JPH07126202A - 化合物tan−1786およびその用途 - Google Patents

化合物tan−1786およびその用途

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JPH07126202A
JPH07126202A JP27638193A JP27638193A JPH07126202A JP H07126202 A JPH07126202 A JP H07126202A JP 27638193 A JP27638193 A JP 27638193A JP 27638193 A JP27638193 A JP 27638193A JP H07126202 A JPH07126202 A JP H07126202A
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tan
acid
compound
group
spectrum
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JP27638193A
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English (en)
Inventor
Takenori Ishimaru
武範 石丸
Yasunori Funahashi
康昇 舟橋
Setsuo Harada
節夫 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鎮痛抗炎症剤として有用な新規化合物の提供。 【構成】一般式 【化1】 (式中、R1およびR3は水酸基を、R2およびR4はエー
テル化またはエステル化されていてもよい水酸基を示
し、R1とR2とが相合わさって結合手を形成するか、ま
たはR2とR3とが相合わさって−O−を形成していても
よく、mおよびnは各々0ないし7の整数で、m+n=
7を示す)で表される化合物を含有してなる鎮痛抗炎症
剤。 【効果】本発明の化合物は、サブスタンスPの受容体結
合阻害作用を有し、毒性は低く、鎮痛抗炎症剤として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鎮痛抗炎症剤として有用
な新規イソプレノイド化合物TAN−1786に関す
る。
【0002】
【従来の技術】サブスタンスPはサブスタンスK(ニュ
ーロキニンA)、ニューロキニンBと共にタキキニン群
に属するペプチドで、多様な生理活性を示すことが知ら
れ〔フィジオロジカル・プレビューズ(Physiological
Previws),,1(1991)〕、特に、脊髄後根に
投射する無髄知覚神経の痛覚に係わる神経伝達物質とし
て、また炎症のメディエイターとして重要な働きをして
いることからその拮抗物質は鎮痛抗炎症剤としての応用
が期待されている。これまでにサブスタンスP受容体拮
抗作用を有する化合物としては、放射菌の代謝産物WS
−8325およびその誘導体(特開平3−148227
号公報)、その関連ペプチド(特開平3−27399号
公報)、サイクリックペプチド(特開平3−2197号
公報)などが知られている。またイソプレノイド化合物
として、ジムノピリン(gymnopilin)〔テトラヘドロン
・レタース(Tetrahedron Letters),24,1731
(1983)〕、グリソプレニン(glisoprenin)〔ジ
ャーナル・オブ・アンチビオティックス(Journal of A
ntibiotics), 45,1669(1992)〕などが知
られているが、これらにはサブスタンスP受容体拮抗阻
害作用および鎮痛抗炎症についての記述はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】鎮痛抗炎症剤は、慢性
リューマチ、神経痛、骨そしょう症、末期癌などの患者
にとって必要不可欠な薬であり、優れた効果や新しい作
用機作を有する化合物が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み新規な骨格を有するサブスタンスP受容体拮抗
物質を見いだすことができれば従来にない新しい型の鎮
痛抗炎症剤が得られると確信し、その起源を微生物代謝
産物に求め、鋭意研究を重ねた。その結果、土壌から分
離された多数の微生物中、ある種の微生物が新規物質を
産生すること、該微生物がグリオクラディウム属菌に属
すること、該微生物を適宜の培地に培養することにより
サブスタンスP受容体に強力に拮抗する活性化合物を培
地中に蓄積しうることを知り、これを単離し、これを化
合物TAN−1786と称し、各成分を化合物TAN−
1786A,B,CおよびD(以下、TAN−1786
A,B,CおよびDと略称することもある)と命名し
た。本発明者らは、これらの化合物の物理化学的および
生物学的性質からこれらが新規物質であることを確か
め、さらに検討を加えた結果、本発明を完成した。
【0005】本発明は、 (1)一般式
【化3】 (式中、R1およびR3は水酸基を、R2およびR4はエー
テル化またはエステル化されていてもよい水酸基を示
し、R1とR2とが相合わさって結合手を形成するか、ま
たはR2とR3とが相合わさって−O−を形成していても
よく、mおよびnは各々0ないし7の整数で、m+n=
7を示す)で表される化合物を含有してなる鎮痛抗炎症
剤、 (2)一般式
【化4】 (式中、R1'およびR3'は水酸基を、R2'およびR4'は
エーテル化またはエステル化されていてもよい水酸基を
示し、R1'とR2'とが相合わさって結合手を形成する
か、またはR2'とR3'とが相合わさって−O−を形成し
ていてもよく、m'およびn'は各々0ないし7の整数
で、m'+n'=7を示す)で表される化合物(ただし
m'=3の場合、R4'はエーテル化またはエステル化さ
れた水酸基を示す)、 (3)R1'およびR4'がともに水酸基で、R2'とR3'と
が相合わさって−O−を形成し、m'=4である上記
(2)項記載の化合物TAN−1786A、 (4)R1'とR2'とが相合わさって結合手を形成し、R
3'およびR4'がともに水酸基で、m'=4である上記
(2)項記載の化合物TAN−1786B、 (5)R1'、R2'、R3'およびR4'がともに水酸基で、
m'=4である上記(2)項記載の化合物TAN−17
86C、および (6)R1'が水酸基で、R2'とR3'とが相合わさって−
O−を形成し、R4'が1−α−マンノピラノース残基で
エーテル化された水酸基で、m'=4である上記(2)
項記載の化合物TAN−1786Dを提供するものであ
る。
【0006】上記一般式(I)に関し、R2またはR4
表されるエーテル化された水酸基は、R2またはR4が一
般式(II)−OR5で表される基である。R5としては、
例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、糖残基
等があげられる。アルキル基としては、例えばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチ
ル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1ないし6の直鎖状
もしくは分枝状のアルキル基等が挙げられる。アリール
基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ビフ
ェニル、1−または2−ナフチル、1−、2−または9
−アントリル、1−、2−、3−、4−または9−フェ
ナントリル、1−、2−、4−、5−または6−アズレ
ニル等の炭素数6ないし14のアリール等が挙げられ
る。アラルキル基としては、例えばベンジル、1−フェ
ニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピ
ル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジ
フェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、
o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イ
ソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベ
ンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、
3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4
−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、
5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロ
ピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブ
チルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイ
ソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジ
ル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メ
チルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エ
チル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−
(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソ
プロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフ
ェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフェニル)エ
チル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)
エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニ
ル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチ
ル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−
(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−
ジ−tert−ブチルフェニル)エチル、ベンズヒドリル等
の炭素数7ないし16個のアラルキル基等が挙げられ
る。
【0007】糖残基としては、例えば1−α−リボフラ
ノシル、1−β−リボフラノシル、2−α−キシロフラ
ノシル、2−β−キシロフラノシル、2−α−リブロフ
ラノシル、2−β−リブロフラノシル、2−デオキシ−
1−α−リボフラノシル、2−デオキシ−1−β−リボ
フラノシル等の5単糖残基、例えば1−α−マンノピラ
ノシル、1−β−マンノピラノシル、1−α−グルコピ
ラノシル、1−β−グルコピラノシル、1−α−ガラク
トピラノシル、1−β−ガラクトピラノシル、1−α−
ラムノピラノシル、1−β−ラムノピラノシル、1−α
−フコピラノシル、1−β−フコピラノシル、1−α−
グルコサミノピラノシル、1−β−グルコサミノピラノ
シル、1−α−ガラクトサミノピラノシル、1−β−ガ
ラクトサミノピラノシル、1−α−グルクロノピラノシ
ル、1−β−グルクロノピラノシル、1−α−ガラクツ
ロノピラノシル、1−β−ガラクツロノピラノシル、2
−α−フルクトピラノシル、2−β−フルクトピラノシ
ル、2−α−フルクトフラノシル、2−β−フルクトフ
ラノシル、N−アセチル−1−α−グルコサミノピラノ
シル、N−アセチル−1−β−グルコサミノピラノシ
ル、N−アセチル−1−α−ガラクトサミノピラノシ
ル、N−アセチル−1−β−ガラクトサミノピラノシル
等の6単糖残基、例えばN−アセチル−2−α−ノイラ
ミノピラノシル、N−アセチル−2−β−ノイラミノピ
ラノシル等の9単糖残基などが挙げられる。このうち好
ましくは、1−α−リボフラノシル、1−β−リボフラ
ノシル等の5単糖残基、1−β−マンノピラノシル、1
−α−グルコピラノシル、1−β−グルコピラノシル、
1−α−ガラクトピラノシル、1−β−ガラクトピラノ
シル、1−α−ラムノピラノシル、1−β−ラムノピラ
ノシル、1−α−フコピラノシル、1−β−フコピラノ
シル、1−α−グルコサミノピラノシル、1−β−グル
コサミノピラノシル、1−α−ガラクトサミノピラノシ
ル、1−β−ガラクトサミノピラノシル、1−α−グル
クロノピラノシル、1−β−グルクロノピラノシル、1
−α−ガラクツロノピラノシル、1−β−ガラクツロノ
ピラノシル等の6単糖残基である。R2またはR4で表さ
れるエステル化された水酸基は、R2またはR4が一般式
(III)−OR6で表される基である。R6としては、例
えばアシル基が挙げられる。アシル基として好ましく
は、有機カルボン酸から誘導されるアシル基が挙げられ
る。好ましい例としては、ホルミル基、アルカノイル
(アルキルカルボニル)基、アリールカルボニル基、ア
ラルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、
複素環カルボニル基などが挙げられる。上記アシル基
は、好ましくは、アルカノイル、アリールカルボニルお
よびアルキルオキシカルボニルである。アルカノイル
(アルキルカルボニル)およびアルキルオキシカルボニ
ルにおけるアルキル、アリールカルボニルにおけるアリ
ール、アラルキルカルボニルにおけるアラルキル、上記
のアルキル、アリール、アラルキルが用いられる。複素
環カルボニルにおける複素環基としては、1〜4個の窒
素原子、酸素原子および/または硫黄原子を含む5また
は6員の複素環基があげられ、その具体例としては、例
えばピロリジノ、2−オキソピロリジノ、ピロリジニ
ル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チ
エニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾ
リル、チアゾリル、ピペリジノ、ピペリジニル、ピリジ
ル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミ
ジニル、インドリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,
4−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、テトラゾ
リル、1,3−ジオキソラニル、モルホリノ、モルホリ
ニルなどが挙げられる。さらに該複素環基は5又は6員
環(例、ベンゼン、ピリジン、シクロヘクサンなど)と
縮合して2環性縮合環基(例、8−キノリル、8−プリ
ニルなど)を形成していてもよい。
【0008】該アシル基はさらに好ましくは炭素数2〜
7のもの(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ベ
ンゾイル、ホルミルオキシ、メトキシカルボニル、エト
キシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカ
ルボニル、イソブトキシカルボニルなど)である。上記
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、複
素環基は、適当な置換基(例、ヒドロキシ基、カルボキ
シル基、C1-6アルキルで置換されていてもよいアミノ
基など)で1または2個置換されていてもよい。上記一
般式(I')中のR1'、R2'、R3'、およびR4'は、それ
ぞれ上記R1、R2、R3、およびR4で表される基と同様
のものが挙げられる。一般式(I)および(I')に関
し、mまたはm’は、それぞれ3または4が好ましい。
特に4が好ましい。上記一般式(I)および(I')中、
立体異性体が各々存在するが、それらの各異性体および
それらの混合物も本発明に含まれる。また一般式(I)
および(I')で表される化合物は、塩を形成していても
よい。例えば分子中にアミノ基等の塩基性基を有する場
合、酸付加塩を形成し、またカルボキシル基等の酸性基
を有する場合、塩基塩を形成してもよい。本発明のTA
N−1786A、TAN−1786B、TAN−178
6CおよびTAN−1786Dは、TAN−1786
A、TAN−1786B、TAN−1786Cおよび/
またはTAN−1786Dを生産する能力を有する微生
物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生成、蓄積せ
しめ、これを採取することにより製造される。本発明の
TAN−1786A、TAN−1786B、TAN−1
786CまたはTAN−1786Dの製造に用いること
ができる微生物としては、グリオクラディウム属に属
し、TAN−1786A、TAN−1786B、TAN
−1786CまたはTAN−1786Dを生産する菌で
あればいずれでもよい。例えば静岡県の土壌より分離さ
れた糸状菌FL−38488株が挙げられる。
【0009】FL−38488株の菌学的性状を以下に
示す。 (a)形態的特徴 本菌株FL−38488株は麦芽エキス寒天培地、バレ
イショ・ブドウ糖寒天培地およびオートミール寒天培地
に良好に生育し、ツァペック寒天培地に中程度に生育す
る。気中菌糸は無色で表面は滑面であり隔壁を有する。
分枝を繰り返すが、所々で多数集まって束状又はなわ状
に重なる。分生子柄は無色で表面は滑面であり隔壁を有
する。なわ状菌糸より生ずることが多く、菌糸から単生
し、2〜3回分枝し、長さ100μm前後、幅2〜3μm
である。フィアライドは無色で表面は滑面であり、3〜
5本が密生する。円筒形で先が細く、10〜20μm×
2.0〜3.0μmである。分生子はフィアロ型で一細
胞であり、連鎖せず楕円形ないし腎臓形である。無色で
表面は滑面、フィアライドの先端に粘質で塊状に集合
