JPH08158185A - ポリエステルマルチフィラメント複合糸条 - Google Patents

ポリエステルマルチフィラメント複合糸条

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JPH08158185A
JPH08158185A JP30102694A JP30102694A JPH08158185A JP H08158185 A JPH08158185 A JP H08158185A JP 30102694 A JP30102694 A JP 30102694A JP 30102694 A JP30102694 A JP 30102694A JP H08158185 A JPH08158185 A JP H08158185A
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JP
Japan
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yarn
multifilament
polyester
polyester multifilament
composite yarn
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Application number
JP30102694A
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English (en)
Inventor
Sukehiro Nishida
右広 西田
Yoshihisa Danmoto
佳久 段本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来、二律肯反的な関係とされていたドライ
感、清涼感とふくらみ感、ソフト感を具備する編織物用
複合糸条を提供する。 【構成】 構造一体性パラメータと複屈折率の比が特定
範囲内にある自己伸長性マルチフィラメント糸と熱収縮
性マルチフィラメント糸からなるポリエステル複合糸
条。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はドレス、ブラウス、ジャ
ケット、スカート等の婦人衣料用途に好適な嵩高性に優
れ、適度なドライ感、ソフト感、ふくらみ感を持つ新規
風合いの織編物に加工可能なポリエステルマルチフィラ
メント複合糸条に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来市場で展開されているポリエステル
長繊維加工糸としては仮撚加工糸が主流を占めていた
が、昨今は熱収縮性を異とする2種以上の糸条からなる
熱収縮差を有するインターレース混繊糸が提案されてき
ている。しかし、これらの製品はその熱収縮差を利用し
て織編物にふくらみ(嵩高性)を付与し、さらにアルカ
リ減量加工を組み合わせることにより繊維間及び組織の
ルーズ化により、絹に近づいた風合いを付与することが
可能であるが、ふかついたり、ボテ感があり、しかもド
ライタッチが不足しており、単に絹に似た風合いを得た
に過ぎず、織編物に新規風合いを付与するには不十分で
あった。またドライタッチ、清涼感については従来より
シックアンドシン糸によるアプローチが種々検討されて
きているが、これらのものはふくらみに欠けるだけでな
く、ソフト感も不十分であった。しかるに、市場では適
度なふくらみを有し、且つソフト感、ドライ感を共に具
備した合繊素材が強く要望されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は従来の
二律背反的な関係にあったドライ感、清涼感とふくらみ
感、ソフト感を兼備した織編物に加工し得るポリエステ
ルマルチフィラメント複合糸条を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成より
なる。2種類以上のポリエステルマルチフィラメント糸
よりなるポリエステルマルチフィラメント複合糸条であ
って、該複合糸条は下記式(1)を満足する自己伸長性
を有するマルチフィラメント糸A及び、下記式(2)を
満足する熱収縮性を有するマルチフィラメント糸Bから
なることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント
複合糸条。 (1)フィラメント糸Aの構造一体性パラメータε0.2
(A)と複屈折率Δn(A)との比 1.0≦ε0.2 (A)/〔Δn(A)×103 〕≦2.
0 (2)フィラメント糸Bの構造一体性パラメータε0.2
(B)と複屈折率Δn(B)との比 −0.5<ε0.2 (B)/〔Δn(B)×103 〕<
0.7 ここでの構造一体性パラメータε0.2 (A)、ε0.2
(B)の単位は(%)で示されるものである。
【0005】該構造一体性パラメータε0.2 は繊維の結
晶化度と配向度を総合的に評価するものであり、紡糸引
取速度が2000〜4000m/min.で得られたポリエス
テルマルチフィラメント未延伸糸であれば構造一体性パ
ラメータε0.2 の値は概略15〜45%程度の数値であ
る。また複屈折率Δnは繊維の分子配向の度合いを判断
するものであり、紡糸引取速度が2000〜4000m/
min.で得られたポリエステルマルチフィラメント未延伸
糸であれば複屈折率Δnの値は概略13〜65×10-3
の範囲となる。マルチフィラメント糸Aの構造一体性パ
ラメータε0.2 (A)、複屈折率Δn(A)の比率は上
記4に示す範囲である必要があり、この範囲を逸脱すれ
ば実質的に該マルチフィラメント糸Aは自己伸長を示さ
ない。該構造一体性パラメータε0.2 (A)の範囲につ
いては45〜65%であることが好ましい。またΔn
(A)については40〜50×10-3、より好ましくは
40〜47×10-3の範囲であることが自己伸長性を付
与するが故に有効である。該構造一体性パラメータε0.
