JPH1180121A - 新規化合物f−10778 - Google Patents

新規化合物f−10778

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JPH1180121A
JPH1180121A JP23663597A JP23663597A JPH1180121A JP H1180121 A JPH1180121 A JP H1180121A JP 23663597 A JP23663597 A JP 23663597A JP 23663597 A JP23663597 A JP 23663597A JP H1180121 A JPH1180121 A JP H1180121A
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JP
Japan
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culture
tapesia
compound
salt
strain
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Pending
Application number
JP23663597A
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English (en)
Inventor
Hideji Takahashi
秀次 高橋
Shunichi Miyakoshi
俊一 宮越
Takeshi Hosoya
剛 細矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
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Publication of JPH1180121A publication Critical patent/JPH1180121A/ja
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  • Pyrrole Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、抗真菌活性を有する化合物またはそ
の塩を提供する。 【解決手段】 式 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗真菌剤として有用
なF−10778またはその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエン、特にヘプタエンを持つ化合物
としては放線菌、ストレプトミセス属(Streptomyces)が
生産するアンホテリシンB(Amphotericin B: Antibiot.
Ann. 587頁(1955 年) )が抗真菌剤として使用されてい
る。又、テトラミン酸誘導体としては、例えば放線菌、
ストレプトミセス属が生産するリディカマイシン(Lydic
amycin, J.Antibiotics, 44 巻,282 −287 頁(1991
年) ) が知られており、抗菌活性物質として報告されて
いる。
【0003】現在まで盤菌類のタペシア属が、ヘプタエ
ン構造を有するテトラミン酸誘導体を生産するという報
告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、抗真菌
活性を有する化合物について長年、鋭意研究を行った結
果、タペシア(Tapesia) に属する菌株の培養物中に、抗
真菌活性を有する化合物が存在することを見出し、本発
明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)式
【0006】
【化2】
【0007】を有するF−10778またはその塩、に
関する。
【0008】また、本発明は、(2)タペシア(Tapesi
a) 属に属するF−10778生産菌を培養し、その培
養物よりF−10778を採取することからなるF−1
0778の製法、更に詳細には、(3)タペシア属に属
するF−10778生産菌がタペシア・エスピー(Tapes
iasp.) SANK18896株(FERM BP−60
90)である(2)に記載の製法、に関する。
【0009】また、本発明は、(4)F−10778ま
たはその薬理上許容される塩からなる医薬、更に詳細に
は、(5)F−10778またはその薬理上許容される
塩を有効成分とする真菌感染症の予防薬または治療薬、
に関する。
【0010】本発明はさらに、(6)タペシア・エスピ
ー(Tapesia sp.) SANK 18896株(FERMB
P−6090)に関する。
【0011】本発明のF−10778は、下記の理化学
的性状を有する。 (1)物質の性状:酸性脂溶性粉末 (2)分子式:C2833NO6 (3)分子量:479(高分解能FAB−MS法により
測定) 高分解FAB−MS(M+H+ )(C2834NO6 とし
て) 実測値:480.2346 計算値:480.2386 (4)元素分析値:(%) C2834NO6 ・3H2
として 実測値:C 61.96、H 6.44 、N 2.27 計算値:C 63.02、H 7.37 、N 2.62 (5)比旋光度:[α]D 25 +1.5°(c 0.4、
メタノール) (6)紫外線吸収スペクトル(λmaxnm(ε)):紫外線吸
収スペクトルは、次に示す通りである。50%メタノー
ル中,酸性メタノール中,アルカリ性メタノール中共: 233(10700), 277(18400), 340(Sh), 455(90400) (7)赤外線吸収スペクトル:νmaxcm-1 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
ペクトルは、次に示す通りである。 3401, 1700(sh), 1627, 1580, 1565, 1469, 1378, 130
0, 1278, 1233,1189, 1011 (8)1 H−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重ジメチルホルムアミド中、テトラメチルシランを内部
基準として使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(3
