JPH09279438A - ポリエステル異収縮複合糸織物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル異収縮複合糸織物およびその製造方法

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JPH09279438A
JPH09279438A JP8092597A JP9259796A JPH09279438A JP H09279438 A JPH09279438 A JP H09279438A JP 8092597 A JP8092597 A JP 8092597A JP 9259796 A JP9259796 A JP 9259796A JP H09279438 A JPH09279438 A JP H09279438A
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JP
Japan
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yarn
polyester
shrinkage
multifilament
woven fabric
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JP8092597A
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English (en)
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Akihiro Nishida
右広 西田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ふくらみ感、弾発性及びソフト感のみならず
ウォーム感も兼ね備えた婦人衣料等に好適な新規な風合
いを有するポリエステル織物を提供する。 【構成】 SHD50〜75%、SHW45〜65%の
マルチフィラメントを有するポリエステルマルチフィラ
メント群とSHDが負の値を示すマルチフィラメントを
有するポリエステルマルチフィラメント群との複合糸を
用いた織物及び、共重合ポリエステルマルチフィラメン
トを有するポリエステルマルチフィラメント群とSHD
が負の値を示すマルチフィラメントを有するポリエステ
ルマルチフィラメント群とを複合し、次いで特定の撚数
で撚糸し、製織する織物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はソフトな触感、適度
な嵩高感、ウォーム感を有するポリエステル異収縮複合
糸織物とその製造方法に関するものであり、更に詳しく
はエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用い
た高収縮マルチフィラメント糸と160℃乾熱収縮率S
HDが負、即ち乾熱160℃環境下で実質的に自己伸長
性を有するポリエステルマルチフィラメント糸を含むポ
リエステル異収縮複合糸を用いてなるポリエステル異収
縮複合糸織物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より合成繊維、特にポリエステルマ
ルチフィラメント糸を使用して絹の風合いに近づける為
に、断面異型化による嵩高性向上策や原糸の単糸細化或
いは低ヤング率化による曲げ硬さ低減策、又は沸水収縮
率を異とするフィラメント糸を種々組み合わせてなる複
合糸を織物として染色加工工程に通じることによって織
物に適度なふくらみを持たせる方法等が提案されてい
る。特に異収縮複合糸を用いた織物は糸の収縮率差によ
る独特のふくらみ感、表面タッチ、適度なドレープ性等
々の要求を満足する可能性を秘めている。しかしながら
従来の異収縮複合糸を用いた織物は落ち着いた光沢、十
分なドレープ性、及び反撥性を与える素材と成り得る
が、単に絹に良く似た感じの織物に過ぎず、絹と同様或
いは絹を超える風合いを織物に与えるには至っていない
のが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如き従
来の異収縮複合糸織物の風合いを更に改善するべく、か
かる従来の異収縮複合糸織物では表現しきれなかった適
度なふくらみ感、弾発感、ソフト感、ドレープ性等々を
付与することを課題とするものであり、ひいては絹織物
に於いても表現しきれなかった豊かなふくらみ感、適度
な嵩高感、ウォーム感、ドレープ性、弾発感を付与する
ことを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の異収縮複合糸織
物は以下の構成よりなる。即ち、少なくとも下記式(1)
及び(2) を満足するマルチフィラメントAを少なくとも
一部に有するポリエステルマルチフィラメント群と16
0℃乾熱収縮率SHDが負の値を示すポリエステルマル
チフィラメントBを少なくとも一部に有するポリエステ
ルマルチフィラメント群との複合糸を経糸及び/又は緯
糸に使用してなることを特徴とするポリエステル異収縮
複合糸織物である。 50%≦SHD(A)≦75% (1) 45%≦SHW(A)≦65% (2) SHD(A)及びSHW(A)は、それぞれポリエステ
ルマルチフィラメント糸Aの160℃乾熱収縮率及び沸
水収縮率を示す。
【0005】以下、詳細に説明する。本発明のポリエス
テル異収縮複合糸織物に使用するポリエステル異収縮複
合糸はエチレングリコールを主なグリコール成分とし、
酸成分のうち80モル%以上がテレフタル酸で構成され
るポリエステルを用いたポリエステルマルチフィラメン
トAを少なくとも一部に有するポリエステルマルチフィ
ラメント群と160℃乾熱収縮率SHDが負の値を示す
ポリエステルマルチフィラメントBを少なくとも一部に
有するポリエステルマルチフィラメント群からなる複合
糸である。該ポリエステルマルチフィラメントAに使用
されるポリエステルは全酸成分のうち80モル%以上が
テレフタル酸で構成されたエチレンテレフタレート系共
重合ポリエステルであるが、全酸成分のうち、5〜20
モル%の範囲でイソフタル酸、5−ナトリウムスルフォ
イソフタル酸等の酸成分を共重合させてもよい。好適に
は5〜15モル%更に好ましくは8〜12モル%のイソ
フタル酸を共重合させたエチレンテフタレート系共重合
ポリエステルである。共重合させるイソフタル酸成分が
全酸成分に対し5モル%未満となると織物のふくらみ
感、弾発感、エアリー感、緻密感等々が不足してしま
い、品位的に魅力の感じられないものとなってしまう。
またイソフタル酸成分が全酸成分に対し20モル%を超
過すると織物は緻密感には富むが風合いが硬い、所謂パ
リッとしたものとなってしまい衣料用途として好ましい
ものとはならない。使用するポリエステルの極限粘度数
〔η〕については特に限定を加えるものではないが0.
