JP3651727B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと回転電機との両方を備えているハイブリッド型車両用の電磁カップリング駆動装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭48−39847号公報および特開平8−15699号公報に、それぞれハイブリッド型車両用の電磁カップリング駆動装置が開示されている。両公報に開示されているいずれの技術でも、最内周に軸支されている第1ロータにエンジンからの軸出力が入力され、最外周のステータと第1ロータとの間に軸支されている第2ロータから軸出力が駆動負荷へ出力される構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術においては、第1ロータの入力軸の回転数が第2ロータの出力軸の回転数を上回り、減速機として作動している場合には、軸出力の伝達効率は高い。ところが逆に、第1ロータの入力軸の回転数が第2ロータの出力軸の回転数に及ばず増速機として作動している場合には、軸出力の伝達効率が低く損失が大きいという不都合を有していた。
【0004】
そこで本発明は、入力軸の回転数と出力軸の回転数との大小関係の如何にかかわらず、高い伝達効率を発揮することができる車両用駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載の車両用駆動装置である。
本手段では、クラッチ入力軸を第1ロータおよび第2ロータのうち一方に連軸可能な入力軸切替えクラッチと、クラッチ出力軸をこの第1ロータおよびこの第2ロータのうち一方に連軸可能な出力軸切替えクラッチとが装備されている。そして、第1ロータおよび第2ロータとの間に内周磁気回路が形成されてトルクの授受が行われ、同様に、ステータおよび第2ロータとの間に外周磁気回路が形成されてトルクの授受が行われる。
【0006】
それゆえ、入力軸切替えクラッチの切替と、出力軸切替えクラッチの切替とにより、クラッチ入力軸およびクラッチ出力軸と第1ロータおよび第2ロータの連軸の組み合わせを、任意に選択することができる。そこで、第1ロータと第2ロータとの間でのトルクの授受が最も効率よく行われる組み合わせで連軸することが可能となる。その結果、クラッチ入力軸からクラッチ出力軸までの伝達効率を、クラッチ入力軸の回転数とクラッチ出力軸の回転数との大小関係の如何にかかわらず、高く保つことが可能になる。
【0007】
また、第1ロータおよびまたは第2ロータを介して、クラッチ入力軸とクラッチ出力軸とを直結することも可能になる。この場合には、電磁的な損失はほとんど無くなり、わずかの機械的な損失があるのみで、非常に高い伝達効率が発揮される。
したがって本手段によれば、クラッチ入力軸の回転数とクラッチ出力軸の回転数との大小関係の如何にかかわらず、高い伝達効率を発揮し得る車両用駆動装置を提供することができるという効果がある。
【0008】
なお、ステータ、第1ロータおよび第2ロータが円盤形状に形成されており、軸長方向の寸法が比較的短い構成も可能ではある。しかし、回転数が頻繁に変わるので慣性モーメントが小さい方が良いことを考慮すると、ステータ、第1ロータおよび第2ロータの磁気回路を形成する要部は、円筒体または円筒面の形状である方が望ましい。同形状の構成では、直径を比較的小さく抑えることができ、全体としてコンパクトにまとまる傾向がある。
【0009】
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載の車両用駆動装置である。
本手段では、電機子はステータおよび第1ロータにそれぞれ装備されており、第2ロータには永久磁石が装備されている。一般に、永久磁石による磁極は、電機子の電磁石による磁極よりも軽量であるので、回転半径すなわちモーメントアームが大きい第2ロータは軽量に構成されて慣性モーメントが小さい。一方、第1ロータは回転半径すなわちモーメントアームが小さいので、電機子により重量が増してもそれほど大きな慣性モーメントを生じることはない。また、ステータは回転しないので、電機子の装備によって大きな慣性モーメントが生じても全く不都合ではない。それゆえ、第1ロータおよび第2ロータの回転モーメントは、いずれも比較的低く抑制されており、トルクに対する角加速度が大きいので、本手段の車両用駆動装置は応答性に優れている。
【0010】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、車両用駆動装置の応答性が優れているという効果がある。
なお、応答特性は劣るものの、上記以外の構成、すなわち、ステータおよび第1ロータに電機子または永久磁石による磁極が配設されており、第2ロータの外周側と内周側とにそれぞれ回転電機子が形成されている構成も可能である。
【0011】
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載の車両用駆動装置である。
本手段では、第1ロータと第2ロータとは同一方向に回転するので、第1ロータと第2ロータとの相対角速度は逆方向に回転する場合に比べてずっと小さい。それゆえ、内周回転磁界の(第1ロータまたは第2ロータに対する)回転数も小さく抑制されているので、磁気抵抗に起因する電流の損失が小さい。
【0012】
したがって本手段によれば、前述の第1手段または第2手段の効果に加えて、より高い伝達効率が得られるという効果がある。
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載の車両用駆動装置である。
本手段では、第1ロータの回転数が第2ロータの回転数以上になるように、入力軸切替えクラッチおよび出力軸切替えクラッチが切替えられる。すなわち、最外周のステータは回転せず最内周の第1ロータが最も速く回転することになり、第1ロータと第2ロータとの回転数差と第2ロータの回転数(すなわち第2ロータとステータとの回転数差)との和が最も少なくなる。その結果、磁気抵抗や渦電流等に起因する電気エネルギーの損失は最小となるので、最も高い伝達効率が得られる。
【0013】
したがって本手段によれば、前述の第1〜3手段のうちいずれかの効果に加えて、より高い伝達効率が得られるという効果がある。
なお、本手段では、入力軸切替えクラッチでの第1ロータとのギヤ比と第2ロータとのギヤ比とは互いに等しく、また、出力軸切替えクラッチでの第1ロータとのギヤ比と第2ロータとのギヤ比とは互いに等しいものとして、クラッチ切替え判定が行われている。しかし、しからざる場合には、第1ロータの回転数が第2ロータの回転数以上になるように、入力軸切替えクラッチおよび出力軸切替えクラッチの切替えが行われるものとする。
【0014】
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載の車両用駆動装置である。
本手段では、外周回転磁界および内周回転磁界はそれぞれインバータによって制御されている。それゆえ、第1ロータと第2ロータとの間で発電作用を行うことも電動作用を行うことも可能であり、同様に第2ロータとステータとの間で発電作用を行うことも電動作用を行うことも可能である。
【0015】
そして運転中には、第1ロータおよび第2ロータのうちクラッチ入力軸に連軸されている一方のロータから、発電作用および電動作用を介して、前記クラッチ出力軸に連軸されている他方のロータに回転駆動トルクがを与えられる。それゆえ、クラッチ出力軸に連軸されているロータからクラッチ入力軸に連軸されているロータへ、発電作用および電動作用を介して電気エネルギーが逆流することがなく、本手段のクラッチ入力軸からクラッチ出力軸への伝達効率は高い。
【0016】
したがって本手段によれば、前述の第1〜4手段のうちいずれかの効果に加えて、よりいっそう高い伝達効率でクラッチ入力軸からクラッチ出力軸へ軸出力の伝達ができるという効果がある。
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載の車両用駆動装置である。
【0017】
