JPH09157266A - 新規抗生物質エポキシキノマイシンaおよびbとその製造法 - Google Patents

新規抗生物質エポキシキノマイシンaおよびbとその製造法

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JPH09157266A
JPH09157266A JP31554295A JP31554295A JPH09157266A JP H09157266 A JPH09157266 A JP H09157266A JP 31554295 A JP31554295 A JP 31554295A JP 31554295 A JP31554295 A JP 31554295A JP H09157266 A JPH09157266 A JP H09157266A
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epoxyquinomycin
epoxynomicin
antibiotics
culture
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JP31554295A
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English (en)
Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Toshio Tsuchida
外志夫 土田
Hikari Nakamura
光 中村
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Tsutomu Sawa
力 澤
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 濱田
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メチシリン耐性菌を含むグラム陽性菌に対す
る抗菌活性および抗腫瘍活性を示す新しい分子骨格を有
する抗生物質を提供する。 【課題】 一般式(I) (式中、RはエポキシキノマイシンAでは塩素を示し、
エポキシキノマイシンBでは水素を示す)で表わされる
エポキシキノマイシンAおよびエポキシキノマイシンB
が新規抗生物質としてアミコラトプシス sp. MK299-95F
4 株の培養により得られた。エポキシキノマイシンAお
よびB、あるいはそれらの塩は各種の細菌に対する抗菌
活性と抗腫瘍活性とを有する抗生物質である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性及び抗腫
瘍活性または抗癌活性を示す新規抗生物質エポキシキノ
マイシン(Epoxyquinomicin) Aおよびエポキシキノマイ
シンB、あるいはこれらの塩に関し、またエポキシキノ
マイシンAおよび(または)エポキシキノマイシンBの
製造法に関する。さらに本発明は、エポキシキノマイシ
ンAおよび(または)エポキシキノマイシンBまたはそ
れらの塩を有効成分とする抗菌剤及び抗腫瘍剤に関す
る。また、本発明は新規抗生物質エポキシキノマイシン
AおよびBを生産する特性を持つ新規な微生物としての
アミコラトプシス sp. MK299-95F4 株を包含する。
【0002】
【従来の技術】種々な多数の抗菌性物質が知られてお
り、また種々な多数の抗腫瘍性物質が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】細菌感染症の化学療法
において、多剤耐性菌の出現は重大な問題である。従来
知られているまたは使用されている既知の抗菌性化合物
とは、異なる化学構造を有し且つ優れた抗菌活性を示す
新しい化合物の発見または創製をすることは常に望まれ
ており、そのための研究が行われている。また抗腫瘍性
物質は、一般に強い毒性を有するものが多く、その抗腫
瘍剤としての使用に当たって大きな制約となっている。
そこで、毒性が低く且つ新規な化学構造を有する抗腫瘍
性物質を発見または創製することが常に望まれており、
そのための研究が行われている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の要
望に応えることができる抗菌活性及び抗腫瘍活性を持つ
新規な抗生物質を提供することを目的に、従来より有用
な抗生物質の開発と実用化の研究を促進してきた。その
結果、土壌試料から新規な微生物としてアミコラトプシ
ス属に属する菌株を分離することに成功し、またこの菌
株が新しい構造骨格を有する複数の抗生物質を生産して
いることを見い出した。これら新規抗生物質2種を単離
することに成功し、それぞれにエポキシキノマイシンA
およびエポキシキノマイシンBと命名した。更に、これ
らの新規抗生物質が薬剤耐性菌(メチシリン耐性菌等)
をふくむグラム陽性の細菌に抗菌活性を示し、また癌細
胞の増殖に対して抑制活性を示すことを見い出した。
【0005】すなわち、第1の本発明においては、次の
一般式(I): (式中、RはエポキシキノマイシンAでは塩素原子を示
し、またエポキシキノマイシンBでは水素原子を示す)
で表わされる化合物であるエポキシキノマイシンAおよ
びエポキシキノマイシンB、あるいはこれらの塩が提供
される。
【0006】エポキシキノマイシンAおよびBは、弱酸
性物質であり、それらの塩としては、第4級アンモニウ
