明 細 書
新規抗生物質キガマイシン類とその用途 技術分野
本発明は、 抗菌活性と抗腫瘍活性または抗癌活性とを示す新規抗性物質キガマ イシン (K i gam i c i n) 類、 詳しくはキガマイシン A、 キガマイシン B、 キガマイシ ン G、 キガマイシン Dおよびキガマイシン Eあるいはこれらの塩に関する。
また、 本発明はそれらのキガマイシン類の製造法に関する。 さらに本発明は、 キガマイシン類またはそれらの塩を有効成分とする医薬組成物、 特に抗菌剤及ぴ 抗腫瘍剤組成物に関する。 さらに、 本発明は新規抗生物質キガマイシン類を生産 する特性を持つ新規な微生物としてァミコラトプシス sp. ML630- mF1株を包含 する。
なお、 本明細書では、 キガマイシン A、 キガマイシン B、 キガマイシン G、 キガ マイシン D、 キガマイシン Eの少くとも一つまたは全部、 あるいはそれらの少くと も 2つの混合物を、 総括的にキガマイシン類(a k i gam i c i n) と称することがある。 背景技術
'種々な多数の抗菌物質が知られており、 また種々な多数の抗腫瘍性物質が知ら れている。
細菌感染症およぴ癌の化学療法において、 従来知られているまたは使用されて レ、る既知の化合物とは、 異なる化学構造を有し且つ優れた活性を示す新しい化合 物の発見または創製をすることは常に望まれており、 そのための研究が行われて いる。
発明の開示
本発明者らは、 上記の要望に応えることができる抗菌活性及ぴ抗腫瘍活性を持 つ新規な抗生物質を提供することを目的に、 従来より有用な抗生物質の開発と実
用化の研究を促進してきた。 その結果、 土壌試料から新規な微生物としてアミコ ラトプシス属に属する菌株を分離することに成功し、 またこの菌株が新しい構造 骨格を有する抗生物質の少くとも 5種を生産していることを見い出した。 これら の新規抗生物質を単離して且つそれらの化学構造を決定することに成功し、 総括 的にキガマイシンと命名した。 さらに、 単離された 5種の抗生物質をキガマイシ ン八、 キガマイシン B、 キガマイシン G、 キガマイシン D、 キガマイシン Eとそれ ぞれ命名した。 更に、 これらの新規抗生物質が薬剤耐性菌 (メチシリン耐性菌等) をふくんだグラム陽性の細菌に抗菌活性を示し、 また癌細胞の増殖に対して抑制 活性を示すことを見い出した。
すなわち、 第 1の本発明においては、 次の一般式 ( I ) :
〔式中、 Rはキガマイシン Αでは次式
の糖鎖を示し、 キガマイシン Bでは次式
の糖鎖を示し、 キガマイシン Gでは次式
W
3
の糖鎖を示し キガマイシン Dでは次式
の糖鎖を示す〕 で表される化合物である、 抗生物質キガマイシン A、 キガマイシ ン B、 キガマイシン G、 キガマイシン D、 およぴキガマイシン E、 あるいはこれら キガマイシン類の製薬学的に許容される塩が提供される。
一般式 ( I ) で表されるキガマイシン類は、 酸性物質であり、 その製薬学的に 許容される塩としては、 第 4級アンモユウム塩などの有機塩基との塩、 あるいは 各種金属との塩、 例えばナトリウムのようなアルカリ金属との塩があり、 これら の塩も上記の抗菌活性と抗腫瘍活性を有する。
次に、 本発明の抗生物質キガマイシン A、 B、 G、 Dおよび Eの理化学的性状を 記載する。
( 1 ) 次式 (l a)
で表される抗生物質キガマイシン Aの理化学的性状は次のとおりである。
A) 外観及び性質:黄色粉末、 酸性物質
B) 融点: 225°C
0 比旋光度: [a]D 24 — 153,0。 (G 1.00、 メタノール )
D) HPLGでの保持時間 (Retention time) 値: 4.46分
カプセルパック (タイプ UG120A 5 /m、 4.6径 x150画、 資生堂製) の高速液体 クロマトグラフィ一で溶出溶媒として 40%ァセトニトリルー 60%精製水で溶出し て測定した場合である。
E) マススペク トル(m / z) : 666.30 (M +H) + 664.34 (M— H)一
F) 高分解能マススぺクトル:実験値 688.20546 (M+Na) +
計算値 688.20061
G) 分子式: C34H35N013
H) 紫外線吸収スぺク トル:添付図面の第 1図に 10 g/mlの濃度の溶液でのスぺ クトル図を示す。
(実線) メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主なピークは次の とおりである。
λ nm (ε) 217 (47200)、 236 (43900)、 254 (43600)、 280 (34600)、 341 (19100)
(点線) 0.01N HGI—メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主なピ ークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 217 (47300)、 236 (46600)、 254 (47400)、
280 (37400) 、 341 (21300)
(破線) 0.01Ν NaOH—メタノール溶液中で測定した UV吸収スペクトル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 280 (30900)、 366 (20000)
I) 赤外線吸収スペクトル (KBr 錠剤法) :添付図面の第 2図に示す。
