JPH11349520A - 新規fo−6903a,b物質およびその製造法 - Google Patents

新規fo−6903a,b物質およびその製造法

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JPH11349520A
JPH11349520A JP16311498A JP16311498A JPH11349520A JP H11349520 A JPH11349520 A JP H11349520A JP 16311498 A JP16311498 A JP 16311498A JP 16311498 A JP16311498 A JP 16311498A JP H11349520 A JPH11349520 A JP H11349520A
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formula
substance
substances
compound
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JP16311498A
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Satoshi Omura
智 大村
Tsukasa Matsumoto
司 松本
Hiroshi Koda
洋 供田
Rokuro Masuma
碌郎 増間
Kazuro Shiomi
和朗 塩見
Haruki Yamada
陽城 山田
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Kitasato Institute
Original Assignee
Kitasato Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インターロイキン1ベータ変換酵素阻害作用
およびスフインゴミエリナーゼ阻害作用を有する新規な
構造の生理活性物質FO−6903A,B物質およびそ
の製造法を得る。 【解決手段】 トリコデルマ属に属するFO−6903
A,B物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養
し、その培養物中にFO−6903A,B物質を蓄積せ
しめ、該培養物からFO−6903A物質および/また
はFO−6903B物質を採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規FO−6903
A,B物質およびその製造法に関する。更に詳しくは、
インターロイキン1ベータ(IL−1β)変換酵素(I
nterleukin−1 β converting
enzyme,以下ICEと略称する)阻害作用および
スフインゴミエリナーゼ阻害作用を有する新規FO−6
903A,B物質およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】慢性関節リウマチは、関節滑膜に生じる
原因不明の慢性かつ進行性の炎症性疾患である。現在、
慢性関節リウマチの治療には、アスピリン、インドメタ
シン、ロキソプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症剤
や、D−ペニシラミン、ブシラミン、オーラノフェンな
どの免疫調節剤、ミゾリビンなどの免疫抑制剤、プレド
ニゾロンなどのステロイド剤が使用されている。
【0003】これらの薬剤はいずれも疼痛や炎症等の症
状を緩和させるが、しかし単独投与で効果を発揮するわ
けではなく、対症的に複数の薬剤が使用されている。ま
た非ステロイド性抗炎症剤や免疫調節剤は、初期の慢性
関節リウマチに対して効果的であるが、症状が進行した
患者に対しては効果が弱くなる傾向があり、さらに免疫
抑制剤やステロイド剤は副作用が強く、長期投与に適さ
ない。このような背景から、新しい作用メカニズムの抗
慢性関節リウマチ剤の開発が望まれているが、未だにそ
のような作用機構に基づく医薬品の開発には至っていな
い。
【0004】慢性関節リウマチ患者関節液中や滑膜細胞
培養液中では、炎症性サイトカインであるIL−1の活
性が高いことが認められている。また、慢性関節リウマ
チ患者関節液にはIL−1βが優位に存在していること
から、IL−1βが慢性関節リウマチの発症主因の1つ
と考えられている〔Miyasaka N.et a
l.Arthritis Rheum.31,480
(1988)、ArendW.P.and Dayer
J.M.Arthritis Rheum 33,3
05(1990)〕。またIL−1βは不活性型の前駆
体タンパク質として生合成され、ICEの作用を受けて
活性型となり、分泌される。従って、ICEを阻害する
ことによって、慢性関節リウマチの治療効果が期待され