本手段では、各インバータに接続されているバッテリ(蓄電池)を有する。それゆえ、伝達効率の損失分を考慮したとしても、クラッチ入力軸へ入力される軸出力がクラッチ出力軸の軸出力を上回る場合には、本手段の車両用駆動装置は発電機として作用し、バッテリに蓄電される。逆に、伝達効率の損失分を考慮した上で、クラッチ入力軸へ入力される軸出力がクラッチ出力軸の軸出力に及ばない場合には、本手段の車両用駆動装置は、不足分の電力の供給をバッテリから受けて電動機として作用する。
【0018】
したがって本手段によれば、前述の第5手段の効果に加えて、発電機としての作用や電動機としての作用を発揮することができ、より高機能な車両用駆動装置を提供することができるという効果がある。
【0019】
【発明の実施の形態および実施例】
本発明の車両用駆動装置の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得らえるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
[実施例1]
(実施例1の全体構成)
本発明の実施例1としての車両用駆動装置は、図1に示すように、大きく分けてクラッチ部Aと回転電機部Bとから構成されている。
【0020】
クラッチ部Aは、エンジン100からの出力軸110と接続されているクラッチ入力軸310を有する入力軸切替えクラッチ300と、差動ギヤ900を介して駆動輪700に接続されているクラッチ出力軸312を有する出力軸切替えクラッチ350とから構成されている。エンジン出力軸110は、図示しないジョイント部および減速機(ないし増速機)等を介して、入力軸切替えクラッチ300のクラッチ入力軸310に軸出力を伝達する。クラッチ部Aからは、クラッチ入力軸310の先端部およびクラッチ出力軸312の先端部が同一方向に突出しているので、本実施例の車両用駆動装置1000はFF車ないしRR車に対して好適である。
【0021】
一方、回転電機部Bは、大きく分けて中心側から外側に、第1ロータ1210、第2ロータ1310およびステータ1410の三つの機能部品から構成されている。
前述のクラッチ部A、回転電機部Bおよび差動ギヤ900は、大きく三分割されるフレーム(機枠)1100に収容されている。
【0022】
(実施例1の回転電機部の構成および作用)
回転電機部Bは、フレーム1100に固定されているステータ1410と、所定の間隔を空けてステータ1410の内周面と対向している第1ロータ1210と、上記間隔に配設されている第2ロータとから、主に構成されている。第2ロータ1310は、外周面でステータ1410の内周面とわずかの間隙を空けて対向しており、内周面で第1ロータ1210の外周面とわずかの間隙を空けて対向している。第1ロータ1210および第2ロータ1310は、いずれもステータ1410と同軸に軸支されており、回転自在にステータ1410の内部空間に保持されている。通常の運転時には、第1ロータと第2ロータとは同一方向に回転するように、クラッチ部Aでエンジン100および駆動輪700と歯車接続されている。
【0023】
ステータ1410は、フレーム1100の一部が形成しているヨークとステータコア1412およびステータ巻線1411とを有している。ステータ巻線1411に三相交流が通電されると、ステータ1410の内周側には外周回転磁界が形成される。この三相交流は、フレーム1100の外部に付設されているインバータ400から供給され、インバータ400はECU500によって制御されている。
【0024】
第1ロータ1210は、第1ロータ軸1213に固定されている円筒体状の回転中空部材であり、第1ロータ軸1213は、三点でフレーム1100内に回転自在に軸支されている。すなわち、第1ロータ軸1213は、図中右側の一端をフレーム1100に固定されている軸受け1513で、図中左側の第1ロータギヤ351付近の他端をフレーム1100に固定されている軸受け1514で、それぞれ回転自在に軸支されている。また、第1ロータ軸1213の中間部は、フレーム1100に固定されている軸受け1510に軸支されている第2ロータ1310の端部を介して、軸受け1512により回転自在に軸支されている。
【0025】
第1ロータ1210は、上記円筒体の外周部にロータコア1212およびロータ巻線1211を有している。ロータ巻線1211に三相交流が通電されると、第1ロータ1210の外周側には内周回転磁界が形成される。この三相交流は、フレーム1100の外部に付設されているインバータ200からスリップリング1630を介して供給され、インバータ200は、前述のインバータ400と同様にECU500によって制御されている。
【0026】
なお、スリップリング1630には、フレーム1100に固定されているブラシホルダ1610に保持されているブラシ1620が摺接しており、スリップリング1630とロータ巻線1211とは、リード部1660で接続されている。リード部1660の一部は、第1ロータ軸1213の溝(図略)に埋め込まれている。
【0027】
第2ロータ1310は、中空円筒体状の形状をしており、前述のように図中右側の第2ロータ軸1313の一端を第1ロータ1210に固定されている軸受け(図略)で、回転自在に軸支されている。また、第2ロータ1310は、図中左側の第2ロータ軸1313の他端をフレーム1100に固定されている軸受け1512で、回転自在に軸支されている。
【0028】
第2ロータ1310は、軸長方向の中間部に中空円筒状の軟磁性体からなる中空ロータヨーク1311を有する。中空ロータヨーク1311の外周面側には、ステータ1410と対向している外周磁極としての外周永久磁石1420が複数個配設されて固定されている。逆に、中空ロータヨーク1311の内壁面側には、第1ロータ1210と対向している内周磁極としての内周永久磁石1220が複数個配設されて固定されている。
【0029】
したがって、ロータ巻線1211に通電されると、第1ロータ1210と第2ロータ1310との間に内周磁気回路が形成される。すなわち、第1ロータ1210のロータ巻線1211により形成される内周回転磁界と、第2ロータ1310の内周永久磁石1220との間に、内周磁気回路が形成される。この内周磁気回路を介して、第1ロータ1210と第2ロータ1310との間でトルクの授受が行われる。第1ロータ1210と第2ロータ1310とは回転数調整部1200を形成している。この回転数調整部1200では、第1ロータ1210と第2ロータ1310との相互作用で生じるトルクはほぼ一定に保たれており、第1ロータ1210と第2ロータ1310との回転数差が調整される。
【0030】
同様に、ステータ巻線1411に通電されると、ステータ1410と第2ロータ1310との間に外周磁気回路が形成される。すなわち、ステータ1410のステータ巻線1411により形成される外周回転磁界と、第2ロータ1310の外周永久磁石1420との間に、外周磁気回路が形成される。この外周磁気回路を介して、ステータ1410と第2ロータ1310との間でトルクの授受が行われる。ステータ1410と第2ロータ1310とはトルク調整部1400を形成しており、トルク調整部1400では、第2ロータ1310の回転数を変化させずに第2ロータ1310にかかるトルクを調整する作用が発揮される。
【0031】
これらの外周回転磁界および内周回転磁界は、それぞれインバータ400,200により制御されている。そして、第1ロータ1210および第2ロータ1310うちクラッチ入力軸310に連軸されている方が、発電作用および電動作用を介して、クラッチ出力軸312に連軸されている方のロータに回転駆動トルクを与える。
【0032】
この際、インバータ200,400にはバッテリ600が接続されているので、上記発電作用で発生する電力が上記電動作用で消費される電力を上回っている場合には、余剰電力がバッテリ600に充電される。逆に、上記発電作用で発生する電力が上記電動作用で消費される電力に及ばない場合には、バッテリ600は放電して電力の不足分を補う。上記発電作用と上記電動作用との差によって生じる余剰電力が、ちょうどインバータ200,400およびICU500等を作動させるための消費電力に等しい場合は、バッテリ600は蓄電も放電もせず、必ずしもバッテリ600は必要とされない。
【0033】
なお、回転電機部Bには、第1ロータ軸1213の回転角度および回転数を検出する回転検出センサ1911と、第2ロータ1310の回転角度および回転数を検出する回転検出センサ1912とが装備されている。これらの回転検出センサの出力である計測値は、ECU500に入力されてインバータ200,400を制御し、ひいては内周回転磁界および外周回転磁界を制御するために使用される。
