【発明の詳細な説明】冗長性を有するメモリ回路
本発明は行および列のマトリックス・アレイの形で製造される集積回路メモリ
に関するものである。
極めて微細な集積化技術を使用し、したがって、欠陥をなくすることが困難で
ある、高い記憶容量を持つメモリの製造歩留まりを改善するために、冗長素子の
全体の線(行または列の)を設けることは公知である。
メモリの試験で、メモリ・セルの行または列に欠陥があることが判明したとす
ると、冗長素子の行または列を交換する。集積回路を外部から見て、メモリは完
全に機能するように見えなければならない。したがって、冗長の実現がユーザー
にとって必要である。
以下の説明において、行または列について特定せずに言う場合には常に「線」
という語を使用し、アレイの列と行は通常の方式で区別する。マトリックス・ア
レイのメモリ・セルは行及び列で接続される。1つの列の全てのセルは、情報の
読取りおよび書込みを行うことができる同じ列導体(ビット線とよばれる)に接
続され、1つの行の全てのセルは、セルの特定の行を
アドレスするために使用する同じ行導体(ワード線と呼ばれる)に接続される。
最も複雑なメモリの場合には、特定の行を指定する行デコーダと、特定の列群に
対応するビット線を集積回路のデータ入力リード/出力リードまで経路指定する
ために、その列群を指定する列デコーダとが存在する。
いくつかの冗長回路アーキテクチャが既に提案されている。1つの可能なアー
キテクチャでは、この群の任意の欠陥線を冗長線で置き換えるように少なくとも
1本の冗長線4(行または列)が線(行または列)群の横に置かれる。交換でき
るヒューズが各線に組合わされる。欠陥線を回路の残りから分離するため、およ
び冗長線をそれの場所に接続するためにヒューズがとばされる。
他のアーキテクチャでは、欠陥を生ずることがある各線に組合わされる1つの
ヒューズだけではなくて、交換できるであろう線群に組合わされるn個のヒュー
ズの群を用意する。このヒューズ群によって欠陥線のアドレスを記憶することが
可能になる(kビットのアドレスはk個のヒューズの群を必要とする)。この群
、すなわち、k個のヒューズの群は、メモリの入力端子に加えられるアドレスを
受ける比較器に結合される。メモリに
加えられたアドレスが群によってメモリに記憶されている欠陥のアドレスに全く
等しいとすると、比較器は欠陥線を切り離させ、代わりの線を接続させる。
冗長性の実施によって、ヒューズをとばす効率の問題が課される。この効率は
100%ではなく、とばしたいヒューズが実際にはあまり良くとばず、とばし操
作を何回も繰り返して行える可能性もない。ヒューズをとばすということは、損
なわれていない状態で導通していたヒューズの回路開放、または逆に損なわれて
いない状態では導通していなかったヒューズを導通状態に置くことを意味する。
集積回路メモリを製造する際の全般的な目的のうちには、冗長性を採用した場
合の全体の修理効率向上が必ずある。
また、冗長素子を含んでおり、かつ使用されていない冗長素子を含めた、メモ
リの完成試験が容易であることもある。実際に、ある場合には、欠陥を修理する
ために使用された冗長素子でメモリを全体的に動作できるようにするためには十
分ではなかった。したがって、メモリに、ある仕様に合致しない欠陥、たとえば
、未使用の冗長素子の領域における漏れの結果としての過大な電流消費を未使用
の冗長素子が示さないことを更に
必要とする。しかし、未使用の冗長素子はアクセスが非常に困難で、それらを試
験することが常に可能であるというものではない。
メモリに対する別の目的は、製造の時(ウェーハについての試験中に)ばかり
でなく、使用中にも修理できる可能性である。
最後に、欠陥の修理を要するメモリとこの修理を要しないメモリとの間の違い
を知らないユーザーに対する透明性である。しかし、修理線を呼出すために付加
された追加接続が、正常なアドレスに対する情報呼出し時間に関して、修理され
るアドレスの情報呼出し時間を長くすることがしばしばある。
本発明の目的は、上記の事項を最も良く考慮に入れたメモリ・アーキテクチャ
を提案することである。
