JP3198393B2 - 抗腫瘍性抗生物質tan−1518関連化合物 - Google Patents

抗腫瘍性抗生物質tan−1518関連化合物

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JP3198393B2 JP32639592A JP32639592A JP3198393B2 JP 3198393 B2 JP3198393 B2 JP 3198393B2 JP 32639592 A JP32639592 A JP 32639592A JP 32639592 A JP32639592 A JP 32639592A JP 3198393 B2 JP3198393 B2 JP 3198393B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はトポイソメラーゼI阻害
活性を有し抗腫瘍作用を示すTAN−1518A,Bお
よびその誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平1−193279号公報および日
本農芸化学会(福岡)講演要旨集,講演番号2Jal, 1
990年にSF2575が記載されている。その構造式
は下式で 示される。
【化2】 しかしながら、本発明の化合物とは構造が異なり、トポ
イソメラーゼI阻害作用についてはなんら記載が無い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】悪性腫瘍による死亡例
は年々増加の一途をたどっており、有効な新しい治療法
の開発が切望されている。中でも、化学療法の分野で
は、現在使用されている抗腫瘍剤の効果が充分なものと
は言えず、悪性腫瘍を完全に抑制できる新しい抗腫瘍剤
の開発が求められている。特に最近では、腫瘍細胞のD
NAトポイソメラーゼIを阻害する化合物が腫瘍の増殖
を強力に阻害することが明らかにされ、この酵素に対す
る阻害剤の開発が望まれている〔エル.エフ.リウ(L.
F.Liu)、アニュアル レビュー オブ バイオケミス
トリー(Annual Review of Biochemistry)第58巻、
351頁(1989年)〕。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑みて、新たな観点から研究を重ねた結果、土壌か
ら分離された多数の微生物中、ある種の微生物が新規物
質を産生すること、該微生物がストレプトミセス属菌に
属すること、該微生物を適宜の培地に培養することによ
って、動物細胞由来のDNAトポイソメラーゼI阻害活
性を有する化合物を培地中に蓄積せしめ、この活性化合
物を単離した後、これをTAN−1518AおよびBと
命名した。TAN−1518AおよびBはアルカリ加水
分解によりカルボキシル基を有する化合物を与えた。こ
れらの知見に基づき本発明者らは、さらにTAN−15
18A,Bおよびその誘導体について検討を進めた結
果、本発明を完成した。すなわち本発明は、1)一般式
〔I〕
【化3】 〔式中、R1,R2,R3はそれぞれ水素またはアシル基
を示し、R4は水素またはアルキル基を示し、R5は水素
またはメチル基を示す。ただし、R1が2−ヒドロキシ
ベンゾイルで、R2が(Z)−2−メチル−2−ブテノ
イルであり、かつR3,R4がともに水素の場合にはR5
は水素を示す。〕で表される化合物またはその塩、 2)ストレプトミセス属に属し一般式[I]中R1が2
−ヒドロキシベンゾイル、R2が(Z)−2−メチル−
2−ブテノイル、R3、R4、R5がともに水素であるT
AN−1518Aまたは一般式[I]中R1が2−ヒド
ロキシベンゾイル、R2が(Z)−2−エチル−2−ブ
テノイル、R3、R4、R5がともに水素であるT AN−
1518Bを生産する能力を有する微生物を培地に培養
し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取
することを特徴とするTAN−1518AまたはBまた
はそれらの塩の製造法および 3)一般式〔I〕で表される化合物またはその塩を含有
してなる抗腫瘍剤に関する。
【0005】一般式〔I〕に関し、R1,R2またはR3
表されるアシル基としては、有機カルボン酸から誘導さ
れるアシル基が挙げられる。該アシル基としては、好ま
しくは例えば、アルカノイル基,好ましくは炭素数7ま
でのアルカノイル基(ホルミル,アセチル,プロピオニ
ル,ブチリル,イソブチリル,2−メチルブチリル,ペ
ンタノイル,ヘキサノイル,2−エチルブチリル,ヘプ
タノイル等),特に好ましくは炭素数4までのアルカノ
イル基、アルケノイル基,好ましくは炭素数7までのア
ルケノイル基〔例、(Z)−2−メチル−2−ブテノイ
ル,(Z)−2−エチル−2−ブテノイル,アクリロイ
ル,メタクリロイル,クロトノイル,イソクロトノイル
等〕,特に好ましくは炭素数5までのアルケノイル基、
アリールカルボニル基,好ましくは炭素数15までのア
リールカルボニル基(ベンゾイル,1−または2−ナフ
タレンカルボニル等),特に好ましくは炭素数11まで
のアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基,好
ましくは炭素数7までのアルコキシカルボニル基(例、
メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシ
カルボニル,イソプロポキシカルボニル,ブトキシカル
ボニル,イソブトキシカルボニル,sec−ブトキシカル
ボニル,tert−ブトキシカルボニル等),特に好ましく
は炭素数3までのアルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基,好ましくは炭素数15までのアリー
ルオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル,2
−ナフチルオキシカルボニル等),特に好ましくは炭素
数11までのアリールオキシカルボニル基、アラルキル
カルボニル基,好ましくは炭素数20までのアラルキル
カルボニル基(例、ベンジルカルボニル,フェネチルカ
ルボニル,フェニルプロピルカルボニル,ナフチルエチ
ルカルボニル等),特に好ましくは炭素数13までのア
ラルキルカルボニル基、芳香族複素環カルボニル基,好
ましくは5から6員芳香族複素環カルボニル基〔例、2
−,3−または4−ピロリルカルボニル,3−,4−ま
たは5−ピラゾリルカルボニル,2−,4−または5−
イミダゾリルカルボニル,1,2,3−トリアゾール−4
−イルカルボニル,1,2,4−トリアゾール−3−イル
カルボニル,1H−または2H−テトラゾール−5−イ
ルカルボニル,2−または3−フリルカルボニル,2−
または3−チエニルカルボニル,2−,4−または5−
オキサゾリルカルボニル,3−,4−または5−イソキ
サゾリルカルボニル,1,2,3−オキサジアゾール−4
−または5−イルカルボニル,1,2,4−オキサジアゾ
ール−3−または5−イルカルボニル,1,2,5−オキ
サジアゾール−3−または−4−イルカルボニル1,3,
4−オキサジアゾール−2−または−5−イルカルボニ
ル,2−,4−または5−チアゾリルカルボニル,3
−,4−または5−イソチアゾリルカルボニル,1,2,
3−チアジアゾール−4−または5−イルカルボニル,
1,2,4−チアジアゾール−3−または5−イルカルボ
ニル,1,2,5−チアジアゾール−3−または4−イル
カルボニル,1,3,4−チアジアゾール−2−または5
−イルカルボニル,2−または3−ピロリジニルカルボ
ニル,2−,3−または4−ピリジルカルボニル,2
−,3−または4−ピリジル−N−オキシドカルボニ
ル,3−または4−ピリダジニルカルボニル,3−また
は4−ピリダジニル−N−オキシドカルボニル,2−,
4−または5−ピリミジニルカルボニル,2−,4−ま
たは5−ピリミジニル−N−オキシドカルボニル,ピラ
ジニルカルボニル,2−,3−または4−ピペリジニル
カルボニル,ピペラジニルカルボニル,3H−インドー
ル−2−または3−イルカルボニル,2−,3−または
4−ピラニルカルボニル,2−,3−または4−チオピ
ラニルカルボニル,3−,4−,5−,6−,7−また
は8−キノリルカルボニル,ピリド〔2,3−d〕ピリ
ミジニルカルボニル(例、ピリド〔2,3−d〕ピリミ
ジン−2−イルカルボニル),1,5−,1,6−,1,
7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジニル
カルボニル (例、1,5−ナフチリジン−2−または3
−イルカルボニル),チエノ〔2,3−d〕ピリジルカ
ルボニル(例、チエノ〔2,3−d〕ピリジン−3−イ
ルカルボニル,ピラジノキノリルカルボニル(例、ピラ
ジノ〔2,3−b〕キノリン−2−イルカルボニル),
クロメニルカルボニル(例、2H−クロメン−2−また
は3−イルカルボニル等))等〕、芳香族複素環アルカ
ノイル基,好ましくは5から6員芳香族複素環炭素数6
までのアルカノイル基〔例、2−ピロリルアセチル,2
−チエニルアセチル,2−チエニルプロパノイル,3−
フリルアセチル,2−チアゾリルアセチル,(1,2,4
−チアジアゾール−5−イル)アセチル,2−,3−ま
たは4−ピリジルアセチル,2−イミダゾリルアセチ
ル,5−イソオキサゾリルアセチル等〕,特に好ましく
は5から6員芳香族複素環炭素数3までのアルカノイル
基、非芳香族複素環カルボニル基,好ましくは4から6
員非芳香族複素環基(例、アゼチジニルカルボニル,2
−または3−ピロリジニルカルボニル,2−,3−また
は4−ピペリジニルカルボニル,2−ピペラジニルカル
ボニル,2−または3−モルホリニルカルボニル等)が
用いられる。
【0006】上述のアシル基は置換基を有していてもよ
い。該置換基としては、例えばニトロ、ハロゲン(例、
フッ素,塩素,臭素等)、ヒドロキシル、カルバモイ
ル、炭素数1から4のアルキル基(例、メチル,エチ
ル,プロピル,イソプロピル,ブチル等)、炭素数1か
ら4のアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プロポ
キシ,イソプロポキシ,ブトキシ等)、炭素数3から6
のシクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチ
ル,シクロペンチル,シクロヘキシル等)、エステル化
されていてもよいカルボキシル、炭素数6から14のア
リール基(例、フェニル,ナフチル等)、炭素数7から
17のアラルキル基(例、ベンジル,フェネチル,ナフ
