JP2002284799A - 新規生理活性物質mk600−a、b、cおよびdとその製造方法 - Google Patents

新規生理活性物質mk600−a、b、cおよびdとその製造方法

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JP2002284799A
JP2002284799A JP2001095511A JP2001095511A JP2002284799A JP 2002284799 A JP2002284799 A JP 2002284799A JP 2001095511 A JP2001095511 A JP 2001095511A JP 2001095511 A JP2001095511 A JP 2001095511A JP 2002284799 A JP2002284799 A JP 2002284799A
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Masa Hamada
雅 濱田
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Ryuichi Sekizawa
隆一 関澤
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロテアソーム阻害活性を示す新しい分子骨
格を有する生理活性物質を提供する。 【解決手段】 一般式(I) (式中、MK600-A物質ではR1はイソプロピル基で且つR
2はメチル基であり、MK600-B物質ではR1はフェニル基
で且つR2はメチル基であり、MK600-C物質ではR1はイ
ソプロピル基で且つR2はエチル基であり、またMK600-D
物質ではR1はフェニル基で且つR2はエチル基であり、
Meはメチル基を示す)で表わされる生理活性物質MK600-
A、B、CおよびDが新規生理活性物質としてストレプトミ
セスsp.MK600-CF7株の培養により得られた。MK600-A、
B、CおよびDの各物質はプロテアソーム阻害活性を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテアソーム阻
害活性を示す新規生理活性物質MK600-A、MK600-B、MK60
0-CおよびMK600-Dに関する。また本発明はそれら生理活
性物質MK600-A、B、CおよびDの製造法に関する。さらに
本発明は、生理活性物質MK600-A、B、CまたはDを有効成
分とする医薬組成物に関する。また、本発明は新規生理
活性物質MK600-A、B、CおよびDを生産する特性を持つ菌
株として、放線菌に属するストレプトミセスsp. MK600-
CF7(Streptomyces sp. MK600-CF7)株を包含する。
【0002】
【従来の技術】種々な多数の酵素阻害物質が知られてお
り、また種々な多数の生理活性物質が知られている。酵
素に阻害活性を有する物質、すなわち酵素阻害剤を、抗
炎症剤あるいは抗腫瘍剤を含む幅広い疾病に有効である
薬剤として、応用するための多くの研究がなされてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】癌細胞の増殖や炎症が
起きる際に、極めて重要な役割を果たす酵素の一つにプ
ロテアソームが挙げられる。この酵素プロテアソームに
対する阻害物質を提供することによって、従来知られて
いるまたは使用されている既知の抗炎症性化合物とは異
なる作用点を有し且つ新規な化学構造を有した抗炎症性
を示す新しい化合物を提供できることが期待され、その
ための研究が行われている。また抗腫瘍性物質は、一般
に強い毒性を有するものが多く、その抗腫瘍剤としての
使用に当たって大きな制約となっている。そこで、毒性
が低く且つ新規な化学構造を有する抗腫瘍性物質を発見
または創製することが常に望まれており、そのための研
究が行われている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の要
望に応えることができる新しいプロテアソーム阻害物質
を提供することを目的に、従来より有用な生理活性物質
の開発と実用化の研究を促進してきた。その結果、本発
明者らにより土壌試料から新らたに単離された放線菌の
一種であるストレプトミセス属に属する菌株であって、
ストレプトミセスsp. MK600-CF7株と命名された新しい
菌株が新しい構造骨格を有する4種の生理活性物質を生
産していることを本発明者らは見い出した。これらの新
規生理活性物質を単離することに成功し、後記の一般式
(I)で総括的に表される18員環の環状ペプチド構造を有
することを確認した。そして、これら4種の物質をそれ
ぞれを生理活性物質MK600-A、B、CおよびDと命名した。
更に、これらの新規生理活性物質がプロテアソーム阻害
活性を有することを見い出した。
【0005】従って、第1の本発明においては、次の一
般式(I) (式中、MK600-A物質ではR1はイソプロピル基で且つR
2はメチル基であり、MK600-B物質ではR1はフェニル基
で且つR2はメチル基であり、MK600-C物質ではR1はイ
ソプロピル基で且つR2はエチル基であり、またMK600-D
