JPH08256874A - 自動車用シートのシートバック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 背裏部に凹面が形成される自動車用シートの
シートバックにおいて、コスト低減と品質の安定化を図
る。 【構成】 シートバックフレーム２のワイヤ２ａ〜２ｃ
にバックボード４を取付け、そのバックボード４の背面
をシートバックカバー５の背裏側に縫い付けられた背裏
カバー部５ｂにより被覆する。そして、その背裏カバー
部５ｂの左右両側の裏面側に縫い付けられた樹脂製のフ
ック８をバックボード４の左右の両端末部に係合する構
成とした。このことによりシートバックフレーム３のワ
イヤ数が減り、かつ装飾の不要な安価なバックボード４
が使用可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用シートのシー
トバック、特に背裏部に凹面が形成されるシートバック
に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車に用いられるフロントシート、特
にシートバックがバネレスタイプのフロントシートにお
いては、後席乗員のレッグスペースを稼ぐことを目的と
して或いは意匠上の要求からシートバックの背裏部に凹
面を形成することが行われる。図９〜図１２にはシート
バック背裏部に凹面が形成された従来のシートバック
と、その凹面の形成手段が示されている。

【０００３】図９は背裏部に凹面を有するシートバック
を示す斜視図、図１０はシートバックの構成部材を示す
斜視図、図１１は図９のＸ−Ｘ線断面図、図１２は図９
のＹ−Ｙ線断面図である。図１０に示すように、シート
バック３０はクッション材としてのシートバックパッド
３１と、骨格を構成するシートバックフレーム３２と、
表皮を構成するシートバックカバー３３と、背裏部に配
置されるバックボード３４とから構成される。

【０００４】図１０〜図１２に示すように、シートバッ
クパッド３１はメインパッド部３１ａの背面側に凹部３
１ｂを備え、その上部３１ｃ及びサイド部３１ｄに略逆
Ｕ字形に形成されたパイプ製のシートバックフレーム３
２が切り込み３１ｅを通して嵌まり込むようにセットさ
れる。シートバックカバー３３はその背裏を開放した袋
状に形成され、シートバックフレーム３２がセットされ
たシートバックパッド３１に対してその前面側から被せ
られる。

【０００５】そして、シートバックカバー３３の開放周
縁部をシートバックフレーム３２に固定したのち、その
上からバックボード３４をその外周部をシートバックカ
バー３３の開放周縁部に位置決めして押し込み、シート
バックカバー３３表面より落ち込んだ位置でシートバッ
クフレーム３２に固定することにより、図９に示すよう
に、シートバック３０の背裏部に凹面３０ａを形成して
いた。

【０００６】なお、シートバックカバー３３はその開放
周縁部に縫い付けられたエッジワイヤ入りの吊り綿布３
３ａを、シートバックフレーム３２に溶接で固定された
上下左右のワイヤ３２ａ〜３２ｄにそれぞれホグリング
３３ｂにて固定することにより取付けられる。また、バ
ックボード３４は樹脂又は木質ボードに表皮３５を巻き
込んだものであり、その裏面の上下には３４ａ，爪３４
ｂを一体又は後付けにより備え、その上部の爪３４ａを
上段のワイヤ３２ａに引っ掛ける一方、下部の爪３４ｂ
を中段のワイヤ３２ｂに圧入することによりシートバッ
クフレーム３２に固定される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来のシートバックの場合、シートバックカバー３３及び
バックボード３４を取付けるために多数のワイヤ３２ａ
〜３２ｄを必要とすることに加え、表面の装飾された高
価なバックボード３４を必要とすることから、コスト高
となる点に不都合があり、またバックボード３４を嵌合
する方式であるため、その外周とシートバックカバー３
３との合わせ面に隙間が発生する可能性があり、見栄え
品質上に問題がある。

【０００８】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、コストの低減と
品質の安定化を図ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下の手段を講じている。すなわち、請求
項１の発明は、自動車用シートのシートバックにおい
て、シートバックフレームと、このシートバックフレー
ムにこれを包み込むようにセットされるとともに背裏側
には凹部を有するシートバックパッドとを備え、前記シ
ートバックフレームに設けられるとともに前記シートバ
ックパッドの凹部を横切るワイヤにはバックボードを取
付け、そのバックボードの背面をシートバックカバーの
背裏部により被覆し、そのシートバックカバーの背裏部
における左右両側部を前記バックボードの左右端末部に
係止部材を介して固定したことを特徴とする。