ム塩などの有機塩基との塩、あるいは各種金属との塩、
例えばナトリウムのようなアルカリ金属との塩があり、
これらの塩も上記の抗菌活性と抗腫瘍活性を有する。
【0007】次に、抗生物質エポキシキノマイシンAお
よびBの理化学的性状を記載する。 (1) エポキシキノマイシンAの理化学的性状 A)外観及び性質:淡黄色粉体,弱酸性物質 B)融点: 168− 173℃(分解) C)比旋光度:〔α〕D 25+44.6°(c 0.51,メタノ
ール) D)TLCのRf値:0.28 シリカゲル(Art.105715,メルク社製)の薄層クロマト
グラフィーで展開溶媒としてクロロホルム−メタノール
(10:1)で展開して測定した場合 E)マススペクトル(m/z):324, 326(M+H)+ 322, 324(M−H)- F)高分解能マススペクトル:実験値 322.0136(M−H)- 計算値 322.0118 G)分子式:C1410NO6 ClH)紫外線吸収スペク
トル: (i)メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトル
は添付図面の図1に示す。主なピークは次のとおりであ
る。 λmax nm(ε)236(sh, 8900), 255(sh, 5900), 325(80
00),370(sh, 2700) (ii)0.01N NaOH−メタノール溶液中で測定したUV
吸収スペクトルは添付図面の図2に示す。主なピークは
次のとおりである。 λmax nm(ε)234(sh, 11600), 257(sh, 5100), 327(8
300),371(sh, 4400) (iii) 0.01N HCl−メタノール溶液中で測定したUV吸
収スペクトルは添付図面の図3に示す。主なピークは次
のとおりである。 λmax nm(ε)253(6700), 322(8500) I)赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面
の図4に示す。 νmax(cm-1) 3450, 1710, 1670, 1600, 1520, 1460, 1
340, 1230 J)13C−NMRスペクトル(CD3OD/TMS):添
付図面の図5に示す。 K) 1H−NMRスペクトル(CD3OD/TMS):添
付図面の図6に示す。
【0008】(2) エポキシキノマイシンBの理化学的性
状 A)外観及び性質:淡黄色粉体,弱酸性物質 B)融点: 178− 184℃(分解) C)比旋光度:〔α〕D 25+32.2°(c 0.51,メタノ
ール) D)TLCのRf値:0.52 シリカゲル(Art.105715,メルク社製)の薄層クロマト
グラフィーで展開溶媒としてクロロホルム−メタノール
(10:1)で展開して測定した場合 E)マススペクトル(m/z): 289(M)+ 288(M−H)- F)高分解能マススペクトル:実験値 290.0656(M+H)+ 計算値 290.0664 G)分子式:C1411NO6 H)紫外線吸収スペクトル: (i)メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトル
を添付図面の図7に示す。主なピークは次のとおりであ
る。 λmax nm(ε)237(6100), 253(sh, 5400), 326(6300) (ii)0.01N NaOH−メタノール溶液中で測定した吸収
スペクトルは添付図面の図8に示す。主なピークは次の
とおりである。 λmax nm(ε)235(9100), 259(sh, 4000), 324(5800),
376(sh, 3400) (iii) 0.01N HCl−メタノール溶液中で測定したUVス
ペクトルは添付図面の図9に示す。主なピークは次のと
おりである。 λmax nm(ε)252(5700), 327(6500) I)赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面
の図10に示す。 νmax(cm-1) 3430, 1710, 1660, 1610, 1530, 1340, 1
230 J)13C−NMRスペクトル(CD3OD/TMS):添
付図面の図11に示す。 K) 1H−NMRスペクトル(CD3OD/TMS):添
付図面の図12に示す。
【0009】さらに、抗生物質エポキシキノマイシンA
およびBの生物学的性状を次に記載する。
【0010】A)抗菌活性 本発明による抗生物質エポキシキノマイシンAおよびB
の普通栄養寒天板上での各種細菌に対する最低発育阻止
濃度は、次の表1にしめす通りである。この抗菌スペク
トルは日本化学療法学会標準法に基ずき、ミュラーヒン
トン寒天培地で倍数希釈法により測定した。
【0011】
【0012】B)癌細胞増殖抑制活性 各種の癌細胞を用いて癌細胞の増殖を50%抑制するエポ
キシキノマイシンAおよびエポキシキノマイシンBの濃
度(IC50値)を、MTT法(「Journal of Immunologic
al Methods」65巻,55−60頁(1983)参照)で測定した。
その結果を表2に示す。
【0013】
【0014】表1の結果から明らかなように、本発明に
よる抗生物質エポキシキノマイシンAおよびBは、各種
の細菌に対して抗菌活性を有するから抗菌剤として有用
である。また、表2の結果から明らかなように、エポキ
シキノマイシンAおよびBは各種の癌細胞の増殖を抑制
する抗腫瘍活性または抗癌活性を有するから抗腫瘍剤ま
たは抗癌剤として有用である。
