JPH10287679A - Tan−2483関連化合物、その製造法および用途 - Google Patents

Tan−2483関連化合物、その製造法および用途

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JPH10287679A
JPH10287679A JP9093354A JP9335497A JPH10287679A JP H10287679 A JPH10287679 A JP H10287679A JP 9093354 A JP9093354 A JP 9093354A JP 9335497 A JP9335497 A JP 9335497A JP H10287679 A JPH10287679 A JP H10287679A
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JP
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compound
group
tan
formula
acid
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Withdrawn
Application number
JP9093354A
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English (en)
Inventor
Kozo Hayashi
浩三 林
Masayuki Takizawa
正之 瀧澤
Kenichi Noguchi
憲一 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】チロシンキナーゼ阻害薬の提供。 【解決手段】一般式 【化1】 〔式中、R1は置換されていてもよい水酸基を、R2は−
CH=CHCH3又は−(CH2)CH3を、 【化2】 は単結合または二重結合であることを示す〕で表わされ
る化合物またはその塩、その製造法、その生産糸状菌N
F2329、該化合物またはその塩を含有してなる骨疾
患(例、骨粗鬆症)の治療・予防剤、該化合物またはそ
の塩を含有してなるチロシンキナーゼ阻害薬。 【効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、チロシ
ンキナーゼ(例、c−srcキナーゼ)阻害作用を有し
ており、チロシンキナーゼに起因する疾患、例えば、骨
粗鬆症等の骨疾患、膀胱癌や乳癌等の悪性腫瘍、慢性関
節リウマチや骨関節炎等の関節疾患、急性ウイルス脳炎
や急性膵炎等の炎症性疾患などの治療・予防剤として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チロシンキナーゼ
阻害作用を有し、骨粗鬆症等の治療・予防剤として有用
な新規化合物およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】骨組織では骨吸収と骨形成がバランスを
保ちながら常に繰り返され、骨の恒常性が維持されてお
り、骨粗鬆症などの骨疾患は、このバランスが骨吸収側
に傾くことによって引き起こされる。近年、骨吸収には
破骨細胞のc−srcキナーゼが重要な役割を果たして
いると考えられ、そのためチロシンキナーゼの阻害剤で
あるマイコトリエニンなどが骨疾患の治療や予防に有用
であると考えられている〔ディー・フォイエルバッハ
(D. Feuerbach)ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロ
ジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Ch
emistry)、270巻、25949頁(1995)〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、骨疾患(例、骨
粗鬆症)の治療および予防にはエストロゲン剤、カルシ
トニン、ビスフォスフォン酸等の骨吸収抑制物質が用い
られている。しかしながら、これらの治療薬を投与する
場合、投与対象が限定されたり、効果が不確実である場
合もあり、十分な効果が得られているとはいえない。ま
た、現在のところ破骨細胞のc−srcキナーゼに対
し、満足な阻害作用を有する化合物は得られていない。
そこで、チロシンキナーゼ、その中でも最近、骨吸収に
主な役割を果たしていることが明らかになりつつあるc
−srcキナーゼを阻害する薬剤を見いだすことが出来
れば、骨粗鬆症などの骨疾患の治療・予防剤として使用
することができる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題に鑑み、鋭意検討した結果、TAN−2483Aお
よびBと命名した新規化合物を糸状菌に属する微生物の
培養液中より単離する事に成功し、これら化合物が強力
なc−srcキナーゼ阻害作用を有し、さらに骨吸収抑
制作用を示することを見いだした。本発明者らは、これ
らの知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成す
るに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)一般式
【化6】 〔式中、R1は置換されていてもよい水酸基を、R2は−
CH=CHCH3または−(CH22CH3を、
【化7】 は単結合または二重結合であることを示す〕で表わされ
る化合物またはその塩、
【0006】(2)R1が式−OR3(R3はそれぞれC
1-6アルコキシ、アミノ、ハロゲン原子もしくはカルボ
キシルで置換されていてもよいC1-19炭化水素基または
1-13アシル基を示す)で表わされる基を示す第(1)
項記載の化合物、(3)R3が(1)C1-6アルコキシで置
換されていてもよいC1-8アルキル基、(2)C2-8アルケニ
ル基、(3)C7-19アラルキル基、(4)アミノもしくはカル
ボキシルで置換されていてもよいC1-6アルカノイル
基、(5)C3-6アルケノイル基、(6)C4-7シクロアルキル
カルボニル基、(7)C7-11アロイル基、または(8)ハロゲ
ン原子で置換されていてもよいC8-13アリールアルカノ
イル基である第(2)項記載の化合物、(4)R1がC
1-6アルカノイルで置換されていてもよい水酸基を示す
第(1)項記載の化合物、(5)R1が水酸基である第
(1)項記載の化合物、(6)
【化8】 が二重結合である第(1)項記載の化合物、
【0007】(7)化合物が式
【化9】 で表わされる化合物TAN−2483A、または式
【化10】 で表わされる化合物TAN−2483Bである第(1)
項記載の化合物、
【0008】(8)糸状菌に属し、第(7)項記載の化
合物TAN−2483Aおよび/またはBを生産する能
力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に化合物T
AN−2483Aおよび/またはBを生成蓄積せしめ、
これを採取することを特徴とする第(7)項記載の化合
物TAN−2483Aおよび/またはBの製造法、
(9)微生物が糸状菌NF2329(FERM BP−
5905)である第(8)項記載の製造法、(10)糸
状菌NF2329(FERM BP−5905)、(1
1)第(1)項記載の化合物またはその塩を含有してな
る医薬、(12)骨疾患の治療・予防剤である第(1
1)項記載の医薬、(13)骨疾患が骨粗鬆症である第
(12)項記載の医薬、および(14)第(1)項記載
の化合物またはその塩を含有してなるチロシンキナーゼ
阻害薬を提供する。
【0009】上記式中、R1で表わされる置換されてい
てもよい水酸基における置換基としては、置換されてい
てもよい炭化水素基または置換されていてもよいアシル
基などが用いられる。炭化水素基としては、炭素数1な
いし19の炭化水素基などが用いられ、具体的には、
(1)炭素数1ないし8のアルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル等、特に炭素数1ないし4のアルキル
基)、(2)炭素数2ないし8のアルケニル基(例、ビニ
ル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−ブ
テニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、2−オクテニ
ル等、特に、炭素数2ないし4のアルケニル基)、(3)
炭素数2ないし8のアルキニル基(例、エチニル、1−
プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチ
