JPH11279195A - 新規fo−6979物質およびその製造法 - Google Patents

新規fo−6979物質およびその製造法

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JPH11279195A
JPH11279195A JP10083659A JP8365998A JPH11279195A JP H11279195 A JPH11279195 A JP H11279195A JP 10083659 A JP10083659 A JP 10083659A JP 8365998 A JP8365998 A JP 8365998A JP H11279195 A JPH11279195 A JP H11279195A
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智 大村
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洋 供田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アシルコエンザイムAコレステロールアシル
転移酵素阻害活性を有するFO−6979物質およびそ
の製造法を得るものである。 【解決手段】 下記式 【化1】 で表されるFO−6979物質を生産する能力を有する
微生物を培地に培養し、培養液中に該FO−6979物
質を蓄積せしめ、該培養物からFO−6979物質を採
取する。 【効果】 本物質は、毒性が低くアシルコエンザイムA
コレステロールアシル転移酵素を特異的に阻害すること
から、ヒトのコレステロール蓄積に起因する疾病の予防
および治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規FO−6979
物質およびその製造法に関する。更に詳しくは、アシル
コエンザイムAコレステロールアシル転移酵素阻害作用
を有する新規物質、FO−6979物質およびその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の向上に伴い成人の高脂血
症や動脈硬化などコレステロール蓄積に起因する症状が
現代病として問題視されている。コレステロールはアシ
ルコエンザイムAのアシル基転位によりコレステロール
エステルとなり、細胞内および血中リポ蛋白に蓄積され
る。このアシル基転位反応を触媒する酵素がアシルコエ
ンザイムAコレステロールアシル転移酵素であり、コレ
ステロールの腸管からの吸収、肝臓でのリポタンパク質
生成および冠動脈における泡末細胞の形成に深くかかわ
っている(Sliskovic,D.R.とWhit
e,A.D.Trend Pharm.Sci.12
巻、194〜199頁、1991年)。従って、アシル
コエンザイムAコレステロールアシル転移酵素を阻害す
る物質は、かかる疾病に有効であることが推察される。
しかし、現在まで、このような作用機構に基づく医薬品
の開発には至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる実情において、
アシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素阻
害活性を有する物質を提供することは、高脂血症やそれ
に基づく動脈硬化などの成人病の新しい予防および治療
法を提供するものであり有用なことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物の
生産する代謝産物について研究を続けた結果、新たに土
壌から分離したFO−6979株の培養中にアシルコエ
ンザイムAコレステロールアシル転移酵素阻害活性を有
する物質が産生されることを見出した。次いで、該培養
物から該アシルコエンザイムAコレステロールアシル転
移酵素阻害活性物質を分離、精製した結果、このような
化学構造を有する物質は従来まったく知られていないこ
とから、本物質をFO−6979と称することにした。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであっ
て、下記式
【0005】
【化2】 で表される化合物である新規FO−6979物質に関す
るものである。
【0006】本発明はさらに、ボーベリア属に属し、F
O−6979物質を生産する能力を有する微生物を培地
に培養し、培養液中にFO−6979を蓄積せしめ、該
培養物からFO−6979物質を採取する新規FO−6
979物質の製造法に関するものである。
【0007】本発明はまた、ボーベリア属に属し、FO
−6979物質を生産する能力を有する微生物が、ボー
ベリア エスピー FO−6979(Beauveri
asp.FO−6979 FERM P−16716)
である。更に本発明は、ボーベリア エスピー(Bea
uveria sp.)FO−6979(FERMP−
16716)株に関するものである。