【0015】さらに第2の本発明によれば、アミコラト
プシス属に属する、前記の一般式(I)のエポキシキノ
マイシンAおよびBの生産菌を栄養培地に培養し、培養
物からエポキシキノマイシンAおよび(または)エポキ
シキノマイシンBを採取することを特徴とする、抗生物
質エポキシキノマイシンAおよび(または)エポキシキ
ノマイシンBの製造法が提供される。
【0016】第2の本発明の方法で使用できるエポキシ
キノマイシンAおよびBの生産菌の一例としては、アミ
コラトプシス sp. MK299-95F4 株がある。この菌株は平
成6年10月、微生物化学研究所において、宮城県仙台市
の土壌より分離された放線菌で、MK299-95F4の菌株番号
が付された微生物である。
【0017】このMK299-95F4株の菌学的性状を次に記載
する。 1.形態 基生菌糸はよく分枝し、ジクザグ状を呈する。また分断
が認められる。気菌糸は直状あるいは不規則な曲状で、
円筒形〜長円形の断片または胞子様の構造に分断する。
その表面は平滑であり、大きさは約 0.4〜 0.6× 1.1〜
1.6ミクロンである。輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運
動性胞子は認められない。
【0018】2.各種培地における生育状態 色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual)を用いた。 (1) シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性
色素は認められない。 (2) グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) うす黄〔2ea,Lt Wheat〜2gc,Bamboo〕の発育上に、
白の気菌糸を着生し、溶解性色素は黄を帯びる。 (3) グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地
5、27℃培養) うす黄茶〔3ie,Camel〜3le,Cinnamon〕の発育上に、
白の気菌糸を着生し、溶解性色素は黄茶を帯びる。 (4) スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃
培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性
色素は認められない。
【0019】(5) チロシン寒天培地(ISP−培地7、
27℃培養) うす黄茶〔2lg,Mustard Tan 〕〜灰味黄茶〔3lg,Ad
obe Brown 〕の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性
色素はうす黄茶を呈する。 (6) 栄養寒天培地(27℃培養) うす黄〔2ea,Lt Wheat〕の発育上に、白の気菌糸をう
っすらと着生し、溶解性色素は認められない。 (7) イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃培
養) うす黄茶〔3ic,Lt Amber〕の発育上に、白の気菌糸を
うっすらと着生し、溶解性色素は認められない。 (8) オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培
養) 無色〜うす黄〔1 1/2ca,Cream 〕の発育上に、白の気
菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認められない。 (9) スターチ寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性
色素は認められない。 (10) リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性
色素は認められない。
【0020】3.生理的性質 (1) 生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0
%、L−アスパラギン0.05%、リン酸水素二カリウム
0.05%、ひも寒天 3.0%、 pH7.0)を用い、10℃、20
℃、24℃、27℃、30℃、37℃および50℃の各温度で試験
した結果、10℃、50℃での生育は認められず、20℃〜37
℃の範囲で生育した。生育至適温度は27℃付近と思われ
る。 (2) スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、
ISP−培地4及びスターチ寒天培地、いずれも27℃培
養) 21日間の培養で、いずれの培地においても陰性である。 (3) メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブ
ロス、ISP−培地1:ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP−培地6;チロシン寒天培地、ISP−培地
7;いずれも27℃培養) いずれの培地においても陰性である。
【0021】(4) 炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリ
ーブ寒天培地、ISP−培地9;27℃培養) D−グルコース、D−フルクトース、イノシトール、D
−マンニトールを利用して発育し、L−アラビノース、
シュクロース、ラムノース、ラフィノースは利用しな
