JPH08158196A - 染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方法 - Google Patents
染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方法Info
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- JPH08158196A JPH08158196A JP6299611A JP29961194A JPH08158196A JP H08158196 A JPH08158196 A JP H08158196A JP 6299611 A JP6299611 A JP 6299611A JP 29961194 A JP29961194 A JP 29961194A JP H08158196 A JPH08158196 A JP H08158196A
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- Japan
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- yarn
- multifilament
- polyester
- woven fabric
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- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 濃色系に染色しても、白茶けの問題がなく、
ドライ感とバルキー性、ソフト感を具備した新規風合い
のポリエステル織物を提供する。 【構成】 下記式を満足する自己伸長性マルチフィラメ
ントA糸S熱収縮性マルチフィラメントB糸とを交絡・
撚糸し、低温で撚止めセット及び/又は糊付け乾燥を施
し、製織することを特徴とするポリエステル織物の製造
方法。 30≦Xρ(A)/(Δn(A)×10)≦75 10≦Xρ(B)/(Δn(B)×10)<30
ドライ感とバルキー性、ソフト感を具備した新規風合い
のポリエステル織物を提供する。 【構成】 下記式を満足する自己伸長性マルチフィラメ
ントA糸S熱収縮性マルチフィラメントB糸とを交絡・
撚糸し、低温で撚止めセット及び/又は糊付け乾燥を施
し、製織することを特徴とするポリエステル織物の製造
方法。 30≦Xρ(A)/(Δn(A)×10)≦75 10≦Xρ(B)/(Δn(B)×10)<30
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は染色性に優れ、尚且つソ
フトな触感とドライな触感を共に満足する、婦人衣料用
途に好適な染色性とソフト感に優れたポリエステル織物
の製造方法に関するものである。
フトな触感とドライな触感を共に満足する、婦人衣料用
途に好適な染色性とソフト感に優れたポリエステル織物
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】織編物にバルキー性、ソフト感、ドライ
感を共に満足させる試みとして各種異収縮混繊糸や部分
融着仮撚加工糸、シックアンドシン糸、或いはポリマー
内に不活性無機微粒子等を含有させた微細孔形成型マル
チフィラメント糸等々を使用して数々検討されてきてい
る。異収縮混繊糸は熱収縮率の異なるマルチフィラメン
ト糸を組合せ、染色加工工程の湿熱処理にて収縮差、糸
長差を発現させることによって織物にバルキー性やソフ
ト感を与えるものであり、織物にシルクライクな風合い
を付与することが可能である。しかしながら、該異収縮
混繊糸は織物にソフト感を与えるために極細フィラメン
トを組み合わせることが一般的になっており、該極細フ
ィラメントからなる染色布は白茶けてしまい高級感に欠
ける織物に仕上がってしまうという問題点を有する。
感を共に満足させる試みとして各種異収縮混繊糸や部分
融着仮撚加工糸、シックアンドシン糸、或いはポリマー
内に不活性無機微粒子等を含有させた微細孔形成型マル
チフィラメント糸等々を使用して数々検討されてきてい
る。異収縮混繊糸は熱収縮率の異なるマルチフィラメン
ト糸を組合せ、染色加工工程の湿熱処理にて収縮差、糸
長差を発現させることによって織物にバルキー性やソフ