ニル、3−ブチニル、2−ヘキシニル、2−オクチニル
等、特に、炭素数2ないし4のアルキニル基)、(4)炭
素数3ないし6のシクロアルキル基(例、シクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル
等)、(5)炭素数6ないし14のアリール基(例、フェ
ニル、ナフチル等)および (6)炭素数7ないし19のア
ラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなどのフェニル
−C1-6アルキル基、ベンズヒドリルなどのジフェニル
−C1-6アルキル基、トリチル等)などが用いられる。
これら炭化水素基の中でも、例えば、(1)炭素数1ない
し8のアルキル基、(2)炭素数2ないし8のアルケニル
基、(3)炭素数7ないし19のアラルキル基などが好ま
しい。
【0010】このような炭化水素基は、置換可能な位置
に、例えば、(i)(a)炭素数1ないし4のアルキル基
(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチ
ル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等)、(b)炭
素数1ないし6のアルカノイル基(例、ホルミル、アセ
チル,プロピオニル,イソプロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘ
キサノイル等)、(c)1ないし3個の炭素数1ないし4
のアルキルで置換されていてもよい炭素数7ないし11
のアロイル基(例、ベンゾイル、p-トルオイル、ナフト
イル等)、(d)炭素数2ないし7のアルコキシカルボニ
ル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、
プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert-ブ
トキシカルボニル等)および (e)炭素数8ないし14の
アラルキルオキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカ
ルボニル,フェネチルオキシカルボニルなどのフェニル
−C1-6アルキルカルボニル等)から選ばれる1ないし
2個の置換基を有していてもよいアミノ基、(ii)(a)炭
素数1ないし6のアルキル基(例、メチル,エチル,プ
ロピル,イソプロピル,ブチル、イソブチル、sec-ブチ
ル、tert-ブチル等)、(b)炭素数7ないし12のアラル
キル基(例、ベンジル,フェネチルなどのフェニル−C
1-6アルキル等)、(c)炭素数1ないし6のアルカノイル
基(例、ホルミル、アセチル,プロピオニル,イソプロ
ピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバ
レリル、ピバロイル、ヘキサノイル等)および(d)1な
いし3個の炭素数1ないし4のアルキルで置換されてい
てもよい炭素数7ないし11のアロイル基(例、ベンゾ
イル、p-トルオイル、ナフトイル等)から選ばれる置換
基を有していてもよい水酸基、
【0011】(iii)(a)炭素数1ないし4のアルキル基
(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチ
ル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等)、(b)炭
素数7ないし12のアラルキル基(例、ベンジル,フェ
ネチルなどのフェニル−C1-6アルキル等)、(c)炭素数
1ないし6のアルカノイル基(例、ホルミル、アセチ
ル,プロピオニル,イソプロピオニル、ブチリル、イソ
ブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキ
サノイル等)および(d)1ないし3個の炭素数1ないし
4のアルキルで置換されていてもよい炭素数7ないし1
1のアロイル基(例、ベンゾイル、p-トルオイル、ナフ
トイル等)から選ばれる置換基を有していてもよいメル
カプト基、(iv)カルボキシル基、(v)カルバモイル基、
(vi)炭素数2ないし7のアルコキシカルボニル基(例、
メトキシカルボニル,エトキシカルボニル等)、(vii)
炭素数8ないし14のアラルキルオキシカルボニル基
(例、ベンジルオキシカルボニル等)、(viii)ニトロ基
で置換されていてもよいグアニジル基、(ix)ニトロ基、
(x)ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,よう素
等)、および(xi)炭素原子以外に酸素、硫黄、窒素等か
ら選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含む5または6
員の複素環、またはそれとベンゼン環もしくは炭素原子
以外に酸素原子,硫黄原子,酸素原子等から選ばれる1
ないし3個のヘテロ原子を含む5または6員の複素環と
の縮合複素環基(例、チエニル、フリル、ピロリル、チ
アゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾ
リル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミ
ジル、キノリル、インドリル等)などから選ばれる1な
いし3個の置換基を有していてもよい。
【0012】また、R1で示される炭化水素基が炭素数
3ないし6のシクロアルキル基、炭素数6ないし14の
アリール基または炭素数7ないし19のアラルキル基の
場合、上記した(i)〜(xi)の置換基、(xii)炭素数1な
いし8のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ter
t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル
等)、(xiii)炭素数2ないし8のアルケニル基(例、ビ
ニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−
ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、2−オクテ
ニル等)、(xiv)炭素数2ないし8のアルキニル基
(例、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1
−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ヘキシ
ニル、2−オクチニル等)などから選ばれる1ないし3
個の置換基を有していてもよい。R1で示される炭化水
素基の置換基としては、上記したものの中でも、C1-6
アルコキシ基などが好ましい。
【0013】アシル基としては、例えば、有機カルボン
酸またはアミノ酸由来のアシル基が用いられる。有機カ
ルボン酸由来のアシル基としては、例えば、炭素数1な
いし13のアシルなどが用いられる。具体的には、(1)
炭素数1ないし6のアルカノイル基(例、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、
イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、
ヘキサノイル等)、(2)炭素数3ないし6のアルケノイ
ル基(例、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイ
ル、イソクロトノイル等)、(3)炭素数4ないし7のシ
クロアルキルカルボニル基(例、シクロプロピルカルボ
ニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボ
ニル、シクロヘキシルカルボニル等)、(4)炭素数7な
いし11のアロイル基(例、ベンゾイル、ナフトイル
等)、(5)炭素数8ないし13のアリールアルカノイル
基(例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル、フ
ェニルブチリルなどのフェニル−C2-6アルカノイル
等)および (6)炭素数9ないし13のアリールアルケノ
イル基(例、シンナモイル、アトロポイルなどのフェニ
ル−C2-6アルケノイル等)などが用いられる。上記有
機カルボン酸由来のアシル基の中でも、例えば、(1)炭
素数1ないし6のアルカノイル基、(2)炭素数3ないし
6のアルケノイル基、(3)炭素数4ないし7のシクロア
ルキルカルボニル基、(4)炭素数7ないし11のアロイ
ル基、(5)炭素数8ないし13のアリールアルカノイル
基などが好ましく用いられ、特に、炭素数1ないし6の
アルカノイル基が好ましい。