本発明によって提案されたアーキテクチャにおいては、有用な線とは別の冗長
線は無いが、各有用な線(最初の線を除く)は、欠陥があるかもしれない近くの
線に対する冗長線として機能できる。
実際には、通常1つのデコーダ出力によって指定される有用な線がサービス可
能であるとすると、デコーダの対応する出力によって選択されるのが実際にこの
線である。対照的に、この
線に欠陥があるものとすると、修理のために特定化した遠隔冗長線が求められず
、デコーダの出力が次の線を選択する。その線は通常は別のデコーダ出力によっ
て指定すべきである。この別のデコーダ出力は第3の線へ送られ、以下同様にデ
コーダ出力が順次次の線に送られる。このようにして、デコーダ出力と用いられ
る線の間の結合が次第にずらされる。
本発明の1つの可能な定義によれば、メモリ素子のn+1本の連続する線の少
なくとも1つのアレイと、n個の出力を有するデコーダと、欠陥のある任意の素
子線を置き換えるための冗長回路とを含み、デコーダに加えられたアドレスを基
にして定められる線をj番目の出力が指定するようなメモリにおいて、冗長回路
はj番目の線またはj+1番目の線をデコーダのj番目の出力を介して能動的に
するための手段を含むことを特徴とするメモリが提案される(jは1からnまで
変化する)。語線は広い意味で理解すべきである。すなわち、行または列である
。
好適な動作は次の通りである。すなわち、冗長が実現されないとすると、デコ
ーダのj番目の各出力が線列中の同じj番目の線を選択する。最後の線であるn
+1番目の線は使用されない。r番目の欠陥線のために冗長が実現されるものと
すると、
rより順番が早いj番目の出力がj番目の対応する線をそれぞれ起動し、rより
順番が遅いか、それに等しい順位のj番目の出力がそれぞれj+1番目の線をそ
れぞれ起動する。
それを行うために、線列のj=1〜n番目の各線にヒューズを組合わせること
が好ましく、各順番jごとに、j番目またはj+1番目の線をデコーダのj番目
の出力が起動するように、デコーダのj番目の出力端子とj番目およびj+1番
目の線の間に経路指定回路が介在され、この経路指定は、一方では、j番目のヒ
ューズの状態についての情報を受け、他方では、先行する順番のj−1番目(j
=1番を除く)の論理回路から出た情報を受ける、j番目の論理回路によって制
御される。
したがって、1〜j番目のヒューズが全て完全な状態にある場合には、j番目
の線がデコーダのj番目の出力によって指定される。しかし、1〜j番目のヒュ
ーズのうちの1つがとばされている場合には、j+1番目の線がデコーダのj番
目の出力によって指定される。
原則として、n本の線の群に対して修理のためにただ1つの可能性が用いられ
るが、ある場合には、修理のためにいくつかの可能性が存在することを考察する
ことが可能である。たとえ
ば、n個の出力を持つデコーダによって制御されているn本の線の群を修理する
ための2つの可能性に対してn+2本の線が設けられる。そうすると経路指定回
路はj番目の出力を、修理を行う数が0、1または2に応じて、j番目、または
j+1番目、またはj+2番目の線の間で経路指定できなければならないために
、経路指定回路は一層複雑である。
線が同じビット線に接続されているメモリ素子の列にある場合には、メモリは
ビット線とメモリの入力リード/出力リードとの間にマルチプレクサを含む。マ
ルチプレクサは、1ビット線にそれぞれ対応する個々の多重化素子を含む。各多
重化素子は所与のビット線を、1つの入力/出力リードヘ、またはこのリードに
リンクされている1つの読出し増幅器または1つの読出し/書込み増幅器へ、経
路指定できる。この場合には、本発明に従って、j番目(j=1〜n+1)の経
路指定回路によって、またはj−1番目の経路指定回路によって制御することが
好ましいj番目の各マルチプレクサ素子、1番目を除く、に対して、j番目の経
路指定回路は2つの出力を有する。冗長性が1〜jの順序で実現され、または実
現されないという事実に応じて、1つの出力がj番目の多重化素子を制御するた
めのもの