60MHz )は、次に示す通りである。 0.85(3H, d, J=7.2 Hz), 0.85(3H, d, J=6.8 Hz), 0.92
(3H, d, J=7.2 Hz), 1.09(1H, m), 1.40(1H, m), 1.55
(1H, m), 2.92(1H, m, J=7.2 Hz), 3.3(2H, brs), 3.45
(1H, m), 4.45(1H, OH) 6.09(1H, d, J=15.5 Hz), 6.39(1H, d, 15.0 Hz), 6.54
(7H, m),6.75(1H, dd, J1=15.0 Hz, J2=11.0 Hz),6.85
(1H, dd, J1=15.0 Hz, J2=11.0 Hz),7.21(1H, dd, J1=1
5.0 Hz, J2=11.0 Hz),6.93(1H, dd, J1=15.5 Hz, J2=1
1.5 Hz), (9)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重ジメチルホルムアミド中、テトラメチルシランを内部
基準として使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(9
0MHz )は、次に示す通りである。 11.7(q), 13.8(q), 16.2(q), 21.9(t), 36.6(d), 47.2
(d), 49.6(t),76.3(d), 99.4(s), 128.4(d), 129.2(d),
131.7(d), 131.9(d), 132.7(d)x2, 135.1(d), 136.2
(d), 136.9(d), 137.0(d), 140.4(d), 141.3(d), 141.4
(d), 143.3(d), 175.1(s), 185.2(s), 193.4(s), 196.5
(s), 203.0(s), (10)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック ODS H−2151
(登録商標、カラム φ6×150mm、センシュウ科
学(株)社製) 移動層 :アセトニトリル−0.02Mリン酸バッファー
(pH6.8)=4:6 流 速 :1.5ml/分 保持時間 :6.90分。
【0012】本発明のF−10778は、常法に従って
塩にすることができる。F−10778の塩としては、
医学的に使用され、薬理上受け入れられるものであれば
特に限定はない。なお、医薬以外の用途、例えば中間体
として使用する場合はなんら限定はない。その様な塩と
しては、好適にはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム
塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウ
ム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄
塩、亜鉛塩、銅鉛、ニッケル塩、コバルト塩等の金属
塩;アンモニウム塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジ
ルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニル
グリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N
−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン
塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、
N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロ
カイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−
ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラ
メチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;を挙げるこ
とができる。薬理上許容される塩として好適にはナトリ
ウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属
塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土
類金属塩である。
【0013】更に、本発明のF−10778は種々の立
体異性体を有する。本発明においては、これらの異性体
の等量および非等量混合物がすべて単一の式で示されて
いる。従って、本発明においてはこれらの異性体および
これらの異性体の混合物をもすべて含むものである。
【0014】更に本発明において、F−10778が溶
剤和物(例えば水和物)を形成する場合には、これらも
すべて含むものである。
【0015】例えば、本発明のF−10778が、大気
中に放置されたり、または再結晶をすることにより、水
分を吸収し、吸着水が付着したり、水和物を形成する場
合がある。本発明にはこのような溶剤和物も含まれる。
【0016】更に本発明において、生体内において代謝
されてF−10778に変換される化合物、いわゆるプ
ロドラッグもすべて含むものである。
【0017】本発明の新規化合物F−10778を生産
する上記SANK18896株は茨城県筑波山において
採取された腐朽木上に生じていた盤菌類の子実体から分
離したものである。
【0018】SANK18896株の菌学的性状は次の
通りである。即ち、子嚢盤は暗褐色の子実体形成菌糸層
上に生じ、無柄で基部で広く付着し、その直径は約2m
mである。子実層は平坦で平滑であり、幾分透明感ある
灰色を呈するが、乾燥時には灰色となる。縁は明瞭であ
り、子実層表面よりもやや濃色を呈し、乾燥時には隆起
しない。子実体形成菌系層は、絡み合った褐色の菌糸か
らなり、その幅は3−5μmである。托外皮層は大きさ
5−7.5×7.5−13μmの細胞からなる多角菌組
織であり、細胞は厚壁で、外側の列だけが褐色である。
その内側には2−2.5×25−32μmの細胞から成
る矩形菌組織が表面に沿って存在する。最外層の細胞
は、子実体形成菌糸層に変化する。子嚢は八胞子を含
み、不明瞭なかぎ型構造より発生し、その先端はヨード
試薬により染色されることはなく、大きさは70−10
0×8−10μmである。子嚢胞子は5.5−7×2.