【0008】前記の式で表されるFO−6979物質を
生産する能力を有する微生物(以下、「FO−6979
物質生産菌」と称する)は、ボーベリア属に属するが、
例えば本発明者らが新たに土壌から分離したボーベリア
エスピー(Beauveria sp.)FO−69
79株は、本発明において最も有効に使用される株の一
例である。本FO−6979株の菌学的性状を示すと、
以下の通りである。
【0009】1.形態的性質 本菌株は、バレイショ・ブドウ糖寒天培地、コーン・ミ
ール寒天培地、麦芽汁寒天培地、三浦寒天培地などで良
好に生育し、分生子の着生も良好である。また、イース
トエキストラクト・ソルブルスターチ寒天培地での生育
は良好であるが、分生子の着生は観察されなかった。
【0010】コーン・ミール寒天培地に生育したコロニ
ーを顕微鏡で観察すると、菌糸は透明で隔壁を有してい
る。分生子柄は基底菌糸より直接、あるいは短い枝から
生じる。分生子柄の基部は球状あるいはフラスコ状に膨
らんで大きさ2.0〜3.3×2.5〜3.7μmとな
る。先端は細く伸長し、分生子形成にしたがってジグザ
グ状になり、長さ12〜20μmとなる。分生子は分生
子柄の小突起(約1μm)上に出芽形成し、球形あるい
は、幅広い楕円形でときに基部はとがり、無色で大きさ
1.8〜2.5×2.5〜3.3μmである。
【0011】2.各種培地上での培養性状 本菌株を各種寒天培地上で25℃、14日間培養した場
合の肉眼的に観察した結果は下記表1に示す通りであ
る。なお、下記の培地において、菌核または菌核様の構
造は形成されない。
【0012】
【表1】
【0013】3.生理的、生態的性状 (1)最適生育条件 本菌株の最適生育条件は、pH4〜7、温度15〜30
℃である。 (2)生育範囲 本菌株の生育範囲は、pH4〜10、温度11〜32℃
である。 (3)好気性、嫌気性の区別 好気性
【0014】以上のように、本菌株FO−6979株の
形態的特徴、培養性状および生理的性状に基づき、既知
菌種との比較を試みた結果、本菌株はボーベリア(Be
auveria)属に属する一菌株と同定し、ボーベリ
ア エスピー FO−6979と命名した。なお、本菌
株はボーベリア エスピー FO−6979(Beau
veria sp.FO−6979)として、茨城県つ
くば市東1丁目1番3号に所在する工業技術院生命工学
工業技術研究所に平成10年3月18日にFERM P
−16716として寄託されている。
【0015】本発明で使用されるFO−6979物質生
産菌としては、前述のボーベリアエスピー(Beauv
eria sp.)FO−6979菌株が好ましい例と
して挙げられるが、菌の一般的性状として菌学上の性状
は極めて変異し易く、一定したものではなく、自然的に
あるいは通常行われる紫外線照射または変異誘導体、例
えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン、エチルメタンスルホネート等を用いる人工的変異手
段により変異することは周知の事実であり、このような
人工的変異株は勿論、自然変異株も含め、ボーベリア属
に属し、FO−6979物質を生産する能力を有する菌
株はすべて本発明に使用することができる。
【0016】また、細胞融合、遺伝子操作などの細胞工
学的に変異させた菌株も含め、ボーベリア属に属し、前
記の式で表されるFO−6979物質(以下、特記しな
い限り「FO−6979物質」と称する)を生産する菌
株は、全て本発明において使用することができる。
【0017】本発明を実施するに当たっては、先ずボー
ベリア属に属するFO−6979物質生産菌を培地に培
養することにより行われる。上記FO−6979物質生
産に適した栄養源としては、微生物が同化し得る炭素
源、消化し得る窒素源、さらに必要に応じて無機塩、ビ
タミン等を含有させた栄養培地が使用される。炭素源と
しては、グルコース、フラクトース、マルトース、ラク
トース、ガラクトース、デキストリン、澱粉等の糖類、
大豆油等の植物性油脂類が単独または組み合わせて用い
られる。
【0018】窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、
肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーン・スチープ・リカ
ー、麦芽エキス、カゼイン、アミノ酸、尿素、アンモニ
ウム塩類、硝酸塩類等が単独または組み合わせて用いら
れる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネシウム塩、
カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩類、鉄
塩、マンガン塩、銅塩、コバルト塩、亜鉛塩などの重金
属塩類やビタミン類、その他本FO−6979物質の生
産に好適なものが適宜添加される。
【0019】培養するに当たり、発泡の激しいときに
は、必要に応じて液体パラフイン、動物油、植物油、シ