【0034】
(実施例1のクラッチ部の構成および作用)
入力軸切替えクラッチ300は、エンジン出力軸110からの軸出力が入力されるクラッチ入力軸310をもち、クラッチ入力軸310を第1ロータ1210および第2ロータ1310のうち一方に連軸可能である。より正確には、クラッチ入力軸310を第1ロータ1210および第2ロータ1310のうち一方に連軸可能であるばかりではなく、両方に連軸可能でもあり、またいずれにも連軸しない中立状態をも取り得る。したがって、入力軸切替えクラッチ300は、クラッチ入力軸310の接続状態として上記四つの接続状態のうちいずれかを任意に取りうる構成になっている。
【0035】
入力軸切替えクラッチ300の構成の詳細は、以下の通りである。入力軸切替えクラッチ300は、大きく分けて第1クラッチ330と第2クラッチ340とから構成されている。
第1クラッチ330は、クラッチ入力軸310に固定されているクラッチアーマチャ320と、ギヤ336と、両者320,336に介在するクラッチロータ332と、クラッチロータ332を駆動する電磁コイル334とからなる。クラッチロータ332の一端が当接するギヤ336の側面には、クラッチパッドが接合固定されている。ギヤ336は、軸受け336aを介してクラッチ入力軸310から回転自在に軸支されており、前述の第1ロータギヤ351と噛み合って第1ロータ軸1213と連動している。
【0036】
第1クラッチ330では、電磁コイル334に通電されると、クラッチロータ332は電磁コイル334に引きつけられて軸長方向に移動し、ギヤ336の側面のクラッチパッドに当接すると同時に、クラッチアーマチャ320にも当接する。すると、クラッチ入力軸310は、クラッチアーマチャ320、クラッチロータ332、ギヤ336および第1ロータギヤ351を順に介して、第1ロータ軸1213すなわち第1ロータ1210に連軸される。逆に、電磁コイル334への通電がなくなると、リターンスプリング(図略)のバネ弾性力でクラッチロータ332はギヤ336およびクラッチアーマチャ320から離れ、クラッチ入力軸310と第1ロータ軸1213との連軸は解除される。
【0037】
第2クラッチ340は、クラッチ入力軸310に固定されているクラッチアーマチャ320(共通)と、ギヤ346と、両者320,346に介在するクラッチロータ342と、クラッチロータ342を駆動する電磁コイル344とからなる。クラッチロータ342の一端が当接するギヤ346の側面には、クラッチパッドが接合固定されている。ギヤ346は、軸受け346aを介してクラッチ入力軸310から回転自在に軸支されており、前述の第2ロータギヤ352と噛み合って第2ロータ軸1313と連動している。
【0038】
第2クラッチ340では、電磁コイル344に通電されると、クラッチロータ342は電磁コイル344に引きつけられて軸長方向に移動し、ギヤ346の側面のクラッチパッドに当接すると同時に、クラッチアーマチャ320にも当接する。すると、クラッチ入力軸310は、クラッチアーマチャ320、クラッチロータ342、ギヤ346および第2ロータギヤ352を順に介して、第2ロータ軸1313すなわち第2ロータ1310に連軸される。逆に、電磁コイル344への通電がなくなると、リターンスプリング(図略)のバネ弾性力でクラッチロータ342はギヤ346およびクラッチアーマチャ320から離れ、クラッチ入力軸310と第2ロータ軸1313との連軸は解除される。
【0039】
ここで、第1クラッチ330を介して第1ロータ1210に連軸する場合でも、第2クラッチ340を介して第2ロータ1310に連軸する場合でも、クラッチ入力軸310と各ロータ1210,1310とのギヤ比は同一である。また、第1ロータ1210の回転方向および第2ロータ1310の回転方向も同一である。
【0040】
一方、出力軸切替えクラッチ350は、クラッチ入力軸310がクラッチ出力軸312に替わっているだけで、前述の入力軸切替えクラッチ300と同様の構成と作用とをもっている。
すなわち、出力軸切替えクラッチ350は、軸出力を出力するクラッチ出力軸312をもち、クラッチ出力軸312を第1ロータ1210および第2ロータ1310のうち一方に連軸可能である。より正確には、クラッチ出力軸312を第1ロータ1210および第2ロータ1310のうち一方に連軸可能であるばかりではなく、両方に連軸可能でもあり、またいずれにも連軸しない中立状態をも取り得る。したがって、出力軸切替えクラッチ350は、クラッチ出力軸312の接続状態として上記四つの接続状態のうちいずれかを任意に取りうる構成になっている。
【0041】
出力軸切替えクラッチ350の構成の詳細は以下の通りであり、出力軸切替えクラッチ350は、大きく分けて第3クラッチ370と第4クラッチ380とから構成されている。
第3クラッチ370は、クラッチ出力軸312に固定されているクラッチアーマチャ360と、ギヤ376と、両者360,376に介在するクラッチロータ372と、クラッチロータ372を駆動する電磁コイル374とからなる。クラッチロータ372の一端が当接するギヤ376の側面には、クラッチパッドが接合固定されている。ギヤ376は、軸受け376aを介してクラッチ出力軸312から回転自在に軸支されており、前述の第1ロータギヤ351と噛み合って第1ロータ軸1213と連動している。
【0042】
第3クラッチ370では、電磁コイル374に通電されると、クラッチロータ372は電磁コイル374に引きつけられて軸長方向に移動し、ギヤ376の側面のクラッチパッドに当接すると同時に、クラッチアーマチャ360にも当接する。すると、クラッチ出力軸312は、クラッチアーマチャ360、クラッチロータ372、ギヤ376および第1ロータギヤ351を順に介して、第1ロータ軸1213すなわち第1ロータ1210に連軸される。逆に、電磁コイル374への通電がなくなると、リターンスプリング(図略)のバネ弾性力でクラッチロータ372はギヤ376およびクラッチアーマチャ360から離れ、クラッチ出力軸312と第1ロータ軸1213との連軸は解除される。
【0043】
第4クラッチ380は、クラッチ出力軸312に固定されているクラッチアーマチャ360(共通)と、ギヤ386と、両者360,386に介在するクラッチロータ382と、クラッチロータ382を駆動する電磁コイル384とからなる。クラッチロータ382の一端が当接するギヤ386の側面には、クラッチパッドが接合固定されている。ギヤ386は、軸受け386aを介してクラッチ出力軸312から回転自在に軸支されており、前述の第2ロータギヤ352と噛み合って第2ロータ軸1313と連動している。
【0044】
第4クラッチ380では、電磁コイル384に通電されると、クラッチロータ382は電磁コイル384に引きつけられて軸長方向に移動し、ギヤ386の側面のクラッチパッドに当接すると同時に、クラッチアーマチャ360にも当接する。すると、クラッチ出力軸312は、クラッチアーマチャ360、クラッチロータ382、ギヤ386および第2ロータギヤ352を順に介して、第2ロータ軸1313すなわち第2ロータ1310に連軸される。逆に、電磁コイル384への通電がなくなると、リターンスプリング(図略)のバネ弾性力でクラッチロータ382はギヤ386およびクラッチアーマチャ360から離れ、クラッチ出力軸312と第2ロータ軸1313との連軸は解除される。
【0045】
ここで、第3クラッチ370を介して第1ロータ1210に連軸する場合でも、第4クラッチ380を介して第2ロータ1310に連軸する場合でも、クラッチ出力軸312と各ロータ1210,1310とのギヤ比は同一である。同様に、出力軸切替えクラッチ350での上記ギヤ比と前述の入力軸切替えクラッチ300でのギヤ比も同一であって、各パーツには互換性がある。また、第1ロータ1210の回転方向および第2ロータ1310の回転方向は同一であって、クラッチ出力軸312の回転方向は出力軸切替えクラッチ350の切替えによって変わることがない。
【0046】