2 と複屈折率Δnとの比であるε0.2 (A)/〔Δn
(A)×103 〕が1.0未満の範囲となれば、ε0.2
(A)値と比較しΔn(A)値が大きくなり過ぎ、自己
伸長性を付与するには実質的に分子配向の程度が大き
く、糸条は自己伸長を示さない。また2.0を超過する
範囲となれば、逆にΔn(A)値が小さ過ぎ、仮に染色
加工時の湿熱処理、乾熱処理によって結晶化が生じても
結晶c軸方向、即ち繊維軸方向への結晶成長が小さくな
り過ぎ、実質的に糸条は自己伸長を示さないのである。
ε0.2 (A)/〔Δn(A)×103 〕の数値が1.0
以上2.0以下範囲、より好ましくは1.2以上1.5
以下の範囲であれば織編物に加工した際のふくらみ感、
ソフト感を良好なものとする糸条の自己伸長を得ること
が出来るのである。
【0006】またマルチフィラメント糸Bの構造一体性
パラメータε0.2 (B)、複屈折率Δn(B)の比率は
上記5に示す範囲である必要がある。本発明のポリエス
テルマルチフィラメント複合糸条を構成するマルチフィ
ラメント糸Bは染色加工によってある程度収縮する必要
があり、該マルチフィラメント糸Bまで自己伸長してし
まうと織編物ははり、腰感に乏しくクタッとした風合い
のものになってしまい商品として好ましいものとはなら
ない。またメヨレ、スリップ等々が生じやすくなり、消
費性能の点でも問題は大きい。これらのことを考慮し、
発明者らが検討を重ねた結果、ε0.2 (B)/〔Δn
(B)×103 〕の数値として−0.5を超過し、0.
7未満の範囲にあることが本発明のポリエステルマルチ
フィラメント複合糸条を布帛に加工した際の風合いが良
好であることを確認した。該構造一体性パラメータε
0.2 (B)についてはとくに限定を加えるものではない
が10%未満であることが好ましい。また複屈折率Δn
(B)については本発明のポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条の実用的な強度が実質的にマルチフィラメ
ント糸Bによるものである為、通常延伸糸の範囲にある
ことが好ましくΔn(B)は大略100〜200×10
-3の範囲であることが好ましい。〔ε0.2 (B)/〔Δ
n(B)×103 〕が−0.5未満となるとε0.2 は負
値であるため糸条は事実上収縮を示すがΔn(B)が小
さくなり過ぎ、実用に供するには強度的に乏しいものに
なってしまう。また0.7を超過すると、この場合も同
様でΔn(B)が小さくなり過ぎてしまい、織編物の引
裂強力不足等々、消費性能を満足させるものにならない
のである。
【0007】本発明でいうポリエステルマルチフィラメ
ント糸とはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル系ホモポリマーからな
るマルチフィラメント糸、または上記ポリエステル系ホ
モポリマーとイソフタル酸、5−ナトリウムスルフォイ
ソフタル酸等を共重合させたポリエステル系コポリマー
よりなるマルチフィラメント糸、更にはこれらのポリマ
ーに二酸化チタン、硫酸バリウムの如き微粉末不活性物
質を含有させたポリマーよりなるマルチフィラメント糸
を指す。
【0008】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条はマルチフィラメント糸Aとマルチフィラメン
ト糸Bを複合してなるものであるが、該マルチフィラメ
ント糸Aの結晶化度Χρは20%以下であることが必要
である。本発明の複合糸条はマルチフィラメント糸Aが
製織編後の染色加工工程に於ける湿熱処理及び乾熱処理
にて自己伸長する効果で布帛にふくらみ感、ソフト感を
付与するものであるが該マルチフィラメント糸Aの結晶
化度Χρが20%を超過すると実質的に自己伸長を示さ
