JPH09241287A - 新規コラゲナーゼ阻害物質fo−5904及びその製造法 - Google Patents

新規コラゲナーゼ阻害物質fo−5904及びその製造法

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JPH09241287A
JPH09241287A JP8045827A JP4582796A JPH09241287A JP H09241287 A JPH09241287 A JP H09241287A JP 8045827 A JP8045827 A JP 8045827A JP 4582796 A JP4582796 A JP 4582796A JP H09241287 A JPH09241287 A JP H09241287A
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collagenase inhibitor
aspergillus
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ethanol
collagenase
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JP8045827A
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Satoshi Omura
智 大村
Junji Inokoshi
淳嗣 猪腰
Haruki Yamada
陽城 山田
Rokurou Masuma
碌郎 増間
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Kitasato Institute
Original Assignee
Kitasato Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定でかつ毒性が低く、しかも酵素阻害活性
の強い、コラゲナーゼ阻害物質およびその製造法を得る
ものである。 【解決手段】 アスペルギラス属に属するコラゲナーゼ
阻害物質FO−5904を生産する能力を有する微生物
を、培地に培養して培養物中にコラゲナーゼ阻害物質F
O−5904を蓄積せしめ、該培養物からコラゲナーゼ
阻害物質FO−5904を採取する。 【効果】 コラゲナーゼ阻害物質は、抗リウマチ剤、抗
炎症剤、抗癌剤、抗インフルエンザウイルス感染に対す
る治療剤としての効果が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒト由来のコラゲナ
ーゼの活性を阻害する新規コラゲナーゼ阻害物質FO−
5904及びその製造法に関する。更に詳しく言えば、
本発明のコラゲナーゼ阻害物質は、抗リウマチ剤、抗炎
症剤、抗癌剤、抗インフルエンザウイルス感染に対する
治療剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】例えば慢性関節リウマチ(Rheuma
toid Arthrtis;以下、時としてRAと略
称する)は、関節滑膜に生じる原因不明の慢性かつ進行
性の炎症性疾患であり、また、例えばインフルエンザは
毎年のように流行を繰り返す代表的なウイルス感染症で
あることは周知のとおりである。
【0003】しかして、上記RAの現在における治療剤
としては、非ステロイド性抗炎症剤たとえばアスピリ
ン、インドメタシン、ロキソプロフェンや、免疫調節剤
たとえばD−ペニシラン、ブシラミン、オーラノフェ
ン、免疫抑制剤たとえば4−カルバモイル1−β−D−
リボフラノシルイミダゾリウム−5−オレート(4−c
arbamoyl−1−β−D−ribofurano
sylimidazorium−5−olate)や、
ステロイド剤たとえばプレドニゾロン等が使用されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの治療剤は、いずれ
も疼痛や炎症等の症状を緩和させるのみであり、しか
も、単独投与では効果を発揮するわけではなく、対症的
に複数の薬剤が使用されている。また、非ステロイド性
抗炎症剤や免疫調節剤は、初期のRA患者の治療に対し
ては効果的であるが、症状が進行した患者の治療に対し
ては効果が弱くなる傾向があり、また、免疫抑制剤やス
テロイド剤は副作用が強く、長期投与には適さない。こ
のような背景から、現在新しい作用メカニズムの抗慢性
関節リウマチ剤等の開発が強く望まれている。