チルメチル等)、5から6員芳香族複素環基(例、2−
ピロリル,チアゾリル,イミダゾリル,1,2,3−トリ
アゾリル,テトラゾリル,2−または3−ピリジル,2
−ピリミジニル等)、4から6員非芳香族複素環基
(例、アゼチジニル,チエタニル,ピロリジニル,ピペ
リジニル,ピペリジル,モルホリニル等)、アミノ、炭
素数1から3のアルキル置換アミノ(例、メチルアミ
ノ,エチルアミノ,プロピルアミノ,イソプロピルアミ
ノ等)、炭素数1から3のアルキルジ置換アミノ(例、
ジメチルアミノ,ジエチルアミノ,ジイソプロピルアミ
ノ等)等が挙げられる。上記アシル基が置換基を有して
いる場合の置換基の数は、1から4、好ましくは1から
3である。一般式〔I〕に関し、R1,R2の好ましい例
としては、例えば(1)水素、(2)ハロゲン(例、フ
ッ素,塩素,臭素等),炭素数1から4のアルコキシ基
(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキ
シ,ブトキシ等)等で1から3個置換されていてもよい
炭素数7までのアルカノイル基、(3)炭素数1から4
までのアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イ
ソプロピル,ブチル等)等で1から3個置換されていて
もよい炭素数7までのアルケノイル基、(4)ハロゲン
(例、フッ素,塩素,臭素等),ヒドロキシル,炭素数
1から4のアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プ
ロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ等),アミノ等で
1から3個置換されていてもよい炭素数15までのアリ
ールカルボニル基が挙げられる。さらに特に好ましく
は、炭素数1から6までのアルカノイル基、炭素数1か
ら4までのアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プ
ロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ等)で1から3個
置換されていてもよい炭素数7までのアルケノイル基、
ヒドロキシルで1から3個置換されていてもよい炭素数
11までのアリールカルボニル基が挙げられる。一般式
[I]に関し、R3の好ましい例としては、例えば水
素、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素等)、炭素数1
から4のアルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プロ
ポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ等)で1から3個置
換されていてもよい炭素数7までのアルカノイル基が挙
げられる。さらに好ましくは、水素、ハロゲン(例、フ
ッ素,塩素,臭素等)で1から3個置換されていてもよ
い炭素数5までのアルカノイル基が挙げられる。
【0007】一般式[I]に関し、R4で表されるアル
キル基としては、好ましくは、例えば炭素数1から12
の直鎖もしくは分枝状のアルキル基(例、メチル,エチ
ル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチル,ヘ
キシル,2−メチル−ヘキシル,ヘプチル,ドデカニル
等)が挙げられる。さらに好ましくは、炭素数1から6
の直鎖もしくは分枝状のアルキル基(例、メチル,エチ
ル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチル,ヘ
キシル等)であり、特に好ましくは炭素数1から3の直
鎖もしくは分枝状のアルキル基(例、メチル,エチル,
プロピル,イソプロピル等)である。R4の好ましい例
としては、例えば水素、炭素数1から3の直鎖もしくは
分枝状のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピル等)が挙げられる。さらに特に好ましく
は、水素,メチル,エチルが挙げられる。R5は水素が
好ましい。さらに本発明は一般式
【化4】 〔式中、R1',R2'はそれぞれ水素またはアシル基を示
す。〕で表される化合物またはその塩を提供する。
1',R2'で表されるアシル基は、前記R1,R2で表さ
れるアシル基と同意義を有する。
【0008】一般式〔I〕においてR1が2−ヒドロキ
シベンゾイル、R2が(Z)−2−メチル−2−ブテノ
イル、R3,R4,R5がともに水素であるTAN−15
18AおよびR1が2−ヒドロキシベンゾイル、R2
(Z)−2−エチル−2−ブテノイル、R3,R4がとも
に水素、R5がメチルであるTAN−1518Bまたは
それらの塩は、微生物を用いて製造される。TAN−1
518AまたはBを生産する微生物としてはストレプト
ミセス属に属し、TAN−1518AまたはBを産生す
る能力を有する微生物であればいずれのものでもよい。
その例としては、兵庫県で採取した土壌より分離された
AL−16012株が挙げられ、本菌株をインターナシ
ョナル・ジャーナル・オブ・システマティック・バクテ
リオロジー(International Journal of Systematic Ba
cteriology)16巻 313頁〜340頁(1966
年)記載の方法に準じて検討した結果、その菌学的性質
は下記のとおりである。なお、各種培地上の性質はとく
に指示しない限り、28℃で14日間培養し、常法に従
って観察したものであり、色調はカラー・ハーモニー・
マニュアル(Color Harmony Manual)第4版〔コンティ
ナー・コーポレーション・オブ・アメリカ(Container
Corporation of America)、1958年発行〕によっ
た。
【0009】(I)形態的特徴 基生菌糸は、湾曲又はコイル状に伸長し分岐している。
気菌糸及び胞子の形成、胞子嚢及び輪生糸は認められな
い。 (II)各種培地上での生育状態 各種培地における生育の程度(G)、気菌糸の生育及び
色調(AM)、裏面の色調(R)、可溶性色素の有無及
び色調(SP)などについて以下に列記する。
【表1】 ──────────────────────────────────── (a)シュウクロース・ G :生育せず 硝酸塩寒天培地 AM: R : SP: ──────────────────────────────────── (b)グルコース・アスパラギン G :良好、茶褐色(3ne〜3ng) 寒天培地 AM:なし R :黄褐色(2le)〜茶褐色(3ng) SP:なし ──────────────────────────────────── (c)グリセリン・アスパラギン G :中程度、淡黄褐色(2ga)〜淡褐色(2lc) 寒天培地 限局性 AM:なし R :淡黄褐色(2ga)〜(2ia) SP:なし ──────────────────────────────────── (d)スターチ・無機塩 G :良好、淡黄灰色(2gc) 寒天培地 AM:なし R :象牙色(2ea)〜淡黄灰色(2gc) SP:なし ──────────────────────────────────── (e)チロシン寒天培地 G :中程度、淡黄褐色(2ga)〜淡褐色(2ic) AM:なし R :象牙色(2ea)〜(2ga) SP:なし ──────────────────────────────────── (f)栄養寒天培地 G :貧弱、象牙色(2ea) AM:なし R :象牙色(2ea) SP:なし ──────────────────────────────────── (g)イースト・麦芽寒天培地 G :良好、淡黄灰色(2gc)〜褐色(2pg) AM:なし R :黄灰色(2le)〜褐色(2pe) SP:なし ──────────────────────────────────── (h)オートミール寒天培地 G :良好、淡黄灰色(2gc)〜褐色(2ne) AM:なし R :淡黄褐色(2la)〜淡褐色(2lc) SP:なし ──────────────────────────────────── (i)ペプトン・イースト・鉄 G :極貧弱、淡黄褐色(2ga) 寒天培地 AM:なし R :淡褐色(2ic) SP:なし ────────────────────────────────────
【0010】 (III)生理的性質 (a) 生育温度範囲 :15〜33℃ 最適生育温度範囲 :18〜26℃ (b) 硝酸の還元 :陰性 (c) ゼラチンの液化 :陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (d) 澱粉の加水分解 :陽性 (e) 脱脂乳の凝固 :陰性 脱脂乳のペプトン化 :陰性 (f) メラニン様色素の生成 チロシン寒天培地 :陰性 ペプトン・イースト・鉄寒天培地 :陰性 (g) 炭素源の資化性(プリードハム・ゴットリープ寒天培地) L−アラビノース : ± (注)++:比較的良好な生育 D−キシロース : − + :生育を認める D−グルコース : + ± :+又は−の判定が困難 D−フラクトース : + − :生育せず シュクロース : − イノシトール : − L−ラムノース : − ラフィノース : ± D−マンニット : − 対 象 : −
【0011】(IV)化学分類学的性質 グルコース1%、トリプトン1%、酵母エキス0.6%
(pH7.0)からなる培地を用いて、28℃、3日間
培養した後「放線菌の同定実験法」日本放線菌学会編
(昭和63年)記載の方法に準じて、生菌体及び細胞壁
画分を調製した。以下の分析は、上記文献記載の方法に
準じて行った。 a)アミノ酸の分析 細胞壁画分を6N塩酸を用いて105℃、18時間加水
分解して得られた加水分解物を、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC,島津LC−6AD,和光/PTCア
ミノ酸分析システム)を用い分析した。さらに、ジアミ
ノピメリン酸(以下、DAPと略称することもある)の
光学異性体は、二村らの方法に従って、HPLC(島津
LC−6AD,カラム:コスモシル5C−18)で分析
した。その結果、細胞壁アミノ酸組成として、グルタミ
ン酸,グリシン,アラニン及びジアミノピメリン酸(D
PA)が検出され、そのモル比はほぼ1:2:2:1を
示し、細胞壁タイプI型に属すると考えられる。又、ジ
アミノピメリン酸はLL体であった。 b)メナキノンの分析 乾燥菌体を、クロロホルム−メタノール混液(2:1
v/v)で、室温、18時間抽出、濃縮し、得られた濃縮