【００１０】請求項２の発明は、請求項１記載の自動車
用シートのシートバックにおいて、前記係止部材が、前
記シートバックカバーの背裏部の裏面の左右両側部に設
けられたフックからなり、このフックを前記バックボー
ドの左右端末部に係合する構成としたことを特徴とす
る。また、請求項３の発明は、請求項１記載の自動車用
シートのシートバックにおいて、前記係止部材が、クリ
ップからなり、前記バックボードの左右端末部の取付孔
に弾性嵌合することで前記シートバックカバーの背裏部
の左右両側部を固定する構成としたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】上述のように構成された請求項１〜３によれ
ば、シートバックフレームに設けられるワイヤのうち、
シートバックカバーの左右両サイド部を取付けるための
ワイヤが不要となる。また、バックボードはシートバッ
クカバーにより隠蔽される構成であるため、装飾面の不
要な安価なボードを用いることが可能となり、隙間の発
生といった問題も解消される。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図４に基づい
て具体的に説明する。図１は自動車用フロントシートの
シートバック構成部材を示す斜視図、図２はシートバッ
クの縦断面図、図３はシートバックの平断面図であり、
図４は図３のＣ部詳細図である。図示のように、シート
バック１の骨格を構成するパイプ製のシートバックフレ
ーム２は略逆Ｕ字形に形成されており、左右の縦枠部間
には上下３段のワイヤ２ａ，２ｂ，２ｃが跨がって取付
けられる。各ワイヤ２ａ，２ｂ，２ｃは、シートバック
フレーム２の背裏側に略コ字形をなすように突出形成さ
れ、その両端部が縦枠部にそれぞれ溶接で固定されてい
る。シートバック１のクッション材を構成するシートバ
ックパッド３は、メインパッド部３ａの背面側に凹部３
ｂを有している。

【００１３】シートバック１の背裏部に配置される略四
角形のバックボード４は、樹脂又は木質ボードからなる
曲面形状を全く有しない平坦なボードであり、その左右
の端末部には、シートバックフレーム２に対するずれ防
止のために、前記ワイヤ２ａ，２ｂ，２ｃに対応する切
欠４ａ，４ｂ，４ｃを備えている。そして、バックボー
ド４はシートバックフレーム２にその前方（図示矢印方
向）から嵌め込まれ、その切欠４ａ，４ｂ，４ｃがワイ
ヤ２ａ，２ｂ，２ｃに係合する。このことによりバック
ボード４はその取付方向である前方を除いた他方向には
その動きが規制される。

【００１４】バックボード４がセットされたシートバッ
クフレーム２には、その前方側からシートバックパッド
３がその両サイド部３ｃ及び上部３ｄが被さるようにそ
の切り込み３ｅを通してセットされる。即ち、図２及び
図３に示すように、シートバックフレーム２はシートバ
ックパッド３の両サイド部３ｃと上部３ｄに包み込まれ
る。従って、バックボード４はメインパッド部３ａの背
面側の凹部３ｂに納められ、その表面とシートバックパ
ッド３のサイド部３ｃ及び上部３ｄの背面側表面間に段
差ｈが形成される。

【００１５】上記のようにセットされたシートバックパ
ッド３には、その後シートバックカバー５が被せられ
る。シートバックカバー５は背裏を略四角形状に開放し
た袋状のカバー本体５ａと、そのカバー本体５ａの開放
部を塞ぐ背裏カバー部５ｂとから構成され、その背裏カ
バー部５ｂはカバー本体５ａの開放周縁部に対してその
下縁を除いた左右及び上縁の三周縁が縫い付けられてい
る。即ち、シートバックカバー５は、背裏部を一体に有
するとともにその下部を開放した袋状カバーとなってい
る。

【００１６】また、シートバックカバー５の背裏部の裏
面には、背裏カバー部５ｂを縫い付けるに際して、上側
端末にはその略全幅にわたってエッジワイヤ入りの吊り
綿布６が同時に縫い付けられ、また左右両端末にはその
略全長にわたって係止部材としての樹脂製のフック８が
同時に縫い付けられる。そして、エッジワイヤ入りの吊
り綿布６は図２に示すように、シートバックフレーム２
の上段のワイヤ２ａにホグリング７にて固定される。ま
た、左右のフック８は図３及び図４に示すように、バッ
クボード４の左右端末に係合され、さらには、背裏カバ
ー５ｂとカバー本体５ａの下側端末は相互に樹脂製のフ
ック９を介して係合することにより固定される。

【００１７】かくして、シートバックカバー５の背裏部
である背裏カバー部５ｂは、バックボード５の表面に沿
って固定されるため、シートバック１の背裏部には後席
乗員のレッグスペース用としての或いは意匠状の要求に
対応した凹面形状が形成されることになる。

【００１８】上記構成からなる本実施例に係る自動車用
シートのシートバックにおいては、シートバック１の背
裏部に凹面を形成するために用いるバックボード４をシ
ートバックカバー５の背裏部の裏面に配置する構成を採
用したことにより、装飾面の不要な安価なバックボード
４を使用でき、しかも従来のようなバックボードはめ込
み式とは異なり、バックボード周縁部とシートバックカ
バー間の接合面に関する隙間の問題が解消され、外観見
栄えの品質が安定し、かつ維持される。