【0005】また、前記のウイルス感染症であるヒトの
インフルエンザは、特に高齢者や慢性の呼吸器疾患、心
疾患を持つ患者にとっては肺炎などへと進展し、しばし
ば致死的感染症となる。しかしながら、現在のところ、
未だ抗インフルエンザウイルスの感染に対する有効な治
療剤は提案されておらず、したがって、抗慢性関節リウ
マチ剤等と同様にその開発が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、慢性関節リウ
マチの症状が進行した病変部では、コラゲナーゼ活性が
上昇していることが知られている〔堀 久枝、永井
裕:コラゲナーゼと組織破壊、コラーゲン代謝と疾患
(永井 裕、藤本 大三郎編)、講談社サイエンティフ
ィック、1982、p.86−109〕。コラゲナーゼ
は細胞外マトリックスの主要な構成成分の一つであるコ
ラーゲンを分解し、関節組織の破壊を引き起こす。それ
故、コラゲナーゼ活性を阻害すればコラーゲンの分解を
抑制することができ、その結果、慢性関節リウマチの進
行を阻止し得るものと期待される。
【0007】このような作用をする物質として、アクチ
ノニンなどの天然物や、バチマスタット(BB−94)
などの合成品が知られている。しかしながら、これらの
物質は、関節組織内では安定な活性を発現せしめるには
至らない。かかる実情において、本発明はヒトの医学上
または社会問題の解決策として極めて重要であることに
鑑みて研究開発されたものである。
【0008】従って、本発明はより安定でかつ毒性が極
めて低く、しかも当該酵素阻害活性の強い物質を提供す
るものである。更に本発明は、慢性の呼吸疾患や心疾患
を持つ患者が致死的感染症へ進展することを阻害する抗
インフルエンザウイルスの感染に対する有効な物質を提
供するものである。更にまた本発明は、アスペルギラス
属に属するコラゲナーゼ阻害物質FO−5904を生産
する能力を有する微生物を培地に培養して培養物中に該
阻害物質FO−5904を蓄積せしめ、該培養物からコ
ラゲナーゼ阻害物質FO−5904を採取する製造法を
提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
新規なコラゲナーゼ阻害物質の探索を目的として種々の
土壌から菌株を分離し、その生産する代謝産物について
研究を続けた結果、千葉県船橋市の土壌から新たに分離
した糸状菌FO−5904菌株の培養物中に、コラゲナ
ーゼ活性を阻害する物質が産生されることを見出した。
次いで、該培養物からコラゲナーゼ阻害物質を分離、精
製した結果、その理化学的性質を有する物質は、他に見
当たらないことから、この物質をFO−5904と呼称
すことにした。
【0010】本発明は、かかる知見に基づいて完成され
たものであり、本発明のコラゲナーゼ阻害物質を生産す
る能力を有する微生物(以下、時としてFO−5904
物質生産菌と称することがある)は、アスペルギラス
(Aspergillus)属に属するが、例えば本発
明者らが千葉県船橋市の土壌から分離したアスペルギラ
ス ニガー(Aspergillus niger)F
O−5904株は、本発明に最も有効に使用される菌株
の一例であって、本菌株の菌学的性状を示すと下記の通
りである。
【0011】I.形態的性質 ツァペック寒天培地、麦芽汁寒天培地などで良好に生育
し、分生子の着生も良好である。また、20%ショ糖ツ
ァペック・イースト寒天培地でも良好に生育する。麦芽
汁寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察すると、
菌糸は透明で隔壁を有しており、分生子柄は基底菌糸よ
り直生している。また、その基部には足細胞を生じる。
その頂端、頂のうは球状に膨らみ、淡褐色である。
【0012】アスペルギラは、複列性でメトレ、フィア
ライドを生じる。それぞれ大きさは、16〜20×5〜
8μm、5〜8×4〜6μmでメトレが頂のうの全表面
を覆う。フィアライドの上に分生子を連鎖して生じ、球
状の分生子頭を形成する。分生子は褐色、球形で刺状突
起を持ち、大きさは4〜6μmである。
【0013】II.各種培地上での培養性状 各種培地上で25℃、7日間培養した場合の肉眼的観察
結果を下記の表1に示す。
【0014】
【表1】 なお、上記表1中における全ての培地において、菌の生
育に伴う分泌液および菌核の形成は観察されなかった。
【0015】III .生理学的諸性質 (1)最適生育条件 本菌株の最適生育条件は、pH4〜9、温度14〜33
℃である。 (2)生育の範囲 本菌株の生育範囲は、pH2〜10、温度12〜39℃
