JPH07291992A - 新規化合物b4317 - Google Patents

新規化合物b4317

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JPH07291992A
JPH07291992A JP6089381A JP8938194A JPH07291992A JP H07291992 A JPH07291992 A JP H07291992A JP 6089381 A JP6089381 A JP 6089381A JP 8938194 A JP8938194 A JP 8938194A JP H07291992 A JPH07291992 A JP H07291992A
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JP
Japan
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measured
alteromonas
magnetic resonance
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nuclear magnetic
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JP6089381A
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English (en)
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Hideji Takahashi
秀次 高橋
Hideyuki Shiozawa
秀幸 塩澤
Takeshi Kagasaki
武之 加賀崎
Kentaro Kodama
健太郎 小玉
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗菌作用を有するB4317に関する。 【構成】下記の構造式および理化学的性状等を有するB
4317。 【化1】 【効果】本発明の新規化合物B4317は抗喘息薬、慢
性の抗炎症薬として有用であり、また抗菌作用を有して
いることから、各種細菌に対する抗菌剤として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はロイコトリエンの拮抗作
用物質、B4317の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】ロイコトリエンはアラキドン酸から5−
リポキシゲナーゼをはじめとした酵素群により生合成さ
れる生理活性物質の総称であり、その主な作用として白
血球の活性化、それに伴う白血球の遊走、凝集及び血管
透過性の亢進、さらには、気道平滑筋の収縮、気道分泌
の亢進、胃酸分泌の亢進等が挙げられる。
【0003】このことから、ロイコトリエンは、炎症、
アレルギー、喘息等を引き起こす重要なケミカルメディ
エーターであると考えられている。従って、このロイコ
トリエンの作用に拮抗する物質は抗喘息薬、慢性の抗炎
症薬等の新しい治療薬として使用し得る。
【0004】ロイコトリエン拮抗物質として、数多くの
合成薬の開発が進めてられているが微生物由来の拮抗物
質は報告されていない。
【0005】海水より分離したアルテロモナス(Alterom
onas) 属に属する微生物が、例えば抗腫瘍活性を有する
ビスカベリンを生産することが知られている(特開昭63
-27484号)。このビスカベリンは環状のペプチド化合物
である。
【0006】また、本生産菌は抗生物質チオマリノール
(J.Antibiotics,46 ,1834-1842,1993)を生産することが
知られている。チオマリノールはシュードモン酸とホロ
シンがハイブリッド結合した構造をしている。
【0007】一方、本発明のB4317の構造の特徴で
あるオキザリン環を含む化合物としてはパラバクチン(P
arabactin,Tetrahedron Lett,50,4805-4808(1979))、ア
グロバクチン(Agrobactin,J.Biol.Chem. 254,1860-1865
(1979)) 、ビブリオバクチン(Vibriobactin,J.Biol.Ch
em,259,383-385(1984)) 、フラビバクチン(Fluvibacti
n,J.Biochem.113,538-544(1993))等が報告されている。
これらの化合物の活性は金属とキレートするシデロフォ
アー活性作用を持っているが、これらの化合物がロイコ
トリエンD4と拮抗作用を示すという報告はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、海水よ
り分離したアルテロモナス(Alteromonas) 属に属するSA
NK 70294株の培養物から、即ち、ロイコトリエンの拮抗
物質B4317を見い出して本発明を完成した。
【0009】本化合物は、抗菌剤としても有用である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、 [1]下記の構造式を有するB4317:
【0011】
【化2】
【0012】[2]以下の理化学的性状を有するB43
17: (1) 無色粉末 (2) 分子式:C28H32N4O9 (3) 分子量:568(MS法により測定) (4) 元素分析:(%) 実測値 C,58.51;H,5.64;N,9.76 計算値 C,59.15;H,5.67;N,9.85 (5) 高分解能質量分析:C28H32N4O9(EI-MS法) 実測値 568.2191 計算値 568.2169 (6) 赤外線吸収スペクトル:νmax cm-1 臭化カリウム(KBr) 錠剤法で測定した赤外線吸収スペク
トルは次に示す通りである。
【0013】3327,1743,1685,1638,1609,1541,1491 144
6,1370,1349,1309,1257,1227,1156,1073,755 (7) 紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε) メタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは次に示