物質ではR1はフェニル基で且つR2はエチル基であり、
Meはメチル基を示す)で表わされる生理活性物質MK600-
A、MK600-B、MK600-CまたはMK600-Dが提供される。
【0006】第1の本発明による一般式(I)の生理活性
物質MK600-A〜MK600-Dは、具体的には、下記の4種の物
質であることができる。
【0007】(1) 次式(Ia) (式中、Meはメチル基を示す)で表わされるMK600-A物
質。 (2) 次式(Ib) (式中、Meはメチル基を示す)で表わされるMK600-B物
質。
【0008】(3) 次式(Ic) (式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す)で
表わされるMK600-C物質。 (4) 次式(Id) (式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す)で
表わされるMK600-D物質。
【0009】次に、第1の本発明による生理活性物質MK
600-A、B、CおよびDの理化学的性状を記載する。 (1) MK600-A物質の理化学的性状 A) 外観及び性質:白色粉末状の中性物質 B) 融点:115〜117℃ C) 比旋光度[α]D 26 −85.9°(c 1.0、メタノー
ル) D) HPLCの溶出時間:7.8分 逆相高速液体クロマトグラフィー(固定相はCapcell Pa
k C18 UG120A、資生堂社製)で溶出溶媒として60%アセ
トニトリル含有水を用い、流速を毎分1mLとして溶出し
て測定した場合。
【0010】E) FABマススペクトル(m/z):683(M+H)+ F) 高分解能FABマススペクトル:実験値683.4489(M+H)+
計算値683.4496(M+H)+ G) 分子式:C37H58O6N6 H) 紫外線吸収スペクトル (i) メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトルは添
付図面の図1に示す。主なピークはエンド吸収である
が、258nm近傍に若干の吸収が見られる。 (ii) メタノール−NaOH溶液中で測定したUV吸収スペク
トルおよびメタノール−HCl溶液中で測定したUV吸収ス
ペクトルはメタノール溶液中で測定したUV吸収スペクト
ルと同一であった。 I) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面の図
2に示す。主な吸収帯は次のとおりである。 νmax(cm-1) 2958、2871、1641、1516、1448、702 J) 1H-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図3
に示す。 K) 13C-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図4
に示す。
【0011】(2) MK600-B物質の理化学的性状 A) 外観及び性質:白色粉末状の中性物質 B) 融点:127〜130℃ C) 比旋光度[α]D 26 −103.8°(c 1.0、メタノー
ル) D) HPLCの溶出時間:8.1分 逆相高速液体クロマトグラフィー(固定相はCapcell Pa
k C18 UG120A、資生堂社製)で溶出溶媒として60%アセ
トニトリル含有水を用い、流速を毎分1mLとして溶出し
て測定した場合。
【0012】E) FABマススペクトル(m/z):717(M+H)+ F) 高分解能FABマススペクトル:実験値717.4350(M+H)+ 計算値717.4340(M+H)+ G) 分子式:C40H56O6N6 H) 紫外線吸収スペクトル (i) メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトルは添
付図面の図5に示す。主なピークはエンド吸収である
が、258nm近傍に若干の吸収が見られる。 (ii) メタノール−NaOH溶液中で測定したUV吸収スペク
トルおよびメタノール−HCl溶液中で測定したUV吸収ス
ペクトルはメタノール溶液中で測定したUV吸収スペクト
ルと同一であった。 I) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面の図
6に示す。主な吸収帯は次のとおりである。 νmax(cm-1) 2958、2871、1641、1516、1448、702 J) 1H-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図7
に示す。 K) 13C-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図8
に示す。
【0013】(3) MK600-C物質の理化学的性状 A) 外観及び性質:白色粉末状の中性物質 B) 融点:118〜121℃ C) 比旋光度[α]D 26 −81.6°(c 1.0、メタノー
ル) D) HPLCの溶出時間:9.8分 逆相高速液体クロマトグラフィー(固定相はCapcell Pa
k C18 UG120A、資生堂社製)で溶出溶媒として60%アセ
トニトリル含有水を用い、流速を毎分1mLとして溶出し
て測定した場合。
