JPWO2004033703A1 - 新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法 - Google Patents

新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2004033703A1
JPWO2004033703A1 JP2004542792A JP2004542792A JPWO2004033703A1 JP WO2004033703 A1 JPWO2004033703 A1 JP WO2004033703A1 JP 2004542792 A JP2004542792 A JP 2004542792A JP 2004542792 A JP2004542792 A JP 2004542792A JP WO2004033703 A1 JPWO2004033703 A1 JP WO2004033703A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fka
foaming
substance
cytoplasm
triacylglycerol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004542792A
Other languages
English (en)
Inventor
大村 智
智 大村
洋 供田
洋 供田
碌郎 増間
碌郎 増間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kitasato Institute
Original Assignee
Kitasato Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kitasato Institute filed Critical Kitasato Institute
Publication of JPWO2004033703A1 publication Critical patent/JPWO2004033703A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/02Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings
    • C07D405/06Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings linked by a carbon chain containing only aliphatic carbon atoms
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P17/00Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms
    • C12P17/16Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms containing two or more hetero rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、マウス由来のマクロファージ泡沫化を阻害する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25物質およびその製造法であり、シュードボトリティス属に属する、FKA−25物質を生産する能力を有するシュードボトリティス エスピー FKA−25を培地に培養し、その培養物中にFKA−25物質を蓄積せしめ、該培養物からFKA−25物質を採取される。得られたFKA−25物質はマウス由来のマクロファージの泡沫化を特異的に阻害することから動脈硬化症やそれに起因する疾病の予防および治療に有用であると期待される。

