JPH09109630A - タイヤ用滑り止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤ用滑り止め装置に対して、ブレード
の取り付け金具のずれにより締め付け紐が破損する現象
を防止し得る機能を具備せしめる。 【解決手段】 ラダー型のタイヤ用滑り止め装置にお
いて、各ブレード２を幅の広い略網形の部材により構成
し、該ブレード２のタイヤ内側端及びタイヤ外側端にそ
れぞれ締め付け紐１ａ，１ｂとの間をかしめ固定する取
り付け金具３を設け、上記締め付け紐１ａ，１ｂを熱収
縮性のゴムチューブ８にて被覆することにより、取り付
け金具３のかしめ部分をゴムチューブ８による弾力性に
より保護する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はラダー型のタイヤ
用滑り止め装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のラダー型のタイヤ用滑り止め装置
の中には、図８にて示した特願平７−６０６７２号のタ
イヤ用滑り止め装置１００のように、本体となるブレー
ド１０２を幅広く且つ網形に構成し、それ以前のラダー
型タイヤ用滑り止め装置に生じがちである走行中の横滑
りや、ブレードのめくれ現象を防止したものがある。上
記したタイヤ用滑り止め装置１００は、２本の締め付け
紐１０１を所定の間隔をおいて平行に配設し、これら両
締め付け紐１０１の間に所要数のブレード１０２を架設
すると共に、これらブレード１０２を締め付け紐１０１
の長さ方向に定間隔をおいて配置して構成してある。

【０００３】上記各ブレード１０２は、それぞれ２個ず
つの取り付け金具１０３をタイヤ内側端部及びタイヤ外
側端部に取り付け固定し、この両取り付け金具１０３を
それぞれの両締め付け紐１０１に対してかしめ固定する
ことにより、各ブレード１０２を両締め付け紐１０２に
固定して略梯子型の装置本体を構成している。上記した
両取り付け金具１０３は図６にて示すような帯状の鋼板
を屈曲形成して成り、ブレード１０２のタイヤ内側端及
び外側端部おいてタイヤ外周方向に適宜な間隔をおいて
配置する。そして、これらの取り付け金具１０３は、金
具一端部をブレード内外両端部の環状部に対してかしめ
固定すると共に、金具他端部を締め付け紐１０１の所定
箇所に対してかしめ固定し、ブレード１０２の端部と締
め付け紐１０１とを接続する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記した取り付け金具
１０３は、ブレード１０２端部及び締め付け紐１０１に
対して強力にかしめ固定される。しかし、上記したよう
に構成されるラダー型のタイヤ用滑り止め装置において
は、走行時の加速や減速により断続的に加わる荷重によ
ってブレード１０２を取り付け支持する取り付け金具１
０３に対して繰り返し大きな負荷が加わるため、特に、
タイヤ内側の締め付け紐１０１に対する取り付け金具１
０３のかしめ部分が緩んで、同金具１０３が定位置から
ずれてしまうことがある。また、場合によっては、取り
付け金具１０３のずれによって締め付け紐１０１の表皮
が破損してしまうことがある（図７）。

【０００５】上記締め付け紐１０１は、高張力繊維の束
をゴム層にて被覆したものや、高張力合成繊維から成る
ロープを用いて構成されるが、上記したように取り付け
金具１０３のずれにより少しでも破損してしまうと、そ
の傷口に荷重が集中して早期に破断してしまう結果とな
る。

【０００６】本発明の目的は、上記した如きタイヤ用滑
り止め装置に対して、ブレードの取り付け金具のずれに
より締め付け紐が破損する現象を効果的に防止し得る機
能を具備せしめることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は、２本の締め付け紐を所定の間隔をお
いて略平行に配置し、この両締め付け紐の間に所定数の
ブレードを架設すると共に、これら各ブレードを上記締
め付け紐の長さ方向に沿って定間隔を置いて配置して、
略梯子形の滑り止め装置本体を構成したラダー型のタイ
ヤ用滑り止め装置において、前記各ブレードをタイヤ外
周方向に幅の広い略網形の部材により構成し、該ブレー
ドのタイヤ内側端及びタイヤ外側端にそれぞれ締め付け
紐との間をかしめ固定する取り付け金具を設け、上記両
締め付け紐の内、少なくともタイヤ内側の締め付け紐を
熱収縮性のゴムチューブにて被覆してなるものである。
また、上記したタイヤ用滑り止め装置は、取り付け金具
を熱収縮性のゴムチューブにて被覆してもよい。