【0014】E) FABマススペクトル(m/z):697(M+H)+ F) 高分解能FABマススペクトル:実験値697.4633(M+H)+ 計算値697.4653(M+H)+ G) 分子式:C38H60O6N6 H) 紫外線吸収スペクトル (i) メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトルは添
付図面の図9に示す。主なピークはエンド吸収である
が、258nm近傍に若干の吸収が見られる。 (ii) メタノール−NaOH溶液中で測定したUV吸収スペク
トルおよびメタノール−HCl溶液中で測定したUV吸収ス
ペクトルはメタノール溶液中で測定したUV吸収スペクト
ルと同一であった。 I) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面の図
10に示す。主な吸収帯は次のとおりである。 νmax(cm-1) 2958、2873、1641、1514、1450、702 J) 1H-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図11
に示す。 K) 13C-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図12
に示す。
【0015】(4) MK600-D物質の理化学的性状 A) 外観及び性質:白色粉末状の中性物質 B) 融点:125〜127℃ C) 比旋光度[α]D 25 −94.4°(c 1.0、メタノー
ル) D) HPLCの溶出時間:10.3分 逆相高速液体クロマトグラフィー(固定相はCapcell Pa
k C18 UG120A、資生堂社製)で溶出溶媒として60%アセ
トニトリル含有水を用い、流速を毎分1mLとして溶出し
て測定した場合。
【0016】E) FABマススペクトル(m/z):731(M+H)+ F) 高分解能FABマススペクトル:実験値731.4485(M+H)+ 計算値731.4496(M+H)+ G) 分子式:C41H58O6N6 H) 紫外線吸収スペクトル (i) メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトルは添
付図面の図13に示す。主なピークはエンド吸収である
が、258nm近傍に若干の吸収が見られる。 (ii) メタノール−NaOH溶液中で測定したUV吸収スペク
トルおよびメタノール−HCl溶液中で測定したUV吸収ス
ペクトルはメタノール溶液中で測定したUV吸収スペクト
ルと同一であった。 I) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面の図
14に示す。主な吸収帯は次のとおりである。 νmax(cm-1) 2958、2873、1641、1514、1448、702 J) 1H-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図15
に示す。 K) 13C-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図16
に示す。
【0017】さらに、第1の本発明による生理活性物質
MK600-A、B、CおよびDの生物学的性質のうちプロテアソ
ーム阻害活性を次に記載する。 (1) プロテアソーム阻害活性 本発明による生理活性物質MK600-A、B、CおよびDのプロ
テアソーム阻害活性は、以下のようにして測定した。即
ち、マウス肝臓から調製したプロテアソームを含む画分
を酵素として用いた。また、キモトリプシン様ペプチダ
ーゼの蛍光基質(Suc-LLVY-MCA、ペプチド研究所製)
を、基質として用いた。これらの酵素と基質とを、ATP
(アデノシン-5'-3リン酸)とともにMK600-A、B、Cまた
はD物質の存在下または非存在下で37℃にて30分間反応
させた。反応終了後、プロテアソームにより分解され遊
離した物質の蛍光強度を測定して、MK600-A、B、Cまた
はD物質の存在下の反応の場合と非存在下の反応の場合
との比較によって、蛍光強度をMK600-A、B、CまたはDが
50%抑制させるMK600-A、B、CまたはDの濃度(IC50値、
μg/ml)を測定した。得られた試験結果を次の表1に示
す。
【0018】
【表1】
【0019】さらに第2の本発明によれば、ストレプト
ミセス属に属する、上記の一般式(I)で表わされる生理
活性物質MK600-A、B、CおよびDを生産する菌株を、栄養
培地に培養し、さらにその培養物から生理活性物質MK60
0-A、B、CおよびDの少なくとも一つを採取することを特
徴とする、生理活性物質MK600-A、B、Cまたは(およ
び)Dの製造法が提供される。
【0020】第2の本発明の方法で使用できる生理活性
物質MK600-A、B、CおよびDの生産菌の一例として、スト
レプトミセスsp.MK600-CF7株がある。この菌株は、平成
8年5月に微生物化学研究所において、バハマ諸島ナッ
ソーの土壌より分離された放線菌の菌株で、MK600-CF7
の菌株番号が付された菌株である。MK600-CF7株の菌学
的性状を次に記載する。 1.形態 MK600-CF7株は、分枝した基生菌糸より貧弱な気菌糸を