(cm 一 1) 2935、 2873、 1654、 1619、 1587、 1486、 1469、 1436、 1361 、 1257、 1193、 1166、 "22、 1064、 941、 871、 804、 619、 431、 412
J) 1H一剛 R スぺクトル(GDGI3/ MS) :添付図面の第 3図に示す。
K) 13C 一國 Rスぺクトル(GDGI3/TMS) :添付図面の第 4図に示す。
(2) 次式 (lb)
で表される抗生物質キガマイシン Bの理化学的性状は次のとおりである。
A) 外観及び性質:黄色粉末、 酸性物質
B) 融点: 225°C
0 比旋光度:濃度が不足して測定が不正確なので記載しない。
D) HPLCでの保持時間 (Retention time) 値: 7.99分
カプセルパック (タイプ UG120A 5j«m、 4.6径 150 (11111、 資生堂製) の高速液体 クロマトグラフィーで溶出溶媒として 40%ァセトニトリル一 60%精製水で溶出し て測定した場合である。
E) マススぺク トル(m / z) : 780.4 (M+H) + 778.4 (M -H)一
F) 高分解能マススぺク トル:実験値 802.26471 (M + Na) +
計算値 802.26869
G) 分子式: G4。H45N015
H) 紫外線吸収スぺクトル:添付図面の第 5図に 10/ g/mlの濃度の溶液でのスぺ クトル図を示す。
(実線) メタノール溶液中で測定した UV吸収スペク トル。 主なピークは次の とおりである。
Amax nm (ε) 217 (53300) 、 236 (51400)、 254 (50900) 、 280 (40500)、 341 (22200)
(点線) 0.01 N HC I—メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 217 (57000) 、 236 (54500)、 254 (56900) 、 280 (43600)、 341 (24900)
(破線 ) 0.01 NaOH—メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 280 (37000)、 366 (23400)
I) 赤外線吸収スペク トル (KBr 錠剤法) :添付図面の第 6図に示す。
z max (cm一1) 2946、 2867、 2834、 1617、 1486、 1440、 1361、 1332、 1274、 1257、 1203、 1170、 1126、 1060、 977、 944、 875、 757、 622、 430 J) 1H—刚 R スぺクトル(CDG ZTMS) :添付図面の第 7図に示す。
K) 13C — NMRスペク トル(GDGI3/ TMS) :添付図面の第 8図に示す。
(3) 次式 (lc)
で表される抗生物質キガマイシン Gの理ィ匕学的性状は次のとおりである。
A) 外観及び性質:黄色粉末、 酸性物質
B) 融点: 210°C
C) 比旋光度: [ ]D 24 - 154.0° (c 1.00、 メタノール)
D) HPLGでの保持時間 (Retention time) 値: 7.74分
カプセルパック (タイプ UG120A 5jwm、 4.6径 x150圆、 資生堂製) の高速液体 クロマトグラフィ一で溶出溶媒として 40%ァセトニトリルー 60%精製水で溶出し て測定した場合である。
E) マススペク トル (m / z) : 810.4(M +H) + 808.4 (M—H)—
F) 高分解能マススぺク トル:実験値 832.27626 ( + Na) +
計算値 832.27925
G) 分子式: G41H47N016
H) 紫外線吸収スぺクトル:添付図面の第 9図に 10 g/mlの濃度の溶液でのス クトル図を示す。
(実線) メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主なピークは次の とおりである。
Amax nm (ε) 217 (23400)、 236 (21800)、 254 (21000)、 280 (16600) 、 341 (10500)
(点線) 0· 01N HGI—メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺク トノレ。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 217 (22700)、 236 (21800)、 254 (22200)、 280
(17600) 、 341 (9700)
(破線) 0.01Ν NaOH—メタノール溶液中で測定した UV吸収スペク トル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 280 (14200)、 366 (8500)
I) 赤外線吸収スぺク トル (KBr 錠剤法) :添付図面の第 10図に示す。
vm cm — 2946、 2877、 2830、 1648、 〗619、 1583、 1486、 1467、 1442 、 1363、 1276、 1205、 1170、 "03、 1062、 944、 877、 804、 624、 418
J) 1H -NMR スぺクトル(GDGI3ZTMS) :添付図面の第 11図に示す。
K) 13C ― NMRスぺクトル (GDC /TMS) :添付図面の第 12図に示す。
(4) 次式 (Id)