【0014】アミノ酸由来のアシル基としては、例え
ば、天然型あるいは非天然型アミノ酸由来のアシル基
(例、グリシル、L-およびD-アラニル、L-およびD-
バリル、L-およびD-ロイシル、L-およびD-イソロイ
シル、L-およびD-プロリル、L-およびD-ヒドロキシ
プロリル、L-およびD-フェニルアラニル、L-および
D-トリプトファニル、L-およびD-セリル、L-および
D-トレオニル、L-およびD-チロシル、L-およびD-
アスパラギル、L-およびD-アスパラギニル、L-およ
びD-グルタミル、L-およびD-グルタミニル、L-およ
びD-メチオニル、L-およびD-システイニル、L-およ
びD-シスチル、L-およびD-リシル、L-およびD-ア
ルギニル、L-およびD-ヒスチジル等)などが用いられ
る。これらアシル基は、置換可能な位置に、前述の炭化
水素基における置換基と同様の置換基を1ないし3個有
していてもよい。なかでも、アミノ基、C1-6アルコキ
シ基、ハロゲン原子、カルボキシル基などが好ましい。
【0015】上記式中、
【化11】 は単結合または二重結合を示す。したがって、一般式
〔I〕で表わされる化合物には、式
【0016】
【化12】
【0017】
【化13】
【0018】
【化14】 または
【0019】
【化15】 〔式中、R1は前記と同意義を示す〕で表わされる化合
物が含まれる。
【0020】上記式中、R1としては、式−OR3(R3
はそれぞれC1-6アルコキシ、アミノ、ハロゲン原子も
しくはカルボキシルなどで置換されていてもよいC1-19
炭化水素基またはC1-13アシル基を示す)で表わされる
基などが好ましい。なかでも、R3としては、例えば、
(1)1〜3個のC1-6アルコキシで置換されていてもよい
1-8アルキル基、(2)C2-8アルケニル基、(3)C7-19
ラルキル基(例、ベンジル基などのフェニル−C1-6
ルキル基)、(4)1〜3個のアミノもしくはカルボキシ
ルなどで置換されていてもよいC1-6アルカノイル基、
(5)C3-6アルケノイル基、(6)C4-7シクロアルキルカル
ボニル基、(7)C7-11アロイル基(例、ベンゾイル
基)、(8)1〜3個のハロゲン原子で置換されていても
よいC8-13アリールアルカノイル基などが好ましい。特
に、R1としては、C1-6アルカノイルで置換されていて
もよい水酸基が好ましく、なかでも水酸基が好適であ
る。R2としては、−CH=CHCH3が好ましい。上記
式中、
【化16】 としては、二重結合が好ましい。
【0021】本発明の化合物〔I〕は、少なくとも4個
の不斉炭素を持つため16種以上の立体異性体が存在し
うるが、それらの各種異性体およびそれらの混合物も本
発明に含まれる。本発明の化合物〔I〕が二重結合を有
する場合、シスおよびトランス異性体が存在しうるが、
それらの各異性体およびそれらの混合物も本発明に含ま
れる。本発明の化合物〔I〕としては、R1およびR2
して上記した基を組み合わせた全ての化合物が好ましく
用いられ、なかでも好ましい具体例を〔表1〕〜〔表
4〕に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】これら化合物の中でも、特に、後述の実施
例によって得られた下記化合物1〜4が好適である。
【化17】
【0027】
【化18】
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】
【発明の実施の形態】糸状菌NF2329株は以下の性
質を示す。 a)形態的特徴 本菌株NF2329は麦芽エキス寒天培地、バレイショ
・ブドウ糖寒天培地やオートミール寒天培地等で生育す
る。気生菌糸は分枝を繰り返し、無色で隔壁を有し、表
面は滑らかである。その直径は約1.2μm〜2.8μ
mで、しばしば最大約14.7μmの菌糸束を形成す
る。 b)寒天培地上での性状 (1)麦芽エキス寒天培地:生育は良好で、培地上での
拡がりは遅く、24℃、2週間後のコロニーの直径は約3
0mmである。表面はやや盛り上がった羊毛状の菌糸体
よりなり、外縁は不規則に縁取られている。気生菌糸の
発達は良好であるが、分生子および子嚢果など特徴のあ
る器官の形成は認められない。中央部は灰白色または部
分的に茶褐色から暗褐色を呈し、中間部から周辺部にか
けて白色から灰白色を呈する。裏面中央部は淡黄白色ま
たは部分的に淡褐色を呈し、中間部から周辺部にかけて
淡黄色を呈する。可溶性色素の生成は認められない。 (2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地:生育は良好で、
培地上での拡がりは遅く、24℃、2週間後のコロニー
の直径は約25mmである。表面は盛り上がった羊毛状
からしわ状の菌糸体よりなり、外縁は不規則に縁取られ
ている。気生菌糸の発達は良好であるが、分生子および
子嚢果など特徴のある器官の形成は認められない。中央
部は灰白色または部分的に茶褐色を呈し、中間部から周
辺部にかけて白色から灰白色を呈する。裏面中央部は淡
黄白色または部分的に淡灰褐色を呈し、中間部から周辺
部にかけて淡黄色を呈する。可溶性色素の生成は認めら
れない。
【0031】(3)ツァペック寒天培地:生育は著しく
貧弱で、24℃、2週間後のコロニーはわずかに生育して
いるだけである。表面はやや盛り上がった菌糸体よりな
っていた。気生菌糸の発達は貧弱であり、分生子および
子嚢果など特徴のある器官の形成は認められない。中央
部から周辺部にかけてほとんど透明の象牙色から淡白色
を呈する。裏面も同様に中央部から周辺部にかけてほと
んど透明の象牙色から淡白色を呈する。可溶性色素の生
成は認められない。 (4)オートミール寒天培地:生育は良好で、培地上で
の拡がりは遅く、24℃、2週間後のコロニーの直径は
約25mmであった。表面はビロード状からやや盛り上
がった羊毛状の菌糸体よりなり、外縁は不規則に縁取ら
れている。気生菌糸の発達は良好であるが、分生子およ
び子嚢果など特徴のある器官の形成は認められない。中
央部は灰白色または部分的に茶褐色から暗褐色を呈し、
中間部から周辺部にかけて白色から灰白色を呈する。裏
面中央部は淡黄白色または部分的に淡褐色を呈し、中間
部から周辺部にかけて淡黄色を呈する。可溶性色素の生
成は認められない。
【0032】c)生理学的性状 本菌株の生育条件をバレイショ・ブドウ糖寒天培地で調
べた。生育温度範囲は6℃〜28℃で、至適温度は14
℃〜25℃であった。またpH3〜pH9のいずれでも
生育は良好であった。なお、以上の結果から本菌株は糸
状菌に属することは明らかであるが、上記の培地上で分
生子および子嚢果など特徴のある器官の形成が認められ
なかったことから、本菌株を分類学上の位置に帰属させ
ることができなかった。従って、本菌株を糸状菌NF2
329(Filamentous fungus NF2329)と称することに
した。本菌株は、平成9年4月9日に通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に受託番号F
ERM BP−5905として、また平成9年3月18
日に財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO
32921として、それぞれ寄託されている。
【0033】本発明の化合物は、この菌株に限らず、遺
伝子操作技術を含め、自体公知の方法により、それから
誘導される本化合物の生産能を有する変異株をはじめ、
当該生産能を有する微生物を培地中で培養し、本化合物
を培地中に生成蓄積せしめ、それを採取することにより
製造できる。本発明の化合物の生産菌の培養に用いる培
地は、該菌が利用し得る栄養源を含むものなら液状でも
固体状でもよいが、大量に培養するときに液体培地を用
いるのがより適当である。培地には、当該化合物生産菌
が同化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源を
適宜配合する。炭素源としては、例えばグルコース、乳
糖、ショ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリ
ン、マンニトール、ソルビトール、油脂類(綿実油、大
豆油、ラード油、チキン油など)、n-パラフィンなど
が、窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エキス、
乾燥酵母、大豆粉、コーン・スティープ・リカー、ペプ
トン、生大豆粉、綿実粉、トマトペースト、ピーナッツ
ミール、廃糖蜜、尿素、アンモニア塩類(硫酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アン
モニウムなど)などを用いる。さらに、ナトリウム、カ
リウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩類、
鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩
類、りん酸、ほう酸、硫酸などの塩類や酢酸、プロピオ
ン酸などの有機酸の塩類を適宜用いてもよい。その他、
アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、
アラニン、リシン、メチオニン、プロリンなど)、ペプ
チド(ジペプチド、トリペプチドなど)、ビタミン類
(B1、B2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(プリ
ン、ピリミジン、その誘導体など)などを含有させても
よい。もちろん、培地中のpHを調整する目的で無機ま
たは有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤などを加え、あ
るいは消泡の目的で油脂類、界面活性剤などの適量を添
加して差し支えない。
【0034】培養の手段は静置培養、振とう培養あるい
は通気撹拌培養法等の手段を用いても良い。大量の処理
には、いわゆる深部通気撹拌培養によるものが望まし
い。培養の条件は培地の状態、組成、菌株の種類、培養
の手段によって異なるが、通常、約12℃〜37℃の温
度、初発pH約5〜9付近を選択するのがよい。とりわ
け培養中期の温度は約14℃〜30℃の温度、初発pH
約6〜8の条件が望ましい。培養時間も前記の諸条件に
より一定しないが、諸生理活性物質濃度が最大となるま
で培養するのが望ましい。これに要する時間は、液体培
地を用いる振とう培養または通気撹拌培養の場合、通常
約1〜14日間である。培養液から目的とする化合物を
採取する方法を以下に述べる。例えば、本発明の化合物
TAN−2483AおよびBは脂溶性であるので、この
性質を利用する一般手段を採用すればよい。まず培養液
または培養濾過液を水と混和しない有機溶媒、例えばジ
クロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル等
のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類あ
るいはイソブチルアルコール等のアルコール類などを加
え、本発明化合物を抽出する。得られた有機溶媒層を水
で洗浄後、濃縮すると本発明化合物を含有する粗物質が
得られる。
【0035】粗物質をさらに精製し、純粋な本発明化合
物を得るには、周知の種々のクロマトグラフィー法が有
利に用いられる。担体としては活性炭、シリカゲル、微
結晶セルロース、吸着性樹脂など化合物の吸着性の差を
利用するもの、または分子ふるい性樹脂など化合物の分
子量の差を利用するもの等が有利に用いられる。これら
担体から目的とする化合物を溶出するためには担体の種
類、性質によって組み合わせが異なるが、適当な有機溶
媒(例、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化
炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化
水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等
のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコ
ール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類
など)、有機酸(例、酢酸、ぎ酸等)、水溶液〔例え
ば、水、アルカリ(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸水素ナトリウム等)含有水溶液、酸(例、塩
酸、酢酸、ぎ酸、りん酸等)含有水溶液、塩類含有水溶
液(例、食塩水、酢酸緩衝液、りん酸緩衝液等)など〕
の単独あるいは適宜の割合の混合溶媒が用いられる。さ
らに詳しくは、担体としてクロマト用活性炭(武田薬品
工業社製),キーゼルゲル60(メルク社製、ドイ
ツ)、微結晶セルロース〔例、アビセル(旭化成社
製)、フナセル(フナコシ株式会社製)等〕、吸着性樹
脂〔例、ダイヤイオンHP−20またはSP−207
(三菱化成社製)、アンバーライトXAD−IまたはII
(ローム・アンド・ハース社製、米国)等〕、分子ふる
い性樹脂〔例、セファデックスLH−20(ファルマシ
ア社製,スウェーデン)等〕などが有利に用いられる。
【0036】さらに、化合物を精製する場合に、分取用
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法も有利に用
いられる。この方法を適用する場合、担体としてはオク
タデシルシラン(ODS)系、ポリマー系およびシリカ
ゲル系のものが有利に用いられる。例えばODSの場
合、YMCゲル ODS(ワイエムシイ社製)あるいは
TSKゲル ODS(東ソー社製)などが、ポリマー系
の場合、ポリマーにオクタデシル基を導入したODP
(旭化成社製)あるいはポリマーにポリアミンを導入し
たNH2P(旭化成社製)などが用いられ、移動相とし
てはメタノールあるいはアセトニトリルと水あるいは酸
または塩類含有水溶液の混合溶液が有利に用いられる。
シリカゲル系の場合は、例えば、球状シリカゲルを高圧
充填したYMCゲル SIL(ワイエムシイ社製)やT
SKゲル Silica−60(東ソー社製)などが用
いられる。移動相としては、有機溶媒(例、ジクロロメ
タン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサ
ン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等
の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセ
トン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール
類、アセトニトリル等のニトリル類など)、有機酸
(例、酢酸、ぎ酸等)あるいは水などの単独あるいは適
宜の割合の混合溶媒が有利に用いられる。後述する実施
例2で得られたTAN−2483A(化合物1)および
B(化合物2)の上記構造式は、物理化学的データおよ
びNMRスペクトルの詳細な検討などにより決定した。
【0037】次に、上記化合物〔I〕またはその塩の製
造法について述べる。なお、反応に際して、原料の反応
に関与すべきでない官能基の保護、ならびにその保護基
の脱離などは、自体公知の手段から適宜選択しうる。一
般式〔I〕においてR1が炭化水素基で置換された水酸
基である化合物またはその塩は、例えば、一般式〔I〕
においてR1が水酸基である化合物またはその塩を、塩
基の存在下、脱離基を有する化合物と反応させることに
より製造することができる。脱離基を有する化合物と
は、化学反応によって容易に置換される官能基を有する
化合物を表わし、具体的には、ハロゲン化物(例、よう
化メチル、よう化エチル、よう化プロピル、よう化イソ
プロピル、よう化ブチル、よう化ペンチル、臭化アリ
ル、臭化ベンジル等)、スルホン酸エステル類(例、メ
タンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸メチル、
p-トルエンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸メチ
ル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオ
ロメタンスルホン酸エチル等)、硫酸エステル類(例、
ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等)などが用いられる。塩
基としては、例えば、水素化アルカリ金属(例、水素化
ナトリウム、水素化カリウム等)、水素化アルカリ土類
金属(例、水素化カルシウム等)、アルカリ金属のアル
コキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド等)、アルカリ金属の水酸化物(例、水酸化ナト
リウム,水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭酸塩
(例、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム、炭酸水素ナトリ
ウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化カ
ルシウム等)、3級アミン(例、トリメチルアミン,ト