す通りである。
【0014】207(5960),240(1980),248(sh),303(1050) (8) 比旋光度:[α]D 25 =−50.2°(c= 1.3,
CHCl3 ) (9) 高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック;ODS H-2151(カラムサ
イズ,φ6 ×150mm,センシュウ科学(KK)製) 溶媒:60%アセトニトリル−40%水 流速:1.5ml/分 保持時間:6.0分 (10)1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm) 重ジメチルスルホキシド中、内部基準にテトラメチルシ
ランを使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(360
MHz)は、次に示す通りである。
【0015】1.40(3H,d,J=6.1Hz),1.48(3H,d,J=6.3Hz),
1.6-1.8(4H,m),3.5-3.6(2H,m),3.65(3H,s),4.38(1H,m),
4.47(1H,m),4.57(1H,d,J=7.8Hz),4.74(1H,d,J=10.4Hz),
4.90(1H,m),6.8-7.7(8H,m),8.72(1H,d,NH),9.18(1H,d,N
H),11.80(1H,s,OH),12.05(1H,s,OH)。
【0016】 (11) 13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ=ppm) 重ジメチルスルホキシド中、内部基準にテトラメチルシ
ランを使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(90MH
z)は、次に示す通りである。
【0017】172.0(s),169.6(s),167.0(s),165.3(s),16
8.8(s),159.6(s),159.1(s),134.1(d),134.0(d),128.2
(d),128.0(d),119.1(d),118.7(d),118.5(d),117.0(d),1
10.2(s),110.0(s),78.8(d),77.9(d),73.3(d),57.2(d),5
1.9(q),51.6(d),44.3(t),27.7(t),23.0(t),20.3(q),16.
6(q)。
【0018】(12)溶解性:メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、酢
酸エチル、アセトン、エチルエーテルに可溶、n−ヘキ
サン、水に不溶。
【0019】(13)呈色反応:硫酸、ヨード、過マンガン
酸カリウムに陽性。
【0020】(14)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.8 吸着剤:シリカゲル(メルク社製,Art.5715) 展開溶剤:CH2Cl2−MeOH( 15:1) [3]アルテロモナス属に属するB4317生産菌を培
養し、その培養物よりB4317を採取することを特徴
とする[1]または[2]記載のB4317の製造法、 [4]アルテロモナス・ラバ・SANK 70294株、に関す
る。
【0021】本発明の前記一般式(I)を有するB43
17はいくつかの不斉炭素原子を有し、それ故、種々の
光学異性体が存在する。本発明においては、これらの異
性体がすべて単一の式で示されているが、ラセミ化合物
を含むこれらの異性体およびこれらの異性体の混合物す
べてが本発明に含まれる。
【0022】本発明の、B4317を生産する上記SANK
70294株は千葉県館山市平砂浦の海岸で採取した褐藻か
ら常法により分離した海洋細菌である。
【0023】B4317の生産菌であるSANK 70294株の
菌学的性状は次の通りである。
【0024】1.形態学的性状 マリンアガー(Difco 社製)上で23℃、24時間培養
後の観察では、細胞は直径0.8−1.0μm 、長さ
2.0−3.6μm の棹状であり、単極毛を有し、運動
する。胞子を形成せず、グラム染色は陰性である。
【0025】2.マリンアガー培養上での生育状態 23℃で24時間培養したコロニーはいくぶん灰色を帯
びた黄色、不透明で円形、扁平状、全縁である。水溶性
の色素を生成しない。
【0026】3.生理学的性状 (1) 海水の要求性:生育に海水を要求する。
【0027】(2) O−F(オキシダティブ−ファーメン
タティブ)テスト[ヒュー・レイフソン(Hugh・Leifson)
法(J.Bact.,66 巻、24-26 頁、(1953 年))、人工海水で
調製]:糖を分解しない。
【0028】(3) オキシダーゼ:+ (4) カタラーゼ:+ (5) 酸素に対する態度:好気的。
【0029】(6) 硝酸塩の還元:− (7) デンプンの加水分解:+ (8) 寒天の分解:− (9) ゼラチンの液化:+ (10)DNase の産生:+ (11)リパーゼの産生:+ (12)生育温度:4℃では微弱に生育し、17−26℃で
は良好な生育を示す。35℃では生育しない。
【0030】(13)栄養要求性:ザ・プロカリオーテス(T
he Prokaryotes) 、2巻、1302-1331頁(1981 年)記載
の基本培地を用いた場合、ビタミンフリーのカザミノ酸
を要求する。
【0031】(14)炭素化合物の利用性:ザ・プロカリオ
ーテス(The Prokaryotes)、2巻、1302-1331 頁(1981
年)記載の基本培地にビタミンフリーのカザミノ酸を
0.1%濃度添加し、振盪培養を行った場合。
【0032】 L−アラビノース:− D−リボース D−キシロース:− D−グルコース:+ D−ガラクトース:− D−フラクトース:− 麦芽糖:+ ショ糖:− トレハロース:+ セロビオース:− メリビオース:− マンニトール:− ソルビトール:− グリセリン:− 酢酸ソーダ:+ プロピオン酸ソーダ:
+ 4.化学分類学的性状 (1) DNA のG+C(グアニン+シトシン含量):41.