ず、布帛が従来の異収縮混繊糸使いの布帛と何ら変わり
のない風合いとなってしまう。またマルチフィラメント
糸Bの結晶化度は30%を超過することが必要である。
上記マルチフィラメント糸Aは結晶化度が低い為にそれ
単独では染色加工等の熱処理やアルカリ減量加工等によ
って脆化し易く、実用に供するに適した強度物性を有し
ない。その為に本発明のマルチフィラメント複合糸条は
不足している強度物性を補う為にマルチフィラメント糸
Bを組合せて使用することが必要で、実用的に満足する
物性を付与するにはマルチフィラメント糸Bの結晶化度
Χρは30%を超過、より好ましくは40%以上の範囲
であることが必要である。上述した範囲のマルチフィラ
メント糸A及びマルチフィラメント糸Bを組合わせるこ
とによって、後加工工程に於ける工程通過性が良好で、
織編物に適度なふくらみ感、ソフト感、更にはドライ
感、清涼感を満足し得るものになるのである。
【0009】また本発明のポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条に使用するマルチフィラメント糸Aの残留
伸度は140%以上であることが必要である。該マルチ
フィラメント糸は通常の溶融紡糸法により紡糸引取速度
が2000〜4000m/min.の範囲で紡糸したポリエス
テルマルチフィラメント未延伸糸を原糸として使用する
ものであるが、該マルチフィラメント糸Aの製造方法と
しては実質的に延伸されない条件にて該ポリエステルマ
ルチフィラメント未延伸糸に乾熱処理を施す方法を示す
ことができる。この方法では弛緩状態にて該マルチフィ
ラメント未延伸糸の結晶化度を極力増加させないような
条件で熱処理することにより、予め該未延伸糸の熱収縮
成分を取り除いておき、製織編後の染色加工の際に、湿
熱処理や乾熱処理を受けることによって結晶が成長し、
これが糸条の自己伸長となって現れてくるものと理解さ
れている。該弛緩熱処理のポイントとして、繊維の分子
配向を極力乱さず、且つ結晶化度を極力増加させること
なく熱収縮成分を取り除くことが必要になり、該弛緩率
や熱処理時間、ヒーター温度等々を適宜設定する必要が
ある。上記に示したポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸の残留伸度は大略120〜250%程度であり、
該弛緩熱処理によって糸条の残留伸度は若干大きくな
る。染色加工の際に自己伸長させるにはマルチフィラメ
ント糸Aの残留伸度は140%以上存在することが必要
で、該残留伸度が140%未満の範囲となれば実質的に
該マルチフィラメント糸Aは自己伸長性を示さなくなっ
てしまい本発明の目的とする適度なふくらみ感、ソフト
感を布帛に与えることができなくなってしまうのであ
る。
【0010】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条は下記に示す熱特性を有するマルチフィラメン
ト糸A、マルチフィラメント糸Bを含む2種以上のポリ
エステルマルチフィラメント糸からなるものである。 (6)フィラメント糸Aの沸水収縮率 SHW(A)<
3% (7)フィラメント糸Aの乾熱(160℃)収縮率 S
HD(A)≦0% (8)フィラメント糸Bの沸水収縮率 5%<SHW
(B)<60% (9)フィラメント糸Bの乾熱(160℃)収縮率 7
%<SHD(B)<80%
【0011】マルチフィラメントAの沸水収縮率SHW
(A)は3%未満に留めておく必要がある。また沸水収
縮率SHW(A)の下限値については特に限定を加える
ものではないが−1%程度に留めておくことが望まし
い。SHW(A)<−1%となれば撚糸後の撚止めセッ
トや糸条を経糸に使用する場合のサイジング工程に於い
て糸条が若干自己伸長してしまい、織編物に加工した際