リエチルアミン,トリプロピルアミン,N-メチルピペリ
ジン,N-メチルピロリジン,シクロヘキシルジメチルア
ミン,N-メチルモルホリン等)、2級アミン(例、ジ-n
-ブチルアミン,ジイソブチルアミン,ジシクロヘキシ
ルアミン等)、芳香族塩基(例、ピリジン、4-ジメチル
アミノピリジン、ルチジン、コリジン等),アルキルリ
チウム(例、メチルリチウム、ブチルリチウム等)など
が用いられる。
【0038】本反応は、通常反応に悪影響を与えない溶
媒中で行なわれる。該溶媒としては、例えば、アミド類
(例、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-
ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スル
ホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、芳香族塩
基類(例、ピリジン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、
クロロホルム,ジクロロメタン等)、エーテル類(例、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エステル
類(例、酢酸エチル,ぎ酸エチル等)など、あるいはこ
れらの適宜の割合の混合物などが用いられる。反応温度
は、反応が進行する限り特に限定されないが、通常約−
70℃〜150℃、好ましくは約−30℃〜80℃で行
なわれる。反応時間は、用いられる原料,塩基,反応温
度,溶媒の種類により異なるが、通常数十分から数十時
間反応させる。
【0039】一般式〔I〕においてR1がアシル基で置
換された水酸基である化合物またはその塩は、例えば、
一般式〔I〕においてR1が水酸基である化合物または
その塩を、アシル化反応に付すことにより製造すること
ができる。水酸基のアシル化は、溶媒中で原料化合物と
アシル化剤、例えば、有機酸(例、有機カルボン酸等)
あるいはその反応性誘導体を反応させることにより行な
うことができる。有機酸の反応性誘導体としては、例え
ば、酸ハライド、酸無水物、活性エステルなどが用いら
れ,このような反応性誘導体を具体的に述べると次の通
りである。 1)酸ハライド ここで酸ハライドとしては、例えば、酸クロリド,酸ブ
ロミドなどが用いられる。 2)酸無水物 ここで酸無水物としては、例えば、脂肪族カルボン酸
(例,酢酸,吉草酸,ヘキサン酸等)または芳香族カル
ボン酸(例,安息香酸等)からなる混合酸無水物あるい
は対称型酸無水物などが用いられる。 3)活性エステル ここで活性エステルとしては、例えば、メチルエステ
ル,エチルエステル,メトキシメチルエステル,プロパ
ルギルエステル,4-ニトロフェニルエステル,2,4-ジニ
トロフェニルエステル,トリクロロフェニルエステル,
ペンタクロロフェニルエステル,メシルフェニルエステ
ルなどのエステルの他,1-ヒドロキシ-1H-2-ピリドン,
N-ヒドロキシこはく酸イミド,N-ヒドロキシフタールイ
ミド, 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)などとの
エステルが用いられる。カルボン酸と直接反応させる場
合には、例えば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(DCC)、塩酸 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(WSC),N,N'-ジイソプロピルカルボ
ジイミド(DIC)などの縮合剤が用いられる。これらの
縮合剤は、上述の活性エステル、例えば、1-ヒドロキシ
-1H-2-ピリドン,N-ヒドロキシこはく酸イミド、N-ヒド
ロキシフタルイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBT)などとのエステル合成に用いてもよい。
【0040】本反応において塩基の存在下実施される場
合があり、用いられる塩基としては、例えば、3級アミ
ン(例、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリプ
ロピルアミン,N-メチルピペリジン,N-メチルピロリジ
ン,シクロヘキシルジメチルアミン,N-メチルモルホリ
ン等)、2級アミン(例、ジ-n-ブチルアミン,ジイソ
ブチルアミン,ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族塩
基(例、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ルチジ
ン、コリジン等)、アルカリ金属の水酸化物(例、水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭
酸塩(例、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム、炭酸水素ナ
トリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸
化カルシウム等)などが用いられる。本反応は、通常反
応に悪影響を与えない溶媒中で行なわれる。該溶媒とし
ては、例えば、アミド類(例、ホルムアミド、N,N-ジメ
チルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチ
ルピロリドン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスル
ホキシド等)、芳香族塩基類(例、ピリジン等)、ハロ
ゲン化炭化水素類(例、クロロホルム,ジクロロメタン
等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、アセトニ
トリル等)、エステル類(例、酢酸エチル,ぎ酸エチル
等)など、あるいはこれらの適宜の割合の混合物などが
用いられる。反応温度は、反応が進行する限り特に限定
されないが、通常約−50℃〜150℃、好ましくは約
−30℃〜80℃で行なわれる。反応時間は、用いられ
る原料、塩基、反応温度、溶媒の種類により異なるが、
通常数十分から数十時間反応させる。
【0041】一般式〔I〕において、
【化21】 が単結合を示す化合物もしくは(および)R2が−(C
22CH3を示す化合物またはそれらの塩は、例え
ば、一般式〔I〕において
【化22】 が二重結合を示す化合物もしくは(および)R2が−C
H=CHCH3を示す化合物またはそれらの塩を、還元
反応に付すことにより製造することができる。
【0042】還元反応は、還元剤を用いて好適に実施さ
れる。還元剤としては、例えば、金属水素化合物(例、
水素化リチウムアルミニウム、水素化ほう素ナトリウ
ム、シアノ水素化ほう素ナトリウム、ジボラン等)等が
用いられる。また二重結合の還元は、例えばパラジウム
触媒(例、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム活性
炭素、パラジウム黒等)、白金触媒(例、酸化白金、白
金黒等)またはロジウム触媒等を用いた接触水素添加に
よっても好適に実施される。本反応は酸の存在下で実施
してもよい。用いられる酸としては、例えば、鉱酸
(例、塩酸、硫酸等)、有機酸(例、酢酸、プロピオン
酸、トリフルオロ酢酸等)、ルイス酸(例、塩化アルミ
ニウム、三フッ化ほう素、四塩化チタン等)等が挙げら
れる。反応は、反応に悪影響を与えない溶媒中で行なわ
れる。該溶媒としては、例えば、アミド類(例、ホルム
アミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセ
トアミド、N-メチルピロリドン等)、スルホキシド類
(例、ジメチルスルホキシド等)、芳香族塩基類(例、
ピリジン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホル
ム,ジクロロメタン等)、エーテル類(例、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリ
ル類(例、アセトニトリル等)、エステル類(例、酢酸
エチル,ぎ酸エチル等)、アルコール類(例、メタノー
ル、エタノール、tert-ブタノール等)、水など、ある
いはこれらの適宜の割合の混合物などが挙げられる。反
応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが,通
常約−50℃ないし約150℃、好ましくは約−30℃
ないし約80℃で行われる。反応時間は、用いられる原
料、触媒、反応温度、溶媒の種類により異なるが、通常
数十分から数十時間反応させる。