で表される抗生物質キガマイシン Dの理化学的性状は次のとおりである。
A) 外観及び性質:黄色粉末、 酸性物質
B) 融点: 210°C
C) 比旋光度: [or]D 24 — 190.6° (G 1.00、 メタノール )
D) HPLCでの保持時間 (Retent i on t i me) 値: 11.69分
カプセルパック (タイプ UG120A 5u , 4.6径 x150謹、 資生堂製) の高速液体 クロマトグラフィ一で溶出溶媒として 40%ァセトェトリルー 60%精製水で溶出し て測定した場合である。
E) マススぺク トル(m / z) : 954.6 (M +H) + 952.4 ( -H)―
F) 高分解能マススぺク トル:実験値 976.35310(M + Na) +
計算値 976.35790
G) 分子式: G48H59N019
H) 紫外線吸収スペク トル:添付図面の第 13図に 10〃 g/mlの濃度の溶液でのスぺ クトル図を示す。
(実線) メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主なピークは次の とおりである。
Amax nm (ε) 217 (36200)、 236 (32900)、 254 (31700)、 280 (24800) 、 341 (13300)
(点線) 0· 01 N HG I —メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 217 (34300) Ν 236 (32700)、 254 (33400)、 280 (25900) 、 341 (15000)
(破線 ) 0.01Ν NaOHーメタノール溶液中で測定した UV吸収スペク トル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 280 (21000) 、 366 (13300)
I) 赤外線吸収スぺク トル (KBr 錠剤法) :添付図面の第 14図に示す。
max(cm — 1) 2975、 2938、 2873、 2832、 1619、 1585、 1467、 1442、
1276、 1203、 1166、 1105、 1062、 989、 944、 802、 622、 470、 447
J) 1H—刚 R スぺクトル(GDGI3/TMS) :添付図面の第 15図に示す。
K) 13C -刚 Rスぺクトル(GDGI3ZTMS) :添付図面の第 16図に示す。
(5) 次式 (le)
で表される抗生物質キガマイシン Eの理ィヒ学的性状は次のとおりである。
A) 外観及び性質:黄色粉末、 酸性物質
B) 融点: 210°C
0 比旋光度: [ ]。24 — 175.2。 (c 1.00、 メタノール )
D) HPLGでの保持時間 (Retention time) 値: 16.49分
カプセルパック (タイプ UG120A 5 m、 4.6径 x150國、 資生堂製) の高速液体 クロマトグラフィ一で溶出溶媒として 40%ァセトニトリルー 60%精製水で溶出し て測定した場合である。
E) マススペク トル (m / z) : 1098.6 (M +H) + 1096.6 (M -H) - F) 高分解能マススペク トル:実験値 1120.43568 (M+ Na) +
計算値 1120.43654
G) 分子式: C55H71N022
H) 紫外線吸収スぺクトル:添付図面の第 1 7図に の濃度の溶液でのス ぺク トノレ図を示す。
(実線) メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主なピークは次の とおりである。
Amax nm (ε) 217 (38900)、 236 (35100)、 254 (33100)、 280 (26500)、 341 (14300)
(点線) 0.01 N HC I —メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺクトル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 217 (37300)、 236 (35100)、 254 (35300)、 280 (16700)、 341 (15600)
(破線 ) 0.01Ν NaOH—メタノール溶液中で測定した UV吸収スぺク トル。 主な ピークは次のとおりである。
Amax nm (ε) 280 (22500)、 366 (13700)
I) 赤外線吸収スぺク トル (KBr 錠剤法) :添付図面の第 18図に示す。
z max(cm — 2975、 2935、 2834、 1650、 1619、 1583、 1469、 1442、 13 76、 1311、 1276、 1203、 "62、 1105、 1062、 989、 944、 877、 804、 620
J) 1H -N R スぺクトル(GDGI3/TMS) :添付図面の第 19図に示す。
K) 13C -刚 Rスぺク トル (CDCI3 TMS) :添付図面の第 20図に示す。
さらに、 本発明による一般式 ( I ) の抗生物質キガマイシン類の生物学的性質 を次に記載する。
A) 抗菌活性
本発明による抗生物質キガマイシン類の各種細菌に対する最低発育阻止濃度は 、 次の表〗にしめす通りである。 この抗菌スペルトルは日本化学療法学会標準法 に基づき、 ミュラーヒントン寒天培地で倍数希釈法により測定した。
キガマイシンの抗菌スぺクトル