し、大きさは4.0〜10×3.0〜4.5μmであ
る。 (b)各寒天培地上における性状 1)麦芽エキス寒天培地 生育は良好で培地上では速やかに拡がり、24℃、2週
間後のコロニーの直径は50〜58mmであった。表面は
平坦で、羊毛状の菌糸体よりなり、外縁はやや不規則に
縁取られている。中央部から中間部にかけて白色から淡
黄色、周辺部は淡黄色を呈する。裏面は淡黄色を呈す
る。可溶性色素の生成は認められない。
【0010】2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地 生育は良好で培地上では速やかに拡がり、24℃、2週
間後のコロニーの直径は58〜60mmであった。表面は
やや盛り上がった羊毛状〜なわ状の菌糸体よりなり、外
縁はやや不規則に縁取られている。中央部は白色から淡
黄色、中間部は白色から淡橙色、周辺部は白色から淡灰
黄色を呈する。裏面は淡黄褐色、淡橙色、淡黄色を呈す
る。可溶性色素の生成は認められない。pH3〜pH1
2のいずれでも生育し、生育温度範囲は9℃〜32℃で
24℃〜28℃が至適生育温度である。35℃では生育
しない。 3)ツァペック寒天培地 生育は中程度で、24℃、2週間後のコロニーの直径は
41mmであった。表面は平坦で、羊毛状の菌糸体よりな
り、外縁はやや不規則に縁取られている。中央部から周
辺部にかけて淡灰白色を呈する。裏面は、中央部から周
辺部にかけて象牙色を呈する。可溶性色素の生成は認め
られない。 4)オートミール寒天培地 生育は良好で培地上では速やかに拡がり、24℃2週間
後のコロニーの直径は78mmであった。表面はやや盛り
上がった羊毛状〜なわ状の菌糸体よりなり、外縁は規則
正しく縁取られている。中央部から周辺部にかけて淡橙
色を呈する。裏面は、淡黄色を呈する。可溶性色素の生
成は認められない。
【0011】以上の諸性質を、D. Malloch著、宇田川俊
一訳「かびの分離・培養と同定」(昭和58年、医歯薬
出版株式会社)51頁記載の同定検索表と照合すると本
菌株は、胞子は1細胞からなり、コロニー、分生子及び
その他の器官は無色又はピンク色で、分生子柄は単生、
先端は密にブラシ状に分枝した組織となり、先細のフィ
アライドを生じる、フィアライドからは湿った分生子の
集塊が形成されることから、グリオクラディウム(Glio
cladium)属に属することが明らかである。更にC. V. S
ubramanian ら著「ピポミセテス(HYPHOMYCETES)」(1
971.インディアン・カウンシル・オブ・アグリカルチ
ャル・リサーチ・ニューデリー(IndianCouncil of Agricu
ltural Research New Delhi))記載のグリオクラディ
ウム(Gliocladium)属かびの諸性質と照合すると、本
菌株のコロニーは淡黄色から淡橙色、分生子は楕円形な
いし腎臓形で、大きさは4−10×3.0−4.5μm
であることから、グリオクラディウム ロゼウム(Glioc
ladium roseum)群に属すると考えられる。したがっ
て、本菌株をグリオクラディウム ロゼウム(Gliocladi
um roseum)FL−38488と同定した。本菌株は、
平成5年10月7日より受託番号IFO 32591と
して、財団法人発酵研究所(IFO)に、また平成5年
10月27日より受託番号EFRMP−13929とし
て通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にそれ
ぞれ寄託されている。グリオクラディウム属に属するT
AN−1786A,B,CまたはD生産菌は、自体公知
の方法、たとえば紫外線、放射線などの照射、単細胞分
離、種々の変異処理、その他の手段で変異させることが
でき、このような変異株あるいは自然に得られる突然変
異株であっても、上記した分類学的性状との比較におい
て実質的に別種とするに足らず、しかも当該化合物を生
産する性質を有するものは、すべて本発明方法に利用し
得る。
【0012】TAN−1786A,B,CまたはD生産
菌の培養に用いる培地は、該菌が利用し得る栄養源を含
むものなら液状でも固状でもよいが、大量に処理すると
きには液体培地を用いるのがより適当である。培地に
は、当該化合物生産菌が同化し得る炭素源、窒素源、無
機物質、微量栄養源を適宜配合する。炭素源としては、
たとえばブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、デキストリ
ン、澱粉、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、
油脂類(例、大豆油、ラード油、チキン油など)、n−
パラフィンなどが、窒素源としては、例えば、肉エキ
ス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆粉、コーン・スティー
プ・リカー、ペプトン、綿実粉、廃糖蜜、尿素、アンモ
ニウム塩類(例、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)などを
用いる。さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、
マグネシウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜鉛、コ
バルト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ酸など
の塩類や酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類を適宜
用いてもよい。その他、アミノ酸(例、グルタミン酸、
アスパラギン酸、アラニン、リジン、メチオニン、プロ
リンなど)、ペプチド(例、ジペプチド、トリペプチド
など)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、
12、Cなど)、核酸類(例、プリン、ピリミジン、そ
の誘導体など)などを含有させてもよい。もちろん、培
地のpHを調節する目的で無機または有機の酸またはア
ルカリ類、緩衝剤などを加え、あるいは消泡の目的で油
脂類、界面活性剤などの適量を添加してもよい。液体培
養に際しては、培地のpHは中性付近、特にpH6〜8
が好ましい。培養温度は約20℃〜30℃、培養時間は
約48時間〜168時間が好ましい。通常、4〜5日の
培養でTAN−1786A,B,CまたはDの生産量は
最高に達する。培養物から目的とする化合物TAN−1
786A,B,CおよびDを採取する方法を以下に述べ
る。これらは油溶性物質で中性を示すため、この性質を
利用する自体公知の方法を採用すればよい。またこれら
各成分は菌体および濾液中に含まれるため、例えば次の
ような方法が採用される。
【0013】培養液をpH1.5ないし12好ましくは
pH2ないし10に調整後、水と混和しない有機溶媒、
例えばクロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケ
トンまたはブタノールなどを加え、10分ないし20時
間、好ましくは20分ないし4時間撹拌混和する。混合
液はろ過助剤を加えてろ過、あるいは遠心分離によって
菌体を除去して有機溶媒層を得る。あるいは培養液をp
H1.5ないし12、好ましくはpH2ないし10に調
整後、ろ過助剤を加えてろ過、あるいは遠心分離によっ
て菌体を得る。得られた菌体を適当な有機溶媒、たとえ
ばメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセト
ン、アセトニトリル、ジクロロメタン、酢酸エチル、メ
チルイソブチルケトンあるいはブタノールなどを加えて
10分ないし20時間、好ましくは20分ないし4時間
撹拌混和し、ろ過または遠心分離等によって菌体を除去
する。得られたろ液または上清層を濃縮し、水と混和し
ない有機溶媒、例えばジクロロメタン、酢酸エチル、メ
チルイソブチルケトンまたはブタノールなどを加えて希
釈液を得る。得られた有機溶媒層あるいは希釈液を水で
洗浄後、濃縮することにより、或いは適当な塩類、例え
ば食塩、重曹、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウムな
ど、或いは適当な酸類、例えば希塩酸、クエン酸等の水
溶液で洗浄し、さらに水で洗浄後、濃縮することにより
TAN−1786A,B,CまたはDを含有する粗物質
が得られる。
【0014】粗物質をさらに精製し、純粋なTAN−1
786A,B,CまたはDを得るには種々のクロマトグ
ラフィー法が有利に用いられる。担体としてはシリカゲ
ル、結晶セルロース、吸着性樹脂たとえばダイヤイオン
HP−20(三菱化成社製)、アンバーライトXAD−
IまたはII(ローム アンド ハース社製、米国)、セ
ファデックスLH−20(ファルマシア社製、スウエー
デン)などが用いられ、これらは通常カラムクロマトグ
ラフィー法で行われる。カラムから活性物質を溶出する
には担体の種類によって異なるが、適当な有機溶媒、例
えばジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセト
ン、2−プロパノール、メタノールなどの単独あるいは
これらの混合溶媒が、または水と混和し得る有機溶媒、
例えばアセトン、アセトニトリル、メタノールなどと水
溶液、例えば水、希アルカリ水、希酸水、緩衝液などと
の混合溶媒が用いられる。また、分取用高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)によってもTAN−1786
A,B,CまたはDを精製することができる。担体とし
てはオクタデシルシラン(ODS)系およびシリカゲル
系のものが有利に用いられる。例えばODSの場合、メ
タノールあるいはアセトニトリルと水或いは塩類含有水
溶液の混合溶液が有利に用いられる。活性物質を含む有
機溶媒溶出液を濃縮、あるいは水溶液を含む場合は水と
混和しない適当な有機溶媒で抽出して濃縮乾固すると純
粋なTAN−1786A,B,CまたはDが無色の油状
物或いは白色の粉末として得られる。
【0015】TAN−1786A、B、CおよびDは中
性脂溶性物質で、共通する性状として、呈色反応では過
マンガン酸カリウム、リンモリブデン酸、モーリッシュ
に対して陽性を示し、バートン、ドラーゲンドルフ、ニ
ンヒドリンに対して陰性を示す。また以下の分析用HP
LC及び薄層クロマトグラフィー(TLC)における挙
動を〔表1〕に示す。
【表1】 ────────────────────────────── HPLC保持時間(min) TLC(Rf値) ────────────────────────────── TAN-1786A 7.2 0.69 TAN-1786B 10.6 0.75 TAN-1786C 4.0 0.43 TAN-1786D 4.9 0.34 ────────────────────────────── HPLC条件:担体;ODS, YMC-Pack A-312 移動相;85% メタノール水 流速;2ml/min 検出法;UV吸収,214nm TLC条件: 担体;Silica gel 60 F254(E. Merck A
G.) 展開溶媒;酢酸エチル:2-プロパノール:水(10:
2:1) 次に、後述する実施例で得られたTAN−1786A,
B,CおよびDの物理化学的性状を示す。
【0016】TAN−1786A (1)外観:無色油状物 (2)分子量:m/z 736(M+),(EIマス・スペク
トルより) (3)分子式:C45847(736) (4)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中
〔図1〕末端吸収 (5)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な
吸収を示す(波数,cm-1)〔図2〕 3390, 2970, 2940, 1640, 1460, 1380, 1170, 1060, 10
20 (6)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz、
重メタノール中、δppm〔図3〕 139.4(Q), 136.2(Q), 136.0(Q), 125.5(CH), 125.3(C
H), 125.0(CH),86.1/87.0(CH), 84.7(Q), 73.5(Q), 73.
4(Q), 72.6(Q), 59.4(CH2),43.5(CH2), 43.4(CH2), 42.
3(CH2), 41.3(CH2), 40.9(CH2), 40.8(CH2),37.8(CH2),
27.7(CH2), 27.6(CH2), 27.5(CH2), 27.1(CH3), 27.0
(CH3),26.9(CH3), 25.9(CH3), 25.8(CH3), 23.3(CH2),
20.2(CH2), 19.4(CH2),16.3(CH3), 16.1(CH3), 16.0(CH
3)
【0017】TAN−1786B (1)外観:白色粉末 (2)分子量:m/z 720(M+),(EIマス・スペク
トルより) (3)分子式:C45846(720) (4)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中
〔図4〕末端吸収 (5)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な
吸収を示す(波数,cm-1)〔図5〕 3380, 2950, 2910, 1460, 1380, 1180, 940 (6)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz、
重メタノール中、δppm〔図6〕 139.3(Q), 136.1(Q), 135.9(Q), 131.9(Q), 125.8(CH),
125.5(CH),125.2(CH), 124.9(Q), 73.4(Q), 73.3(Q),
73.3(Q), 59.4(CH2),43.4(CH2), 43.2(CH2), 42.6(C
H2), 42.2(CH2), 41.3(CH2), 40.8(CH2),40.7(CH2), 2
7.6(CH2), 27.4(CH2), 27.0(CH3), 26.9(CH3), 26.9(CH
3),25.9(CH3), 23.7(CH2), 23.2(CH2), 19.3(CH2), 17.
7(CH3), 16.3(CH3),16.1(CH3), 16.0(CH3)
【0018】TAN−1786C (1)外観:白色粉末 (2)分子量:m/z 755(M+),(SIマス・スペク
トルより) (3)元素分析値:(%)(水分1.5モルとして) 実測値;C,69.03; H,11.31; N,0.00 計算値;C,69.10; H,11.47; N,0.00 (4)分子式:C45868(754) (5)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中
〔図7〕末端吸収 (6)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な
吸収を示す(波数,cm-1)〔図8〕 3390, 2940, 1670, 1460, 1380, 1160, 1080, 1000, 92
0 (7)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz、
重メタノール中、δppm〔図9〕 139.3(Q), 136.1(Q), 135.9(Q), 125.5(CH), 125.2(C
H), 124.9(CH),80.4(CH), 73.8(Q), 73.4(Q), 73.3(Q),
73.3(Q), 59.4(CH2),43.8(CH2), 43.4(CH2), 42.2(C
H2), 41.3(CH2), 40.8(CH2), 40.7(CH2),40.1(CH2), 2
7.6(CH2), 27.4(CH2), 27.0(CH3), 26.9(CH3), 26.8(CH
3),26.6(CH2), 25.6(CH3), 25.1(CH3), 23.2(CH2), 19.
3(CH2), 16.3(CH3),16.1(CH3), 16.0(CH3)
【0019】TAN−1786D (1)外観:白色粉末 (2)分子量:m/z 899(M+),(SIマス・スペク
トルより) (3)元素分析値:(%)(水分0.5モルとして) 実測値;C,67.31; H,10.58; N,0.00 計算値;C,67.44; H,10.54; N,0.00; O,22.
02 (4)分子式:C519412(898) (5)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中
〔図10〕末端吸収 (6)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主な
吸収を示す(波数,cm-1)〔図11〕 3390, 2940, 1660, 1460, 1380, 1170, 1070, 1030 (7)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz、
重メタノール中、δppm〔図12〕 142.2(Q), 136.2(Q), 135.9(Q), 125.4(CH), 125.1(C
H), 121.4(CH),99.8(CH), 86.0/86.9(CH), 84.6/84.5
(Q), 78.2(CH), 75.3(CH),73.4(Q), 73.3(Q), 72.5(C
H), 72.5/72.3(Q), 68.5(CH), 65.8(CH2),62.8(CH2), 4
3.4(CH2), 43.3(CH2), 42.2/42.8(CH2), 41.3(CH2),40.
8(CH2), 40.7(CH2), 37.7/38.0(CH2), 27.6/27.7(CH2),
27.6(CH2),27.3(CH2), 27.0(CH3), 26.9(CH3), 26.9(C
H3), 25.8/26.1(CH3),25.8/25.5(CH3), 25.7(CH3), 23.