の自己伸長の度合いが小さくなり、ソフト感やバルキー
性が不足してしまう他、自己伸長による糸長差発現によ
って糸条側面にループを形成し、工程通過性が著しく悪
化してしまい好ましくない。また沸水収縮率SHW
(A)が3%を超過するとマルチフィラメント糸Bとの
収縮差が小さくなり過ぎ、自己伸長発現によるソフト
感、バルキー性が不足し本発明の目的とする風合いの織
編物には仕上がらない。
【0012】またフィラメント糸Aの乾熱(160℃)
収縮率SHD(A)は0%以下であ必要がある。これは
即ち、本発明のポリエステルマルチフィラメント複合糸
条は染色加工時の巾出しセット等の乾熱処理によってマ
ルチフィラメントAが自己伸長することにより織編物に
適度なソフト感、バルキー性を与えるものであり、SH
D(A)が0%以上になればマルチフィラメントAは事
実上、収縮してしまい該ポリエステルマルチフィラメン
ト複合糸条は単なる異収縮混繊糸となってしまい、ソフ
ト感、バルキー性はやや感じられるものの、かなり不足
気味であり新規風合いを有する織編物とは言い難い。
【0013】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメントBの沸水収縮率
SHW(B)は5%〜60%の範囲にある必要がある。
該SHW(B)が5%未満となればマルチフィラメント
Aとの糸長差が小さくなり、織編物のソフト感はあるも
のの、はり感が不足し、タラッとしたものになってしま
い好ましいものとはならない。また、60%を超過する
と織編物がしまり過ぎてしまいドレープ性に乏しいもの
となってしまう。より好適には5%〜30%、更に好適
には6%〜18%の範囲で、織編物の風合いを考慮し適
宜選定すればよい。
【0014】またフィラメント糸Bの乾熱(160℃)
収縮率SHD(B)は7%〜80%の範囲、より好まし
くは7%〜30%、更に好ましくは8%〜20%の範囲
でその目的、用途に応じて適宜選定する必要がある。該
SHD(B)が7%未満となれば乾熱処理後のマルチフ
ィラメントAとの糸長差が小さくなり過ぎ、本発明の目
的とする適度なソフト感、バルキー性を得られないばか
りか、織編物のはり感が不足していまい好ましくない。
またSHD(B)が80%を超過すると織編物がしまり
過ぎてしまい、ドレープ性に乏しいものに仕上がってし
まうのである。
【0015】また、本発明のポリエステルマルチフィラ
メント複合糸条は上記の如くマルチフィラメント糸A、
マルチフィラメント糸Bを含む2種類以上のポリエステ
ルマルチフィラメント糸より構成されるものであるが、
該マルチフィラメント糸A、マルチフィラメント糸Bそ
れぞれの単糸繊度比率、構成比率は下記式(10)、(1
1)を共に満足することが必要である。 (10)1.0≦dB /dA ≦10 (11)0.5≦DA /DB ≦1.5 ここでdA 、dB はそれぞれマルチフィラメント糸A、
Bの単糸繊度(dpf.)をDA 、DB はそれぞれマルチフィ
ラメント糸A、Bの構成総繊度(den.)を示すものであ
る。
【0016】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条の総繊度は婦人衣料用途をその主ターゲットと
して考えた場合、大略30デニール〜300デニールの
範囲でその目的、用途に応じて適宜選定する必要があ
る。例えば婦人薄地衣料の場合は大略30デニール〜1
00デニール程度、中厚地衣料では大略150デニール
〜250デニール程度とすればよい。
【0017】またマルチフィラメント糸Aの単糸繊度は
特に限定されないが、織編物にソフト感を付与し、優し
い肌触りを求めたい場合には該マルチフィラメント糸A
の単糸繊度dA は2.0デニール未満、好ましくは1.