物を、HPLC(島津LC−6AD カラム:ゾルバッ
クス(Zorbax)ODS4.5×150mm 移動相:メタ
ノール:イソプロピルエーテル=7:2 v/v)で分析
した。その結果、メナキノンの組成は、MK−9
(H0)、MK−9(H2)、MK−9(H4)であり、
MK−9(H2)が主体であった。
【0012】以上の結果から本菌株は、気菌糸及び胞子
の形成は認められなかったが、ジアミノピメリン酸がL
L体であることやメナキノンがMK−9主体であること
などからストレプトマイセス(Streptomyces)属に属す
ると考えられ、ストレプトマイセス エスピー・AL−
16012(Streptomyces sp. AL−16012)と
命名された。AL−16012株は、平成3年10月2
1日財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO
15242として寄託され、また、平成3年11月2
5日にブタペスト条約の下、通商産業省工業技術院微生
物工業技術研究所(FRI)に受託番号FERM BP
−3660として寄託されている。ストレプトマイセス
属に属するTAN−1518AまたはB生産菌は、他の
放線菌の場合と同様に、たとえば紫外線、エックス線、
放射線などの照射、単胞子分離、種々の変異処理、その
他の手段で変異させることが出来、このような変異株あ
るいは自然に得られる突然変異株であっても、上記した
分類学的性状との比較において実質的に別種とするに足
らず、しかも当該化合物を生産する性質を有するもの
は、すべて本発明方法に利用し得る。
【0013】TAN−1518AまたはB生産菌の培養
に用いられる培地は該菌が利用し得る栄養源を含むもの
なら、液状でも固状でもよいが、大量に処理するときに
は液体培地を用いるのがより適当である。培地には、当
該生産菌が同化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量
栄養源が適宜配合される。炭素源としては、たとえばグ
ルコース、ラクトース、シュークロース、マルトース、
デキストリン、スターチ、グリセリン、マンニトール、
ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード油、チキン
油など)、n−パラフィンその他が、窒素源としては、
たとえば肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆粉、コ
ーン・スティープ・リカー、ペプトン、棉実粉、廃糖
蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウム、
塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウ
ムなど)その他が用いられる。さらに、ナトリウム、カ
リウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩類、
鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩
類、リン酸、ホウ酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸な
どの有機酸の塩類が適宜用いられる。その他、アミノ酸
(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジ
ン、メチオニン、プロリンなど)、ペプチド(例、ジペ
プチド、トリペプチドなど)、ビタミン類(例、B
2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プリ
ン、ピリミジン、その誘導体など)等を含有させてもよ
い。もちろん、培地のpHを調節する目的で無機また
は有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤等を加え、あるい
は消泡の目的で油脂類、界面活性剤等の適量を添加して
差し支えない。液体培養に際しては、培地のpH は中性
付近、特にpH5.5〜7が好ましい。培養温度は約2
4℃〜30℃、培 養時間は約48時間〜168時間が
好ましい。培養の経過に伴って生産されるTAN−15
18AおよびBの力価は細胞毒性を指標とする液体希釈
法に従って定量される。通常、約3〜6日間の培養でT
AN−1518AまたはBの生産量は最高に達する。
【0014】培養物から目的とする化合物TAN−15
18AおよびBを採取する方法を以下に述べる。該化合
物は中性で脂溶性を示すため、この性質を利用する一般
的手段を採用すればよい。まず培養物をpH2ないし
9、好ましくはpH2.5ないし8に調整後、水と混和
しない有機溶媒たとえばクロロホルム,ジクロルメタン
等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル等のエステル
類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ブタノー
ル,ペンタノール等の高級アルコール類等を加え、TA
N−1518Aを抽出する。抽出液を重曹水および水で
洗浄後、有機溶媒層を濃縮するとTAN−1518Aを
含有する粗物質が得られる。粗物質をさらに精製し、純
粋なTAN−1518AまたはBを得るには種々のクロ
マトグラフィー法が有利に用いられる。担体としてはシ
リカゲル、結晶セルロース、セファデックスLH−20
(ファルマシア社製、スウエーデン)などが用いられ、
これらは通常カラムクロマトグラフィー法で行われる。
カラムから活性物質を溶出するには適当な有機溶媒たと
えばn−ヘキサン,トルエン等の炭化水素類、クロロホ
ルム,ジクロルメタン,ジクロルエタン等のハロゲン化
炭化水素類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエ
ステル類、メタノール,エタノール等のアルコール類、
酢酸,ギ酸等の有機酸類等が用いられる。これらは一種
のみで、または二種以上適当な割合で混合して用いても
よい。また、分取用高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)によってもTAN−1518AおよびBを精製す
ることができる。担体としてはオクタデシルシラン(O
DS)系およびシリカゲル系のものが有利に用いられ
る。例えばODSの場合、メタノールあるいはアセトニ
トリルと塩類含有水溶液の混合溶液が有利に用いられ
る。溶出液を濃縮、あるいは水溶液の場合は水と混和し
ない適当な有機溶媒で抽出して濃縮し、残渣を粉末化す
るか、濃縮残渣を適当な結晶化溶媒たとえば石油ベンジ
ル,石油エーテル,n−ヘキサン等の炭化水素類、ジエ
チルエーテル,ジイソプロピルエーテル等のエーテル
類、クロロホルム,ジクロルエタン等のハロゲン化炭化
水素類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール,エタ
ノール等のアルコール類等これらの単独あるいは混合液
で溶解し、冷所で放置すると結晶が得られる。
【0015】TAN−1518AおよびBの構造式は下
式により表される。
【化5】 一般式〔I〕においてR1,R2,R3,R4およびR5が共
に水素である化合物(ジデアシルTA N−1518
A)またはその塩,R1が2−ヒドロキシベンゾイルで
2,R3,R4およびR5がともに水素である化合物
(4′−デアシルTAN−1518A)またはその塩
は、TAN−1518Aまたはその塩をアルカリ加水分
解することにより製造することができる。ジデアシルT
AN−1518Aまたはその塩は、4´−デアシルTA
N−15 18Aまたはその塩をアルカリ加水分解する
ことによっても製造することができる。反応は、通常反
応を阻害しない水溶性溶媒にTAN−1518Aまたは
4′−デアシルTAN−1518Aを溶解もしくは懸濁
させ、これに塩基の水溶液を加えて行われる。上記水溶
性溶媒としては、例えばメタノール,エタノール等のア
ルコール類、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミド,ジメチルアセトアミド等のアミド類、
ジオキサン等が挙げられる。これらは単独であるいは二
種以上適当な割合で混合して用いられる。加水分解に使
用される塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物
(例、水酸化カリウム,水酸化ナトリウム等)、アルカ
リ金属アルコラート(例、ナトリウムメチラート,カリ
ウム tert−ブチラート等)、アルカリ金属炭酸塩
(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)等が用いられ
る。これらの中で、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
塩基の使用量は、TAN−1518Aあるいは4´−デ
アシルTAN−1518Aに対し、約1から20当量、
好ましくは約2から10当量である。反応温度は、とく
に限定されないが、通常約−5から60℃、好ましくは
約0から50℃である。反応時間は、数分から数十時間
程度(例えば5分から30時間等)である。
【0016】
【化6】
【化7】 同様にして、一般式〔I〕においてR1,R2,R3および
4が共に水素で、R5がメチルである化合物(ジデアシ
ルTAN−1518B)またはその塩、R1が2−ヒド
ロキシベンゾイルで、R2,R3およびR4がともに水素
で、R5がメチルである化合物(4′−デアシルTAN
−1518B)またはその塩は、TAN−1518Bま
たはその塩をアルカリ加水分解することによっても製造
することができるし、ジデアシルTAN−1518Bま
たはその塩は、4′−デアシルTAN−1518Bまた
はその塩をアルカリ加水分解することによっても製造す
ることができる。一般式〔I〕で表される化合物または
その塩は、上記TAN−1518AまたはB,ジデアシ
ルTAN−1518AまたはB,4′−デアシルTAN
−1518AまたはB、またはそれらの塩を出発原料と
して以下に示す方法により製造することができる。
【0017】一般式〔I〕においてR4が水素である化合
物またはその塩は、TAN−1518AまたはB,ジデ
アシルTAN−1518AまたはB,4′−デアシルT
AN−1518AまたはB、またはそれらの塩をアシル
化することにより製造することができる。本反応に用い
られるアシル化剤としては、例えば上述のアシル基を誘
導する有機カルボン酸の反応性誘導体が挙げられる。該