であり、他の出力がj+1番目の多重化素子を制御するためのものである。この
ために、j番目の経路指定回路は2つの入力を有する。それらの入力のうちの1
つは、j番目に対応するアドレスがデコーダによって受けられた時にこの経路指
定回路がデコーダによって指定されるように、デコーダのj番目の出力端子から
発生される指定制御入力であり、経路指定回路の他の入力は、経路指定制御入力
である。それは、デコーダによって指定された経路指定回路の2つの出力の1つ
を選択することを可能にするものである。その選択は1〜jの順序の冗長性の実
現または実現の不存在に依存する。経路指定回路のこの第2の制御入力は、とく
にj番目のヒューズの状態に応じて、j番目の、関連する冗長論理回路によって
制御される。
経路指定を制御する、j番目の冗長論理回路は次の素子、すなわち、j番目の
ヒューズに接続された一安定ラッチ、このラッチは、ヒューズがとばされていな
い時は第1の状態に保持され、ヒューズがとばされた時は第2の状態に開放され
る;二入力ゲート、このゲートは、一方では、一安定ラッチの出力を受け、他方
では先の順位の論理回路の出力を受けて、加えられた出力信号を、一方では、次
の順位のj+1番目の論理回路に供
給し、他方では、j番目の経路指定回路に供給することが好ましい。
本発明によって提案されたアーキテクチャによって与えられる利点のうち、下
記のものを述べることができる。すなわち、
最初に、ヒューズのとぶ回数が最少となる。すなわち、冗長性を実施するため
に1個のヒューズがとばされる。従来技術とは異なって、修理された線を指定す
るための最低1つのヒューズと冗長性の実施を示すためのもう1つのヒューズは
ない。ましてや、冗長性の単一の実施のためにとばすべきヒューズの群は存在し
ない。ここでは、ヒューズとばしの効果が100%に等しくないことから、とば
すヒューズがただ1個しかないという事実が非常に有利になる。
接続の長さと、修理線と回路の残りの部分との間の回路の長さとは最短にされ
る。離れている修理線と他の線の間には長い接続はない。その接続は、修理され
る線のアクセス時間を、他の線のアクセス時間より長くする傾向がある(長い線
の容量効果、およびゲートにおける進行時間)。ここでは、アクセス時間は全て
の線に対して同じであり、冗長性が実現されるか、実現されないかという事実と
は比較的独立している。
冗長性のために付加される論理は電流を消費しない論理とすることができる。
提案したアーキテクチャによって、希望によっては、欠陥線への電力供給の遮
断を非常に容易に制御することが可能にされる(いいかえると、それらを入力回
路/出力回路から切り離すことに限定せず、それの電力供給を遮断する)。これ
はある場合には重要であって、全ての冗長アーキテクチャによって許されもので
はない。
重要な点は、この新規なアーキテクチャによって全ての線(n+1本の線)、
すなわち、有用な線と冗長線、および、ある冗長アーキテクチャでは有されない
、使用しない線も完全に試験可能にすることである。
最後に、非常に限られた回路を付加することによって、使用中にもメモリを検
査することが可能である。冗長性が既に実現されているか、およびそれから、冗
長性が既に実現されていないで、欠陥が判明したならば、修理を行うことが容易
に可能である。
添付図面を参照して行う以下の詳細な説明から、本発明の他の特徴および利点
が明らかになるであろう。
第1図は欠陥列を修理するための冗長回路を有するメモリの従来のアーキテク
チャを表す。
第2図は本発明のメモリの全体的なアーキテクチャを表す。
第3図は本発明の好適な実施例の詳細図を表す。
第4図は第3図を完成する部分を表す(最後の順位)。
第5図は第3図を完成する別の部分を表す(最初の順位)。
第6図は欠陥ビット線への電力供給を遮断する改良を表す。
メモリの欠陥列(ビット線)の修理のために冗長列が設けられるケースに関連
してのみ本発明を説明する。しかし、本発明は欠陥行(語線)の修理のためにも
応用されることも明らかである。
第1図には、行と列に配置されたメモリ・セルMCのアレイを含むメモリが示