2(CH2), 20.1(CH2), 19.3(CH2),16.5(CH3), 16.2(CH3),
16.0(CH3)
【0020】以上のデータおよびNMRスペクトルの詳
細な検討からTAN−1786A,B,CおよびDの構
造式は下記のように推定された。
【化5】 一般式(I)および(I')で表される化合物は、例え
ば、TAN−1786A,BまたはCを、エーテル化ま
たはエステル化反応に付すことにより製造することがで
きる。 エーテル化反応は自体公知の方法、例えば原料
化合物TAN−1786A,BまたはCをエーテル化す
ることにより行われる。例えば化合物TAN−1786
A,BまたはCと(1)ハロゲン化物および塩基とを反
応させる方法、(2)置換されていてもよい低級アルコ
ール類、置換されていてもよいアリールアルカノール類
またはベンズヒドロール類等の対応するスルホン酸エス
テルおよび塩基とを反応させる方法、(3)ジアゾ化合
物とを反応させる方法、または(4)硫酸エステル類と
を反応させる方法、または原料化合物をアセタール型エ
ーテル化反応やグルコシル反応に付す方法等が採用され
る。上記ハロゲン化物としては例えばハロゲン化アルキ
ル(例、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピ
ル、臭化アリル、臭化ベンジル、臭化-tert-ブチル、臭
化トリフェニルメチル、塩化メトキシメチル、塩化メチ
ルチオメチル、塩化テトラヒドロピラニルなど)、ハロ
ゲン化シリル(例、塩化トリメチルシリル、塩化トリエ
チルシリル、塩化トリイソプロピルシリル、塩化-tert-
ブチルジメチルシリル、塩化-tert-ブチルジフェニルシ
リルなど)などが挙げられる。上記スルホン酸エステル
としては、例えば置換されていてもよい低級アルコール
類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
tert-ブタノール、シアノメチルアルコール、ベンゾイ
ルメチルアルコールなど)、置換されていてもよいアリ
ールアルカノール類(例、低級(C1〜6)アルキル基、低
級(C1〜6)アルコキシ基もしくはハロゲン原子によって
置換されていてもよいベンジルアルコール類、またはベ
ンズヒドロール類(例、ベンズヒドロール、p−ニトロ
ベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコー
ル、2,4,6-トリメチルベンジルアルコールなど))など
の対応するスルホン酸エステル(例、ベンゼンスルホン
酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタン
スルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸エ
ステルなど)等が挙げられる。これらハロゲン化物およ
びスルホン酸エステルの使用量は、それぞれ原料化合物
に対し、約0.1ないし50当量、好ましくは約1ない
し10当量である。塩基としては、例えば無機塩基
(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリ
ウム、水素化カルシウムなど)、有機塩基(例、リチウ
ムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリ
ルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウム
シクロヘキシルイソプロピルアミドなどのリチウムアミ
ド類、メチルリチウム、エチルリチウム、n-,sec-,およ
びtert-ブチルリチウム、フェニルリチウムなどのアル
キルリチウム類、メチルマグネシウムブロミド、エチル
マグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、
フェニルマグネシウムブロミドなどのグリニヤ試薬類、
ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ピコリン、4−
ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、イミダゾール
などの芳香族アミン類、トリエチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、ジメチルアニリンなどの3級アミン
類)等が用いられる。塩基の使用量としては、通常原料
化合物に対して、約0.1ないし50当量、好ましくは
約1ないし10当量である。上記ジアゾ化合物としては
例えばジアゾメタン、トリメチルシリルジアゾメタン、
ジフェニルジアゾメタンなどが挙げられる。上記硫酸エ
ステル類としては例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸な
どが挙げられる。ジアゾ化合物および硫酸エステル類の
使用量は、それぞれ原料化合物に対し、約1ないし10
0当量、好ましくは約2ないし30当量である。またア
セタール型エーテル化反応は自体公知の方法により行わ
れる。例えば化合物TAN−1786A,BまたはCに
酸触媒下、例えばヘミアセタール類(例、ジヒドロピラ
ン、2-メトキシプロペン、エチルビニルエーテル、イ
ソプロピルビニルエーテルなど)、保護されていてもよ
い糖残基のヘミアセタール類(例、保護されていてもよ
いグルカール類、保護されていてもよいガラクタール類
など)等を反応させる方法が挙げられる。触媒として用
いられる酸としては、例えばハロ酢酸(例、トリフルオ
ロ酢酸など)、ハロゲン化水素酸(例、塩化水素酸、臭
化水素酸など)、スルホン酸(例、ベンゼンスルホン
酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸、D-カンファースルホン酸な
ど)、ルイス酸(例、亜鉛−酢酸、3フッ化ホウ素エー
テル錯体、ヨードトリメチルシラン、トリフルオロメタ
ンスルホン酸トリメチルシリルエステル、四フッ化チタ
ン、四塩化チタン、塩化第1スズ、過塩素酸銀、トリフ
ルオロメタンスルホン酸無水物など)等が用いられる。
グリコシル化反応は自体公知の方法により行われる
[例、有機合成化学協会誌、50,378~390(1992)]。例え
ば化合物TAN−1786A,BまたはCに酸触媒下、
保護されていてもよいグリコシル供与体(例、ハロゲン
化糖、チオグリコシド、1-O-アシル糖、炭酸エステル化
糖、リン酸エステル化糖、糖イミデート、4-ペンテニル
チオグリコシド等)などと反応させる方法が挙げられ
る。触媒として用いられる酸としては、上記の酸と同様
のものが用いられる。これら触媒の使用量は原料化合物
のエーテル化を促進し得る触媒量程度でよく、通常原料
化合物1モルに対して約0.001ないし10モル、好
ましくは約0.001ないし5モルである。上記エーテ
ル化反応は溶媒の存在下に行なうことができる。溶媒と
しては、反応を阻害しないものであれば特に限定されな
い。例えば無水ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、
N−メチルピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホ
キサイドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの芳香族
アミン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどの
エーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類、ペンタ
ン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、
ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水
素類、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、
あるいはこれらの適宜の割合の混合物などが挙げられ
る。反応温度は、反応に使用されうることが知られてい
る範囲から適宜選択される。具体的には、例えば通常約
−100℃〜100℃の範囲から適宜選択される。反応
時間は、反応に要することが知られている範囲から適宜
選択される。具体的には、例えば数分から7日程度反応
させる。
【0021】エステル化反応は自体公知の方法、例えば
化合物TAN−1786A,BまたはCをアシル化する
ことにより行われる。本反応に用いられるアシル化剤と
しては、例えば上記R中のアシル基を誘導する有機カ
ルボン酸またはその反応性誘導体が用いられる。カルボ
ン酸の反応性誘導体としては、例えば常法に従って製造
することができる酸ハライド、酸無水物、活性アミド、
活性エステル、活性チオエステル等が用いられる。この
ような反応性誘導体を具体的に述べると次のとおりであ
る。 1)酸ハライド:例えば酸クロリド、酸ブロミド等が用
いられる。 2)酸無水物:例えば対称型酸無水物、モノC1-6アル
キル炭酸混合無水物、脂肪族カルボン酸(例、酢酸、ピ
バル酸、吉草酸、イソ吉草酸、トリクロル酢酸等)から
なる混合酸無水物、芳香族、芳香族カルボン酸(例、安
息香酸等)からなる混合酸無水物等が用いられる。対称
型酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水ブタン酸等のC1-6アルキルカルボン酸無水物
などがあげられる。 3)活性アミド:例えばピラゾール、イミダゾール、4
−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、ベンゾトリ
アゾール等とのアミドが用いられる。 4)活性エステル:例えばメトキシメチルエステル、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロ
キシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
エステル、4−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニ
トロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、
プロパルギルエステル、ペンタクロロフェニルエステル
等のエステルのほか、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリ
ドン、N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒドロキシ
フタルイミド等とのエステル等が用いられる。 5)活性チオエステル:例えば2−ピリジルチオール、
2−ベンゾチアゾリルチオールなどの複素環チオール等
とのチオエステル等が用いられる。
【0022】以上のような各種反応性誘導体は、カルボ
ン酸の種類によって適宜選択される。また、該アシル化
剤として、スルホン酸アシルを導入しうるスルホン酸の
反応性誘導体、例えば、メタンスルホニルクロリド、ベ
ンジルスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルク
ロリド等の酸ハライド、無水メタンスルホン酸、無水p
−トルエンスルホン酸等の対称型酸無水物を用いてもよ
い。カルボン酸、その反応性誘導体またはスルホン酸の
反応性誘導体等のアシル化剤は、原料化合物TAN−1
786A、BまたはCの各1モルに対し、例えば約1モ
ル以上使用してもよく、約1ないし30モル程度が好ま
しい。本反応は反応を阻害しない溶媒中、あるいは溶媒
の非存在下に行われる。反応を阻害しない溶媒として
は、例えばアセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢
酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;アセトニトリル等
のニトリル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化
水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル等の
エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類;トリエチルアミン、トリブチルアミ
ン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、
N,N−ジメチルアニリン等の三級アミン;ピリジン、
ピコリン、ルチジン、コリジン等のピリジン類等が用い
られる。これらは一種のみで、または二種以上適当な割
合で混合して用いてもよい。
【0023】本アシル化反応は、原料化合物のアシル化
を促進しうる触媒を用いることによりさらに有利に進行
する。そのような触媒としては、例えば塩基触媒、酸触
媒が用いられる。塩基触媒としては、例えば三級アミン
〔例、トリエチルアミンのような脂肪族三級アミン、ピ
リジン、α−、β−またはγ−ピコリン、2,6−ルチ
ジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−(1−ピロリ
ジニル)ピリジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ンのような芳香族三級アミン等〕、ハロゲン化アルカリ
金属(例、フッ化カリウム、無水ヨウ化リチウム等)、
有機酸塩(例、酢酸ナトリウム)などが用いられる。酸
触媒としては、例えばルイス酸(例、無水塩化亜鉛、無
水塩化アルミニウム(AlCl3)、四塩化チタン(TiC
l4)、四塩化錫(SnCl4)、五塩化アンチモン、塩化
コバルト、塩化第二銅、三フッ化ホウ素エーテラート
等)、無機強酸(例、硫酸、過塩素酸、塩化水素、臭化
水素等)、有機強酸(例、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢
酸、カンファースルホン酸等)、酸性イオン交換樹脂
(例、ポリスチレンスルホン酸)などが用いられる。上
記の触媒のなかでもカンファースルホン酸、ピリジン、
4−ジメチルアミノピリジンなどが好ましい。触媒の使
用量は原料化合物のカルボン酸によるアシル化を促進し
得る触媒量程度でよく、通常原料化合物1モルに対して
約0.001ないし10モル、好ましくは約0.001
ないし1モルである。反応温度は特に限定されないが、
通常約−30から100℃、好ましくは約10から50
℃である。反応時間は数分から数十時間程度(例えば約
5分から30時間など)である。かくして得られる目的
化合物(I)または(I')は、自体公知の手段、例えば
濃縮、液性変換、転溶、溶媒抽出、凍結乾燥、結晶化、
再結晶、分留、クロマトグラフィーなどにより単離精製
することができる。
【0024】以下に実施例1で得られたTAN−178
6Cの生物活性について説明する。 試験例1 ラジオ・リガンド・レセプター結合阻害活性試験 〔方法〕アール・キリオン(R. Qirion)およびシー・
ピラピル(C. Pilapil)〔ニューロペプタイド(Neurop
eptide),325(1984)〕の方法を改変して用
いた。受容体はウィスターラット(雄、8週齢、チャー
ルス リバー社製)の脳から調製した。ラットを断頭に
よって犠牲にし、前脳を取り出し、1匹当たり30mlの
120mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウムを含む1
50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)中でポリトロ
ン・ホモゲナイザー〔キネマチカ(kinematika)社製、
ドイツ〕を用いて破砕し、40,000×gで20分遠
心した。沈渣を30mlの300mM塩化カリウムと10m
Mエチレンジアミン四酢酸を含む50mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.4)中に懸濁し、氷冷下に30分緩やか
に撹拌する。懸濁液を40,000×gで20分間遠心
し、沈渣を30mlの50mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.4)で洗浄し、受容体標品として凍結(−80℃)
保存した。この標品を1.5mg/mlの蛋白濃度になるよ
うに反応緩衝液〔50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
4)、0.02%牛血清アルブミン、1mMフェニルメ
チルスルホニルフルオリド、2μg/mlキモスタチン、
40μg/バシトラシン、3mM塩化マンガン〕に懸濁
し、100μl容量を反応に使用した。サンプルおよび
125I−BHSP(0.46KBq)を加え、0.2mlの反
応緩衝液中で25℃、30分反応させた。サブスタンス
Pを、その濃度が2×10-6Mとなるように添加し、非
特異的結合量を求めた。反応後、セルハーベスター〔2
90PHD、ケンブリッジ・テクノロジー・インコーポ
レイション(Cambridge Technology, Inc.)社製、英
国〕を用いて、グラスフィルター〔GF/B,ワットマ
ン(Whatman)社製、米国〕上に急速ろ過して反応停止
し、250μlの0.02%牛血清アルブミンを含む5
0mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で3回洗浄し、
フィルター上に残った放射活性をガンマ・カウンターで
測定した。フィルターは使用前に0.1%ポリエチレン
イミンに一昼夜浸漬後風乾したものを用いた。 〔結果〕化合物TAN−1786Cは、4.8μg/ml
で50%阻害を示した。
【0025】試験例2 モルモット回腸収縮阻害作用測定 一昼夜断食させたモルモット(Std Hartley, 雄,25
0g,日本エスエルシー)から、脳震盪後、頸動脈より
放血し、回腸を取り出した。約3cmの断片を、20mlの
タイロード緩衝液で満たしたマグヌス管中に、0.5g
の張力をかけて懸垂した。この間、37℃に保温し、混
合ガス(95%O2、5%CO2)を小泡にして通気し
た。サンプルを加えて5分間安定させ、2×10-9Mの
サブスタンスPを添加して回腸を収縮させ、サンプル無
添加の収縮度を100%とし、サンプル添加による阻害
度を百分率で示した。収縮は等張力トランスデューサ
(ME−4013、駿河電子社製)を用い、記録計(レ