反応性誘導体としては、例えば常法に従って製造するこ
とができる酸ハライド,酸無水物,アミド化合物,活性
エステル,活性チオエステル等が用いられる。このよう
な反応性誘導体を具体的に述べると次のとおりである。 1)酸ハライド:ここで好ましい酸ハライドとしては、
たとえば酸クロリド,酸ブロミド等が用いられる。 2)酸無水物:ここで好ましい酸無水物としては、たと
えばモノアルキル炭酸混合酸無水物,脂肪族カルボン酸
(たとえば、酢酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、ト
リクロル酢酸等)からなる混合酸無水物、芳香族カルボ
ン酸(たとえば、安息香酸等)からなる混合酸無水物、
対称型酸無水物等が用いられる。 3)アミド化合物:ここで好ましいアミド化合物として
は、たとえばピラゾール,イミダゾール,4−置換イミ
ダゾール,ジメチルピラゾール,ベンゾトリアゾール等
の環内の窒素にアシル基が結合した化合物が用いられ
る。 4)活性エステル:ここで好ましい活性エステルとして
は、たとえばメチルエステル,エチルエステル,メトキ
シメチルエステル,プロパルギルエステル,4−ニトロ
フェニルエステル,2,4−ジニトロフェニルエステ
ル,トリクロロフェニルエステル,ペンタクロ ロフェ
ニルエステル,メシルフェニルエステル等のエステルの
他、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドン,N−ヒドロ
キシサクシンイミド,N−ヒドロキシフタルイミド,N
−ヒドロキシベンゾトリアゾール等とのエステル等が用
いられる。 5)活性チオエステル:ここで活性チオエステルとして
は、たとえば2−ピリジルチオール,2−ベンズチアゾ
リルチオール等の複素環チオール等とのチオエステル等
が用いられる。以上のような各種反応性誘導体は、カル
ボン酸の種類によって適宜選択される。
【0018】本反応は塩基もしくは酸の存在下実施され
る場合がある。用いられる塩基としては、たとえばトリ
メチルアミン,トリエチルアミン,トリプロピルアミ
ン,トリ−n−ブチルアミンなどの脂肪族第三アミン、
N−メチルピペリジン,N−メチルピロリジン,シクロ
ヘキシルジメチルアミン,N−メチルモルホリンなどの
第三アミン、たとえばジ−n−ブチルアミン,ジイソブ
チルアミン,ジシクロヘキシルアミンなどのジアルキル
アミン、たとえばピリジン,ルチジン,γ−コリジンな
どの芳香族アミン、たとえばリチウム,ナトリウム,カ
リウムなどのアルカリ金属、たとえばカルシウム,マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属等の水酸化物または炭
酸塩などが挙げられる。用いられる酸としては、たとえ
ば四塩化チタン、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素−
エーテルコンプレックス等のルイス酸、たとえば硫酸等
の鉱酸、たとえばトリフルオロ酢酸等の有機酸などが挙
げられる。本反応において、原料化合物に対してカルボ
ン酸の反応性誘導体を通常約当量用いるが、反応に支障
のないかぎり過剰に用いることもできる。塩基もしくは
酸を用いる場合、塩基もしくは酸の使用量は、用いられ
るTAN−1518AまたはB、ジデアシルTAN−1
518AまたはB、4′−デアシルTAN−1518A
またはBまたはそれらの塩、カルボン酸の反応性誘導体
の種類、他の反応条件によって異なるが、化合物に対し
て通常約当量ないし30当量、好ましくは約当量ないし
10当量である。酸を用いる場合には、酸の使用量が化
合物に対して触媒量で済むこともある。本反応は、通常
反応を阻害しない溶媒中で行われる。該溶媒としては、
たとえばジオキサン,テトラヒドロフラン,ジエチルエ
ーテル,ジイソプロピルエーテル,プロピレンオキシ
ド,ブチレンオキシドなどのエーテル類、たとえば酢酸
エチル,ギ酸エチルなどのエステル類、たとえばクロロ
ホルム,ジクロロメタン,1,2−ジクロロエタン,
1,1,1−トリクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素
類、たとえばベンゼン,トルエン,n−ヘキサンなどの
炭化水素類、たとえばN,N−ジメチルホルムアミド,
N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、たとえ
ばアセトニトリルなどのニトリル類など通常の有機溶媒
が単独または混合して用いられる。また、前述の塩基も
しくは酸のうち液体のものは溶媒を兼ねて使用すること
もできる。また、アセチル化の際に酸を共存させる場合
には、溶媒として酢酸を用いることもできる。反応温度
は、反応が進行するかぎり特に限定されないが、通常約
−50℃ないし150℃好ましくは約−30℃ないし8
0℃で行われる。反応時間は、用いられる原料、塩基も
しくは酸、反応温度、溶媒の種類により異なるが、通常
数十分間から数十時間で反応は終了するが、ときに数十
日間を要することもある。
【0019】一般式〔I〕においてR1が2−ヒドロキシ
ベンゾイル、R2が2−メチルブタノイル、R3,R4
よびR5が共に水素である化合物(ジヒドロTAN−1
518A)またはその塩は、TAN−1518Aまたは
その塩を水素気流下、触媒を用い接触還元することによ
って得られる。本反応に用いられる触媒としては、例え
ばパラジウム触媒(たとえば、パラジウム炭素、パラジ
ウム黒、酸化パラジウムなど)、白金触媒(たとえば、
酸化白金、白金黒など)等の通常接触還元に用いられる
触媒が挙げられる。本反応は、通常反応を阻害しない溶
媒にTAN−1518Aもしくはその塩を溶解もしくは
懸濁させ、これに上記触媒を加え、水素気流下で行われ
る。上記溶媒としては、例えばメタノール,エタノール
などのアルコール類、例えば酢酸エチル,ギ酸エチルな
どのエステル類など通常の有機溶媒が単独または2種類
以上を適宜の割合に混合して用いられる。本反応におい
て、TAN−1518Aに対し触媒を通常使用量用い
る。その使用量は触媒の種類、他の反応条件によって異
なるが、TAN−1518A1重量部に対し約0.01
から50重量部、好ましくは約0.1から30重量部が
用いられる。反応温度は、反応が進行するかぎり特に限
定されないが、通常約−50℃ないし150℃、好まし
くは約−30℃ないし80℃で行われる。反応時間は、
数分から数十時間程度(例えば5分から30時間程度)
である。同様にして、一般式〔I〕においてR1が2−ヒ
ドロキシベンゾイル、R2が2−エチルブタノイル、R3
およびR4が共に水素、R5がメチルである化合物(ジヒ
ドロTAN−1518B)またはその塩は、TAN−1
518Bまたはその塩を接触還元することによって得ら
れる。
【0020】一般式〔I〕においてR4がアルキル基であ
る化合物またはその塩は、上記一般式〔I〕においてR4
が水素である化合物またはその塩をアルキル化反応に付
すことにより製造することができる。本反応は、通常反
応を阻害しない溶媒中で行われる。本アルキル化反応
は、該溶媒に一般式〔I〕においてR4が水素である化合
物またはその塩を溶解もしくは懸濁させ、これにアルキ
ル化剤を加えて行われる。上記溶媒としては、例えばメ
タノール,エタノール等のアルコール類、たとえばジオ
キサン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,ジイ
ソプロピルエーテル,プロピレンオキシド,ブチレンオ
キシドなどのエーテル類、たとえば酢酸エチル,ギ酸エ
チルなどのエステル類、たとえばクロロホルム,ジクロ
ロメタン,1,2−ジクロロエタン,1,1,1−トリ
クロルエタンなどのハロゲン化炭化水素類、たとえばベ
ンゼン,トルエン,n−ヘキサンなどの炭化水素類、た
とえばN,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチ
ルアセトアミドなどのアミド類、たとえばアセトニトリ
ルなどのニトリル類など通常の有機溶媒が単独または2
種類以上を適宜の割合で混合して用いられる。 本反応
に用いられるアルキル化剤としては、例えばジアゾアル
カン(たとえば、ジアゾメタン,ジアゾエタンなど)等
が用いられる。該アルキル化剤は、一般式〔I〕におい
てR4が水素である化合物に対し通常約当量ないし大過
剰量、好ましくは約当量ないし100当量を用いる。反
応温度は、反応が進行するかぎり特に限定されないが、
通常約−50℃ないし150℃、好ましくは約−30℃
ないし80℃で行われる。反応時間は、数分から数十時
間程度(例えば5分から30時間程度)である。
【0021】化合物〔I〕は塩としても用いられる。こ
のような塩としては薬理学的に許容される塩、例えばナ
トリウム塩,カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシ
ウム塩,マグネシウム塩などのアルカリ土金属塩、アン
モニウム塩などが挙げられる。上記TAN−1518A
またはB,ジデアシルTAN−1518AまたはB,
4′−デアシルTAN−1518AまたはBの塩も化合
物〔I〕と同様なものが挙げられる。化合物〔I〕の塩は
自体公知の手段に従い製造される。例えば化合物〔I〕
の水溶液あるいは水懸濁液にアルカリ金属またはアルカ
リ土金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム,水酸化カリ
ウム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム等)三級
アミン(例、トリエチルアミンのような脂肪族三級アミ
ン、ピリジン,4−ジメチルアミノピリジン,α−,β
−またはγ−ピコリンのような芳香族三級アミン)等の
塩基とを混合することによって製造することができる。
かくして得られる化合物〔I〕またはその塩は反応混合
物から自体公知の手段、たとえば抽出、濃縮、中和、濾
過、結晶化、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層
クロマトグラフィーなどの手段を用いることによって単
離,精製することができる。化合物〔I〕またはその塩
はイン・ビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(inviv
o)試験で抗腫瘍作用を示し、ヒトや哺乳動物の悪性腫
瘍の治療に用いることができる。該悪性腫瘍としては、
例えば上皮性悪性腫瘍(例、大腸がん,肺がん,胃が
ん,肝がん,偏平上皮がん等)、非上皮性悪性腫瘍