50〜0.80cc/gの範囲のものが好適に使用される。
また必要に応じ、二酸化珪素、硫酸バリウム、二酸化チ
タン等々の艶消剤や制電剤、平滑剤、顔料、等を混合し
ても構わない。
【0006】またポリエステルマルチフィラメントBを
構成するポリエステルについては特に組成を限定するも
のではないが、エチレンテレフタレートを主な繰り返し
単位とするポリエステルが好ましい。使用するポリエス
テルの極限粘度数〔η〕についても特に限定を加えるも
のではないが0.50〜0.80cc/gの範囲のものが好
適に使用される。該ポリエステルについても必要に応じ
て各種艶消剤、制電剤、平滑剤、顔料、等を混合しても
構わない。また該ポリエステルマルチフィラメントBは
160℃乾熱収縮率SHDが負の値を示す、即ち乾熱1
60℃で実質的に自己伸長性を示すことが必要である。
該ポリエステルマルチフィラメントBの製造方法に関し
ては特に限定を加えるものではないが、ポリエステルマ
ルチフィラメント部分配向糸(POY)を実質的に延伸
しない条件で熱処理して得る方法、ポリエステルマルチ
フィラメント部分配向糸(POY)を該糸条の結晶化温
度以下で冷延伸した後、実質的に延伸しない条件で熱処
理して得る方法等が挙げられる。
【0007】また本発明に使用するポリエステルマルチ
フィラメントA及びポリエステルマルチフィラメントB
の単糸デニールについては特に限定を加えるものではな
いが、一般的に使用される衣料用途に限定した場合は単
糸デニールとして0.1〜10デニール、より好適には
0.5〜5デニールである。単糸断面形状についても丸
断面の他、三角断面、偏平断面、その他多角断面等、様
々なものが使用出来る。本発明に使用するポリエステル
異収縮複合糸自体の総デニールについても特に限定を加
えるものではないが、一般衣料用途では総デニールとし
て100〜1000デニールの範囲、より好ましくは2
00〜800デニールが好適に使用される。
【0008】また該ポリエステル異収縮複合糸に使用す
るポリエステルマルチフィラメントAは下記条件を満足
することが必要である。 50%≦SHD(A)≦75% (1) 45%≦SHW(A)≦65% (2) SHD(A)及びSHW(A)はそれぞれポリエステル
マルチフィラメント糸Aの160℃乾熱収縮率SHD、
沸水収縮率SHWを示すものである。該160℃乾熱収
縮率SHDが50%未満となると得られた織物のふくら
み感、弾発感、エアリー感、緻密感が不足し安っぽい外
観、風合いのものとなってしまう。また75%を著しく
超過すると緻密感は増すがドレープ性に欠如した風合い
の硬いものに仕上がってしまう。好ましくは55%以上
65%以下の範囲とすることによって本発明のポリエス
テル異収縮混繊織物に適度なふくらみ感、弾発感、エア
リー感、緻密感、適度なドレープ性を付与することが出
来る。
【0009】ポリエステルマルチフィラメントAの沸水
収縮率SHWは45%〜65%、好ましくは50〜60
%、より好ましくは50%〜65%の範囲が望ましい。
該沸水収縮率SHWが45%未満の範囲となると得られ
た織物のふくらみ感や弾発感、エアリー感、緻密感等が
不足するものとなってしまい商品として魅力ある風合い
とはならない。また逆に65%を超過する高収縮率とな
ると、緻密感は増すが、ドレープ性に欠如した風合いの
硬いものとなってしまう。沸水収縮率SHWを45%〜
65%とすることにより、本発明の織物に適度なふくら
み感、弾発感、エアリー感、緻密感、及び適度なドレー
プ性を付与することが可能となるのである。
【0010】本発明のポリエステル異収縮複合糸織物に
使用するポリエステルマルチフィラメトBは以下の条件
を満足することが望ましい。 −1%≦SHW(B)≦3% (3) 10%≦χc (B)≦25% (4) 85%≦fc (B)≦95% (5) 1%≦fa (B)≦12% (6) 但し、SHW(B)はポリエステルマルチフィラメント
糸Bの沸水収縮率SHWを示し、χc (B)は同結晶化
度χc 、fc (B)及びfa (B)は同結晶配向度fc
、及び非晶配向度fa を示すものである。沸水収縮率
SHWが−1%未満となると沸騰水中で自己伸長する程
度が大きくなる結果、織物にふかつき感が現れてしま
い、品位的に好ましいものとはならない。また沸水収縮
率SHWが3%を超過すると織物のふくらみ感、ソフト
感、弾発性が不足するものに仕上がってしまい、衣料用
途として品位的に満足出来るものにはならない。沸水収
縮率SHWが−1%以上3%以下、より好ましくは0%
以上2%以下の範囲とすることによって良好なふくらみ
感、弾発性、及び適度なエアリー感を織物に付与するこ
とが可能となるのである。
【0011】またポリエステルマルチフィラメントBの
結晶化度χc (B)は10%以上、25%以下、より好
ましくは10%以上20%以下、更に好ましくは10%
以上17%以下の範囲であることが望ましい。但し、該
結晶化度χc については密度勾配管法によるものであ
る。該結晶化度χc (B)が10%以下の範囲となれば
織物のアルカリ減量加工によって選択的に加水分解され
るために脆化が著しく品質的に満足し得るものとはなら
ない。また逆に25%を超過すると実質的にポリエステ
ルマルチフィラメント糸Bは160℃乾熱処理によって
自己伸長を示さず、織物は適度なふくらみ感、弾発性、