されている。1つの行のセルは、行デコーダDRから出た1つの語線WLに結合
される。それによって、行アドレスARを基にしてN行のうちから1行を指定す
ることが可能である。1列のセルは単一のビット線BLに接続される。それは、
このビット線と選択した語線との交点におけるセルに対して情報の読出しまたは
書込みを可能にする。
メモリの列の数Zがメモリのデータ入力リード/出力リード
の数pの倍数(Z=n.p)である一般的な場合には、列アドレスACを受けて
マルチプレクサMUXを制御する列デコーダDCが存在する。それから列はn個
の列のP個の群に組合わされる。群は並置され、または相互にうろこ状に重なり
合わされる。マルチプレクサは各群中のn本の線から1本のビット線を選択し、
それを読出し増幅器および書込み増幅器に接続することを可能にする。それらの
後者はデータ・リードに結合されている。図においては、n列の2つの群が2つ
のマルチプレクサMUX1、MUX2(デコーダDCによって同時に制御される
)と、2つの読出し増幅器AL1、AL2と、2つの書込み増幅器AE1、AE
2と、2本のデータ・リードP1、P2とによって表されている。
冗長回路が存在する場合には、n列の各群に組合わされた素子の補充列が一般
に存在する。この補充列は、第1の群に対してはCR1で、第2の群に対しては
CR2で示される。冗長回路RD1、RD2が設けられる。この列に対応するヒ
ューズを単にとばすことによって、欠陥列のアクセスを禁止するために、それら
の冗長回路は、列デコーダDC中の、または列デコーダとマルチプレクサの制御
入力端子との間に挿入された、この冗
長列とヒューズ回路CF(n個のヒューズ)に対するアクセスを制御する。冗長
を使用するならば、補充ヒューズFSによって冗長回路RD1、RD2を起動で
きる。
第2図は第1図のアーキテクチャに対して本発明によって行われた修正の全体
的な線図を表す。
冗長のための特定の列はもはや無い。しかし、列中の各群にはn+1個の同一
の列がある。各列(最初の列を除く)は、先行する列が欠陥であることが判明し
たとすると、その先行する列に対する交換列として機能できる。したがって、マ
ルチプレクサMUX1、MUX2は、各群に対して、n+1本のビット線接続を
持ち、n+1本のビット線から任意の1本を、対応するリードP1またはP2に
接続するために選択できる。n個だけの出力を持つ列デコーダDCは、今は経路
指定回路AIGを介してマルチプレクサMUXを制御する。この経路指定回路A
IGはデコーダの制御の下に動作し、同時に、ヒューズ回路CFの制御の下に動
作する。冗長が必要でないとすると、最初のn本のビット線が使用され、j番目
の選択されたビット線が、それを選択するデコーダのj番目の出力に対応する。
r番目の列が欠陥であるとすると、r番目のヒューズがとばされる。そ
れから経路指定回路AIGがより低い順位のj番目の各ビット線をデコーダのj
番目の出力に対応させ、rより高い順位のj番目の各ビット線をデコーダのr−
1番目の出力に対応させる。r番目のビット線はデコーダによってもはや選択で
きない。
第2図では、経路指定回路AIGはマルチプレクサMUXとは別のものである
として示されている。これは表現を容易にするために行ったものであるが、経路
指定ユニット、および同様にヒューズ回路も、をマルチプレクサ内部に大きく重
なり合わせることができることを理解されるであろう。重要なことは、欠陥線の
後であって、欠陥線に先行しない全ての線に対して、選択されたビット線の順位
とデコーダの出力の順位との間の1つのユニットによりオフセットされた動作モ
ードである。
第3図は上記動作を得るための本発明の詳細な実施例を表す。
n個の列の単一の群について考える。その群の単一の入力/出力リードPが読
出し増幅器ALと書込み増幅器AEによってマルチプレクサMUXの出力端子に
接続される。明らかに、メモリがmビット語に編成されるとすると、m本のリー
ドが存在し、第3図の回路をm回反復しなければならない。
読出し増幅器と書込み増幅器に接続されているマルチプレク