ト感を与えるものであり、織物にシルクライクな風合い
を付与することが可能である。しかしながら、該異収縮
混繊糸は織物にソフト感を与えるために極細フィラメン
トを組み合わせることが一般的になっており、該極細フ
ィラメントからなる染色布は白茶けてしまい高級感に欠
ける織物に仕上がってしまうという問題点を有する。
【0003】また、部分融着仮撚加工糸は部分的にフィ
ラメント同士を融着させることにより仮撚加工糸の持つ
ソフト感、バルキー性と新たに適度なシャリ味を付与す
るものであり広く展開されているが、該融着部がアルカ
リ減量加工によって選択的にアルカリ加水分解作用を強
く受け、該融着部脆化による織物の引裂強力の低下、毛
羽発生による織物品位低下等を招く恐れがあり、アルカ
リ減量による風合い合わせが困難なものである。
ラメント同士を融着させることにより仮撚加工糸の持つ
ソフト感、バルキー性と新たに適度なシャリ味を付与す
るものであり広く展開されているが、該融着部がアルカ
リ減量加工によって選択的にアルカリ加水分解作用を強
く受け、該融着部脆化による織物の引裂強力の低下、毛
羽発生による織物品位低下等を招く恐れがあり、アルカ
リ減量による風合い合わせが困難なものである。
【0004】またシックアンドシン糸は特殊延伸手法を
用いて繊維軸方向に太細斑を持たせ太繊度部の効果であ
ると考えられているドライ感、適度なふくらみ感の付
与、太繊度部と細繊度部の微妙なバランスによる自然な
杢調等々を織物に与えることが出来る。しかしながら該
太繊度部がアルカリ減量加工によって選択的にアルカリ
加水分解を受け易く、毛羽の発生や織物の引裂強力の低
下が懸念され、部分融着仮撚加工糸と同じくアルカリ減
量加工による風合い合わせが困難であった。
用いて繊維軸方向に太細斑を持たせ太繊度部の効果であ
ると考えられているドライ感、適度なふくらみ感の付
与、太繊度部と細繊度部の微妙なバランスによる自然な
杢調等々を織物に与えることが出来る。しかしながら該
太繊度部がアルカリ減量加工によって選択的にアルカリ
加水分解を受け易く、毛羽の発生や織物の引裂強力の低
下が懸念され、部分融着仮撚加工糸と同じくアルカリ減
量加工による風合い合わせが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述し
た問題を解決し、これまで二律背反的な関係であったド
ライ感とバルキー性、ソフト感を兼ね備えた新規風合い
を有するポリエステル織物の製造方法を提供するもので
あり、更には濃色系に染色しても、白茶けの問題がな
い、染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造
方法を提供することにある。
た問題を解決し、これまで二律背反的な関係であったド
ライ感とバルキー性、ソフト感を兼ね備えた新規風合い
を有するポリエステル織物の製造方法を提供するもので
あり、更には濃色系に染色しても、白茶けの問題がな
い、染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、織物に使用する
ポリエステルマルチフィラメント供給原糸の結晶化度、
平均複屈折率、乾熱収縮率、沸水収縮率、単糸デニール
及び撚糸の際の撚数、撚止めセット条件、経糸サイジン
グ時の糊付温度、糸条乾燥温度等々をそれぞれ適正化す
ることによって適度なソフト感、ドライ感を有し且つ優
れた染色性を有するポリエステル織物を得ることが出来
ることを発明するに到った。
解決するために鋭意研究を重ねた結果、織物に使用する
ポリエステルマルチフィラメント供給原糸の結晶化度、
平均複屈折率、乾熱収縮率、沸水収縮率、単糸デニール
及び撚糸の際の撚数、撚止めセット条件、経糸サイジン
グ時の糊付温度、糸条乾燥温度等々をそれぞれ適正化す
ることによって適度なソフト感、ドライ感を有し且つ優
れた染色性を有するポリエステル織物を得ることが出来
ることを発明するに到った。
【0007】本発明は以下の構成よりなる。下記式を満
足するマルチフィラメント糸Aと、マルチフィラメント
糸Bを交絡度20〜100ケ/mで交絡させたポリエス
テルマルチフィラメント複合糸条を撚糸した後、85℃
以下の温度で撚止めセット及び/又は糊付け、乾燥を実
施した後、織物の経糸及び/又は緯糸とし製織すること
を特徴とする染色性とソフト感に優れたポリエステル織
