JPH0859377A - 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法

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JPH0859377A
JPH0859377A JP21664694A JP21664694A JPH0859377A JP H0859377 A JPH0859377 A JP H0859377A JP 21664694 A JP21664694 A JP 21664694A JP 21664694 A JP21664694 A JP 21664694A JP H0859377 A JPH0859377 A JP H0859377A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 材質強度の低下を伴うことなく、高温酸化性
雰囲気において優れた酸化抵抗を示す、C/C複合材の
耐酸化処理法を提供すること。 【構成】 C/C複合基材面に、Siアルコキシドおよ
び熱硬化性樹脂液にアルコールを加えて均一に混合した
のち加水分解して得られるSiC有機前駆体溶液を含浸
し、非酸化性雰囲気中で熱処理してコンバージョン法に
よりSiC被膜を形成する第1被覆工程、CVD法ある
いはパルスCVI法により気相析出させてセラミックス
質被膜を形成する第2被覆工程、アルコキシド法で得ら
れるガラス前駆体溶液を含浸したのち加熱処理してガラ
ス質被膜を形成する第3被覆工程、を順次に施すC/C
複合材の耐酸化処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温酸化性雰囲気にお
いて優れた酸化抵抗性を示す炭素繊維強化炭素複合材
(以下「C/C複合材」という。)の耐酸化処理法に関
する。
【0002】C/C複合材は、1000℃以上の高温に
おいても高度の比強度、比弾性率を維持し、かつ低い熱
膨張率を示す等の特異な性質を有する材料であり、航空
宇宙用の部材をはじめ広い分野において各種の構造材料
として注目されている。しかし、C/C複合材を含め炭
素材料は一般に500℃以上の大気雰囲気下では酸化が
進行して、物理的、化学的性質が損なわれる関係で高温
大気中での使用は極く短時間に限られる材質上の欠点が
ある。このため、C/C複合材の表面に耐酸化性の被覆
を施して改質化する試みが従来から盛んに行われてい
る。このうち、被覆層の形成操作、性状特性など技術
的、経済的な面からSiCの被膜形成が最も工業性に適
している。
【0003】従来、C/C複合材の表面にSiC被膜を
形成する方法として、気相反応により生成するSiCを
直接沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、C/
C複合材の炭素を反応源に利用してSiOガスと反応さ
せることによりSiCに転化させるコンバージョン法が
知られている。前者のCVD法によればC/C複合基材
面に緻密なSiC被膜を形成することができるが、C/
C複合基材とSiC被膜の界面が明確に分離している関
係で熱衝撃を与えると層間剥離現象が起こり易く、また
層界面にクラックが発生する等の現象が多発し易い。こ
の現象は、主にC/C複合基材とSiC被膜層との熱膨
張差が大きく、最大歪みが追随できないことに起因する
ものであるため、C/C複合基材面をSiCの熱膨張率
に近似するように改質すれば軽減化させることができ
る。このような観点から、C/C複合基材面に気相熱分
解法により熱分解炭素層を形成し、ついでCVDまたは
CVI法でSiCを被覆する方法(特開平2−111681号
公報) が提案されているが、十分な効果は期待できな
い。
【0004】これに対し、後者のC/C複合基材の炭素
を反応源に利用してSiOガスと反応させることにより
SiCに転化させるコンバージョン法は、基材の表層部
が連続組織としてSiC層を形成する傾斜機能材質とな
るため界面剥離を生じることはない。一般にコンバージ
ョン法は、石英、珪石、珪砂等のSiO2 含有粉末とコ
ークス、ピッチ、黒鉛、カーボンブラック等の炭素質粉
末とを混合し、これを加熱反応することによりSiOガ
スを発生させ、このSiOガスとC/C複合材を反応さ
せることにより、C/C基材をSiCに転化させる方法
(特開平1−252578号公報)で行われる。しかしなが
ら、コンバージョン法により形成されるSiC層はCV
D法に比べて緻密性に劣るうえ、反応時、被覆層に微小
なクラックが発生して耐酸化性が低下する問題がある。
【0005】このような問題の解消を図るため、本出願
人は、例えばC/C複合基材面にコンバージョン法で形
