JP2001055386A - 抗生物質ツベラクトマイシンb、dおよびeとその製造法 - Google Patents

抗生物質ツベラクトマイシンb、dおよびeとその製造法

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JP2001055386A JP22930699A JP22930699A JP2001055386A JP 2001055386 A JP2001055386 A JP 2001055386A JP 22930699 A JP22930699 A JP 22930699A JP 22930699 A JP22930699 A JP 22930699A JP 2001055386 A JP2001055386 A JP 2001055386A
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博 長縄
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた抗菌活性を示し且つ新しい分子骨格を
有する抗生物質を提供することを目的とする。 【解決手段】 ツベラクトマイシンB、ツベラクトマイ
シンDおよびツベラクトマイシンEが優れた抗菌活性を
有する新しい抗生物質として得られた。ツベラクトマイ
シンB、ツベラクトマイシンDおよびツベラクトマイシ
ンEはそれぞれに下記の式(I)、式(II)および式
(III)で表される化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌活性を有する新
規な抗生物質であるツベラクトマイシンB、ツベラクト
マイシンDおよびツベラクトマイシンEに関し、またこ
れらのツベラクトマイシンB、DおよびEの製造法に関
する。さらに本発明は、これらのツベラクトマイシン
B、D、Eまたはその塩を有効成分とする抗菌剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】細菌感染症の化学療法、特に抗酸性菌の
感染症の化学療法においてリファンピシン、カナマイシ
ン、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、サイクロ
セリン等の抗生物質が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】細菌感染症の化学療法
において、細菌が薬剤耐性になることは重大な問題であ
る。特に抗酸性菌感染症の化学療法においてリファンピ
シン、カナマイシン、ストレプトマイシン、カプレオマ
イシン、エンビロマイシン、サイクロセリン等に耐性な
抗酸性菌が出現し社会的問題となっており、薬剤耐性抗
酸性菌による感染症に有効な化学療法剤が強く望まれて
いる。そのため、従来使用されている既知の抗生物質と
は異なる化学構造を有し、且つ優れた抗菌活性と性質を
示す新しい化合物の発見または創製が強く望まれてい
る。本発明は、上記の要望に応える優れた抗菌活性を持
つ新規な抗生物質を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】既に本発明者らは、ノカ
ルディア・エスピーMK703-102F1株により生産されて抗
酸性菌に対し強い抗菌力を示す抗生物質ツベラクトマイ
シン(特願平10-15388号、1998年1月28日出願)を見い
出している。
【0005】ツベラクトマイシンは次式(A) で表される化合物である。
【0006】さらに、本発明者らは有用な抗生物質を発
見すべく研究を行い、その結果、ノカルディア属に属す
るツベラクトマイシン生産菌により新しい構造骨格を有
する3種の抗生物質が前記のツベラクトマイシンとは別
個に生産されていることを今回、見い出した。これらの
3種の新しい抗生物質が抗酸性菌並びにその薬剤耐性菌
に抗菌活性を示すことを見い出した。さらに研究を続け
てこれら3種の抗生物質を分析することにより、それら
の化学構造を決定した。そしてそれら3つの抗生物質が
ツベラクトマイシンと共通な骨格を有するが新規な化合
物であることを確認し、それぞれに後記の式(I)、(I
I)および(III)により表せることを知見し、ツベラク
トマイシンB、ツベラクトマイシンDおよびツベラクト
マイシンEと命名した。
【0007】本発明は、ノカルディア属に属する微生物
を培養して得られ、本発明者らによりツベラクトマイシ
ンB、ツベラクトマイシンDおよびツベラクトマイシン
Eとそれぞれ命名された新規物質を提供するものであ
り、またそれらの製造法について提供するものである。
さらに、本発明は、ツベラクトマイシンB、ツベラクト
マイシンDおよびツベラクトマイシンEまたはそれらの
塩を有効成分とする抗菌剤を提供するものである。
【0008】すなわち、第1の本発明によると、次式
(I) で表される抗生物質ツベラクトマイシンBが提供され
る。
【0009】本発明による式(I)のツベラクトマイシ
ンBの理化学的性状は、次の通りである。 (1)外観 無色粉末 (2)分子式 C29H44O4 (3)高分解能質量分析(HRFABMS:陽イオンモード) 実験値 456.3242 (M) 計算値 456.3240 (4)比旋光度 [α] D 25 +85.4゜ (c 0.63、MeOH) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中) λmax nm (ε):233 (21,500, sh), 240 (28,800), 24
8 (16,900, sh)添付図面の図1に示す。 (6)赤外線吸収スペクトル 添付図面の図2に示す通り。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル 500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したプロト
ンNMRスペクトルは、添付図面の図3に示す通りである。
【0010】(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル 125MHzにおいて重クロロホルム中で室温にて測定した炭
素13NMRスペクトルは、添付図面の図4に示す通り。 (9)溶解性 メタノール、アセトンに可溶で水に不溶である。 (10)TLC シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグラフ
ィー上でクロロホルム:メタノール:酢酸(10:1:0.
