JPH10251289A - 新規抗生物質ノスラマイシンとその製造方法 - Google Patents

新規抗生物質ノスラマイシンとその製造方法

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JPH10251289A
JPH10251289A JP5917697A JP5917697A JPH10251289A JP H10251289 A JPH10251289 A JP H10251289A JP 5917697 A JP5917697 A JP 5917697A JP 5917697 A JP5917697 A JP 5917697A JP H10251289 A JPH10251289 A JP H10251289A
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JP
Japan
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nosuramycin
antibiotic
medium
nocardia
culture
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JP5917697A
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Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 濱田
Isao Momose
功 百瀬
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リファンピシン耐性菌を含む抗酸性菌に対し
てすぐれた抗菌活性を示し、また抗腫瘍活性を示す新し
い分子骨格を有する抗生物質を提供する。 【解決手段】 式(I) で表わされるノスラマイシンが新規抗生物質としてノカ
ルディア・エスピー MJ896-43F17株の培養により得られ
た。ノスラマイシンあるいはそれの塩は各種の抗酸性菌
に対する抗菌活性と抗腫瘍活性とを有する抗生物質であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性及び抗腫
瘍活性を示す新規な抗生物質ノスラマイシン(Nothramic
in)、あるいはこれの塩に関し、また本発明はノスラマ
イシンの製造法に関する。さらに本発明は、ノスラマイ
シンまたはそれの塩を有効成分とする抗菌剤及び抗腫瘍
剤に関する。また、本発明は新規抗生物質ノスラマイシ
ンを生産する特性を持つ微生物としてノカルデイア・エ
スピー MJ896-43F17株を包含する。
【0002】
【従来の技術】種々な多数の抗菌物質が知られており、
また種々な多数の抗腫瘍性物質が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】細菌感染症の化学療法
において、多剤耐性菌の出現は重大な問題である。従来
知られているまたは使用されている既知の抗菌性化合物
とは異なる化学構造を有し且つ優れた抗菌活性を示す新
しい化合物の発見または創製をすることは常に望まれて
おり、そのための研究が行われている。また抗腫瘍性物
質は、一般に強い毒性を有するものが多く、その抗腫瘍
剤としての使用に当たって大きな制約となっている。そ
こで、毒性が低く且つ新規な化学構造を有する抗腫瘍性
物質を発見または創製することが常に望まれており、そ
のための研究が行われている。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記の
要望に応えることができる抗菌活性及び抗腫瘍活性を持
つ新規な抗生物質を提供することを目的に、従来より有
用な抗生物質の開発と実用化の研究を促進してきた。そ
の結果、土壌試料からノカルデイア属に属する菌株を分
離することに成功し、またこの菌株が新しい構造骨格を
有する抗生物質を生産していることを見い出した。この
新規抗生物質を単離することに成功し、後記の式(I)
で示される化学構造を有することを確認し、そしてノス
ラマイシンと命名した。更に、この新規抗生物質が抗酸
性菌に抗菌活性を示し、また癌細胞の増殖に対して抑制
活性を示すことを見い出した。
【0005】すなわち、第1の本発明においては、次式
(I): で表わされる化合物であるノスラマイシン、あるいはこ
れの塩が提供される。
【0006】ノスラマイシンの塩としては、ノスラマイ
シンのジメチルアミノ基における製薬学的に許容できる
酸、例えば塩酸、硫酸のような無機酸あるいは酢酸、メ
タンスルホン酸のような有機酸との酸付加塩が包含さ
れ、またノスラマイシンのフェノール性水酸基における
金属塩、例えばナトリウムのようなアルカリ金属との塩
が包含される。
【0007】次に、本発明の抗生物質ノスラマイシンの
理化学的性状を記載する。
【0008】A) 外観及び性質:赤色粉末、両性物質 B) 融点:140〜145℃ C) TLCのRf値:0.21 シリカゲル(Art.105715、メルク社製)の薄層クロマト
グラフィーで展開溶媒としてクロロホルムーメタノール
(3:1)で展開して測定した場合 D) マススペクトル(m/z): 588(M + H)+ 587 (M-) E) 高分解能マススペクトル:実験値 588.2431(M + H)+ 計算値 588.2445 F) 分子式:C3037NO11 G) 紫外線吸収スベクトル (i) メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトルは添