0デニール未満の極細フィラメントが好ましい。反対に
マルチフィラメント糸Bの単糸繊度dB は織編物のは
り、こし感を向上させるために2.0デニール以上、好
ましくは3.0デニール以上であることが必要である。
該マルチフィラメントA、Bの単糸繊度比dB /dA は
上記を考慮に入れ1.0以上10未満とする必要があ
る。単糸繊度比dB /dA が1.0未満となれば実質的
にマルチフィラメント糸Aの方が繊度大となってしまう
為に、織編物ははり、こし感に欠けたクタッとした風合
いのものとなってしまい好ましくない。また単糸繊度比
dB /dA が10を著しく超過するとマルチフィラメン
ト糸Bの単糸繊度が大きくなり過ぎ、はり、こし感に富
むもののドレープ性に欠けパリッとした風合いものとな
ってしまい好ましくないのである。
【0018】またマルチフィラメント糸A、Bの構成総
繊度の比DA /DB は0.5以上1.5以下である必要
がある。該構成総繊度の比DA /DB が0.5未満の範
囲となれば自己伸長を示すマルチフィラメント糸Aの構
成比率が小さくなり過ぎ、織編物に適度なソフト感、バ
ルキー性を与えることができなくなる。また1.5を著
しく超過するとソフト感やバルキー性は良好なものとな
るがマルチフィラメント糸Bの構成比率が低くなり過
ぎ、はり腰感に欠けるクタッした風合いのものとなって
しまう。該構成総繊度の比DA /DB は0.5以上1.
5以下の範囲でその目的とする風合い生地物性等に応じ
て適宜選定してよい。
【0019】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条はマルチフィラメント糸Aマルチフィラメント
糸Bを含む2種以上のポリエステルマルチフィラメント
糸を組み合わせてなるものであるが、該複合方法として
公知のインターレースノズルによる複合方法が比較的安
価で且つ撚糸等の後工程通過性を考慮した際、有効であ
る。該マルチフィラメント複合糸条の交絡度Diは20
ケ/m以上100ケ/m以下であることが望ましい。該
交絡度Diが20ケ/m未満となれば糸ワレが発生し易
く、撚糸工程等の後工程通過性に支障を来す恐れがあり
好ましくない。また100ケ/mを著しく超過するとマ
ルチフィラメント糸Aが過度に拘束されてしまう効果に
よって、マルチフィラメント糸Bとの糸長差が得られ難
く織編物に適度なソフト感、バルキー性を付与すること
が困難となるのである。該交絡度Diは糸条張力、交絡
エアー圧力、インターレースノズルの形状、単糸繊度、
糸条総繊度、糸条速度等々により決定され、上記の範囲
を満足するようにコントロールすることが必要である。
【0020】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するポリエステルマルチフィラメントの
断面形状に関しては特に限定されるものではなく、丸断
面の他、三角断面糸、偏平断面糸、その他異型断面糸等
々何れも使用出来る。また中実断面糸のみならす、中空
断面糸を使用しても構わない。
【0021】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条は織編物に製織編する際、風合いや生地物性等
に応じ加撚して使用するが該撚糸はダブルツイスター、
リングツイスター、アップツイスター、イタリ式ツイス
ター等々市販の撚糸機を用いて実施する。該マルチフィ
ラメント複合糸条に挿入する撚数は特に限定を加えるも
のではないが以下の(13)式の範囲が望ましい。 (13) 3000/D1/2 ≦Tw≦27000/D1/2 ここでTwは糸条1m当たり撚数(T/m) 、Dは糸条総繊
度(den.)を示すものである。
【0022】撚数Twについては織編物の風合いや生地
物性に応じ適宜選定してよい。例えば、本発明のポリエ
ステルマルチフィラメント複合糸条からなる織編物にソ
フト感をより付与したい場合にはTw=3000/D
1/2 〜7000/D1/2程度の甘撚として、ドライ感や
シャリ感を向上させたい場合にはTw=10000/D
1/2 〜25000/D1/2 程度の強撚として織編物の経
糸及び/又は緯糸に用いるとよい。また、撚糸された糸
条は残留トルクが大きく、そのまま用いるとビリ込み
等、後工程通過性に困難が生じるため湿熱による撚止め