5−5μmであり、楕円形で真直ぐかやや湾曲し、無隔
壁で無色である。側糸は円筒形で幅2.5μm、無隔壁
で先端は鈍頭である。
【0019】SANK18896株の培養下での菌学的
性状は次の通りである。PDA上でのコロニーは12
日、23℃で23−25mmに達する。気菌糸はよく発
達し、中央部で深い綿毛状を呈し、縁へむかって徐々に
疎となる。中央部の菌糸は黄褐色から暗褐色であり、黄
色の色素が寒天中に拡散する。
【0020】本菌の以上のような菌学的性状は、Aebi(1
972)に記載されているTapesia(Pers.:Fr.)Fuckel属のそ
れによく合致する。Tapesia 属は約80種を含み、分類
学的研究が遅れており、総括的な分類学的研究が必要と
されている属である。従って、現時点では種レベルの同
定を行うのは不適切と考えられる。よって、種レベルの
同定を保留し、本菌をTapesia sp. と同定した。
【0021】尚、SANK18896株は、タペシア・
エスピー SANK18896株として、平成9年 8
月29日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所に寄託され、受託番号 FERM BP−6090が
付された。
【0022】周知の通り、盤菌類は自然界において、ま
たは人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、
化学薬品処理等)により、変異を起こしやすく、本発明
のSANK18896株もその点は同じである。本発明
にいうSANK18896株はその全ての変異株を包含
する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、例
えば、組み換え、形質導入、形質転換等により得られた
ものも包含される。即ち、F−10778を生産するS
ANK18896株、それらの変異株およびそれらと明
確に区別されない菌株は全てSANK18896株に包
含される。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のF−10778を得るた
め、これらの微生物の培養は他の発酵生成物を生産する
ために用いられるような培地中で行なわれる。このよう
な培地中には、微生物が資化出来る炭素源、窒素源およ
び無機塩を含有する。
【0024】一般に、炭素源としてはグルコース、フラ
クトース、マルトース、シュークロース、マンニトー
ル、グリセリン、デキストリン、オート麦、ライ麦、ト
ウモロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大
豆油、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等をあげること
ができる。これらの炭素源は当該培地に単独で用いても
よいし、同培地にいくつかの炭素源を組み合わせて用い
ることもできる。
【0025】培地に用いる炭素源の正確な量は、培地中
の他の成分にもよるが、通常、培地量の1−10重量%
で変量する。
【0026】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、
ファーマミン、魚粉、コーンスチーブリカー、ペプト
ン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキ
ス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム等である。いろいろの窒素源は、0.2−6重量%
の範囲の量で、単独にまたは組み合わせて用いることが
できる。
【0027】炭素源および窒素源は、一般に組み合わせ
て用いるが、純粋な形態である必要がない。微量の生育
因子、ビタミンおよび鉱物栄養を含むより純度の低いも
のを用いてもよい。また、ナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェー
ト、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオ
ンを得ることの出来る通常の塩類を培地中に加えてもよ
い。また、菌の資化しうる硫黄化合物を培地に添加する
と、目的物の生成量が増大する場合がある。例えば、硫
酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸アンモニウムのよう
な硫酸塩、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、
亜硫酸アンモニウムのような亜硫酸塩等の無機硫黄化合
物;シスチン、システィン、L−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸のような含硫アミノ酸、ヒポタウリン、グルタ
チオンのような含硫ペプチド等の有機硫黄化合物、ビタ
ミンB1 、ビオチンのようなビタミン類、サイアミンの
ような菌体増殖促進物質等も必要に応じて添加してもよ
い。また、マンガン、モリブデン、その他の金属塩が含
まれる。更に必要ならば、特に、栄養培地がかなり泡立
つならば、シリコンオイル、ポリアルキレングリコール
エーテル、植物油、動物油、界面活性剤のような消泡剤
を培地に添加しても良い(特に、液体培養に際しては、
好適である)。
【0028】タペシア・エスピー SANK18896
株を培養し、F−10778を生産する培地のpHは、
5.0−7.0に変化させることが出来る。
【0029】菌の生育温度は15℃から37℃までであ
るが、22℃から35℃の範囲が生育良好であり、更に
F−10778の生産には、22℃から26℃が好適で
ある。
【0030】培養方法としては、特に制限はなく、微生
物一般に用いられる培養法であればよく、攪拌培養法、
振盪培養法、通気培養法等を使用することができる。好
適には、好気的な液体培養法である攪拌培養法、振盪培
養法、または通気培養法であり、更に好適には、振盪培
養法である。なお、工業的には、通気攪拌培養法が好適
である。
【0031】小規模な培養においては、23℃で数日
間、振盪培養を行なうのが良好である。培養は三角フラ
スコ中で、1−2段階の種の発育工程により開始する。
種の発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併用出来
る。種フラスコは定温インキュベーター中で23℃、7
日間振盪するか、または充分に成長するまで振盪する。
成長した種は、第二の種培地または生産培地に接種する
のに用いる。中間の発育工程を用いる場合には、本質的
に同様の方法で成長させ、生産培地に接種するためにそ
れを部分的に用いる。接種したフラスコを一定温度で数
日間振盪し、インキュベーションが終わったらフラスコ
の含有物を遠心分離またはろ過する。
【0032】大量培養の場合には、攪拌後、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成できる。栄養培
地を121℃まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は23
℃で通気攪拌して行う。この方法は、多量の化合物を得
るのに適している。
【0033】培養の経過に伴って生産されるF−107
78の量の経時変化は、高速液体クロマトグラフィーを
用いて測定することができる。通常は、120時間から
200時間の培養でF−10778の生産量は最高値に
達する。
【0034】培養終了後、培養液中の液体部分および菌
体内に存在するF−10778は、菌体、その他の固形
部分を珪藻土をろ過助剤とするろ過操作または遠心分離
によって分別し、そのろ液または上清中および菌体中に
存在するF−10778を、その物理化学的性状を利用
し抽出精製することにより得られる。例えば、ろ液また
は上清中に存在するF−10778は、酸性pH条件下
で水と混和しない有機溶剤、例えば酢酸エチル、クロロ
ホルム、塩化エチレン、塩化メチレン、ブタノール等の
単独または、それらの組み合わせにより抽出精製するこ
とができる。あるいは吸着剤として、例えば活性炭また
は吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD
−4(登録商標、ローム・アンド・ハース社製)等や、
ダイアイオンHP−10、HP−20、CHP−20、
HP−50(登録商標、三菱化学(株)社製)等が使用
される。F−10778を含む液を上記のごとき吸着剤
の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、また
はF−10778を吸着させた後、メタノール水、アセ
トン水、ブタノール水等を用いて溶出させることにより
得られる。また、菌体内に存在するF−10778は、
50−90%の含水アセトンまたは含水メタノールによ
り抽出し有機溶剤を除去した後、ろ液と同様な抽出精製
操作を行なうことにより得られる。
【0035】このようにして得られたF−10778
は、更にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフ
ロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラ
フィー、セファデックスLH−20(登録商標、ファル
マシア社製)等を用いた分配カラムクロマトグラフィ
ー、コスモシール140C18−OPN(登録商標、ナカ
ライテスク(株)社製)等の逆相担体を用いたカラムク
ロマトグラフィーおよび順相、逆相カラムを用いた高速
液体クロマトグフィー等で精製することができる。
【0036】以上の分離、精製の手段を単独または適宜
組み合わせ反復用いることによりF−10778を分離
精製することができる。
【0037】本発明のF−10778は抗真菌作用を有
し、真菌感染症の予防薬または治療薬として有用であ
る。
【0038】本発明のF−10778を真菌感染症の予
防薬または治療薬として用いる場合、種々の形態で投与
される。その投与形態としては特に限定はなく、各種製
剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等
に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒
剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカ
プセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合
には単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液
と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で
筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の
場合には直腸内投与される。
【0039】これらの各種製剤は、常法に従って主薬に
賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、矯味矯臭
剤、コーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常
使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができ
る。
【0040】錠剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、澱粉、
炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメ
チルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸
カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥澱
粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン
末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等
の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加
油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル
硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の
保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、
硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示で
きる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、
例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコ
ーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができ
る。
【0041】丸剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
ブドウ糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリ
ン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント
末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カ
ンテン等の崩壊剤等が例示できる。
【0042】坐剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、
高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセ
ライド等を挙げることができる。
【0043】注射剤として調製される場合には、液剤お
よび懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ま
しく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形する
に際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されて
いるものを全て使用でき、例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリル
アルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、
ボリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙
げることができる。尚、この場合、等張性の溶液を調製
するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医
薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助
剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0044】更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、
風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0045】上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物
の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通
常全組成物中1−70重量%、好ましくは1−30重量
%含まれる量とするのが適当である。
【0046】その投与量は症状、年齢、体重、投与方法
および剤形等によって異なるが通常は成人に対して1
日、上限として2000mg、(好ましくは200m
g、更に好ましくは20mg)であり、下限として0.
