JP2002363184A - 生理活性物質nk12838、その製造法及び用途 - Google Patents

生理活性物質nk12838、その製造法及び用途

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JP2002363184A
JP2002363184A JP2001163377A JP2001163377A JP2002363184A JP 2002363184 A JP2002363184 A JP 2002363184A JP 2001163377 A JP2001163377 A JP 2001163377A JP 2001163377 A JP2001163377 A JP 2001163377A JP 2002363184 A JP2002363184 A JP 2002363184A
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JP2001163377A
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Koichi Tsuchiya
耕一 土屋
Yoshikazu Sukenaga
義和 助永
Shunsuke Kuroiwa
俊介 黒岩
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規な抗腫瘍剤が要望されている。 【解決手段】抗腫瘍活性を有する生理活性物質NK12
838を提供する。さらに、該化合物またはそれらの薬
理学上許容し得る塩および医薬用添加剤とからなる抗腫
瘍剤を提供する。例えば、NK12838の構造は下記
式(1)に示すとおりである。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理活性物質NK
12838、その製造法及びそれらの用途に関する。本
発明の化合物は、細胞増殖抑制作用を示し、悪性腫瘍に
対する化学療法剤などとして使用される抗癌物質として
期待される。
【0002】
【従来の技術】従来、抗腫瘍剤としては、アドリアマイ
シン、マイトマイシンC等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらは毒性
が強く、満足すべきものではない。これらの用途に適す
る新規化合物の発明が待たれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物の
代謝産物について、種々検索した結果、糸状菌に属する
一菌株が、哺乳動物の癌細胞に対する細胞増殖抑制作用
を有する生理活性物質NK12838を産生し、NK1
2838またはその薬理学上許容される塩が癌細胞に対
する細胞増殖抑制作用を有する事を見出した。さらに、
本発明者らはこれらの知見を基に鋭意検討の結果、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は次の(1)〜
(6)に関する。
【0005】(1)式(1)
【化2】 で表される新規生理活性物質NK12838、またはそ
の薬理学上許容される塩。
【0006】(2)下記の理化学的性質をもつ生理活性
物質NK12838、またはその薬理学上許容される
塩。 1)外観: 白色粉末 2)融点:179−180°C 3)分子式:C37H51NO9(高分解能マススペク
トル法により測定) 4)分子量:653(FAB−MS法により測定した
(M+Na)=676) 5)紫外線吸収スペクトル :メタノール中で測定した
結果は、第1図に示す通りで、212nm(ε3480
0)、253nm(ε12050)、304nm(ε3
250)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
たスペクトルを第2図に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、4
00MHzで測定したスペクトルを第3図に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、1
00MHzで測定したスペクトルを第4図に示す。 9)溶解性:メタノール、アセトン、酢酸エチル、クロ
ロホルム、ジメチルスルホキシドに易溶。水に難溶。 10)呈色反応:りん酸モリブデン酸硫酸、硫酸、過マ
ンガン酸カリウムに陽性 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.41 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
層を用い、展開溶媒として、ヘキサン−アセトン(3:
2)を用いた。
【0007】(3)1または2項に記載の生理活性物質
NK12838あるいは、その薬理学上許容される塩お
よび医薬用添加剤とからなる医薬。 (4)1または2項に記載の生理活性物質NK1283
8あるいは、その薬理学上許容される塩および医薬用添
加剤とからなる抗腫瘍剤。 (5)Stilbella属に属し、前記1または2項
に記載された生理活性物質NK12838を生産する能