3止濃度 ag/ml) 試 験 A B C D E ス夕ヒロコヅカス ·ァウレウス FDA209P 0.05 0.10 0.05 0.20 0.20 ス夕ヒロコヅカス 'ァウレウス 'スミス く 0.025 0.10 0.05 く 0.025 0.025 ス夕ヒロコヅカス ·ァウレウス MS9610 0.05 0.20 0.10 0.39 0.39 ス夕ヒロコヅカス 'ァゥレウス MESANo.5 0.10 0.20 0.20 0.39 0.78 スタヒロコヅカス 'ァウレウス MRSANo.17 0.10 0.20 0.20 0.39 0.78 スタヒロコッカス ·ァウレウス MS16526 0.20 0.20 0.20 0.39 0.78 ス夕ヒロコヅカス ·ァゥレウス TY— 04282 0.39 0.20 0.05 0.39 0.39 ミクロコヅカス 'ルテウス FDA16 0.10 0.20 0.10 0.39 0.39 ミクロコヅカス ·ルテウス IF03333 0.10 0.20 0.10 0.39 0.39 ミクロコヅカス *ルテウス PCI1001 0.05 0.20 0.20 0.39 0.78 バシルス ·サブチリス NRRL B— 558 <0.025 く 0.025 0.10 0.39 く 0.025 バシルス ·サブチリス PCI219 く 0.025 く 0.025 0.05 0.10 く 0.025 パシルス ·セレウス ATCC10702 く 0.025 く 0.025 0.05 0.20 0.20 コリネパクテリゥム ·ボビス 1810 0.05 0.20 0.10 0.20 0.39 ェシエリヒア ·コリ NIHJ 100 >100 100 >100 >100 ェシエリヒア■コリ K—12 >100 >100 100 >100 >100 ェシエリヒア 'コリ K一 12 ML1629 >50 >100 100 100 100 ェシエリヒア 'コリ BEM11 >50 >100 100 >100 >100 ェシエリヒア ·コリ BE1121 1.56 >100 100 >100 >100 ェシエリヒア 'コリ BE1186 >50 >100 >100 >100 >100 シゲラ ·ディセンテリエ JS11910 >50 >50 >50 >50 >50 シゲラ■フレキシネリ 4b JSll811 >50 >50 >50 >50 >50 シゲラ,ソネィ JS 11746 >100 >100 100 >100 >100 サルモネラ ·ェンテリチジス >50 >50 >50 >50 >50 プロテウス ·ブルガリス 0X19 100 >100 >100 >100 >100 プロテウス · ミラビリス IFM OM— 9 100 >100 >50 >100 >100 プロビデンシァ · レトゲリ GN311 >50 >50 >50 >100 >50 プロビデンシァ ' レトゲリ GN466 >50 >50 >50 >50 >50 セラチア ·マルセセンス >50 >50 >50 >50 >50 シゥドモナス ·エルギノサ A3 >50 >50 >50 >50 >50 シゥドモナス ·エルギノサ GN315 >50 >50 >100 >50 >50 クレブシエラ ·二 i一モニエ PC1602 >50 >50 >50 >50 >50 ミコバクテリゥム ·スメグマチス ATCC607 >50 >50 >100 50 >50 カンディダ'アルビカンス 3147 >50 1.56 3.13 3.13 12.5
B ) 癌細胞増殖抑制活性
各種の癌細胞を用いて癌細胞の増殖を 50%抑制するキガマイシン Dの濃度 (I G50 値)を、 MT T法 ( 「Journa l of I瞧 uno I og i ca I Methods] 65卷、 55— 60頁 (19
83年) 参照) で測定した。 その結果を表 2に示す。
表 2
さらに、 キガマイシン類は膝臓癌細胞 PANG— 1細胞に対する殺細胞効果につい て、 通常の細胞培養条件下より栄養飢餓状態で細胞死を惹起する作用が強い。 キガ マイシン A、 B、 G、 Dおよび Eで得た試験の結果を第 21図に示した。 キガマイシ ン Gと Dの場合、 通常の培地を使用した場合は 10 / g/m lで 100 %の細胞死を来たし たが、 栄養飢餓状態では 0. 1 /m lで 100 %の細胞死を惹起した。 固形がんでは血管 新生が追い付かずに栄養飢餓状態にあると考えられ、 栄養条件のいい正常部位と比 ベてキガマイシンは選択的な制癌活性を示すと考えられる。
上記表 1の結果から明らかなように、 本発明による抗生物質キガマイシン類は、 各種の細菌に対して抗菌活性を有することから抗菌剤として有用である。 また、 表 2およぴ第 21図の結果から明らかなように、 キガマイシン類は各種の.癌細胞の増殖 を抑制する抗腫瘍活性または抗癌活性を有するから抗腫瘍剤または抗癌剤として有 用である。
さらに第 2の本発明によれば、 アミコラトプシス属に属する、 前記の一般式 ( I ) のキガマイシン A、 B、 G、 Dまたは Eの少くとも 1つを生産するキガマイ シン生産菌を栄養培地に培養し、 培養物からキガマイシン A、 B、 G、 Dまたは E の少くとも一つを採取することを特徴とする、 抗生物質キガマイシン A、 キガマイ シン B、 キガマイシン C、 キガマイシン Dおよび (または) キガマイシン Eの製造 法を提供される。
第 2の本発明の方法で使用できるキガマイシン生産菌の一例として、 アミコラト プシス ML630— mF1株がある。