クラッチ部Aは以上のように構成されており、クラッチ入力軸310およびクラッチ出力軸312と、第1ロータ1210および第2ロータ1310とを任意の組み合わせで連軸することができる。また、入力軸切替えクラッチ300および出力軸切替えクラッチ350は、いずれも中立状態を取って各ロータ1210,1310との連軸を解消することもできるし、逆に両ロータ1210,1310と連軸することもできる。
【0047】
なお、表現を簡易にするため、各クラッチ330,340,370,380が連軸状態にあることを「オン」になっていると表現し、連軸が解かれている状態にあることを「オフ」になっていると表現するものとする。さらに、各クラッチ330,340,370,380は電磁クラッチであり、その制御はECU500からの指令信号により、図示しないアンプによって電気的に行われる。
【0048】
(実施例1の作用概要)
本実施例の駆動装置の特徴は、第1ロータの回転数が第2ロータの回転数以上になるように、クラッチ部Aの制御(すなわちクラッチ切替え)が行われることである。
すなわち、クラッチ入力軸310の回転数がクラッチ出力軸312の回転数を上回っている場合には、クラッチ入力軸310は第1ロータ1210に連軸されると共に、クラッチ出力軸312は第2ロータ1310に連軸される。このとき、第1クラッチ330および第4クラッチ380がオンになり、第2クラッチ340および第3クラッチ370はオフになっている。
【0049】
逆に、クラッチ入力軸310の回転数がクラッチ出力軸312の回転数に及ばない場合には、クラッチ入力軸310は第2ロータ1310に連軸されると共に、クラッチ出力軸312は第1ロータ1210に連軸される。このとき、先ほどの場合とは逆に、第1クラッチ330および第4クラッチ380がオフになり、第2クラッチ340および第3クラッチ370はオンになっている。
【0050】
ここで、前述のように各クラッチ330,340,370,380でのギヤ比は同一であるから、第1ロータ1210の回転数は第2ロータ1310の回転数以上になるように、クラッチ部Aの制御が行われていることになる。
以下、本実施例の車両用駆動装置1000の作用について、具体的な場合分けを行って詳細に説明する。
【0051】
先ず、クラッチ入力軸310への軸入力とクラッチ出力軸312からの軸出力とが等しく、駆動装置1000全体としてトルク回転速度コンバータ(T−Sコンバータ)として作用している場合を考える。
(実施例1の減速モードでの作用)
第1に、トルクt[Nm]×回転数2n[rpm」の軸入力でクラッチ入力軸310がエンジン100によって駆動され、クラッチ出力軸312の軸出力がトルク2t×回転数nである場合を想定する。これはトルクが倍増され、回転数が半減している場合であるので、図2の第1段の減速モードに相当し、車両用駆動装置1000は減速機として作用している。
【0052】
この場合、クラッチ入力軸310の回転数がクラッチ出力軸312の回転数を上回っているので、前述のようにクラッチ入力軸310は第1ロータ1210に連軸されると共に、クラッチ出力軸312は第2ロータ1310に連軸される。このとき、第1クラッチ330および第4クラッチ380がオンになり、第2クラッチ340および第3クラッチ370はオフになっている(図1参照)。
【0053】
すると、回転数調整部1200(第1ロータ1210と第2ロータ1310との間)で発電作用が行われ、発電された電力は第1ロータ1210からインバータ200およびインバータ400を順に介してステータ1410に供給される。ステータ1410では、制御された三相交流がステータ巻線1411に通電されて外周回転磁界が発生し、この外周回転磁界によって第2ロータが回転駆動される。したがって、第2ロータ1310は、第1ロータ1210から直接磁気トルクを受けて駆動されるばかりではなく、第1ロータ1210での発電作用によって発生した電力で、ステータ1410からも電動作用を受けて駆動される。
【0054】
この作用は、図3(a)〜(d)を参照して説明することができる。以下の説明では、理解しやすいようにクラッチ入力軸310およびクラッチ出力軸312と第1ロータ軸1213および第2ロータ軸1313とのギヤ比を、すべて1:1と仮定して説明する。
すなわち、エンジン100の出力2ntは、図3(a)に示すようにトルクt×回転数2nとしてクラッチ入力軸310に入力され、図3(d)に示すようにトルク2t×回転数nの軸出力でクラッチ出力軸312から出力される。この際、第1ロータ1210と第2ロータ1310との間の磁気回路を介して、第1ロータ1210から第2ロータ1310へ伝達されるトルクはtのみである。そして、第2ロータ1310の回転数はnであるので、第1ロータ1210から第2ロータ1310へ磁気トルクtにより伝達される仕事量は、図3(a)と図4(d)とに共通している斜線の領域(原点に接している領域)ntのみである。
【0055】
一方、図3(b)に示すように、第1ロータ1210の回転数2nの余剰分nは、第1ロータ1210の発電作用により電力ntに変換され、ロータ巻線1211からインバータ200に吸収される。インバータ200で吸収された電力ntは、バッテリ600に並列な直流電線を介してインバータ400に送られ、インバータ400で三相交流に変換されてステータ巻線1411に送られる。ステータ1410では、ステータ巻線1411に印加された三相交流により外周回転磁界が発生して電動作用が生じ、同磁界によって第2ロータ1310がトルクtで駆動される。すなわち、図3(c)に示すように、トルク調整部1400でもトルクtがかけられた状態で第2ロータ1310が回転数nで回転するので、トルク調整部1400の電動作用で2ntのエネルギーが第2ロータ軸1313に加えられる。
【0056】
つまり、第2ロータ軸1313は、第1ロータ軸1213から直接磁気トルクtにより伝達される仕事量ntと、第1ロータ1210の発電作用とステータ1410の電動作用とを介して伝達される上記エネルギーntとで駆動される。その結果、図3(d)に示すように、第2ロータ1310はトルク2t×回転数nで駆動され、クラッチ出力軸312からはトルク2t×回転数nの軸出力2ntが得られる。したがって、本実施例の車両用駆動装置1000は、減速比2:1の減速機すなわちT−Sコンバータとして作用している。
【0057】
ここで逆に、第1クラッチ330の代わりに第2クラッチ340をオンにしてクラッチ入力軸310と第2ロータ1310とを連軸し、第4クラッチ380の代わりに第3クラッチ370をオンにしてクラッチ出力軸312と第1クラッチ330とを連軸した場合には、軸出力の伝達効率が非常に落ちる。この理由は、以下の増速モードの節で説明する理由と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
(実施例1の増速モード(低効率)での作用)
第2に、本実施例の本来のクラッチ切替えとは異なるが、比較のために、前述の減速モードと同一のクラッチの状態のままで、クラッチ入力軸310の回転数よりもクラッチ出力軸312の回転数が高い場合を想定して説明する。
より具体的には、エンジン出力2n11がトルク2t1 ×回転数n1 の軸出力で入力され、本実施例の車両用駆動装置1000をT−Sコンバータとして作用させて、トルクt1 ×回転数2n1 の軸出力を出力する場合を想定する。この場合、クラッチ入力軸310すなわち第1ロータ1210の回転数はn1 であり、クラッチ出力軸312すなわち第2ロータ1310の回転数は2n1 であるから、作動モードは図2の2段目の増速モード(低効率)に相当する。ここで、エンジン出力2n11が前述の減速モードのエンジン出力2ntに相当するものと想定し、同様にトルク2t1 はトルクtと等しく回転数n1 は回転数2nと等しいものと想定しても良い。
【0059】
この増速モード(低効率)での車両用駆動装置1000のT−Sコンバータとしての作用については、図4(a)〜(d)を参照して以下に説明する。
すなわち、図4(a)に示すように、第1ロータ1210にはトルク2t1 ×回転数n1 の軸入力が与えられるが、先ず回転数調整部1200で第2ロータ1310を倍の回転数2n1 で回転駆動させる必要がある。そのためには、図4(b)に示すように、電動作用によりトルク2t1 ×回転数n1 分のエネルギー2n11が与えられなくてはならない。
【0060】