い。D−キシロースの利用の存否は判然としない。 (5) リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天培地、27℃
培養) 培養後10日目頃よりリンゴ酸石灰の溶解が認められ、
その作用は中等度である。 (6) 硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプトン
水、ISP−培地8、27℃培養) 陰性である。
【0022】以上の性状を要約すると、MK299-95F4株
は、その形態上、基生菌糸はよく分枝し、ジグザク状を
呈し、分断を認める。気菌糸は直状あるいは不規則な曲
状で、円筒形〜長円形の断片または胞子様の構造に分断
する。輪生枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認め
られない。種々の培地で、無色〜うす黄〜うす黄茶の発
育上に白の気菌糸を着生する。一部の培地で溶解性色素
は黄あるいは黄茶を帯びる。メラニン様色素の生成、ス
ターチの水解性及び硝酸塩の還元反応はいずれも陰性で
ある。
【0023】ところで、MK299-95F4株の菌体成分は、細
胞壁にメソ型の2,6−ジアミノピメリン酸、アラビノ
ース及びガラクトースを含み、細胞壁タイプIV型を示し
た。全菌体中の還元糖はアラビノース、ガラクトースを
含むA型であった。グリコレートテストの結果はアセチ
ル型であった。また、ミコール酸は含有せず、リン脂質
はPII型(ホスファチジルエタノールアミンを含みホス
ファチジルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質
を含まない)、主要なメナキノンはMK−9(H4 )で
あった。脂肪酸は16:0,i−15:0,16:1,i−1
6:0及び17:0を主成分とした。
【0024】以上の結果より、MK299-95F4株はアミコラ
トプシス(Amycolatopsis) 属(文献:「International
Journal of Systematic Bacteriology」36巻,29−37
頁,1986年)に属するものと考えられる。アミコラトプ
シス属の既知菌種を検索すると、アミコラトプシス・ス
ルフレア(Amycolatopsis sulphurea)(文献1:同上;
および文献2:「International Journal of Systematic
Bacteriology」37巻,292− 295頁,1987年)が、近縁の
種としてあげられた。そこで、MK299-95F4株とアミコラ
トプシス・スルフレアの当研究所保存菌株とを実地に比
較検討中である。現時点ではMK299-95F4株をアミコラト
プシス・エスピー(Amycolatopsis sp.) MK299-95F4とす
る。なお、MK299-95F4株を工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託申請し、平成7年10月17日、寄託番号がFE
RM P-15243として受託された。
【0025】第2の本発明の方法を実施するに当って
は、アミコラトプシス属に属するエポキシキノマイシン
AおよびBの生産菌を栄養培地に接種し、この培地中で
培養する。ここで用いる栄養培地は、前記の生産菌が資
化できる炭素源と窒素源を栄養成分として含有するもの
である。
【0026】その栄養源としては、通常微生物の栄養源
として通常使用されるもの、例えば炭素源、窒素源、無
機塩などの同化できる栄養源を使用できる。例えば、ぶ
どう糖、麦芽糖、糖蜜、デキストリン、グリセリン、澱
粉などの炭化水素や、大豆油、落花生油などの油脂のご
とき炭素源、ならびにペプトン、肉エキス、綿実粉、大
豆粉、酵母エキス、カゼイン、コーン・スチープリカ
ー、NZ−アミン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウムなどの窒素源、さらに燐酸二カリ
ウム、燐酸ナトリウム、食塩、炭酸カルシウム、硫酸マ
グネシウム、塩化マンガンなどの無機塩が使用でき、必
要により微量金属例えばコバルト、鉄などを添加するこ
とができる。栄養源としては、その他、抗生物質エポキ
シキノマイシンAおよびBを生産するのに使用菌が利用
しうるものであればいずれの公知の栄養源でも使用でき
る。
【0027】培地における上記のごとき栄養源の配合割
合は特に制約されるものでなく、広範囲に亘って変える
ことができ、使用するエポキシキノマイシンAおよびB
生産菌によって、最適の栄養源の組成及び配合割合は、
当事者であれば簡単な小規模実験により容易に決定する
ことができる。また、上記の栄養源からなる栄養培地
は、培養に先立ち殺菌することができ、この殺菌の前又
は後で、培地のpHを6−8の範囲、特にpH 6.5− 7.5
の範囲に調節するのが有利である。
【0028】かかる栄養培地でのエポキシキノマイシン
AおよびB生産菌の培養は、一般の放線菌による抗生物
質の製造において通常使用されている方法に準じて行な
うことができる。通常は好気条件下に培養するのが好適
であり、攪拌しながら及び/又は通気しながら行なうこ
とができる。また、培養方法としては静置培養、振とう
培養、通気攪拌をともなう液内培養のいずれも使用可能
であるが、液体培養がエポキシキノマイシンAおよびB
の大量生産に適している。
【0029】使用しうる培養温度はエポキシキノマイシ
ンAおよびB生産菌の発育が実質的に阻害されず、該抗