【０００８】上記した手段によれば、以下に記する如き
作用を奏する。２本平行に配置される締め付け紐の間に
架設される各ブレードは幅の広い略網形の部材として構
成され、その内外両端部に設けた取り付け金具を介して
両締め付け紐に対して取り付け固定される。上記取り付
け金具は、ブレード端部と締め付け紐との間にかしめ固
定される。また、上記取り付け金具がかしめ固定される
締め付け紐は熱収縮性のゴムチューブにより密着した状
態で被覆される。

【０００９】よって、取り付け金具を上記締め付け紐に
対して強力にかしめ固定しても、弾力性を有するゴムチ
ューブの被覆により締め付け紐に対する取り付け金具の
圧接力も柔軟で且つ密着力の強いものとなる。その結
果、制動や加速の際に上記した取り付け金具を介して締
め付け紐に大きな荷重が加わった際、取り付け金具のか
しめ部分に対してこじるように加わる損傷力は上記ゴム
チューブの弾力性により和らげられる。

【００１０】上記取り付け金具を熱収縮性のゴムチュー
ブによって被覆したものにおいては、上記したと同様
な、ゴムチューブの弾力性による損傷力の緩和作用が、
取り付け金具側にも発生しする。取り付け金具を被覆す
るゴムチューブと締め付け紐を被覆するゴムチューブと
の弾性力が相互に発揮される。また、取り付け金具に被
覆されたゴムチューブの弾力性は、ブレード側のかしめ
部に対しても発揮され、ブレードかしめ部分に対する損
傷力も同時に緩和される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。図１にて示すタイヤ滑べり止め具
は、高張力性の締め付け紐１ａと、外側締め付け紐１ｂ
とを、タイヤ幅よりも幾分大きな間隔をおいて２本平行
に設け、これら両締め付け紐１ａ，１ｂの間に所要数、
例えば７枚のブレード２を架設することにより略梯子形
に構成してある。

【００１２】上記内側締め付け紐１ａと、外側締め付け
紐１ｂとは、高張力芯材をゴム材にて被覆してなる紐体
や、高張力合成繊維製ロープ等からなり、一端部を輪状
に結んで接続部５ａ，６ａを形成すると共に、他端部に
フック型の接続金具５ｂ，６ｂを夫々取付固定してあ
る。尚、上記締め付け紐１ａ，１ｂの構造は後で詳細に
説明する。

【００１３】両締め付け紐１ａ，１ｂの間に架設される
ブレード２は、図１にて示すように網形に形成され、上
記締め付け紐１ａ，１ｂの長さ方向に沿って一定の間隔
を置いて取付固定されている。ブレード２は、高張力芯
材２ａの回りにゴム層２ｂを被覆してなる線状の素材
を、網形に組んで一体成形してある。成形したブレード
２はタイヤ幅方向を長辺とする略矩形に形成し、タイヤ
の接地部分を横断して余る長さとしてある。また、ブレ
ード２の短辺、即ちタイヤ外周方向の幅は、長辺方向の
寸法の約半分の寸法としている。また、上記ブレード２
を構成する編目の交差部分にはスパイク金具４を埋め込
んである。

【００１４】尚、上記した各ブレード２は両締め付け紐
１ａ，１ｂの長さ方向に沿って一定の間隔をおいて取付
固定されるが、隣合うブレード２同士は直接的には接続
されておらず、適度な間隔が置かれた状態で配置されて
いる。

【００１５】上記ブレード２のタイヤ内側端部及びタイ
ヤ外側端部には、間隔を置いて取り付け金具３を２個ず
つ取り付け、これら両金具３を介して、ブレード２を両
締め付け紐１ａ，１ｂに対して止着してある。