これと並行して、第1ロータ1210から第2ロータ1310へ磁気トルクを介して直接的に仕事量2n11が伝達されるので、図4(b)に示すように、第2ロータ1310にはいったん2n1×2t1=4n11のエネルギーが与えられる。これでは第2ロータ1310からの軸出力が必要以上に大きくなるので、図4(c)に示すように、トルク調整部1400の発電作用でトルクが吸収され、2n1×t1=2n11の発電エネルギーが得られる。その結果、図4
(d)に示すように、第2ロータ1310からは、トルク2t1 ×回転数n1 の軸出力(軸入力と同じ)2n11が得られる。
【0061】
以上で説明した電動作用と発電作用とは、実際には並行して同時に行われているのであるが、説明の便宜上前述のように電動作用(図4(b)参照)の後、発電作用(図4(c)参照)があるものとして説明した。以上の増速モード(低効率)では、発電作用および電動作用による第2ロータ1310から第1ロータ1210への電気エネルギーの返送は2n11であって、T−Sコンバータとして伝達すべき仕事量と等しい。また、回転数調整部1200で、第1ロータ1210から第2ロータ1310へ直接的にいったん伝達される仕事量は2n11であって、これはT−Sコンバータとして伝達すべき仕事量と同等である。
【0062】
これらの電気エネルギー2n11および直接的な仕事量2n11は、それぞれ前述の減速モードでの電気エネルギーntおよび直接的な仕事量ntの倍である。これを図2の二段目の減速モード(低効率)を参照して説明すると、第1ロータ1210および第2ロータ1310の間での電動作用と、第2ロータ1310およびステータ1410の間での発電作用とにより、エネルギーは第2ロータ1310からステータ1410を介して第1ロータ1210へと逆流している。それゆえ、第1ロータ1210から、第2ロータ1310およびステータ1410を順に介して、再び第1ロータへ電磁気のエネルギーが循環しており、この循環は軸出力の伝達に寄与することなく、いたずらに電磁気的な損失を生じさせてしまう。
【0063】
それゆえ、減速モードでのクラッチ切替えの設定ままでは、この増速モード(低効率)では電磁気的な損失が大きくなり、軸出力の伝達を減速モードのような高い効率ですることはできない。したがってこのままでは、より大きな電気容量および磁気容量を有する構成の回転電機部Bが必要となり、軸出力の伝達効率が低いばかりではなく、価格や容積、重量のいずれにおいても不利にならざるを得ないという不都合が生じる。
【0064】
(実施例1の増速モードでの作用)
そこで第3に、入力軸切替えクラッチ300および出力軸切替えクラッチ350を逆に切り替え、第1クラッチ330に代わって第2クラッチ340をオンにし、第4クラッチ380に代わって第3クラッチ370をオンにする。すると、クラッチ入力軸310と第2ロータ1310とが連軸され、クラッチ出力軸312と第1ロータ1210とが連軸されて、第1ロータ1210の回転数が第2ロータ1310の回転数を上回る状態で運転される。
【0065】
このような増速モードでの本実施例の車両用駆動装置1000のT−Sコンバータとしての作用は、図5(a)〜(d)を参照して説明することができる。
すなわち、図5(a)に示すように、第2ロータ1310にはトルク2t1 ×回転数n1 の軸入力が与えられるが、先ずトルク調整部1400で第1ロータ1210にかかるトルクを半分のt1 にする必要がある。そのために、図5(b)に示すように、発電作用によりトルクt1 ×回転数n1 分のエネルギーn11が第2ロータ1310からステータ1410に吸収される。
【0066】
これと並行して、第2ロータ1310から第1ロータ1210へ磁気トルクを介して直接的に仕事量n11が伝達される。すなわち、図5(b)〜(c)に示すように、第1ロータ1210にn1×t1=n11のエネルギーが、第2ロータ1310から直接与えられる。これと並行して、図5(c)に示すように、回転数調整部1200の電動作用により第1ロータ1210が増速され、n1×t1=n11の電動エネルギーが別途第1ロータ1210に与えられる。その結果、図4(d)に示すように、第1ロータ1210からは、トルクt1 ×回転数2n1 の軸出力2n11(軸入力と同じ)が得られる。
【0067】
以上の増速モードでは、発電作用および電動作用による第2ロータ1310から第1ロータ1210への電気エネルギーの伝送はn11であって、T−Sコンバータとして伝達すべき仕事量の半分である。また、回転数調整部1200で、第2ロータ1310から第1ロータ1210へ直接(磁気トルクを介して)伝達される仕事量もn11であって、これもT−Sコンバータとして伝達すべき仕事量の半分である。
【0068】
これらの電気エネルギーn11および直接的な仕事量n11の和は、T−Sコンバータとして伝達すべき軸出力と等しい。これを図2の三段目の減速モードを参照して説明すると、ステータ1410での発電作用と第1ロータ1210での電動作用により、電磁気エネルギーは第2ロータ1310からステータ1410を介して第1ロータ1210へと順方向に伝達されている。それゆえ、第1ロータ1210から第2ロータ1310への電気エネルギーの逆流によって生じる電磁気的な循環はなく、いたずらに電磁気的な損失を生じさせてしまうことがない。
【0069】
それゆえ、このように増速モードでのクラッチ切替えを行っていれば、増速モードでも電磁気的な損失は最小限に抑えられ、軸出力の伝達を前述の減速モードと同様に高い効率行うことができる。したがって、本実施例の車両用駆動装置1000によれば、減速モードでも増速モードでも電気容量および磁気容量が比較的小さくて済む。
【0070】
したがって、本実施例の車両用駆動装置1000によれば、T−Sコンバータとして使用する場合に、減速モードでも増速モードでも軸出力の伝達効率が高いという効果がある。また、これに伴って電気容量や磁気容量が小さくて済むので、車両用駆動装置1000を軽量小型かつ安価に製造できるという効果がある。
(実施例1のその他の作動モード)
以上で説明したように、本実施例の車両用駆動装置1000では、原則として常に第1ロータ1210の回転数が第2ロータ1310の回転数以上であるように、クラッチ部Aの切替え操作がECU500によって自動的に行われる。
【0071】
そして、前述のT−Sコンバータとしての減速モードおよび増速モードとは異なり、必ずしもクラッチ入力軸310への軸入力とクラッチ出力軸312からの軸出力とが一致していない一般的な場合にも、本実施例の車両用駆動装置1000は使用可能である。すなわち、図6(a)の包絡線で囲まれた走行特性範囲の中であれば、エンジン作動状態(ne,te)と運転者のアクセル指令(nv,tv)との組み合わせは任意である。
【0072】
本実施例の車両用駆動装置1000は、図6(a)〜(b)に示すように、クラッチ入力軸310への軸入力neeとクラッチ出力軸312からの軸出力nvvとがほぼ一致している場合にも使用可能である。この場合、回転数調整部1200での変換容量Pnとトルク調整部1400での変換容量Ptとはほぼ同等であり、エンジン作動状態と運転者のアクセル指令とがかけ離れているほど、両変換容量Pn,Ptは大きくなる。それゆえ、エンジン作動状態と運転者のアクセル指令とは、あまり離れていない方が効率よく軸出力の変換が可能である。
【0073】
また逆に、本実施例の車両用駆動装置1000は、図6(c)〜(d)に示すように、上記軸入力neeと上記軸出力nvvとが全く一致していない場合にも使用可能である。この場合にも、第1ロータ1210の回転数を第2ロータ1310の回転数以上に保つように、クラッチ部Aでの切替えを行うことにより、前述の減速モードおよび増速モードと同様に高い効率で軸出力の変換が可能である。この際、上記軸入力neeと上記軸出力nvvとの差は、発電エネルギーとしてバッテリ600に蓄電されるか、バッテリ600からの電力の供給を受けて電動機として軸出力に負荷されるかのいずれかである。
【0074】
なお、この様な場合には、各変換容量Pn,Ptの和は大きくなることが多いが、運転者のアクセル指示に駆動系が追随する過渡的な状態にあると考えられる。それゆえ、各変換容量Pn,Ptの和は短時間定格であると見なすことができるので、本実施例の車両用駆動装置1000の容量を必要以上に大きくする必要はなくなる。
【0075】