生物質を生産しうる範囲であれば、特に制限されるもの
ではなく、使用する生産菌に応じて適宜選択できるが、
特に好ましいのは25−30℃の範囲内の温度を挙げること
ができる。培養は通常はエポキシキノマイシンAおよび
Bが十分に蓄積するまで継続することができる。その培
養時間は培地の組成や培養温度、使用温度、使用生産菌
株などにより異なるが、通常72− 120時間の培養で目的
の抗生物質を得ることができる。
【0030】培養中の培地内のエポキシキノマイシンA
およびBの蓄積量はスタヒロコッカス・アウレウス・ス
ミスを使用して、通常の抗生物質の定量に用いられる円
筒平板法により定量することができる。
【0031】かくして培養物中に蓄積されたエポキシキ
ノマイシンAおよびBは、これを培養物から採取する。
培養後、必要により、濾過、遠心分離などのそれ自体公
知の分離方法によって培養物から菌体を除去した後、そ
の培養濾液を酸性(pH2-4)に調整し有機溶媒、特に酢
酸エチルなどを用いた溶媒抽出や、吸着やイオン交換能
を利用したクロマトグラフィー、ゲルろ過、向流分配を
利用したクロマトグラフィーを単独でまたは、組み合わ
せて使用することにより単離精製して目的の抗生物質を
採取することができる。吸着やイオン交換能を有するク
ロマトグラフィー用担体としては、活性炭、シリカゲ
ル、多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂もしく
は各種のイオン交換樹脂を用いることができる。また、
分離した菌体からは、適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出
法や菌体破砕による溶出法により菌体から目的の抗生物
質を抽出し、上記と同様に単離精製することができる。
かくして、前記した特性を有する新規抗生物質エポキシ
キノマイシンAおよびBが得られる。
【0032】さらに、第3の本発明では、一般式(I)
で表されるエポキシキノマイシンAおよび(または)エ
ポキシキノマイシンBまたはそれらの製薬学的に許容で
きる塩を有効成分とする抗菌剤が提供される。
【0033】また、第4の本発明においては、一般式
(I)で表されるエポキシキノマイシンAおよび(また
は)エポキシキノマイシンBまたはそれらの製薬学的に
許容できる塩を有効成分とする抗腫瘍剤が提供される。
【0034】この抗菌剤または抗腫瘍剤においては、有
効成分としてのエポキシキノマイシンAおよび(また
は)Bあるいはその塩は製薬学的に許容できる常用の固
体または液体担体、例えばエタノール、水、でん粉等と
混和されている形の組成物であることができる。
【0035】また、第5の本発明では、新規な微生物と
して、前記の一般式(I)のエポキシキノマイシンAお
よびBを生産する特性を持つアミコラトプシス sp. MK2
99-95F4 株が提供される。
【0036】
【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のでない。
【0037】実施例1 抗生物質エポキシキノマイシン
AおよびBの製造 グリセリン 0.5%、シュークロース 2%、大豆粉 1
%、乾燥酵母 1%、コーン・スチープ・リカー 0.5
%、塩化コバルト 0.001%を含む液体培地(pH7.0に調
整) を三角フラスコ(500ml容) に 110mlずつ分注し、常
法により 120℃で20分滅菌した。これらの培地に、寒天
斜面培地に培養したアミコラトプシス sp.MK299-95F4
株(FERM P-15243)を接種し、その後30℃で5日間回転
振とう培養した。これにより種母培養液を得た。
【0038】グリセリン 2%、デキストリン 2%、
バクト−ソイトン 1%、粉末酵母エキス 0.3%、硫酸
アンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%、シリコー
ンオイル1滴を含む液体培地(pH7.4に調整) を三角フラ
スコ(500ml容) に 110mlずつ分注し、常法により 120℃
で20分滅菌した。その後、これら培地に、上記種母培養
液をそれぞれ2mlずつ接種し、27℃で4日間回転振とう
培養した。
【0039】このようにして得られた培養液を濾過して
菌体を分離した。培養ろ液2.55リットルは、6N−HCl
によりpH2にした後に酢酸ブチル2.55リットルで抽出
し、酢酸ブチル層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し
た。酢酸ブチル層を減圧下で濃縮乾固し、残渣をメタノ
ール50mlに溶かしヘキサン50mlで2回洗浄し、メタノー
ル層を減圧下で濃縮乾固した。
【0040】得られた残渣をクロロホルム−メタノール
−水(50:10:40,100ml)で分配し、下層を減圧下で濃縮
乾固すると、茶色の油状物(0.515g) が得られた。この
油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Kiesel
gel 60,メルク社製,50ml)に付し、トルエン−アセト
ン混合溶媒(10:1,7:1,5:1,3:1,2:
1)で順次溶出した。得られた活性画分を同条件のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付し、トルエン−ア
セトン混合溶媒(50:1,20:1,10:1,7:1)で
順次溶出した。エポキシキノマイシンAおよびBの混合