Description

本発明は、マウス由来のマクロファージ泡沫化を特異的に阻害して動脈硬化症、心筋梗塞、脳溢血や脳卒中などの各種疾病の予防や治療に有用な新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25およびその製造法に関する。
近年、食生活の向上に伴い成人の高脂血症や肥満などの生活習慣病が、粥状動脈硬化症、さらには心筋梗塞、脳溢血や脳卒中など死と直結した病態へと進展することが知られている(Matsuzawa Y.Nippon Rinsho,59巻,189−194,2001年)。現在、動脈硬化の予防、治療薬としてスタチン系の薬剤、例えばプラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンやアトロバスタチンなどが用いられているが、これらの薬剤はすべて体内でのコレステロール生合成の律速酵素の1つであるHMG−CoA還元酵素を阻害することにより、血中のコレステロール値を低下させる効果に起因する。しかし、動脈硬化症は複雑でかつ複合的な成因によることからも、作用機構の異なる薬剤の開発が強く望まれている。
粥状動脈硬化症の初期病変では、動脈内皮に浸潤したマクロファージが、血中を流れる低密度リポタンパク質(Low Density Lipoprotein;以下LDLと呼称することもある)が酸化や糖化などのごとき何らかの変性を受けて生じる変性LDLを認識し、際限なく取り込み、加水分解して生成する遊離のコレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程を経て、動脈硬化を進展させることが知られている(Goldstein,J.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci,U.S.A.,76巻,333−337,1979年;Gerrity,R.G.,Am.J.Pathol.,103巻,181−190,1981年)。
従って、このマクロファージ泡沫化の過程を阻害する物質は、直接動脈硬化巣の進展を抑止することが期待されるが、スタチン系薬剤たとえばプラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンやアトロバスタチンを含めてそのような効果を有する医薬品は知られていなかった。
かかる実情において、マクロファージ泡沫化を阻害する物質を提供することは、動脈硬化症の病巣に直接働き、その進展を抑止する新しい医薬品として人類の健康への福音をもたらすことが期待される。
本発明はこのような期待を満足し得る新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25およびその製造法を提供するものであり、更にマクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を有効成分とする動脈硬化症状、心筋梗塞、脳溢血および脳卒中などの予防、治療薬および該物質を生産するための微生物を提供するものである。
そこで、本発明者らは上記のごとき課題を解決すべく新規マクロファージ泡沫化阻害物質の探索を目的として種々の土壌から菌株を分離し、その生産物について鋭意研究を続けた結果、新たな土壌から分離した糸状菌FKA−259菌株の培養液中にマクロファージ泡沫化を阻害する活性を有する物質が産生されることを見出した。次いで、該培養物からマクロファージ泡沫化阻害活性物質を分離、精製した結果、後記の式で示される化学構造を有する物質を見出した。このような化学構造を有する物質は従来まったく知られていないことから、本物質をFKA−25(又はFKA−25物質)と称することにした。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、下記式
Figure 2004033703
で表される化合物である新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を提供するものである。
本発明はまた、シュードボトリティス属に属し、FKA−25物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、該培養物中にFKA−25物質を蓄積せしめ、該培養物からFKA−25物質を採取する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の製造法を提供するものである。
本発明はさらにまた、シュードボトリティス属に属する微生物が、シュードボトリティス エスピー FKA−25(Pseudobotrytis sp.FKA−25)である微生物を提供するものである。
本発明はまた、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する疾病の予防または治療のために使用する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を提供するものである。
本発明は更にコレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する動脈硬化症の予防または治療のために使用する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を提供するものである。
本発明は更にまたコレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する心筋梗塞の予防または治療のために使用する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を提供するものである。
本発明は更にコレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳溢血の予防または治療のために使用する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25を提供するものであるに。
本発明は更に、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳卒中の予防または治療のために使用する新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用を提供するものである。
本発明は更にまた、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する動脈硬化症の予防用または治療用薬物の製造のための新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用を提供するものである。
本発明は更に、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する心筋梗塞の予防用または治療用薬剤のための新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用を提供するものである。
本発明は更に、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳溢血の予防用または治療用薬剤のための新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用を提供するものである。
本発明は更に、コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳卒中の予防用または治療用薬剤のための新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用を提供するものである。
前記の式で表される本発明のFKA−25物質を生産する能力を有する微生物(以下「FKA−25物質生産菌」と称する)は、シュードボトリティス(Pseudobotrytis)属に属するが、例えば本発明者らが新たに鹿児島県屋久島の土壌から分離したシュードボトリティス エスピー(Pseudobotrytis sp.)FKA−25菌株は、本発明において最も有効に使用される菌株の一例である。