【0043】上述の製造法によって得られた化合物
〔I〕は、塩として用いてもよく、好ましくは、薬理学
的に許容される塩が用いられる。このような塩として
は、化合物〔I〕が酸性基を有する場合、例えば、アル
カリ金属(例、ナトリウム、カリウム等)との塩、アル
カリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウム等)との
塩などの塩基付加塩が挙げられる。化合物〔I〕が塩基
性基を有する場合、例えば、無機酸(例、塩酸、硫酸、
りん酸等)との塩あるいは有機酸(例、酢酸、プロピオ
ン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、メタン
スルホン酸等)との塩などの酸付加塩が挙げられる。
【0044】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、例
えば、チロシンキナーゼ(例、c−srcキナーゼ)阻
害作用を有しており、チロシンキナーゼに起因する疾
患、例えば、骨粗鬆症等の骨疾患、膀胱癌や乳癌等の悪
性腫瘍、慢性関節リウマチや骨関節炎等の関節疾患、急
性ウイルス脳炎や急性膵炎等の炎症性疾患などの治療・
予防剤として有用である。本発明の化合物〔I〕または
その塩は、毒性も低く、ヒトまたは哺乳動物(例、ラッ
ト、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツ
ジ、サル等)に対して、安全に用いられる。化合物
〔I〕またはその塩を、例えばヒトに投与する場合は、
それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、賦
形剤、希釈剤と混合し、医薬組成物として経口的または
非経口的に安全に投与することができる。上記医薬組成
物としては、経口剤として、例えば散剤、顆粒剤、カプ
セル剤、錠剤等が、非経口剤として、例えば注射剤、点
滴剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤等)、坐剤
(例、直腸坐剤、膣坐剤等)等が用いられる。これらの
製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公
知の方法により製造することができる。
【0045】経口剤は、本発明の化合物〔I〕またはそ
の塩に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン、
マンニトールなど)、崩壊剤(例、炭酸カルシウム、カ
ルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤
(例、α化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチル
セルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール600
0など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要によ
り、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のた
め自体公知の方法でコーティングすることにより製造す
ることができる。コーティング剤としては、例えば、エ
チルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオ
キシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレ
ート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート
およびオイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアク
リル酸・アクリル酸共重合物)などが用いられる。注射
剤は、本発明の化合物〔I〕またはその塩を分散剤
(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、
米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチ
レングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギ
ン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、
プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノ
ールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリ
ン、ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性注射
剤として、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コー
ン油などの植物油、プロピレングリコールなどに溶解、
懸濁あるいは乳化して油性注射剤として成形することに
より製造することができる。
【0046】外用剤は、本発明の化合物〔I〕またはそ
の塩を固状、半固状または液状の組成物とすることによ
り製造される。例えば、上記固状の組成物は、本発明の
化合物〔I〕をそのまま、あるいは賦形剤(例、ラクト
ース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース、白
糖など)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導
体、アクリル酸重合体など)などを添加、混合して粉状
とすることにより製造することができる。上記液状の組
成物は、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは
水性懸濁剤とすることにより製造される。半固状の組成
物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のもの
がよい。また、これらの組成物は、いずれもpH調節剤
(例、炭酸、りん酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウ
ムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル
類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)な
どを含んでいてもよい。坐剤は、本発明の化合物〔I〕
またはその塩を油性または水性の固状、半固状あるいは
液状の組成物とすることにより製造することができる。
該組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪
酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイ
ナマイトノーベル社製)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグ
リオール類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、ある
いは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが
挙げられる。水性基剤としては、例えばポリエチレング
リコール類、プロピレングリコールなどが挙げられる。
また、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セル
ロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体など
が挙げられる。
【0047】本発明の化合物〔I〕またはその塩の製剤
中の含量は、通常約0.1ないし100重量/重量%で
ある。本発明の化合物〔I〕またはその塩をヒトに用い
る場合の投与量は、対象疾病の種類、患者の年齢、投与
ルートなどで変動し得るが、例えば、骨粗鬆症の治療目
的で経口的に投与する場合、通常有効成分として、1日
成人(体重50Kg)1人当たり約2mg〜1g、とり
わけ約10mg〜500mgの化合物〔I〕またはその
塩を用いることが好ましい。これらの製剤は、1日1〜
3回に分けて投与することができる。本発明の化合物
〔I〕またはその塩を、例えば、骨粗鬆症の治療のため
に、注射剤として非経口的に皮下、静脈内または筋肉内
に投与する場合、その投与量は1日成人1人当たり約1
mg〜200mg、好ましくは2mg〜100mgであ
る。
【0048】