物が 124mg得られた。この混合物の35mgをシリカゲルT
LC(展開溶媒:クロロホルム−メタノール,20:1)
にかけて分離精製した。
【0041】エポキシキノマイシンAが融点 168〜 173
℃(分解)の淡黄色粉末として20mgの収量で得られ、ま
たエポキシキノマイシンBが融点 178〜 184℃(分解)
の淡黄色粉末として10mgの収量で得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシキノマイシンAのメタノール溶液中の
紫外線吸収スペクトルである。
【図2】エポキシキノマイシンAの0.01N NaOH−メタ
ノール溶液中の紫外線吸収スペクトルである。
【図3】エポキシキノマイシンAの0.01N HCl−メタノ
ール溶液中の紫外線吸収スペクトルである。
【図4】エポキシキノマイシンAのKBr錠剤法で測定
した赤外線吸収スペクトルである。
【図5】エポキシキノマイシンAの重メタノール溶液
(内部標準:トリメチルシラン)にて測定したプロトン
核磁気共鳴スペクトルである。
【図6】エポキシキノマイシンAの重メタノール溶液
(内部標準:トリメチルシラン)にて測定した炭素13核
磁気共鳴スペクトルである。
【図7】エポキシキノマイシンBのメタノール溶液の紫
外線吸収スペクトルである。
【図8】エポキシキノマイシンBの0.01N NaOH−メタ
ノール溶液中の紫外線吸収スペクトルである。
【図9】エポキシキノマイシンBの0.01N HCl−メタノ
ール溶液中の紫外線吸収スペクトルである。
【図10】エポキシキノマイシンBのKBr錠剤法で測
定した赤外線吸収スペクトルである。
【図11】エポキシキノマイシンBの重メタノール溶液
(内部標準:トリメチルシラン)にて測定したプロトン
核磁気共鳴スペクトルである。
【図12】エポキシキノマイシンBの重メタノール溶液
(内部標準:トリメチルシラン)にて測定した炭素13核
磁気共鳴スペクトルである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】A)抗菌活性 本発明による抗生物質エポキシキノマイシンAおよびB
の各種細菌に対する最低発育阻止濃度は、次の表1にし
めす通りである。この抗菌スペクトルは日本化学療法学
会標準法に基ずき、ミュラーヒントン寒天培地で倍数希
釈法により測定した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】(4) 炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリ
ーブ寒天培地、ISP−培地9;27℃培養) −グルコース、−フルクトース、イノシトール、
−マンニトールを利用して発育し、−アラビノース、
シュクロース、ラムノース、ラフィノースは利用しな
い。−キシロースの利用の存否は判然としない。 (5) リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天培地、27℃
培養) 培養後10日目頃よりリンゴ酸石灰の溶解が認められ、
その作用は中等度である。 (6) 硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプトン
水、ISP−培地8、27℃培養) 陰性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) (72)発明者 飯沼 寛信 神奈川県横浜市緑区白山4丁目61番17号 (72)発明者 澤 力 神奈川県綾瀬市綾西四丁目6番7号 (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号 (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I): (式中、RはエポキシキノマイシンAでは塩素原子を示
    し、またエポキシキノマイシンBでは水素原子を示す)
    で表わされる化合物である抗生物質エポキシキノマイシ
    ンAおよびエポキシキノマイシンB、またはそれらの
    塩。
  2. 【請求項2】 アミコラトプシス属に属する、請求項1
    に記載のエポキシキノマイシンAおよびBの生産菌を栄
    養培地に培養し、培養物からエポキシキノマイシンAお
    よび(または)Bを採取することを特徴とする、抗生物
    質エポキシキノマイシンAおよび(または)エポキシキ
    ノマイシンBの製造法。
  3. 【請求項3】 抗生物質エポキシキノマイシンAおよび
    (または)エポキシキノマイシンB、またはそれらの塩
    を有効成分とする抗菌剤。
  4. 【請求項4】 抗生物質エポキシキノマイシンAおよび
    (または)エポキシキノマイシンB、またはそれらの塩
    を有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 抗生物質エポキシキノマイシンAおよび
    エポキシキノマイシンBを生産する特性を持つアミコラ
    トプシス sp. MK299-95F4 株。
JP31554295A 1995-12-04 1995-12-04 新規抗生物質エポキシキノマイシンaおよびbとその製造法 Pending JPH09157266A (ja)

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