力を有する微生物を、栄養培地にて培養し、培養物中に
生理活性物質NK12838を生成蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする生理活性物質NK12838
の製造法。 (6)スティルベラ エスピー エヌエフ12838
(Stilbella sp. NF12838)株
(独立行政法人産業技術総合研究所 寄託番号 FER
M P−18293)またはその変異株。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に述べ
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発
明において、生理活性物質NK12838は、Stil
bella属に属するその生産菌を培養し、該化合物を
生成せしめ、この培養物より採取する事により得られ
る。NK12838は、下記の平面構造式(1)を有す
る。
【0009】
【化3】
【0010】NK12838の生産菌の代表的なものと
して、例えば土壌より分離したスティルベラ・エスピー
(Stilbella sp.)NF 12838株が
挙げられる。以下に、本菌株の菌学的性状を示す。
【0011】1.各種培地での生育 各種培地上で25℃、14日間培養したときの生育状態
を表1に示す。本菌株は、オートミール寒天培地上で気
中菌糸の形成は少なく、培地表面から束状の分生子柄
(synnemata)を形成し、同心円状に広がる。
分生子の形成に伴い培地表面は粒状となる。周縁は全縁
となる。集落表面の色調は淡黄色(Straw)から淡
卵黄色(Pale Luteus)となる。培地は淡赤
ワイン色(Pale Vinaceus)を呈する。裏面
色調は淡赤ワイン色(PaleVinaceus)から暗
赤紫褐色(Vinaceus Buff)となる。2%
麦芽エキス寒天培地上で気中菌糸の形成は少なく、培地
表面から束状あるいは単生の分生子柄を形成し、同心円
状に広がる。分生子の形成は豊富で培地表面は粒状とな
る。周縁は全縁となる。集落表面の色調は淡黄色(St
raw)から黄褐色(Buff)となる。培地裏面はオ
ーカー色(Ochreous)から黄褐色(Buff)と
なる。ポテトデキストロース寒天培地上で気中菌糸の形
成は良好で綿毛状、白色を呈する。同心円状に分生子柄
束を形成し分生子を豊富に着生する。周縁は全縁とな
る。集落表面の色調は淡黄色(Straw)から淡卵黄
色(Pale Luteus)となる。培地裏面は黄褐
色(Buff)から淡赤ワイン色(Pale Vinac
eus)、暗赤紫褐色(Vinaceus Buff)と
なる。
【0012】
【表1】 表1 培地 形態 表面色調 裏面色調 分生子形成 可溶性色素 集落直径(mm) OMA 平坦−粒状 淡黄色 淡赤ワイン色 良好 赤紫褐色 58−60 淡卵黄色 暗赤紫褐色 MA 平坦−粒状 淡黄色 オーカー色 良好 無し 53−55 黄褐色 黄褐色 PDA 綿毛状 淡黄色 黄褐色 良好 赤紫褐色 50−52 淡卵黄色 暗赤紫褐色 CZA 綿毛状 黄褐色 黄褐色 不良 無し 60−62 白色 CMA 平坦 無色 無色 不良 無し 53−55 白色 白色
【0013】2.形態的特徴 オートミール寒天培地上で25℃、2週間培養した本菌
を光学顕微鏡下で観察したときの形態的特徴を以下に記
載する。菌糸は、無色、滑面、隔壁を有し、幅は、1−
3μmとなる。分生子柄は無色、滑面、隔壁を有し基中
菌糸より生じる。そして分生子柄は平行に重なり合い束
状となり円筒形の分生子柄束を形成する。分生子柄束は
淡黄色(Straw)を呈し、高さは250−950μ
m、幅は25−100μmとなる。分生子柄は分枝を数
回繰り返しながら伸長し、それぞれの分枝部で2−4本
分枝を生じる。分枝部細胞は無色、滑面で、大きさは1
3−30×1−2μmとなる。最後の分枝上部で分生子
形成細胞を形成する。分生子形成細胞は、単生あるいは
3−5本輪生する。分生子形成細胞はフィアライド型で
無色、滑面で円筒形となり、先端の開口部は細くくびれ
る。大きさは18−30×1−1.5μm(開口部幅は
0.8−1μm)となる。分生子はフィアロ型でフィア
ライドの先端から生じる。分生子は湿性で分生子柄束先
端に球状の分生子塊を形成する。分生子塊の色調は淡黄
色(Straw)から淡卵黄色(Pale Luteu
s)となる。分生子塊の直径は125−575μmとな
る。分生子は無色、滑面、単細胞、楕円形となる。大き
さは5−8×2−3μmとなる。
【0014】3.生理学的性質 本菌株は、好気性で、至適pHは6前後である。オート
ミール寒天培地上において生育至適温度は25℃付近
で、4℃では生長しない。また、37℃では生育出来な
い。
【0015】以上の菌学的および生理学的性質より本菌
株は、ホークスワース(D.L.Hawkswort
h)、サットン(B.C.Sutton)、エーンズワー
ス(G.C.Ainsworth)編、「エーンズワース
・アンド・ビスビーズ・ディクショナリー・オブ・ザ・
ファンジャイ第7版(Ainsworth and B
isby‘s Dictionary of the
Fungi, 7thed. (1983))」に従
