JP3902283B2 - 抗生物質ホルママイシンとその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抗真菌活性を有する新規な抗生物質であるホルママイシン
(Formamicin)に関し、また、ホルママイシンの製造法に関する。さらに本発明はホルママイシンを有効成分とする抗真菌剤及び抗腫瘍剤に関する。また、本発明は、ホルママイシンを生産できる特性を持つ新規な微生物サッカロスリックスMK27−91F2株に関する。
【0002】
【従来の技術】
真菌感染症の化学療法において、抗真菌剤としてアンホテリシンB、ピロールニトリン、グリセオフルビン等が使用されている。また、農業用殺菌剤としてカスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等が使用されている。また抗腫瘍性物質は、ブレオマイシン、アクラシノマイシン、マイトマイシン等が化学療法剤として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
真菌感染症の化学療法において従来使用されている既知の化学療法剤はいまだ十分に満足とはいえず、また耐性菌の出現は重大な問題である。従来使用されている既知の抗真菌物質とは異なる化学構造の骨格を有し且つ優れた抗真菌活性と性質を示す新しい化合物の発見または創製は常に望まれており、そのための研究が行われている。農業用殺菌剤においても、耐性菌の出現は重大な問題である。従来使用されている既知の抗真菌性物質とは異なる化学構造の骨格を有し且つ優れた抗真菌活性と副作用の少ない新しい化合物の発見または創製が常に望まれており、そのための研究が行われている。
【0004】
癌の化学療法において、癌細胞が多剤耐性になることは重大な問題である。また、副作用の少ない制癌剤が常に求められている。そのため、従来使用されている既知の抗腫瘍性物質と異なる化学構造の骨格を有し且つ優れた制癌活性と副作用の少ない新しい化合物の発見、創製が強く望まれており、それを目的とした研究が行われている。本発明は、上記の要望に応えることができる抗真菌活性及び抗腫瘍活性を持つ新規な抗生物質を提供することを目的にするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは有用な新規の抗生物質を発見すべく研究を行ってきた。その結果、新規な微生物として、サッカロスリックス属に属する菌株を分離することに成功し、またこの菌株が新しい構造骨格を有する抗生物質を産生していることを見い出した。この抗生物質をホルママイシンと命名してこれが各種の糸状菌に対し抗真菌活性を示し、また各種の癌細胞に対し増殖抑制効果を示すことを見い出した。さらに研究を続けホルママイシンを分析することにより、ホルママイシンの化学構造を決定した。そしてホルママイシンが新規化合物であることを確認し、後記の式(I)により表せることを知見した。
【0006】
しかして、本発明は、サッカロスリックス属に属する微生物を培養して得られて本発明者らによりホルママイシン(Formamicin)と命名された抗生物質、およびその製造法について提供するものである。さらに、本発明はホルママイシンを有効成分とする抗真菌剤及び抗腫瘍剤を提供するものである。
【0007】
すなわち、第1の本発明によると、次式(I)
で表される抗生物質ホルママイシンが提供される。
【0008】
第1の本発明による式(I)のホルママイシンの理化学的性状は、次の通りである。
【0009】
第1の本発明による式(I)のホルママイシンの理化学的性状は、次の通りである。
(1)外観
無色結晶
(2)融点
201 〜202 ℃
(3)比旋光度
[α]D 23 +15.5゜(c 1、エタノール中)
(4)分子式
C44H 72 0 13
(5)高分解能質量分析(HRFABMS:正イオンモード)
実験値 831.4859 (M+Na)+
計算値 831.4871
(6)紫外線吸収スペクトル(エタノール中)
添付図面の図1に示す。
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図2に示す通りである。
【0010】
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
500MHzにおいて重ベンゼン溶液中で室温にて測定したホルママイシンのプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図3に示す通り。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
125MHzにおいて重ベンゼン溶液中で室温にて測定したホルママイシンの炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図4に示す通り。
(10)溶解性
ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトンに可溶で水に不溶である。
(11)TLC
シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグラフィー(TLC)で展開溶媒としてクロロホルム:メタノール(9:1) で展開したときのRf
値は、0.39である。
【0011】
本発明による抗生物質ホルママイシンが前記の式(I)で示される化学構造を有することは、プロトンNMR、炭素13NMR、X線結晶解析等の分析を詳細に検討することにより前記の通り決定された。
【0012】
本発明による式(I)のホルママイシンは後記の生物学的性質を有する。
すなわち、ホルママイシンは、植物病原糸状菌を含む各種の糸状菌に対して抗真菌活性を示す。
【0013】