1)の溶媒で展開したときのRf値は0.67である。
【0011】また、第2の本発明によると、次式(II) で表される抗生物質ツベラクトマイシンDおよびその製
薬学的に許容できる塩が提供される。
【0012】本発明のツベラクトマイシンDは、酸性物
質であり、その製薬学的に許容できる塩としては第4級
アンモニウム塩などの有機塩基との塩、あるいは各種金
属との塩、例えばナトリウムのようなアルカリ金属との
塩がある。
【0013】本発明による式(II)のツベラクトマイシ
ンDの理化学的性状は、次の通りである。 (1)外観 無色粉末 (2)分子式 C29H42O7 (3)高分解能質量分析(HRFABMS:陽イオンモード) 実験値 503.3020 (M+H) 計算値 503.3009 (4)比旋光度 [α] D 25 +91.3゜ (c 0.62、MeOH) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中) λmax nm (ε):234 (27,500, sh), 239 (28,700), 249
(19,500, sh)添付図面の図5に示す。 (6)赤外線吸収スペクトル 添付図面の図6に示す通り。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル 500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したプロト
ンNMRスペクトルは、添付図面の図7に示す通りである。
【0014】(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル 125MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定した炭素13
NMRスペクトルは、添付図面の図8に示す通り。 (9)溶解性 メタノール、アセトンに可溶で水に不溶である。 (10)TLC シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグラフ
ィー上でクロロホルム:メタノール:酢酸(10:1:0.
1)の溶媒で展開したときのRf値は0.28である。
【0015】また、第3の本発明によると、次式(III) で表される抗生物質ツベラクトマイシンEおよびその製
薬学的に許容できる塩が提供される。
【0016】本発明のツベラクトマイシンEは、酸性物
質であり、その製薬学的に許容できる塩としては第4級
アンモニウム塩などの有機塩基との塩、あるいは各種金
属との塩、例えばナトリウムのようなアルカリ金属との
塩がある。
【0017】本発明による式(III)のツベラクトマイ
シンEの理化学的性状は、次の通りである。 (1)外観 無色粉末 (2)分子式 C29H42O7 (3)高分解能質量分析(HRFABMS:陽イオンモード) 実験値 503.2996 (M+H) 計算値 503.3009 (4)比旋光度 [α] D 25 +94.5゜ (c 0.53、MeOH) (5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中) λmax nm (ε):234 (29,000, sh), 239 (29,600), 249
(19,900, sh)添付図面の図9に示す。 (6)赤外線吸収スペクトル 添付図面の図10に示す通り。 (7)プロトン核磁気共鳴スペクトル 500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したプロト
ンNMRスペクトルは、添付図面の図11に示す通りであ
る。
【0018】(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル 125MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定した炭素13
NMRスペクトルは、添付図面の図12に示す通り。 (9)溶解性 メタノール、アセトンに可溶で水に不溶である。 (10)TLC シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグラフ
ィー上でクロロホルム:メタノール:酢酸(10:1:0.
1)の溶媒で展開したときのRf値は0.36である。
【0019】本発明による抗生物質ツベラクトマイシン
B、DおよびEがそれぞれに前記の式(I)、(II)お
よび(III)で示される化学構造を有することは、プロト
ンNMR、炭素13NMRスペクトル等の分析を詳細に検討する
ことにより前記の通り決定された。
【0020】本発明による式(I)、(II)および(II
I)で表されるツベラクトマイシンB、DおよびEは後
記の生物学的性質を有する。すなわち、ツベラクトマイ
シンB、ツベラクトマイシンDおよびツベラクトマイシ
ンEは、薬剤耐性菌を含む抗酸性菌に対して抗菌活性を
示す。
【0021】試験例1 各種の微生物に対するツベラクトマイシンBの抗菌スペ
クトルは日本化学療法学会標準法に基づき、1%グリセ
リン加普通寒天培地上で倍数希釈法によって測定した。
その結果を表1に示す。
【0022】試験例2 各種の微生物に対するツベラクトマイシンDの抗菌スペ
クトルは日本化学療法学会標準法に基づき、1%グリセ
リン加普通寒天培地上で倍数希釈法によって測定した。
その結果を表2に示す。
【0023】試験例3 各種の微生物に対するツベラクトマイシンEの抗菌スペ
クトルは日本化学療法学会標準法に基づき、1%グリセ
リン加普通寒天培地上で倍数希釈法によって測定した。
その結果を表3に示す。
【0024】さらに、第4の本発明によると、ノカルデ
ィア属に属して前記の式(I)、(II)および(III)で表され
るツベラクトマイシンB、DおよびEの少くとも一つを
生産する生産菌を培養し、その培養物から、これらツベ
ラクトマイシンB、DおよびEの少くとも一つを採取す
ることを特徴とする、式 (I)、(II)および(III)の抗生
物質ツベラクトマイシンB、Dおよび(または)Eの製
造法が提供される。
【0025】第4の本発明の方法で使用する抗生物質ツ
ベラクトマイシンB、D、Eの少くとも一つを生産する
生産菌(以下、単にツベラクトマイシンB、D、E生産
菌ということがある)は、前述した理化学的性質および
生物学的性質を示す抗生物質を生産する能力を有するも
のであれば、その種を問わず使用でき広範な微生物から
選ぶことができる。かかる微生物のうち、抗生物質ツベ
ラクトマイシンB、D、E生産菌の具体的な好適の一例