付図面の図1に示す。主なピークは次のとおりである。 λmax nm(ε) 233(51800)、257(20200)、290(sh,910
0)、472(13400) (ii) 0.01N NaOH−メタノール溶液中で測定したUV吸収
スペクトルは添付図面の図2に示す。主なピークは次の
とおりである。 λmax nm(ε) 238(44300)、280(9500)、 323(4200) 、5
36(13600) (iii) 0.01N HCl−メタノール溶液中で測定したUV吸
収スペクトルは添付図面の図3に示す。主なピークは次
のとおりである。 λmax nm (ε) 233(53300)、257(21200)、290(sh,950
0)、473(14000)
【0009】H) 赤外線吸収スペクトル (KBr錠剤法):
添付図面の図4に示す。 νmax(cm-1) 3400、2930、1620、1470、1410、1290、12
25、1180、 1010、990 I) 1H-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図面の図5に
示す。 J) 13C-NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図而の図6に
示す。
【0010】さらに、抗生物質ノスラマイシンの生物学
的性状を次に記載する。 A) 抗菌活性 本発明による抗生物質ノスラマイシンの各種細菌に対す
る最低発育阻止濃度を測定して次の表1に示す。各種の
耐性菌に対しても抗菌活性を示した。この抗菌スペクト
ルは、ニュートリエント+l%グリセリン寒天培地で標
準の倍数希釈法により測定した。
【0011】[表1] (注)1)パロモマイシン耐性 2)カプレオマイシン耐性 3)バイオマイシン耐性 4)ストレプトスライシン耐性 5)カナマイシン耐性 6)ストレプトマイシン耐性 7)リフアンピシン耐性
【0012】B) 癌細胞増殖抑制活性 各種の癌細胞を用いて癌細胞の増殖を50%抑制するノス
ラマイシンの濃度(IC50値)を、MTT法(「Journal of Im
munological Methods」65巻、 55-60頁(1983年)参照)
で測定した。その結果を表2に示す。
【0013】[表2]
【0014】表1の結果から明らかなように、本発明に
よる抗生物質ノスラマイシンは、各種の抗酸性菌に対し
て抗菌活性を有し、また結核菌が抗酸性菌の一種である
ことから抗結核薬として有用である。また、表2の結果
から明らかなように、ノスラマイシンは各種の癌細胞の
増殖を抑制する抗腫瘍活性を有することから抗腫瘍剤と
して有用である。
【0015】さらに第2の本発明によれば、ノカルデイ
ア属に属する、前記の式(I)のノスラマイシンの生産
菌を培地に培養し、その培養物からノスラマイシンを採
取することを特徴とする、抗生物質ノスラマイシンの製
造法が提供される。
【0016】第2の本発明の方法で使用できるノスラマ
イシンの生産菌の一例として、ノカルデイア・エスピー
MJ896-43F17株がある。この生産菌は平成4年10月、微
生物化学研究所において神奈川県三浦市の土壌より分離
された放線菌で、MJ896-43F17の菌株番号が付された微
生物である。
【0017】MJ896-43F17株の菌学的性状を次に記載す
る。 1. 形態 基生菌糸はよく分枝し、分断が認められる。気菌糸は、
直状あるいは不規則ならせん状に長く伸長し、円筒形〜
長円形の胞子状に分断する。また、気菌糸の先端が絡ま
り、球状を呈する場合がある。胞子の表面は平滑で、大
きさは約0.3〜0.5 ×0.8〜1.2ミクロンである。輪生
枝、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。
【0018】2. 各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す色の標準は、コンティ
ナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハ
ーモニー・マニュアル(Container Corporationof Ameri
ca のcolor harmony manual)を用いた。 (1) シュクロース・硝酸塩寒天培地 (27℃培養) 無色〜うす黄[3ca, Pearl Pink] の発育上に、白の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (2) グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地5、
27℃培養) うすだいだい[3ea, Lt Melon Yellow] の発育上に、ピ
ンク白[5ba, ShellPink]の気菌糸を着生し、溶解性色素
はかすかにうすだいだいを帯びる。 (3) スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) 無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。 (4) チロシン寒天培地(ISP-培地7、27℃培養) うすだいだい[3ea, Lt Melon Yellow]〜うす黄茶[3ic,L