試験例1 ホルママイシンの真菌に対する抗菌活性
各種の糸状菌に対するホルママイシンの抗真菌スペクトルは、1%グルコース加普通寒天培地上で倍数希釈法によって測定した。その結果を表1に示す。
【0014】
【0015】
試験例2 ホルママイシンの植物病原菌に対する抗菌活性
各種の植物病原菌に対するホルママイシンの抗真菌スペクトルは、ポテトスクロース寒天培地上で倍数希釈法によって測定した。その結果を表2に示す。
【0016】
【0017】
試験例3
各種の癌細胞の増殖に対するホルママイシンの50%抑制濃度(IC50)の測定結果を表3に示す。
なお、癌細胞の増殖の50%抑制の濃度の測定法は、MTT法(「Journal ofImmunological Methods」65,55〜60頁(1983)参照)を用いて行った。
【0018】
【0019】
以上のように本発明による抗生物質ホルママイシンは癌細胞に対し増殖抑制活性を示した。
【0020】
さらに第2の本発明によると、サッカロスリックスMK27 − 91F2 株(受託番号 FERM P − 16053 として寄託)を培養し、培養物から、請求項 1 に記載のホルママイシンを採取することを特徴とする、抗生物質ホルママイシンの製造法が提供される。
【0021】
第2の本発明の方法で使用する抗生物質ホルママイシンの生産菌は、前述した理化学的性質および生物学的性質を有する抗生物質を生産する能力を有するものであれば、その種を問わず使用でき、広範な微生物から選ぶことができる。かかる微生物のうち、抗生物質ホルママイシンの生産菌の具体的な好適の一例は、本発明者らにより平成5年9月、微生物化学研究所において、東京都世田谷区の土壌より分離された放線菌で、 MK27−91F2の菌株番号が付された菌であ る。
【0022】
以下にMK27−91F2株の菌学的諸性質について記載する。
1.形態
基生菌糸はよく分技し、分断が認められる。気菌糸は、直状あるいは不規則な曲状に長く伸長し、円筒形〜長円形の胞子状に分断する。又、気菌糸が絡まり合い球状を呈する場合がある。胞子の表面は平滑で、その大きさは約0.3 〜 0.5 × 1.1〜1.9 ミクロンである。輪生技、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子
は認められない。
【0023】
2.各種培地における生育状態
色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー・コーポレーシヨン・オブ・アメリカのカラー・ハーモニー・マニユアル(Container Corporation of America のcolor harmony manual) を用いた。
【0024】
(1)スクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養)
無色の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
(2)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地5、27℃培養)
うす黄茶[2ne, Mustard Gold]の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
(3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培養)
うす黄[2gc, Bamboo〜2ic, Honey Gold]の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0025】
(4)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27℃培養)
うす黄茶[2pg, Mustard Gold] の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。
(5)イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地2、27℃培養)
うす黄茶[3ic, Lt Amber]の発育上に、白〜茶白[3ba, Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
(6)オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養)
うす黄[2gc, Bamboo] の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0026】
3.生理学的性質
(1)生育温度範囲
グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0%、L−アスパラギン0.05%、りン酸水素二カリウム0.05%、ひも寒天 3.0%、pH7.0)を用い、10℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃及び50℃の各温度で試験した結果、10℃、37℃及び50℃での生育は認められず、20℃〜 30℃の範囲で生育した。生育至適温度は30℃付近と思われる。
【0027】
(2)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、ISP-培地4、27℃培養)
培養後5日目頃よりスターチの加水分解を認め、その作用は中等度である。
(3)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブロス、ISP-培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培地、ISP-培地6;チロシン寒天培地、ISP-培地7;いずれも27℃培養)