リコン等、界面活性剤等の消泡剤を添加してもよい。上
記の培養は、上記の栄養源を含有すれば、培地は液体で
も固体でもよいが、通常は液体培地を用い、培養するの
がよい。少量生産の場合にはフラスコを用いる培養が好
適である。
【0020】培養を大きなタンクで行う場合は、生産工
程において、菌の生育遅延を防止するため、はじめに比
較的少量の培地に生産菌を接種培養した後、次に培養物
を大きなタンクに移して、そこで生産培養するのが好ま
しい。この場合、前培養に使用する培地および生産培養
に使用する培地の組成は、両者ともに同一であってもよ
いし、必要があれば両者を変えてもよい。
【0021】培養を通気攪拌条件で行う場合は、例えば
プロペラやその他機械による攪拌、ファメーターの回転
または振とう、ポンプ処理、空気の吹き込み等既知の方
法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌したものを使
用する。培養温度は、本FO−6979物質生産菌が本
FO−6979物質を生産する範囲内で適宜変更し得る
が、通常は20〜30℃、好ましくは27℃前後で培養
するのがよい。培養pHは、通常は5〜8、好ましくは
7前後で培養するのがよい。培養時間は、培養条件によ
っても異なるが、通常は10〜20日程度である。
【0022】このようにして得られたFO−6979物
質は培養菌体および培養ろ液に存在する。培養物から目
的とするFO−6979物質を採取するには、全培養物
をアセトン等の水混和性有機溶媒で抽出し、抽出液を減
圧下有機溶媒を留去後、続いて残渣を酢酸エチル等の水
不混和性有機溶媒で抽出することによって行われる。
【0023】上記の抽出法に加え、脂溶性物質の採取に
用いられる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフ
ィー、遠心向流分配クロマトグラフィー、高速液体クロ
マトグラフィー等を適宜組み合わせ、あるいは繰り返す
ことにより、FO−6979物質を分離、精製すること
ができる。
【0024】本発明によるFO−6979物質の理化学
的性状は次のとおりである。 (1)性状:白色粉末 (2)分子量:487(高速原子衝撃質量分析による) (3)分子式:C27413 5 (4)比旋光度:[α]D 23=−37.8°(c=0.
3、クロロホルム:メタノール=4:1)
【0025】(5)紫外部吸収極大(メタノール中):
図1に示すとおり、215nm(ε=27300に吸収
を有する。 (6)赤外部吸収極大(KBr錠):図2に示すとお
り、1539、1639、1686、1726cm-1
極大吸収を有する。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重クロロホル
ム:重メタノール=4:1):図3に示すとおり。 (8)13C核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム:重
メタノール=4:1):図4に示すとおり。
【0026】(9)溶剤に対する溶解性:メタノール、
ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチルに可溶。水、ヘキ
サンに難溶。 (10)呈色反応:硫酸、リンモリブデン酸に陽性。 (11)酸性、中性、塩基性の区別:中性物質。
【0027】以上に詳しく述べたように、本FO−69
79物質の各種理化学的性状やスペクトルデータを検討
した結果、本FO−6979物質は次の化学構造である
ことが決定された。
【0028】
【化3】
【0029】次に、本発明のFO−6979物質の生物
学的性状および毒性について詳しく述べる。 (1)マウス由来アシルコエンザイムAコレステロール
アシル転移酵素に対する阻害作用 アシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素活
性は、Uelmenらの方法(J.Biol.Che
m.270巻、26192〜26201頁、1955
年)を一部改変して行った。酵素源としては、マウス肝
ミクロソーム及びマウス腹腔マクロファージ由来の膜画
分を用いた。マウス肝は緩衝液A(50mMトリス塩酸
液(pH7.8)、1mM EDTA及び1mMフェニ
ルメタンスルフォニルフルオリド)中でポッター型ホモ
ジナイザー(Tokyo−RIKO社製)でホモジナイ
ズする。
【0030】これを12,000×gで遠心した上清を
100,000×gで超遠心した沈渣をミクロソーム画
分とした。一方、腹腔マクロファージは緩衝液Aで懸濁
後、超音波機(Misonix社製)で破壊後、10
0,000×gで超遠心し、その沈渣を膜画分とした。
いずれの画分も5mg/mlの蛋白質濃度となるように
緩衝液Aで調製した。
【0031】アシルコエンザイムAコレステロールアシ
ル転移酵素活性の測定は、緩衝液A中で酵素源200μ
g蛋白量、200mM牛血清アルブミン、〔1−14C〕
オレオイルコエンザイムA(最終濃度170μM、0.