この生産菌は平成 13年 6月、 微生物化学研究所において、 三重県鳥羽市の土壌 より分離された放線菌で、 ML630— mF1の菌株番号が付された。
ML630一 mF1株の菌学的性状は下記のとおりである。
1. 形態
基生菌糸はよく分技し、 ジグザグ状を呈する。 また分断が認められる。 気菌糸 は比較的長く、 直状あるいは不規則な曲状に伸長し、 円筒形の胞子に分断する。 また、 気菌糸が絡まり、 胞子のう様を呈する場合がある。 胞子の表面は平滑で、 大きさは約 0.4〜 0.6 X 0.8〜 1.9ミクロンである。 輪生技、 菌束糸、 胞子の う及ぴ運動性胞子は認められない。
2. 各種培地における生育状態
色の記載について [ ] 内に示す標準は、 コンテイナ一'コーポレーション ' ォブ ·ァメリ力のカラー ·ハーモニー ·マ二ユアノレ (Container Corporation of America の color harmony manual ) を用いた。
(1) イース ト .麦芽寒天培地 ( ISP—培地 2、 27°C培養)
うす黄茶 [2 le, Mustard ] 一うす茶 [3 le, Cinnamon] の発育上に、 白の気 菌糸をうつすらと着生し、 可溶性色素は認められない。
(2) オートミール寒天培地 ( ISP—培地 3、 27°C培養)
無色一うす黄 [2 go, Bamboo] の発育上に、 白の気菌糸を着生し、 可溶性色素 は認められなレ、。
(3) スターチ '無機塩寒天培地 ( ISP—培地 4、 27°C培養)
無色の発育上に、 白の気菌糸をうつすらと着生し、 可溶性色素は認められない。
(4) グリセリン 'ァスパラギン寒天培地 ( ISP—培地 5、 27°C培養)
うす黄 [2 gc, Bamboo] 一うす黄茶 [2 le, Mustard ] の発育上に、 白一茶白 [3 cb, Sand] の気菌糸を着生し、 可溶性色素は認められない。
(5) チロシン寒天培地 ( ISP—培地 7、 27°C培養)
うす黄 [2 gc, Bamboo] —うす黄茶 [2 le, Mustard ] の発育上に、 白一黄味 白 [2 cb, Ivory Tint] の気菌糸を着生し、 可溶性色素は認められない。
(6) シュクロース '硝酸塩寒天培地 (27°C培養)
無色の発育上に、 白の気菌糸を着生し、 可溶性色素は認められない。
3. 生理的性質
(1) 生育温度範囲
グルコース · ァスパラギン寒天培地 (グルコース 1.0%、 Lーァスパラギン 0.05%、 リン酸水素二カリウム 0.05%、 ひも寒天 3.0%、 pH 7.0) を用い、 10°C、 20°C、 24°C、 27°C、 30°C、 37°G及ぴ 45°Cの各温度で試験した結果、 1 0°C 、 45°Cでの生育は認められず、 20°C_37°Cの範囲で生育した。 生育至適温度は 30 °C付近である。
(2) スターチの加水分解 (スターチ '無機塩寒天培地、 ISP—培地 4、 27°C培 養)
27日間の培養でスターチの加水分解は認められない。
(3) メラニン様色素の生成 (トリプトン 'ィースト .プロス、 ISP—培地 1 ;
ペプトン 'イ^ "スト '鉄寒天培地、 I SP—培地 6 ;チロシン寒天培地、 I SP—培地 7 ; いずれも 27°C培養)
いずれの培地においても陰性である。
(4) 炭素源の利用性 (プリ ドハム · ゴトリーブ寒天培地、 ISP—培地 9、 27°C 培養)
D—グノレコース、 D—キシロース、 D—フノレク トース、 myo—ィノシトーノレ、 D—マンェトールを利用して発育し、 ラムノース、 ラフイノースは利用しない。 Lーァラビノース、 シュクロースもおそらく利用しない。
( 5 ) 硝酸塩の還元反応 ( 0.1 %硝酸力リゥム含有ぺプトン水、 I SP—培地 8、 27°C培養)
硝酸塩の還元性は判然としないが、 おそらく陰性である。
4. 菌体成分
(1) 細胞壁組成
メソ型の 2、 6—ジアミノピメリン酸を含有する。
(2) 全菌体中の還元糖
ァラビノース、 ガラクトースを含み、 A型である。
(3) ィソプレノィ ド · キノン
主要なメナキノンとして、 MK— 9 (H4 ) を含有する。
(4) リン脂質
ホスファチジルエタノールアミンを含み、 ホスファチジルコリン及ぴ未知のグ ルコサミン含有リン脂質を含まず、 P II型を示す。
(5) ミコール酸
含有しない。
5. 16SrRNA遺伝子解析
16SrRNA遺伝子の部分塩基配列 ( 1239 nt) を決定し、 DNAデータベースに登録 された公知菌株のデータと比較した。 その結果、 ML630— mF1株の塩基配列は以下 に示したとおり、 アミコラトプシス (Amvcolatopsis) 属放線菌の 16SrRNA遺伝子 と高い相同性を示した。 Amvcolatopsis a I b i dof I avus (98%)、 A. rubidus (98%) 、 . mediterranei (97%)、 L azurea (97%) 及び ^_ coloradensis (97%) 等で ある。 なお、 カツコ内は塩基配列の相同値を表記した。
以上の性状を要約すると、 ML630— mF1株は、 その形態上、 基生菌糸はよく分枝 し、 分断を認める。 気菌糸は直状あるいは曲状で、 円筒形の胞子に分断する。 輪 生技、 菌束糸、 胞子のう及ぴ運動性胞子は認められない。 種々の培地で、 うす黄 一うす黄茶の発育上に白の気菌糸を着生する。 可溶性色素は認められない。 メラ ニン様色素は生成せず、 硝酸塩の還元反応はおそらく陰性、 スターチの水解性は 認められない。