伸長し、顕著な胞子の連鎖を観察できない。らせん形
成、輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は、認め
られない。 2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual)を用いた。 (1) シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 発育は無色〜うす黄色 [1 ca, Pale Yellow]、気菌糸は
着生せず、溶解性色素は認められない。 (2) グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地5、
27℃培養) うす黄色 [1 1/2 gc, Dusty Yellow] の発育上に、白の
気菌糸をわずかに着生する。溶解性色素は認められな
い。 (3) スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄 [1 1/2 ic, Lt Antique Gold] 〜黄茶 [3 lg, A
dobe Brown] の発育上に、白の気菌糸をわずかに着生す
る。溶解性色素は認められない。 (4) チロシン寒天培地(ISP-培地7、27℃培養) 発育は黄茶 [3 lg, Adobe Brown] 〜灰味黄茶 [3 ni, C
love Brown] を呈し、気菌糸は着生しない。褐色〜黒色
の溶解性色素を産生する。 (5) イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地2、27℃培養) うす黄 [1 1/2 ea, Lt Yellow] 〜うす黄茶 [2 le, Mus
tard] の発育上に、黄味灰 [2 ba, Pearl] の気菌糸を
わずかに着生する。また溶解性色素は、かすかに褐色を
帯びる。 (6) オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) 発育は、うす黄 [1 1/2 gc, Dusty Yellow 〜 1 ga, Lt
Lemon Yellow]、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認め
られない。
【0021】3.生理学的性質 (1) 生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0
%、アスパラギン 0.05%、リン酸二カリウム 0.05
%、ひも寒天 2.5%、pH 7.0)を用い、10℃、20℃、
24℃、27℃、30℃、37℃及び50℃の各温度で試験した結
果、10℃、50℃を除き、そのいずれの温度でも生育し
た。生育至適温度は、30℃付近である。 (2) スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、
ISP-培地4、27℃培養)培養後3日目頃よりスターチの
加水分解を認め、その加水分解作用は、中程度である。 (3) メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブ
ロス、ISP-培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培地、
ISP-培地6、チロシン寒天培地、ISP-培地7;いずれも
27℃培養) いずれの培地でも陽性である。
【0022】(4) 炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリ
ーブ寒天培地、ISP-培地9、27℃培養) D-グルコースを利用して発育し、L-アラビノース、D-キ
シロース、D-フルクトース、シュクロース、ラムノー
ス、ラフィノース及びD-マンニトールは、利用しない。
イノシトールはおそらく利用しない。 (5) 硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプト
ン水、ISP-培地8、27℃培養) 陰性である。
【0023】以上の性状を要約すると、MK600-CF7株
は、分枝した基生菌糸より貧弱な気菌糸を伸長するが、
胞子の連鎖は観察できない。種々の培地で、発育は、う
す黄〜黄茶を呈する。気菌糸の着生は貧弱で、着生する
場合は、白〜黄味灰である。溶解性色素は、メラニン様
色素以外は認められない。生育至適温度は、30℃付近で
ある。メラニン様色素の生成は陽性、スターチの水解性
は中等度である。なお、細胞壁に含まれる2,6-ジアミノ
ピメリン酸は、LL-型であり、菌体中の主要なメナキノ
ンは、MK-9(H8)及びMK-9(H6)であった。
【0024】これらの性状よりMK600-CF7株は、ストレ
プトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられる。
そこで、MK600-CF7株をストレプトミセス・エスピー(S
treptomyces sp.)MK600-CF7と命名した。なお、MK600-
CF7株を経済産業省産業総合研究所生命工学工業技術研
究所に寄託申請し、平成10年1月28日、受託番号FERM P
-16609として受託された。