は、本発明者らにより平成9年2月、微生物化学研究所
において、長野県諏訪市の土壌より分離された放線菌
で、MK703-102F1の菌株番号が付された菌株である。
【0026】以下にMK703-102F1株の菌学的諸性質につ
いて記載する。 MK703-102F1株の菌学的性状 l.形態 基生菌糸はよく分枝し、分断が認められる。気菌糸は、
直状あるいは不規則ならせん状に伸長し、円筒形〜長円
形の胞子状に分断する。その表面は平滑で、大きさは約
0.4〜0.6×0.8〜1.8ミクロンである。輪生枝、菌束糸、
胞子のうおよび運動性胞子は認められない。
【0027】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual)を用いた。 (1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生して、溶
解性色素は認められない。 (2)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地
5、27℃培養) うす黄[2 ec, Sand]〜うす茶[3 ie, Camel]の発育
上に、茶白[2 ba,Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性色
素は、かすかにうす赤紫を帯びる。 (3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27
℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。
【0028】(4)チロシン寒天培地(ISP−培地7、
27℃培養) うす黄[2 ec, Sand]〜うす茶[3 ie, Camel]の発育
上に、茶白[2 ba,Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性色
素は認められない。 (5)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃
培養) うす黄[2 ec, Sand]]〜うす茶[3 ie, Camel]の発
育上に、茶白[2 ba,Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性
色素は認められない。 (6)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培
養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。
【0029】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0
%、L−アスパラギン0.05%、リン酸水素二カリウム
0.05%、ひも寒天 2.5%、pH7.0)を用い、l0℃、2
0℃、24℃、27℃、30℃、37℃、45℃および
50℃の各温度で試験した結果、 l0℃、45℃および
50℃での生育は認められず、20℃〜37℃の範囲で
生育した。生育至適温度は30℃付近である。 (2)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培
地、ISP−培地4、27℃培養) スターチの加水分解は認められない。 (3)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP−培地6;チロシン寒天培地、ISP−培地7;
いずれも27℃培養) いずれの培地においても陰性である。
【0030】(4)炭素源の利用性(プリドハム・ゴト
リーブ寒天培地、ISP−培地9;27℃培養) D−グルコース、L−アラビノース、D−フルクトー
ス、D−マンニトールを利用して発育し、D−キシロー
ス、シュクロース、イノシトール、ラムノース、ラフィ
ノースは利用しない。 (5)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP−培地8;27℃培養) 陽性である。
【0031】4.菌体成分 (1)細胞壁組成 メソ型の2、6−ジアミノピメリン酸を含有する。 (2)全菌体中の還元糖 アラビノース、ガラクトースを含み、A型である。 (3)イソプレノイド・キノン 主要なメナキノンとしてMK−8(H4)および少量のMK
−8(H2)を含有する。 (4)ミコール酸 含有する。 (5)脂肪酸 16:0(ヘキサデカン酸) を主成分とし、18:1(オクタ
デセン酸)、10-methyl-18:0(10―メチル オクタデカ
ン酸)、16:1(ヘキサデセン酸)および18:0(オクタデ
カン酸)を含有する。
【0032】以上の性状を要約すると、MK703-102F1株
は、その形態上、基生菌糸はよく分枝し、分断を認め
る。気菌糸は直状あるいは不規則な らせん状に伸長
し、円筒形〜長円形の胞子状に分断する。輪生枝、菌束
糸、胞子のうおよび運動性胞子は認められない。種々の
培地で、無色〜うす黄〜うす茶の発育上に白〜茶白の気
菌糸を着生する。溶解性色素は、一、二の培地でブドウ
酒色の色素を認める。メラニン様色素は生成せず、スタ
ーチの水解性は認められない。
【0033】MK703-102F1株の菌体成分は、細胞壁にメ
ソ型の2、6-ジアミノピメリン酸を含有し、全菌体中
の還元糖はA型である。主要なメナキノンはMK−8
(H4)である。ミコール酸を含有する。脂肪酸は16:0、
18:1、10-methyl-18:0、16:1および18:0を含有する。
【0034】以上の結果より、MK703-102F1株はノカル
ディア(Nocardia、文献、Bergey'sManual of Systemat
ic Bacteriology、4巻、2350−2361頁、1989年)属に属
するものと考えられる。そこで、MK703-102F1株をノカ
ルディア・エスピー(Nocardia sp.)MK703-102F1とす
る。なお、MK703-102F1株を工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託申請し、平成10年1月14日、FERM P-1658
0として受託された。
【0035】第4の本発明の方法においては、抗生物質
ツベラクトマイシンのB、DおよびEの製造は次の通り
行われる。すなわち、抗生物質ツベラクトマイシンB、
D、Eの製造は、抗生物質ツベラクトマイシンB、D、
E生産菌を栄養培地中に接種して、27℃の温度で好気的