L630 - mFI株の菌体成分は、 細胞壁にメソ型の 2、 6—ジアミノビメリン酸を 含有し、 全菌体中の還元糖は A型、 主要なメナキノンは MK— 9 (H 4) で、 リ ン脂質は PII型である。 ミコール酸を含有しない。
16SrRNA遺伝子の部分塩基配列を公知菌株のデータと比較したところ、 アミコ ラトプシス属放線菌の塩基配列と高い相同性を示した。
以上の結果より、 NIL630— mF1株はァミコラトプシス (Amvcolatopsis、 文献、 International Journal of Systematic Bacteriology, 36卷、 29— 37頁、 1986年 j 属に属するものと考えられる。 そこで、 ML630— mFI株をアミコラトプシス 'ェ スピー ( Amyco I atops i s sp. ) ML630 - mF1 とする。
なお、 アミコラトプシス sp. ML630- mF1株は、 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに平成 14年 6月 7日の国内受託日に、 FERM P— 18875とし て受託された。
また、 アミコラトプシス sp. ML630— niF1株は、 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1 番地 1、 中央第 6に在る独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センタ 一に 2 0 0 4年 4月 2 7日の移管申請でそれ以降、 ブタぺスト条約の規約下に
FERM BP- 1 0 0 1 6の受託番号で寄託された。
第 2の本発明の方法を実施するに当たっては、 アミコラトプシス属に属するキ ガマイシン生産菌を栄養培地に接種し、 この培地中で培養する。 ここで用いる栄 養培地は、 前記の生産菌が資化できる炭素源と窒素源を栄養成分として含有する ものである。
その栄養源としては、 通常微生物の栄養源として通常使用されるもの、 例えば 炭素源、 窒素源、 無機塩などの同化できる栄養源を使用できる。 例えば、 ぶどう 糖、 麦芽糖、 糖密、 デキストリン、 グリセリン、 澱粉などの炭水化物や、 大豆油 、 落花生油などの油脂のごとき炭素源、 ならびにペプトン、 肉エキス、 綿実粉、 大豆粉、 酵母エキス、 カゼイン、 コーン ·スチープ ' リカー、 NZ—ァミン、 硫酸 アンモニゥム、 硝酸アンモニゥム、 塩化アンモニゥムなどの窒素源、 さらに燐酸 二カリウム、 憐酸ナトリウム、 食塩、 炭酸カルシウム、 硫酸マグネシウム、 塩ィ匕 マンガンなどの無機塩が使用でき、 必要により微量金属例えばコパルト、 鉄など を添加することができる。 栄養源としては、 その他、 抗生物質キガマイシンを生 産するのに使用菌が利用しうるものであればいずれの公知の栄養源でも使用でき る。
培地における上記のごとき栄養源の配合割合は特に制約されるものでなく、 広 範囲に亘つて変えることができ、 使用するキガマイシン類の生産菌によって、 最 適の栄養源の組成及び配合割合は、 当事者であれば簡単な小規模実験により容易 に決定することができる。 また、 上記の栄養源からなる栄養培地は、 培養に先立 ち殺菌することができ、 この殺菌の前又は後で、 培地の pHを 6— 8の範囲、 特に pH
6. 5 - 7. 5の範囲に調節するのが有利である。
力かる栄養培地でのキガマイシン類の生産菌の培養は、 一般の放線菌による抗 生物質の製造において通常使用されている方法に準じて行なうことができる。 通 常は好気条件下に培養するのが好適であり、 通常攪拌しながら及ぴ Z又は通気し ながら行なうことができる。 また、 培養方法としては静置培養、 振とう培養、 通 気攪拌をともなう液内培養のいずれも使用可能であるが、 液体培養がキガマイシ ンの大量生産に適している。
使用しうる培養温度はキガマイシン類の生産菌の発育が実質的に阻害されず、 該抗生物質を生産しうる範囲であれば、 特に制限されるものではなく、 使用する 生産菌に応じて適宜選択できるが、 特に好ましいのは 25— 30°Cの範囲内の温度を 挙げることができる。
培養は通常はキガマイシン類が十分に蓄積するまで継続することができる。 そ の培養時間は培地の組成や培養温度、 使用温度、 使用生産菌株などにより異なる 力 通常 72— 120時間の培養で目的の抗生物質を得ることができる。
培養中の新規抗生物質キガマイシン類の蓄積量はスタヒロコッカス ·ァウレゥ ス .スミスを使用して、 通常の抗生物質の定量に用いられる円筒平板法により定 量することができる。
かくして、 培養物中に蓄積されたキガマイシン類は、 これを培養物から採取す る。 培養後、 必要により、 濾過、 遠心分離などのそれ自体公知の分離方法によつ て菌体を除去した後、 その濾液を有機溶媒、 特に酢酸プチルなどを用いた溶媒抽 出や、 吸着やイオン交換能を利用したクロマトグラフィー、 ゲルろ過、 向流分配 を利用したクロマトグラフィーを単独でまたは、 組み合わせて使用することによ り単離精製して採取することができる。 吸着やイオン交換能を有するクロマトグ ラフィー用担体としては、 活性炭、 シリカゲル、 多孔性ポリスチレン一ジビニル