成したSiC被覆層に、さらにSiO2 微粒被覆層を介
してSiO2 、B2 3 等のガラス被覆層を形成する耐
酸化性C/C材とその製造方法(特開平4−42883 号公
報)、コンバージョン法で形成したSiC被膜からなる
第1被覆層、アモルファス質または微細多結晶質SiC
被膜からなる第2被覆層およびB2 3 −SiO2 ガラ
ス被膜からなる第3被覆層を積層形成した耐酸化性C/
C複合材(特開平4−243989号公報)、あるいはコンバ
ージョン法で形成したSiC被膜からなる内層、SiO
2 微粒子被膜からなる中間層、Al2 3 −SiO2
しくはB2 3 −Al2 3 −SiO2 のガラス被膜か
らなる外層が積層被覆された耐酸化性C/C複合材(特
開平5−43366 号公報)などを開発し、提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の先行技術においては、コンバージョン法により形成さ
れる第1被覆層のSiC被膜の膜厚を均一にすることが
困難であるために、膜厚のばらつきが大きくなり、十分
な耐酸化機能を付与するためには100μm 以上の被膜
を形成する必要があった。その結果、C/C複合基材表
層部のうちSiC被膜に転化する割合が大きくなり、C
/C複合材の強度が低下するという問題点があった。更
に、C/C複合材の形状が複雑になると、均一にSiC
被膜を形成することが困難となる欠点もあった。
【0007】本発明の目的は、これらの問題点の解消を
図ることにあり、強度低下を伴うことなく、複雑形状の
C/C複合材に対しても高温酸化性雰囲気において長期
に亘り安定した耐酸化性を発揮することができるC/C
複合材の耐酸化処理法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるC/C複合材の耐酸化処理法は、炭素
繊維をマトリックス樹脂とともに複合成形し、硬化およ
び焼成炭化処理して得られる炭素繊維強化炭素複合材を
基材とし、該基材の表面にSiアルコキシドおよび熱硬
化性樹脂液にアルコールを加えて均一に混合したのち加
水分解して得られるSiC有機前駆体溶液を含浸し、非
酸化性雰囲気中で熱処理してコンバージョン法によりS
iC被膜を形成する第1被覆工程、CVD法あるいはパ
ルスCVI法により気相析出させてセラミックス質被膜
を形成する第2被覆工程、およびアルコキシド法で得ら
れるガラス前駆体溶液を含浸したのち加熱処理してガラ
ス質被膜を形成する第3被覆工程、を順次施すことをこ
とを構成上の特徴とする。
【0009】C/C複合基材を構成する炭素繊維には、
ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各
種原料から製造された平織、綾織などの織布、フェルト
あるいはトウが使用され、マトリックス樹脂としてはフ
ェノール系、フラン系その他炭化性の良好な液状熱硬化
性樹脂が用いられる。炭素繊維は、これらのマトリック
ス樹脂液を含浸して、十分に濡らしたのち半硬化してプ
リプレグを形成し、次いで積層加圧成形する。成形体は
加熱して樹脂成分を完全に硬化し、引き続き焼成炭化処
理または更に黒鉛化してC/C複合基材を得る。このC
/C複合基材は、必要に応じてマトリックス樹脂液を含
浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の緻密化が図ら
れる。
【0010】上記のC/C複合基材の表面にコンバージ
ョンによるSiC被膜を形成する第1被覆工程は、Si
アルコキシドおよび熱硬化性樹脂液にアルコールを加え
て均一に混合したのち加水分解して得られるSiC有機
前駆体溶液をC/C複合基材に含浸し、不活性雰囲気中
で熱処理する方法で行われる。SiO2 源原料となるS
iアルコキシドとしては、テトラメトキシシランSi
(OCH3 4 やテトラエトキシシランSi(OC2
5 4 などが、また、炭素源原料となる熱硬化性樹脂液
としては、フェノール樹脂、フラン樹脂などの初期縮合
物が用いられる。これらの原料はメタノール、エタノー
ル等のアルコールを溶媒として混合溶解したのち、撹拌
しながら水を添加して加水分解を行うことにより、Si
2 成分とC成分とが微細かつ均質に混合、分散したS
iC有機前駆体溶液が調製される。なお、Siアルコキ
シドと熱硬化性樹脂液の割合は、SiO2 :Cのモル比
に換算して、1:1〜4の範囲になるように混合するこ
とが好ましい。
【0011】次いで、このSiC有機前駆体溶液を、浸
漬あるいは塗布などの方法によりC/C複合基材に含浸
したのち、70〜200℃の温度で硬化し、更に窒素、
アルゴンなどの非酸化性雰囲気中1600〜1900℃
の温度範囲で熱処理される。この熱処理によりSiC有