に振とうしながら培養することによって行われ、抗生物
質ツベラクトマイシンB、D、Eを含む培養物が得られ
る。このような目的に用いる栄養培地としては、放線菌
の培養に使用しうるものが使用される。栄養源として、
例えば市販されているペプトン、大豆粉、酵母エキス、
肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニ
ウム等の窒素源が使用でき、また、グリセリン、でん
粉、グルコース、ガラクトース、デキストリン等の炭水
化物あるいは脂肪などの炭素源が使用できる。さらに食
塩、炭酸カルシウム等の無機塩を添加して使用できる。
その他必要に応じて微量の金属塩を添加することができ
る。これらのものは、抗生物質ツベラクトマイシンB、
D、E生産菌が利用し、抗生物質ツベラクトマイシン
B、D、Eの生産に役に立つものであればよく、公知の
放線菌の培養材料はすべて用いることができる。
【0036】本発明による抗生物質ツベラクトマイシン
B、D、Eの生産には、ノカルディア属に属する抗生物
質ツベラクトマイシンB、D、Eの生産能を有する微生
物が使用される。具体的には、本発明者らの分離したノ
カルディア・エスピーMK703-102F1株が抗生物質ツベラ
クトマイシンならびにツベラクトマイシンB、Dおよび
Eを生産することが本発明者らによって明らかにされて
いるが、その他の菌株については、抗生物質生産菌の単
離の常法によって自然界より分離することが可能であ
る。また、ノカルディア・エスピーMK703-102F1株を含
めて、抗生物質ツベラクトマイシンB、D、Eの生産菌
を放射線照射その他、変異処理に付して抗生物質ツベラ
クトマイシンB、D、Eの生産能を高める余地も残って
いる。さらに遺伝子工学的手法によって抗生物質ツベラ
クトマイシンB、D、Eの生産能を高めることも可能で
ある。
【0037】本発明による抗生物質ツベラクトマイシン
B、DおよびEは、ノカルディア属に属する抗生物質ツ
ベラクトマイシンB、D、E生産菌を適当な培地で好気
的に培養し、その培養液から目的のものを採取すること
によって製造することができる。その生産菌の培養温度
は、抗生物質ツベラクトマイシンB、D、Eの生産菌の
発育が実質的に阻害されずに、これらの物質を生産しう
る範囲であれば、特に制約されるものでなく、使用する
生産菌に応じて選択できるが、好ましくは、25−30℃の
範囲内の温度を挙げることができる。ツベラクトマイシ
ンB、D、Eの生産のための種母培地としては、寒天培
地上、MK703-102F1株の斜面培養から得た生育物を使用
する。
【0038】このMK703-102F1株によるツベラクトマイ
シンB、D、Eの生産は通常では4ないし6日間で最高
に達するが、一般に充分な抗菌活性が培地に付与される
まで続ける。この培養液中のツベラクトマイシンB、
D、Eの力価の経時変化は、HPLC法またはマイコバクテ
リウム・スメグマティスあるいはマイコバクテリウム・
バケを被検菌とする円筒平板法により測定できる。
【0039】第4の本発明の方法においては、上記のよ
うにして得られた培養物からツベラクトマイシンB、
D、Eを採取するが、採取法としては微生物の生産する
代謝物を採取するのに用いられる手段を適宜利用するこ
とができる。例えば、水と混ざらない溶媒による抽出の
手段、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する手
段、ゲルろ過、向流分配を利用したクロマトグラフィー
等を単独または組み合わせて利用しツベラクトマイシン
B、D、Eを採取できる。また、分離した菌体からは、
適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕による溶
出法により菌体からツベラクトマイシンB、D、Eを抽
出し上記と同様に単離精製して採取することができる。
かくして、前記した新規な抗生物質ツベラクトマイシン
B、DおよびEがそれぞれ単独に、または混合物として
得られる。
【0040】さらに、第5の本発明では、式(I)、
(II)および(III)でそれぞれ表されるツベラク
トマイシンB、DおよびEの少くとも一つ、またはその
製薬学的に許容できる塩を有効成分とする抗菌剤が提供
される。
【0041】この抗菌剤においては、それの有効成分化
合物を、製薬学的に許容できる常用の固体または液状担
体、例えばエタノール、水、生理食塩水、でん粉等と混
和して含有する組成物の形とすることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。実施例1 抗生物質ツベラクトマイシンDおよびツベラクトマイシ
ンEの製造と精製 まず、ガラクトース2%、デキストリン2%、グリセリン
1%、バクトソイトン(ディフコ社製) 1%、コーン・ス
ティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭
酸カルシウム0.2 %を含む組成の液体培地(pH7.4に調
整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分注し、定
法により120℃20分滅菌した。次に寒天斜面培地に培養
したノカルディア・エスピーMK703-102F1株(FERM P-16
580)を上記液体培地に接種し、30℃で3日間回転振とう
培養し、種母培養液とした。
【0043】生産培養のためには、澱粉2.0%、グルコ
ース1.0%、酵母エキス0.5%、カザミノ酸0.5%、炭酸
カルシウム0.4%を含む組成の液体培地(pH無調整)15
リットルを、タンク培養槽(30リットル容)中で調製、
滅菌し生産培地とした。この生産培地に、上記の種母培
養液を2%量で接種し、27℃、通気量15リットル、撹拌
器の回転200rpmの培養条件で6日間タンク培養した。
【0044】このようにして得られた培養液、計150リ
ットルを遠心分離して培養ろ液と菌体に分離した。この
培養ろ液を、1 M塩酸でpH 2に調整した後、ダイヤイオ
ンHP-20(三菱化学株式会社製)5リットルのカラムに通
過させて、ツベラクトマイシン類を吸着した。このカラ
ムを50%メタノ−ル水15リットルおよび100%アセトン1
5リットルで順次溶出した。ツベラクトマイシンならび
にツベラクトマイシンD、Eは、100%アセトンで溶出
され、この溶出液から減圧下でアセトンを溜去し57.0g
の暗褐色油状物を得た。これらツベラクトマイシン類を
含む暗褐色油状物から極性の低い物質を除くため、ヘキ
サン:アセトニトリル(=1:1)の溶媒、計1リットルに