【0025】第2の本発明の方法を実施するに当たって
は、ストレプトミセス属に属する生理活性物質MK600-
A、B、CおよびDの生産菌を栄養培地に接種し、この培地
中で培養する。ここで用いる栄養培地は、前記の生産菌
が資化できる炭素源と窒素源を栄養成分として含有する
ものである。
【0026】その栄養源としては、通常微生物の栄養源
として通常使用されるもの、例えば炭素源、窒素源、無
機塩などの同化できる栄養源を使用できる。例えば、ぶ
どう糖、麦芽糖、糖蜜、デキストリン、グリセリン、澱
粉などの炭水化物や、大豆油、落花生油などの油脂のご
とき炭素源、ならびにペプトン、肉エキス、綿実粉、大
豆粉、酵母エキス、カゼイン、コーン・スチープ・リカ
ー、NZ-アミン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウムなどの窒素源を使用でき、さらに
燐酸二カリウム、燐酸ナトリウム、食塩、炭酸カルシウ
ム、硫酸マグネシウム、塩化マンガンなどの無機塩が添
加でき、必要により微量金属例えばコバルト、鉄などを
添加することができる。栄養源としは、その他、生理活
性物質MK600-A、B、CまたはDを生産するのに使用生産菌
が利用しうるものであればいずれの公知の栄養源でも使
用できる。
【0027】培地における上記のごとき栄養源の配合割
合は特に制約されるものでなく、広範囲に亘って変える
ことができる。使用するMK600-A、B、CおよびD生産菌に
よって最適とされる栄養源の組成及び配合割合は、当事
者であれば簡単な小規模実験により容易に決定すること
ができる。また、上記の栄養源からなる栄養培地は、培
養に先立ち殺菌することができ、この殺菌の前又は後
で、培地のpHを5〜7の範囲、特にpH5.5〜6.5の範囲に調
節するのが有利である。
【0028】かかる栄養培地でのMK600-A、B、CおよびD
生産菌の培養は、一般の放線菌による生理活性物質の製
造において通常使用されている方法に準じて行うことが
できる。通常は好気条件下に培養するのが好適であり、
通常撹拌しながら及び/又は通気しながら行なうことが
できる。また、培養方法としては静置培養、振とう培
養、通気撹拌をともなう液体培養のいずれも使用可能で
あるが、液体培養がMK600-A、B、CおよびDの大量生産に
適している。
【0029】使用しうる培養温度はMK600-A、B、Cおよ
びD生産菌の発育が実質的に阻害されず、該生理活性物
質を生産しうる範囲であれば、特に制限されるものでは
なく、使用する生産菌に応じて適宜選択できるが、特に
好ましいのは25〜30℃の範囲内の温度を挙げることがで
きる。培養は通常はMK600-A、B、CおよびDが十分に蓄積
するまで継続することができる。その培養時間は培地の
組成や培養温度、使用温度、使用生産菌株などにより異
なるが、通常3〜6日間の培養で目的の生理活性物質を得
ることができる。なお培養中の新規生理活性物質MK600-
A、B、CおよびDの蓄積量は上記プロテアソーム阻害活性
測定方法によって定量することができる。
【0030】かくして、培養物中に蓄積されたMK600-
A、B、CおよびD物質は、次に培養物から採取される。培
養後、培養物から必要により、濾過、遠心分離などのそ
れ自体公知の分離方法によって菌体を除去した後、得ら
れた培養濾液を、有機溶媒、特に酢酸ブチルなどを用い
た溶媒抽出や、吸着やイオン交換能を利用したクロマト
グラフィー、ゲルろ過、向流分配を利用したクロマトグ
ラフィーで単独でまたは、組み合わせて処理することに
より目的の物質の一つまたはそれ以上を単離精製して採
取することができる。吸着やイオン交換能を有するクロ
マトグラフィー用担体としては、活性炭、シリカゲル、
多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂もしくは各
種のイオン交換樹脂を用いることができる。また、培養
物から分離した菌体からは、適当な有機溶媒を用いた溶
媒抽出法や菌体破砕による溶出法により菌体から目的の
生理活性物質を抽出し、そして得られた抽出物から上記
と同様にして目的物を単離精製することができる。かく
して、前記した特性を有する新規生理活性物質MK600-
A、B、CおよびDがそれぞれ単独に、あるいは二つまたは
それ以上の混合物として得られる。
【0031】さらに、第3の本発明では、前記の一般式
(I)で表わされる生理活性物質MK600-A、B、CまたはDか
ら成るプロテアソーム阻害剤が提供される。第3の本発
明によるプロテアソーム阻害剤は、プロテアソームの生
物学的性質および酵素学的研究に利用できる。
【0032】本発明の生理活性物質MK600-A、B、Cまた
はDは、そのプロテアソーム阻害活性を利用して各種の
疾病を治療または予防できる医療用化合物として有用で
ある。
【0033】従って、第4の本発明では、一般式(I)で
表わされる生理活性物質MK600-A、B、C、Dの少なくとも
一つを有効成分として含有し、また製薬学的に許容され
る担体を、有効成分と混和して含有する医薬組成物が提
供される。
【0034】第4の本発明による医薬組成物において
は、有効成分としての一般式(I)の化合物を、製薬学的
に許容できる常用の固体または液状担体、例えばでん