t Amber] の発育上に、ピンク白[5ba, Shell Pink]の気
菌糸を着生し、溶解性色素はかすかにうすだいだいを帯
びる。
【0019】(5) イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地
2、27℃培養) にぶだいだい[4ic, Pastel Orange] の発育上に、ピン
ク白[4ca, FleshPink] の気菌糸を着生し、溶解性色素
はピンクを帯びる。 (6) オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) 無色〜うす黄[3ca, Pearl Pink] の発育上に、白〜ピン
ク白[5ba, ShellPink] の気菌糸を着生し、溶解性色素
はかすかにうすピンクを帯びる。
【0020】3. 生理的性質 (1) 生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0
%、L−アスパラギン0.05%、リン酸水素二カリウム
0.05%、ひも寒天3.0%、pH7.0)を用い、10℃、20℃、2
4℃、27℃、30℃、37℃及び50℃の各温度で試験した結
果、50℃での生育は認められず、10℃〜37℃の範囲で生
育した。生育至適温度は27℃〜30℃付近である。 (2) スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、
ISP-培地4、27℃培養) 21日間の培養でスターチの加水分解は認められない。 (3) メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブ
ロス、ISP-培地1;ぺプトン・イースト・鉄寒天培地、
ISP-培地6;チロシン寒天培地、ISP-培地7;いずれも
27℃培養) いずれの培地においても陰性である。 (4) 炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培
地、ISP-培地9、27℃培養) D−グルコース、myo−イノシトール、ラムノースを利
用して発育し、D−フラクトース、D−マンニトールは
おそらく利用する。L−アラビノースはおそらく利用せ
ず、D一キシロース、シュクロース、ラフィノースは利
用しない。 (5) 硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプト
ン水、ISP-培地8、27℃培養) 陽性である。
【0021】4. 菌体成分 (1) 細胞壁組成 メソ型の2,6-ジアミノピメリン酸を含有する。 (2) 全菌体中の還元糖 アラビノース、ガラクトースを含み、A型である。 (3) 細胞壁ぺプチドグリカンのムラミン酸のアシルタイ
プ グリコレートテストの結果、グリコリル型である。 (4) イソプレノイド・キノン 主要なメナキノンとしてMK-8(H4) 及び少量のMK-8(H2)
を含有する。 (5) リン脂質 ホスファチジルエタノールアミンを含み、ホスファチジ
ルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質を含ま
ず、PII型を示す。 (6) ミコール酸 含有する。 (7) 脂肪酸 16:0 (へキサデカン酸)、10-methyl-18:0(10-メチルオ
クタデカン酸)を主成分とし、16:1 (ヘキサデセン酸)
及び18:1 (オクタデセン酸)を含有する。
【0022】以上の性状を要約すると、MJ896-43F17株
は、その形態上、基生菌糸はよく分枝し、分断を認め
る。気菌糸は直状あるいは不規則ならせん状に長く伸長
し、円筒形〜長円形の胞子状に分断する。輪生枝、菌束
糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。種々の培
地で、無色〜うすだいだい〜にぶだいだいの発育上に白
〜ピンク白の気菌糸を着生する。溶解性色素はかすかに
うすピンクあるいはうすだいだいを帯びる。 メラニン
様色素は生成せず、硝酸塩の還元反応は陽性であり、ス
ターチの水解性は認められない。
【0023】MJ896-43F17株の菌体成分は、細胞壁にメ
ソ型の2,6-ジアミノピメリン酸を含有し、全菌体中の還
元糖はA型、グリコレートテストの結果はグリコリル型
である。主要なメナキノンはMK-8(H4 )及びMK-8(H2 )
で、リン脂質はPII型である。ミコール酸を含有する。
脂肪酸は16:0、10-methyl-18:0,16:1及び18:1を含有す
る。以上の結果より、MJ896-43F17株はノカルデイア(N
ocardia、文献、Bergy'sManual of Systematic Bacteri
ology、4巻、2350-2361頁、1989年)属に属するものと
考えられる。そこで、MJ896-43F17株をノカルデイア・
エスピー(Nocardia sp.) MJ896-43Fl7とする。なお MJ8
96-43F17株を工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託
申請し、平成9年2月7日、FERM P-16068として受託さ
れた。
【0024】第2の本発明の方法を実施するに当って
は、ノカルディア属に属するノスラマイシンの生産菌を
栄養培地に接種し、この培地中で培養する。ここで用い
る栄養培地は、前記の生産菌が資化できる炭素源と窒素