エアリー感を感じさせないものとなってしまうのであ
る。
【0012】更にポリエステルマルチフィラメントBの
結晶配向度fc (B)は85%以上95%以下であるこ
とが望ましい。該結晶配向度fc (B)が85%未満の
範囲となると実質的に糸条は自己伸長を示すものとはな
らず織物はふくらみ感、弾発性に不足するものとなって
しまう。また逆に該結晶配向度fc (B)が95%を超
過する範囲となっても実質的に糸条は自己伸長を示すも
のとはならず、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、結晶
配向度fc (B)として85%以上95%以下、より好
ましくは90%以上95%未満の範囲とすることによっ
て糸条は自己伸長性を示し、本発明の織物を適度なふく
らみ感、弾発性、ソフト感を感じさせるものに仕上げる
ことが可能となるのである。
【0013】ポリエステルマルチフィラメントBの非晶
配向度fa(B)については1%以上12%以下の範囲
とすることが望ましい。該非晶配向度fa(B)が1%
未満の範囲では非晶部の配向度が小さくなり過ぎ、実質
的に糸条は自己伸長を示さないものとなってしまう。ポ
リエステルマルチフィラメントBの製造方法は特に限定
を加えるものではないが、糸条の自己伸長は染色加工工
程に於ける熱処理によって糸条の非晶部分が繊維軸方向
に再配向、再配列することによって見掛けの結晶化度が
増加し、実質的に糸条は自己伸長を示すものと考えられ
該非晶部の配向度が小さく成り過ぎると糸条は自己伸長
性を示さない。また逆に非晶部の配向度が大きく成り過
ぎても糸条の自己伸長の割合が小さいものとなってしま
う。発明者が検討を重ねた結果、非晶配向度fa(B)
としては1%以上12%以下、より好ましくは1%以上
9%以下の範囲とすることによって良好な風合いを織物
に与えることが可能な程度の自己伸長能を糸条に与える
ことが出来ることを見い出すに至った。
【0014】また本発明のポリエステル異収縮複合糸織
物の製造方法は以下の構成よりなる。即ち全酸成分に対
し、イソフタル酸を10モル%共重合させたエチレンテ
レフタレート系共重合ポリエステルより構成されるポリ
エステルマルチフィラメントAを含むポリエステルマル
チフィラメント群、及び160℃乾熱収縮率SHDが
負、即ち乾熱160℃条件下に於いて実質的に自己伸長
発現するポリエステルマルチフィラメントBを含むポリ
エステルマルチフィラメント群とを複合(引き揃え、或
いは合撚、又は混繊、等)してポリエステル異収縮複合
糸を作成し以下式(7) の条件にて撚糸を施した後、60
〜80℃の雰囲気温度で20〜40分の撚止めセットを
施し、甘撚を施した経糸には下記式(8) 、(9) の条件で
サイジング処理を実施した後、織物の経糸及び/又は緯
糸に使用するポリエステル異収縮複合織物の製造方法で
ある。 3000/(D)1/2 ≦Tw≦27000/(D)1/2 (7) 施糊温度=35℃〜50℃ (8) 糊材乾燥温度=40℃〜80℃ (9)
【0015】本発明のポリエステル異収縮複合織物に使
用するポリエステル異収縮複合糸条に施撚する際に用い
る撚糸機種は特に限定を加えられるものではなく、イタ
リー撚糸機等のアップツイスターやリングツイスター、
ダブルツイスター等が好適に使用され、特にダブルツイ
スターが生産性や工程安定性等でより好ましい。撚糸条
件としては特に施撚張力に関して注意を払うことが必要
となる。適正な施撚張力範囲は0.1g/d 〜1.0g/d
の範囲、より好ましくは0.1g/d 〜0.8g/d の範囲
であり過度に施撚張力が大きくなり過ぎると施撚時の糸
切れや毛羽立ちが生じ、工程通過性や品質面で支障を来
すばかりかポリエステルマルチフィラメント糸Bの自己
伸長性が損なわれ結果、織物のふくらみ感や弾発性、ソ
フト感等々が不足してしまい、品位的に好ましいものと
はならない。
【0016】撚数Twについては3000/(D)1/2
T/m 以上27000/(D)1/2 T/m 以下の範囲とする
ことが望ましい。該撚数に関しては狙う織物の風合いに
応じて適宜選定すればよく、例えばふくらみ感やソフト
感を更に向上させたい場合には撚数Twを3000/
(D)1/2 T/m 以上27000/(D)1/2 程度の甘撚
の範囲内で適宜選定すればよい。また逆に、ドライ感や
シャリ感を向上させたい場合には撚数Twを12000
/(D)1/2 T/m 以上27000/(D)1/2 程度の強
撚の範囲内で適宜、撚数を選よい。
【0017】該ポリエステル異収縮複合糸条に撚りを挿
入した後、撚糸トルクによるビリやスナール等の諸問題
発生を抑制するために撚止めセットを実施する。該撚止
めセットについては上記撚数Twで3000/(D)
1/2 T/m 7000/(D)1/2T/m 程度の甘撚条件では
必要ないが、それ以上の中撚〜強撚の範囲の撚数であれ
ば実施する必要がある。該撚止めセットには従来より使
用されているバキュームヒートセッターやライドンボッ
クス等を使用することが出来る。撚止めセット条件につ
いては60℃以上80℃以下のポリエステルマルチフィ
ラメント糸の一次転移点以上の雰囲気温度とする必要が
あり、処理時間としては20分〜40分間が適当な範囲
である。該処理温度については過度に高くし過ぎると糸
条の結晶化が促進され、結果織物はふくらみ感、ソフト