機前駆体溶液から反応生成したSiOガスがC/C複合
基材を構成する炭素組織と反応して表層部にSiC被膜
が形成される。この場合、形成するSiC被膜の膜厚
は、C/C複合材の強度低下を抑止するために好ましく
は30〜70μm の範囲に調整される。
【0012】第2被覆工程は、前記SiC被膜を形成し
たC/C複合材にCVD法あるいはパルスCVI法を適
用して気相析出させる方法により、セラミックス質被膜
を形成する工程である。形成するセラミックス質被膜の
材質は、CVD法やパルスCVI法により析出可能な物
質のうち、特に本発明の目的にはSiまたはZrの炭化
物もしくは窒化物が適している。CVD装置あるいはパ
ルスCVI装置の反応室にC/C複合材をセットし、所
定温度に加熱したのち、SiやZrの有機ハロゲン化
物、炭化水素、水素、アンモニアなどの原料ガスを充填
して気相反応させることにより、セラミックス質の被膜
が形成される。この場合、第1被覆工程で形成したSi
C被膜との密着性を高めるために、反応室の真空排気、
原料ガスの瞬間導入および原料ガスの反応を短周期の減
圧、昇圧下で間欠的に繰り返し行うパルスCVI法を適
用することが望ましい。
【0013】第3被覆工程は、Siアルコキシドにアル
コールを加えて撹拌混合した溶液にHCl水溶液、又は
Al塩を溶解したHCl水溶液を滴下し、加水分解する
アルコキシド法によりSiO2 、あるいはAl2 3
SiO2 ガラス前駆体溶液を調製し、この中に上記第1
および第2被覆工程による被膜を形成したC/C複合材
を浸漬して含浸し、風乾したのち100℃で乾燥する。
次いで、B( OC4 9)3 溶液中に浸漬して減圧下に含
浸させ、風乾して加水分解した後、更に不活性雰囲気中
1000℃以上の温度で加熱処理することによりガラス
質被膜を形成する方法で行われる。なお、本発明の目的
には、ガラス質被膜としてAl2 3 、B2 3 および
SiO2 の組成からなる複合体が好ましい。
【0014】
【作用】本発明によれば、第1被覆工程におけるコンバ
ージョン法によるSiC被膜形成は、SiOガス発生用
のSiO2 源およびC源としてSIC有機前駆体溶液を
用いるものであるから、C/C複合基材表面に均一に含
浸することができ、かつ含浸量を調節することも容易で
ある。したがって、形成されるSiC被膜の膜厚を正確
に制御することができると共に均一な膜厚の被膜形成が
可能となる。その結果、SiO2 源およびC源として混
合粉末を用いる従来の方法に比べて、膜厚精度を格段に
向上させることができ、膜厚のばらつきは従来法の15
0〜300μm に比べて20〜40μm の範囲で制御す
ることが可能となる。
【0015】したがって、形成するSiC被膜を薄膜化
することが可能となり、第2被覆工程で形成するセラミ
ックス質被膜との間に生じる熱応力の緩和に効果的に機
能すると共に、C/C複合材の強度低下を抑止すること
ができる。更に、複雑形状を有するC/C複合材であっ
ても均一に含浸することができるため、均一な膜厚のS
iC被膜形成が可能となる。
【0016】また、第2被覆工程で形成するセラミック
ス被膜は、第1被覆工程で形成したSiC被膜表面に生
じる幅数μm 程度の微細クラックやピンホールを充填、
目詰めし、更に、第3被覆工程でガラス質被膜を形成す
ることによりクラックやピンホールを充填封止して、最
終的に外面を無孔構造にして大気とC/C複合材を完全
に遮断するバリア機能が付与される。
【0017】このようにして、C/C複合材の材質強度
の低下を伴うことなく、また複雑形状のC/C複合材に
対しても優れた耐酸化性能を示す被膜形成が可能とな
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
【0019】実施例1 (1) C/C複合基材の作製 ポリアクリロニトリル系高弾性タイプの平織炭素繊維布
にフェノール樹脂初期縮合物のマトリックス樹脂液を十
分に塗布し、48時間風乾してプリプレグシートを作製
した。このプリプレグシート16枚を積層してモールド
に入れ、温度110℃、圧力20kg/cm2で複合成形し
た。次いで、成形体を250℃の温度に加熱して完全に
硬化したのち、N2 雰囲気に保持された焼成炉に移し、
5℃/hr の昇温速度で2000℃まで加熱し、5時間保
持して焼成炭化した。このようにして、炭素繊維の体積
含有率(Vf)65%、嵩密度1.65g/cm3 のC/C
複合基材を作製した。
【0020】(2) 第1被覆工程 テトラエトキシシラン〔Si(OC2 5 4 〕とエタ
ノールをモル比1:2の割合で混合し、混合溶液中にS
i(OC2 5 4 1モルに対してフェノール樹脂を1
モルの割合で添加し、室温で還流撹拌を行った。この混