い、真菌門、不完全菌亜門、不完全糸状菌綱、スティル
ベラ属菌に分類されることが判明したので本菌株をステ
ィルベラ エスピー エヌエフ12838(Stilb
ella sp. NF 12838)と同定した。な
お、該菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所に寄託
番号 FERM P−18293として寄託されてい
る。
【0016】本発明に用いるスティルベラ属に属する菌
株は他のスティルベラ属の菌株と同様、その性状が変化
しやすい。例えば、紫外線、エックス線および薬品など
を用いる人工的な変異手段で容易に変異しうるものであ
る。このように得られたどの様な変異株であっても本発
明の対象とする生理活性物質NK12838の生産能を
有するものは、全て本発明に使用する事ができる。
【0017】本発明によりNK12838を製造するに
は、まず前記菌株を放線菌が利用し得る栄養物を含有す
る培地で好気的に培養する。栄養源としては、従来から
放線菌の培養に利用されている公知のものが使用でき、
例えば炭素源としては、グルコース、グリセリン、ガラ
クトース、水飴、デキストリン、シュクロース、でんぷ
ん、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また、窒素源と
しては、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コーンスティープ・
リカー、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ソーダ、尿素等を単独かまたは組み合わせ
て用いることができる。その他、必要に応じ、ナトリウ
ム、コバルト、塩素、硫酸、燐酸、およびその他のイオ
ンを生成することのできる無機塩類を添加することは有
効である。また、菌の生育を助け、生理活性物質NK1
2838の生産を促進するような有機および無機物を適
当に添加することができる。
【0018】 培養法としては、液体培養法、、特に深
部攪拌培養法が適している。培養に適当な温度は15〜
37°Cであるが、多くの場合、26〜30°C付近で
培養する。生理活性物質NK12838の生産は、培地
や培養条件により異なるが、振盪培養、タンク培養とも
通常1〜10日の間でその蓄積が最高に達する。培養物
中の生理活性物質NK12838の蓄積量が最高になっ
た時に、培養を停止し、培養液から目的物質を単離す
る。
【0019】生理活性物質NK12838の培養液から
の採取にあたっては、その性状を利用した通常の分離手
段を適宜組み合わせて精製することができる。すなわ
ち、培養液を遠心分離あるいはろ過によりろ液と菌体部
に分離し、ろ液からはそれをダイアイオンHP−20
(商品名:三菱化成製)などに吸着させ、メタノ−ル等
の低級アルコールやアセトン等により溶出するか、ある
いは酢酸エチルまたは1−ブタノ−ル等の有機溶媒で抽
出することにより、一方の菌体部からはそれをメタノ−
ル等の低級アルコールやアセトン等で抽出することによ
りNK12838の画分を得ることができる。
【0020】上述の方法に加え、物質の採取に用いられ
る公知の方法、たとえば吸着クロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーより
のかき取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み
合わせ、あるいは繰り返すことによってNK12838
を純粋に単離することができる。
【0021】上記のようにして得られたNK12838
の理化学的性質を下記に示す。 1)外観: 白色粉末 2)融点:179−180°C 3)分子式:C37H51NO9(高分解能マススペク
トル法により測定) 4)分子量:653(FAB−MS法により測定した
(M+Na)=676) 5)紫外線吸収スペクトル :メタノール中で測定した
結果は、第1図に示す通りで、212nm(ε3480
0)、253nm(ε12050)、304nm(ε3
250)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
たスペクトルを第2図に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、4
00MHzで測定したスペクトルを第3図に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、1
00MHzで測定したスペクトルを第4図に示す。 9)溶解性:メタノール、アセトン、酢酸エチル、クロ
ロホルム、ジメチルスルホキシドに易溶。水に難溶。 10)呈色反応:りん酸モリブデン酸硫酸、硫酸、過マ
ンガン酸カリウムに陽性 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.41シリ
カゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄層を
用い、展開溶媒として、ヘキサン−アセトン(3:2)
を用いた。
【0022】本発明において薬理学上許容される塩と