である。 (3)好気性、嫌気性の区別 好気性
【0016】以上の形態的特徴、培養性状および生理的
性状に基づき、既知菌種との比較を試みた結果、本菌株
はアスペルギラス ニガー(Aspergillus
niger)に属することが明らかとなった。従って、
本菌株はアスペルギラス ニガー(Aspergill
us niger)FO−5904と命名した。なお、
本菌株は、アスペルギラス ニガー(Aspergil
lus niger)FO−5904として工業技術院
生命工学工業技術研究所に寄託されている。受託番号は
8生寄文第76号(FERM P−15397)であ
る。
【0017】本発明の好ましい菌株として、FO−59
04物質生産菌について説明したが、糸状菌の一般的性
状としての菌学上の性状はきわめて変異し易く、一定し
たものではなく、自然的にあるいは通常行われる紫外線
照射、X線照射または変異誘導体剤、例えばN−メチル
−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタン
スルホネートなどを用いる人工的変異手段により変異す
ることは周知の事実であり、このような人工的変異株は
勿論、自然変異株も含め、アスペルギラス ニガー(A
spergillus niger)FO−5904物
質を生産する能力を有する菌株はすべて本発明に使用す
ることができる。また、細胞融合、遺伝子操作などの細
胞工学的に変異させた菌株もFO−5904物質生産菌
として包含される。
【0018】本発明においては、先ずアスペルギラス
ニガー属に属するFO−5904物質生産菌が、適当な
培地に培養される。本菌の培養においては、通常の糸状
菌の培養方法が一般に適用される。培地としては微生物
が同化し得る炭素源、資化し得る窒素源および無機物、
さらに必要に応じてその他の栄養物を程よく含有する合
成培地または天然培地を使用することができる。このよ
うに、培地に使用される炭素源および窒素源としては、
使用菌株の利用可能なものならば、いずれの種類でも用
いられる。
【0019】上記の同化し得る炭素源としては、グリセ
リン、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マン
ノース、キシロース、リボース、澱粉、糖密、デキスト
リン、セルロース、コーン・スティープ・リカーまたは
その加水分解物等の種々の炭水化物が利用できる。そし
て、その濃度は通常、培地に対して0.1〜5.0%が
好ましい。また、グルコン酸、ピルビン酸、乳酸、酢酸
等の各種の有機酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸等の各種アミノ酸、さらにはメタノール、エタノ
ール等のアルコール類やノルマルパラフィン等の各種の
非芳香属炭化水素、あるいは植物もしくは動物性の各種
油脂等も使用することができる。
【0020】資化し得る窒素源としては、例えば市販さ
れているアンモニア、塩化アンモニウム、硝酸アンモニ
ウム、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム等の各種の
無機酸あるいは有機酸のアンモニウム塩類、尿素、ペプ
トン、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、酵母エ
キス、乾燥酵母、NZ−アミン、大豆粉、綿実粉、落花
生粉あるいはその消化物、カゼインあるいはその水解物
などの有機窒素源、さらにはグリシン、グルタミン酸、
アラニン等の各種アミノ酸が単独または組み合わせて用
いられる。
【0021】無機物としては、例えばナトリウム塩、カ
リウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩な
どの無機塩類が添加される。その他必要に応じて微量の
金属塩、消泡剤としての動物・植物・鉱物油等を添加す
ることもできる。更に、培地には、必要に応じて、本菌
の生育や物質FO−5904の生産を促進する微量栄養
素、発育促進物質、前駆物質を適当に添加してもよい。
この種の栄養素は、天然物を含む培地を使用する場合に
は、特に必要としない場合がある。
【0022】培養は通常振とうまたは通気攪拌培養など
の好気的条件下で行うのがよい。通常は静置培養で行う
のが好ましい。工業的には深部通気攪拌培養が好まし
い。培地のpHは5.0〜8.0であるが、好ましくは
pH6.5付近で培養を行うのがよい。培養温度は20
〜32℃の範囲でも行い得るが、通常は26〜30℃、