合溶液に、Si(OC2 5 4 1モルに対して2モル
量の水と0.2モル量のHClの混合水溶液を滴下し、
引き続き1時間撹拌して褐色透明のSiC有機前駆体溶
液を調製した。このSiC有機前駆体溶液中に、前記C
/C複合基材を15分間浸漬し、3時間風乾したのち1
00℃の温度で乾燥した。次いで、このC/C複合基材
を黒鉛坩堝に入れて電気炉内に移し、内部をアルゴンガ
スで十分に置換したのち、50℃/hrの昇温速度で18
50℃に加熱し、1時間保持してC/C複合基材の表面
にSiC被膜を形成した。形成されたSiC被膜の膜厚
は50μm であったが、その表面には幅数μm の微細な
クラックの発生が認められた。
【0021】(3) 第2被覆工程 第1被覆工程によりSiC被膜を形成したC/C複合基
材をパルスCVI装置の反応管内にセットし、反応管内
をアルゴンガスで十分に置換したのち、高周波誘導加熱
により1100℃の温度に加熱した。次いで、真空ポン
プにより吸引して、反応管内を2秒間で2Torr以下に減
圧し、直ちに原料ガスとしてトリクロロメチルシラン
〔CH3 SiCl3 〕と水素の混合ガス(モル比1:2
0)を1秒間で720Torrになるように導入して1秒間
保持した。このようにして反応管内の減圧、反応ガスの
導入および保持するパルスCVI操作を10000回繰
り返してSiCを析出、沈着させた。SiC被膜の膜厚
は150μm であり、その表面には僅かながらクラック
が認められた。
【0022】(4) 第3被覆工程 Si(OC2 5 4 とエタノールをモル比1:4.5
の量比で混合し、室温で還流撹拌を行った溶液に、前記
Si(OC2 5 4 1モルに対して2.5モルの水と
0.03モルのHClの混合水溶液を滴下混合した。滴
下後の溶液のpHは3.0であった。引き続き1時間撹
拌を継続してSiO2 ガラス前駆体溶液を得た。このS
iO2 ガラス前駆体溶液に、前記第2被覆工程までの処
理を施したC/C複合基材を浸漬して15分間減圧含浸
し、風乾後、100℃の温度で乾燥した。次いで、B
(OC4 9 3 溶液中に浸漬して15分間減圧含浸し
たのち、1昼夜風乾して空気中の水分により加水分解を
行い、100℃の温度で乾燥した。乾燥処理後のC/C
複合材を電気炉に入れ、アルゴンガス雰囲気中で800
℃の温度で1時間加熱処理して表面にB2 3 −SiO
2 のガラス質被膜を形成した。形成したガラス質被膜の
膜厚は2μm であった。
【0023】(5) 特性の評価 上記各工程の耐酸化処理を施したC/C複合材につい
て、次の方法により材質強度の測定ならびに耐酸化性の
評価を行った。 強度試験:150×10×5mmの試料について、支点
間距離I=80mm、クロスヘッドスピード6mm/minの条
件で3点曲げ強度試験(ASTM D790)を行っ
た。 耐酸化性試験 大気雰囲気に保持された電気炉に入れて、1700℃の
温度に30分間保持したのち取り出し、室温まで自然冷
却した。この操作を10回反復して行い、酸化によるC
/C複合材の重量減少率および耐酸化被膜の状況を測
定、観察した。
【0024】実施例2 実施例1と同一の条件により第2被覆工程までの処理を
施したC/C複合基材について、第3被覆工程としてS
iO2 ガラス前駆体溶液を調製する際にHCl水溶液に
Al(NO3 3 をSi(OC2 5 4 1モルに対し
て1モルの割合で溶解させてAl2 3 −SiO2 ガラ
ス前駆体溶液を調製したほかは、実施例1と同一の条件
により被覆処理を施してAl2 3 −B2 3 −SiO
2 のガラス質被膜(膜厚2μm )を形成した。このC/
C複合材について実施例1と同一の条件により強度試験
および耐酸化性試験を行った。
【0025】実施例3 実施例1と同一の条件により第1被覆工程の処理を施し
たC/C複合材について、第2被覆工程としてCVD装
置の反応管内にC/C複合材をセットし、反応管内をア
ルゴンガスで十分に置換したのち、高周波誘導加熱によ
り1300℃の温度に加熱した。次いで、真空ポンプで
アルゴンガスを排気し、水素ガスをキャリアガスとして
SiCl4 :CH4 :H2 の混合ガス(モル比1:1:
5)を導入し、反応圧力100Torrの条件でCVD法に
よりSiCを析出させて、SiC被膜(膜厚150μm
)を形成した。次いで、第3被覆工程として実施例2
と同一条件によりAl2 3 −B2 3 −SiO2 のガ
ラス質被膜を形成した。得られたC/C複合材について
実施例1と同一の条件により強度試験および耐酸化性試
験を行った。
【0026】実施例4 実施例1と同一の条件により第1被覆工程の処理を施し
たC/C複合材について、第2被覆工程の原料ガスとし