物の製造方法。 30≦Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕≦75 10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕<30 0.005<Δna(A)<0.05 0.10<Δna(B)<0.17 SHD(A)<0% SHD(B)>0% ここで、Χρ(A)、Χρ(B)はポリエステルマルチ
フィラメント糸A、Bそれぞれの密度勾配管法より求め
た結晶化度(%)でありΔn(A)、Δn(B)は該糸
A、糸Bの平均複屈折率、Δna(A)、Δna(B)
は該糸A、糸Bの非晶部複屈折率、SHD(A)、SH
D(B)は該糸A、糸Bの乾熱160℃に於ける乾熱収
縮率(%)をそれぞれ示すものである。
足するマルチフィラメント糸Aと、マルチフィラメント
糸Bを交絡度20〜100ケ/mで交絡させたポリエス
テルマルチフィラメント複合糸条を撚糸した後、85℃
以下の温度で撚止めセット及び/又は糊付け、乾燥を実
施した後、織物の経糸及び/又は緯糸とし製織すること
を特徴とする染色性とソフト感に優れたポリエステル織
物の製造方法。 30≦Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕≦75 10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕<30 0.005<Δna(A)<0.05 0.10<Δna(B)<0.17 SHD(A)<0% SHD(B)>0% ここで、Χρ(A)、Χρ(B)はポリエステルマルチ
フィラメント糸A、Bそれぞれの密度勾配管法より求め
た結晶化度(%)でありΔn(A)、Δn(B)は該糸
A、糸Bの平均複屈折率、Δna(A)、Δna(B)
は該糸A、糸Bの非晶部複屈折率、SHD(A)、SH
D(B)は該糸A、糸Bの乾熱160℃に於ける乾熱収
縮率(%)をそれぞれ示すものである。
【0008】本発明の織物に使用するポリエステルマル
チフィラメント供給原糸の組成については芳香族ジカル
ボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たる
グリコール成分とするポリエチレンテレフタレートをそ
の主たる対象とするものであるが、前記テレフタル酸の
一部を例えばイソフタル酸や5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如きジカルボン酸
やヘキサヒドロテレフタル酸の如き脂環族ジカルボン
酸、又はアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,
10−デカンジカルボン酸、1,18−オクタジカルボ
ン酸の如き脂肪族ジカルボン酸で、またエチレングリコ
ールの一部をトリメチレングリコールやテトラメチレン
グリコールの如き他のグリコール成分で置換したポリエ
ステルであってもよい。マルチフィラメント糸Aとマル
チフィラメント糸Bの組合せは上記に示したポリエステ
ルの組合せによるものであり、両者異種ポリマーの組合
せ、両者同種ポリマーの組合せの何れであってもよく、
用途に応じ適宜選択することができる。また上記ポリマ
ー内に必要に応じて任意の添加剤、例えば着色防止剤、
耐熱材、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤等々が含
有されていてもよい。
チフィラメント供給原糸の組成については芳香族ジカル
ボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たる
グリコール成分とするポリエチレンテレフタレートをそ
の主たる対象とするものであるが、前記テレフタル酸の
一部を例えばイソフタル酸や5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如きジカルボン酸
やヘキサヒドロテレフタル酸の如き脂環族ジカルボン
酸、又はアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,
10−デカンジカルボン酸、1,18−オクタジカルボ
ン酸の如き脂肪族ジカルボン酸で、またエチレングリコ
ールの一部をトリメチレングリコールやテトラメチレン