ベンゼン樹脂もしくは各種のイオン交換樹脂を用いることができる。 また、 分離 した菌体からは、 適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法ゃ菌体破碎による溶出法に より菌体から目的の抗生物質を抽出し、 上記と同様に単離精製することができる。 かくして、 前記した特性を有する新規抗生物質キガマイシン類が得られる。
さらに、 第 3の本発明では、 前記に記載の一般式 ( I ) で表されるキガマイシン キガマイシン B、 キガマイシン G、 キガマイシン Dおよぴキガマイシン Eの少 くとも 1つ、 またはその製薬学的に許容される塩を有効成分にして含有し、 また製 薬学的に許容される担体を配合されて含有することを特徴とする、 医薬組成物が 提供される。
さらに、 第 3の本発明に係る医薬組成物は抗菌剤組成物あるいは抗腫瘍または抗 癌剤組成物であることができる。
この医薬組成物においては、 有効成分としての一般式 ( I ) のキガマイシン類 あるいはその塩は製薬学的に許容できる常用の固体または液体担体、 例えばェタ ノール、 水、 デンプン等と混和されている形の組成物であることができる。
また、 第 4の本発明では、 新規な微生物として、 上記の一般式 ( I ) のキガマイ シン類を生産する特性をもつアミコラトプシス sp. ML630- mF1株 (FERM BP一
1 0 0 1 6 ) が提供される。
図面の簡単な説明
第 1図はキガマイシン A (10 u g/m \ ) の紫外線吸収スぺク トルである。
実線:メタノール溶液中のスぺクトル
点線: 0. 01 N HC I—メタノール溶液中のスぺクトル
破線: 0. 01 aOH—のメタノール溶液中のスぺクトル
第 2図はキガマイシン Aの KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スぺクトルである。
第 3図はキガマイシン Aの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラン ) にて測定したプロトン核磁気共鳴スぺクトルである。
第 4図はキガマイシン Aの重クロ口ホルム溶液 (内部標準: トリメチルシラ ン) にて測定した炭素 13核磁気共鳴スぺクトルである。
第 5はキガマイシン B (10 u s/ml ) の紫外線吸収スペクトルである。
実線: メタノール溶液中のスぺクトル
点線: 0. 01 N HC I一メタノール溶液中のスぺク トル
破線: 0. 01 NaOH—のメタノール溶液中のスぺクトル
第 6図はキガマイシン Bの KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スぺク トルであ る。
第 7図はキガマイシン Bの重ク口口ホルム溶液 (内部標準: トリメチルシラ ン) にて測定したプロ トン核磁気共鳴スぺク トルである。
第 8図はキガマイシン Bの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラ ン) にて測定した炭素 13核磁気共鳴スぺク トルである。
第 9図はキガマイシン G (10 g/m l ) の紫外線吸収スペクトルである。
実線: メタノール溶液中のスぺク トル
点線: 0. 01 N HG I一メタノール溶液中のスぺク トル
破線: 0. 01 N NaOH—のメタノール溶液中のスぺク トル
第 1 0図はキガマイシン Gの KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スぺク トルであ る。
第 1 1図はキガマイシン Cの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラ ン) にて測定したプロ トン核磁気共鳴スぺク トルである。
第 1 2図はキガマイシン Gの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラ ン) にて測定した炭素 13核磁気共鳴スぺク トルである。
第 1 3図はキガマイシン D (10 g/ml) の紫外線吸収スペク トルである。 実線:メタノール溶液中のスぺクトル
点線: 0.01N HCI —メタノール溶液中のスぺク トル
破線: 0.01N NaOH—のメタノール溶液中のスぺクトル
第 14図はキガマイシン Dの KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スぺクトルであ る。
第 1 5図はキガマイシン Dの重ク口口ホルム溶液 (内部標準: トリメチルシラ ン)にて測定したプロトン核磁気共鳴スぺクトルである。
第 1 6図はキガマイシン Dの重ク口口ホルム溶液 (内部標準: トリメチルシラ ン)にて測定した炭素 13核磁気共鳴スぺク トルである。
第 1 7図はキガマイシン E (10 jug/ml) の紫外線吸収スペク トルである。 実線:メタノール溶液中のスぺク トル
点線: 0.01N HGI 一メタノール溶液中のスぺク トル
破線: 0.01N NaOH—のメタノール溶液中のスぺク トル
第 1 8図はキガマイシン Eの KBr錠剤法で測定した赤外線吸収スぺク トルであ る。
第 1 9図はキガマイシン Eの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラ ン)にて測定したプロトン核磁気共鳴スぺクトルである。