感に乏しいものに仕上がってしまい好ましくない。また
処理時間についても同様で過度に長時間処理し過ぎると
糸条の結晶化が促進され織物はふくらみ感を感じさせな
いペーパーライクなものになってしまうのである。
【0018】また、甘撚を施された該ポリエステル異収
縮複合糸条を経糸として使用する場合には施糊温度が3
5℃〜50℃、糊材乾燥温度が40℃〜80℃の各条件
でサイジング処理を行う必要がある。該サイジング処理
に使用する機種についても特に限定を加えるものではな
いが施糊時及び糊材乾燥時に糸条に加えられる張力は
0.1〜0.5g/d の範囲、より好ましくは0.1〜
0.3g/d の範囲とすることが望ましい。該施糊温度即
ち糊剤温度が35℃未満の範囲となると糊材粘度が増加
してしまい安定的に施撚することが出来なくなる。また
50℃を超過する範囲となると処理する糸条の結晶化促
進作用が強く、織物はふくらみのないペーパーライクな
ものとなってしまう。該糊材の成分に関しては特に限定
を加えるものではないが基材としてポリビニルアルコー
ルやアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル
酢酸ビニル共重合体、アクリルアマイド共重合体、アク
リル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステル酢酸
ビニル共重合体等々が好適に使用出来る。また必要に応
じて適当量の平滑材、制電材等を混合して使用してもよ
い。
【0019】糊材乾燥温度は糊材乾燥領域に於ける雰囲
気温度であり40℃〜80℃の範囲とすることが重要で
ある。該糊材乾燥温度が40℃未満の低温領域となれば
糊材乾燥に相当量の時間がかかってしまい、生産性を考
慮すると好ましい条件であるとは言い難い。また逆に該
糊材乾燥温度が80℃を著しく超過する範囲となると乾
燥に要する時間は極僅かなものとなるが糸条が結晶化促
進され過ぎてしまい、結果織物はふくらみ感やソフト感
に乏しい、ペーパーライクな、品位的に好ましくないも
のとなってしまう。該糊材乾燥温度、即ちチャンバー内
の雰囲気温度が40℃〜80℃、より好ましくは50℃
〜70℃の範囲とすることによって結晶化が織物の風合
いに支障を来さない程度に抑制され、且つ生産性を悪化
させない範囲で操業することが可能となるのである。
【0020】本発明のポリエステル異収縮複合織物は乾
熱160℃雰囲気下で実質的に自己伸長発現するポリエ
ステルマルチフィラメントBと高収縮率を示すポリエス
テルマルチフィラメントAをそれぞれ少なくとも1種類
以上含むポリエステル異収縮複合糸より構成されるもの
であるが、該異収縮複合糸の複合方法については特に限
定を加えるものではなく、如何なる複合方法を用いても
構わない。例えば、ポリエステルマルチフィラメントA
を含むマルチフィラメント群とポリエステルマルチフィ
ラメントBを含むマルチフィラメント群をインターレー
スノズルを使用し、空気交絡処理する方法や引き揃えて
合撚する方法、又はそれぞれの糸条に下撚を挿入してお
き、引き揃えた後に合撚する方法、一方の糸条を過供給
下で高圧空気流を用いて攪乱交絡処理を行うタスラン加
工等々様々な方法を用いることが出来る。
【0021】本発明のポリエステル異収縮複合織物を製
織する際の織機機種についても特に限定を加えるもので
はなく、フライシャトルルーム、レピアルーム、エアー
ジェトルーム、ウォータージェットルーム、プロジェク
タイルルーム等々、何れの織機も使用することが可能で
ある。大量生産可能なウォータージェットルームを使用
する場合には生機乾燥温度を低温とする必要がある。好
ましい範囲としては50℃〜75℃、より好ましくは5
0℃〜60℃の範囲である。該生機乾燥温度が75℃以
上の温度となると、マルチフィラメントAの熱収縮能が
著しく低下する他、マルチフィラメントBの自己伸長能
が低下してしまい織物はふくらみ感、ソフト感、弾発性
を感じさせないものとなってしまう。製織及び製織準備
工程については経糸、緯糸の双方に過度の張力がかから
ないように調整することが望ましい。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。尚、本発明は以下の実施例に何ら限定されるもの
ではない。また本文及び実施例中に記載の各測定値の測
定方法は下記に示す通りである。 (a) 160℃乾熱収縮率SHD 試料に1/30 g/dの荷重を掛け、その長さL1(mm)を
測定する。次いで、その荷重を取り除き、試料を乾燥機
に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後、冷却
し再度試料に1/30 g/dの荷重を掛けてその長さL2
(mm)を測定する。上記L1、L2を下記式に代入し、1
60℃乾熱収縮率SHDを測定する。尚、測定回数5回
の平均値を以てその測定値とする。 SHD(%)=(L1−L2)/L1×100 (10)
【0023】(b) 沸水収縮率SHW 試料を枠周1.125mの検尺器を使用し、0.1 g/d
の初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き
回数が20回の小綛を作り、初荷重の40倍の重りを掛
けて綛長L3(mm)を測定する。続いて重りを外し、収縮