る。
【0005】さらに、IL−1βが標的細胞の受容体に
結合し、その後、細胞内においてシグナル伝達されると
きに、スフインゴミエリナーゼが関与することが既に報
告されている〔Dressler K.A.et a
l.Science,255,1715(1992)、
Mathias et al.Science,25
9,519(1993)〕。従って、スフインゴミエリ
ナーゼ活性の阻害物質によりIL−1βのシグナル伝達
を遮断することができ、慢性関節リウマチなどIL−1
βが関与する種々の病態の改善が期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ICE阻害物質として
は、Xylaric acidなどの天然物や、種々の
合成ペプチド、例えばAc−Tyr−Val−Ara−
aspartic acid aldehydeなどが
知られている。しかしながら、これらの物質は、組織内
で安定な活性を発現するに至らないのが現状である。か
かる実情において、本発明はヒトの医学上または社会問
題の解決策としてきわめて重要であることに鑑みて研究
開発されたものである。従って、本発明はより安定でか
つ毒性が低く、しかも酵素阻害活性の強い、新しい骨格
を有する物質を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のご
とき課題を解決すべく新規なICE阻害物質の探索を目
的として種々の土壌から菌株を分離し、その生産物につ
いて研究を続けた結果、埼玉県朝霞市の桜の葉から分離
したトリコデルマ属に属するFO−6903菌株の培養
液中にICE活性を阻害する物質が生産されることを見
出した。次いで、該培養物からICE阻害活性物質を分
離、精製した結果、このような化学構造を有する物質は
従来まったく知られていないことから、本物質をFO−
6903A,B物質と称することにした。
【0008】本発明はかかる知見に基づいて完成された
ものであって、下記一般式(I)
【0009】
【化3】 で表される化合物である新規FO−6903A物質に関
するものである。また本発明は、下記の一般式(II)
【0010】
【化4】 で表される化合物である新規FO−6903B物質に関
するものである。
【0011】本発明はさらに、トリコデルマ(Tric
hoderma)属に属するFO−6903A,B物質
を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物
中にFO−6903A,B物質を蓄積せしめ、該培養物
からFO−6903Aおよび/またはFO−6903B
物質を採取するFO−6903A,B物質の製造法に関
するものである。
【0012】前記の一般式(I)及び(II)で表され
るFO−6903A及びB物質を生産する能力を有する
微生物(以下、「FO−6903A,B物質生産菌」と
称する)は、トリコデルマ属に属するが、例えば本発明
者らが新たな土壌から分離したトリコデルマ エスピー
Trichoderma sp.)FO−6903株
は、本発明において最も有効に使用される菌株の一例で
ある。本FO−6903株の菌学的性状を示すと、以下
の通りである。
【0013】1.形態的性質 本菌株は、バレイショ・ブドウ糖寒天培地、コーン・ミ
ール寒天培地、三浦寒天培地、麦芽汁寒天培地などで比
較的良好に生育し、分生子の着生はコーン・ミール寒天
培地、三浦寒天培地で良好で、バレイショ・ブドウ糖寒
天培地、麦芽汁寒天培地では抑制的である。
【0014】コーン・ミール寒天培地に生育したコロニ
ーを顕微鏡で観察すると、はじめ気菌糸は少なく、しだ
いに羊毛状の気菌糸を生じる。分生子の形成にしたがっ
て暗緑色から暗青色となる。菌糸は透明で隔壁を有して
おり、分生子柄は基底菌糸より直立または不規則に生育
し、その主軸の先端は不稔で、鞭状に波打つことが多
い。
【0015】分岐点より分岐した分生子柄の長さは40
〜75μm、さらに不規則あるいは輪生状に分岐した分
生子の長さは15〜30μmとなる。フィアライドは太
く短いびん形で、基底は細く、分生子柄に密生する。大
きさはほとんが4.0〜7.5×3.0〜4.0μmで
ある。分生子はフィアロ型分生子で楕円形から長い逆卵
形である。大きさは2.5〜3.0×3.0〜4.0μ
mで、フィアライドの先端に緑色の分生子塊を形成す
る。
【0016】2.各種培地上での培養性状 本菌株を各種寒天培地上で25℃、14日間培養した場
合の肉眼的に観察した結果は、下記表1に示す通りであ
る。なお、下記の培地において、菌の生育に伴う分泌液
および菌核の形成は観察されなかった。
【0017】
【表1】
【0018】(III )生理的性状 (1)最適生育条件 本菌株の最適生育条件はpH4〜7、温度18.0〜2
7.5℃である。 (2)生育範囲 本菌株の生育範囲は、pH3〜8、温度8.0〜32.