いずれの培地においても陰性である。
【0028】
(4)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培地、ISP-培地9;27℃培養)
L-アラビノース、D-キシロース、D-グルコース、D-フルクトース、イノシトールを利用して発育し、スクロース、ラフィノースは利用しない。ラムノース、D−マンニトールの利用の存否は判然としない。
(5)硝酸塩の還元反応(0.1 %硝酸カリウム含有ペプトン水、ISP-培地8、 27℃培養)
陰性である。
【0029】
以上の性状を要約すると、MK27−91F2株は、その形態上、基生菌糸はよく分技し、分断を認める。気菌糸は直状あるいは不規則な曲状に長く伸長し、円筒形〜長円形の断片 又は胞子様の構造に分断する。輪生技、菌束糸、胞子の う及び運動性胞子は認められない。種々の培地で、うす黄〜うす黄茶の発育上に白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。メラニン様色素の生成、及び硝酸塩の還元反応はいずれも陰性であり、スターチの水解性は中等度である。
【0030】
ところで、MK27−91F2株の菌体成分は、細胞壁の2,6−ジアミノピメリン酸がメソ型であった。全菌体中の還元糖はアラビノースを含まず、ガラクトースを含む。グリコレートテストの結果はアセチル型であった。又、ミコール酸は含有せず、リン脂質はPII型(ホスファチジルエタノールアミンを含みホスフアチジルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質を含まない)、主要なメナキノンはMK−9(H4 ) であった。脂肪酸はi-16:0を主に含み、i-14:0、i-15:O、16:O、16:1、17:1及びi-16:1を含有した。
【0031】
以上の結果より、MK27−91F2株はサッカロスリックス(Saccharothrix、文献,International Journal of Systematic Bacterlology,34巻,426-431 頁,1984年)属に属するものと考えられる。そごで、MK27−91F2株をサッカロスリックス・エスピー(Saccharothrix sp.)MK27−91F2とする。
なお、MK27−91F2株を工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託申請し、平成9年1月28日、FERM P−16053として受託された。
【0032】
第2の本発明の方法においては、抗生物質ホルママイシンの製造は次の通り行われる。
【0033】
すなわち、抗生物質ホルママイシンの製造は、抗生物質ホルママイシン生産菌を栄養培地中に接種して、25〜30℃、好ましくは27℃の温度で好気的条件下に振とうしながら培養することによって行われ、抗生物質ホルママイシンを含む培養物が得られる。このような目的に用いる栄養培地としては、放線菌の使用しうるものが使用される。栄養源として、例えば市販されているポリペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、トーストソーヤ、硫酸アンモニウム等の窒素源が使用できる。また、グリセリン、でん粉、グルコース、ガラクトースまたはデキストリン等の炭水化物あるいは油などの炭素源が使用できる。さらに食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を添加して使用できる。その他必要に応じて微量の金属塩を添加することができる。これらのものは、抗生物質ホルママイシン生産菌が利用し、抗生物質ホルママイシンの生産に役に立つものであればよく、公知の放線菌の培養材料はすべて用いることができる。
【0034】
抗生物質ホルママイシンの生産には、サッカロスリックス属に属する抗生物質ホルママイシンの生産能を有する微生物が使用される。具体的には、本発明者らの分離したサッカロスリックスMK27−91F2株が使用でき、このMK27−91F2株は抗生物質ホルママイシンを生産することが、本発明者らによって明らかにされているが、その他の菌株については、抗生物質生産菌の単離の常法によって自然界より分離することが可能である。また、サッカロスリックスMK27−91F2株を含めて、抗生物質ホルママイシンの生産菌を放射線照射その他の変異処理に付して、抗生物質ホルママインンの生産能を高める余地も残っている。さらに遺伝子工学的手法による抗生物質ホルママイシンの生産も可能である。
【0035】
抗生物質ホルママイシンの製造のため、サッカロスリックス属に属する抗生物質ホルママイシン生産菌を適当な培地で好気的に培養するに当っては、培養温度は、抗生物質ホルママイシン生産菌の発育が実質的に阻害されずにこの物質を生産しうる範囲であれば、特に制約されるものでない。使用する生産菌に応じて培養温度は適当に選択できるが、好ましくは25〜30℃の範囲内の温度を挙げることができる。
【0036】
ホルママイシン生産のための種母培地に接種するものとしては、寒天培地上、MK27−91F2株の斜面培養から得た生育物を使用できる。
【0037】
このMK27−91F2株の生育は通常3ないし7日で最高に達するが、一般に、充分な抗真菌活性が培地に付与されるまで培養を続ける。この培養液中のホルママイシンの力価の経時変化は、高速液体クロマトグラフィーあるいはアスペルギルス・フミガツスを被検菌とする円筒平板法により測定できる。
【0038】