本発明のジュードボトリティス エスピー(Pseudobotrytis sp.)FKA−25株の菌学的性状を示すと、以下のとおりである。
(I)形態的性質
本菌株は、バレイショ・ブドウ糖寒天培地、コーン・ミール寒天培地、三浦寒天培地、麦芽汁寒天培地などで中程度に生育した。バレイショ・ブドウ糖寒天培地および麦芽汁寒天培地で分生子の着生は良好であったが、コーン・ミール寒天培地および三浦寒天培地ではやや抑制的であった。
三浦寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察すると、菌糸は隔壁を有しており、分生子柄は基底菌糸より直立し、まれに気菌糸より分岐することもある。その長さは180〜390μm×4.5〜6.0μmで、表面は有色で先端近くでは無色、滑面である。頂端部分は若干膨らみ分生子形成構造(20〜30μm×2.3〜3.75μm)が6〜14本輪生する。分生子形成細胞の先端は膨らみ、その周辺の歯牙状の突起から分生子が盛んに形成される。歯牙状突起先端からシンポジオ型に形成される分生子は、楕円形から棍棒形、2細胞で隔壁部分は若干くびれ、基端部分に乳頭状の切断痕を持ち、大きさ8.0〜10.5μm×3.0〜4.5μmで、淡い茶褐色である。厚膜胞子は、淡褐色から暗褐色で、球形から亜球形(5.5〜8.5μm)もしくは倒卵形(8.5〜12.0μm×7.0〜8.0μm)である。
(II)各種培地上での培養性状
各種寒天培地上で、25℃、14日間培養した場合における肉眼的観察の結果は下記のとおりである。
Figure 2004033703
Figure 2004033703
(III)生理学的諸性質
1)最適生育条件
本菌株の最適生育条件は、pH4〜6、温度25.5〜34.0℃である。
2)生育の範囲
本菌株の生育範囲は、pH3〜7、温度12.5〜39.5℃である。
3)好気性、嫌気性の区別
好気性
以上のような形態的特徴、培養性状および生理学的性状を示す本菌株を既知菌種との比較を試みた結果、本菌株は、シュードボトリティス(Pseudobotrytis)属に属する一菌株と同定し、シュードボトリティス エスピー FKA−25(Pseudobotrytis sp.FKA−25)として、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)[AIST Tsukuba Central 6,1−1,Higashi 1−Chome Tsukuba−shi,Ibaraki−ken 305−8566 Japan]に所在する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(International Patent Organism Depositary National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)に平成14年(2002)9月27日に寄託され、受託番号FERM BP−8199が付与された。
本発明で使用されるFKA−25物質生産菌としては、前述のシュードボトリティス エスピー(Pseudobotrytis sp.)FKA−25菌株が好ましい例として挙げられるが、菌は一般的性状として菌学上の性状は極めて変異し易く、一定したものではなく、自然的にあるいは通常行われる紫外線照射または変異誘導体、例えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタンスルホネート等を用いる人工的変異手段により変異することは周知の事実であり、このような人工変異株は勿論、自然変異株も含め、シュードボトリティス属に属し、前記の式で表されるFKA−25物質を生産する能力を有する菌株はすべて本発明に使用することができる。
本発明のFKA−25物質を製造するにあたっては、先ずシュードボトリティス属に属するFKA−25物質生産菌を培地に培養することにより行われる。本発明のFKA−25物質生産に適した栄養源としては、微生物が同化し得る炭素源、消化し得る窒素源、さらに必要に応じて無機塩、ビタミン等を含有させた栄養培地が使用される。炭素源としては、グルコース、フラクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、デキストリン、澱粉などの糖類、大豆油等の植物性油脂類が単独または組み合わせて用いられる。
窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーン・スチープ・リカー、麦芽エキス、カゼイン、アミノ酸、尿素、アンモニウム塩類、硝酸塩類などが単独または組み合わせて用いられる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などの塩類、鉄塩、マンガン塩、銅塩、コバルト塩、亜鉛塩などの重金属塩類やビタミン類、その他FKA−25物質の生産に好適なものが添加される。
培養するに当たり、発泡の激しいときには、必要に応じて液体パラフィン、動物油、植物油、シリコン油、界面活性剤などの消泡剤を添加してもよい。上記の培養は、上記の栄養源を含有すれば、培地は液体でも固体でもよいが、通常は液体培地を用い、培養するのがよい、少量生産の場合にはフラスコを用いる培養が好適である。
培養を大きなタンクで行う場合は、生産工程において、菌の生育遅延を防止するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を接種培養した後、次に培養物を大きなタンクに移して、そこで生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に使用する培地および生産培養に使用する培地の組成は、両者ともに同一であってもよいし、必要があれば両者を変えてもよい。
培養を通気攪拌条件で行う場合は、例えばプロペラやその他機械による攪拌、ファメーターの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹き込みなど既知の方法が適宜使用される。通気用の空気は、滅菌したものを使用する。培養温度は、本FKA−25物質生産菌が本FKA−25物質を生産する範囲内で適宜変更し得るが、通常は25〜32℃、好ましくは27℃前後で培養するのがよい。培養pHは、通常は5〜8、好ましくは7前後で培養するのがよい。培養時間は、培養条件によっても異なるが、通常は7日程度である。
このようにして得られた培養物に蓄積されるFKA−25物質は、通常は培養菌体中に存在する。培養菌体から目的とするFKA−25物質を採取するには、通常の微生物の培養物から代謝産物を採取するに用いられる手段を単独あるいは任意の順序に組み合わせて、または反復して用いられる。すなわち、例えば、ろ過、遠心分離、透析、濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する溶解度の差を利用する方法(例えば沈殿、結晶化、再結晶、転溶、向流分配等)、クロマトグラフィー等の手段が用いられる。
本FKA−25物質を分離、採取するには菌体抽出液から採取すればよい。例えば菌体よりアセトン、エタノールあるいはメタノールなどの有機溶剤などで抽出する。抽出液を濃縮した後クロロホルムや酢酸エチルなどの有機溶剤などで抽出する。抽出液を濃縮した後シリカゲルカラムクロマトグラフィー、セファデックスLH−20、ODSカラムクロマトグラフィー等によって本FKA−25物質を単離することができる。
本発明のFKA−25物質の理化学的性状は次のとおりである。
(1)性状 :白色粉末
(2)分子量 :519(M+、電子衝撃質量分析による)
(3)分子式 :C3345
(4)比旋光度:[α]=−18.0°(c=0.1、メタノール中)
(5)紫外部吸収スペクトル(メタノール中):第1図に示すとおり、239nm、288nmに極大吸収を有する
(6)赤外部吸収スペクトル(KBr錠):第2図に示すとおり、3440.4、3426、2929、1693、1456、1378cm−1付近に特徴的な吸収帯を有する