なお、エンジン100の軸出力によって決まるクラッチ入力軸310の回転数と、運転者のアクセル指示によって決まるクラッチ出力軸312の回転数とが一致する場合には、図2の四段目に示す直結モードでの運用が可能である(逆に、直結モードにしてしまえば、クラッチ入力軸310の回転数ne とクラッチ出力軸312の回転数nv とは、強制的に一致させられる)。この直結モードでは、第1ロータギヤ351およびまたは第2ロータギヤ352を介して、クラッチ入力軸310とクラッチ出力軸312とが機械的に歯車結合されるので、軸出力の伝達効率は100%近くになる。そのうえで、入力トルクte と出力トルクtv とに差があれば、回転電機部Bの発電作用で蓄電するか、回転電機部Bの電動作用でトルクを補うかすれば良い。
【0076】
また、本実施例の車両用駆動装置1000は、図2の最下段に示すように、入力軸切替えクラッチ300および出力軸切替えクラッチ350を中立にして、エンジン100と駆動輪700とを断絶させるアイドリングモードでも使用できる。すなわち、入力軸切替えクラッチ300を中立にすることにより、エンジン100をアイドリング状態に保ったり、あるいはエンジン100を切り離して駆動輪700との間で軸出力をやりとりし、純粋に電動機または発電機として使用したりすることも可能である。この純粋な電動機としての運用モードは、特にエンジン故障時にも自走を可能とするので、有用である。あるいは、出力軸切替えクラッチ350を中立にすることにより、エンジン100を始動するスタータ電動機として使用したり、逆にエンジン100により駆動される発電機としての使用も可能である。
【0077】
(実施例1の効果)
以上詳述したように、本実施例の車両用駆動装置1000によれば、軸入力の回転数と軸出力の回転数の大小関係如何にかかわらず、最良の効率で軸出力の伝達が可能である。したがって本実施例によれば、電気容量および磁気容量の必要量が最小限で済むので、軽量小型の車両用駆動装置1000を比較的安価に提供することが可能になるという効果がある。
【0078】
また、本実施例の車両用駆動装置1000は、軸出力をT−Sコンバータとして変換して伝達するばかりではなく、その過程で発電機として作用させたり電動機として作用させたりすることもできる。さらに、出力軸切替えクラッチ350を中立にしてスタータとして使用したり、逆に入力軸切替えクラッチ300を中立にして純粋な電気自動車の駆動電動機として使用することも可能である。したがって、本実施例の車両用駆動装置1000をハイブリッド型自動車に採用すれば、トルクコンバータを別に設ける必要がないばかりではなく、別途クラッチ機構を設ける必要もなくなり、極めて簡素かつ安価な電気自動車を提供できるという効果がある。
【0079】
その他にも、クラッチ部Aに電磁クラッチを採用していて油圧を必要としないので、油圧源のない車両への適用が可能であるばかりではなく、シール材等を施さなくても油漏れの恐れがないという効果もある。それゆえ、構成が簡素で部品点数が少なくなり、小型の車両用駆動装置1000に好適である。
(実施例1の変形態様)
前述の車両用駆動装置1000に対し、ステータに界磁磁極(永久磁石でも電磁石でもよい)を備え、第1ロータにも界磁磁極を備えている変形態様が実施可能である。本変形態様では、第2ロータのステータ側および第1ロータ側にそれぞれロータコアおよびロータ巻線が装備されており、この各ロータ巻線への電流制御を行うことで、実施例1と同様の作用をもたらすことができる。ただし、第2ロータの容積や慣性モーメントが増大するので、軽量小型の面や価格面および応答性の面では、本変形態様は実施例1に及ばないであろう。
【0080】
[実施例2]
(実施例2の構成)
実施例2としての車両用駆動装置1000’は、図7に示すように、実施例1の出力軸切替えクラッチ350を回転電機部B’を挟んで入力軸切替えクラッチ301と対向する位置に移設し、出力軸切替えクラッチ302としたものである。これに伴い、クラッチ入力軸310とクラッチ出力軸312とが、同軸で互いに背向する位置に配設されているので、本実施例の車両用駆動装置1000’はFR車への搭載に好適となっている。クラッチ出力軸312と駆動輪700(後輪の二輪)との間には、差動ギヤ(図略)が装置されている。なお、出力軸切替えクラッチ302の各部品の名称については、符号の説明の欄に記されており、実施例1の出力軸切替えクラッチ350の各部品と一対一に対応している。
【0081】
その他にも、本実施例の車両用駆動装置1000’では、第1ロータ1210の支持部材の形状が実施例1と異なっていたり、第1ロータ軸1213が延長されて図中右端で軸受け1516に軸支されていたりする。また、第1ロータ1210および第2ロータ1310の図中右側にも第1ロータギヤ353および第2ロータギヤ354が付加されていたり、フレーム1100’の形状が異なっていたりして、実施例1と構成がいくらか異なってはいる。しかしながら、前述のようにクラッチ出力軸312が移設されている点以外に、構成上の本質的な違いはない。
【0082】
(実施例2の作用効果)
したがって、本実施例の車両用駆動装置1000’は、作用の面でも前述の実施例1と同様であり、プロペラシャフトの位置に収まるのでFR車に好適である他は、効果の点でも実施例1と同様である。
[実施例3]
(実施例3の全体構成)
本発明の実施例3としての車両用駆動装置1000Aは、図8に示すように、大きく分けてクラッチ部A1と回転電機部Bとから構成されている。
【0083】
クラッチ部A1は、互いに平行なクラッチ入力軸310’およびクラッチ出力軸312’と、第1クラッチ2330、第2クラッチ2340、第3クラッチ2370および第4クラッチ2380とを有する点では、実施例1とほぼ同様である。しかしながら、上記各クラッチ2330,2340,2370,2380は、電磁クラッチではなく、全て油圧多板クラッチである点が実施例1と異なっている。
【0084】
一方、回転電機部Bは、中心部から外側に向かって順に、第1ロータ1210、第2ロータ1310およびステータ1410から構成されており、実施例1の構成と同様である。なお、実施例1の構成を示す図1では模式的に作図されていたが、本実施例の構成を示す図8では写実的に作図されているというだけで、本実施例の回転電機部Bは実施例1の回転電機部Bと同一である。
【0085】
(実施例3のクラッチ部の構成および作用)
前述のように本実施例のクラッチ部A1に採用されているのは、全て湿式の油圧多板クラッチであり、図9に示すように、各クラッチ2330,2340,2370,2380は互いに同一の構成をとっている。そこで、代表として第1油圧多板クラッチ2330を例に取り、その構成および作用を以下に詳細に説明する。
【0086】
第1油圧多板クラッチ2330は、クラッチアーマチャ2331、クラッチロータ2332,インナディスク2333、アウタディスク2335およびリターンスプリング2337から構成されている。クラッチアーマチャ2331は、クラッチ入力軸310’に固定されていて、クラッチ入力軸310’と一緒に回転する。クラッチロータ2332は、クラッチアーマチャ2331に保持されており、油路2338,310a,310bを通って供給される油圧により軸長方向にインナディスク2333と共に押し出される。
【0087】
すると、インナディスク2333と回転自在に軸支されているアウタディスク2335とが湿式の多板を介して連軸され、クラッチ入力軸310’に加えられた軸入力は、アウタディスク2335に伝達される。アウタディスク2335の外周面には連結ギヤ2336が形成されており、連結ギヤ2336は、第1ロータ軸1213に固定されている第1ロータギヤ351と噛み合っている。それゆえ、上記油圧が加えられると、クラッチ入力軸310’は、クラッチアーマチャ2331、クラッチロータ2332、インナディスク2333、アウタディスク2335および第1ロータギヤ351を介して、第1ロータ軸1213に連軸される。すなわち、第1クラッチ2330がオンになる。
【0088】
逆に、上記油圧が抜けると、リターンスプリング2337のバネ弾性作用でインナディスク2333は、軸長方向に移動して元の位置に戻り、インナディスク2333とアウタディスク2335との連軸は解除される。すると、インナディスク2333とアウタディスク2335との間に滑りが生じ、クラッチ入力軸310’と第1ロータ軸1213との連軸は解かれる。すなわち、第1クラッチ2330は、オフになる。