溶解し分配を行った。ツベラクトマイシン類は、アセト
ニトリル層(下層)に分配し、これを集め減圧下でアセ
トニトリルを溜去し30.0gのツベラクトマイシン類を含
む暗褐色油状物を得た。
【0045】この暗褐色油状物をシリカゲルカラム(内
径54mm×長さ220mm)にのせ、クロロホルム(1500m
l)、クロロホルム:メタノール(=9:1)(1500ml)、
クロロホルム:メタノール:ギ酸(=9:1:0.05)(150
0ml)の溶媒で順次クロマトグラフィーを行った。フラ
クションコレクタ−で20gずつ分画すると、活性画分は
二つに別れ、フラクション111〜133およびフラクション
187〜211に溶出された。フラクション111〜133の画分に
は、ツベラクトマイシンおよびツベラクトマイシンEが
含有され、また、フラクション187〜211の画分には、ツ
ベラクトマイシンDが含有されていた。
【0046】ツベラクトマイシンおよびツベラクトマイ
シンEを含む画分、フラクション111〜133を集め、減圧
下で濃縮乾固すると15.4gの褐色油状物を得た。この褐
色油状物をシリカゲルカラム(内径54mm×長さ220mm)
にのせ、クロロホルム:濃アンモニア水(=100:0.5)
(1000ml)、クロロホルム:メタノール(=9:1)(100
0ml)、クロロホルム:メタノール:ギ酸(=9:1:0.0
5)(1000ml)の溶媒で順次クロマトグラフィーを行っ
た。フラクションコレクタ−で20gずつ分画するとツベ
ラクトマイシンおよびツベラクトマイシンEを含む画分
は、フラクション160〜181に溶出され、これを集めて減
圧下で濃縮乾固し、4.0gの褐色物を得た。この褐色物を
酢酸エチル300mlに溶かし、希塩酸水で洗浄した後、酢
酸エチル層を集め減圧下で濃縮乾固し1.0gのツベラクト
マイシンおよびツベラクトマイシンEを含む褐色油状物
を得た。
【0047】ついでこの褐色油状物を、少量の酢酸エチ
ルに溶かした後、遠心液液分配クロマトグラフィ−(カ
ラム容量125ml)を酢酸エチル:10mMリン酸1水素2ナト
リウム水(=1:1)の溶媒で固定層として上層、移動層
として下層を用いて行った。フラクションコレクタ−で
6mlずつ分画し、フラクション145本目より反転溶出した
ところ、ツベラクトマイシンEは、フラクション84〜11
6に溶出され、また、ツベラクトマイシンはフラクショ
ン146〜151に溶出された。ツベラクトマイシンEを含む
フラクション84〜116を集め、減圧下で濃縮乾固すると5
0.4mgの淡褐色油状物を得た。また、ツベラクトマイシ
ンのフラクション146〜151を集め、減圧下で濃縮乾固し
て無色粉末のツベラクトマイシンを531mg得た。
【0048】ツベラクトマイシンEを含む淡褐色油状物
は、さらにセファデックスLH-20(ファルマシア社)カ
ラム(内径18mm×長さ200mm)を用いてクロマトグラフ
ィーを行った。フラクションコレクタ−で2gずつ分画す
るとツベラクトマイシンEは、フラクション7〜8にかけ
溶出され、これを集めて、減圧下で濃縮乾固することに
より無色粉末の純粋なツベラクトマイシンEを31.8mg得
た。
【0049】また他方、ツベラクトマイシンDが含有さ
れている画分、すなわち前述のフラクション187〜211
は、減圧下で濃縮乾固し1.45gの暗褐色油状物を得た。
これを少量の酢酸エチルに溶かした後、遠心液液分配ク
ロマトグラフィ−(カラム容量125ml)を酢酸エチル:1
0mMリン酸1水素2ナトリウム水(=1:1)の溶媒系で、
固定層として上層、移動層として下層を用いて行った。
フラクションコレクタ−で6mlずつ分画し、フラクショ
ン50本目より反転溶出したところ、ツベラクトマイシン
Dは、フラクション50〜53にかけ溶出した。ツベラクト
マイシンDを含む画分フラクション50〜53を集め、減圧
下で濃縮乾固し113.4mgの赤褐色油状物を得た。この赤
褐色油状物をシリカゲル薄層クロマト(シリカゲル60F
254、メルク社製)にかけ、展開溶媒としてクロロホル
ム:メタノール(=4:1)の混合溶媒系で展開したとこ
ろツベラクトマイシンDのRf値は、0.52〜0.39であっ
た。このRf 0.52〜0.39のバンドを集め、クロロホル
ム:エタノ−ル(=1:1)で溶出し、減圧下で濃縮乾固
し無色粉末のツベラクトマイシンDを54.1mg得た。
【0050】さらに、このツベラクトマイシンDをセフ
ァデックスLH-20(ファルマシア社)カラム(内径18mm
×長さ200mm)でクロマトグラフィーを行い、フラクシ
ョンコレクタ−で1gずつ分画したところ、ツベラクトマ
イシンDは、フラクション12〜14にかけ溶出した。これ
を集め、減圧下で濃縮乾固することにより無色粉末の純
粋なツベラクトマイシンDを43.9mg得た。
【0051】実施例2 抗生物質ツベラクトマイシンBの製造と精製 まず、ガラクトース2%、デキストリン2%、グリセリン
1%、バクトソイトン(ディフコ社製)1%、コーン・ス
ティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭
酸カルシウム0.2 %を含む組成の液体培地(pH7.4に調
整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分注し、定
法により120℃20分滅菌した。次に寒天斜面培地に培養
したノカルディア・エスピーMK703-102F1株(FERM P-16
580)を上記液体培地に接種し、30℃で3日間回転振と
う培養し、種母培養液とした。
【0052】生産培養のためには、澱粉2.0%、グルコ
ース1.0%、酵母エキス0.5%、カザミノ酸0.5%、炭酸
カルシウム0.4%を含む組成の液体培地(pH無調整)15
リットルをタンク培養槽(30リットル容)中で調製、滅
菌し生産培地とした。この生産培地に、上記の種母培養
液を2%量で接種し、27℃、通気量15リットル、撹拌器
の回転200rpmの培養条件で6日間タンク培養した。
【0053】このようにして得られた培養液、計150リ
ットルを遠心分離して培養ろ液と菌体に分離した。この
菌体に5リットルのメタノ−ルを加え十分撹拌し菌体を
除去してメタノ−ル抽出液を得た。このメタノ−ル抽出
液に5リットルの水を加えた後、ダイヤイオンHP-20 (三
菱化学株式会社製)500mlのカラムに通過させて、ツベラ
クトマイシンBを吸着させた。このカラムを50%メタノ
−ル水1.5リットルおよび100%アセトン1.5リットルで