が妨げられないような方法で沸騰水(100℃)中に3
0分間浸漬した後、取り出して吸取紙或いは綿布で水を
拭き取り、水平状態で風乾する。風乾後、再度重りを掛
けて綛長L4(mm)を測定する。上記L3、L4を下記式
に代入し、沸水収縮率SHWを測定する。尚、測定回数
5回の平均値を以てその測定値とする。 SHW(%)=(L3−L4)/L3×100 (11)
【0024】(C) 極限粘度数〔η〕 フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒
とし、ウベローデ粘度計を使用して20℃±0.5℃の
恒温条件下で粘度数ηsp/cを求め、ηsp/cを溶液濃
度cに対してプロットし、c→0にηsp/cを外挿する
ことによって極限粘度数〔η〕を求める。尚、測定回数
5回の平均値を以てその測定値とする。
【0025】(d) 結晶化度χc n−ヘプタンと四塩化炭素よりなる密度勾配管を作成
し、30℃±0.1℃に調温された密度勾配管中に充分
に脱泡した試料を投入し5時間放置後の密度勾配管中の
試料位置を、密度勾配管の目盛りで読み取った値を、標
準ガラスフロートによる密度勾配管目盛〜比重キャリブ
レーショングラフから比重値に換算し、測定回数5回の
平均値を以て比重値の測定値dとする。該比重値dを下
記式に代入し、結晶化度χc を算出する。 χc =〔dc ×(d−da )〕/〔d×(dc −da )〕×100 (12) 但し、da =1.331(PET非晶部比重) dc =1.455(PET結晶部比重) d =(測定した比重)
【0026】(e) 結晶配向度fc 理学電気社製X線発生装置(RU−3H型)、繊維測定
装置(FS−3型)、ゴニオメーター(SG−7型)及
びシンチレーションカウンターを用い、ニッケルフィル
ターで単色化したCuKα線(波長λ=1.5418n
m)を用いて繊維の配向角OAを測定する。配向角OA
の測定は (100)面反射の2θを使用する。使用される反
射の2θは、赤道線方向の回折強度曲線から決定され
る。上記X線発生装置は45Kv、70mAで運転するもの
とし、繊維測定装置に繊維試料を単糸同士が互いに平行
となるように取り付ける。試料の厚みは0.5mm程度と
するのが好ましい。
【0027】予備実験によって決定された2θ値にゴニ
オメーターをセットし、平行に配列した繊維軸に垂直に
X線を入射させる。(ビーム垂直透過法) 方位角方向を−80°〜+30°走査し、シンチレーシ
ョンカウンターで回折強度を記録紙に記録し、更に−1
80°と180°の回折強度を記録する。この時、スキ
ャニングスピード4°/分、チャートスピード1.0cm
/分、タイムコンスタント2秒或いは5秒、コリメータ
ー1mmφ、レシーピングはスリット縦横とも1°で実施
した。得られた回折強度曲線から配向角を求めるには±
180°で得られる回折強度の平均値をとり、水平線を
引き、ピークの頂点から基線に垂線をおろし、その高さ
の中点を求める。中点を通る水平線を引き、この水平線
と回折強度曲線の交点間の距離を測定し、この値を角度
(°)に換算した値を配向角OAとし下記式にOA値を
代入し結晶配向度fc を求める。 fc (%)=(180°−OA)/180°×100 (13)
【0028】(f) 非晶配向度fa 非晶配向度fa は次式により求められる。 fa (%)=〔Δn−0.212×fc ×χc 〕/ 〔0.195×(1−χc )〕 (14) 上記Δnは偏光顕微鏡を用いてセナルモ法により測定し
た複屈折率、fは上記のX線回折法によって求めた結晶
配向度、χc は上記の密度勾配管法によって求めた結晶
化度である。
【0029】(g) 複屈折率Δn ニコン社製偏光顕微鏡POH型とライツ社製ペレックコ
ンペンセータを用い、光源としてはスペクトル光源用起
動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた。(Na光
源) 5〜6mm長の繊維軸に対し45°の角度に切断した試料
を、切断面を上にして、スライドグラス上に載せる。試
料スライドグラスを回転載物台に載せ、試料が偏光子に
対し45°になるように回転載物台を回転させて調節
し、アナライザーを挿入し暗視界とした後、コンペンセ
ータを30にして縞数を数える。(n個) コンペンセータを右螺子方向に回して試料が最初に暗く
なる点のコンペンセータの目盛bを測定した後(いずれ
も1/10目盛迄読む)、コンペンセータを30に戻し
てアナライザーを外し、試料の直径dを測定し、下記式
に基づき複屈折率Δnを算出する。測定回数10回の平
均値を以てその測定値とする。 Δn=Γ/d(Γ;レターデーション=nλ0 +ε) (15) 但しλ0 =589.3mμ ε;ライツ社のコンペンセータの説明書のC/1000
0とiより求める。 i=(a−b)(;コンペンセータの読みの差)
【0030】(実施例1)イソフタル酸を全酸成分に対
し10モル%共重合させたポリエチレンテレフタレート
セミダルレジン(極限粘度数〔η〕=0.63cc/g、二
酸化チタン含有量0.3重量%)を使用し、乾燥機でレ
ジンを絶乾した後、窒素パージ下で通常の溶融紡糸を行
い未延伸糸として紡糸引取速度2600m/min.の条件で
未延伸糸チーズとして巻き取った。該未延伸糸チーズを
延伸機を使用して延伸速度600m/min.、延伸倍率1.