第2の本発明の方法においては、上記のようにして得られたホルママイシン生産菌の培養物からホルママイシンを採取する。ホルママイシンの採取法としては、微生物の生産する代謝物を採取する時に用いられる手段を適宜利用することからなる。例えば、水と混ざらない溶媒による抽出の手段、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する手段、ゲルろ過、向流分配を利用したクロマトグラフィー等を単独または組み合わせて利用しホルママイシンを採取できる。また、分離した菌体からは、適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕による溶出法により菌体から抽出し、上記と同様に単離精製して採取することができる。かくして前記した抗生物質ホルママイシンが得られる。
【0039】
さらに、第3の本発明では、式(I)のホルママイシンを有効成分とする抗真菌が提供される。
【0040】
また、第4の本発明によると、式(I)のホルママイシンを有効成分とする抗腫瘍剤が提供される。
【0041】
この抗真菌または抗腫瘍剤においては、有効成分は製薬学的に許容できる常用の固体または液状担体、例えばエタノ一ル、水、でん粉等と混和できる。
【0042】
さらに、第5の本発明では、前記の式(I)のホルママイシンを生産する特性を持つサッカロスリックスMK27−91F2株が新規な微生物として提供される。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
抗生物質ホルママイシンの製造
寒天斜面培地に培養したサッカロスリックスMK27−91F2株(FERMP−16053)を、グリセロール 2.5%、酵母エキス 1.0%、肉エキス 0.5%、ポリペプトン 0.5%、食塩 0.2%、硫酸マグネシウム0.05%、リン酸水素二カリウム0.05%、炭酸カルシウム0.32%を含む液体培地(pH 7.4に調整)を三角フラスコ(500 ml容)に110 mlずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌したものに接種し、その後30℃で3日間回転振とう培養した。これにより種母培養液を得た。
【0044】
グリセロール 2.0%、デキストリン 2.0%、バクトソイトン 1.0%、酵母エキス 0.3%、硫酸アンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%を含む液体培地(pH 7.2 に調整)をジャーファーメンター(30リットル容、2基)に各15リットル入れ滅菌した後、上記種母培養液を2%量で接種し、27℃で4日間培養した。
【0045】
このようにして得られた培養液を遠心分離して菌体を分離した。菌体に6リットルのアセトンを加え、十分撹拌した後ろ過した。得られたアセトン抽出液は、減圧下でアセトンを溜去し約2リットルに濃縮し、酢酸エチル3リットルでホルママイシンを抽出した。ホルママイシンを含む酢酸エチル層を分離した後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。この抽出液を減圧下で濃縮し、ホルママイシンを含む暗褐色油状物を約5.3g得た。
【0046】
得られた暗褐色油状物は、へキサン−アセトニトリル(1:1、200 ml)の混合溶液で分配を行った。ホルママイシンを多く含むアセトニトリル層(下層)を分離した。さらに、この分離したアセトニトリル溶液にへキサンを加え分配を行い、ホルママイシンを多く含むアセトニトリル層(下層)を分離した。再度、この分離したアセトニトリル溶液にヘキサンを加え分配を行った。ホルママイシンを多く含むアセトニトリル層(下層)を分離し、減圧下で濃縮し、ホルママイシンを含む褐色油状物を約1.9 g 得た。
【0047】
得られたホルママイシンを含む褐色油状物を少量のエタノールに完全に溶かした後、エタノールで膨潤させたセフアデックスLH−20(ファルマシア社)を充填したカラム(内径26mm×長さ250mm)によりゲルろ過クロマトグラフイーにかけた。ホルママイシンを含む画分を集め、減圧下で濃縮乾固することによりホルママイシンを含む褐色油状物を約 697mg得た。
【0048】
ついで、このホルママイシンを含む褐色油状物を、遠心液液分配クロマトグラフィーを使って精製した。すなわち、ヘキサン−エタノール−水(100:85:15)にて上昇法により遠心液液分配クロマトグラフィーを行った。ホルママイシンは反転溶出区に溶出された。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することによりホルママイシンを含む淡褐色油状物の約 159mgを得ることが出来た。このホルママイシンを含む油状物を、シリカゲルカラム(内径18mm×長さ300mm)にのせ、クロロホルム−酢酸エチルの展開液でクロマトグラフィーを行った。ホルママイシンを含む画分を集め、減圧下で濃縮乾固することにより無色油状のホルママイシン 40.5mgを得た。このホルママイシンをジエチルエーテル中で結晶化し、無色板状結晶のホルママイシン23mgを得た。融点201 〜202 ℃。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はホルママイシンのエタノール溶液中の紫外線吸収スペクトルである。
【図2】図2は、ホルママイシンのKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3はホルママイシンの重ベンゼン溶液中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【図4】図4はホルママイシンの重ベンゼン溶液中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
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