源を栄養成分として含有するものである。その栄養源と
しては、通常微生物の栄養源として通常に使用されるも
の、例えば炭素源、窒素源、無機塩などの資化できる栄
養源を使用できる。例えば、ぶどう糖、麦芽糖、糖密、
デキストリン、グリセリン、澱粉などの炭水化物や、大
豆油、落花生油などの油脂のごとき炭素源を使用でき、
またぺプトン、肉エキス、綿実紛、大豆紛、酵母エキ
ス、カゼイン、コーン・スチープ・リカー、NZ-アミ
ン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモ
ニウムなどの窒素源を使用できる。さらに、燐酸二カリ
ウム、燐酸ナトリウム、食塩、炭酸カルシウム、硫酸マ
グネシウム、塩化マンガンなどの無機塩が使用でき、必
要により微量金属、例えばコバルト、鉄などを添加する
ことができる。栄養源としては、その他、抗生物質ノス
ラマイシンを生産するのに使用する生産菌が利用しうる
ものであれば、いずれの公知の栄養源でも使用できる。
【0025】培地における上記のごとき栄養源の各成分
の配合割合は特に制約されるものでなく、広範囲に亘っ
て変えることができ、使用するノスラマイシン生産菌に
よって、最適の栄養源の組成及び配合割合は、当事者で
あれば簡単な小規模実験により容易に決定することがで
きる。また、上記の栄養源からなる栄養培地は、培養に
先立ち殺菌することができ、この殺菌の前または後で、
培地のpHを6〜8の範囲、特にpH 6.5〜7.5の範囲に調
節するのが有利である。
【0026】かかる栄養培地でのノスラマイシン生産菌
の培養は、一般の放線菌による抗生物質の製造において
通常使用されている方法に準じて行うことができる。通
常は好気条件下に培養するのが好適であり、通常は攪拌
しながら及び/又は通気しながら行なうことができる。
また、培養方法としては静置培養、振とう培養、通気攪
拌をともなう液内培養のいずれも使用可能であるが、液
体培養がノスラマイシンの大量生産に適している。
【0027】使用しうる培養温度はノスラマイシン生産
菌の発育が実質的に阻害されず、該抗生物質を生産しう
る範囲であれば、特に制限されるものではなく、使用す
る生産菌に応じて適宜選択できるが、特に好ましいのは
25〜30℃の範囲内の温度を挙げることができる。培養は
通常にはノスラマイシンが十分に蓄積するまで継続する
ことができる。その培養時間は培地の組成や培養温度、
使用生産菌株などにより異なるが、通常4〜8日間の培
養で目的の抗生物質を得ることができる。
【0028】培養を実施するに当って培地中の抗生物質
ノスラマイシンの蓄積量は、ミコバクテリウム・スメグ
マチスATCC 607を使用して、通常の抗生物質の定量に用
いられる円筒平板法により定量することができる。
【0029】かくして、ノスラマイシン生産菌の培養物
中に蓄積されたノスラマイシンは、これを培養物から採
取する。培養後、必要により、濾過、遠心分離などのそ
れ自体公知の分離方法によって菌体を除去した後、その
濾液を有機溶媒、特に酢酸ブチルなどを用いた溶媒抽出
や、吸着やイオン交換能を利用したクロマトグラフィ
ー、ゲルろ過、向流分配を利用したクロマトグラフィー
を単独で又は組み合わせて使用することにより単離精製
して採取することができる。吸着やイオン交換能を有す
るクロマトグラフィー用担体としては、活性炭,シリカ
ゲル,多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂もし
くは各種のイオン交換樹脂を用いることができる。
【0030】また、分離した菌体からは、適当な有機溶
媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕による溶出法により菌
体から目的の抗生物質を抽出し、上記と同様に単離精製
することができる。かくして、前記した特性を有する本
発明の抗生物質ノスラマイシンが得られる。
【0031】さらに、第3の本発明では、前記の式
(I)で表わされるノスラマイシンまたはそれの製薬学
的に許容できる塩を有効成分とする抗菌剤が提供され
る。
【0032】さらに、第4の本発明では、前記の式
(I)で表わされるノスラマイシンまたはそれの製薬学
的に許容できる塩を有効成分とする抗腫瘍剤が提供され
る。
【0033】本発明による抗菌剤または抗腫瘍剤におい
ては、有効成分としてのノスラマイシンあるいはその塩
は、製薬学的に許容できる常用の固体又は液体担体、例
えばエタノール、水、デンプン等と混和されている形の
組成物であることができる。また、第5の本発明では、
新規な微生物として、前記の式(I)のノスラマイシンを
生産する特性をもつノカルデイア・エスピー MJ896-43F
17株が提供される。
【0034】
【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0035】実施例1 抗生物質ノスラマイシンの製造 ガラクトース2%、デキストリン2%、ソイペプトン1
%、粉末コーン・スチープ・リカー 0.5%、グリセリン
1%、硫酸アンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2
%、シリコーンオイルl滴を含む液体培地(pH 7.4に調
整)を三角フラスコ(500 ml容)に110 mlずつ分注し、
常法により120℃で20分滅菌したものに、寒天斜面培地
