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色
剤、矯味剤、安定剤等を含有させてもよい。
【0045】TAN−1612、TAN−1652また
はそれらの塩を、注射剤として非経口的に皮下、静脈内
または筋肉内に投与する場合、その投与量は成人1人に
対し約0.5〜100mg/kg/日、好ましくは1〜50m
g/kg/日である。また、経口剤として投与する場合の
投与量は、成人1人に対し約1〜100mg/kg/日、好
ましくは2〜50mg/kg/日である。
【0046】
【実施例】以下に実施例および試験例をあげて本発明を
更に詳しく説明するが、これによって本発明が限定され
るものではない。なお、培地におけるパーセント(%)
は、特に断わりのない限り、重量/容量パーセントを表
示する。 実施例1 化合物TAN−1612の製造法 ポテト・デキストローズ・ブロス(ディフコ社製、米国)
24g、寒天20gおよび水1リットルからなる斜面培地
上で、28℃で、7日間培養したペニシリウムクラビフ
ォルメ FL−27337株を2%ブドウ糖、3%麦芽
糖、1.5%生大豆粉、1.0%コース・スティープ・リ
カー、0.5%ペプトン、0.3%酵母エキス、0.3%
塩化ナトリウムを含む40mlの種培地(pH6.0)に接種
し、200ml容三角フラスコ中で、28℃、48時間回
転振とう機上で培養し、種培養を得た。得られた種培養
液1ml容を200ml容フラスコ内の40mlの5.0%ブ
ドウ糖、2.0%生大豆粉、0.5%ペプトン、0.3%
塩化ナトリウム、0.5%炭酸カルシウムを含む醗酵培
地(pH7.0)に移植し、24℃、6日間回転振とう機上
で培養した。
【0047】得られた培養液(4.6リットル)をpH2.
6に調整し、酢酸エチル(4リットル)で抽出した。抽出
液をハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社製、
米国)で濾過し、有機溶媒層と水層を分離した。得られ
た有機溶媒層を2%炭酸水素ナトリウム水溶液(3リッ
トル)で転溶し、転溶液をpH2.7に調整後、酢酸エチ
ル(2.5リットル)で再抽出した。再抽出液を水(1リッ
トル)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、濃縮乾
固した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンで処理してTAN
−1612の粗粉末(5.5g)を得た。この粗粉末をシリ
カゲル(150g)のカラムクロマトグラフィーに付し、
クロロホルム−酢酸(98:2)で溶出分画した。TLC
で単一スポットを与える画分を集め、濃縮乾固してTA
N−1612の黄色粉末(3.0g)を得た。この粉末(3
00mg)をクロロホルム−エーテルで結晶化して、TA
N−1612の結晶(240mg)を得た。
【0048】TAN−1612(790mg)に炭酸水素ナ
トリウム(320mg)を含む水(20ml)を加えた。得られ
た懸濁液にメタノールを加え溶解後、濃縮し凍結乾燥し
てTAN−1612の二ナトリウム塩(885mg)を得
た。その物性は以下のとおりであった。 UV λmax nm(ε)、水中: 227(22,700),274(50,600),405(1
3,000) IR(KBr,cm-1): 3430,1630,1600,1520,1350,12
00,1160,1050,840,770
【0049】13C NMR(75MHz,D2O): 206.2(Q),196.8(Q),195.7(Q),195.
5(Q),177.0(Q),166.8(Q),164.7(Q),
143.1(Q),139.6(Q),117.7(Q),115.
4(Q),114.6(Q),111.5(Q),100.7(C
H),100.1(CH),84.1(Q),75.1(Q),58.