【0089】
以下、第2クラッチ2340は、第2ロータ軸1313に連軸される点を除いて第1クラッチ2330と同一の構成および作用を持っている。同様に、クラッチ入力軸2310に代わってクラッチ出力軸2312に連軸される点と除いて、第3クラッチ2370は第1クラッチ2330と同一構成であり、第4クラッチ2380は第2クラッチ2340と同一構成である。なお、各クラッチ2330,2340,2370,2380の各部品は、一対一に対応していて互換性があり、各部品の名称は符号の後記の説明の項で明らかにされている。また、オイルシール2339,2349が要所に配設されていて、油圧漏れを防いでいる。
【0090】
以上の構成から明らかなように、第1クラッチ2330および第2クラッチ2340からなる入力軸切替えクラッチ2300は、いすれのロータ軸とも連軸していない中立位置をも取りうる。同様に、第3クラッチ2370および第4クラッチ2380からなる出力軸切替えクラッチ2350もまた、中立の位置を取りうる。
【0091】
したがって、本実施例の各油圧多板クラッチ2330,2340,2370,2380は、実施例1の電磁クラッチ330,340,370,380と同様の連軸作用を発揮する。ただし、実施例1の電磁クラッチとは異なり、本実施例の上記油圧クラッチは、クラッチをオンにする瞬間にだけ油圧エネルギーが消費され、クラッチをオンに保持するのに油圧エネルギーをほとんど消費することがない。また、各クラッチ2330,2340,2370,2380は、油圧多板クラッチであるから、適正なセンサと油圧制御手段を用いれば、半クラッチ状態を作り出すことができる。
【0092】
(実施例3の効果)
以上詳述したように、本実施例の車両用駆動装置1000Aは、実施例1と同様の効果を発揮することができる。
そのうえ、前述のように上記各クラッチのオン状態を維持するために油圧エネルギーをほとんど消費しないので、クラッチ部A1で消費されるエネルギーが少なく、その分効率が向上しているという長所もある。また、実施例1の電磁クラッチに替えて油圧多板クラッチを使用しているので、大出力の伝達に適するという利点もあり、本実施例の車両用駆動装置1000Aは大出力化に好適である。その一方で、油圧多板クラッチの採用により、実施例1よりもクラッチ部の容積を低減できるので、小型軽量化が可能であるという効果もある。
【0093】
さらに、各クラッチ2330,2340,2370,2380は、適正な油圧制御により半クラッチ状態を取ることができるので、クラッチ接合時の衝撃荷重を大幅に緩和することができる。その結果、クラッチ部A1および回転電機部Bの機械強度に対する要求が緩和されているので、本実施例の車両用駆動装置1000Aを、よりいっそう軽量小型かつ安価に製造することができるという効果もある。また、同じ理由により、大出力化が容易になるという効果もある。
【0094】
[実施例4]
(実施例4の構成)
本発明の実施例4としての車両用駆動装置1000Bは、図10に示すように、大きく分けてクラッチ部A2と回転電機部Bとから構成されている。
回転電機部Bは、中心部から外側に向かって順に、第1ロータ1210、第2ロータ1310およびステータ1410から構成されており、実施例3の回転電機部Bと同一である。
【0095】
一方、クラッチ部A2は、図11に示すように、互いに平行なクラッチ入力軸310”およびクラッチ出力軸312”と、入力軸切替えクラッチ3330および出力軸切替えクラッチ3370とを有する点では、実施例3とほぼ同様である。また、入力軸切替えクラッチ3330および出力軸切替えクラッチ3370は、いずれも湿式の油圧多板クラッチである点も実施例3と同様である。しかし、両クラッチ3330,3370は、第1クラッチおよび第2クラッチと第3クラッチおよび第4クラッチとに分割されておらず、それぞれ一体化されている点が実施例3とは異なっている。
【0096】
前述のように本実施例のクラッチ部A2に採用されているのは、入力軸切替えクラッチ3330および出力軸切替えクラッチ3370とも、一体化された湿式油圧多板クラッチである。入力軸切替えクラッチ3330と出力軸切替えクラッチ3370とは、クラッチ入力軸310”とクラッチ出力軸312”とが異なるだけで、その他の構成は同様である。そこで、ここでは代表として入力軸切替えクラッチ3330を取り上げ、以下にその構成を詳細に説明する。
【0097】
入力軸切替えクラッチ3330は、クラッチアーマチャ3331、クラッチロータ3332、インナディスク3333a,3333b、アウタディスク3335a,3335bおよびギヤ3336,3346から構成されている。クラッチアーマチャ3331は、クラッチ入力軸310”に固定されており、クラッチ入力軸310”により回転駆動される。
【0098】
クラッチ入力軸310”およびクラッチアーマチャ3331には、油路310e,310f,3330aが形成されており、外部からの油圧は同油路を通ってクラッチロータ3332の背面側に導入される。同油圧が入力軸切替えクラッチ3330に導入されると、クラッチロータ3332は軸長方向(図中右方)に油圧で押し出されて移動し、インナディスク3333bを同方向に押し出してアウタディスク3335bに当接させる。すると、インナディスク3333bとギヤ3346に固定保持されているアウタディスク3335bとは、湿式の多板同士で当接し合い互いに連軸される。
【0099】
この状態では、クラッチ入力軸310”は、クラッチアーマチャ3331、クラッチロータ3332、インナディスク3333b、アウタディスク3335b、ギヤ3346および第2ロータギヤ352を順に介して、第2ロータ軸1313に連軸されている。すなわち、クラッチ入力軸310”と第2ロータ1310とが連軸されている。
【0100】
逆に上記油圧が抜けると、クラッチアーマチャ3331に固定されて圧縮されていたリターンスプリング3337の反発力により、クラッチロータ3332は先ほどとは逆方向(図中左方)に移動して元の位置に復帰する。その際、クラッチロータ3332の外周部は図中左方に延在しており、この外周部でクラッチロータ3332は、もう一つのインナディスク3333aを軸長方向(図中左方)に押圧して移動させ、インナディスク3333aをアウタディスク3335aに当接させる。すると、インナディスク3333aとギヤ3336に固定保持されているアウタディスク3335aとは、湿式の多板同士で当接し合い互いに連軸される。
【0101】
この状態では、クラッチ入力軸310”は、クラッチアーマチャ3331、クラッチロータ3332、インナディスク3333a、アウタディスク3335a、ギヤ3336および第1ロータギヤ351を順に介して、第1ロータ軸1213に連軸されている。すなわち、クラッチ入力軸310”と第1ロータ1210とが連軸されている。
【0102】
以上の構成の入力軸切替えクラッチ3330では、第1ロータ1210および第2ロータ1310のうちいずれか一方に連軸状態にすることと、半クラッチ状態にすることはできるが、通常の油圧制御では中立状態にすることは難しい。ただし、クラッチロータ3332の位置を検出するセンサを装備するなどして特別の油圧制御系を用いれば、中立状態を保つことも可能になる。
【0103】
出力軸切替えクラッチ3370は、クラッチ入力軸310”に代わってクラッチ出力軸312”が配設されている点だけが異なっているだけで、その他の点では入力軸切替えクラッチ3330と同一である。それゆえ、入力軸切替えクラッチ3330と出力軸切替えクラッチ3370との間で部品の互換性もある。なお、出力軸切替えクラッチ3370の各部品の符号と名称とについては、後記の符号の説明の欄で明らかにされている。
【0104】
(実施例4の作用効果)
以上詳述したように、本実施例の車両用駆動装置1000Bによれば、実施例3と同様の作用効果が得られる。
さらに、図8と図10とを見比べれば明らかなように、クラッチ部A2の軸長方向の長さは実施例3のそれよりも短く、部品点数も減っている。したがって、本実施例の車両用駆動装置1000Bによれば、実施例3よりもいっそうの小型軽量化および低廉化が可能であるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としての車両用駆動装置の構成を示す端面図