5℃である。 (3)好気性、嫌気性の区別 好気性
【0019】以上のように、本菌株FO−6903株の
形態的特徴、培養性状および生理的性状に基づき、既知
菌種との比較を試みた結果、本菌株はトリコデルマ(
richoderma)属に属する一菌株と同定し、ト
リコデルマ エスピー FO−6903と命名した。な
お、本菌株はトリコデルマ エスピー FO−6903
(Trichoderma sp.FO−6903)と
して、茨城県つくば市東1丁目1番3号に所在する工業
技術院生命工学工業技術研究所に平成10年5月1日に
FERM P−16787として寄託されている。
【0020】本発明で使用されるFO−6903物質生
産菌としては、前述のトリコデルマエスピー(Tric
hoderma sp.)FO−6903菌株が好まし
い例として挙げられるが、菌の一般的性状として菌学上
の性状は極めて変異し易く、一定したものではなく、自
然的にあるいは通常行われる紫外線照射または変異誘導
体、例えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグ
アニジン、エチルメタンスルホネート等を用いる人工的
変異手段により変異することは周知の事実であり、この
ような人工的変異株は勿論、自然変異株も含め、トリコ
デルマ属に属し、FO−6903A,B物質を生産する
能力を有する菌株はすべて本発明に使用することができ
る。
【0021】また、細胞融合、遺伝子操作などの細胞工
学的に変異させた菌株も含め、トリコデルマ属に属し、
前記の式で表されるFO−6903A,B物質(以下、
特記しない限り「FO−6979A,B物質」と称す
る)を生産する菌株は、全て本発明において使用するこ
とができる。
【0022】本発明を実施するに当たっては、先ずトリ
コデルマ属に属するFO−6903A,B物質生産菌を
培地に培養することにより行われる。上記FO−690
3A,B物質生産に適した栄養源としては、通常の糸状
菌の培養に適する炭素源、資化し得る窒素源および無機
物、さらに必要に応じてその他の栄養物をほどよく含有
する合成培地又は天然培地を使用することができる。培
地に使用される炭素源及び窒素源としては、使用菌株の
利用可能なものならばいずれの種類でもよい。
【0023】炭素源としては、グリセリン、グルコー
ス、ガラクトース、フラクトース、マンノース、キシロ
ース、リボース、澱粉等の糖類またはその加水分解物等
の種々の炭水化物が単独または組み合わせて用いられ
る。その濃度は通常、培地に対して0.1〜5%が好ま
しい。又、グルコン酸、ピルビン酸、乳酸、酢酸等の各
種有機酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等
の各種アミノ酸、さらにはメタノール、エタノール等の
アルコール類やノルマルパラフイン等の各種非芳香属炭
化水素、あるいは植物もしくは動物性の各種油脂等も使
用可能である。
【0024】窒素源としては、例えばアンモニア、塩化
アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、
りん酸アンモニウム等の各種の無機酸あるいは有機酸の
アンモニウム塩類、尿素、ペプトン、肉エキス、コーン
・スチープ・リカー、酵母エキス、乾燥酵母、NZ−ア
ミン、綿実粉、落花生粉、大豆粉あるいはその消化物、
カゼインあるいはその水解物等の窒素有機物、さらには
グリシン、グルタミン酸、アラニン等の各種アミノ酸が
使用可能である。
【0025】無機物としては、例えば食塩、各種リン酸
塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム等を使用でき
る。その他必要に応じて微量の金属塩、消泡剤としての
動・植・鉱物油を添加することができる。また、栄養要
求性を示す変異株を用いる場合には、当然その栄養要求
を満足させる物質を培地に加えなければならないが、こ
の種の栄養素は、天然物を含む培地を使用する場合は特
に必要としない場合がある。
【0026】培養は、微生物を好気的に培養する方法は
何れも使用することができるが、通常は振とう培養で行
うのが好ましい。培養のpHは例えば3.0〜8.0で
あるが、pH6.5付近で培養を行うのが好ましい。培
養温度は例えば8℃〜32.5℃で行い得るが、通常は
例えば18℃〜27.5℃、好ましくは27℃付近とす
る。培養時間は通常7〜10日間培養を行い、培養物中
のFO−6903A,B物質の蓄積量が最大に達したと
きに培養を終了すればよい。
【0027】これらの培地組成、培地の液性、培養温度
などの培養条件は使用する菌株の種類や外部の条件など
に応じて好ましい結果が得られるように適宜調節、選択
されることはいうまでもない。液体培養において、発泡
があるときは、シリコン油、植物油、界面活性剤などの
消泡剤を適宜使用できる。