第 20図はキガマイシン Eの重ク口口ホルム溶液(内部標準: トリメチルシラ ン)にて測定した炭素 13核磁気共鳴スぺク トルである。
第 2 1図は栄養条件を異にする脖臓癌 PANG— 1細胞に対するキガマイシン A〜 Eの殺細胞効果の比較である。
黒四角の線は栄養飢餓条件での癌細胞の培養におけるキガマイシンの効果を示 す。
白丸の線は通常の培養条件での癌細胞の培養の場合におけるキガマイシンの効果 を示す。
発明を実施するための最良の形態
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、 本発明は下記の実施例に限 定されるものではない。
実施例 1
抗生物質キガマイシン A、 B、 G、 Dおよび Eの製造
ポテトスターチ 2 %、 グルコース 2 %、 酵母エキス 0.5%、 塩ィ匕ナトリウム 0.25 %、 トーストソーャミール 2 %、 炭酸力リゥム 0.32%、 硫酸銅 0.0005%、 塩ィヒマン ガン 0.0005%、 硫酸亜鉛 0.005 %を含む液体培地 (pH7.4に調整) を三角フラスコ (500ml容) に 110mlずつ分注し、 常法により 120°Cで 20分滅菌した。 この滅菌し た培地に寒天斜面培地に培養したァミコラトプシス sp. ML630- mF1株 ( FERM PB一 1 00 1 6) を接種し、 その後 30°Cで 5日間回転振とう培養した。 これにより種母 培養液を得た。
ガラク トース 2%、 デキストリン 2%、 ソィペプトン 1 %、 コーンスティープリ カー 0.5%、 グリセロール 1%、 硫酸アンモ-ゥム.02%、 炭酸カリウム 0.2%を 含む液体培地 ( pH7.4に調整) を三角フラスコ ( 500m I容) に 110m Iずつ分注し、 常法により 120°Cで 20分滅菌後、 この滅菌された液体培地に上記種母培養液をそれ ぞれ 2m Iずつ接種し、 27°Cで 4日間回転振とう培養した。
培地 10リ ッ トルを用いて、 このようにして得られた培養液を遠心分離し、 菌体を 分離した。 培養ろ液 8.6リットルは、 1N塩酸を添加して pHを 2.0に調整して酢酸ブ チル 8.6リツトルで抽出し、 酢酸プチル層を無水硫酸ナトリゥムにより脱水した。
菌体は、 メタノール 900 m Iを加え、 撹拌後濾過した。 このメタノール溶液は減圧 下で 200m lまで濃縮した。 これを 1 N塩酸を添加して pHを 2. 0に調整して、 酢酸プチ ルで 200 m Iで二度抽出し、 酢酸プチル層は無水硫酸ナトリウムにより脱水した。 上記の二つの酢酸ブチル層を合わせ減圧下で濃縮乾固した。 得られた残渣 (約 4. 1 g ) をクロ口ホルム 100 m lと水 100 m lで撹拌し、 クロ口ホルム層を濃縮乾固し て 1. 51 g、 不溶物として 528 mgを得た。 それぞれシリカゲル 60N (フラッシュクロ マトグラフィー用、 関東化学) のカラムクロマトグラフィーを行った。 クロ口ホル ム層から得た 1. 51 gは、 210 gのシリカゲル 60Nを充填したカラム (径 5. 5 cm) に、 不溶物の 528 mgは 70 gのシリカゲル 60Nを充填したカラム (径 3. 5 cm) にチヤ ージした。 それぞれクロ口ホルム一メタノール混液で展開し、 薄層クロマトグラフ ィ一で分析して同一成分を溶出する 2活性画分を得た。 フラクション 186— 250を 濃縮乾固し、 934. 9 mg、 フラクション 186— 250を濃縮乾固し、 107 mgの固形物を 得た。 前者の一部の 294. 8 mgを 9分割して、 それぞれ高速液体ク口マトグラフィー
( Pegas i I ODS、 径 30 x 250國) で 40%ァセトニトリルーメタノ一ルで溶出した。 分画 31— 39を集め減圧下に濃縮乾固して 37. 2 mgのキガマイシン G、 分画 46— 60 を集め 168. 3 mgのキガマイシン Dおよぴ分画 76— 94を集め減圧下に濃縮乾固して 2 8. 1 mgのキガマイシン Eを得た。
シリカゲルク口マトグラフィ一のフラクション 186— 250を濃縮乾固して得た 10 7 mgの固体物質を 4分割して、 それぞれ高速液体クロマトグラフィー (Pegas i l ODS、 径 30 X 250 mm) で 40%ァセトニトリル一メタノ一ルで溶出した。 その分画 2 6—30を集め減圧下に濃縮乾固して 36. 1 m のキガマイシン Aを得た。
培地 3リットルを用いた別の培養からは、 同様な精製法を行い、 高速液体クロ マトグラフィー ( Pegas i l ODS、 径 30 x 250 mm) で 40%ァセトニトリル一メタノ 一ルで溶出した時、 分画 35— 36を集め減圧下に濃縮乾固して 1 . 9 mgのキガマイシ
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25 ン Gを得た。 分画 39— 41を集め 1, 9 mgのキガマイシン Bを得た。 また分画 51— 56を 集め 46.6 mgのキガマイシン D、 ぉょぴ分画 82— 86を集め 12.9 mgのキガマイシン Eを得た。
産業上の利用可能性
以上に説明したように、 本発明による一般式 ( I ) のキガマイシン類は抗菌活性 と抗腫瘍または抗癌活性を有し、 そして抗菌剤、 抗腫瘍剤または抗癌剤として有用 であるから、 医薬として利用できる。