サMUXの出力端子は、1つの列のメモリ・セルが一対の相補ビット線によって
マルチプレクサに接続されているとすると、ここでは2線出力端子である。
マルチプレクサMUXの入力端子は、リードPに接続できるn+1対の相補ビ
ット線である。たとえば、j番目のビット線に対してはそれの入力端子はBL(
j)と相補線NBL(j)であり、j+1番目のビット線に対してはそれの入力
端子はBL(j+1)と相補線NBL(j+1)である。
したがって、マルチプレクサを、順位がj=1からn+1までのn+1個の素
子の形で表すことができる。j番目の各素子は特定のビット線BL(j)/NB
L(j)を受ける。
デコーダと、ヒューズ回路と、経路指定回路とはそれ自体n個の素子におのお
の分けることができる。各素子は定められた順序に対応する、すなわち、デコー
ダに供給された定められたアドレスに対応する。j番目およびj+1番目の連続
するただ2個の素子が第3図に表されている。j番目のセグメントが図の2本の
1点鎖線の間で識別されている。
デコーダのj番目の素子、DC(j)で表されている、は、受けたアドレスが
j番目の順位を表すならば、論理レベル1を
それの出力端子に供給し、逆の場合にはレベル0をそれの出力端子に供給する。
この出力端子は、同じj番目の経路指定回路素子AIG(j)を指定するための
入力端子に接続される。
したがって、j番目の経路指定素子は、デコーダによって受けられたアドレス
がj番目に対応するものであるならば、動作状態にある。素子AIG(j)は、
同じ順位の多重化素子MUX(j)、または直後の順位の多重化素子MUX(j
+1)を、選択に従って起動させることを可能にする2つの出力端子を有する。
たとえば、最初の出力端子が素子MUX(j)の制御入力端子に接続されて、高
い論理レベル(1)をこの制御入力端子に加えることによってそれを起動させる
(したがって、j番目のビット線をリードPに接続する)。したがって、別の出
力端子が素子MUX(j+1)の制御入力端子に接続されて、高い論理レベル(
1)をこの制御入力端子に加えることによってそれを起動させる(したがって、
j+1番目のビット線をリードPに接続する)。しかし、経路指定素子がデコー
ダDC(j)によって非動作状態にされると、それの2つの出力端子が低い論理
レベル(0)にあり、ビット線BL(j)も次のビット線BL(j+1)もリー
ドPに接続できない。したがって、経路
指定回路は1つの非動作状態と、2つの相補動作状態とを有する。
j番目のマルチプレクサ素子の制御入力端子が同じ順位の経路指定素子AIG
(j)の第1の出力端子に接続されるばかりでなく、先行する順位j−1の経路
指定素子の第2の出力端子にも接続される。
同様に、マルチプレクサ素子MUX(j+1)の制御入力端子が素子AIG(
j)の第2の出力ばかりでなく、素子AIG(j+1)の第1の出力も受ける。
マルチプレクサ素子MUX(j)へ向かう、またはこれとは逆に、マルチプレ
クサ素子MUX(j+1)へ向かう、経路指定回路の機能を実行するために、経
路指定素子AIG(j)はANDゲートG1(j)の出力を受ける経路指定制御
入力端子を有する。この出力の状態に従って、経路指定素子AIG(j)は論理
レベル1(高)をそれの第1の出力端子(経路指定回路の第1の起動状態)に、
またはそれの第2の出力端子(経路指定回路の第2の起動状態)に供給する。他
の出力は0である。
したがって、この選択はゲートG1(j)の出力に依存する。後者は、第1の
入力端子に、先順位のANDゲートG1(j−
1)の出力を受け、第2の入力端子に、j番目に関連するヒューズF(j)の状
態についての情報を受ける。したがって、j番目の経路指定回路の状態(起動さ
れた時)は同じ順位のヒューズの状態と、先順位の経路指定回路AIG(j−1
)の状態とに依存する。
更に正確にいえば、先順位(j−1)の経路指定回路がそれの第2の状態(そ
れの第2の出力が起動している)にあるならば、ANDゲートG1(j)がj番
目の経路指定回路をそれの第2の状態に必ず置き、以後の順位に対しても同様、