【0028】このようにして得られた培養物に蓄積され
たFO−6903A,B物質は、通常は培養上清に生成
される。菌体からFO−6903A,B物質を採取する
には、通常の微生物の培養物から代謝物を採取するのに
用いられる手段を単独あるいは任意の順序に組み合わせ
て、または反復して用いられる。
【0029】すなわち、例えば、濾過、遠心分離、透
析、濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する
溶解度の差を利用する方法(例えば、沈殿、結晶化、再
結晶、転溶、向流分配等)、クロマトグラフイー等の手
段が用いられる。FO−6903A,B物質は培養上清
に蓄積されるので、本物質を分離採取するのには、培養
濾液から採取すればよい。
【0030】例えば、培養濾液を濃縮した後、ダイアイ
オンHP−20(日本錬水社製)、セファデックスLH
−20(ファルマシア社製)、ODSカラムクロマグラ
フイー(DAISOPAK−BP、ダイソー社製)等に
よってFO−6903A,B物質を分離、精製すること
ができる。
【0031】本発明によるFO−6903A,B物質の
理化学的性状は次のとおりである。FO−6903A物質 (1)性状:淡黄色無定型粉末 (2)分子量:174(高速原子衝撃質量分析による) (3)分子式:C7 105 (4)比旋光度:[α]D 20=28°(c=1.0、水
中)
【0032】(5)紫外部吸収スペクトル(水中):図
1に示すとおり、220nmに極大吸収を有する。 (6)赤外部吸収極大(KBr錠):図2に示すとお
り、3400、1765、852cm-1付近に特徴的な
吸収帯を有する。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ジメチルスル
ホキシド中、300MHz):図3に示すとおり、3.
57d(1H)、3.86d(1H)、4.06s(1
H)、3.80q(1H)、1.15d(3H)、4.
65(OH)、4.95(OH)、5.60(OH)p
pmに特徴的なシグナルを有する。(s:一重線、d:
二重線、q:四重線、H:プロトンの数を示す)
【0033】(8)13C核磁気共鳴スペクトル(重ジメ
チルスルホキシド中、75MHz):図4に示すとお
り、205.4、55.0、58.3、76.5、7
5.9、66.0、17.0ppmに特徴的なシグナル
を有する。 (9)溶剤に対する溶解性:水、ジメチルスルホキシド
に可溶、エタノール、酢酸エチル、クロロホルムに難
溶。 (10)呈色反応:硫酸、リンモリブデン酸に陽性、ニ
ンヒドリン、ドラーゲンドルフに陰性。
【0034】FO−6903B物質 (1)性状:無色無定型粉末 (2)分子量:158(高速原子衝撃質量分析による) (3)分子式:C7 104 (4)比旋光度:〔α〕D 20=76°(c=1.0、水
中)
【0035】(5)紫外部吸収スペクトル(水中):図
5に示すとおり、210nmに極大吸収を有する。 (6)赤外部吸収スペクトル(KBr):図6に示すと
おり、3400、1712cm-1付近に特徴的な吸収帯
を有する。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ジメチルスル
ホキシド中、300MHz):図7に示すとおり、6.
15d(1H)、7.47d(1H)、3.91s(1
H)、3.68q(H)、1.11d(H)、4.79
s(OH)、4.85s(OH)、5.30s(OH)
ppmに特徴的なシグナルを有する。(s:一重線、
d:二重線、q:四重線を示す。)
【0036】(8)13C核磁気共鳴スペクトル(重ジメ
チルスルホキシド中、75MHz):図8に示すとお
り、208.4、131.9、165.5、78.8、
70.7、69.2、17.9ppmに特徴的なシグナ
ルを有する。 (9)溶剤に対する溶解性:水、ジメチルスルホキシド
酸に可溶、エタノール、酢酸エチル、クロロホルムに難
溶。 (10)呈色反応:硫酸、リンモリブデン酸に陽性、ニ
ンヒドリン、ドラーゲンドルフに陰性。
【0037】以上に詳しく述べたように、本FO−69
03A,B物質の各種理化学的性状やスペクトルデータ
を検討した結果、本FO−6903A,B物質は次の化
学構造であることが決定された。FO−6903A物質
【0038】
【化5】 FO−6903B物質
【0039】
【化6】
【0040】次に、本発明のFO−6903A,B物質
の生理活性について試験例1および試験例2で説明す
る。試験例1 ICE阻害活性 公知の反応系(ネイチャー,356巻,p768−77
4,1992)に準じて酵素反応を行った。すなわち、
ヒトICEを組み込んだ発現ベクターで形質転換した大
腸菌を培養し、この菌体のライゼートを酵素源として、
20mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.
