JPH08512450A - 少なくとも１つのクラッチを有する電気機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、固定子（２）と、ほぼ円筒形の回転子（１）と、前記固定子（２）と前記回転子（１）との間に位置する円筒形の空隙（９）と、トルクを伝達するために切換え可能である内蔵クラッチ（３，４）とを有する、選択的に電動機又は発電機として作動可能でありとりわけハイブリッド駆動装置付き自動車のパワートレーンの中に組込み可能である電気機械に関する。本発明の電気機械は、前記回転子（１）が、外部に配置され（外部回転子形機械）、前記クラッチ（３及び／又は４）が、回転子の内部に位置する前記固定子（２）の中に配置されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 少なくとも１つのクラッチを有する電気機械 本発明は、請求の範囲第１項の上位概念に記載の少なくとも１つの内蔵形クラ ッチを有する電気機械に関する。 自動車の比燃料消費量を低減する努力に関連して、ハイブリッド駆動装置を有 する自動車が公知となっている。この自動車は、内燃機関と、第１図に概念的に 示されている変速機を有する従来のパワートレーン（動力伝達装置）とを有する 。内燃機関６と変速機７との間には、電気機械が配置され、この電気機械は、非 同期機械として形成され、選択的に（自動車作動及び内燃機関６の始動の際には ）電動機として、又は発電機として作動可能である。軸方向に見て、この電気機 械の内部回転子１の互いに対向して位置する側面の外部に、２つのトルク伝達ク ラッチ３，４が、配置されている。この電気機械の固定子２は、半径方向に見て 外部領域内に位置し、駆動エネルギーを供給する蓄電池５に電気的に接続可能で ある。 回転子１は二重の機能を有する。何故ならば回転子１は内燃機関６のためのデ ィスクフライホイールとしても動作するからである。このために、対応する作動 モードでは電気機械に設けられており内燃機関６に面するクラッチ３がスイッチ オンされ、これにより内燃機関６のクランク軸８ａと回転子１との間に相互回転 不能な接続が形成される。機械的な駆動エネルギーを軸８ｂを介して変速機７に 伝達するために、クラッチ４もスイッチオンされる。純粋な電気的駆動が蓄電池 ５から電流を取出すことにより行われる作動モードの場合、内燃機関６に面する クラッチ３はスイッチオフされ、他方のクラッチ４のみがスイッチオンされる。 クラッチ３，４のこの切換え状態は、電気機械が発電機として作動されその際に 蓄電池５が充電されて自動車が制動される作動モードにおいても現れる。しかし その際制動効果を強化するために、第１のクラッチ３がスイッチオンされ、これ により内燃機関６も制動作用を発揮する。 クラッチ３，４を回転子１の端面に直接にフランジ接続することにより、比較 的コンパクトな構造が得られる。この公知の解決法の１つの重大な欠点は、電気 機械の出力及び最大トルクが、内燃機関６の対応する値に比して大幅に小さいこ とにある。従って、このハイブリッド駆動装置は、純粋に電気的な作動モードで は非常に小さい走行出力しか供給できない。熱に変換された損失出力を排出する ために、冷却ブロワが設けられている。 本発明の課題は、冒頭に記載の電気機械を改善して、軸方向にできるだけコン パクトな構造を実現し、大幅に大きいトルクと出力密度とを可能にし、高い機能 確実性を保証することにある。 上記課題は、本発明により、請求の範囲第１項の特徴部分に記載の特徴により 解決される。本発明の有利な実施例は、請求の範囲第２項〜第１２項に記載され ている。 次に本発明を図に基づいて詳細に説明する。 第１図は公知のハイブリッド駆動装置の概念図、第２図は本発明の電気機械を 有するハイブリッド駆動装置の概念図、第３図は第２図の電気機械の１つの変形 実施例の概念図、第４図は本発明の電気機械の回転子の一部を詳細に示す断面図 である。 第１図の公知のハイブリッド駆動装置の機能は冒頭で詳細に説明した。第２図 に示されているパワートレーンは基本的に第１図のものと同様に動作し、従って 以下において両者の相違点のみを説明する。第２図〜第４図において、第１図の 場合と同一機能の部分は、同一の参照番号が付けられている。 第１図と異なり、第２図の選択的に電動機又は発電機として作動可能な電気機 械は外部回転子形機械であり、ほぼ円筒形で外部に位置する回転子１を有する。 これは、電子転流回路を有する同期機械である。回転子１の中には固定子２が配 置されており、回転子２は図示されていない電気巻線を備える。回転子１には対 応して永久磁石が設けられている。固定子２への給電のための電子転流回路は図 示されていない。電動機の２つの機能部分（回転子１及び固定子２）の間には円 筒形の空隙９が存在する。この構成は非常に大きいトルクの発生を可能にする。 