に培養したノカルディア・エスピー MJ896-43F17株(FER
M P-16068)を接種し、その後30℃で3日間回転振とう
培養した。これにより種母培養液を得た。
【0036】酵母エキス 0.5%、グルコース1%、ポテ
ト・スターチ2%、カザミノ酸 0.5%、炭酸カルシウム
0.4%を含む液体培地をジャーファーメンター(30リッ
トル容)に15リットルずつ分注し、常法により120 ℃で
20分滅菌した。その後、上記の種母培養液をそれぞれ55
0 mlずつ接種し、撹拌数 200rmp 、通気量15リットル/
分で8日間27℃で通気撹拌条件下で培養した。
【0037】このようにして得られた培養液30リットル
を遠心分離し、菌体を分離した。培養ろ液はダイヤイオ
ンHP-20 (1.5リットル)を充填したカラムに吸着させ、
水3リットルで洗浄し、続いて30%メタノール水2リッ
トルで洗浄の後、50%アセトン水で溶出した。抗菌活性
のある分画を集め減圧下で 2.0リットルまで濃縮し、pH
を8.0 に調整し、酢酸ブチル2リットルで二度抽出し
た。この酢酸ブチル抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後に減圧下で濃縮乾固して、赤色油状物質(437.2mg) を
得た。
【0038】この物質を高速液体クロマトグラフイー
(カラム:資生堂カプセルパックUG)に供し、アセトニ
トリル−0.45%リン酸水(20:80)で溶出した。抗菌活
性のある分画を集め0.1N-NaOHで中和し、減圧下で濃縮
した。この濃縮液をpH 8.0に調整しクロロホルムを加え
抽出した。クロロホルム層を水洗後、減圧下で濃縮乾固
することによりノスラマイシンを分離精製した。ノスラ
マイシンが融点140 〜145 ℃の赤色粉末として105.1 mg
の収量で得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノスラマイシンのメタノール溶液中の紫外線吸
収スペクトルである。
【図2】ノスラマイシンの0.01N NaOH−メタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【図3】ノスラマイシンの0.01N HCl−メタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【図4】ノスラマイシンのKBr錠剤法で測定した赤外線
吸収スペクトルである。
【図5】ノスラマイシンの重クロロホルム溶液(内部標
準:テトラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気
共鳴スペクトルである。
【図6】ノスラマイシンの重クロロホルム溶液(内部標
準:テトラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共
鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:365) (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 百瀬 功 東京都日野市栄町3丁目1番地35号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): で表わされる化合物である抗生物質ノスラマイシン、ま
    たはそれの塩。
  2. 【請求項2】 ノカルディア属に属して次式(I) で表されるノスラマイシンを生産する菌を培地に培養
    し、その培養物からノスラマイシンを採取することを特
    徴とする、抗生物質ノスラマイシンの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に示された式(I)の抗生物質
    ノスラマイシンまたはそれの製薬学的に許容できる塩を
    有効成分とする抗菌剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に示された式(I)の抗生物質
    ノスラマイシンまたはそれの製薬学的に許容できる塩を
    有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 抗生物質ノスラマイシンを生産する特性
    を持つノカルディア・エスピー MJ896-43F17株。
JP5917697A 1997-03-13 1997-03-13 新規抗生物質ノスラマイシンとその製造方法 Pending JPH10251289A (ja)

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JP (1) JPH10251289A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101088600B1 (ko) 2009-11-19 2011-12-06 조선대학교산학협력단 노카르디아속 균주로부터 항균 활성 화합물의 발효 및 분리 정제 방법
WO2014132902A1 (ja) * 2013-02-26 2014-09-04 公益財団法人微生物化学研究会 新規化合物、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物

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