5倍の各条件で37デニール5フィラメント丸断面ポリ
エステル通常延伸糸を得た。該通常延伸糸をポリエステ
ルマルチフィラメントAとする。ポリエステルマルチフ
ィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント通常
延伸糸42デニール108フィラメント(160℃乾熱
収縮率SHD=9.5%、沸水収縮率SHW=6.5
%)とをインターレースノズルを使用して空気交絡処理
し、79デニール113フィラメント異収縮混繊糸条
A’を得た。因みにポリエステルマルチフィラメント糸
Aの160℃乾熱収縮率SHDは70%、沸水収縮率S
HWは55%である。
【0031】ポリエチレンテレフタレートセミダルレジ
ン(極限粘度数〔η〕=0.64cc/g、二酸化チタン含
有量0.3重量%)を使用し、乾燥機中でレジンを絶乾
状態迄乾燥した後、窒素パージ下で通魚の溶融紡糸を行
い、未延伸糸として紡糸引取速度3200m/min.の条件
で未延伸糸チーズとして巻き取った。該未延伸糸を延伸
機を使用して延伸速度600m/min.、延伸倍率1.5
倍、延伸温度45℃の各条件で40デニール36フィラ
メント丸断面ポリエステル延伸糸を得た。該ポリエステ
ル延伸糸を非接触式乾熱ヒーター(スリットヒーター)
を使用し弛緩率40%、ヒーター温度195℃、ヒータ
ー滞留時間0.15秒の条件にて弛緩熱処理を施し56
デニール36フィラメントのポリエステルマルチフィラ
メント糸Bを得た。該マルチフィラメント糸Bを引き取
ることなく、別のポリエステルマルチフィラメント通常
延伸糸100デニール30フィラメント(160℃乾熱
収縮率SHD=16.0%、沸水収縮率SHW=13.
5%)とをインターレースノズルを使用し空気交絡処理
し、156デニール66フィラメント異収縮混繊糸B’
を得た。因みにポリエステルマルチフィラメント糸Bの
160℃乾熱収縮率SHDは−4.6%で実質的に自己
伸長性を示し、沸水収縮率SHWは0.2%、結晶化度
χcは12.6%、結晶配向度fcは93.1%、非結
晶配向度faは8.6%の各物性値を示すものであっ
た。
【0032】上記79デニール113フィラメント異収
縮混繊糸条A’にS撚方向に200T/m の撚りを挿入し
た後、156デニール66フィラメント異収縮混繊糸
B’と引き揃え、石川製作所社製DTF型合撚糸機を使
用しS撚方向に400T/m の上撚を施した後、金属製撚
糸シリンダーに巻き返し、バキュームヒートセッターを
使用し、真空条件下、雰囲気温度70℃で30分間の撚
止めセットを施した。該撚糸合撚糸条を経糸及び緯糸と
して使用し、織上密度として経53本/吋、緯45本/
吋の梨地組織に製織した。該生機を通常の染色加工工程
を通し仕上密度として経65本/吋、緯54本/吋に仕
上げた。該生地はソフトな触感、適度な嵩高感、ウォー
ム感、ドレープ性を有する婦人向け衣料用途に適した中
厚地織物であった。
【0033】(実施例2)実施例1と同じ構成で混繊さ
れた79デニール113フィラメント異収縮混繊糸条
A’と156デニール66フィラメント異収縮混繊糸
B’とを引き揃え、村田機械社製ダブルツイスター 3
02を使用し、S撚及びZ撚方向に400T/mの実撚を
挿入した撚糸条をワープサイザーを使用し施糊温度40
℃、糊剤乾燥温度70℃の条件にてサイジングを行った
糸条を経糸とし、緯糸として東洋紡エステル150デニ
ール96フィラメントの撚糸条(撚数1800T/m )を
使用し、緯糸をS撚及びZ撚が2本交互の構成となるよ
うにし、織上密度として経86本/吋、緯64本/吋の
ピケ組織に製織した。該生機を通常の染色加工工程を通
し仕上密度として経107本/吋、緯83本/吋に仕上
げた。該生地は実施例1同様、ソフトな触感、適度なウ
ォーム感、嵩高性、ドレープ性を有する婦人衣料用途に
好適な中厚地織物となった。
【0034】(比較例1)イソフタル酸を25モル%共
重合させたポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
(極限粘度数〔η〕=0.62cc/g、二酸化チタン含有
量0.3重量%)を使用し、乾燥機でレジンを絶乾した
後、窒素パージ下で通常の溶融紡糸を行い未延伸糸とし
て紡糸引取速度2600m/min.の条件で未延伸糸チーズ
として巻き取った。該未延伸糸チーズを延伸機を使用し