【実施例】以下に実施例および試験例を挙げて、本発明
を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定
されるものではない。なお、培地におけるパーセント
(%)は、特に断りのない限り、重量/容量パーセント
を表す。混合溶媒において混合比を示した数値は各溶媒
の容量混合比である。NMRスペクトルは、ブルカーD
PX−300型スペクトルメーター(1H NMR; 300MHz,
13C NMR; 75MHz)を用いて測定した。内部基準として、
テトラメチルシランを用い、全δ値をppmで示した。ま
た、本明細書中の記号は次のような意味を有する。s:
シングレット,d:ダブレット、t:トリプレット、q:
カルテット、dd:ダブルダブレット、dt:ダブルトリプ
レット、ddq:ダブルダブルカルテット、ddd:ダブルダ
ブルダブレット、m:マルチプレット,br:幅広い、Q:
4級炭素、CH:メチン、CH2:メチレン、CH3:メチル
【0049】
【実施例1】TAN−2483AおよびBの生産 バレイショ・ブドウ糖斜面寒天培地に培養した糸状菌N
F2329株を200ml容三角フラスコ内のグルコー
ス2%、可溶性澱粉3%、生大豆1%、コーン・スティ
ープ・リカー0.3%、ペプトン0.5%、食塩0.3
%、酵母エキス0.1%、炭酸カルシウム0.5%を含
む40mlの種培地(pH7.0)に接種し、24℃、
7日間回転振とう機上で培養した。 この培養液1ml
を200ml容三角フラスコ内のグルコース0.5%、
マンニトール5%、こはく酸1.0%、コーン・スティ
ープ・リカー0.2%、りん酸一カリウム0.1%、硫
酸マグネシウム0.3%を含む40mlの主培地(pH
6.0)に接種し、24℃、8日間回転振とう機上で培
養し、主培養液を得た。
【0050】
【実施例2】TAN−2483A(化合物1)およびT
AN−2483B(化合物2)の単離 実施例1で得られた培養液(4.2リットル)のpHを
6.6に調整後、遠心分離を行った。得られた上清液
(4.0リットル)に酢酸エチル(4.0リットル)を
加え、30分間攪拌した後、濾過補助剤(ハイフロスー
パーセル、ジョンズ・マンビル・プロダクト社製、米
国)を用いて濾過した。有機層を分離後、2%炭酸水素
ナトリウム水(1.5リットル)、N/1000塩酸
(2x1.0リットル)および水(1.0リットル)で
順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
濃縮乾固し粗油状物(430mg)を得た。これをシリ
カゲル(キーゼルゲル60、25g)のカラムクロマト
グラフィーに付し、ヘキサン/酢酸エチル〔9:1(2
00ml)、4:1(200ml)〕で洗浄後、ヘキサ
ン/酢酸エチル(2:1、4x50ml、フラクション
1−4)で溶出分画した。フラクション3および4を濃
縮乾固してTAN−2483AおよびBの混合物(13
8mg)を得た。この混合物を分取HPLC〔カラム;
YMC-Pack SH-043-15, SIL(ワイエムシイ社製)、移動
相;0.1%(v/v)メタノール/クロロホルム、流速;
10ml/分〕に付し、溶出容量160〜190mlの
画分を集め、減圧下濃縮乾固して、TAN−2483A
(化合物1、40mg)を無色針状晶として得た。これ
をヘキサン/酢酸エチルより再結晶化し、TAN−24
83Aを無色柱状晶として得た。一方、溶出容量210
−230mlの画分を集め、減圧下濃縮乾固して、TA
N−2483B(化合物2、30mg)を無色油状物と
して得た。
【0051】〔TAN−2483A〕 1)外観:無色柱状晶 2)融点:78−79℃ 3)比旋光度:−292゜(c 0.59,クロロホルム,23
℃) 4)分子量:FAB−マススペクトル;m/z 211(M
+H)+ 5)高分解能FAB−マススペクトル:m/z 211.0
956 (C11H14O4+H)+としたときの計算値:211.097
0 6)分子式:C11H14O4 7)IRスペクトル:KBr 錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1)。(図1) 3520, 1760, 1205, 1055, 1030 8)13C-NMR スペクトル:75 Mz, 重クロロホルム中,
δppm (図2) 166.6(Q), 133.5(CH), 133.4(Q), 131.3(CH), 125.6(C
H), 79.9(CH), 79.7(CH),79.0(CH), 64.1(CH), 18.8(CH
3), 18.1(CH3) 9)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸、濃硫酸、よう素、過マンガン
酸カリウム 陰性;ドラーゲンドルフ、坂口試薬、ニンヒドリン、モ
ーリッシュ試薬 10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC-Pack A-012, SIL, 6.0 x 150 mm(ワイエ
ムシイ社製) 移動相;ヘキサン/イソプロピルアルコール(95:
5) 流 速;2.0ml/分 検出法;UV(214 nm) 保持時間;9.1分 11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;シリカゲル60F254(メルク社製,ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム/メタノール(19:1) Rf値;0.50
【0052】〔TAN−2483B〕 1)外観:無色油状物 2)比旋光度:−135゜(c 1.1,クロロホルム,23
℃) 3)分子量: FAB−マススペクトル;m/z 211
(M+H)+ 4)高分解能FAB−マススペクトル:m/z 211.0
961 (C11H14O4+H)+としたときの計算値:211.097
0 5)分子式:C11H14O4 6)IRスペクトル:KBr 錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1)。 3425, 1760, 1200, 1040 7)13C-NMR スペクトル:75 Mz, 重クロロホルム中,
δppm 166.2(Q), 135.7(CH), 134.7(CH), 131.2(Q), 124.4(C
H), 77.7(CH), 77.0(CH),70.0(CH), 64.4(CH), 18.2(CH
3), 15.3(CH3) 8)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): カラム;YMC-Pack A-012, SIL, 6.0 x 150 mm(ワイエ
ムシイ社製) 移動相;ヘキサン/イソプロピルアルコール(95:
5) 流 速;2.0ml/分 検出法;UV(214 nm) 保持時間;8.2分 9)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;シリカゲル60F254(メルク社製,ドイツ) 展開溶媒;クロロホルム/メタノール(19:1) Rf値;0.48
【0053】
【実施例3】化合物1(5.0mg)をピリジン(0.
5ml)に溶解後、無水酢酸(0.5ml)を加え室温
で2時間攪拌した。反応混合液を濃縮後、酢酸エチル
(20ml)で希釈し、N/50塩酸および水で順次洗
浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水後、濃縮乾
固して粗油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(5.0ml)に付し、ヘキサンおよびヘ
キサン/酢酸エチル(90:10)で洗浄後、ヘキサン
/酢酸エチル(80:20)で溶出した。溶出画分を濃
縮乾固して化合物3(6.0mg)を無色油状物として
得た(収率100%)。1 H-NMR (CDCl3)δppm; 1.59 (3H, d, J = 6.2 Hz), 1.7
6 (3H, d, J = 6.5 Hz),2.10 (3H, s), 4.14 (1H, dd,
J = 6.4, 3.0 Hz), 4.26 (1H, dt, J =7.7, 2.4Hz), 4.
37 (1H, m), 5.35 (1H, m), 5.51 (1H, ddq, J = 15.5,
6.4, 1.6 Hz),5.90 (1H, ddq, J = 15.5, 1.0, 6.5 H
z), 6.74 (1H, dd, J = 3.8, 2.4 Hz) IR (KBr, cm-1); 1780, 1745, 1230, 1200, 1030
【0054】
【実施例4】化合物1(10mg)をメタノール(1.