てZrCl4 :CH4 :H2 の混合ガス(モル比1:
1:8)を導入し、反応温度を1350℃としたほか
は、実施例1と同一の条件により第2被覆工程の処理を
施してZrC被膜(膜厚150μm )を形成した。次い
で、第3被覆工程として実施例2と同一の条件によりA
2 3 −B2 3 −SiO2 のガラス質被膜を形成
し、得られたC/C複合材について実施例1と同一の条
件によって強度試験および耐酸化性試験を行った。
【0027】実施例5 実施例1と同一の条件により第1被覆工程の処理を施し
たC/C複合材について、第2被覆工程としてSiCl
4 :NH3 :H2 の混合ガス(モル比1:1:6)を導
入したほかは実施例3と同一の条件によりSi3 4
被膜(膜厚150μm )を形成した。次いで、第3被覆
工程として実施例2と同一条件によりAl2 3 −B2
3 −SiO2 のガラス質被膜を形成した。得られたC
/C複合材について実施例1と同一の条件により強度試
験および耐酸化性試験を行った。
【0028】比較例1 SiO2 粉末とSi粉末をモル比2:1の配合比率にな
るように混合し、混合粉末を黒鉛坩堝に入れ、上部にC
/C複合材をセットした。この黒鉛坩堝を電気炉内に移
し、内部をアルゴンガスで十分に置換したのち、50℃
/hr の昇温速度で1900℃の温度に加熱し、2時間保
持してC/C複合材の表層部にSiC被膜(膜厚200
μm )を形成した。次いで、実施例1の第3被覆工程と
同一の条件によりB2 3 −SiO2 のガラス質被膜を
形成した。得られたC/C複合材について実施例1と同
一の条件により強度試験および耐酸化性試験を行った。
【0029】比較例2 実施例1と同一の条件により第2被覆工程および第3被
覆工程の被膜形成処理のみを行い、得られたC/C複合
材について実施例1と同一条件により強度試験および耐
酸化性試験を行った。
【0030】これらの結果について、適用した耐酸化処
理法を表1に、強度試験および耐酸化性試験の結果を表
2に、それぞれ示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】上記の結果から、本発明の耐酸化処理を施
したC/C複合材は、比較例に対比して、いずれも高い
強度特性を有し、また1700℃の高温大気中において
も優れた耐酸化性能を示すことが認められる。
【0034】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の耐酸化処理法に
よれば、C/C複合基材表面にSiC有機前駆体溶液を
含浸し、熱処理するコンバージョン法によりSiC被膜
を形成し、次いでCVD法あるいはパルスCVI法によ
りセラミックス質被膜を、更にアルコキシド法で得られ
るガラス前駆体溶液を含浸、熱処理してガラス質被膜
を、順次形成することにより高強度ならびに高度の耐酸
化性を備えるC/C複合材を提供することが可能とな
る。また、複雑形状のC/C複合材に対しても適用が容
易であり、過酷な高温酸化性雰囲気に晒されるC/C複
合材の耐酸化処理法として極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維をマトリックス樹脂とともに複
    合成形し、硬化および焼成炭化処理して得られる炭素繊
    維強化炭素複合材を基材とし、該基材の表面にSiアル
    コキシドおよび熱硬化性樹脂液にアルコールを加えて均
    一に混合したのち加水分解して得られるSiC有機前駆
    体溶液を含浸し、非酸化性雰囲気中で熱処理してコンバ
    ージョン法によりSiC被膜を形成する第1被覆工程、
    CVD法あるいはパルスCVI法により気相析出させて
    セラミックス質被膜を形成する第2被覆工程、およびア
    ルコキシド法で得られるガラス前駆体溶液を含浸したの
    ち加熱処理してガラス質被膜を形成する第3被覆工程、
    を順次施すことを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材の
    耐酸化処理法。
  2. 【請求項2】 第2被覆工程で形成するセラミックス質
    被膜が、SiまたはZrの炭化物もしくは窒化物である
    請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理
    法。
  3. 【請求項3】 第3被覆工程で形成するガラス質被膜
    が、Al2 3 ,B23 およびSiO2 の複合体であ
    る請求項1又は2記載の炭素繊維強化炭素複合材の耐酸
    化処理法。
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