【図2】 実施例1の各作動モードを比較して示す作動概念図
【図3】 実施例1の減速モードでの作用を示す組図
(a)クラッチ入力軸への軸入力を示すグラフ
(b)発電作用を示すグラフ
(c)電動作用を示すグラフ
(d)クラッチ出力軸への軸出力を示すグラフ
【図4】 実施例1の増速モード(低効率)での作用を示す組図
(a)クラッチ入力軸への軸入力を示すグラフ
(b)電動作用を示すグラフ
(c)発電作用を示すグラフ
(d)クラッチ出力軸への軸出力を示すグラフ
【図5】 実施例1の増速モードでの作用を示す組図
(a)クラッチ入力軸への軸入力を示すグラフ
(b)発電作用を示すグラフ
(c)電動作用を示すグラフ
(d)クラッチ出力軸への軸出力を示すグラフ
【図6】 実施例1の各種運用モードの作用を示す組図
(a)増速モードでの作用を示すグラフ
(b)減速モードでの作用を示すグラフ
(c)電動モードでの作用を示すグラフ
(d)発電モードでの作用を示すグラフ
【図7】 実施例2としての車両用駆動装置の構成を示す端面図
【図8】 実施例3としての車両用駆動装置の構成を示す端面図
【図9】 実施例3のクラッチ部の構成を拡大して示す部分端面図
【図10】実施例4としての車両用駆動装置の構成を示す端面図
【図11】実施例4のクラッチ部の構成を拡大して示す部分端面図
【符号の説明】
100:エンジン(内燃機関) 110:エンジン出力軸
200:第1ロータ巻線用インバータ
400:ステータ巻線用インバータ
300,301:入力軸切替えクラッチ
310,310A,310B:クラッチ入力軸
310a〜310f:油路
320:クラッチアーマチャ
330:第1クラッチ(クラッチ入力軸と第1ロータとを連軸)
332:クラッチロータ 334:電磁コイル
336:ギヤ 336a:軸受け
340:第2クラッチ(クラッチ入力軸と第2ロータとを連軸)
342:クラッチロータ 344:電磁コイル
346:ギヤ 346a:軸受け
351,353:第1ロータギヤ 352,354:第2ロータギヤ
350,302:出力軸切替えクラッチ
312,312A,312B:クラッチ出力軸
360:クラッチアーマチャ
370:第3クラッチ(第1ロータとクラッチ出力軸とを連軸)
372:クラッチロータ 374:電磁コイル
376:ギヤ 376a:軸受け
380:第4クラッチ(第2ロータとクラッチ出力軸とを連軸)
382:クラッチロータ 384:電磁コイル
386:ギヤ 386a:軸受け
500:ECU 600:バッテリ(蓄電池)
700:駆動輪(出力負荷)
800:減速機 810:ギヤ 900:差動ギヤ
1000,1000’,1000A,1000B:
本発明の車両用駆動装置、T−Sコンバータ(トルク回転数コンバータ)
1100,1100’:フレーム(機枠)
1200:回転数調整部
1210:第1ロータ(第1回転子)
1211:ロータ巻線 1212:ロータコア
1213:第1ロータ軸
1220:内周永久磁石(内側すなわち第1ロータ側)
1310:第2ロータ(第2回転子)
1311:中空ロータヨーク 1313:第2ロータ軸
1331:ロータフレーム
1400:トルク調整部
1410:ステータ(固定子)
1411:ステータ巻線 1412:ステータコア
1420:外周永久磁石(外側すなわちステータ側)
1510〜1516:軸受け
1610:ブラシホルダ 1620:ブラシ
1630:スリップリング 1660:リード部
1710:外部フレーム
1911,1912:回転検出センサ
[実施例3]
2300:油圧多板クラッチ(入力軸切替えクラッチ)
2330:第1油圧多板クラッチ
2331:クラッチアーマチャ 2332:クラッチロータ
2333:インナディスク 2335:アウタディスク
2336:連結ギヤ 2337:リターンスプリング
2338:油路 2339:オイルシール
2340:第2油圧多板クラッチ
2341:クラッチアーマチャ 2342:クラッチロータ
2343:インナディスク 2345:アウタディスク
2346:連結ギヤ 2347:リターンスプリング
2348:油路 2349:オイルシール
2350:油圧多板クラッチ(出力軸切替えクラッチ)
2370:第3油圧多板クラッチ
2371:クラッチアーマチャ 2372:クラッチロータ
2373:インナディスク 2375:アウタディスク
2376:連結ギヤ 2377:リターンスプリング
2380:第4油圧多板クラッチ
2381:クラッチアーマチャ 2382:クラッチロータ
2383:インナディスク 2385:アウタディスク
2386:連結ギヤ 2387:リターンスプリング
[実施例4]
3330:一体化油圧多板クラッチ(入力軸切替えクラッチ)
3331:クラッチアーマチャ 3332:クラッチロータ
3333a,3333b:インナディスク
3335a,3335b:アウタディスク
3336,3346:ギヤ
3370:一体化油圧多板クラッチ(出力軸切替えクラッチ)
3371:クラッチアーマチャ 3372:クラッチロータ
3373a,3373b:インナディスク
3375a,3375b:アウタディスク
3376,3386:ギヤ
A,A1,A2:クラッチ部 B,B’:回転電機部

Claims (6)

  1. 機枠に固定されているステータと、
    このステータと同軸に軸支されており、所定の間隔を空けてこのステータと対向している第1ロータと、
    このステータと同軸に軸支されており、このステータとこの第1ロータとの間のこの間隔に配設されて、このステータおよびこの第1ロータと対向している第2ロータと、
    軸出力が入力されるクラッチ入力軸をもち、このクラッチ入力軸をこの第1ロータおよびこの第2ロータのうち一方に連軸可能な入力軸切替えクラッチと、
    軸出力を出力するクラッチ出力軸をもち、このクラッチ出力軸をこの第1ロータおよびこの第2ロータのうち一方に連軸可能な出力軸切替えクラッチと、
    を有し、
    前記第1ロータおよび前記第2ロータのうち一方に形成されている内周回転磁界と、他方に形成されている内周磁極との間に、内周磁気回路が形成されてトルクの授受が行われ、
    前記ステータおよび前記第2ロータのうち一方に形成されている外周回転磁界と、他方に形成されている外周磁極との間に、外周磁気回路が形成されてトルクの授受が行われることを特徴とする、
    車両用駆動装置。
  2. 前記ステータは、ステータコアおよびステータ巻線を有して前記外周回転磁界を形成し、
    前記第1ロータは、ロータコアおよびロータ巻線を有して前記内周回転磁界を形成し、
    前記第2ロータは、前記ステータと対向している前記外周磁極としての外周永久磁石と、前記第1ロータと対向している前記内周磁極としての内周永久磁石とを有する、
    請求項1記載の車両用駆動装置。
  3. 前記第1ロータと前記第2ロータとは、搭載車両が前進中には同一方向に回転する、
    請求項1〜2のうちいずれかに記載の車両用駆動装置。
  4. 前記クラッチ入力軸の回転数が前記クラッチ出力軸の回転数を上回っている場合には、このクラッチ入力軸は前記第1ロータに連軸されると共に、このクラッチ出力軸は前記第2ロータに連軸され、
    逆にこのクラッチ入力軸の回転数がこのクラッチ出力軸の回転数に及ばない場合には、このクラッチ入力軸はこの第2ロータに連軸されると共に、このクラッチ出力軸はこの第1ロータに連軸されて、
    第1ロータの回転数は、第2ロータの回転数以上になる、
    請求項1〜3のうちいずれかに記載の車両用駆動装置。
  5. 前記外周回転磁界および前記内周回転磁界は、それぞれインバータにより制御され、
    前記第1ロータおよび前記第2ロータのうち前記クラッチ入力軸に連軸されている一方のロータが、発電作用および電動作用を介して、前記クラッチ出力軸に連軸されている他方のロータに回転駆動トルクを与える、
    請求項1〜4のうちいずれかに記載の車両用駆動装置。
  6. 各前記インバータに接続されているバッテリを有する、
    請求項5記載の車両用駆動装置。
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