3%(HPLC 法) (2) キノン系:ユビキノンQ−8。
【0033】以上の菌学的性状を有するSANK 70294株は
バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バ
クテリオロジー(Bergey's Manual of Systematic Bacte
riology)、1巻(1984年)およびそれ以降に報告された
種々の記載と照合すると、マニュアル・レポート・オブ
・サンキョウ・リサーチ・ラボラトリーズ(Annual Rep
ort of Sankyo Research Laboratories)、45巻、131-
136 頁(1993 年)に報告されているアルテロモナス・ラ
バ(Alteromonas rava)と一致する。それ故、本発明者ら
は本菌をアルテロモナス・ラバ・SANK 70294(Alteromon
as rava SANK 70294) 株と命名した。
【0034】本菌株は、アルテロモナス・ラバ・SANK 7
0294(Alteromonas rava SANK 70294) 株としてブタペス
ト条約に従って通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に国際寄託されている(寄託番号:FERM BP - 464
4、原寄託日:平成6年4月18日)。
【0035】以上、SANK 70294株について説明したが、
周知の如くアルテロモナス属の菌類の諸性質は一定した
ものではなく、自然的、または人工的な操作(例えば、
紫外線照射、放射線照射、化学薬品処理等)により、変
異を起こし易く、本発明のSANK 70294株もこの点は同じ
である。本発明にいうSANK 70294株はそのすべての変異
株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝学
的方法、例えば、組み替え、形質導入、形質転換等によ
り得られたものも包含される。即ち、アルテロモナス属
に属するB4317を生産する、SANK 70294株、その変
異株およびそれらと明確に区別されない菌株は、すべて
SANK 70294株に包含されるものである。
【0036】本発明の新規化合物B4317を得るた
め、これらの微生物の培養は他の発酵生成物を生産する
ために用いられるような培地中で行われる。このような
培地中には、微生物が資化出来る炭素源、窒素源および
無機塩を含有する。
【0037】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等を単一に、ある
いは併用して用いることが出来る。一般には、培地量の
1−10重量%で変量する。
【0038】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、
ファーマミン、魚粉、コーンスチーブリカー、ペプト
ン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキ
ス等の動物系、植物系またはエキス類の窒素源、硝酸ナ
トリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無
機窒素源である。窒素源は、単一または併用して培地量
の0.1−6重量%の範囲で用いる。
【0039】培地中に取り入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、カリウム、マグネシ
ウム、フォスフェート、サルフェート、クロライド、カ
ーボネート等のイオンを得ることの出来る通常の塩類で
ある。また、コバルト、マンガン、ストロンチウム等の
微量の金属、その他ブロマイド、フルオライド、ボレー
ト、シリケート等の微量イオンを得る塩も含む。
【0040】液体培養に際しては、消泡剤としてシリコ
ン油、植物油、海面活性剤等が使用される。
【0041】アルテロモナス・ラバ(Alteromonas rava)
SANK 70294 株を培養しB4317を生産する培地のpH
は、5.0−8.0に変化させることが出来る。
【0042】菌の生育温度は4℃から32℃までである
が17℃から26℃の範囲が生育良好であり、更にB4
317の生産には、20℃から26℃が好適である。
【0043】B4317は、好気的に培養して得られる
が通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、振
盪培養法、通気攪拌培養法等が用いられる。
【0044】小規模な培養においては、20℃から26
℃で数日間振盪培養を行うのが良好である。
【0045】培養は三角フラスコ中で、1−2段階の種
の発育工程により開始する。種発育段階の培地は、炭素
源および窒素源を併用出来る。種フラスコは低温インキ
ュベーター中で23℃、1乃至3日間振盪するか、また
は充分に成長するまで振盪する。成長した種は第二の種
培地、または生産培地に接種するのに用いる。中間の発
育工程を用いる場合には、本質的に同様の方法で成長さ
せ、生産培地に接種するためにそれを部分的に用いる。