セットを施しておくことが望ましい。加えて織編物の経
糸として使用する際は、製経工程や製織編工程の操業性
を考慮し、糊剤を使用して糸条の抱合力を向上させると
よい。糊付けの際は糊剤温度や糊剤乾燥温度、糸条張
力、糊剤濃度、糊剤付着量等々を適性化して実施するこ
とが必要である。適当な糊剤としてはPVAやアクリル
系糊剤にサイジングワックスや平滑剤、帯電防止剤等を
適当量組み合わせたもの等が挙げられるが、特にこれに
限定されるものではない。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例で具体的に説明する
が、本発明は何らこれらに限定されるものではない。な
お、この実施例に於ける各測定項目は以下の方法によっ
て測定を実施した。 (a) 結晶化度(Χρ) 密度勾配管法により20±0.5℃の恒温槽内で試料の
比重を測定し、(14)式により結晶化度(Χρ)を算出
した。尚、密度勾配管法による比重測定には軽比重液と
して公知のn−ペンタン(比重0.683)と、重比重
液として四塩化炭素(比重1.599)とを調製、混合
し該混合液に密度勾配をもたせた。尚、試験回数5回の
平均値を測定値とした。 (14) Χρ=〔dk(d−da)〕/〔d(dk−d
a)〕×100(%) ここでΧρ=結晶化度(%) dk=1.47g/cm3 (PET完全結晶の比重) da=1.331g/cm3 (PET完全非晶の比重) d=試料の比重(g/cm3
【0024】(b) 沸水収縮率(SHW) 試料を枠周1.125mの検尺機を用い、0.1g/d
の初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き
回数が20回の小綛を作り、初荷重の40倍の重りを掛
けて、綛長L1(mm) を測定する。続いて重りを外し、収
縮が妨げられないような方法で沸騰水(100℃)中に
30分間浸漬した後、取り出して吸取紙又は綿布で水を
拭き取り水平状態にて風乾する。風乾後、再度重りを掛
けて綛長L2(mm) を測定する。上記L1 、L2 を(15)
式に代入し、沸水収縮率(SHW)を測定する。尚、試
験回数5回の平均値を以て測定値とする。 (15) SHW=(L1 −L2 )/L1 ×100(%)
【0025】(c) 乾熱収縮率(SHD) 試料に1/30g/dの荷重を掛け、その長さL3(mm)
を測定する。次いでその荷重を取り除き、試料を乾燥機
にいれ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後冷却
し、再度1/30g/dの荷重を掛けてその長さL4(m
m) を測定する。上記L3 、L4 を(16)式に代入し、
乾熱収縮率(SHD)を算出する。尚、試験回数5回の
平均値を以て測定値とする。 (16) SHD=(L3 −L4 )/L3 ×100(%)
【0026】(d) 構造一体性パラメータ(ε0.2 ) ボン電気社製εメーターを使用し、0.2g/dの荷重
を掛けつつ、試料長で200mmの糸条を測り取り、その
荷重を掛けたまま測定温度95℃の沸騰水中で30秒間
処理を行い、その長さL6(mm) を測定する。構造一体性
パラメータ(ε0.2 )は次の(17)式で示され、測定回
数5回の平均値を以てその測定値とする。 (17) ε0.2 =(L5 −L6 )/L5 ×100(%) 但し、L5 は処理前の試料長さ(200mm)である。
【0027】(e) 残留伸度(DE) オリエンテック社製テンシロンUTM−3−100型を
使用し、試料長200mm、引張速度200mm/分で引張
試験を実施、試料切断に至る迄の伸度を求め、試験回数
5回の平均値を以てその測定値とする。
【0028】(f) 複屈折率(Δn) ニコン社製偏光顕微鏡POH型、ライツ社製ベレックコ
ンペンセータを用い光源としてスペクトル光源用起動装
置(東芝SLS−3−B型)を用いた(Na光源)。5
〜6mm長の繊維軸に対し45°の角度に切断した試料
を、切断面を上にしてスライドグラス上に載せる。試料
スライドグラスを回転載物台に載せ、試料が偏光子に対
して45°になるように回転載物台を回転させて調節し
アナライザーを挿入し暗視界とした後、コンペンセータ
ーを30として縞数を数える(n個)。コンペンセータ