好ましくは27℃付近に保つのがよい。培養時間は、液
体培養の場合、通常7〜10日培養を行うと、本物質F
O−5904が生成蓄積されので、好ましくは培養中の
蓄積量が最大に達したときに培養を終了すればよい。
【0023】これらの培養組成、培地の液性、培養温
度、攪拌速度、通気量などの培養条件は使用する菌株の
種類や外部の条件などに応じて好ましい結果が得られる
ように適宜調節、選択されることはいうまでもない。液
体培養において発泡があるときは、シリコン油、植物
油、界面活性剤などの消泡剤を適宜使用してもよい。
【0024】このようにして得られた培養物中に蓄積さ
れた物質FO−5904は、培養濾液または培養菌体中
に含まれているので、培養濾液を必要に応じて濾過補助
剤、例えばセライト、ハイフロースーパーセル等を加え
て濾過するか、または遠心分離して培養濾液と菌体とに
分離し、培養濾液と菌体との有機溶媒抽出物を濃縮した
ものの中から物質FO−5904を採取するのが有利で
ある。
【0025】また、培養濾液および菌体を分離しない
で、そのまま非親水性有機溶媒により抽出することがで
きる。更にまた、物質FO−5904の含有量が培養濾
液と菌体のどちらかに極端に多いときはその多いほうか
ら抽出してもよい。培養菌体から物質FO−5904を
分離精製するためには、通常、培養濾液と菌体の有機溶
媒抽出物を濃縮した物の混合物またはそれぞれを非浸水
性溶媒、例えば酢酸エチル、クロロホルムで抽出するこ
とにより、物質FO−5904が有機溶媒に転溶され
る。
【0026】このようにして得られた有機溶媒層は、必
要に応じ種々の脱水剤、たとえば無水硫酸ナトリウム、
ビーズゲルなどを加えて脱水された後、減圧下で有機溶
媒が留去される。この濃縮操作において物質FO−59
04は、安定な物質であるが、通常加熱温度を40℃以
下となるように行うのが好ましい。残渣にヘキサン、石
油エーテルなどの有機溶媒を加えて物質FO−5904
を沈澱させることができる。
【0027】得られた沈澱物は数回ヘキサンなどで洗浄
後、吸引濾過または遠心分離により物質FO−5904
の粗製物を採取することができる。この粗製物をさらに
精製するためには、物質FO−5904と混雑物との溶
解度の差や混じり合わない二液相関の分配の差や各種吸
着担体に対する吸着力の差を利用した多くの手段が可能
であるが、特にクロマトグラフィーは物質FO−590
4の精製に有効な方法である。
【0028】物質FO−5904の精製に有効なクロマ
トグラフィーとしては、シリカゲル、アルミナ、活性炭
セルロース、ヒドロキシアパタイト、HP−20などの
吸着樹脂などによる吸着クロマトグラフィー、シラン化
シリカゲル、オクタデシルシラン化シリカゲルなどを用
いる逆相分配クロマトグラフィー、セファデックスLH
−20、トヨパール(商品名、東ソー社製、日本)など
を用いる分子ふるいにもとずくゲル濾過クロマトグラフ
ィーなどが挙げられる。
【0029】物質FO−5904はこれらのクロマトグ
ラフィーや電気泳動、向流分配、限外濾過などの手段
を、単独あるいは任意の順序にて組み合わせ、または反
復して用いることにより、分離精製することができる。
例えば上記の粗製物を少量のクロロホルムに溶かし、シ
リカゲルに吸着させ、クロロホルム−アセトン系混合溶
液を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、その活性
画分を減圧濃縮後、少量のメタノールに溶かし、これを
メタノールで分子ふるいにもとずくゲル濾過クロマトグ
ラフィーを行うことによりFO−5904を分離精製す
ることができる。
【0030】次に、本発明物質FO−5904の理化学
的性質および生物学的性質について以下に述べる。 (1)性状 :黄色粉末 (2)分子量 :289(M+H、高速原子衝撃質量分
析による) (3)分子式 :C15126 (4)融点 :180℃ (5)比旋光度:〔α〕D 20−0.4°(c=1.0,
エタノール中)
【0031】(6)紫外部吸収スペクトル:エタノール
中で測定した紫外部吸収スペクトルは図1に示すとおり
であり、254、280(肩)、368(肩)、40
2.5nm付近に特徴的な吸収極大を示す (7)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム法で測定し
た赤外部吸収スペクトルは図2に示すとおりであり、3
159、2985、2362、1616、1498、1
458、1385、1269、1134、1040、8
91、827cm-1に特徴的な吸収帯を有する