【００１９】また、本実施例ではシートバックカバー５
の背裏カバー部５ｂの左右両端末をフック８を介してバ
ックボード４の端末に係合して固定する構成となし、し
かもフック止めに際してのパッドの倒れ込みをバックボ
ード４の端末部で防止できるため、従来のホグリング止
め及びパッドの倒れ込み防止に必要であったワイヤが不
要となる。従って、シートバックフレーム２に設けられ
るワイヤは、シートバックボード支持用及びシートバッ
クカバー５の上縁部のホグリング止め用が有れば足りる
こととなり、結局シートバックフレーム３に必要なワイ
ヤ数を減少できる。また、本実施例によるときは、シー
トバックパッド３のメインパッド部３ａの背面をバック
ボード４により広い面で支持することが可能となり、従
来に比べて安定性が向上する。

【００２０】次に、本発明のその他の実施例について説
明する。図５及び図６に示す実施例は、バックボード４
をシートバックフレーム２の背面側にセットする実施例
であり、シートバックフレーム２に設けられるワイヤ２
ａ，２ｂ，２ｃのうちの、上段ワイヤ２ａに２個のコ字
形部２ｅ（横長の１個でもよい）を設定し、このコ字形
部２ｅをバックボード４に形成した貫孔４ｅに嵌入する
ことにより、バックボード４の後方を除く他方向の動き
を規制する。

【００２１】なお、後方への動きについては、図６の断
面図に示すように、シートバックフレーム２にセットさ
れるシートバックパッド３の背裏側の凹面端末周縁部分
３ｆによって支持される。そして、この実施例によると
きは、前記コ字形部２ｅにシートバックカバー５のカバ
ー本体５ａの上縁端末部の吊り綿布６がホグリング７に
よって固定される。なお、その他については前述の実施
例と同様である。

【００２２】また、図７に示す他の実施例及び図８に示
すさらに他の実施例は、それぞれがバックボード４に対
するシートバックカバー５の背裏部の固定方式の変更に
関するものである。図７に示す実施例は、背裏部を構成
する背裏カバー部５ｂの裏面に予め縫い付けた係止部材
としての樹脂製の弾性クリップ１０をバックボード４の
取付孔４ｇに嵌め込んで固定する方式であり、図８に示
す実施例は、背裏カバー部５ｂの外側から樹脂製の弾性
クリップ１０をバックボード４の取付孔４ｇに嵌め込ん
で固定する方式である。そして、このようなクリップ１
０を用いて固定する方式の場合には、バックボード４が
平ボードである必要はない。即ち、曲面を有する形状で
あっても背裏カバー部５ｂをその曲面形状に沿って固定
することが可能となる。

【００２３】なお、本実施例では自動車用のフロントシ
ートの場合で説明しているが、フロントシートとリヤシ
ートとの間に配置される、いわゆるセカンドシートに適
用できることは勿論である。

【００２４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
シートバックフレームのワイヤ数を減少してそのコスト
の低減と構造の簡素化を達成でき、また安価なバックボ
ードを用いることができる。しかもシートバックの背裏
部に凹面を形成した上で背裏部をシートバックカバーに
よって覆い得るため、ばらつきのない安定した品質を確
保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るシートバック構成部材の
斜視図である。

【図２】シートバックの縦断面図である。

【図３】シートバックの平断面図である。

【図４】図３のＣ部詳細図である。

【図５】バックボードのセット方式に関する他の実施例
を示す斜視図である。

【図６】図５の実施例に対応するシートバックの縦断面
図である。

【図７】バックボードに対するシートバックカバーの固
定方式に関する他の実施例を示す平断面図である。

【図８】バックボードに対するシートバックカバーの固
定方式に関するさらに他の実施例を示す平断面図であ
る。

【図９】従来の背裏部に凹面を備えたシートバックの斜
視図である。

【図１０】従来のシートバック構成部材を示す斜視図で
ある。

【図１１】図９のＸ−Ｘ切断線による断面図である。

【図１２】図９のＹ−Ｙ切断線による断面図である。

【符号の説明】

１…シートバック ２…シートバックフレーム ２ａ〜２ｃ…ワイヤ ３…シートバックパッド ４…バックボード ５…シートバックカバー ５ａ…カバー本体 ５ｂ…背裏カバー部（背裏部） ８…フック

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートバックフレームと、このシートバ
   ックフレームにこれを包み込むようにセットされるとと
   もに背裏側には凹部を有するシートバックパッドとを備
   え、前記シートバックフレームに設けられるとともに前
   記シートバックパッドの凹部を横切るワイヤにはバック
   ボードを取付け、そのバックボードの背面をシートバッ
   クカバーの背裏部により被覆し、そのシートバックカバ
   ーの背裏部における左右両側部を前記バックボードの左
   右端末部に係止部材を介して固定したことを特徴とする
   自動車用シートのシートバック。
2. 【請求項２】 前記係止部材が、前記シートバックカバ
   ーの背裏部の裏面の左右両側部に設けられたフックから
   なり、このフックを前記バックボードの左右端末部に係
   合する構成としたことを特徴とする請求項１記載の自動
   車用シートのシートバック。
3. 【請求項３】 前記係止部材が、クリップからなり、前
   記バックボードの左右端末部の取付孔に弾性嵌合するこ
   とで前記シートバックカバーの背裏部の左右両側部を固
   定する構成としたことを特徴とする請求項１記載の自動
   車用シートのシートバック。