(7)溶剤に対する溶解性:メタノール、アセトン、クロロホルム、酢酸エチルに可溶、水、ヘキサンに難溶
(8)呈色反応:硫酸、ドラーゲンドルフに陽性、ニンヒドリンに陰性
(9)H−プロトン核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム中)の測定には、XL−400(バリアン社製、日本国)を用いて測定した。その化学シフト(ppm)は7.88(1H)、7.21(2H)、5.17(1H)、4.81(1H)、3.75(1H)、3.65(1H)、3.27(1H)、2.86(1H)、2.68(2H)、2.54(1H)、2.00(2H)、1.82(1H)、1.78(3H)、1.72(1H)、1.64(3H)、1.63(2H)、1.62(1H)、1.30(3H)、1.32(3H)、1.29(3H)、1.25(3H)、1.24(3H)、1.11(3H)、(但し、Hはプロトンの数を示す)
(10)13C−核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム中)の測定には、XL−400(バリアン社製、日本国)を用いて測定した。その化学シフト(ppm)は216.9s、152.8s、139.7s、131.4s、131.3s、129.8s、125.6s、124.9d、120.1d、117.2s、110.2d、81.4s、69.6d、68.2d、60.1s、54.8s、52.9s、49.5d、43.6s、34.6t、32.4t、29.8t、29.5t、29.0t、25.8q、25.1q、24.2q、23.1q、22.7q、21.1q、19.5q、18.5q、17.9q、(但し、s;一重線、d;二重線、t;三重線、q;四重線を示す)
(11)酸性、中性、塩基性の区別
弱塩基性物質
以上のように、FKA−25物質の各種理化学的性状やスペクトルデータを詳細に検討した結果、本FKA−25物質は下記式で表される化学構造であることが決定された。
Figure 2004033703
次に、本発明のFKA−25物質のマウス腹腔薙いでのコレステリルエステル及び脂肪滴形成に対する阻害作用について説明する。
マウス腹腔マクロファージ内でのコレステリルエステル形成および脂肪滴形成は生田目らの方法(J.Biochem.125巻、319〜327頁、1999年)に従って行った。
マウス腹腔より単離したマクロファージを6.8%リポタンパク質欠乏血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(6.8%LPDS−DMEM培地)2.0×10cells/mlで懸濁し、48穴マイクロプレート(Corning社製)あるいはスライドチャンバー(Nunc社製)に0.25mlずつまく。
次に5%炭酸ガスインキュベーター内で、37℃で2時間培養を行った後、付着しない細胞をハンクス液(Hank’s solution)で洗浄することにより除去する。洗浄後、6.8%LPDS−DMEM培地で一時間培養した後、FKA−25物質(2.5μlメタノール溶液)、リポソーム(10μlの0.3Mグルコース中にホスファチジルコリン/ホスファチジルセリン/ジセチルホスフェート/コレステロール=10:10:2:15(nmol)の組成から構成されている)及び[1−14C]オレイン酸(5μl、0.05μCi、1nmol)を添加し、さらに14時間培養した。
培養上清を除去し、細胞内中性脂質をヘキサン0.6mlとイソプロパノール0.4mlを加えて2回抽出した。これを濃縮後、TLC(シリカゲルプレート、米国、メルク社製、厚さ0.5mm)にスポットし、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(70:30:1:v/v)の溶媒で展開し、分離した[14C]コレステリルオレートと[14C]トリアシルグリセロールの量をラジオスキャナー(アンビス社製、米国)で定量した。その結果、FKA−25物質は[14C]コレステリルオレートの生成を比較的選択的に阻害し、そのIC50値はFKA−25物質で4.0μMと測定され、トリアシルグリセロールの生成に対しても、FKA−25物質は3.2μMで約50%阻害を示した。
第1図は本発明のFKA−25物質の紫外部吸収スペクトル(メタノール中)を示したものである。
第2図は本発明のFKA−25物質の赤外部吸収スペクトル(KBr錠)を示したものである。
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれのみに限定されるものでない。
500ml容三角フラスコにグルコース2.0%、酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製、日本国)0.2%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、ポリペプトン0.5%、リン酸2カリウム0.1%、寒天0.1%からなる液体培地(pH6.0)を100mlずつ分注し、121℃で15分間高圧蒸気滅菌し、これにデンプン(溶性)1.5%、酵母エキス(オリエンタル酵母工業社製、日本国)0.4%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%、リン酸2カリウム0.1%、寒天2.0%を含む寒天斜面培地で27℃で培養したシュードボトリティス エスピー FKA−25(FERM BP−8199)を1白金ずつ接種し、回転式振とう機を用いて27℃で4日間培養し、種培養液を得た。
一方、30リットルジャーファーメンター1基にサッカロース2.0%、グルコース1.0%、コーン・スチープパウダー(イワキ社製、日本国)0.5%、肉エキス(極東製薬社製、日本国)0.5%、炭酸カルシウム0.3%、硫酸マグネシウム0.3%、リン酸1カリウム0.05%、寒天0.1%からなる液体培地(pH6.0)を20リットル仕込み、121℃で60分間蒸気滅菌した。これに種培養液2本分を接種し、攪拌速度250rpm、通気量151/分で27℃で4日間培養した。
培養液に20リットルのアセトンを加え30分攪拌し、遠心後上清を得た。得られたアセトン溶液を減圧濃縮し、水溶液を得た。得られた水溶液に20リットルの酢酸エチルを加えて攪拌し、これをシャープレスで遠心分離(10,000rpm)して水層と酢酸エチル層に分別した。得られた酢酸エチル層に無水硫酸ナトリウム500gを加え、脱水した後、酢酸エチル層を減圧濃縮し、4.6gの粗物質Iを得た。この粗物質を少量のクロロホルムに溶解し、クロロホルムで充填したシリカゲルカラム(35g、米国、Merck社製、シリカゲル60 メッシュ70〜230μm)の上端にのせ、クロロホルムでカラムを洗った後、クロロホルム−メタノール(9:1)で活性物質を溶出した。
溶出した活性物質を減圧下で濃縮することによって795mgの粗物質IIを得た。この粗物質IIを再度少量のクロロホルムに溶解し、クロロホルムで充填したシリカゲルカラム(17g、米国、Merck社製、シリカゲル60 メッシュ230〜400μm)の上端にのせ、クロロホルムでカラムを洗った後、クロロホルム−メタノール(10:1)で粗物質IIIを得た。
この粗物質IIIを少量のメタノールに溶解し、高速液体クロマトグラフィー(PEGASIL ODS、φ20×250mm、センシュウー科学社製、日本国)にかけ、60%アセトニトリルを移動相として240nmの吸収を検出しながら、8ml/分の流速において16分に溶出するピークを集めた。これを減圧濃縮してマクロファージ泡沫化を阻害するFKA−25物質の白色粉末を13.9mg得た。
産業上の利用分野
以上に説明したように、シュードボトリティス属に属するFKA−25物質を生産する能力を有するシュードボトリティス エスピー FKA−25株を培地に培養し、その培養物中にFKA−25物質を蓄積せしめ、該培養物から採取したFKA−25物質は、マウス由来のマクロファージの泡沫化を特異的に阻害することから動脈硬化症やそれに起因する疾病の予防および治療に有用であると期待される。