接種したフラスコを一定温度で1乃至3日間、または生
産量が最大に達するまで振盪し、インキュベーションが
終わったらフラスコの含有物を遠心分離またはろ過す
る。
【0046】大量培養の場合には、攪拌機、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成出来る。栄養培
地を125℃まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は20
℃乃至26℃で通気攪拌して行う。この方法は、多量の
化合物を得るのに適している。
【0047】培養の経過に伴って生産されるB4317
の量の経時変化は、高速液体クロマトグラフィーを用い
て測定することが出来る。通常は、19時間から96時
間の培養でB4317の生産量は最高値に達する。
【0048】培養終了後、培養液中の液体部分及び菌体
内に存在するB4317は、菌体、その他の固形部分を
珪藻土をろ過助剤とする、ろ過操作または遠心分離によ
って分別し、そのろ液または上清中および菌体中に存在
するB4317を、その物理化学的性状を利用し抽出精
製することにより得られる。例えば、ろ液または、上清
中に存在するB4317は、酸性pH条件下で水と混和し
ない有機溶剤、例えば酢酸エチル、クロロホルム、塩化
エチレン、塩化メチレン等の単独または、それらの組み
合わせにより抽出精製することが出来る。あるいは吸着
剤として、例えば活性炭または吸着用樹脂であるアンバ
ーライトXAD-2 、XAD-4 (ローム・アンド・ハース社
製)等や、ダイアイオンHP-10 、HP-20 、CHP-20、HP-5
0 (三菱化成(株)製)等が使用される。B4317を
含む液を上記のごとき吸着剤の層を通過させて不純物を
吸着させて取り除くか、またはB4317を吸着させた
後、メタノール水、アセトン水、n−ブタノール水等を
用いて溶出させることにより得られる。また、菌体内に
存在するB4317は、50−90%含水アセトンまた
は含水メタノールにより抽出し有機溶剤を除去した後、
ろ液と同様な抽出精製操作を行うことにより得られる。
【0049】このようにして得られたB4317は、更
にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフロリジ
ルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィ
ー、セファデックスLH-20 (ファルマシア社製)等を用
いた分配カラムクロマトグラフィー、および順相、逆相
カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等で精製す
ることが出来る。
【0050】以上の分離、精製の手段を単独または適宜
組み合わせ反復用いることによりB4317を分離精製
することが出来る。
【0051】
【作用】本発明のB4317は、文献未載の新規化合物
であり、ロイコトリエンが持つ多彩な作用に拮抗する作
用を示し、抗喘息薬、慢性抗炎症薬として有用である。
また、抗菌活性を有していることから抗菌剤としても有
用である。
【0052】本発明のB4317を医薬として用いる場
合、常法に従って種々の形態で投与される。その投与形
態としては例えば散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、シ
ロップ剤等の形態で経口的または注射剤(静脈内、筋肉
内、皮下)、点滴剤、座剤、塗布剤、軟膏剤等の形態で
非経口的に安全に投与することが出来る。これらの各種
製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、
滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コ
ーティング剤、希釈剤等の医薬の製剤技術分野において
通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することが
出来る。投与量は対象疾患、投与経路および投与回数等
により異なるが、例えば成人に対しては1日20mgから
2000mgを、症状に応じて1回または数回に分けて投
与するのが好ましい。
【0053】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】実施例1.B4317のジャー培養 A)培養 アルテロモナス・ラバSANK 70294株を、マリンアガース
ラント(Marine Agar Slant、Difco 社製)上で22℃で
3日間培養を行い、それを人工海水3mlに懸濁させ、そ
の0.1mlを無菌的に、滅菌した後述の組成の培地10
0mlを含む500mlの三角フラスコに接種し、23℃
で、200rpm (7cmの回転半径)のロータリー振盪培
養機で48時間培養した。その300mlを無菌的に滅菌
した同様の組成の培地15リットルを含む30リットル
のジャーファーメンター2機に埴菌し、23℃で、通気
(7.5リットル/分)、攪拌(100rpm)下に5日間