001mg(好ましくは0.01mg、更に好ましくは
0.1mg)を投与することができる。
【0047】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0048】実施例 1 F−10778 (1)培養 タペシア・エスピー SANK18896株(受託番号
FERM BP−)を、無菌的に滅菌(121℃、2
0分間)した後述の組成から成る培地500mlを含む
2000ml容三角フラスコに一白金耳接種し、23
℃で210rpm(7cmの回転半径)のロータリー振
盪培養機で8日間培養した。このようにして得られた培
養液を種培養液として、同じ組成の培地 15Lを含む
30L容ジャー培養機に3%の種培養液を植菌して、
23℃で100〜165rpm、DO5.0ppmで7
日間培養した。
【0049】
【表1】 培地組成 ─────────────────────────────── グリセリン 50 g 生ジャガイモ 50 g マルトエキス(Difco) 5 g イーストエクストラクト(Difco 社製) 5 g 消泡剤* 0.1 ml 水道水 1000 ml ─────────────────────────────── pH 6.5(滅菌前) *ニッサン・ディスフォームCB−442(登録商標、日本油脂(株)社 製)。
【0050】(2)単離精製 得られた培養終了液29Lを濾過助剤(セライト54
5:セライトコーポレーション)を最終濃度が5%にな
るように加えて濾過を行い、菌体を含むケーキ(4.8
Kg)に80%アセトン水25Lを加えて、攪拌した。
濾過後、濾液を濃縮した。濃縮液(約10L)に酢酸エ
チル(25L)を加えて、pHを3.0に調整し、抽出
した。下層は再度酢酸エチル(25L)を加えて抽出し
た。酢酸エチル抽出液を合わせて、水、食塩水で洗浄
後、濃縮した(2.6L)。その内1Lを用いて以下の
精製を行った。
【0051】酢酸エチル濃縮液(1L)にコスモシール
(100g)を加えて濃縮、乾燥を行い、コスモシール
にまぶした。まぶしたコスモシールを別に用意したコス
モシールカラム(6.5×50cm)に重層した。この
カラムを50%メタノール水で展開した。以下の条件で
分析用HPLCを行い、F−10778物質の溶出され
る画分を集め濃縮した。
【0052】 分離カラム:センシュウパック ODS H−2151
(登録商標、カラム φ6×150mm、センシュウ科
学(株)社製) 移動層 :アセトニトリル−0.02Mリン酸バッファー
(pH6.8)=4:6 流 速 :1.5ml/分 保持時間 :6.90分 最終的に凍結乾燥を行い、1.1gの精製標品を得た。
【0053】
【試験例】試験例1 F−10778の抗真菌作用 抗真菌活性(MIC80)は次の方法に従って測定した。
即ち、0.165MのMOPSバッファー(3-[N- モル
フォリノ] プロパンスルホン酸:シグマ社製)を含むR
PMI1640培地を用いて96穴マイクロタイタープ
レートによるブロス希釈法で測定した(J. Med. Mycol,
36 巻 61-86 頁 (1995) )。抗細菌活性はミューラー
・ヒントン培地 (Mueller-Hinton medium :30% ビーフ
・インフェージェン、1.75% カザミノ酸、0.15% 可溶性
デンプンいずれもディフコ社製)を用いて上と同様の方
法で測定した。
【0054】結果を以下の表2に示す。
【0055】
【表2】 F-10778の抗真菌活性 (MIC80(μg/ml) ) ────────────────────────────────── Strain MIC80(μg/ml) ──────────── F−10778 ────────────────────────────────── Candida albicans ATCC90028 2 Candida albicans ATCC90029 2 Candida albicans ATCC64550 2−4 Candida parapsilosis ATCC90018 2−4 Candida tropicalis SANK59263 2 Cryptococcus neoformans SANK59863 16−32 Staphylococcus aureus SANK70668 >64 Escherichia coli SANK70569 >64 Aspergillus fumigatus SANK10662 8−16 ────────────────────────────────── ATCC 64550株はフルコナゾール耐性株(フルコナゾール
に対してMIC80=16μg/ml)である。表2から明らかのご
とく、F−10778は一般グラム陽性細菌および陰性
菌に対しては効果がなく、フルコナゾール耐性株を含め
たカンジダに対して効果を示している。
【0056】製剤例 次に、製剤例をあげる。
【0057】製剤例1 経口用カプセル剤
【0058】
【表3】 処方 F−10778 30 mg 乳糖 170 mg トウモロコシ澱粉 150 mg ステアリン酸マグネシウム 2 mg ─────────────────────────── 352 mg 上記処方の粉末を混合し、30メッシュのふるいを通し
た後、この粉末をゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤
とする。
【0059】
【発明の効果】発明の新規化合物F−10778または
その塩は抗真菌作用を示し、各種真菌感染症の予防また