等である。そのために、ゲートがこの例ではANDゲートであるという事実によ
って、経路指定を第2の状態に置くために経路指定制御入力端子における0状態
に対する備えがされる。いずれかの経路指定回路がそれの第2の状態になるとす
ると、この第2の状態は、したがって、以下の経路指定回路の全てを介して広め
られる。明らかに、他の非常に類似する論理構造が同じ全体的な結果を達成でき
る。
更に、j番目のヒューズが完全なままであるとすると、j番目の経路指定回路
をそれの第1の状態に置くための手段が備えられる。これとは逆に、ヒューズが
とばされたとすると、経路
指定回路を第2の状態に置かなければならず、それからこの第2の状態はnまで
の以後の順位の全ての回路を通じて広がる。
ヒューズは、電気的に、またはレーザによって燃やすことが可能な物理的素子
、または電気的プログラミングによって状態が変更される不揮発性メモリ・セル
(EPROMN EEPROM、UPROM)とすることができる。
示されている好適な実施例においては、ヒューズは、流れる電流によって電気
的にとばすことができる物理的素子である。ヒューズF(j)はとばしトランジ
スタT1(j)と直列で、この直列全体は2つの電源端子VddとVssの間で
直列である。ヒューズをとばすためにANDゲートG2(j)がトランジスタを
ターンオンすることを可能にする。このゲートは第1の入力端子にj番目のデコ
ーダDC(j)の出力を受ける(試験の状態にある列に対応するとばすべき1個
のヒューズを選択するように)ゲートは、第2の入力端子に、とばし命令である
信号Fも受ける。この命令は、列が欠陥であることが判明した時だけ送られる。
ヒューズF(j)の一端が電源電圧Vddに接続され、他端部が一安定ラッチ
MS(j)に接続される。そうすると、ヒュ
ーズがとばされなければラッチは強制非安定状態(出力1)に保持される。その
出力端子はANDゲートG1(j)の第2の入力端子に結合される。ヒューズが
とばされるとラッチが開放される。そうするとラッチはそれの安定状態(出力0
)に入る。
1番目の回路素子に関する限りは、1番目のANDゲートG1(1)の第1の
入力端子が、連続動作中に、高い論理レベル、たとえば、電源電圧VddNを受
けるという事実を除き、他の回路素子と同じである。
最後に、線jが欠陥である時にマルチプレクサMUX(j)の制御を0に駆動
するために、トランジスタT2(j)が設けられることが好ましいことに気がつ
くであろう。これはこの線を浮動させたままにしないために行われる。トランジ
スタT2(j)はNチャネル・トランジスタであって、たとえば、マルチプレク
サMUX(j)の制御とアースの間に結合される。ヒューズF(j)がとんだ時
にトランジスタは導通する。
したがって、第3図のこの回路で、動作の2つの例が可能であることを理解さ
れたい。すなわち、
− 全てのヒューズが完全なままであれば、1からnまでの任意のjに対して、
列デコーダによるj番目の指定によってリー
ドPがj番目のビット線に接続される、
− r番目のヒューズがとばされると、1からr−1までの全てのjに対して、
列デコーダによるj番目の指定によってリードPがj番目のビット線に接続され
る。および、rからnまでの全てのjに対して、それによってリードPがj+1
番目のビット線に接続される。したがって、欠陥列は以後の1つによって置き換
えられ、他の全ての列のアドレッシングが1ユニットだけずらされる。
第4図には回路の最後の2つの順位、すなわち、nとn+1、が表されている
。n番目の回路素子は第3図のj番目の素子と同一であり、n+1番目の素子が
僅かに異なる。その理由は、それらの素子がデコーダ素子DCも、経路指定素子
AIGも、ヒューズも含まないからである。マルチプレクサ素子MUX(n+1
)はn番目の経路指定回路の第2の出力のみによって制御される。好ましくは、
冗長を使用していないとすると、n+1番目の列を分離するように、トランジス
タT2(n+1)がこの第2の出力端子を接地することを可能にする。このトラ
ンジスタはANDゲートG1(n)の出力によって制御される。冗長を使用しな