【００１６】図２及び図３にて示すように、一対となる
取り付け金具３は、適宜直径、例えば直径３〜４ミリ程
度の鋼線を屈曲成形してそれぞれ側面略Ｃ型に形成して
ある。各取り付け金具３は、略Ｃ形に屈曲形成すること
により、金具一端部にブレード２の内側端部に掛止して
かしめ固定する掛止部３ａを略フック形に屈曲形成する
と共に、金具他端部には締め付け紐１ａに対して掛止し
てかしめ固定する略フック形の掛止部３ｂを屈曲形成し
てある。

【００１７】また、上記取り付け金具３には熱収縮性の
ゴムチューブ７を被嵌し、加熱して収縮させることによ
り金具３全体を被覆してある。熱収縮性のゴムチューブ
７は、収縮前のチューブを取り付け金具３に被嵌した
後、１２０℃以上の雰囲気中で熱収縮させる。これによ
り、ゴムチューブ７は取り付け金具３の形状に沿って収
縮し、同金具３の外周を十分な厚さ、例えば１ミリ程度
のゴム層にて被覆することができる。

【００１８】上記した如く構成した各取り付け金具３
は、一端の掛止部３ａをブレード２の内側端部の金具掛
止部分に対してそれぞれ掛止すると共に、この掛止部３
ａをかしめてブレード２に対して取り付け固定する。さ
らに、取り付け金具３は、他端の掛止部３ｂを締め付け
紐１ａの所定箇所に掛止してかしめ固定する。また、こ
れと同様な作業をブレード２のタイヤ外側端部に設ける
各取り付け金具３においても行い、これにより、２本平
行状に配置した両締め付け紐１ａ，１ｂ間の所定位置に
各ブレード２を取り付け固定し、略梯子形の滑り止め装
置本体を構成する。

【００１９】一方、各取り付け金具３がかしめ固定され
る締め付け紐１ａ，１ｂは、図３にて示すように、グラ
スファイバーやアラミド繊維の束からなる高張力芯材１
１の外周にゴム材１２を被覆して紐状と成し、さらに上
記ゴム材１２の外周に熱収縮性のゴムチューブ８を被嵌
し、加熱して収縮させることにより全長にわたってゴム
チューブ８を被覆して構成してある。尚、上記熱収縮性
ゴムチューブ８は、上記した取り付け金具３同様に、収
縮前のチューブを紐状に構成した芯材１１及びゴム材１
２の外周に被嵌した後、１２０℃以上の雰囲気中で熱収
縮させ、ゴム材１２の外周に密着させる。ちなみに、本
実施例の場合、上記したゴムチューブ８としてＥＰＤＭ
（エチレン−プロピレンゴム）を使用している。

【００２０】尚、上記した締め付け紐１ａ，１ｂは、図
４にて示すもののように、グラスファイバーやアラミド
繊維からなる芯材１１の外周に対して熱収縮性のゴムチ
ューブ８を直接被覆して構成してもよい。

【００２１】上記した如く構成した滑べり止め具をタイ
ヤに装着する際には、滑べり止め具自体をタイヤの外周
に巻き付け、内側締め付け紐１ａの端部を接続した後、
外側締め付け紐１ｂの端部を接続する。そして、上記外
側締め付け紐１ｂの各ブレード２の間に止着した各フッ
ク金具９に、輪状の締め付けバンド（図示せず）を掛け
渡すことにより、連結した外側締め付け紐１ｂをタイヤ
中心へ向けて締め込み、各ブレード２をタイヤ外周に対
して圧着する。

【００２２】上記した如く構成したタイヤ用滑り止め装
置おいては、各取り付け金具３を締め付け紐１ａ，１ｂ
に対して強力にかしめ固定しても、上記取り付け金具３
に被覆されるゴムチューブ７と、締め付け紐１ａ，１ｂ
に被覆されるゴムチューブ８とによる良好な弾力性が相
俟って、締め付け紐１ａ，１ｂのゴム材１２及び芯材１
１に対する圧接力も柔軟で且つ密着力の強いものとな
る。その結果、図５にて示すように、制動や加速の際に
各取り付け金具３を介して締め付け紐１ａ，１ｂに対し
て大きな荷重が加わったとしても、取り付け金具３のか
しめ部分に対してこじるように加わる損傷力は上記ゴム
チューブ７，８相互の弾性により効果的に和らげられる
ことになる。