何故ならば空隙９は大幅に外方へ配置することができるからである。回転子１は 車輪と同様に横断面が部分的に鍵の歯のように凹凸状に形成されているハブ部分 １ａを有し、このハブ部分１ａは固定子２の中に支承され、切換え可能なクラッ チ４の機能部分自身を形成するか、又はこの機能部分に固定接続されている。ク ラッチ４の他方の機能部分は、変速機７につながる軸８ｂに接続されている。ク ラッチ４は外方から同軸に回転子１のハブ部分１ａの中に入れられ、従って同時 に固定子２の中にも位置する。有利にはクラッチ４は固定子２の輪郭の軸方向の 限界表面である端面を越えることがないか又は僅かしか越えず、回転子１の軸方 向の限界表面である端面をも越えることがないか又は僅かしか越えない。これに より、軸方向に非常にコンパクトな構成が保証される。多数の用途において、ク ラッチの中に、（図示されていない）回転振動減衰装置を設けると有利である。 この電気機械にただ１つのクラッチを設けるだけでも多数の用途において使用 可能な本発明の実施例となる。第２図のハイブリッド駆動装置の例のように第２ のクラッチ（クラッチ３）を必要とする場合、第２のクラッチも固定子２の中に 同様に設けられる。このために回転子１のハブ部分１ａに第２のハブ部分１ｂが 接続され、第２のハブ部分１ｂは切換え可能なクラッチ３の機能部分も形成する か又はクラッチ３の機能部分に接続されている。クラッチ３の第２の機能部分は 回転不能にクランク軸８ａに接続されている。２つのクラッチ３，４は有利には 完全に固定子２又は回転子１の容積の中に入れられ、従って軸方向の構造長を非 常に短く保持できる。 クラッチ３，４として、例えば多板クラッチ又は液圧又空圧作動形乾式クラッ チ等の異なるタイプが適する。有利には電気作動される磁性粒子クラッチを使用 する。クラッチの形式と無関係にスイッチオン及びスイッチオフを自動化するこ とが推奨される。 永久磁石励磁形の外部回転子形機械としての構成は、比較的コンパクトな寸法 で、大きいトルクと高い出力とを保証する。更に回転子１は公知のように、内燃 機関６のためのディスクフライホイールとして使用でき、この場合のディスクフ ライホイールは従来技術の場合に比して大幅に効果的である。何故ならばこの場 合のディスクフライホイールは大きい半径を有する円筒上に配置されているから である。固定子２の巻線の中の出力損失により発生する熱の放出のためには有利 には液体冷却装置（図示せず）が設けられ、液体冷却装置は空気冷却装置に比し て効率的に動作し構成がコンパクトである。 第２図に対して変形されているが、しかし同様に２つのクラッチ３，４を有す る本発明の実施例が第３図に示されている。この場合クラッチ３，４は軸方向に 直接に順次に配置され、ともに同一の側から固定子２の中に入れられ、固定子２ はこの場合壺形ケーシング形状を有する。この構造の基本的機能は第２図の場合 と対応し、この構造の重要な利点はクラッチの作動機構を変速機側から接続でき 、電動機クランク軸への直接的なフランジ接続を軸方向の中間空間を残さずに実 現できることにある。空隙９は、変速機７に面する側でケーシング状ハブ部分１ ａにより密封されて覆われる。これにより、クラッチ３，４の摩擦により発生し 場合によっては強磁性成分を含む粉塵が回転子１の永久磁石に簡単に到達し空隙 ９の領域内に蓄積し場合によっては障害を発生することが、防止される。このよ うな粉塵は、回転子ケーシングの外部の回りを巡って移動しないと、内燃機関６ に面する側から空隙９の中に侵入できない。必要な場合には更に確実な障害発生 防 止策を施すことができる。すなわち、そのためには第４図に示されているように 永久磁石１２とハブ部分１ａとの間に空隙９に対して密封されているリング状収 集室１０を形成する。この収集室１０は、ハブ部分１ａの中の複数の開口１１を 介して変速機７に面する側から接近可能である。そしてこの収集室１０は、複数 の別個の収集室に分割できる。クラッチ３，４で摩擦により発生した強磁性の塵 埃が変速機側から外方に出る場合、この塵埃はハブ部分１ａに沿って外方へ移動 しなければならない。塵埃は外周に到達する前に開口１１を通過しなければなら ず、その際、塵埃は永久磁石１２により吸引され収集室１０の中に磁気的に固定 保持される。その際何等の損傷も発生しない。 永久磁石励磁形同期機械による本発明の実施例は、非同期機械による公知の実 施例に比して別の１つの重要な利点を有する。公知の実施例は、空隙の変化に対 して非常に敏感であり、この空隙は、効果的な作用を保証するには０.１〜０.２ ｍｍの領域内になければならない。この領域からずれると作用が大幅に劣化する ことを覚悟しなければならない。非同期機械は、（クランク軸への直接的なフラ ンジ接続が行われている場合）、内燃機関のクランク軸の遊びに対して非常に敏 感である。従って、高い効率を保証したい場合、相応して狭い公差を有する支承 のための付加的手段を大きいコストをかけて実現しなければならない。