培養した。
【0055】 培地組成 グルコース 2.0 % バクトペプトン 3.0 % イーストエキス 0.1 % NaCl 3.0 % MgCl26H2O 1.0 % Na2SO4 0.648 % CaCl22H2O 1.0 % KCl 0.1 % Na2CO3 0.032 % 滅菌前PH 7.2 滅菌 120 ℃ 10分 B)単離 得られた培養液30リットルは、塩酸でpH3に調整し、
アセトン30リットルを添加、0.5時間攪拌しながら
抽出した。抽出液にろ過助剤としてセライト545 (米国
ジョーンズ・マンビル・プロジェクト・コーポレーショ
ン製)1.2kgを加えてろ過を行った。そのろ液55リ
ットルは酢酸エチル30リットルで抽出した。得られた
酢酸エチル層を15リットルの5%重炭酸ナトリウムで
2回、15リットルの飽和食塩水で1回洗浄し、さらに
無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮乾固し
て22.5gの油状物が得られた。
【0056】得られた油状物をシリカゲル400gをメ
チレンクロリドで充填したカラムに、同溶剤に溶解して
吸着させ、次いでメチレンクロリド−酢酸エチル、酢酸
エチル、酢酸エチル−メタノールと順次展開溶媒の極性
を上げて溶出した。溶出液を18mlずつ分画し、酢酸エ
チル−メチレンクロリド(1:1)で溶出したB431
7を含むフラクションを集め、減圧下で濃縮乾固して油
状物13gが得られた。得られた油状物(13g)はセ
ファデックスLH20(1リットル)を用いてクロマトを行
い、メタノールで展開し、B4317を含む粗粉末3g
を得た。最終的には高速液体クロマトグラフィーを用い
て分取を行い純品のB4317(2.2g)を得た。
【0057】高速液体クロマトグラフィーの条件 カラム(センシュウ科学社製):ODS 、H-4251(φ10
×250mm) 展開溶媒:60%アセトニトリル−40%蒸留水 流速 :5ml/分 分取時間:5分〜7分に出るピークを集めた。
【0058】
【発明の効果】
試験例1.B4317の抗菌作用 一般グラム陽性および陰性細菌に対するB4317の最
小阻止濃度(MIC)は、普通寒天培地(栄研化学(株)
製)を用いた寒天培地希釈法によって測定した。
【0059】結果を表1に示す。
【0060】
【表1】 ────────────────────────────────── 被 検 菌 最小阻止濃度(MIC)(μg/ml) ────────────────────────────────── スタフィロコッカス アウレウス 209P 25 スタフィロコッカス アウレウス 56R 100 スタフィロコッカス アウレウス 535(MRSA) 50 エンテロコッカス フェカリス 681 > 200 エシェリシア コリ NHIJ > 200 エシェリシア コリ 609 > 200 サルモネラ エンテリティディス > 200 クレブシェラ ニューモニエ 806 > 200 クレブシェラ ニューモニエ 846(R) > 200 エンテロバクタ クロアカエ 963 > 200 セラチア マルセセンス 1184 > 200 プロテウス ブルガリス 1420 > 200 モルガネラ モルガニー 1510 > 200 シュードモナス エルギノーザ 1001 > 200 シュードモナス エルギノーザ NO7 > 200 ────────────────────────────────── 表1から明らかのごとく、B4317はスタフィロコッ
カス・アウレウスに対して効果を示した。
【0061】試験例2.B4317のロイコトリエンに
対する拮抗作用 ロイコトリエンD4は、回腸に対し収縮作用を有すること
が知られている。B4317が、このロイコトリエンD4
の回腸収縮作用に対し拮抗作用を示すか否かについて調
べた。
【0062】モルモットより摘出した回腸部、約1.5
cmを切り出し、マグヌス槽内(20ml) に懸濁した。初め
に、ロイコトリエンD4(10-9 〜10-11 g/ml) によりこの
回腸部が収縮することを確認した。その後、この回腸部
を洗浄し、さまざまな濃度のB4317溶液を添加し
た。3分後にトリコトリエンD4を添加し、収縮高を測定
して、B4317無添加の場合の収縮高と比較した。
【0063】B4317は10μg/mlの濃度で、ロイコ
トリエンD4による回腸部の収縮を100%阻害した。
【0064】以上から、本発明の新規化合物B4317
は抗菌作用を有していることから、各種細菌に対する抗
菌剤として有用である。また、抗喘息薬、慢性の抗炎症
薬としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 38/00 ABE ACD ADZ (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12P 21/02 C12R 1:01) A61K 37/02 ADZ (72)発明者 小玉 健太郎 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造式を有するB4317。: 【化1】