て延伸速度600m/min.、延伸倍率1.5倍の各条件で
37デニール5フィラメント丸断面ポリエステル通常延
伸糸を得た。該通常延伸糸をポリエステルマルチフィラ
メント糸Aとする。ポリエステルマルチフィラメント糸
Aとポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸42デ
ニール108フィラメント(160℃乾熱収縮率SHD
=9.5%、沸水収縮率SHW=6.5%)とをインタ
ーレースノズルを使用して空気交絡処理し、79デニー
ル113フィラメント異収縮混繊糸条A’を得た。因み
にポリエステルマルチフィラメント糸Aの160℃乾熱
収縮率SHDは78%、沸水収縮率SHWは67%であ
る。
【0035】該異収縮混繊糸条A’と実施例1記載の異
収縮混繊糸条B’とを引き揃え、村田機械社製ダブルツ
イスター 302を使用し、S撚及びZ撚方向に400
T/mの実撚を挿入した撚糸条を実施例2同様の方法でサ
イジングを行い経糸とし、緯糸として東洋紡エステル1
50デニール96フィラメントの撚糸条(撚数1800
T/m )を使用し、緯糸をS撚及びZ撚の2本交互の構成
となるようにし、織上密度として経66本/吋、緯64
本/吋ののピケ組織に製織した。該生機を通常の染色加
工工程を通し仕上密度として経106本/吋、緯85本
/吋に仕上げた。風合いは実施例1、2と比較し、組織
の緻密感はあるが、風合いが硬くなり過ぎてしまい、ド
レープ性に欠如していた。アルカリ減量処理に於ける減
量率コントロールで風合い改善を試みたものの、マルチ
フィラメント糸Aの減量スピードが他と比較して早く、
適度なドレープ性を得られる領域では生地の引裂強力が
実用強度に至らず、一般衣料用途として不適当なもので
あった。
【0036】(比較例2)イソフタル酸を10モル%共
重合させたポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
(極限粘度数〔η〕=0.63cc/g、二酸化チタン含有
量0.3重量%)を使用し、乾燥機でレジンを絶乾した
後、窒素パージ下で通常の溶融紡糸を行い未延伸糸とし
て紡糸引取速度2600m/min.の条件で未延伸糸チーズ
として巻き取った。該未延伸糸チーズを延伸機を使用し
て延伸速度600m/min.、延伸倍率1.5倍の各条件で
37デニール5フィラメント丸断面ポリエステル通常延
伸糸を得た。該通常延伸糸をポリエステルマルチフィラ
メント糸Aとする。ポリエステルマルチフィラメント糸
Aとポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸42デ
ニール108フィラメント(160℃乾熱収縮率SHD
=9.5%、沸水収縮率SHW=6.5%)とをインタ
ーレースノズルを使用して空気交絡処理し、79デニー
ル113フィラメント異収縮混繊糸条A’を得た。因み
にポリエステルマルチフィラメント糸Aの160℃乾熱
収縮率SHDは70%、沸水収縮率SHWは55%であ
る。
【0037】ポリエチレンテレフタレートセミダルレジ
ン(極限粘度数〔η〕=0.64cc/g、二酸化チタン含
有量0.3重量%)を使用し、乾燥機中でレジンを絶乾
状態迄乾燥した後、窒素パージ下で通魚の溶融紡糸を行
い、未延伸糸として紡糸引取速度3200m/min.の条件
で未延伸糸チーズとして巻き取った。該未延伸糸を延伸
機を使用して延伸速度600m/min.、延伸倍率1.5
倍、延伸温度45℃の各条件で40デニール36フィラ
メント丸断面ポリエステル延伸糸を得た。該ポリエステ
ル延伸糸を非接触式乾熱ヒーター(スリットヒーター)
を使用し、ヒーター温度195℃、ヒーター滞留時間
0.15秒の条件にて定長熱処理(弛緩率0%)を実施
し40デニール36フィラメントのポリエステルマルチ
フィラメント糸Bを得た。該マルチフィラメント糸Bを
引き取ることなく、別のポリエステルマルチフィラメン
ト通常延伸糸100デニール30フィラメント(160
℃乾熱収縮率SHD=16.0%、沸水収縮率SHW=
13.5%)とをインターレースノズルを使用し空気交
絡処理し、140デニール66フィラメント異収縮混繊
糸B’を得た。因みにポリエステルマルチフィラメント
糸Bの160℃乾熱収縮率SHDは3.2%で乾熱16
0℃条件下では収縮性を示し、沸水収縮率SHWは2.