順次溶出させた。ツベラクトマイシンBは、100%アセ
トンで溶出され、この溶出液を減圧下で濃縮し100mlに
した。この濃縮液に、500mlの酢酸エチルを加え抽出し
た後、酢酸エチル層を集め減圧下で濃縮乾固して5.7gの
ツベラクトマイシンBを含む褐色油状物を得た。
【0054】ついで、この褐色油状物をシリカゲルカラ
ム(内径52mm×長さ200mm)にのせ、クロロホルム:ヘ
キサン(=1:1)(1000ml)、クロロホルム(1000m
l)、クロロホルム:メタノール(=99:1)(1000ml)
の溶媒で順次に1つのフラクションあたり20gで分画し
てクロマトグラフィーを行ったところ、ツベラクトマイ
シンBは、フラクション135〜150にかけ溶出された。こ
のフラクション135〜150を集め、減圧下で濃縮乾固して
ツベラクトマイシンBを含む淡褐色油状物191mgを得
た。 この淡褐色油状物をシリカゲル薄層クロマト(シ
リカゲル60F254、メルク社製)にかけ、展開溶媒として
ヘキサン:酢酸エチル(=7:3)の混合溶媒で展開し、
シリカゲル薄層を乾燥後、再度同じ溶媒系で展開したと
ころツベラクトマイシンBのRf値は、0.52〜0.48であっ
た。このRf 0.52〜0.48のバンドを集め、クロロホル
ム:メタノ−ル(=9:1)で溶出し、減圧下で濃縮乾固
して無色粉末のツベラクトマイシンBを39.0mg得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はツベラクトマイシンBのメタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【図2】図2はツベラクトマイシンBのKBr錠剤法で測
定した赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3はツベラクトマイシンBの重アセトン溶液
中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図4】図4はツベラクトマイシンBの重アセトン溶液
中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴
スペクトルである。
【図5】図5はツベラクトマイシンDのメタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【図6】図6はツベラクトマイシンDのKBr錠剤法で測
定した赤外線吸収スペクトルである。
【図7】図7はツベラクトマイシンDの重アセトン溶液
中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図8】図8はツベラクトマイシンDの重アセトン溶液
中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴
スペクトルである。
【図9】図9はツベラクトマイシンEのメタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【図10】図10はツベラクトマイシンEのKBr錠剤法で測
定した赤外線吸収スペクトルである。
【図11】図11はツベラクトマイシンEの重アセトン溶液
中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図12】図12はツベラクトマイシンEの重アセトン溶液
中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴
スペクトルである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月18日(2000.5.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】(4)チロシン寒天培地(ISP−培地7、
27℃培養) うす黄[2 ec, Sand]〜うす茶[3 ie, Camel]の発育
上に、茶白[2 ba, Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性
色素は認められない。 (5)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃
培養) うす黄[2 ec, Sand]〜うす茶[3 ie, Camel]の発育
上に、茶白[2 ba, Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性
色素は認められない。 (6)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培
養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】第4の本発明の方法においては、抗生物質
ツベラクトマイシンB、DおよびEの製造は次の通り行
われる。すなわち、抗生物質ツベラクトマイシンB、
D、Eの製造は、抗生物質ツベラクトマイシンB、D、
E生産菌を栄養培地中に接種して、27℃の温度で好気的
に振とうしながら培養することによって行われ、抗生物
質ツベラクトマイシンB、D、Eを含む培養物が得られ
る。このような目的に用いる栄養培地としては、放線菌
の培養に使用しうるものが使用される。栄養源として、
例えば市販されているペプトン、大豆粉、酵母エキス、
肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニ
ウム等の窒素源が使用でき、また、グリセリン、でん
粉、グルコース、ガラクトース、デキストリン等の炭水
化物あるいは脂肪などの炭素源が使用できる。さらに食
塩、炭酸カルシウム等の無機塩を添加して使用できる。
その他必要に応じて微量の金属塩を添加することができ
る。これらのものは、抗生物質ツベラクトマイシンB、
D、E生産菌が利用し、抗生物質ツベラクトマイシン
B、D、Eの生産に役に立つものであればよく、公知の
放線菌の培養材料はすべて用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。実施例1 抗生物質ツベラクトマイシンDおよびツベラクトマイシ
ンEの製造と精製 まず、ガラクトース2.0%、デキストリン2.0%、グリセ
リン1.0%、バクトソイトン(ディフコ社製)1.0%、コー
ン・スティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム0.2
%、炭酸カルシウム0.2 %を含む組成の液体培地(pH7.