を右螺子方向に回し試料が最初に一番暗くなる点のコン
ペンセータの目盛りbを測定した後(何れも1/10目
盛り迄読む)、コンペンセータを30に戻しアナライザ
ーを外し、試料の直径dを測定し下記のE 式に基づき複
屈折率(Δn)を測定する。測定回数10回の平均値を
以てその測定値とした。 (18) Δn=Γ/d(Γ;レターデーション=nλ0
+ε) ここでλ0 =589.3mμ ε;ライツ社のコンペンセータの説明書のC/1000
0とiより求める。 i=(a−b)(;コンペンセータの読みの差)
【0029】(実施例1)ポリエステルセミダルレジン
(固有粘度〔η〕=0.633)を使用し、通常の溶融
紡糸方法によって紡糸引取速度が3200m/min.で巻取
りポリエステルセミダルマルチフィラメント未延伸糸3
5デニール108フィラメントを得た。引き続き該マル
チフィラメント未延伸糸を非接触式ヒーターにて弛緩率
45%、滞留時間0.18秒の条件にて弛緩熱処理を行
い、52デニール108フィラメントのマルチフィラメ
ント未延伸糸であるマルチフィラメント糸Aを得た。該
マルチフィラメント糸Aの物性値は結晶化度Χρ(A)
=14.69%、複屈折率Δn(A)=44.9×10
-3、構造一体性パラメータε0.2 (A)=61.07%
残留伸度DE(A)=182%、沸水収縮率SHW
(A)=−0.06%、160℃乾熱収縮率SHD
(A)=−4.00%で実質的に自己伸長を示している
ことを確認した。
【0030】またマルチフィラメント糸Bとしてはポリ
エステルセミダルレジン(固有粘度〔η〕=0.63
3)を用い、通常の溶融紡糸方法によって紡糸引取速度
が3200m/min.の条件にてポリエステルセミダルマル
チフィラメント未延伸糸を150デニール30フィラメ
ントを得た。引き続き該マルチフィラメント未延伸糸を
延伸機を使用し、延伸倍率1.5倍で延伸し100デニ
ール30フィラメントのポリエステルマルチフィラメン
ト通常延伸糸であるマルチフィラメント糸Bを得た。該
マルチフィラメントの結晶化度Χρ(B)=24.34
%、複屈折率Δn(B)=139.5×10-3、構造一
体性パラメータε0.2 (B)=−2.33%、沸水収縮
率SHW(B)=9.2%、160℃乾熱収縮率SHD
(B)=15.4%で実質的に収縮を示した。
【0031】前記マルチフィラメント糸A、Bをインタ
ーレースノズルを使用して複合し、152デニール13
8フィラメントのポリエステルマルチフィラメント複合
糸条を得た。該複合糸条の交絡度Di=72.3ケ/m で
あり、糸ワレの問題なく、取扱性に優れたものとなっ
た。該複合糸条にS撚方向に1200T/m の加撚を施し
た後バキュームヒートセッターにて雰囲気温度70℃で
30分間の湿熱撚固定を行った。該マルチフィラメント
複合糸条の撚糸品を織物の経、緯糸双方に用い、生機密
度が経133本/in、緯85本/inのサテン組織に製織
し、通常の染色加工を施した。生地風合いはフカツキ感
のないやさしい感じ、適度なふくらみ、ソフト感、適度
なドライ感、加えてはり、腰感も充分な婦人衣料用途に
好適な全く新規な風合いのポリエステル織物に仕上がっ
た。
【0032】(比較例1)ポリエステルセミダルレジン
(固有粘度〔η〕=0.633)を用い、通常の溶融紡
糸方法にて紡糸引取速度が3200m/min.の条件にてポ
リエステルセミダルマルチフィラメント未延伸糸35デ
ニール108フィラメントを得た。引き続き該マルチフ
ィラメント未延伸糸を接触式ヒーターにて弛緩率0%、
滞留時間0.10秒の条件にて熱処理を施し、36デニ
ール108フィラメントのマルチフィラメント未延伸糸
の定長熱処理糸であるマルチフィラメント糸Aを得た。
該マルチフィラメント糸Aの結晶化度Χρ(A)=4
2.25%、複屈折率Δn(A)=127.6×1
-3、残留伸度DE(A)=40%、沸水収縮率SHW
(A)=1.73%、160℃乾熱収縮率SHD(A)
=2.32%で実質的に糸条は収縮した。該マルチフィ
ラメント糸Aを使用した他は全く実施例1と同様の方法
にてポリエステルマルチフィラメント複合糸条を得た。
該複合糸条の交絡度Di=67.5ケ/m であり、実施例
1と取扱性能が殆ど変わらない糸条であった。該複合糸
条を実施例1と同様の方法を用いて染色布帛を得た。風