6%、結晶化度χc は34.9%、結晶配向度fc は9
6.2%、非晶配向度fa は24.3%の各物性値を示
すものであった。
【0038】上記79デニール113フィラメント異収
縮混繊糸条A’にS撚方向に200T/m の撚りを挿入し
た後、140デニール66フィラメント異収縮混繊糸
B’と引き揃え、石川製作所社製DTF型合撚糸機を使
用しS撚方向に400T/m の上撚を施した。該撚糸合撚
糸条を実施例1同様の方法で撚止めセットを実施した後
織物の経糸及び緯糸として使用し、織上密度として経5
4本/吋、緯46本/吋の梨地組織に製織した。該生機
を通常の染色加工工程を通し仕上密度として経66本/
吋、緯55本/吋に仕上げた。該生地は適度なふくらみ
感及びソフトな触感は有するものの実施例1、2に比較
し嵩高感、ウォーム感に劣るものであり、弾発性も不足
しており、従来の異収縮混繊糸条よりなる織物と何ら新
規性を感じさせないものであった。
【0039】(比較例3)実施例1で用いたポリエステ
ルマルチフィラメント異収縮混繊糸A’とポリエステル
マルチフィラメント異収縮混繊糸B’を使用し実施例1
同様の手法にて該異収縮混繊糸A’、B’よりなるポリ
エステル合撚糸条を作成した後、金属製撚糸シリンダー
に巻き返し、バキュームヒートセッターを使用し、真空
条件下、雰囲気温度85℃で40分間の撚止めセットを
施した。該撚糸合撚糸条を経糸及び緯糸として使用し、
織上密度として経53本/吋、緯45本/吋の梨地組織
に製織した。該生機を通常の染色加工工程を通し仕上密
度として経64本/吋、緯53本/吋に仕上げた。該生
地は実施例1、2と比較し嵩高感、ウォーム感に劣るも
のであり、触感も実施例1、2の生地の方がソフトに仕
上がっており、外観及び風合いとしては何ら新規性を感
じさせないものであった。
【0040】(比較例4)実施例2で用いたポリエステ
ルマルチフィラメント異収縮混繊糸A’とポリエステル
マルチフィラメント異収縮混繊糸B’を使用し実施例2
同様の手法にて該異収縮混繊糸A’、B’よりなるポリ
エステルマルチフィラメント異収縮混繊糸撚糸条ををワ
ープサイザーを使用し施糊温度60℃、糊剤乾燥温度1
80℃の条条件にてサイジングを行った糸条を経糸と
し、緯糸として東洋紡エステル150デニール96フィ
ラメントの撚糸条(撚数1800T/m )を使用し、緯糸
をS撚及びZ撚が2本交互の構成となるようにし、織上
密度として経86本/吋、緯664本/吋のピケ組織に
製織した。該生機を通常の染色加工工程を通し仕上密度
として経107本/吋、緯81本/吋に仕上げた。該生
地は実施例1、2と比較し嵩高感、ウォーム感に劣るも
のであり、触感も実施例1、2の生地の方がソフトに仕
上がっており、外観及び風合いとしては比較例3同様、
何ら新規性を感じさせないものとなった。
【0041】
【発明の効果】本発明のポリエステル異収縮混繊織物は
従来のポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸条
よりなる織物と比較し、ふくらみ感や弾発性、ソフト
感、ドレープ性が共に向上しており、ドレスやブラウ
ス、ジャケットやパンツ、スカート等、婦人用衣料に好
適な全く新規な風合いを有するポリエステル織物を提供
することが可能となる等々の効果を奏するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記式(1) 及び(2) を満足す
    るマルチフィラメントAを少なくとも一部に有するポリ
    エステルマルチフィラメント群と160℃乾熱収縮率S
    HDが負の値を示すポリエステルマルチフィラメントB
    を少なくとも一部に有するポリエステルマルチフィラメ
    ント群との複合糸を経糸及び/又は緯糸に使用してなる
    ことを特徴とするポリエステル異収縮複合糸織物。 50%≦SHD(A)≦75% (1) 45%≦SHW(A)≦65% (2) SHD(A)及びSHW(A)はそれぞれポリエステル
    マルチフィラメントAの160℃乾熱収縮率及び沸水収
    縮率を示すものである。
  2. 【請求項2】 マルチフィラメント糸Aを構成するポリ
    エステルが全酸成分に対し、イソフタル酸を5〜20モ
    ル%共重合してなるエチレンテレフタレート系共重合ポ
    リエステルであることを特徴とする請求項1記載のポリ
    エステル異収縮混繊織物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルマルチフィラメント糸Bが
    以下の下記式(3) 〜(5) を満足することを特徴とする請
    求項1記載のポリエステル異収縮複合織物。 −1%≦SHW(B)≦3% (3) 10%≦χc (B)≦25% (4) 85%≦fc (B)≦95% (5) 1%≦fa (B)≦12% (6) SHW(B)はポリエステルマルチフィラメントBの沸
    水収縮理SHWを示し、χc (B)は同結晶化度χc 、
    fc (B)及びfa (B)は同結晶配向度fc 、及び非
    晶配向度fa を示すものである。
  4. 【請求項4】 全酸成分に対し、イソフタル酸を5〜1
    5モル%共重合してなるエエチレンテレフタレート系共
    重合ポリエステルから構成されるポリエステルマルチフ
    ィラメントAを含むポリエステルマルチフィラメント
    群、及び160℃乾熱収縮率SHDが負の値を示すポリ
    エステルマルチフィラメントBを含むポリエステルマル
    チフィラメント群とを複合してなるポリエステル異収縮
    複合糸とし、次いで下記式(7) を満足する条件で撚糸を
    施した後、当該撚糸を経糸及び/又は緯糸に用いて製織
    することを特徴とするポリエステル異収縮複合糸織物の
    製造方法。 3000/(D)1/2 ≦Tw≦27000/(D)1/2 (7) Twはポリエステル異収縮混繊糸に挿入する実撚数(T/
    m) 、Dはポリエステル収縮混繊糸のトータルデニール
    (Den.)を示すものである。
  5. 【請求項5】 ポリエステル異収縮複合糸に撚糸を施し
    た後、以下式(8)及び(9) の条件にてサイジング処理
    を施し、その後製造することを特徴とする請求項5記載
    のポリエステル異収縮複合糸織物の製造方法。 施糊温度:35℃〜50℃ (8) 糊材乾燥温度:40℃〜80℃ (9)
  6. 【請求項6】 ポリエステル異収複合糸に撚糸を施した
    後、60〜80℃の温度雰囲気下で20〜40分の撚止
    めセットを施した後、製織することを特徴とする請求項
    5記載のポリエステル異収縮複合糸織物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113073411A (zh) * 2020-01-06 2021-07-06 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种混纤假捻加工纱线及其制备方法和织物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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