クチホリー8K、日本電子三栄社製)上に記録した。サ
ンプルの活性は最大収縮の50%阻害を示す濃度をED
50値として示した。 〔結果〕TAN−1786Cは、1.56μg/mlでサ
ブスタンスPによる最大収縮の50%(ED50)を阻害
した。
【0026】本発明の化合物はサブスタンスP受容体結
合阻害作用を有し、低毒性で、哺乳動物(例、イヌ、ネ
コ、ウシ、ウマ、ヤギ、家兎、マウス、ラット、サル、
ヒト等)の鎮痛抗炎症剤として有用である。かかる本発
明の鎮痛抗炎症剤は、常法に従い一般式(I)で表され
る化合物を薬理学的に許容される担体と混合することに
より得られる。本剤は、非経口剤として、たとえば外用
剤、注射剤、点滴剤、液剤、懸濁液剤および坐剤等、経
口剤としてたとえばカプセル剤、錠剤、シロップ剤、散
剤、顆粒剤等またはそのほかの医薬として適切な剤型で
提供される。これらは自体公知の方法によって製造され
る。非経口剤、例えば注射剤を製造する際には、該化合
物に等張化剤(例、グルコース、ソルビトール、マンニ
トール、塩化ナトリウム、グリセンなど)、保存剤
(例、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラヒ
ドロキシ安息香酸メチルなど)、抗凝固剤(例、デキス
トラン硫酸、ヘパリンなど)、溶解補助剤(例、シクロ
デキストリン類、ツイーンなど)、安定化剤(例、ポリ
エチレングリコール、ポリ乳酸など)などを加えてもよ
い。投与に当たっては、慣用の水性希釈剤中に溶解し、
液剤として用いる。希釈剤としてはぶどう糖水溶液、生
理食塩水、リンゲル液、栄養補給剤液などが含まれる。
【0027】たとえば外用剤とするには、自体公知の方
法に従い、本発明の化合物(I)を固状、半固状または
液状の外用投与剤とすることができる。たとえば、上記
固状のものとしては、化合物(I)をそのまま、あるい
は賦形剤(例、グリコール、マンニトール、デンプン、
微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セ
ルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを添加、
混合して粉状の組成物とする。上記液状のものとして
は、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは水性
懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性のゲル
剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらはいず
れもpH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、
水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息
香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニ
ウムなど)などを加えてもよい。
【0028】たとえば坐剤とするには、自体公知の方法
に従い、本発明の化合物(I)を油性または水性の固
状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上
記組成物に用いる油性基剤としては、化合物(I)を溶
解しないものであればよく、たとえば高級脂肪酸のグリ
セリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイト
ノーベル社製)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール
類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、あるいは植物
油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられ
る。また、水性基剤としては、たとえばポリエチレング
リコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤とし
ては、たとえば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニー
ル重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。経口剤
を製造する際には添加剤、たとえば賦形剤(例、乳糖、
白糖、デンプンなど)、結合剤(例、デンプン、アラビ
アゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピ
ロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、崩壊
剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、滑沢剤
(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレ
ングリコール6000など)、着色剤(例、ベンガラな
ど)、矯味剤、安定化剤などが含まれていても良い。本
発明の鎮痛抗炎症剤は経口的または非経口的に投与さ
れ、ヒトに用いる投与量は対象の疾患、投与経路、治療
する患者個々の年齢及び疾病の程度によって変動し得る
が、通常、体重50kgの成人患者の場合有効成分(該化
合物の含量として)1日約0.5〜500mg、好ましく
は約1〜200mgが疾患の治療に用いられる。
【0029】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説
明するが、これによって本発明が限定されるものではな
い。なお、培地におけるパーセント(%)は、特に断り
のない限り、重量/容量パーセントを表示する。 実施例1 ポテト・デキストロース・ブロス(ディフコ社製、米
国)24g、寒天20gと水1リーターからなる斜面培
地上で、28℃で、7日間培養したグリオクラディウム
ロゼウム(Gliocladium roseum)FL−38488株
を2%ブドウ糖、3%麦芽糖、1.5%生大豆粉、1.
0%コーン・スティープ・リカー(CSL)、0.5%
ポリペプトン、0.3%酵母エキス、0.3%塩化ナト
リウムを含む500mlの種培地(pH6.0)に接種
し、2リーター容坂口フラスコで、28℃、48時間、
往復振盪機上で培養し、種培養を得た。得られた種培養
液1リーターを200リーター容ステンレスタンク内の
120リーターの5%グルコース、2%生大豆粉、0.
2%ポリペプトン、0.5%炭酸カルシウム、0.05
%アクトコール(武田薬品工業社製)、0.02%シリ
コンを含む主発酵培地(pH7.2)に移植し、28
℃、通気量・120リーター/分、撹拌・150回転/
分、内圧・1kg/cm2の条件で、4日間培養した。得ら
れた培養液(2.2リーター)から得られた菌体を80
%メタノール水(1.8リーター)と1時間撹拌混和し
た。得られたろ液を濃縮乾固後、水(1.8リーター)
に溶かし、酢酸エチル(0.9リーター,2回)で抽出
した。得られた有機層を0.01N塩酸、2%炭酸水素
ナトリウム、水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウム
を用いて乾燥し、減圧下濃縮、乾固して油状物(275
mg)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(20g)に付し酢酸エチル(120ml)、酢酸エチ
ル:メタノール=19:1(60ml)で洗浄後、活性区
分を酢酸エチル:メタノール(19:1,100ml、次
いで9:1,20ml)で溶出した。溶出液を合わせて減
圧下濃縮し、TAN−1786AおよびBの混合物(1
49mg)を得た。このTAN−1786AおよびBの混
合物を分取用逆相系高速液体クロマトグラフィー〔HP
LC,担体:YMC-Pack D-ODS-5, ワイエムシィ社、日
本、移動相:70%アセトニトリル水、流速:10ml/
min、検出法:UV吸収214nm〕に付した。溶出容量
54−108ml(A画分)及び198−288ml(B画
分)を各々減圧下濃縮、酢酸エチル抽出し、抽出有機層
を水洗後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧下濃
縮乾固、さらにn−ヘキサン、酢酸エチルを加えた後減
圧下で濃縮乾固し、TAN−1786A白色粉末(26
mg)、TAN−1786B白色粉末(56mg)を得た。
【0030】実施例2 実施例1で得られた培養液(106リーター)を酢酸エ
チル(100リーター)と30分間撹拌混和し、得られ
た有機層を0.01N塩酸、2%炭酸水素ナトリウム、
水で順次洗浄した後、減圧下で約4.0リーターまで濃
縮した。濃縮液を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、
減圧下濃縮、油状となったところをメタノールで分配、
メタノール層を濃縮乾固し、油状物(約 100g)を
得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5
00g)に付し酢酸エチル:メタノール(19:1,4