4)、1.5mM MgCl2 、10mMKCl、0.
1mM EDTA、10%グリセリン、10μMロイペ
プチン、10μMアンチパイン、2.5μMペプスタチ
ンA、100μM AEBSF、14μM Ac−YV
AD−AMCを加え、全量を100μlとした。
【0041】37℃で酵素反応を行い、基質から遊離し
たアミノメチルクマリンによって生ずる蛍光強度をフル
オロスキャン(ラボシステム社製)を用いて1分おきに
10分間測定し、最大酵素反応速度を算出し、ICE活
性を測定した。
【0042】その結果、FO−6903A物質およびF
O−6903B物質のICEを50%阻害する濃度を算
定した結果は、それぞれFO−6903A物質が575
μM、FO−6903B物質が250μMであった。
【0043】試験例2 スフィンゴミエリナーゼ阻害活性 ラット脳由来の中性スフィンゴミエリナーゼに対する影
響は、MurakamiとArimaの方法(ジャナル
・オブ・ニューロケミストリー、52巻、611−61
8頁、1989年)を改変して行った。すなわち、ラッ
ト脳より調製した膜画分を酵素源として、20mM H
EPES−NaOH緩衝液(pH7.4)、6.5mM
MgCl2 、0.1%トリトンX−100、25μM
[N−メチル− 3H]スフィンゴミエリン(0.006
μCi)を加え、全量を50μlとした。
【0044】37℃で30分反応後、クロロホルム:メ
タノール(1:2、v/v)混合液を200μl加え、
原料の[ 3H]ホスホコリンを分離する。上層50μl
をバイアルにとり、液体シンチレーションカウンターで
3H]ホスホコリンの量を定量し、中性スフィンゴミ
エリナーゼを測定した。
【0045】本酵素を50%阻害するFO−6903
A,B物質の濃度を測定した結果は、それぞれFO−6
903A物質が43μg/ml、FO−6903B物質
が8.0μg/mlであった。
【0046】ヒト胎盤由来の酸性スフィンゴミエリナー
ゼに対する影響は、Jonesらの方法(バイオケミカ
ル ジャーナル、195巻、p373−382:198
1年)を一部改変して行った。すなわち、ヒト胎盤由来
の酸性スフィンゴミエリナーゼ(シグマ社製)を酵素源
として、250mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.
0)、0.1%NP−40(シグマ社製)、25μM
[N−メチル−3 H]スフィンゴミエリン(0.006
μCi)を加え、全量を50μlとした。
【0047】37℃で30分反応後、クロロホルム:メ
タノール(1:2、v/v)混合液を200μl加え、
原料の[ 3H]スフインゴミエリンと反応生成物の[ 3
H]ホスホコリンを分離する。上層50μlをバイアル
にとり、液体シンチレーションカウンターで[ 3H]ホ
スホコリンの量を定量し、中性スフインゴミエリナーゼ
活性を測定したが、いずれも100μg/mlの濃度で
阻害活性を示さなかった。以上の結果より、FO−69
03A,B物質は中性スフインゴミエリナーゼを特異的
に阻害することが示された。
【0048】
【実施例】500ml容マイヤーフラスコ20本にデキ
ストリン3.0%、グリセロール1.0%、フイートジ
ャーム(シグマ社製)0.5%、ファーマメデイア(イ
ワキ社製)1.0%、大豆ペプタイド0.5%、硝酸ナ
トリウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%、オールホ
サイト(セカード社製)0.5%、4用トレース1ml
/100mlからなる液体培地(pH6.5)を100
mlづつ分注し、121℃で15分間高圧蒸気滅菌し
た。
【0049】これに、ブドウ糖2.0%、抽出酵母0.