0(CH3),48.7(CH2),41.6(CH2),33.8(C
3) 元素分析:計算値 C21169Na2・2H2Oとして C,51.02;H,4.08;Na,9.30 実測値:C,50.78;H,4.42;Na,9.2
【0050】実施例2 化合物TAN−1652の製造法 ポテト・デキストローズ・ブロス(ディフコ社製、米国)
24g、寒天20gと水1リットルからなる斜面培地上
で、28℃で7日間培養したメタルリジウム属の一菌株
FL−27337株を、2%ブドウ糖、35%麦芽糖、
1.5%生大豆粉、1.0%コーン・スティープ・リカ
ー、0.5%ペプトン、0.3%酵母エキスおよび0.3
%塩化ナトリウムを含む40mlの種培地(pH6.0)に接
種し、200ml容三角フラスコ中で、28℃で48時間
回転振とう機上で培養し、種培養を得た。得られた種培
養液1ml容を200ml容フラスコ内の40mlの1.0%
グリセロール、3.0%麦芽糖、2.0%綿実粉(トレー
ダーズ オイル ミール社製、米国)、1.0%コーン・
スティープ・リカー、0.5%乾燥酵母および0.5%炭
酸カルシウムを含む醗酵培地(pH6.5)に移植し、28
℃で6日間回転振とう機上で培養した。
【0051】得られた培養液(6リットル)をpH2.5に
調整し、酢酸エチル(6リットル)で抽出した。抽出液を
ハイフロスーパーセルで濾過し、有機溶媒層と水層に分
離した。得られた有機溶媒層を2%炭酸水素ナトリウム
水溶液(3リットル)で転溶した。転溶液を0.9リット
ルに濃縮後、pH7.5に調整し、ダイヤイオンHP−2
0(50ml)のカラムクロマトグラフィーに付し、水(1
50ml)、80%メタノール水(200ml)、メタノール
(200ml)で順次溶出した。水(50ml)、80%メタノ
ール水(200ml)、メタノール(100ml)で溶出される
画分を集め濃縮後、pH2.5に調整し、酢酸エチルで抽
出した。抽出液を水洗後、濃縮乾固してTAN−165
2の粗粉末(700mg)を得た。この粗粉末をシリカゲル
(30ml)のカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホ
ルム−メタノール−蟻酸[98:2:2(100ml)、95:
5:2(100ml)、90:10:2(50ml)]で順次溶出分
画した。TLCで単一スポットを与える画分を集め、濃
縮乾固してTAN−1652の黄色粉末(350mg)を得
た。
【0052】TAN−1652(50mg)に炭酸水素ナト
リウム(20mg)を含む水(10ml)を加えた。得られた懸
濁液にメタノールを加えて溶解後、濃縮し凍結乾燥して
TAN−1652の二ナトリウム塩(55mg)を得た。そ
の物性はつぎのとおりであった。 UV λmax nm(ε)、水中: 229(22,300),271(41,300),406(1
1,400) IR(KBr,cm-1): 3430,1630,1500,1410,1350,11
90,116013 C NMR(75MHz,D2O): 195.9(Q),195.6(Q),194.3(Q),177.
3(Q),175.0(Q),167.1(Q),164.8(Q),
143.2(Q),139.8(Q),115.2(CH),11
4.8(Q),111.7(Q) 108.5(Q),100.5(CH),100.1(CH),8
3.9(Q) 75.3(Q),58.1(CH3),48.4(CH2),41.5
(CH2) 元素分析:計算値:C2015NO9Na2・2H2Oとして C,48.50;H,3.87;N,2.83;Na,9.28 実測値:C,48.53;H,4.07;N,2.79;Na,9.
【0053】次に化合物TAN−1612およびTAN
−1652の生物活性試験を示す。 試験例1 ラジオ・リガンド レセプター結合阻害活性試験 [方法]アール・キリオン(R.Qirion)およびシー・ピラ
ピル(C.Pilapil)[ニューロペプタイド(Neuropeptid
e) 、325(1984)]の方法を改変して用いた。受
容体はウイスター ラット(雄、8週齢、チャールス リ
バー社製)の脳から調製した。ラットを断頭によって犠
牲にし、前脳を取り出し、1匹分当り30mlの120m
M塩化ナトリウム、5mM塩化カリウムを含む150mM
トリス塩酸緩衝液(pH7.4)中でポリトロン・ホモゲナ
イザー[キネマチカ(Kinematika)社製、ドイツ]を用い
て破砕し、40,000×gで20分間遠心した。沈渣を
30mlの300mM塩化カリウムと10mMエチレンジア
ミン四酢酸を含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)
中に懸濁し、氷冷下に30分緩やかに攪拌する。懸濁液
を40,000×gで20分間遠心し、沈渣を30mlの5
0mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で洗浄し、受容体標
品として凍結(−80℃)保存した。
【0054】この標品を1.5mg/mlの蛋白濃度になる
ように反応緩衝液[50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
4)、0.02%牛血清アルブミン、1mMフェニールメ
チルスルホニウムフルオリド、2μg/mlキモスタチ
ン、40μg/mlバシトラシン、3mM塩化マンガン]に
懸濁し、100μl容量を反応に使用した。サンプルお
よび125I−BHSP(0.46KBq)を加え、0.2mlの
反応緩衝液中で25℃、30分反応させた。サブスタン
スPをその濃度が2×10-6Mとなるよう添加し、非特
異的結合量を求めた。反応後、セルハーベスター[29
0PHD、ケンブリッジ・テクノロジー・インコーポレ
イション(Cambridge Technology,Inc.)社製、英国]
を用いて、グラスフィルター[GF/B、ワットマン(W