4に調整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分注
し、法により120℃20分滅菌した。次に寒天斜面培地
に培養したノカルディア・エスピーMK703-102F1株(FER
M P-16580)を上記液体培地に接種し、30℃で3日間回転
振とう培養し、種母培養液とした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】このようにして得られた培養液、計150リ
ットルを遠心分離して培養ろ液と菌体に分離した。この
培養ろ液を、1 M塩酸でpH 2に調整した後、ダイヤイオ
ンHP-20(三菱化学株式会社製)5リットルのカラムに通
過させて、ツベラクトマイシン類を吸着した。このカラ
ムを50%メタノ−ル水15リットルおよび100%アセトン1
5リットルで順次溶出した。ツベラクトマイシンならび
にツベラクトマイシンD、Eは、100%アセトンで溶出
され、この溶出液から減圧下でアセトンを溜去し57.0g
の暗褐色油状物を得た。これらツベラクトマイシン類を
含む暗褐色油状物から極性の低い物質を除くため、ヘキ
サン:アセトニトリル(1:1)の溶媒、計1リットルに
溶解し分配を行った。ツベラクトマイシン類は、アセト
ニトリル層(下層)に分配し、これを集め減圧下でアセ
トニトリルを溜去し30.0gのツベラクトマイシン類を含
む暗褐色油状物を得た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】この暗褐色油状物をシリカゲルカラム(内
径54mm×長さ220mm)にのせ、クロロホルム(1500m
l)、クロロホルム:メタノール(9:1)(1500ml)、
クロロホルム:メタノール:ギ酸(9:1:0.05)(1500
ml)の溶媒で順次クロマトグラフィーを行った。フラク
ションコレクタ−で20gずつ分画すると、活性画分は二
つに別れ、フラクション111〜133およびフラクション18
7〜211に溶出された。フラクション111〜133の画分に
は、ツベラクトマイシンおよびツベラクトマイシンEが
含有され、また、フラクション187〜211の画分には、ツ
ベラクトマイシンDが含有されていた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】ツベラクトマイシンおよびツベラクトマイ
シンEを含む画分、フラクション111〜133を集め、減圧
下で濃縮乾固すると15.4gの褐色油状物を得た。この褐
色油状物をシリカゲルカラム(内径54mm×長さ220mm)
にのせ、クロロホルム:濃アンモニア水(100:0.5)
(1000ml)、クロロホルム:メタノール(9:1)(1000
ml)、クロロホルム:メタノール:ギ酸(9:1:0.05)
(1000ml)の溶媒で順次クロマトグラフィーを行った。
フラクションコレクタ−で20gずつ分画するとツベラク
トマイシンおよびツベラクトマイシンEを含む画分は、
フラクション160〜181に溶出され、これを集めて減圧下
で濃縮乾固し、4.0gの褐色物を得た。この褐色物を酢酸
エチル300mlに溶かし、希塩酸水で洗浄した後、酢酸エ
チル層を集め減圧下で濃縮乾固し1.0gのツベラクトマイ
シンおよびツベラクトマイシンEを含む褐色油状物を得
た。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】ついでこの褐色油状物を、少量の酢酸エチ
ルに溶かした後、遠心液液分配クロマトグラフィ−(カ
ラム容量125ml)を酢酸エチル:10mMリン酸1水素2ナト
リウム水(1:1)の溶媒で固定層として上層、移動層と
して下層を用いて行った。フラクションコレクタ−で6m
lずつ分画し、フラクション145本目より反転溶出したと
ころ、ツベラクトマイシンEは、フラクション84〜116
に溶出され、また、ツベラクトマイシンはフラクション
146〜151に溶出された。ツベラクトマイシンEを含むフ
ラクション84〜116を集め、減圧下で濃縮乾固すると50.