09μCi)とFO−6979物質を加え全量100μ
lとして、37℃で10分間反応させた。
【0032】次いでそこに、0.5mlエタノールを加
えて反応を停止させ、1.5mlヘキサンを加えてよく
攪拌した。ヘキサン層1mlを乾固後、TLC(シリカ
ゲルプレート、メルク社製、厚さ0.5mm)にスポッ
トし、石油エーテル/ジエチルエーテル/酢酸(90:
10:1、v/v)の溶媒で展開した。次に生成した〔
14C〕コレステリルオレートの量をラジオスキャナー
(アンビス社製)で定量した。
【0033】その結果、FO−6979物質のアシルコ
エンザイムAコレステロールアシル転移酵素活性を50
%阻害する濃度(IC50)は、マウス肝ミクロソームを
酵素源としたときは21μM、そしてマウス腹腔マクロ
ファージ膜画分を酵素源としたときは10μMと測定さ
れた。
【0034】(2)マウス腹腔マクロファージ内でのコ
レステリルエステル及び油滴形成に対する阻害作用 マウス腹腔マクロファージ内でのコレステリルエステル
形成および油滴形成は西川らの方法(J.Biol.C
hem.265巻、5226〜5231頁、1990
年)を一部改変して行った。マウス腹腔より単離したマ
クロファージを6.8%リポ蛋白質欠乏血清を含むダル
ベッコ改変イーグル培地(6.8%LPDS−DMEM
培地)に2.0×106 cells/mlで懸濁して、
48穴マイクロプレート(Corning社製)あるい
はスライドチャンバー(Nunc社製)に0.25ml
ずつまく。
【0035】次に、5%炭酸ガスインキュベーター内で
37℃で2時間培養を行った後、付着しない細胞をハン
クス液(Hanks’solution)で洗浄するこ
とにより除去する。洗浄後、6.8%LPDS−DME
M培地で一時間培養した後、FO−6979物質(2.
5μlメタノール溶液)、リポソーム(10μlの0.
3Mグルコース中にホスファチジルコリン/ホスファチ
ジルセリン/ジセチルホスフェート/コレステロール=
10:10:2:15(nmol)の組成から構成され
ている)及び〔1−14C〕オレイン酸(5μl、0.0
5μCi、1nmol)を添加し、さらに14時間培養
した。
【0036】培養後上清を除去し、細胞内中性脂質をヘ
キサン0.6mlとイソプロパノール0.4mlを加え
て2回抽出した。これを濃縮後、TLC(シリカゲルプ
レート、メルク社製、厚さ0.5mm)にスポットし、
ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(70:30:1、
v/v)の溶媒で展開し、分離した〔14C〕コレステリ
ルオレートと〔14C〕トリアシルグリセロールの量をラ
ジオスキャナー(アンビス社製)で定量した。その結
果、FO−6979物質は〔14C〕コレステリルオレー
トの生成を選択的に阻害し、そのIC50値は0.41μ
Mと測定された。
【0037】一方、細胞内に形成した油滴は、マクロフ
ァージを6.8%LPDS−DMEM培地でFO−69
79物質と上記リポソームで14時間培養後、油滴及び
核をそれぞれオイルレッドO(oil red O)及
びヘマトキシリンで二重染色し、光学顕微鏡(オリンパ
ス社製)で観察した。その結果、FO−6979物質1
0μM存在下で、細胞質に蓄積する油滴の量は薬剤無添
加(コントロール)と比較すると約50%に減少してい
た。
【0038】(3)毒性試験 FO−6979物質は、マウス腹腔マクロファージの生
育に対して最終濃度20μMでも全く毒性を示さなかっ
た。また、FO−6979物質を100mg/kgでマ
ウス腹腔内に投与したが、何ら毒性変化は認められなか
った。
【0039】以上に詳しく述べたように、本発明のFO
−6979物質は毒性が低く、アシルコエンザイムAコ
レステロールアシル転移酵素に対して特異的な阻害を示
し、マクロファージ内での油滴形成を阻害することか
ら、ヒトのコレステロール蓄積に起因する疾病の予防治
療に有用であると期待される。
【0040】
【実施例】500ml容三角フラスコにグルコース2.