は、通常とり得る塩であれば何でも良いが、アルカリと
の塩すなわち、ナトリウム塩、カリウム塩等、または酸
との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩等が好ましい。
【0023】医薬品として使用する場合の製剤化および
投与方法は従来公知の種々の方法が適用できる。すなわ
ち、投与方法としては例えば注射、経口または直腸投与
などが可能である。製剤形態としては、例えば注射剤、
粉末剤、顆粒剤、錠剤、座剤またはカプセル剤などの形
態がとり得る。
【0024】製剤化の際にNK12838またはそれら
の薬理学上許容される塩に悪影響を与えない限り、医薬
用に用いられる種々の医薬用添加剤、すなわち、担体や
その他の助剤、例えば安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化
剤等が必要に応じて使用され得る。製剤において、NK
12838またはその薬理学上許容される塩の含量は製
剤形態等により広範囲に変えることが可能であり、一般
には0.01〜100%(重量)、好ましくは0.1〜
70%(重量)含有し、残りは通常医薬用に使用される
添加剤からなる。
【0025】NK12838またはその薬理学上許容さ
れる塩の投与量は症状、投与方法等により異なるが、成
人1人1日あたり0.01〜800mg程度である。
【0026】以下に試験例を挙げて、NK12838
の、哺乳動物の癌細胞に対する細胞増殖抑制作用につい
て述べる。
【0027】試験例 細胞増殖抑制作用 10%牛胎児血清を添加したRPMI1640培地を用
いて、ヒト乳癌細胞MDA−MB−453およびT−4
7D,ヒト大腸癌細胞HCT116及びヒト前立腺癌細
胞LNCaPを、37°C、5%CO 下で培養し
た。この細胞を、96穴プレートへ播種し、1日間培養
した後、NK12838を添加した。薬剤処理は、6日
間行い、増殖度は、メチレンブルー法により評価した。
結果は、用量−反応曲線からIC50値を求め、その値
を表2に示した。
【0028】
【表2】
【0029】試験例から明らかな様に、本発明のNK1
2838は、哺乳動物の癌細胞に対する細胞増殖抑制作
用を示す。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、これは単な
る一例示であって何等、本発明を限定するものではな
く、種々の変法が可能である。
【0031】実施例1 NK12838の醗酵法による生産 (1)発酵 種母作成用の培地として、スターチ3.0%、グルコー
ス2.0%、アジプロン(味の素社製)1.0%、グル
テンミール1.0%、酵母エキス(日本製薬社製)0.
2%、燐酸水素二カリウム0.05%、硫酸マグネシウ
ム0.05%、塩化カリウム0.1%、硫酸銅0.00
064%、硫酸亜鉛0.00015%、硫酸鉄0.00
011%、塩化コバルト0.0001%、塩化マンガン
0.00079%から成る培地を用いた。なお、滅菌前
の培地はpH6.7に調整して使用した。
【0032】500ml容三角フラスコに上記培地を1
00ml分注し、120℃で20分間滅菌し、これにス
ティルベラ エスピー エヌエフ12838(Stilbell
a sp.NF 12838)の斜面培養の1〜2白金耳を接種し、
25℃、200回転/分の回転式振盪機にて2日間培養
し、これを種母とした。
【0033】さらにこの種母を、同様の培地100ml
を含む40本の500ml容三角フラスコに、接種量が
1%となるように接種し、同一条件下で4日間培養を行
った。培養終了後、培養液4リットルをろ過し、培養ろ
液3リットルを得た。
【0034】(2)精製 このろ液を0.3リットル(φ6×11cm)のダイア
イオンHP−20(三菱化成製)のカラムに吸着させ、
1リットルの水と1リットルの40%メタノール水溶
液、1リットルの80%メタノール水溶液にて順次洗浄
した後、1リットルのメタノールにて溶出し、さらに溶
出液を100mlに濃縮した。この濃縮液を150ml
の酢酸エチルで2回抽出した。得られた酢酸エチル層を
濃縮乾固しNK12838を含む粗画分177.5mg
を得た。
【0035】このNK12838を含む濃縮乾固物17
7.5mgをヘキサン−アセトン(10:1)混合液に
溶解後、あらかじめ同混合溶媒で充填したシリカゲルカ
ラム(BW−700、富士シリシア化学社製)47ml
(φ2×15cm)のカラムにかけ、同混合溶媒を20
0ml、5:1の混合溶媒を200ml流した後、5:
2の混合溶媒で溶出、分画した。溶出した分画のうち、
NK12838を多く含む画分を確認してから濃縮乾固
しNK12838を含む粗画分63.6mgを得た。
【0036】次いでこの混合物(63.6mg)を逆相
高速液体クロマトグラフィーにて精製した。即ち、逆相
カラムのペガシルODS(30φ×250mm、センシ
ュー科学社製)を用い、流速20ml/分、55%アセ
トニトリル水溶液を用いて溶出した。NK12838
は、保持時間50分に溶出された。この溶出画分(60
ml)を集めアセトニトリルを留去し、30mlの酢酸
エチルで2回抽出した。得られた酢酸エチル層を濃縮乾