(例、細網肉腫,骨肉腫,リンパ肉腫等)、混合性悪性
腫瘍(例、副腎腫瘍等)等が挙げられる。化合物〔I〕
またはその塩は、毒性も低く安全に用いられる。化合物
〔I〕またはその塩をヒトに投与する場合は、それ自体
あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、賦形剤、希
釈剤と混合し、医薬組成物として経口的または非経口的
に安全に投与することができる。上記医薬組成物として
は、注射剤、経口投与製剤(例、散剤、顆粒剤、カプセ
ル剤、錠剤)、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤な
ど)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)などが挙げられ
る。これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用い
られる自体公知の方法により製造することができる。た
とえば、本発明の化合物〔I〕またはその塩は分散剤
(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、
米国),HCO60(日光ケミカルズ製)ポリエチレン
グリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸
ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、プロ
ピルパラベン、ベンジールアルコール、クロロブタノー
ルなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリ
ン、ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性注射
剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿
実面、コーン油などの植物油、プロピレングリコールな
どに溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、
注射剤とすることができる。
【0022】たとえば経口投与製剤にするには、自体公
知の方法に従い、本発明の化合物〔I〕またはその塩を
たとえば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩
壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤
(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセル
ロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピル
セルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリ
ン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000な
ど)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味
のマスキング、直溶性あるいは持続性の目的のため自体
公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤
とすることができる。そのコーティング剤としては、例
えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセル
ロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイ
ーン80、ブルロニックF68、セルロースアセテート
フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシ
ネート、オイドラギット(ローム社製,西ドイツ,メタ
アクリル酸・アクリル酸共重合)および酸化チタン,ベ
ンガラ等の色素が用いられる。たとえば外用剤とするに
は、自体公知の方法に従い、本発明の化合物〔I〕また
はその塩を固状、半固状または液状の経鼻投与剤とする
ことができる。たとえば、上記固状のものとしては、化
合物〔I〕またはその塩をそのまま、あるいは賦形剤
(例、グリコール、マンニトール、デンプン、微結晶セ
ルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース
誘導体、アクリル酸重合体など)などを添加、混合して
粉状の組成物とする。上記液状のものとしては、注射剤
の場合とほとんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とす
る。半固状の場合は、水性または油性のゲル剤、あるい
は軟膏状のものがよい。また、これらはいずれも、pH
調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナ
トリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エス
テル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムな
ど)などを加えてもよい。
【0023】たとえば坐剤とするには、自体公知の方法
にしたがい、本発明の化合物〔I〕またはその塩を油性
または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とするこ
とができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、化
合物〔I〕またはその塩を溶解しないものであればよ
く、たとえば高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、
ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)など〕、
中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベ
ル社製)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆
油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤と
しては、たとえばポリエチレングリコール類、プロピレ
ングリコール、水性ゲル基剤としては、たとえば天然ガ
ム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸
重合体などが挙げられる。化合物〔I〕またはその塩を
ヒトに用いる場合の投与量は対象の疾患、投与経路、治
療する患者個々の年齢及び疾病の程度によって変動し得
るが、通常、体重50kgの成人患者の場合有効成分1
日約0.1〜200mg、好ましくは約1〜150mgが疾
患の治療に用いられる。さらに好ましくは約5〜100
mgが用いられる。また本発明の化合物〔I〕またはそ
の塩を外用剤としても用いる場合、たとえばワセリン、
ラノリンを基剤として、1gあたり通常約0.1から1
00mg含有する軟膏剤として、皮膚あるいは、粘膜など
の腫瘍の治療に用いることができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明するが、これによって本発明が限定されるもの
ではない。培地におけるパーセント(%)は、とくに断
りのない限り重量/容量パーセントを表わす。また、混
合溶媒において混合比を示した数値は各溶媒の容量混合
比である。13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルは内部
基準としてテトラメチルシランを用いて(75MHz)
型スペクトルメーターで測定し、全δ値をppmで示し
た。実施例中Qは4級炭素を意味する。 実施例1 酵母エキス・麦芽エキス斜面寒天培地に培養したストレ
プトミセス・エス・ピー AL−16012株を200
ml容三角フラスコ内のグルコース2%、可溶性澱粉3
%、生大豆粉1%、コーン・スティープ・リカー1%、
ペプトン0.5%、NaCl 0.3%、CaCO3 0.
5%を含む40mlの種培地(pH7.0)に接種し、2
8℃、48時間回転振盪機上で培養し、種培養液を得
た。この種培養液1mlを200ml容三角フラスコ内の可
溶性澱粉3%、綿実粉0.5%を含む40mlの主培地
(pH6.5)に移植し、24℃、6日間回転振盪機上
で培養し、主培養液を得た。
【0025】実施例2 実施例1で得られた培養液(12リットル)を6N塩酸
でpH2.0に補正し、酢酸エチル(12リットル)で
抽出した。抽出液をハイフロスーパーセル(ジョンズ・
マンビル社製,米国)を用いてろ過し、得られた有機溶
媒層を2%炭酸水素ナトリウム水(5リットル)および
水(5リットル)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、濃縮し粗物質(5.1g)を得た。この粗物質をク
ロロホルムで充填したシリカゲル(400ml)のカラム
クロマトグラフィーに付した。クロロホルム(600m
l)で洗浄後、クロロホルム−メタノール〔30:1
(900ml),20:1(1リットル),15:1(6
00ml),10:1(400ml)〕で順次溶出し、2
0:1(1リットル)および15:1(600ml)で溶
出される活性画分を濃縮後、メタノール飽和n−ヘキサ
ンで洗浄し、TAN−1518Aの粗粉末(2.2g)
を得た。この粉末を分取HPLC〔担体:ODS,YM
C−Pack S−363,I−15(山村化学研究所社
製),移動相;66% アセトニトリル/0.01Mリ
ン酸緩衝液(pH3.0)〕に付し、HPLCで 単一ピ
ークを示す画分を集め濃縮,酢酸エチル抽出,水洗後、
濃縮乾固してTAN−1518A(150mg)の粉末を
得た。
【0026】実施例3 実施例1に示した種培養液5mlを2000ml容坂口フラ
スコ内の、実施例1と同じ種培地500mlに移植し、2
8℃、48時間往復振盪機上で培養した。得られた培養
液500mlを200リットル容ステンレス・スチール・
タンク内の、実施例1と同じ主培地120リットルに移
植し、24℃、通気120リットル/分、撹拌180回
転/分、内圧1kg/cm2の条件で6日間培養し、主培養
液を得た。
【0027】実施例4 実施例3で得られた培養液(100リットル)を6N塩
酸でpH2.0に調整し、酢酸エチル(50リットル)
で抽出した。抽出液をラヂオライト(4.5kg,昭和化