粉、糖、エタノール、水、生理食塩水、等と混和して含
有する組成物であることができる。
【0035】第4の本発明の医薬組成物で用いる有効成
分である一般式(I)の化合物は、経口的に投与でき、あ
るいは静脈内または筋肉内または皮下注射、もしくは腹
腔内投与または直腸内投与などにより非経口的にも投与
することができる。
【0036】また、第5の本発明では、新規な微生物と
して、前記の一般式(I)で表わされる生理活性物質MK600
-A、B、CおよびDを生産する特性をもつストレプトミセ
スspMK600-CF7株 (FERM P-16609)として寄託が提供さ
れる。
【0037】
【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0038】実施例1 生理活性物質MK600-A、B、Cお
よびDの製造 大豆粉2.5%、大豆油2%、マルトース1%、酵母エキス
0.2%、KH2PO4 0.05%、MgSO4 0.025%を含む液体培地
(pH無調整)を振盪フラスコ(500ml容)に110mlずつ分
注し、常法により120℃で20分滅菌したものに、寒天斜
面培地に培養したストレプトミセス属MK600-CF7株(FER
M P-16609)を接種し、27℃で5日間振盪培養し、この
培養液を種母培養液とした。
【0039】同組成の液体培地を振盪フラスコ(500ml
容)に110mlずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌し
たものに、上記種母培養液をそれぞれ2mlずつ接種し、
27℃で5日間振盪培養した。
【0040】このようにして得られた培養液5L(リッ
トル)を遠心分離し、培養ろ液と菌体とに分離した。菌
体を2Lのメタノールで抽出し得られたメタノール抽出
液をろ過した。減圧下で抽出液ろ液中のメタノールを蒸
発させて濃縮液を得た。それを培養液の遠心分離上澄と
しての培養ろ液と合わせた。これを酢酸エチルで抽出し
酢酸エチル層を濃縮乾固した。得られた残渣を、ヘキサ
ン−メタノールの(200:100)の混合液で分配した。メ
タノール層を濃縮乾固して10.9gの粗精製物を得た。こ
れをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(22g)に付
し、クロロホルム−メタノール(200:1〜50:1)によ
り勾配法で溶出した。
【0041】MK600-A、B、CおよびDを含む画分を濃縮乾
固し粗精製物2.78gを得た。これをさらにシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(10g)に付しヘキサン−酢酸
エチル(1:1〜1:3)により勾配法により溶出した。この
ようにして得られるMK600-A、B、CおよびDを主に含む画
分を減圧下で濃縮乾固した。得られた残渣のうち71mg
を、逆相高速液体クロマトグラフィー(Capcell Pak C
18 UG120A、資生堂社製)に供し、溶出溶媒として60%
アセトニトリル含有水で溶出した。MK600-A、MK600-B、
MK600-C、MK600-Dの各物質をそれぞれ単独に含む溶出液
画分を別々に回収し、それぞれを減圧下に濃縮乾固し
た。かくして、5.4mgのMK600-A物質、3.4mgのMK600-B物
質、13.4mgのMK600-C物質、24.7mgのMK600-D物質を得
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】MK600-Aのメタノール溶液中の紫外線吸収スペ
クトルである。
【図2】MK600-AのKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペ
クトルである。
【図3】MK600-Aの重クロロホルム溶液(内部標準:テ
トラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルである。
【図4】MK600-Aの重クロロホルム溶液(内部標準:テ
トラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共鳴スペ
クトルである。
【図5】MK600-Bのメタノール溶液中の紫外線吸収スペ
クトルである。
【図6】MK600-BのKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペ
クトルである。
【図7】MK600-Bの重クロロホルム溶液(内部標準:テ
トラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気共鳴ス
ペクトルである。
【図8】MK600-Bの重クロロホルム溶液(内部標準:テ
トラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共鳴スペ
クトルである。
【図9】MK600-Cのメタノール溶液中の紫外線吸収スペ
クトルである。
【図10】MK600-CのKCr錠剤法で測定した赤外線吸収ス
ペクトルである。