hatman)社製、米国]上に急速濾過して反応を停止し、2
50μlの0.02%牛血清アルブミンを含む50mMト
リス塩酸緩衝液(pH7.4)で3回洗浄し、フィルター上
に残った放射活性をガンマ・カウンターで測定した。フ
ィルターは使用前に0.1%ポリエチレンイミンに一昼
夜浸漬後風乾したものを用いた。 [結果]化合物TAN−1612およびそのナトリウム塩
は、それぞれ0.36および0.40μg/mlで、TAN
−1652およびそのナトリウム塩は、それぞれ0.2
4および0.30μg/mlで50%阻害を示した。
【0055】試験例2 ラットカラゲニン足蹠浮腫試験 [方法] 雄性Jcl:SD系ラット(6週令、体重180−230
g、日本クレア)を1群6匹として用いた。右後肢足蹠部
の容積を測定した後TAN−1612・Na塩を5%ア
ラビアゴム溶液に懸濁し表1の投与量をラットに経口投
与した。なお、非治療対照群には、5%アラビアゴム溶
液を経口投与した。検体投与1時間後に1%カラゲニン
生理食塩水0.05mlを右後肢足蹠に皮下注射して浮腫
を惹起した。これより3時間後再び右後肢足蹠部の容積
を測定した。検体の効果は、カラゲニン注射前と注射後
3時間後の足容積の差を求め、それにより非治療対照群
に対する抑制率で算出した。 [結果]結果を表1に示す。
【0056】
【表1】 投与量 個体数 足容積値 阻害度 化合物 mg/kg、p.o. ml±S.E. % 対照 −− 6 0.470±0.028 −− TAN− 1612 50 6 0.363±0.046 22.8 ・Na塩
【0057】試験例3 ラットカラゲニン胸膜炎試験 [方法] 雄性Jcl:SD系ラット(7週令、体重180−230
g、日本クレア)を1群7−8匹として用いた。0.25
%カラゲニン生理食塩水0.2mlを胸膜内に投与し、4
時間後放血致死させた。開胸し2mlのリン酸緩衝化生理
食塩水で胸膜内を洗浄して浸出液を回収し、浸出液量お
よびそれに含まれる浸潤細胞数を測定した。無処置ラッ
トにおいて2ml生理食塩液注入後の回収液量は1.8±
0.04ml(n=7)であったので各ラットでのリン酸緩衝
化生理食塩水回収液から1.8mlを差し引いた値を浸出
液量とした。浸潤細胞数はコールターカウンター(ZM
型、コールター・エレクトニクス社製)を用いて測定し
た。TAN−1612・Na塩は5%アラビアゴム溶液
に懸濁し表2に示す投与量をカラゲニン投与1時間前に
経口投与した。 [結果]結果を表2に示す。
【0058】
【表2】 投与量 個体 浸出液量(ml/rat) 浸潤細胞数 化合物 数 (×106/rat) mg/kg、p.o. mean±S.E.(%阻害) mean±S.E.(%阻害) 5%アラビ アゴム液 −− 8 1.15±0.05 102±9 TAN− 1612 50 7 0.76±0.09(34)* 69±7(32)** ・Na塩 *p<0.05、**p<0.01
【0059】表1および2から明らかなように、TAN
−1612・Na塩はインビボ(in vivo)抗炎症試験にお
いて有効性を示した。TAN−1612およびTAN−
1652ナトリウム塩について、マウスを用い、静脈内
投与して急性毒性を調べたところ100mg/kgまで死亡
するものは認められなかった。
【0060】本発明のTAN−1612およびTAN−
1652化合物またはその塩は抗炎症作用を有し、毒性
も低く、医薬品として有用な化合物である。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、サブスタンスPの受容
体拮抗活性を有する、抗炎症剤や消炎鎮痛剤として有用
な新規化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TAN−1612の紫外線吸収(UV)スペク
トルを示す。
【図2】 TAN−1612の赤外部吸収(IR)スペク
トルを示す。
【図3】 TAN−1612の13C核磁気共鳴(NMR)
スペクトルを示す。
【図4】 TAN−1652の紫外線吸収(UV)スペク
トルを示す。
【図5】 TAN−1652の赤外部吸収(IR)スペク
トルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 15/00 C12R 1:80) (C12P 15/00 C12R 1:645)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 [式中、Rはメチル基またはアミノ基を示す]で表される
    化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】 ペニシリウム属に属し、請求項1記載の
    式中Rがメチル基である化合物を生産する能力を有する
    微生物を培地中に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄
    積せしめ、これを採取することを特徴とする該化合物ま
    たはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】 メタルリジウム属に属し、請求項1記載
    の式中Rがアミノ基である化合物を生産する能力を有す
    る微生物を培地中に培養し、培養物中に該化合物を生成
    蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする該化合物
    またはその塩の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の化合物またはその塩を含
    有してなる抗炎症剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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