【0032】(8)溶剤に対する溶解性:メタノール、
エタノール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに可溶
であり、水、ヘキサン、アセトン、クロロホルムに難溶
である (9)呈色反応:硫酸に陽性、ニンヒドリン、ドラーゲ
ンドルフに陰性 (10)酸性、中性、塩基性の区別:酸性物質 (11)プロトン核磁気共鳴スペクトル:バリアン(V
arian)社製、VXR−300型各磁気共鳴スペク
トロメータを用いて測定した 1H−NMRスペクトル
(重ジメチルスルホキシド溶液中、300MHz)は、
11.65s(1H)、6.76s(1H)、6.41
s(1H)、3.80s(3H)、2.77s(3H)
ppmに特徴的なシグナルを有する。(sは一重線、H
はプロトンの数を示す)
【0033】(12)13C−核磁気共鳴スペクトル:バ
リアン(Varian)社製、VXR−300型核磁気
共鳴スペクトロメータを用いて測定した13C−NMRス
ペクトル(重ジメチルスルホキシド中、300MHz)
は図4に示すとおりであり、170.1s、168.2
s、165.9s、164.9s、163.0s、14
6.8s、132.8s、127.1s、116.7
d、110.4s、105.4s、102.3s、9
9.9d、59.6q、25.3q ppmに特徴的な
シグナルを有する。(sは一重線、dは二重線、qは四
重線を示す)
【0034】本物質FO−5904のコラゲナーゼ阻害
作用:本物質FO−5904のコラゲナーゼ阻害作用
は、公知のコラゲナーゼ阻害作用の反応系〔炎症、第4
巻、第123頁(1984年)〕に準じて酵素反応を行
った。反応液中にはコラゲナーゼの他にFITC標識コ
ラーゲン、NaCl、CaCl2 、およびトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)を含む。その反応結果は、物質F
O−5904のヒト由来のコラゲナーゼに対するIC50
は170μMであった。
【0035】本物質FO−5904の抗インフルエンザ
活性:イヌ腎臓由来MDCK細胞を10%ウシ胎児血清
を添加したイーグル培地で5%炭酸ガス下37℃で4日
間培養した。これにインフルエンザウイルス(A/PR
/8/34型)を0.001PFU/細胞で感染させ、
同時にFO−5904物質を添加し、さらに3日間培養
した後、細胞の生存率と培養液のシアリダーゼ活性を測
定した。
【0036】細胞の生存率は公知の方法〔ジャーナル
オブ イムノロジカル メソド(J.Immun.Me
thods)、第65巻、第55頁、(1983)〕に
準じて測定した。また、シアリダーゼ活性の測定は公知
の反応系、ケミカル アンドファーマシュティカル ビ
ュレチン〔(Chem.Pharm.Bull.).,
第38巻、第1329頁、(1990)〕に準じて酵素
反応を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】 上記の表2に示す結果から明らかなように、140μM
のFO−5904物質を添加するとインフルエンザを感
染させたMDCK細胞の生存率は顕著に回復した。ま
た、ウイルスの感染の指標である培養液のシアリダーゼ
活性は著しく低下した。これらの結果よりFO−590
4物質は、抗インフルエンザウイルス活性を有すること
を示している。
【0038】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
1リットル容ルー瓶20本にサッカロース2.0%、グ
ルコース1.0%、コーン・スティープ・リカー0.5
%、肉エキス0.5%、硫酸マグネシウム7水塩0.0
5%、燐酸1カリウム0.1%、炭酸カルシウム0.3
%からなる液体培地(pH6.0)を250ml ずつ分
注し、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌し、これに澱
粉(溶性)1.5%、酵母エキス(オリエンタル酵母工
業社製、日本)0.4%、硫酸マグネシウム7水塩0.
05%、燐酸カリウム0.1%、寒天2.0%を含む寒
天斜面培地で27℃で培養したアスペルギラス ニガー
(Aspergillus niger)FO−590
4株(FERM P−15397)の胞子液を接種し、
27℃で10日間培養した。
【0039】培養液をシャープレスで遠心分離(10,
000rpm)し、得られた菌体に5リットルのアセト
ンを加えて攪拌し、これを減圧下でろ過し、アセトン抽
出液を得た。これを減圧濃縮した後、2リットルの0.