【図11】MK600-Cの重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図12】MK600-Cの重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共鳴ス
ペクトルである。
【図13】MK600-Dのメタノール溶液中の紫外線吸収ス
ペクトルである。
【図14】MK600-DのKDr錠剤法で測定した赤外線吸収ス
ペクトルである。
【図15】MK600-Dの重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図16】MK600-Dの重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共鳴ス
ペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/20 C12P 21/04 C12P 21/04 C12R 1:465 //(C12N 1/20 A61K 37/02 C12R 1:465) (C12P 21/04 C12R 1:465) (72)発明者 関澤 隆一 神奈川県横浜市神奈川区栄町22番地10 キ ャッスル松弥502号 Fターム(参考) 4B064 AG37 CA04 CE08 CE10 DA01 4B065 AA50X AC14 CA24 CA44 4C084 AA02 AA07 BA01 BA08 BA17 DC32 NA14 ZB112 ZB262 ZC202 4H045 AA10 BA35 CA11 DA55 EA20 EA28 FA73 GA01 GA21 GA25

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I) (式中、MK600-A物質ではR1はイソプロピル基で且つR
    2はメチル基であり、MK600-B物質ではR1はフェニル基
    で且つR2はメチル基であり、MK600-C物質ではR1はイ
    ソプロピル基で且つR2はエチル基であり、またMK600-D
    物質ではR1はフェニル基で且つR2はエチル基であり、
    Meはメチル基を示す)で表わされる生理活性物質MK600-
    A、MK600-B、MK600-CまたはMK600-D。
  2. 【請求項2】 次式(Ia) (式中、Meはメチル基を示す)で表わされるMK600-A物
    質である、請求項1に記載の生理活性物質。
  3. 【請求項3】 次式(Ib) (式中、Meはメチル基を示す)で表わされるMK600-B物
    質である、請求項1に記載の生理活性物質。
  4. 【請求項4】 次式(Ic) (式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す)で
    表わされるMK600-C物質である、請求項1に記載の生理
    活性物質。
  5. 【請求項5】 次式(Id) (式中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す)で
    表わされるMK600-D物質である、請求項1に記載の生理
    活性物質。
  6. 【請求項6】 ストレプトミセス属に属する、請求項1
    に記載の一般式(I)で表わされるMK600-A、B、CおよびD
    物質の生産菌を栄養培地に培養し、さらにその培養物か
    らMK600-A、B、CおよびD物質のうち少なくとも一つを採
    取することを特徴とする、生理活性物質MK600-A、B、C
    または(および)D物質の製造法。
  7. 【請求項7】 生理活性物質MK600-A、B、CおよびDを生
    産する生産菌として、経済産業省産業総合研究所生命工
    学工業技術研究所に受託番号FERM P-16609で寄託されて
    あるストレプトミセスsp. MK600-CF7株を用いる、請求
    項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に示される一般式(I)で表わさ
    れる生理活性物質MK600-A、B、CまたはDから成るプロテ
    アソーム阻害剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に示される一般式(I)で表わさ
    れる生理活性物質MK600-A、B、C、Dの少なくとも一つを
    有効成分として含有し、また製薬学的に許容される担体
    を、有効成分と混和して含有する医薬組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の一般式(I)で表わさ
    れる生理活性物質MK600-A、B、CまたはDを生産する特性
    を持つストレプトミセスsp.MK600-CF7(Streptomyces s
    p. MK600-CF7)株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014148489A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 株式会社エム・エム・ティー 環状ペプチド

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