リーター、次いで9:1,1.5リーター)で洗浄後、
活性区分を酢酸エチル:メタノール=9:1(3.5リ
ーター)で溶出した。溶出液を合わせて減圧下濃縮し、
油状物(8.08g)を得た。この油状物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(150g)に付し酢酸エチ
ル:2−プロパノール=9:1(1.8リーター)で洗
浄後、TAN−1786C画分を酢酸エチル:2−プロ
パノール(9:1,0.9リーターついで17:3,
1.2リーター)で溶出した。さらに酢酸エチル:2−
プロパノール(17:3,0.75リーターついで4:
1,0.15リーター)で洗浄後、TAN−1786D
画分を酢酸エチル:2−プロパノール(4:1,0.7
5リーターついで7:3,0.6リーター)で溶出し
た。溶出液を各々合わせて減圧下濃縮し、TAN−17
86C油状物(2.86g)、TAN−1786D油状
物(1.24g)を得た。TAN−1786Cの油状物
をHPLC〔担体:YMC-Pack SH−363−15 S−15 120
A ODS, ワイエムシィ社、移動相:80%メタノール
水、流速:20ml/min.、検出法:UV吸収214nm〕
に付した。溶出容量500−780mlをTAN−178
6AおよびBと同様に処理した後、ジクロロメタンを加
えて濃縮乾固し、TAN−1786Cの白色粉末(83
2mg)を得た。TAN−1786Dの油状物をHPLC
〔担体:前出、移動相:82%メタノール水〕に付し
た。溶出容量520−660mlをTAN−1786Cと
同様に処理し、TAN−1786Dの白色粉末(116
mg)を得た。
【0031】実施例3 化合物TAN−1786C(11.7mg,純度72%)を
ピリジン(0.30ml)および無水酢酸(0.15ml)に
溶解し、室温で14時間攪拌した。反応液から溶媒を留
去後、酢酸エチル−ヘキサン(9:1、10ml)で希釈
し、0.05N塩酸、10%塩化アンモニウム水、2%
炭酸水素ナトリウム水、水および飽和食塩水の各々10
mlで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮乾固して粗粉
末(11mg)を得た。これをシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(10ml)に付し、酢酸エチル−アセトン
(7:3)で溶出される画分を集めて濃縮乾固し、1,3
4−O−ジアセチル TAN−1786Cの白色粉末
(7.9mg)を得た。13 C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MHz、重
メタノール中、 δ ppm;172.9(Q),143.1(Q),136.3(Q),135.9(Q),125.5(C
H),124.9(CH),119.8(CH),81.5(CH),73.4(Q),73.3(Q),7
3.0(Q),72.8(Q),62.3(CH2),43.4(CH2),43.9(CH2),42.2
(CH2),41.3(CH2),40.8(CH2),40.5(CH2),39.3(CH2),27.6
(CH2),27.2(CH2),27.0(CH3),26.9(CH3),26.7(CH3),26.0
(CH3),25.7(CH3),25.0(CH2),23.2(CH2),21.1(CH3),21.0
(CH3),19.3(CH2),19.2(CH2),16.5(CH3),16.2(CH3),16.0
(CH3)
【0032】製剤例1 実施例2によって得られたTAN−1786Cを用い
て、下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプセ
ルに充填し、カプセル1個当たり、30mgのTAN−1
786Cを含有するカプセル剤を製造した。 TAN−1786C 30mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 180mg 製剤例2 実施例2によって得られたTAN−1786Cとステア
リン酸マグネシウムを可溶性デンプンの水溶液で自体公
知の方法に従って顆粒化し、乾燥後、乳糖およびコーン
スターチと混合した。混合物を圧縮成型し、下記に示す
処方の錠剤を製造した。 TAN−1786C 30mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg 合 計 180mg 製剤例3 実施例2によって得られたTAN−1786Cを30%
(w/v)ポリエチレングリコール400を含む生理食塩
水に溶解してTAN−1786Cの0.05%溶液を調
製し、滅菌ろ過して、バイアルに30mlずつ分注した。
バイアル1個当たり、15mgのTAN−1786Cを含
有する静注剤を製造した。
【0033】
【発明の効果】本発明の化合物は、サブスタンスPの受
容体結合阻害作用を有し、毒性は低く、鎮痛抗炎症剤と
して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】TAN−1786AのUVスペクトル。
【図2】TAN−1786AのIRスペクトル。
【図3】TAN−1786Aの13CNMRスペクトル。
【図4】TAN−1786BのUVスペクトル。
【図5】TAN−1786BのIRスペクトル。
【図6】TAN−1786Bの13CNMRスペクトル。
【図7】TAN−1786CのUVスペクトル。
【図8】TAN−1786CのIRスペクトル。
【図9】TAN−1786Cの13CNMRスペクトル。
【図10】TAN−1786DのUVスペクトル。
【図11】TAN−1786DのIRスペクトル。
【図12】TAN−1786Dの13CNMRスペクト
ル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 43/178 C 7419−4H C07D 307/12 C12P 7/02 8114−4B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、R1およびR3は水酸基を、R2およびR4はエー
    テル化またはエステル化されていてもよい水酸基を示
    し、R1とR2とが相合わさって結合手を形成するか、ま
    たはR2とR3とが相合わさって−O−を形成していても
    よく、mおよびnは各々0ないし7の整数で、m+n=
    7を示す)で表される化合物を含有してなる鎮痛抗炎症
    剤。
  2. 【請求項2】一般式 【化2】 ’ (式中、R’およびR3'は水酸基を、R2'およびR4'
    はエーテル化またはエステル化されていてもよい水酸基
    を示し、R1'とR2'とが相合わさって結合手を形成する
    か、またはR2'とR3'とが相合わさって−O−を形成し
    ていてもよく、m'およびn'は各々0ないし7の整数
    で、m'+n'=7を示す)で表される化合物(ただし
    m'=3の場合、R4'はエーテル化またはエステル化さ
    れた水酸基を示す)。
  3. 【請求項3】R1'およびR4'がともに水酸基で、R2'と
    3'とが相合わさって−O−を形成し、m'=4である
    請求項2記載の化合物TAN−1786A。
  4. 【請求項4】R1'とR2'とが相合わさって結合手を形成
    し、R3'およびR4'がともに水酸基で、m'=4である
    請求項2記載の化合物TAN−1786B。
  5. 【請求項5】R1'、R2'、R3'およびR4'がともに水酸
    基で、m'=4である請求項2記載の化合物TAN−1
    786C。
  6. 【請求項6】R1'が水酸基で、R2'とR3'とが相合わさ
    って−O−を形成し、R4'が1−α−マンノピラノース
    残基でエーテル化された水酸基で、m'=4である請求
    項2記載の化合物TAN−1786D。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000037059A3 (en) * 1998-12-18 2000-11-16 Neuromed Tech Inc Compositions and methods to inactivate n-type calcium channels
US20180132514A1 (en) * 2016-11-16 2018-05-17 Sensorygen, Inc. Natural sweetener compositions
JP2020186206A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 学校法人北里研究所 抗真菌薬に対する活性増強作用を有する新規ポリテルペノイド化合物及びその製造方法

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WO2020230833A1 (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 学校法人北里研究所 抗真菌薬に対する活性増強作用を有する新規ポリテルペノイド化合物及びその製造方法

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