これに対 して同期機械を使用する場合、このような付加的コストは不要である。 本発明の利点は、次の例により更に明瞭となる。比較例： 第１図のハイブリッド駆動装置を有する自動車は、駆動装置組立として最大ト ルク１１０Ｎｍの出力５５ｋＷのディーゼルモータを有する。電気非同期機械（ 内燃機関・発電機）の直径は約２５０ｍｍであり、軸方向構造長は約８５ｍｍで ある。これらの寸法で、電力は（２０００ｒｐｍで）７.５ｋＷであり、最大持 続トルクは、約８０Ｎｍである。従って、純粋に電気的な走行作動の場合、対 応する内燃機関作動に比して小さい走行出力となる（出力は最大１４％、トルク は最大７３％）。本発明： 同一の内燃機関を基礎にして、第３図の本発明の１つの有利な実施例は、永久 磁石励磁型で３２０ｍｍの直径と１４７ｍｍの軸方向構造長とを有する電気同期 機械を有する。最大電力は（１８０００ｒｐｍで）２５ｋＷであり、最大トルク は４００Ｎｍである。例えば第１図の場合に比して、電力は約２３０％大きく、 最大トルクは約４００％大きく、これらの値は機械寸法が比較的僅かしか増加し ていない（直径は２８％増加し、構造長は７３％増加している）にもかかわらず 得られる。更に本発明の別の１つの利点は内燃機関のフライホイール作用が改善 されることにあり、これは外部回転子形構造に起因する。とりわけ、トルクが大 幅に増加することにより重要な利点が得られるのは、電動機が内燃機関のスター タとして動作する場合である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＢＲ，ＪＰ，ＵＳ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 固定子（２）と、ほぼ円筒形の回転子（１）と、前記固定子（２）と前 記回転子（１）との間に位置する円筒形の空隙（９）と、トルクを伝達するため に切換え可能である内蔵クラッチ（３，４）とを有し、選択的に電動機又は発電 機として作動可能であり、とりわけハイブリッド駆動装置付き自動車のパワート レーンの中に組込み可能である電気機械において、 前記回転子（１）が外側に配置され（外部回転子形機械）、前記クラッ チ（３及び／又は４）が、内部に位置する前記固定子（２）の中に配置されてい ることを特徴とする電気機械。 ２． 電気機械が、電気転流回路を有する同期機械として形成され、回転子（ １）が多数の永久磁石（１２）を有することを特徴とする請求の範囲第１項に記 載の電気機械。 ３． 軸方向に関して互いに反対向きの固定子（２）の端面の領域内に２つの クラッチ（３，４）が配置されていることを特徴とする請求の範囲第１項又は第 ２項に記載の電気機械。 ４． ２つのクラッチ（３，４）が設けられ、固定子（２）がほぼ壺状のケー シング形状を有し、前記両クラッチ（３，４）が前記壺状ケーシングの中に直接 に順次に配置されていることを特徴とする請求の範囲第１項又は第２項に記載の 電気機械。 ５． クラッチ（３，４）が電気的に作動されることを特徴とする請求の範囲 第１項から第４項のうちのいずれか１つの項に記載の電気機械。 ６． クラッチ（３，４）の作動が自動化されていることを特徴とする請求の 範囲第１項から第５項のうちのいずれか１つの項に記載の電気機械。 ７． クラッチ（３，４）が磁性粒子クラッチとして形成されていることを特 徴とする請求の範囲第５項又は第６項に記載の電気機械。 ８． クラッチ（３，４）が多板クラッチ又は液圧又は空圧作動形乾式クラッ チとして形成されている請求の範囲第１項から第６項のうちのいずれか１つの項 に記載の電気機械。 ９． クラッチ（３，４）のうちの少なくとも１つにねじりダンパが設けられ ていることを特徴とする請求の範囲第８項に記載の電気機械。 １０． 前記クラッチ（３，４）が軸方向に固定子（２）又は回転子（１）の 端面側輪郭を軸方向に全く越えないか又は僅かしか越えないように、クラッチ（ ３，４）が固定子（２）の中に内蔵されていることを特徴とする請求の範囲第１ 項から第９項のうちのいずれか１つの項に記載の電気機械。 １１． 電気機械の中で発生する損失熱を排出する液体冷却装置が設けられて いることを特徴とする請求の範囲第１項から第１０項のうちのいずれか１つの項 に記載の電気機械。 １２． 回転子（１）がケーシング状のハブ部分（１ａ）を有し、このハブ部 分が壺状の固定子ケーシングの開放側に面する側で前記空隙（９）を外部に対し て密封するように拡がり、永久磁石（１２）の端面とケーシング状のハブ部分（ １ａ）との間に少なくとも１つの収集室（１０）が形成され、前記収集室（１０ ）は前記空隙（９）に対して密封閉鎖され、少なくとも１つの前記収集室（１０ ）への開口（１１）がケーシング状のハブ部分（１ａ）の中に設けられているこ とを特徴とする請求の範囲第２項又は第４項に記載の電気機械。