0ml)に溶解し、水素化ほう素ナトリウム(2.0m
g)を加え室温で15分間攪拌した。反応混合液を濃縮
後、酢酸エチル(30ml)で希釈し、N/50塩酸お
よび飽和食塩水で順次洗浄した。有機溶媒層を無水硫酸
ナトリウムで脱水後濃縮乾固して、白色粉末を得た。こ
れをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5.0m
l)に付し、ヘキサン/酢酸エチル(80:20、7
0:30、60:40)で順次洗浄後、ヘキサン/酢酸
エチル(50:50)で溶出した。溶出画分を濃縮乾固
して化合物4(9.8mg)を白色粉末として得た(収
率97%)。1 H-NMR (CDCl3)δppm: 1.34 (3H, d, J = 6.9 Hz), 1.7
4 (3H,d, J = 6.5 Hz),2.05 (1H, ddd, J = 14.9, 7.4,
3.3 Hz), 2.59 (1H, m), 2.61 (1H, m), 3.74(1H, m),
3.83 (1H, br dd, J = 5.7, 0.8 Hz), 4.14 (1H, d, J
= 4.4 Hz), 4.68 (1H, q, J = 6.9 Hz), 5.56 (1H, dd
q, J = 15.5, 5.7, 1.6 Hz), 5.85 (1H,ddq, J = 15.5,
1.2, 6.5 Hz) IR (KBr, cm-1); 3460, 1775, 1160, 1095
【0055】
【試験例1】c−srcキナーゼ阻害活性測定 ヒト組み換え体c−srcキナーゼ(生化学工業製)1
unit、1μM ビオチン化cdc2キナーゼ基質ペ
プチド(ベーリンガー・マンハイム社製)、25μM
オルトバナジン酸ナトリウム、5mM 塩化マンガン、
25mM 塩化マグネシウム、50mM トリス塩酸緩
衝液(pH7.0)および種々の濃度の検体を含む反応
液40μlに1.5mMのATPを10μl加えて反応
を開始し、30℃で30分間保温した後、3mMのピセ
アタンノールを含む反応停止液を12μl添加した。り
ん酸化された基質ペプチド中のチロシンは、チロシンキ
ナーゼアッセイキット(ベーリンガー・マンハイム社
製)を用いて定量した。なお、検体を加えないで同様に
反応させたもののりん酸化チロシン量を100%とし、
50%阻害に必要な各検体の濃度をIC50値として示し
た。結果を〔表5〕に示す。
【0056】
【表5】 表5より、TAN−2483A(化合物1)が優れたc
−srcキナーゼ阻害活性を有することが分かった。
【0057】
【試験例2】骨吸収抑制活性の測定 8〜10週齢の雌BALB/cマウスの大腿骨を無菌的
に摘出し、10%熱不活化牛胎児血清、ペニシリンG
50単位/ml、ストレプトマイシン 50単位/ml
を含むハムF12培地(以下、培養液と称する)にて骨
髄腔を洗浄した後、培養液1mlあたり骨を1本づつ加
えて、37℃、5%炭酸ガス、95%空気の条件下で3
時間前培養した。 この骨をPTH(副甲状腺ホルモ
ン)(ペプチド研究所製、終濃度1μM)および試験化
合物(終濃度10μM )を加えた1mlの培養液に移
し、さらに7日間培養後、培地中に蓄積したカルシウム
の総量をカルシウムEテストワコー(和光純薬社製)で
測定した。試験化合物の骨吸収抑制活性は、以下の式に
より求めた。結果を〔表6〕に示す。 骨吸収抑制活性(%)=100x(Cp−Cs)/(C
p−Cc) Cc:PTHおよび試験化合物のいずれも含まない培養
液中の総カルシウム量 Cp:PTHを加えたときの培養液中の総カルシウム量 Cs:PTHおよび試験化合物の両方を加えたときの培
養液中の総カルシウム量
【0058】
【表6】 表6より、TAN−2483A(化合物1)が優れた骨
吸収抑制活性を有することが分かった。
【0059】
【発明の効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は、
チロシンキナーゼ(例、c−srcキナーゼ)阻害作用
を有しており、チロシンキナーゼに起因する疾患、例え
ば、骨粗鬆症等の骨疾患、膀胱癌や乳癌等の悪性腫瘍、
慢性関節リウマチや骨関節炎等の関節疾患、急性ウイル
ス脳炎や急性膵炎等の炎症性疾患などの治療・予防剤と
して有用である。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】TAN−2483AのIRスペクトルを示す。
横軸は波数(cm-1)を、縦軸はKBr錠剤中の主な吸収
を示す。
【図2】TAN−2483Aの13C NMRスペクトル
(75MHz、重クロロホルム中)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/365 AED A61K 31/365 AED C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 17/18 C12P 17/18 D //(C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 〔式中、R1は置換されていてもよい水酸基を、R2は−
    CH=CHCH3または−(CH22CH3を、 【化2】 は単結合または二重結合であることを示す〕で表わされ
    る化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】R1が式−OR3(R3はそれぞれC1-6アル
    コキシ、アミノ、ハロゲン原子もしくはカルボキシルで
    置換されていてもよいC1-19炭化水素基またはC1-13
    シル基を示す)で表わされる基を示す請求項1記載の化
    合物。
  3. 【請求項3】R3が(1)C1-6アルコキシで置換されてい
    てもよいC1-8アルキル基、(2)C2-8アルケニル基、(3)
    7-19アラルキル基、(4)アミノもしくはカルボキシル
    で置換されていてもよいC1-6アルカノイル基、(5)C
    3-6アルケノイル基、(6)C4-7シクロアルキルカルボニ
    ル基、(7)C7-11アロイル基、または(8)ハロゲン原子で
    置換されていてもよいC8-13アリールアルカノイル基で
    ある請求項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】R1がC1-6アルカノイルで置換されていて
    もよい水酸基を示す請求項1記載の化合物。
  5. 【請求項5】R1が水酸基を示す請求項1記載の化合
    物。
  6. 【請求項6】 【化3】 が二重結合を、R2が−CH=CHCH3を示す請求項1
    記載の化合物。
  7. 【請求項7】化合物が式 【化4】 で表わされる化合物TAN−2483A、または式 【化5】 で表わされる化合物TAN−2483Bである請求項1
    記載の化合物。
  8. 【請求項8】糸状菌に属し、請求項7記載の化合物TA
    N−2483Aおよび/またはBを生産する能力を有す
    る微生物を培地に培養し、培養物中に化合物TAN−2
    483Aおよび/またはBを生成蓄積せしめ、これを採
    取することを特徴とする請求項7記載の化合物TAN−
    2483Aおよび/またはBの製造法。
  9. 【請求項9】微生物が糸状菌NF2329(FERM
    BP−5905)である請求項8記載の製造法。
  10. 【請求項10】糸状菌NF2329(FERM BP−
    5905)。
  11. 【請求項11】請求項1記載の化合物またはその塩を含
    有してなる医薬。
  12. 【請求項12】骨疾患の治療・予防剤である請求項11
    記載の医薬。
  13. 【請求項13】骨疾患が骨粗鬆症である請求項12記載
    の医薬。
  14. 【請求項14】請求項1記載の化合物またはその塩を含
    有してなるチロシンキナーゼ阻害薬。
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