い限りその出力は1を維持する。
最後の順位n+1はヒューズを必要としないことに気がつくであろう。したが
って、n個の出力を有するデコーダの全てに対してn個のヒューズが存在する。
従来技術の冗長回路においては、修理すべきn本の線のうちから1本を選択する
ためにn個のヒューズが一般に求められ、それに、修理があることを指示するた
めに1本のヒューズが付加される。
第5図はj=1番目の冗長回路を表す。
j番目に対する唯一の違いは、ANDゲートG1(1)がそれの第1の入力端
子に論理レベル1を受け、したがって、ヒューズF(1)がとばない限りこのゲ
ートの出力が1のままであるという事実である。一安定ラッチMS(1)の出力
と経路指定AIG(1)の間に、ゲートG1(1)なしの、直接結合を更に設け
ることができる。図示の例においては、抵抗として設けられているトランジスタ
がゲートの第1の入力端子を正の電源電圧Vddに保つ。
好ましくは、ANDゲートG1(1)の第1の入力端子が試験リードPTNす
なわち、外部接続線には接続されないが、ウェーハ上試験動作中に当てることが
できる試験プローブ・リードに結合される。このリードは正常な動作中はその後
は分離さ
れたままである。
本発明の構造によって、非常に重要な利点として、すなわち、最後の1列が使
用されないとしても、その最後の列を含めて、全ての列を試験する可能性を得る
ことが可能にされる。1からjまでの列を試験するために、それらの列はデコー
ダによってアドレスされる。リードPTは、正常な使用中におけるように、1に
保持される。デコーダによって指定されたj番目が、ヒューズがとばされない限
り、列jを選択する。列1〜nの試験中にヒューズがとばされないとすると、リ
ードPは0までパスされ、その間にデコーダは順番nを選択する。0へのこのパ
スは0番目の仮想ヒューズがとぶことを模擬する。それは順位2〜n+1の列の
アドレッシングヘ向かう順位1〜nの経路指定の全てを保持する。それから列n
+1はデコーダによって選択され、かつ試験できる。
本発明の他の利点は、欠陥ビット線への電力供給を容易に無くす可能性である
。実際に、ビット線が連続電力供給を受けないこと、またはそれが欠陥であれば
予備的負荷電力供給でさえも受けないことが望ましい。実際に、頻繁な欠陥はビ
ット線のアースへの短絡で、この短絡は持続し、交換線によって修理し
た場合でも、無意味に電流が消費されるという欠点がある。したがって、j番目
のヒューズがとばされたとすると、j番目の線への電源を遮断するために一安定
MS(j)の出力によって制御される簡単な回路を設けることが好ましい。
この可能性が、電源線Vddに結合されているPチャネル・トランジスタを介
してビット線に供給される特定の例で、第6図に示されている。トランジスタT
3(j)はビット線BL(j)に供給し、トランジスタT′3(j)が相補ビッ
ト線NBL(j)に供給する。従来技術においては、このトランジスタの制御ゲ
ートが、ビット線に電力を供給すべき間に、おおむね接地される。本発明におい
ては、j番目のヒューズがとばされた時にトランジスタT3(j)とトランジス
タT′3(j)の導通を阻止する回路を介して、トランジスタのゲートは制御さ
れる。図示の例においては、ビット線にトランジスタを介して連続的に供給され
、したがって、j番目のトランジスタのゲートがインバータを介して同じ順位の
一安定ラッチMS(j)の出力端子に接続されると仮定している。ビット線に電
力が連続して供給されないとすると、ゲートは、一安定ラッチの出力を受け、か
っj番目のトランジスタの導通を阻止するためにこ
の出力を考慮する論理回路に接続される。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年9月8日
【補正内容】
1.メモリ記憶素子のn+1本の一連続線の少なくとも1つのアレイと、j番目
の出力がデコーダに加えられたアドレスを基にして定められた線を指定するよう
にn個の出力を有するデコーダDCと、素子の欠陥が生じている任意の線を交換
線で交換するための冗長回路とを含むメモリであって、冗長回路は、j番目の線