Claims (14)

  1. 下記式
    Figure 2004033703
    で表される化合物である新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25。
  2. シュードボトリティス属に属し、FKA−25物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、その培養物中にFKA−25物質を蓄積せしめ、該培養物からFKA−25物質を採取することを特徴とする新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の製造法。
  3. 前記の物質を生産する能力を有する微生物がシュードボトリティス エスピー(Pseudobotrytis sp.)FKA−25(FERM BP−8199)またはそれの変異株である請求の範囲2に記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の製造法。
  4. 請求の範囲1に記載の物質を生産する能力を有するシュードボトリティス(Pseudobotrytis)属に属する微生物。
  5. 上記の物質を生産する能力を有する微生物が、シュードボトリティス エスピー FKA−25(FERM BP−8199)またはそれの変異株である請求の範囲4に記載の微生物。
  6. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する疾病の予防または治療のために使用する請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25。
  7. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する動脈硬化症の予防または治療のために使用する請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25。
  8. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する心筋梗塞の予防または治療のために使用する請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25。
  9. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳溢血の予防または治療のために使用する請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25。
  10. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳卒中の予防または治療のために使用する請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用。
  11. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する動脈硬化症の予防用または治療用薬物の製造のための請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用。
  12. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する心筋梗塞の予防用または治療用薬剤のための請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用。
  13. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳溢血の予防用または治療用薬剤のための請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用。
  14. コレステロールや脂肪酸をコレステリルエステルやトリアシルグリセロールに変換して脂肪滴として細胞質に蓄積し、泡沫化する過程に起因する脳卒中の予防用または治療用薬剤のための請求の範囲1記載の新規マクロファージ泡沫化阻害物質FKA−25の使用。
JP2004542792A 2002-10-11 2002-10-11 新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法 Pending JPWO2004033703A1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2002/010585 WO2004033703A1 (ja) 2002-10-11 2002-10-11 新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2004033703A1 true JPWO2004033703A1 (ja) 2006-02-09