学社製)を用いてろ過し、得られた有機溶媒層を2%炭
酸水素ナトリウム水(20リットル)および水(20リ
ットル)で2回洗浄し濃縮した。残渣にn−ヘキサンを
加え粉末(59g)を得た。この粉末をクロロホルムで
充填したシリカゲル(2リットル)のカラムクロマトグ
ラフィーに付した。クロロホルム(4リットル)で洗浄
後、クロロホルム−メタノール〔100:1(2リット
ル),80:1(4リットル),50:1(6リット
ル),30:1(7リットル),10:1(3リット
ル)〕で順次溶出し、30:1(3リットル),10:
1(3リットル)で溶出される活性画分を濃縮後、n−
ヘキサンを加え粉末(20g)を得た。この粉末(16
g)をクロロホルム−ギ酸(100:2)で充填したシ
リカゲル(2リットル)のカラムクロマトグラフィーに
付した。クロロホルム−ギ酸(100:2,4リット
ル)で洗浄後、クロロホルム−メタノール−ギ酸の溶媒
系で溶出分画した。99:1:2(2リットル)および
90:10:2(0.6リットル)で洗浄後、90:1
0:2(0.6〜3.6リットル)および85:15:
2(2リットル)で溶出される画分を集め、濃縮乾固し
てTAN−1518Aの粗粉末(3.3g)を得た。こ
の粉末をさらに、メタノールを溶出溶媒とするセファデ
ックスLH−20(2リットル)のカラムクロマトグラ
フィーにより精製を行ない、TAN−1518Aの黄色
粉末(1.9g)を得た。
【0028】TAN−1518A (1)外観:黄色粉末 (2)旋光度:〔α〕D 25+190°(c=0.6,クロ
ロホルム) (3)分子量:m/z 763(M+),(FDマス・スペク
トルより) (4)元素分析値:(%) 実測値;C,60.72; H,5.51; N,1.76 計算値;C,61.33; H,5.41; N,1.83 (5)分子式:C3941NO15 (6)紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値nm(ε)
〔図1〕 メタノール中;206(49,600), 227(肩,28,600), 243
(肩,24,400), 270(肩,17,500), 315(10,700), 368(15,
600) メタノール−1NHCl(9:1)中;207(38,900), 225
(29,800), 243(26,700), 317(14,100),355(18,000) メタノール−1NNaOH(9:1)中;246(20,600), 27
0(17,800), 385(17,900) (7)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主
な吸収を示す(波数,cm-1)〔図2〕 3410, 2980, 2940, 1660, 1610, 1430, 1290, 1240, 11
60, 1080, 840, 760,700, 570 (8)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MH
z,重ジメチルスルホキシド中,δppm〔図3〕 192.2(Q), 192.0(Q), 189.0(Q), 175.9(Q), 173.1(Q),
167.2(Q), 166.8(Q),160.0(Q), 158.10(Q), 147.3(Q),
136.8(CH), 135.8(CH), 133.7(CH),130.2(CH), 128.6
(Q), 127.7(Q), 119.4(CH), 117.6(CH), 114.8(CH),11
4.5(Q), 113.1(Q), 106.0(Q), 95.4(Q), 77.9(Q), 77.5
(CH), 75.1(Q),73.6(CH), 70.3(CH), 70.1(CH), 69.1(C
H), 50.2(CH3), 40.9(CH),40.3(CH2), 34.9(CH), 24.3
(CH3), 20.2(CH3), 19.0(CH2), 18.0(CH3),15.4(CH3). (9)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸,濃硫酸,過マンガン酸カリウ
ム反応 陰性;ニンヒドリン,ドラーゲンドルフ,坂口反応 (10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体;ODS,YMC−Pack A−312 移動相;75%アセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝
液(pH3) 流速;2ml/min 検出法;UV吸収,214nm 溶出時間;3.8min (11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;シリカ・ゲル(Silica gel) 60F254〔イー・メ
ルク・エー・ジー(E.Merck AG.)〕 展開溶媒;クロロホルム:メタノール:ギ酸(90:1
0:2) Rf値;0.45 (12)性質:弱酸性脂溶性物質
【0029】実施例5 ジデアシルTAN−1518A TAN−1518A(200mg)をメタノール(10m
l)に溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液(1065
μl)を加え室温で6時間撹拌した。メタノールを減圧
下除去し、酢酸エチル(50ml)で希釈し、0.01N
塩酸水溶液および水で2回(各30ml)洗浄し、硫酸ナ
トリウムで乾燥後、濃縮乾固して黄色粉末(170mg)
を得た。これを分取HPLC〔担体;ODS,YMC−
Pack S− 363,I−15,移動相;20%アセト
ニトリル/0.01Mリン酸緩衝液(pH3.0)〕に
付し、HPLCで単一ピークを示す画分を集め濃縮、酢
酸エチル抽出、水洗後濃縮乾固して、ジデアシルTAN
−1518A(98mg)を得た。 ジデアシルTAN−1518A 紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値nm(ε) メタノール中;226(25,700), 260(22,200), 365(18,50
0) 1NNaOH:メタノール(1:19)中;236(25,70
0), 267(20,500), 381(20,800) 1NHCl:メタノール(1:19)中;226(25,900),
255(24,500), 357(20,500) 分子量:m/z 562(M+H)+ 元素分析値:C2731NO12・1/2H2Oとして 計算値;C,56.84; H,5.65; N,2.45; 実測値;C,56.60; H,5.59; N,2.42 赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中,主な吸
収を示す(波数,cm-1) 3400, 2980, 2940, 1610, 1560, 1430, 1290, 1240, 10
60, 850, 790,680, 660, 61013 C NMR(75MHz,重ジメチルスルホキシド
中,δppm):195.9(Q), 192.1(Q), 191.6(Q), 1
77.0(Q), 173.4(Q),157.9(Q), 147.1(Q), 133.5
(CH), 129.1(Q), 114.7(CH),114.4(Q), 106.0(Q),
95.3(Q), 77.9(Q), 77.1(CH),76.0(CH), 7
5.6(Q), 71.7(CH), 70.1(CH), 66.7(CH),50.1(C
H3), 42.7(CH), 40.1(CH2), 35.0(CH), 24.2(C
H3),18.3(CH3), 17.9(CH2)
【0030】実施例6 4′−デアシルTAN−151
8A TAN−1518A(500mg)を1N水酸化ナトリウ
ム水溶液(3.3ml)に溶解し、室温で1時間30分放
置した。反応液に1N塩酸を加えpH2とした後、酢酸
エチル(50ml)で抽出した。得られた有機溶媒層を水
洗し、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固して黄色粉末
(510mg)を得た。この粉末をシリカゲルに吸着さ
せ、クロロホルム:メタノール:ギ酸(97:1:2,
96:2:2,)で順次洗浄し、クロロホルム:メタノ
ール:ギ酸(93:5:2)で溶出した。溶出液を濃縮
後、エーテルで処理し、4′−デアシルTAN−151
8A(290mg)を得た。 分子量:m/z 682(M+H)+(SI−マス・スペ
クトルより) 元素分析値:C3435NO14として 計算値;C,59.91; H,5.18; N,2.05; 実測値;C,59.46; H,5.49; N,1.80 紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値nm(ε) メタノール中;205(49,400), 228(肩,24,200), 241(26,
600), 268(肩,20,400) 314(11,900), 365(17,700) 1NHCl:メタノール(1:19)中;206(40,200),
227(23,500), 244(26,600), 268(肩,20,400),318(14,00
0), 355(19,100) 1NNaOH:メタノール(1:19)中;242(26,90
0), 267(肩,18,000), 381(20,100) 赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中,主な吸
収を示す(波数,cm-1) 3400, 2940, 1660, 1610, 1430, 1290, 1240, 1160, 10
80, 840, 760, 700,57013 C NMR(75MHz,重ジメチルスルホキシド
中,δppm):192.2(Q), 192.1(Q), 189.0(Q), 1
75.8(Q), 173.1(Q),167.2(Q), 159.9(Q), 158.0
(Q), 147.1(Q), 135.8(CH),133.7(CH), 130.2(C
H), 129.2(Q), 119.4(CH), 117.6(CH),114.7(CH),
114.4(Q), 113.2(Q), 105.9(Q), 95.3(Q),77.9
(Q), 77.1(CH), 76.0(CH), 75.1(Q), 71.8(C
H),70.1(CH), 70.1(CH), 50.2(CH3), 40.8(CH),
40.1(CH2),34.9(CH), 24.3(CH3), 19.0(CH2), 18.