は治療薬として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:645) (C12P 17/10 C12R 1:645)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 を有するF−10778またはその塩。
  2. 【請求項2】下記の理化学的性状: (1)物質の性状:酸性脂溶性粉末 (2)分子式:C2833NO6 (3)分子量:479(高分解能FAB−MS法により
    測定) 高分解FAB−MS(M+H+ )(C2834NO6 とし
    て) 実測値:480.2346 計算値:480.2386 (4)元素分析値:(%) C2833NO6 ・3H2
    として 実測値:C 61.96、H 6.44 、N 2.27 計算値:C 63.02、H 7.37 、N 2.62 (5)比旋光度:[α]D 25 +1.5°(c 0.4、
    メタノール) (6)紫外線吸収スペクトル(λmaxnm(ε)):紫外線吸
    収スペクトルは、次に示す通りである。50%メタノー
    ル中,酸性メタノール中,アルカリ性メタノール中共: 233(10700), 277(18400), 340(Sh), 455(90400) (7)赤外線吸収スペクトル:νmaxcm-1 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
    ペクトルは、次に示す通りである。 3401, 1700(sh), 1627, 1580, 1565, 1469, 1378, 130
    0, 1278, 1233,1189, 1011 (8)1 H−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重ジメチルホルムアミド中、テトラメチルシランを内部
    基準として使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(3
    60MHz )は、次に示す通りである。 0.85(3H, d, J=7.2 Hz), 0.85(3H, d, J=6.8 Hz),0.92
    (3H, d, J=7.2 Hz), 1.09(1H, m), 1.40(1H, m), 1.55
    (1H, m),2.92(1H, m, J=7.2 Hz), 3.3(2H, brs), 3.45
    (1H, m), 4.45(1H, OH) 6.09(1H, d, J=15.5 Hz), 6.39(1H, d, 15.0 Hz), 6.54
    (7H, m),6.75(1H, dd, J1=15.0 Hz, J2=11.0 Hz),6.85
    (1H, dd, J1=15.0 Hz, J2=11.0 Hz),7.21(1H, dd, J1=1
    5.0 Hz, J2=11.0 Hz),6.93(1H, dd, J1=15.5 Hz, J2=1
    1.5 Hz), (9)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重ジメチルホルムアミド中、テトラメチルシランを内部
    基準として使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(9
    0MHz )は、次に示す通りである。 11.7(q), 13.8(q), 16.2(q), 21.9(t), 36.6(d), 47.2
    (d), 49.6(t),76.3(d), 99.4(s), 128.4(d), 129.2(d),
    131.7(d), 131.9(d),132.7(d)x2, 135.1(d), 136.2
    (d), 136.9(d), 137.0(d), 140.4(d),141.3(d), 141.4
    (d), 143.3(d), 175.1(s), 185.2(s), 193.4(s),196.5
    (s), 203.0(s), (10)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック ODS H−2151
    (登録商標、カラム φ6×150mm、センシュウ科
    学(株)社製) 移動層 :アセトニトリル:0.02 Mリン酸バッファー
    (pH6.8)=4:6 流 速 :1.5ml/分 保持時間 :6.90分、 を有するF−10778またはその塩。
  3. 【請求項3】タペシア(Tapesia) 属に属するF−107
    78生産菌を培養し、その培養物よりF−10778を
    採取することを特徴とするF−10778の製法。
  4. 【請求項4】タペシア属に属するF−10778生産菌
    がタペシア・エスピー(Tapesia sp.) SANK 188
    96株(FERM BP−6090)である請求項3に
    記載の製法。
  5. 【請求項5】F−10778またはその薬理上許容され
    る塩からなる医薬。
  6. 【請求項6】F−10778またはその薬理上許容され
    る塩を有効成分とする真菌感染症の予防薬または治療
    薬。
  7. 【請求項7】タペシア・エスピー(Tapesia sp.) SAN
    K 18896株(FERM BP−6090)。
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