Family

ID=32089050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004542792A Pending JPWO2004033703A1 (ja) 2002-10-11 2002-10-11 新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20040265979A1 (ja)
EP (1) EP1550727A1 (ja)
JP (1) JPWO2004033703A1 (ja)
AU (1) AU2002344079A1 (ja)
CA (1) CA2461942A1 (ja)
WO (1) WO2004033703A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20080306131A1 (en) * 2007-06-05 2008-12-11 Wyeth Progesterone receptor modulator and uses thereof

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08198874A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Banyu Pharmaceut Co Ltd 抗腫瘍性物質be−48021
JP5303084B2 (ja) * 1997-04-11 2013-10-02 コニンクリーケ デーエスエム ナムローゼ フェンノートシャップ 工業的組み換え生物を溝築するための手段としての遺伝子変換

Also Published As

Publication number Publication date
WO2004033703A1 (ja) 2004-04-22
EP1550727A1 (en) 2005-07-06
US20040265979A1 (en) 2004-12-30
AU2002344079A1 (en) 2004-05-04
CA2461942A1 (en) 2004-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6608185B1 (en) Substances KF-1040T4A,KF-1040T4B, KF-1040T5A, and KF-1040T5B, and process for producing same
JP2007291075A (ja) 新規化合物ステレニン及びその製造方法
JP3645491B2 (ja) プラバスタチンの微生物学的製法
AU742833B2 (en) Novel substances KF-1040 and process for producing the same
JP4160149B2 (ja) 新規fo−6979物質およびその製造法
JPWO2004033703A1 (ja) 新規マクロファージ泡沫化阻害物質fka−25およびその製造法
JP4351395B2 (ja) Wk−5344a物質及びwk−5344b物質並びにそれらの製造法
JP5256758B2 (ja) 新規fki−1746−1物質およびその製造方法
US7192742B2 (en) FO-6979 substances and process for producing the same
JP4380913B2 (ja) 新規ft−0554物質及びその製造法
JP5163168B2 (ja) 新規fki−3864物質およびその製造方法
US6818422B2 (en) Substances K97-0239 and process for producing the same
WO2006048947A1 (ja) マクロファージ泡沫化阻害物質fki−1840およびその製造法
EP0629184A1 (en) TETRALIN DERIVATIVES AS HMG-CoA REDUCTASE INHIBITORS
JPH08182496A (ja) Fo−2942物質およびその製造法
JPWO2006095444A1 (ja) ステンフォン(stemphone)類およびそれらの製造方法
JP2001103990A (ja) 新規fom−8108物質およびその製造法
JPH0856688A (ja) Fo−2546物質およびその製造法
JPWO2007108108A1 (ja) 新規ステンフォン(stemphone)類の化合物及びその製造法
JP2002069075A (ja) 新規生理活性物質nk34896b、及びその製造法
JP2004196680A (ja) 新規fki−0929物質およびその製造法
JPH04356475A (ja) As−183物質
JPH0751052A (ja) スポロルミエラ・インテルメディアとそれを利用するプロセス
MXPA00006364A (en) Novel substances kf-1040 and process for producing the same
JP2006056806A (ja) F−91495aおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090507

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091007