3(CH3)
【0031】実施例7 実施例3と同様の方法で得られた培養液(3400リッ
トル)をラヂオライトを用いて濾過し、得られた濾液
(3500リットル)を63%硫酸でpH2.0に調整
後、酢酸エチル(1200リットル)で抽出した。得ら
れた有機溶媒層を2%炭酸水素ナトリウム水(300リ
ットル)および水(300リットル)で2回洗浄し濃縮
した。残渣にn−ヘキサンを加え粉末(250g)を得
た。この粉末をシリカゲル(8リットル)カラムクロマ
トグラフィーに付した。トルエン−酢酸エチル−ギ酸
〔95:5:2(12リットル),92:8:2(10
リットル),90:10:2(10リットル),88:
12:2(10リットル)〕で順次溶出し、88:1
2:2(7リットル)で溶出される画分を濃縮後、残渣
にメタノールを加え、析出した粉末を濾別した。得られ
た濾液を濃縮・乾固して、TAN−1518Bを含む粉
末(4.2g)を得た。この粉末を再度シリカゲル(2
00ml),トルエン−酢酸エチル−ギ酸(99:1:
1)を用いるカラムクロマトグラフィーに付した。トル
エン−酢酸エチル−ギ酸〔98:2:2(800ml),
95:5:2(1リットル),92:8:2(600m
l),90:10:2(600ml)〕で順次溶出し、9
0:10:2(500ml)で溶出される画分を濃縮し、
残渣を得た。この残渣にメタノールを加え、析出した粉
末を濾別した。得られた濾液を濃縮、乾固して、残渣
(715mg)を得た。この残渣を分取HPLC〔担体;
ODS,YMC−Pack S−363 I−15,移動
相;73%アセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝液
(pH3)〕に付した。HPLCで単一ピークを示す画
分を集め、アセトニトリルを留去後、酢酸エチルにて抽
出した。酢酸エチル層を水洗後濃縮乾固してTAN−1
518B(70mg)の黄色粉末を得た。 TAN−1518B (1)外観:黄色粉末 (2)旋光度:〔α〕D 25+206°(c=0.5,クロ
ロホルム) (3)分子量:m/z 792(M+H)+ (4)元素分析値:C4145NO15・0.5H2Oとして 計算値;C,61.42; H,5.71; N,1.81 実測値;C,61.24; H,5.75; N,1.73 (5)分子式:C4145NO15 (6)紫外部吸収(UV)スペクトル:極大値nm(ε) メタノール中;205(56,800), 226(肩,32,800), 241
(肩,29,200), 270(19,600), 310(12,800), 375(17,60
0) メタノール−1NHCl(19:1)中;207(45,200), 22
5(31,200), 245(28,000), 320(14,400),355(18,400) メタノール−1NNaOH(19:1)中;243(28,800),
388(19,200) (7)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr錠剤中、主
な吸収を示す(波数,cm-1) 3410, 2970, 1660, 1610, 1560, 1430, 1290, 1240, 11
60, 840, 760 (8)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル:75MH
z,重ジメチルスルホキシド中,δppm 192.3(Q), 189.4(Q), 189.2(Q), 173.9(Q), 172.9(Q),
167.0(Q), 167.0(Q),159.9(Q), 158.1(Q), 147.2(Q), 1
35.8(CH), 134.3(Q), 134.0(CH),133.8(CH), 130.2(C
H), 128.6(Q), 119.4(CH), 117.6(CH), 114.8(CH),114.
4(Q), 113.3(Q), 108.2(Q), 95.8(Q), 80.9(Q), 77.7
(Q), 77.4(CH),73.6(CH), 70.3(CH), 69.4(CH), 69.1(C
H), 54.2(CH3), 50.2(CH3),40.4(CH2), 36.5(CH), 34.9
(CH), 27.0(CH2), 24.4(CH3), 19.2(CH2),18.0(CH3), 1
5.2(CH3), 13.5(CH3) (9)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸,濃硫酸,過マンガン酸カリウ
ム反応 陰性;ニンヒドリン,ドラーゲンドルフ,坂口反応 (10)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体;ODS,YMC−Pack A−312 移動相;75%アセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝
液(pH3) 流速;2ml/min 検出法;UV吸収,214nm 溶出時間;6.7min (11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体;Silica gel 60F254(E. Merck AG.) 展開溶媒;クロロホルム:メタノール:ギ酸(90:1
0:2) Rf値;0.45 (12)性質:弱酸性脂溶性物質
【0032】実施例8 3′−O−アセチルTAN−1
518A TAN−1518A(100mg)を酢酸(2.0ml)に
溶解し、無水酢酸(37μl)および三フッ化ホウ素−
エーテルコンプレックス(8.1μl)を加え、室温で
1時間半撹拌した。反応混合物を濃縮、乾固し、得られ
た残渣を分取HPLC〔担体;ODS,YMC−Pack
SH−343,S−15,移動相;75%アセトニト
リル/0.02Mリン酸緩衝液(pH3.0)〕に付し
た。HPLC分析で単一ピークを示す画分を集め、アセ
トニトリルを留去後、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エ
チル層を水洗後、濃縮し、酢酸エチル−ヘキサンから粉
末化することにより、3′−O−アセチルTAN−15
18A(69mg)が淡黄色粉末として得られた。 3′−O−アセチルTAN−1518A UVスペクトル:極大値 nm(ε) メタノール中;223(肩,30,200), 240(肩,26,600), 26
0(肩,18,100),314(11,300), 367(16,500) メタノール−1NHCl(19:1)中;223(31,400),
240(肩,26,600), 318(12,900), 357(17,700) メタノール−1NNaOH(19:1)中;240(肩,27,
800), 265(肩,20,100), 380(19,700) 元素分析値:C4143NO16として 計算値;C,61.11; H,5.38; N,1.74; 実測値;C,60.79; H,5.35; N,1.71 IRスペクトル:KBr錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1) 3400, 2980, 2940, 1725, 1685, 1655, 1615, 1585, 15
60, 1430, 1295,1240, 1155, 845, 7601 H NMR(300MHz,重ジメチルスルホキシド中,δpp
m) 1.04(3H,s), 1.16(3H,d), 1.57(1H,m), 1.66(1H,m), 1.
83(3H,m),1.88(3H,dq), 1.94(3H,s), 2.16(1H,m), 2.35
(1H,m), 2.85(1H,m),3.18(3H,s), 3.48(1H,dd), 3.83(1
H,m), 4.81(1H,t), 4.98(1H,br d),5.20(1H,ddd), 6.11
(1H,qq), 6.30(1H,d), 6.98(1H,d), 7.02(1H,br t),7.0
4(1H,br d), 7.25(1H,br), 7.56(1H,ddd), 7.74(1H,d),
7.85(1H,dd),9.37(2H,br), 10.35(1H,s), 12.22(1H,b
r), 14.91(1H,br), 17.23(1H,br)
【0033】実施例9 3′−O−ブチリルTAN−1
518A TAN−1518A(100mg)をジエチルエーテル
(2.0ml)に溶解し、ブチリルクロリド(20μl)
および三フッ化ホウ素−エーテルコンプレックス(81
μl)を加え、室温にて7時間撹拌した。反応混合物を
酢酸エチルで希釈後、水洗し、酢酸エチル層を濃縮し
た。得られた残渣を分取HPLC〔担体;ODS,YM
C−Pack SH−343,S−15,移動相;80%
アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH3.
0)〕に付した。HPLC分析で単一ピークを示す画分
を集め、アセトニトリルを留去後、酢酸エチルにて抽出
した。酢酸エチル層を水洗後、濃縮し、酢酸エチル−ヘ
キサンから粉末化することにより、3′−O−ブチリル
TAN−1518A(65mg)が淡黄色粉末として得ら
れた。 3′−O−ブチリルTAN−1518A UVスペクトル:極大値 nm(ε) メタノール中;227(肩,36,700), 265(肩,23,600), 30
5(肩,11,800),375(19,000) メタノール−1NHCl(19:1)中;223(37,900),
241(肩,31,200), 318(14,300), 356(19,400) メタノール−1NNaOH(19:1)中;240(肩,33,
700), 265(肩,24,000), 380(21,500) 元素分析値:C4347NO16・1/2H2Oとして 計算値;C,61.28; H,5.74; N,1.66; O,3
1.32 実測値;C,61.08; H,5.67; N,1.64 IRスヘ゜クトル:KBr錠剤中,主な吸収を示す(波数,cm-1) 3420, 1725, 1685, 1655, 1615, 1585, 1560, 1430, 12
95, 1250, 1235, 11551H NMR(300MHz,重ジメチ
ルスルホキシド中,δppm) 0.81(3H,t), 1.04(3H,s), 1.16(3H,d), 1.47(2H,m), 1.