2%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、燐酸2カリ
ウム0.1%、ポリペプトン0.5%、寒天0.1%を
含む液体培地(pH5.8)を用い、27℃で2日間培
養したトリコデルマ エスピー FO−6903株(F
ERM P−16787)の培養液を1ml接種し、2
7℃で4日間振とう培養した。
【0050】得られた培養液にエタノールを加え攪拌し
た後、遠心分離して(3500rpm)培養抽出液を得
た。これを減圧濃縮した後、5リットルの酢酸エチルを
加え攪拌し、これを分液ロートで分離して水層と酢酸エ
チル層に分別した。得られた水層を減圧濃縮後ダイアイ
オンHP−20に負荷し未吸着画分を回収した。未吸着
画分を減圧濃縮後これを少量の水で溶解し、あらかじめ
20%メタノールで充填したセファデックスLH−20
カラム(2.38×112cm)の上端に負荷し、20
%メタノールにて溶出した。
【0051】FO−6903A及びB物質を含む画分を
少量の水に溶解し、ODSカラム[φ25×250m
m、草野科学社製]に注入し、水を移動相として溶出し
た。FO−6903A及びB物質を含む画分を集め、こ
れを減圧濃縮した後に、ODSを担体とするHPLCカ
ラムで分画し、FO−6903A物質を含む画分132
mg、およびFO−6903B物質を含む画分5.0m
gを得た。FO−6903A物質は、さらにシリカゲル
を担体とするカラムクロマトグラフイーおよびODSを
担体とするHPLCカラムで分画し、FO−6903A
物質13.9mgを得た。
【0052】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の新規F
O−6903A,B物質は、インターロイキン1ベータ
(IL−1β)変換酵素(ICE)阻害作用およびスイ
フインゴミエリナーゼ阻害作用を有する新規な構造の生
理活性物質FO−6903A,B物質およびその製造法
が提供され、該物質は抗リウマチ剤、抗炎症剤としての
効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFO−6903A物質の紫外部吸収ス
ペクトル(水中)を示したものである。
【図2】本発明のFO−6903A物質の赤外部吸収ス
ペクトル(KBr法)を示したものである。
【図3】本発明のFO−6903A物質のプロトン核磁
気共鳴スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、300
MHz)を示したものである。
【図4】本発明のFO−6903A物質の13C核磁気共
鳴スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、75MH
z)を示したものである。
【図5】本発明のFO−6903B物質の紫外部吸収ス
ペクトル(水中)を示したものである。
【図6】本発明のFO−6903B物質の赤外部吸収ス
ペクトル(KBr法)を示したものである。
【図7】本発明のFO−6903B物質のプロトン核磁
気共鳴スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、300
MHz)を示したものである。
【図8】本発明のFO−6903B物質の13C核磁気共
鳴スペクトル(重ジメチルスルホキシド中、75MH
z)を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 7/38 C12P 7/38 17/02 17/02 // A61K 35/74 A61K 35/74 G (C12N 1/14 C12R 1:885) (C12P 7/38 C12R 1:885) (C12P 17/02 C12R 1:885) (72)発明者 増間 碌郎 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内 (72)発明者 塩見 和朗 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内 (72)発明者 山田 陽城 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】 で表される化合物である新規FO−6903A物質。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(II) 【化2】 で表される化合物である新規FO−6903B物質。
  3. 【請求項3】 トリコデルマ(Trichoderm
    )属に属するFO−6903A,B物質を生産する能
    力を有する微生物を培地に培養し、培養物中にFO−6
    903A,B物質を蓄積せしめ、該培養物からFO−6
    903Aおよび/またはFO−6903B物質を採取す
    ることを特徴とする新規FO−6903A,B物質の製
    造法。
  4. 【請求項4】 トリコデルマ属に属し、FO−6903
    A,B物質を生産する能力を有する微生物が、トリコデ
    ルマ エスピー FO−6903〔Trichoder
    ma sp.FO−6903(FERM P−1678
    7)〕である請求項3に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 トリコデルマ属に属し、FO−6903
    A,B物質を生産する能力を有する微生物。
  6. 【請求項6】 微生物が、トリコデルマ エスピ FO
    −6903〔Trichoderma sp.FO−6
    903(FERM P−16787)〕である請求項5
    に記載の微生物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007049732A1 (ja) * 2005-10-28 2007-05-03 Kowa Co., Ltd. 関節リウマチの予防及び/又は治療法
CN101613264A (zh) * 2008-06-27 2009-12-30 中国科学院广州生物医药与健康研究院 环烯酮类化合物及其在制备抗肿瘤药中的应用
JP2015030716A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 公立大学法人大阪府立大学 抗ピシウム菌剤

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