合いは適度にはり、腰を有するもののふくらみ感やソフ
ト感、ドライ感何れも不足しており実施例1で得られた
織物とは比較の対象にもならなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明のポリエステルマルチフィラメン
ト複合糸条は布帛に加工すると、ソフトな触感とドライ
な触感、更には適度な嵩高性とはり、腰を兼ね備えた全
く新規な風合いの織編物を得ることが出来る。またポリ
エステルマルチフィラメントの未延伸糸を原糸として使
用しているために比較的安価に上記性能を有する生地を
容易に得ることが出来、効果は大きい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種類以上のポリエステルマルチフィラ
    メント糸よりなるポリエステルマルチフィラメント複合
    糸条であって、該複合糸条は下記式(1)を満足する自
    己伸長性を有するマルチフィラメント糸A及び、下記式
    (2)を満足する熱収縮性を有するマルチフィラメント
    糸Bからなることを特徴とするポリエステルマルチフィ
    ラメント複合糸条。 (1)フィラメント糸Aの構造一体性パラメータε0.2
    (A)と複屈折率Δn(A)との比 1.0≦ε0.2 (A)/〔Δn(A)×103 〕≦2.
    0 (2)フィラメント糸Bの構造一体性パラメータε0.2
    (B)と複屈折率Δn(B)との比 −0.5<ε0.2 (B)/〔Δn(B)×103 〕<
    0.7 ここでの構造一体性パラメータε0.2(A)、ε
    0.2(B)の単位は(%)で示されるものである。
  2. 【請求項2】 マルチフィラメント糸Aが下記式(3)
    を満足し、且つマルチフィラメント糸Bが下記式(4)
    を満足することを特徴とする請求項1記載のポリエステ
    ルマルチフィラメント複合糸条。 (3)フィラメント糸Aの結晶化度 Χρ(A)≦20
    % (4)フィラメント糸Bの結晶化度 Χρ(B)>30
  3. 【請求項3】 マルチフィラメント糸Aが下記式
    (5)、(6)、(7)を共に満足することを特徴とす
    る請求項1記載のポリエステルマルチフィラメント複合
    糸条。 (5)フィラメント糸Aの残留伸度 DE(A)≧14
    0% (6)フィラメント糸Aの沸水収縮率 SHW(A)<
    3% (7)フィラメント糸Aの乾熱(160℃)収縮率 S
    HD(A)≦0%
  4. 【請求項4】 マルチフィラメント糸Bが下記式
    (8)、(9)を共に満足することを特徴とする請求項
    1記載のポリエステルマルチフィラメント複合糸条。 (8)フィラメント糸Bの沸水収縮率 5%<SHW
    (B)<60% (9)フィラメント糸Bの乾熱(160℃)収縮率 7
    %<SHD(B)<80%
  5. 【請求項5】 マルチフィラメント糸A、及びマルチフ
    ィラメント糸Bが下記式(10)、(11)を共に満足する
    ことを特徴とする請求項1記載のポリエステルマルチフ
    ィラメント複合糸条。 (10)1.0≦dB /dA ≦10 (11)0.5≦DA /DB ≦1.5 ここでdA 、dB はそれぞれマルチフィラメント糸A、
    Bの単糸繊度(dpf.)を、DA 及びDB はそれぞれマルチ
    フィラメント糸A、Bの構成総繊度(den.)を示すもので
    ある。
  6. 【請求項6】 ポリエステルマルチフィラメント複合糸
    条の交絡度が下記式(12)を満足することを特徴とする
    請求項1記載のポリエステルマルチフィラメント複合糸
    条。 (12)マルチフィラメント複合糸条の交絡度 20≦D
    i≦100(ケ/m)
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010196178A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Teijin Fibers Ltd 制電性を有する極細混繊糸及びその製造方法

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