  2. 【請求項2】以下の理化学的性状を有するB431
    7。: (1) 無色粉末 (2) 分子式:C28H32N4O9 (3) 分子量:568(MS法により測定) (4) 元素分析:(%) 実測値 C,58.51;H,5.64;N,9.76 計算値 C,59.15;H,5.67;N,9.85 (5) 高分解能質量分析:C28H32N4O9(EI-MS法) 実測値 568.2191 計算値 568.2169 (6) 赤外線吸収スペクトル:νmax cm-1 臭化カリウム(KBr) 錠剤法で測定した赤外線吸収スペク
    トルは次に示す通りである。 3327,1743,1685,1638,1609,1541,1491 1446,1370,1349,
    1309,1257,1227,1156,1073,755 (7) 紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε) メタノール中で測定した紫外線吸収スペクトルは次に示
    す通りである。 207(5960),240(1980),248(sh),303(1050) (8) 比旋光度:[α]D 25 =−50.2°(c= 1.3,
    CHCl3 ) (9) 高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック;ODS H-2151(カラムサ
    イズ,φ6 ×150mm,センシュウ科学(KK)製) 溶媒:60%アセトニトリル−40%蒸留水 流速:1.5ml/分 保持時間:6.0分 (10)1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm) 重ジメチルスルホキシド中、内部基準にテトラメチルシ
    ランを使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(360
    MHz)は、次に示す通りである。 1.40(3H,d,J=6.1Hz),1.48(3H,d,J=6.3Hz),1.6-1.8(4H,
    m),3.5-3.6(2H,m),3.65(3H,s),4.38(1H,m),4.47(1H,m),
    4.57(1H,d,J=7.8Hz),4.74(1H,d,J=10.4Hz),4.90(1H,m),
    6.8-7.7(8H,m),8.72(1H,d,NH),9.18(1H,d,NH),11.80(1
    H,s,OH),12.05(1H,s,OH)。 (11) 13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm) 重ジメチルスルホキシド中、内部基準にテトラメチルシ
    ランを使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(90MH
    z)は、次に示す通りである。 172.0(s),169.6(s),167.0(s),165.3(s),168.8(s),159.6
    (s),159.1(s),134.1(d),134.0(d),128.2(d),128.0(d),1
    19.1(d),118.7(d),118.5(d),117.0(d),110.2(s),110.0
    (s),78.8(d),77.9(d),73.3(d),57.2(d),51.9(q),51.6
    (d),44.3(t),27.7(t),23.0(t),20.3(q),16.6(q)。 (12)溶解性:メタノール、エタノール、プロパノール、
    ブタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、
    ジメチルホルムアミド、クロロホルム、酢酸エチル、ア
    セトン、エチルエーテルに可溶、n−ヘキサン、水に不
    溶。 (13)呈色反応:硫酸、ヨード、過マンガン酸カリウムに
    陽性。 (14)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.8 吸着剤:シリカゲル(メルク社製,Art.5715) 展開溶剤:CH2Cl2−MeOH( 15:1)
  3. 【請求項3】アルテロモナス属に属するB4317生産
    菌を培養し、その培養物よりB4317を採取すること
    を特徴とする請求項1または2記載のB4317の製造
    法。
  4. 【請求項4】アルテロモナス・ラバ・SANK 70294株。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6638957B1 (en) * 1999-05-03 2003-10-28 Jomaa Pharmaka Gmbh Use of compounds with a nitrogen-oxygen heterocycle

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