4mgの淡褐色油状物を得た。また、ツベラクトマイシン
のフラクション146〜151を集め、減圧下で濃縮乾固して
無色粉末のツベラクトマイシンを531mg得た。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】また他方、ツベラクトマイシンDが含有さ
れている画分、すなわち前述のフラクション187〜211
は、減圧下で濃縮乾固し1.45gの暗褐色油状物を得た。
これを少量の酢酸エチルに溶かした後、遠心液液分配ク
ロマトグラフィ−(カラム容量125ml)を酢酸エチル:1
0mMリン酸1水素2ナトリウム水(1:1)の溶媒系で、固
定層として上層、移動層として下層を用いて行った。フ
ラクションコレクタ−で6mlずつ分画し、フラクション5
0本目より反転溶出したところ、ツベラクトマイシンD
は、フラクション50〜53にかけ溶出した。ツベラクトマ
イシンDを含む画分フラクション50〜53を集め、減圧下
で濃縮乾固し113.4mgの赤褐色油状物を得た。この赤褐
色油状物をシリカゲル薄層クロマト(シリカゲル60
F254、メルク社製)にかけ、展開溶媒としてクロロホル
ム:メタノール(4:1)の混合溶媒系で展開したところ
ツベラクトマイシンDのRf値は、0.52〜0.39であった。
このRf 0.52〜0.39のバンドを集め、クロロホルム:エ
タノ−ル(1:1)で溶出し、減圧下で濃縮乾固し無色粉
末のツベラクトマイシンDを54.1mg得た。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】実施例2 抗生物質ツベラクトマイシンBの製造と精製 まず、ガラクトース2.0%、デキストリン2.0%、グリセ
リン1.0%、バクトソイトン(ディフコ社製)1.0%、コ
ーン・スティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム0.
2%、炭酸カルシウム0.2 %を含む組成の液体培地(pH
7.4に調整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分
注し、法により120℃20分滅菌した。次に寒天斜面培
地に培養したノカルディア・エスピーMK703-102F1株(F
ERM P-16580)を上記液体培地に接種し、30℃で3日間
回転振とう培養し、種母培養液とした。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】ついで、この褐色油状物をシリカゲルカラ
ム(内径52mm×長さ200mm)にのせ、クロロホルム:ヘ
キサン(1:1)(1000ml)、クロロホルム(1000ml)、
クロロホルム:メタノール(99:1)(1000ml)の溶媒
で順次に1つのフラクションあたり20gで分画してクロ
マトグラフィーを行ったところ、ツベラクトマイシンB
は、フラクション135〜150にかけ溶出された。このフラ
クション135〜150を集め、減圧下で濃縮乾固してツベラ
クトマイシンBを含む淡褐色油状物191mgを得た。この
淡褐色油状物をシリカゲル薄層クロマト(シリカゲル60
F254、メルク社製)にかけ、展開溶媒としてヘキサン:
酢酸エチル(7:3)の混合溶媒で展開し、シリカゲル薄
層を乾燥後、再度同じ溶媒系で展開したところツベラク
トマイシンBのRf値は、0.52〜0.48であった。このRf
0.52〜0.48のバンドを集め、クロロホルム:メタノ−ル
(9:1)で溶出し、減圧下で濃縮乾固して無色粉末のツ
ベラクトマイシンBを39.0mg得た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 17/08 C12P 17/08 //(C12N 1/20 C12R 1:365) (C12P 17/08 C12R 1:365) (72)発明者 浜田 雅 東京都新宿区本塩町17番2 Fターム(参考) 4B064 AE47 BA05 BA06 BE09 BE12 BG01 BG09 BH01 BH02 BH04 BH05 BH06 BH07 BH08 CA03 DA03 4B065 AA38X AC14 CA18 CA44 4C062 JJ70 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 BA17 MA01 MA04 NA14 ZB35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I) で示される抗生物質ツベラクトマイシンB。
  2. 【請求項2】 次式(II) で示される抗生物質ツベラクトマイシンDおよびその製
    薬学的に許容できる塩。
  3. 【請求項3】 次式(III) で示される抗生物質ツベラクトマイシンEおよびその製
    薬学的に許容できる塩。
  4. 【請求項4】 ノカルディア属に属する請求項1に記載
    の式(I)で示される抗生物質ツベラクトマイシンB、
    請求項2に記載の式(II)で示される抗生物質ツベラク
    トマイシンD、および請求項3に記載の式(III)で示
    される抗生物質ツベラクトマイシンEの少くとも一つを
    生産する生産菌を培養し、その培養物から、これらツベ
    ラクトマイシンB、DおよびEの少くとも一つを採取す
    ることを特徴とする、抗生物質ツベラクトマイシンB、
    Dおよび(または)Eの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の式(I)で示される抗
    生物質ツベラクトマイシンB、請求項2に記載の式(I
    I)で示される抗生物質ツベラクトマイシンD、および
    請求項3に記載の式(III)で示される抗生物質ツベラ
    クトマイシンEの少くとも一つ、またはその製薬学的に
    許容できる塩を有効成分とする抗菌剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115247179A (zh) * 2021-04-25 2022-10-28 上海健康医学院 一种聚酮化合物骨架及其后修饰物的生物合成基因簇及其应用

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