またはj+1番目の線をデコーダのj番目の出力を介して起動させる手段(jは
1からnまで変化する)であって、1からnまでの各順位に対して、j番目の線
に関連し、かつデコーダのj番目の出力ととばし制御導体(F)の共同制御の下
にとばすことができるヒューズF(j)と、j番目の線またはj+1番目の線を
デコーダのj番目の出力を介して起動させるように、デコーダのj番目の出力端
子とj番目およびj+1番目の線との間に介在される経路指定回路(AIG(j
))とを備え、この経路指定は、一方ではj番目のヒューズの状態についての情
報を受け、他方では先行するj−1番目の(j=1番目を除く)論理回路から出
た情報を受けるj番目の論理回路によって制御され、1番目の論理回路が保持指
令を1番目の経路
指定回路に加えることを可能にする試験リードに結合される入力端子を含むこと
を特徴とするメモリ。
2.j番目の経路指定回路が、j番目の線を起動させるための第1の状態と、j
+1番目の線を起動させるための第2の状態とをとることができ、j番目のヒュ
ーズがとばされたか、または先行する順位の経路指定がそれの第2の状態にある
ならば、j番目の論理回路が保持制御信号を経路指定のために供給することを特
徴とする請求項1に記載のメモリ。
3.冗長回路が、1〜j番目の全てのヒューズが完全な状態にある時にj番目の
線がデコーダのj番目の出力によって指定され、1〜j番目のヒューズのいずれ
か1つが破壊された時にj+1番目の線がデコーダのj番目の出力によって指定
されるようなものであることを特徴とする請求項1に記載のメモリ。
4.同じ順位の経路指定を制御するj番目の冗長論理回路が、j番目のヒューズ
に結合されて、j番目のヒューズが完全な状態である時は第1の状態に保持され
、ヒューズが破壊された時に第2の状態に開放される一安定ラッチ(MS(j)
)と、一方では一安定ラッチの出力を受け、他方では先行する順位の論理回路の
出力を受け、加えられた出力信号を一方では後の順
位の論理回路へ、他方ではj番目の経路指定回路へ供給する2入力ゲートG1(
j)とを備えることを特徴とする請求項2に記載のメモリ。
5.メモリの線が1本のビット線に接続されるメモリ素子の列であり、メモリは
ビット線とメモリの入力/出力リードとの間に接続されるマルチプレクサを含み
、マルチプレクサは1本のビット線におのおの対応する個々の多重化素子MUX
(j)を含み、各多重化素子は所与のビット線を入力/出力リードヘ向かって経
路指定でき、最初の素子を除くj番目(j=1〜n+1)の各多重化素子をj番
目の経路指定回路によって、またはj−1番目の経路指定回路によって制御でき
ることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のメモリ。
6.j番目の経路指定回路が2つの出力を有し、1つの出力はj番目の多重化素
子を制御するためのものであり、他の出力はj+1番目の多重化素子を制御する
ためのものであり、これは順位1〜jの冗長の実現が存在し、または存在しない
という事実を基にして行われることを特徴とする請求項5に記載のメモリ。
7.j番目の経路指定回路が2つの入力を有し、1つはj番目
のに対応するアドレスがデコーダによって受けられた時に、この経路指定回路が
デコーダによって指定されるように、デコーダのj番目の出力端子から出る指定
制御入力であり、経路指定回路の他の入力はデコーダによって指定される回路の
2つの出力のうちの1つを選択することを可能にする経路指定制御入力であり、
その選択は順位1〜jにおける冗長の実現または不存在に依存することを特徴と
する請求項6に記載の装置。
8.欠陥ビット線に対応するヒューズが破壊された時にこの線から電源を切り離
すための手段が設けられることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記
載のメモリ。
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【要約の続き】
験できる。