01N塩酸溶液に溶解した。これに5リットルの酢酸エ
チルを加えて攪拌し、これをシャープレスで遠心分離
(10,000rpm)して、水層と酢酸エチル層とに
分別した。
【0040】得られた酢酸エチル層に無水硫酸ナトリウ
ム500gを加え、脱水した後、酢酸エチル層を減圧濃
縮し、粗物質Iを3.03g得た。これを少量のエタノ
ールに溶解し、40%アセトニトリルで充填したODS
シリカゲル(ODS R−30608、センシュー科学
社製、日本)の上端に負荷し、40%アセトニトリルで
カラムを洗浄した後、60%アセトニトリルで活性物質
を溶出した。
【0041】これを減圧下で濃縮することによって粗物
質IIを820.6mg得た。これを少量のエタノールに
溶解し、あらかじめエタノールで充填したセァデックス
LH−20カラム(2.38×112cm)の上端に負
荷し、エタノールにて溶出した。活性画分を集め、減圧
下で濃縮することによって、粗物質III を453.5m
g得た。
【0042】この粗物質III を少量のエタノールに溶解
し、続いて高速液体クロマトグラフイー(YMC−Pa
ck ODS、φ20×250mm、ワイエムシー社
製、日本)に注入し、0.1%リン酸を含む40%アセ
トニトリルを移動相として210nmの吸収を検出しな
がら、7ml /分間の流速において、13分に溶出する
ピークを集めた。これを減圧濃縮し、アセトニトリルを
留去したのち酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を分別
し、脱水した後、減圧濃縮して、コラゲナーゼ阻害物質
FO−5904の黄色粉末を97.5mg得た。
【0043】
【発明の効果】以上のとおり、アスペルギラス属に属す
るコラゲナーゼ阻害物質FO−5904を生産する能力
を有する微生物を培地に培養し、その培養物中にコラゲ
ナーゼ阻害物質FO−5904を蓄積せしめ、該培養物
からコラゲナーゼ阻害物質FO−5904を採取するこ
とにより、新規なコラゲナーゼ阻害物質が得られ、該コ
ラゲナーゼ阻害物質は、コラーゲンの分解を抑制するこ
とから、抗リウマチ剤、抗炎症剤、抗癌剤、抗インフル
エンザウイルスの感染等に対する効果が期待されるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコラゲナーゼ阻害物質FO−59
04の紫外線吸収スペクトル(エタノール中)である。
【図2】本発明によるコラゲナーゼ阻害物質FO−59
04の赤外線吸収スペクトル(臭化カリウム法)であ
る。
【図3】本発明によるコラゲナーゼ阻害物質FO−59
04のプロトン−核磁気共鳴スペクトル(重ジメチルス
ルホキシド中、300MHz)である。
【図4】本発明によるコラゲナーゼ阻害物質FO−59
04の13C−核磁気共鳴スペクトル(重ジメチルスルホ
キシド中、300MHz)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/70 AED A61K 35/70 AED C12N 1/14 C12N 1/14 A B C12P 1/02 C12P 1/02 A //(C12N 1/14 C12R 1:685) (C12P 1/02 C12R 1:685) (72)発明者 増間 碌郎 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の理化学的性質を有するコラゲナーゼ
    阻害物質FO−5904。 (1)性状 :黄色粉末 (2)分子量:289(M+H、高速原子衝撃質量分析
    による) (3)分子式:C15126 (4)融点 :180℃(分解) (5)比旋光度:〔α〕D 20−0.4°(c=1.0,
    エタノール中) (6)紫外部吸収スペクトル:エタノール中で測定した
    紫外部吸収スペクトルは図1に示すとおりであり、25
    4、280(肩)、368(肩)、402.5nm付近
    に特徴的な吸収極大を示す (7)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム法で測定し
    た赤外部吸収スペクトルは図2に示すとおりであり、3
    159、2985、2362、1616、1498、1
    458、1385、1269、1134、1040、8
    91、827cm-1に吸収帯を有する (8)溶剤に対する溶解性:メタノール、エタノール、
    酢酸エチル、ジメチルスルホキシドに可溶、水、ヘキサ
    ン、アセトン、クロロホルムに難溶 (9)呈色反応:硫酸に陽性、ニンヒドリン、ドラーゲ
    ンドルフに陰性 (10)酸性、中性、塩基性の区別:酸性物質
  2. 【請求項2】 アスペルギラス(Aspergillu
    s)属に属するコラゲナーゼ阻害物質FO−5904を
    生産する能力を有する微生物を培地に培養し、その培養
    物中にコラゲナーゼ阻害物質FO−5904を蓄積せし
    め、該培養物からコラゲナーゼ阻害物質FO−5904
    を採取することを特徴とするコラゲナーゼ阻害物質FO
    −5904の製造法。
  3. 【請求項3】 アスペルギラス属に属し、コラゲナーゼ
    阻害物質FO−5904を生産する能力を有する微生物
    が、アスペルギラス ニガー(Aspergillus
    niger)FO−5904(FERM P−153
    97)である請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 アスペルギラス属に属し、コラゲナーゼ
    阻害物質FO−5904物質を生産する能力を有する微
    生物。
  5. 【請求項5】 微生物がアスペルギラス ニガー(As
    pergillusniger)(FERM P−15
    253)である請求項4記載の微生物。
JP8045827A 1996-03-04 1996-03-04 新規コラゲナーゼ阻害物質fo−5904及びその製造法 Pending JPH09241287A (ja)

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