【００２３】尚、上記した滑り止め装置においては、内
外の両締め付け紐１ａ，１ｂの双方に熱収縮性のゴムチ
ューブ８を被覆したが、ゴムチューブ８による被覆は、
特に損傷する可能性の高いタイヤ内側の締め付け紐１ａ
に対してのみ行ってもよい。また、上記した滑り止め装
置は、締め付け紐１ａ，１ｂと、これにかしめ固定する
取り付け金具３の双方にゴムチューブ７，８による被覆
を行ったが、締め付け紐１ａ，１ｂに被覆したゴムチュ
ープ８による保護効果が十分である場合においては、取
り付け金具３に対するゴムチューブ７の被覆を行わなく
ともよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、締め付け
紐を熱収縮性のゴムチューブで覆したものであるから、
良好な弾性を有するゴムチューブ被覆により、取り付け
金具のかしめ部分が締め付け紐に対して与える損傷力を
効果的に低減せしめると同時に、締め付け紐外周に対し
て強い密着力を発揮することができる。これによれば、
制動や加速時に繰り返し生じる負荷によって取り付け金
具が緩んだりずれたりする現象を防止できると共に、締
め付け紐の被かしめ部分が損傷して早期に破断する不具
合を効果的に防止することができる。また、締め付け紐
を被覆する素材として熱収縮性のゴムチューブを使用し
ているので、厚さの確保が容易であると共に、弾性と対
摩耗性に優れているので、擦れにより被覆が破れてしま
うようなことがない。

【００２５】上記取り付け金具を熱収縮性のゴムチュー
ブによって被覆したものにおいては、ゴムチューブの弾
力性による損傷力の緩和作用が、取り付け金具側にも発
生しすることになる。よって、取り付け金具を被覆する
ゴムチューブと締め付け紐を被覆するゴムチューブとの
弾性力が相互に発揮され、取り付け金具の緩みやずれ、
さらに締め付け紐のかしめ部分に対する保護効果をより
効果的に発揮するとができる。

【００２６】また、ゴムチューブの被覆により、金属製
の取り付け金具がブレード側のかしめ部分に対して直接
接触して擦れ合う状態を回避できるので、ブレードのか
しめ部分に対する損傷力も同時に緩和することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を実施したタイヤ用滑り止め装置を
示す正面図。

【図２】 同滑り止め装置の取り付け金具部分を示す
斜視図。

【図３】 図２におけるIII-III 線断面図。

【図４】 芯材の周囲に直接熱収縮性ゴムチューブを
被覆したタイヤ用滑り止め装置の取り付け金具部分を示
す縦断面図。

【図５】 負荷が加わった状態の取り付け金具部分を
示す正面図。

【図６】 負荷が加わった状態における従来のタイヤ
用滑り止め装置の取り付け金具部分を示す正面図。

【図７】 従来のタイヤ用滑り止め装置における取り
付け金具部分の縦断面図。

【図８】 従来のタイヤ用滑り止め装置を示す正面
図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ・・・締め付け紐 ２・・・ブレード ３・・・取り付け金具 ７，８・・・熱収縮性ゴムチューブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２本の締め付け紐を所定の間隔をお
   いて略平行に配置し、この両締め付け紐の間に所定数の
   ブレードを架設すると共に、これら各ブレードを上記締
   め付け紐の長さ方向に沿って定間隔を置いて配置して、
   略梯子形の滑り止め装置本体を構成したラダー型のタイ
   ヤ用滑り止め装置において、前記各ブレードをタイヤ外
   周方向に幅の広い略網形の部材により構成し、該ブレー
   ドのタイヤ内側端及びタイヤ外側端にそれぞれ締め付け
   紐との間をかしめ固定する取り付け金具を設け、上記両
   締め付け紐の内、少なくともタイヤ内側の締め付け紐を
   熱収縮性のゴムチューブにて被覆してなるタイヤ用滑り
   止め装置。
2. 【請求項２】 上記取り付け金具を熱収縮性のゴム
   チューブにて被覆してなる請求項１記載のタイヤ用滑り
   止め装置。