0%、ポリペプトン0.5%、イーストエキストラクト
0.2%、KH2 PO4 0.1%、アガー0.1%、
MgSO4 ・7H2 O 0.05%を水道水で溶解した
培地(pH6.0に調整)100mlを仕込み、綿栓
後、蒸気滅菌し、寒天培地上に生育させたボーベリアエ
スピー(Beauveria sp.)FO−6979
(FERM P−16716)を白金耳にて無菌的に接
種し、27℃で3日間振とう培養して種培養液を得た。
【0041】一方、1000ml容ルー型フラスコ50
本それぞれにスクロース2.0%、グルコース1.0
%、コーンスチープパウダー0.5%、肉エキス0.5
%、炭酸カルシウム0.3%、KH2 PO4 0.1
%、アガー0.1%、MgSO4・7H2 O 0.05
%、FeSO4 ・7H2 O 0.001%、MnCl2
・4H2 O 0.001%、ZnSO4 ・7H2
0.001%、CuSO4 ・5H2 O 0.001%、
CoCl2 ・2H2 O 0.001%、を水道水で溶解
した培地(pH6.0に調整)200mlを仕込み、綿
栓後、蒸気滅菌し、種培養した培養液2mlを無菌的に
移植し、27℃で14日間静置培養した。
【0042】培養後、培養液10リットルをアセトン1
0リットルで処理してろ過した後、ろ液を減圧濃縮して
アセトンのみを留去し、水溶液を得た。次いで、その水
溶液を酢酸エチル10リットルで抽出し、抽出液を減圧
濃縮して粗製物9.4gを得た。この粗製物をODSゲ
ル(470g、ペガシル、センシュー科学社製)のカラ
ムにチャージし、40%〜100%アセトニトリル、1
00%クロロホルム(各500ml)で溶出するカラム
クロマトグラフィーを行った。
【0043】各フラクションは40mlずつ分画し、活
性成分を含む70%〜100%アセトニトリル、100
%クロロホルム画分を集め、減圧乾固して粗活性黄色物
質605mgを得た。更に、粗活性物質をシリカゲル
(30g、シリカゲル60、メルク社製)のカラムにチ
ャージし、クロロホルム−メタノール(100:1〜
0:100)(各100ml)で溶出するカラムクロマ
トグラフィーを行った。各フラクションは10mlずつ
分画し、活性成分を含むクロロホルム−メタノール(1
00:2〜100:3)画分を集め、減圧乾固して粗活
性白色物質168mgを得た。
【0044】これを50回に分けて高速液体クロマトグ
ラフィーにより分離、精製した。装置はモデルSD−2
00(RANIN社製)を用い、カラムはYMC−Pa
ckS−5(ODS系樹脂、20×250mm、山村科
学研究所社製)を用い、溶媒系は52.5%のアセトニ
トリル水を用い、検出はUV215nm、流速は6ml
/分で行った。その結果、FO−6979物質15mg
を単離した。
【0045】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の新規F
O−6979物質は、毒性が低く、アシルコエンザイム
Aコレステロールアシル転移酵素を特異的に阻害するこ
とから、ヒトのコレステロール蓄積に起因する疾病の予
防および治療に有用であると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のFO−6979物質の紫外部吸収スペ
クトル(メタノール中)を示したものである。
【図2】本発明のFO−6979物質の赤外部吸収スペ
クトル(KBr法)を示したものである。
【図3】本発明のFO−6979物質のプロトン核磁気
共鳴スペクトル(重クロロホルム:重メタノール=4:
1)を示したものである。
【図4】本発明のFO−6979物質の13C核磁気共鳴
スペクトル(重クロロホルム:重メタノール=4:1)
を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:645) (C12P 13/02 C12R 1:645)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式 【化1】 で表される化合物である新規FO−6979物質。
  2. 【請求項2】 ボーベリア属に属し、FO−6979物
    質を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養
    液中にFO−6979物質を蓄積せしめ、該培養物から
    FO−6979物質を採取することを特徴とする新規F
    O−6979物質の製造法。
  3. 【請求項3】 ボーベリア属に属し、FO−6979物
    質を生産する能力を有する微生物が、ボーベリア エス
    ピー FO−6979(Beauveriasp.FO
    −6979 FERM P−16716)である請求項
    2に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 ボーベリア属に属し、FO−6979物
    質を生産する能力を有する微生物。
  5. 【請求項5】 微生物が、ボーベリア エスピー(Be
    auveria sp.)FO−6979である請求項
    4に記載の微生物。
  6. 【請求項6】 ボーベリア エスピー(Beauver
    ia sp.)FO−6979(FERM P−167
    16)株。
JP08365998A 1998-03-30 1998-03-30 新規fo−6979物質およびその製造法 Expired - Fee Related JP4160149B2 (ja)

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