59(1H,m),1.65(1H,m), 1.82(3H,m), 1.89(3H,dq), 2.15
(1H,m), 2.18(2H,m),2.35(1H,m), 2.84(1H,m), 3.18(3
H,s), 3.47(1H,dd), 3.83(1H,m),4.82(1H,t), 4.98(1H,
br d), 5.21(1H,ddd), 6.14(1H,qq), 6.29(1H,d),6.98
(1H,d), 7.01(1H,br t), 7.04(1H,br d), 7.24(1H,br),
7.56(1H,ddd),7.74(1H,d), 7.85(1H,dd), 9.36(2H,b
r), 10.34(1H,s), 12.22(1H,br),14.92(1H,br), 17.24
(1H,br)
【0034】実施例10 ジヒドロTAN−1518A 水で湿らせたパラジウム黒(30mg)にメタノール(5
0ml)を加え水素ガスを通じつつ撹拌後、TAN−15
18A(150mg)を含むメタノール溶液(50ml)を
加え水素気流下常圧で7時間撹拌した。反応液より触媒
を濾別後、濾液を濃縮し、粗粉末(150mg)を得た。
これを分取HPLC〔担体;ODS,YMC−Pack
S−363,I−15,移動相;68%アセトニトリル
/0.01Mリン酸緩衝液(pH3)〕に付し、HPL
Cで単一ピークを示す画分を集め濃縮,酢酸エチル抽
出,水洗後濃縮乾固して、TAN−1518A接触還元
体(101mg)を黄色粉末として得た。 TAN−1518A接触還元体 UVλmax MeOHnm(ε):203(48,700), 240(26,300), 267
(19,400), 310(11,600),372(17,400) 1NHCl:MeOH(1:19):207(38,700), 245(26,70
0), 355(19,400) 1NNaOH:MeOH(1:19):242(24,800), 380(19,40
0) IR(KBr,cm-1):3410, 2970, 1660, 1610, 1560,
1430, 1290, 1240,1200, 1160, 1080, 840, 760 元素分析値:C3943NO15・1/2H2Oとして 計算値:C, 60.38; H, 5.71; N, 1.81 実測値:C, 60.48; H, 5.68; N, 1.82 MS SI−MS m/z 766(M+H)+ 13 C NMR(75MHz,DMSO-d6,δppm):192.2(Q), 19
2.0(Q), 189.1(Q), 175.9(Q), 175.31and175.27*(Q),17
3.1(Q), 167.2(Q), 159.9(Q), 158.1(Q), 147.3(Q), 13
5.8(CH),133.7(CH), 130.2(CH), 128.6(Q), 119.4(CH),
117.6(CH), 114.8(CH),114.5(Q), 113.2(Q), 106.0
(Q), 95.0(Q), 77.9(Q), 77.4and77.3*(CH),75.1(Q), 7
3.53and73.48*(CH), 70.3(CH), 70.1(CH), 69.0(CH), 5
0.2(CH3),40.9(CH), 40.5(CH), 40.3(CH2), 34.9(CH),
26.2and26.1*(CH2), 24.3(CH3),19.0(CH2), 17.91and1
7.87*(CH3), 16.5and16.4*(CH3), 11.32and11.26*(CH3) * ジアステレオマーの混合物である為シグナルが2本観
測される。
【0035】実施例11 12−O−メチルTAN−1
518A TAN−1518A(200mg)を酢酸エチル(2.0
ml)に溶解し、ジアゾメタンのジエチルエーテル溶液を
加え、室温にて30分間放置した。反応混合物を濃縮
し、残渣を分取HPLC〔担体;ODS,YMC−SH
343,S−15,移動相;50%アセトニトリル/
0.02Mリン酸緩衝液(pH3.0),流速;10ml
/分〕に付した。保持時間48、5分のピークの画分を
集め、アセトニトリルを留去後、酢酸エチルにて抽出し
た。酢酸エチル層を水洗後、濃縮すると、黄色粉末21
mgが得られた。この粉末(15mg)を80%アセトニト
リル/0.01M塩酸(15ml)に溶解し、室温にて2
0時間放置した。反応混合物を濃縮してアセトニトリル
を留去後、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層を水
洗後、濃縮し、酢酸エチル−ヘキサンから粉末化するこ
とにより、12−O−メチルTAN−1518A(14
mg)が淡黄色粉末として得られた。 12−O−メチルTAN−1518A UVスペクトル:極大値 nm(ε) メタノール中;221(肩,39,200), 240(肩,30,300), 26
6(23,300),310(17,500), 347(12,000) メタノール−1NHCl(19:1)中;220(肩,38,5
00), 240(肩,29,900), 263(肩,24,100),310(17,500),
345(12,000) メタノール−1NNaOH(19:1)中;241(肩,29,
500), 272(24,100), 337(16,700) IRスペクトル:KBr錠剤中,主な吸収を示す(波
数,cm-1) 3435, 1685, 1635, 1615, 1590, 1570, 1560, 1440, 14
30, 1290, 1265,1245, 1240, 1160, 10751 H NMR(300MHz,重ジメチルスルホキシド中,δpp
m) 1.10(3H,s), 1.11(3H,d), 1.45-1.60(2H,m), 1.87(3H,b
r s), 1.94(3H,br d),2.11(1H,m), 2.23(1H,m), 2.71(1
H,m), 3.09(3H,s), 3.55-3.65(2H,m),3.80(1H,m), 3.84
(3H,s), 4.59(1H,t), 4.82(1H,br d), 5.11(1H,d),6.11
(1H,br q), 6.28(1H,br d), 6.95(1H,d), 7.00(1H,br
t),7.03(1H,br d), 7.56(1H,ddd), 7.69(1H,d), 7.85(1
H,dd), 9.33(2H,br),10.37(1H,br), 13.60(1H,br), 17.
45(1H,br)
【0036】製剤例1 上記実施例4によって得られたTAN−1518Aを用
いて、下記に示す処方の全成分を混和し、ゼラチンカプ
セルに充填し、カプセル1個当たり、50mgのTAN−
1518Aを含有するカプセル剤を製造した。 TAN−1518A 50mg 乳糖 100mg コーンスターチ 40mg ステアリン酸マグネシウム 10mg 合 計 200mg 製剤例2 上記実施例4によって得られたTAN−1518Aとス
テアリン酸マグネシウムを可溶性デンプンの水溶液で顆
粒化し、乾燥後、乳糖およびコーンスターチと混合し
た。混合物を圧縮成型し、下記に示す処方の錠剤を製造
した。 TAN−1518A 50mg 乳糖 65mg コーンスターチ 30mg 可溶性デンプン 35mg ステアリン酸マグネシウム 20mg 合 計 200mg 製剤例3 上記実施例4によって得られたTAN−1518Aを3
0%(w/v)ポリエチレングリコール400を含む生理
食塩水に溶解してTAN−1518Aの0.1%溶液を
調製し、滅菌濾過して、バイアルに50mlずつ分注し
た。バイアル1個当たり、50mgのTAN−1518A
を含有する静注剤を製造した。
【0037】試験例1 子牛胸腺由来のDNAトポイソメラーゼIに対するTA
N−1518Aの阻害作用を〔表2〕に示す。
【表2】 TAN−1518AのDNAトポイソメラーゼI阻害作用 ───────────────────────────── TAN−1518A濃度(μg/ml) 阻害作用*1) ───────────────────────────── 75 + 37.5 + 18.8 + 9.4 ± 4.7 − ───────────────────────────── *1)+,阻害作用陽性; ±,阻害作用疑陽性; −,阻害作用陰性 測定法:pBR322DNA(和光純薬社製)0.5μg
を含む20μlの緩衝液〔35mMトリス塩酸液(pH8.
0),72mM KCl,5mM MgCl2,5mMジチオス
レイトール,5mMスペルミジン,0.01%牛血清ア
ルブミン〕に子牛胸腺由来DNAトポイソメラーゼI
(宝酒造社製)1単位と適宜の濃度のTAN−1518
Aを加えて37℃で30分間反応させた。この反応液を
常法に従って0.7%アガロースを用いるゲル電気泳動
で分析し、スーパーコイル状DNAの減少を指標として
酵素活性を判定した。
【0038】試験例2 TAN−1518Aのマウスおよびヒト腫瘍細胞に対す
る増殖阻害作用を〔表3〕に示す。
【表3】 TAN−1518Aの腫瘍細胞増殖阻害作用 ─────────────────────────────── 腫瘍細胞 50%阻害濃度(ng/ml) ─────────────────────────────── マウス由来 B16 メラノーマ(melanoma) 18.3 P−815 マストシトマ(mastocytoma) 8.0 EL−4 チオマ(thymoma) 8.4 ヒト由来 HeLaS3 エピセロイド・カルシノーマ (epitheloid carcinoma) 5.8 WiDr コロン・アデノカルシノーマ (colon adenocarcinoma) 88.2 A549 ラング・アデノカルシノーマ (lung adenocarcinoma) 165.1 G361 マリグナント・メラノーマ (malignant melanoma) 44.3 ─────────────────────────────── 測定法:腫瘍細胞2×104/ml(B16のみ5×104
/ml)、5μM 2−メルカプトエタノール,2mM
L−グルタミン,20μg/mlゲンタミシン(フロー・
ラボラトリーズ社製,スコットランド),10%牛胎児
血清〔ウィッタカー・エム・エー・バイオプロダクツ社
(以下MABと略記)製,米国〕を含むイーグルMEM
培地〔MAB;P−815とEL−4の場合はRPMI
−1640培地(MAB)〕にTAN−1518Aを適
宜加え、37℃,5%炭酸ガス下で3日間培養した後、
MTT還元法〔多田ら,ジャーナル・オブ・イムノロジ
カル・メソード(Journal of Immunological Method)
第93巻,157頁,1986年〕で腫瘍細胞の増殖を
測定した。
【0039】試験例3 TAN−1518AをP388リューケミアまたはB−
16メラノーマによるマウスの抗腫瘍性テストに付した
ところ、腹腔内投与したとき10〜30mg/kgの投与量
で有効であった。 毒性試験 TAN−1518Aをマウスに400mg/kg経口投与し
ても死亡例を認めなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の化合物〔I〕またはその塩は優
れたDNAトポイソメラーゼI阻害作用および抗腫瘍作
用を示し、ヒトや哺乳動物の悪性腫瘍の治療に用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TAN−1518AのUVスペクトル
【図2】TAN−1518AのIRスペクトル
【図3】TAN−1518Aの13C NMRスペクトル
【符号の説明】
【化8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 309/10 A61K 31/35 A61P 35/00 C12P 29/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 または 【化2】 で表される化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】式 【化3】 で表される請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. 【請求項3】ストレプトミセス属に属し、請求項1記載
    の化合物を生産する能力を有する微生物を培地に培養
    し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取
    することを特徴とする請求項1記載の化合物またはその
    塩の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の化合物またはその塩を含有
    してなる抗腫瘍剤。
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