固し、純粋なNK12838(45.9mg、白色粉
末)を得た。
【0037】
【発明の効果】本発明では細胞増殖抑制作用を示す生理
活性物質NK12838またはその薬理上許容される塩
が提供された。これらは、悪性腫瘍に対する化学療法剤
などとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NK12838のメタノール溶液の紫外線吸収
スペクトルを図1に示す。
【図2】NK12838の臭化カリウム錠内での赤外線
吸収スペクトルを図2に示す。
【図3】NK12838の重クロロホルム中で測定した
400MHz水素核磁気共鳴スペクトルを図3に示す。
【図4】NK12838の重クロロホルム中で測定した
100MHz炭素核磁気共鳴スペクトルを図4に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/14 C12R 1:645 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645) (72)発明者 黒岩 俊介 埼玉県熊谷市石原2138−9 Fターム(参考) 4B064 AE59 CA05 CC06 CE10 DA01 4B065 AA57X BA22 BB02 BB12 BB14 BB19 BB26 BB29 BC03 BC08 BC26 CA18 CA44 4C050 AA01 BB04 CC14 DD08 EE01 FF02 GG03 HH02 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 CB22 MA01 MA04 NA14 ZB26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1) 【化1】 で表される新規生理活性物質NK12838、またはそ
    の薬理学上許容される塩。
  2. 【請求項2】下記の理化学的性質をもつ生理活性物質N
    K12838、またはその薬理学上許容される塩。 1)外観: 白色粉末 2)融点:179−180°C 3)分子式:C37H51NO9(高分解能マススペク
    トル法により測定) 4)分子量:653(FAB−MS法により測定した
    (M+Na)=676) 5)紫外線吸収スペクトル :メタノール中で測定した
    結果は、第1図に示す通りで、212nm(ε3480
    0)、253nm(ε12050)、304nm(ε3
    250)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
    たスペクトルを第2図に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、4
    00MHzで測定したスペクトルを第3図に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重クロロホルム中、1
    00MHzで測定したスペクトルを第4図に示す。 9)溶解性:メタノール、アセトン、酢酸エチル、クロ
    ロホルム、ジメチルスルホキシドに易溶。水に難溶。 10)呈色反応:りん酸モリブデン酸硫酸、硫酸、過マ
    ンガン酸カリウムに陽性 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.41 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
    層を用い、展開溶媒として、ヘキサン−アセトン(3:
    2)を用いた。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の生理活性物質N
    K12838あるいは、その薬理学上許容される塩およ
    び医薬用添加剤とからなる医薬。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の生理活性物質N
    K12838あるいは、その薬理学上許容される塩およ
    び医薬用添加剤とからなる抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】Stilbella属に属し、請求項1ま
    たは2に記載された生理活性物質NK12838を生産
    する能力を有する微生物を、栄養培地にて培養し、培養
    物中に生理活性物質NK12838を生成蓄積せしめ、
    これを採取することを特徴とする生理活性物質NK12
    838の製造法。
  6. 【請求項6】スティルベラ エスピー エヌエフ128
    38(Stilbella sp. NF12838)
    株(独立行政法人産業技術総合研究所 寄託番号FER
    M P−18293)またはその変異株。
JP2001163377A 2001-05-30 2001-05-30 生理活性物質nk12838、その製造法及び用途 Pending JP2002363184A (ja)

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