グリコールの如き他のグリコール成分で置換したポリエ
ステルであってもよい。マルチフィラメント糸Aとマル
チフィラメント糸Bの組合せは上記に示したポリエステ
ルの組合せによるものであり、両者異種ポリマーの組合
せ、両者同種ポリマーの組合せの何れであってもよく、
用途に応じ適宜選択することができる。また上記ポリマ
ー内に必要に応じて任意の添加剤、例えば着色防止剤、
耐熱材、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤等々が含
有されていてもよい。
【0009】本発明の織物に使用するポリエステルマル
チフィラメント複合糸条は前記マルチフィラメント糸A
とマルチフィラメント糸Bを複合し交絡度20〜100
ケ/mで交絡させたものである。この交絡度が20ケ/
m未満となれば撚糸の際にフィラメント割れによる糸切
れを起こし易く、撚糸操業性を考慮すると好ましくな
い。また交絡度が100ケ/mを超過すると糸条の取扱
性は良好なものとなるが交絡部分が多すぎるため、結果
として該複合糸条が締まってしまい、織物のバルキー
感、ソフト感が不足してしまう。この交絡度が20〜1
00ケ/m、好ましくは30〜70ケ/mとすると取扱
性良好で且つ織物のバルキー感、ソフト感を損なうこと
なく、本発明の目的であるソフト感、ドライ感を共に満
足するポリエステル織物を得ることが出来るのである。
該ポリエステルマルチフィラメント複合糸条を複合する
には絡合手段が常温高圧空気流である、公知のインター
レースノズルを使用することが出来る。ポリエステルマ
ルチフィラメント複合糸条を得る際には常温高圧空気流
圧力、加工速度や糸条張力、糸条供給比、コンプレッサ
ー容量等々の組合せを適正化する必要があり、織物の風
合いや各工程の操業性を考慮し適宜選定することが望ま
しい。
チフィラメント複合糸条は前記マルチフィラメント糸A
とマルチフィラメント糸Bを複合し交絡度20〜100
ケ/mで交絡させたものである。この交絡度が20ケ/
m未満となれば撚糸の際にフィラメント割れによる糸切
れを起こし易く、撚糸操業性を考慮すると好ましくな
い。また交絡度が100ケ/mを超過すると糸条の取扱
性は良好なものとなるが交絡部分が多すぎるため、結果
として該複合糸条が締まってしまい、織物のバルキー
感、ソフト感が不足してしまう。この交絡度が20〜1
00ケ/m、好ましくは30〜70ケ/mとすると取扱
性良好で且つ織物のバルキー感、ソフト感を損なうこと
なく、本発明の目的であるソフト感、ドライ感を共に満
足するポリエステル織物を得ることが出来るのである。
該ポリエステルマルチフィラメント複合糸条を複合する
には絡合手段が常温高圧空気流である、公知のインター
レースノズルを使用することが出来る。ポリエステルマ
ルチフィラメント複合糸条を得る際には常温高圧空気流
圧力、加工速度や糸条張力、糸条供給比、コンプレッサ
ー容量等々の組合せを適正化する必要があり、織物の風
合いや各工程の操業性を考慮し適宜選定することが望ま
しい。
【0010】前記ポリエステルマルチフィラメント複合
糸条は撚糸された後、織物の経糸及び/又は緯糸として
使用されるが、撚止めセット及び/又は糊付け、乾燥に
於いて該ポリエステルマルチフィラメント複合糸条にか
かる温度は85℃以下とすることが必要である。更に詳
しくには撚止めセットをセット温度65〜80℃、処理
時間25〜40分の条件範囲で、経糸糊付けを糊付温度
25〜50℃、乾燥温度50〜80℃、チャンバー内の
糸条ドラフト3g/d の条件範囲で各々処理を施すことが
必要である。
糸条は撚糸された後、織物の経糸及び/又は緯糸として
使用されるが、撚止めセット及び/又は糊付け、乾燥に
於いて該ポリエステルマルチフィラメント複合糸条にか
かる温度は85℃以下とすることが必要である。更に詳
しくには撚止めセットをセット温度65〜80℃、処理
時間25〜40分の条件範囲で、経糸糊付けを糊付温度
25〜50℃、乾燥温度50〜80℃、チャンバー内の
糸条ドラフト3g/d の条件範囲で各々処理を施すことが
必要である。
【0011】該処理温度が85℃を超過すると、ポリエ
ステルマルチフィラメント複合糸条を構成するマルチフ
ィラメント糸Aが自己伸長してしまう為に、該糸条側面
にループや弛み部を形成し、整経工程に於ける糸切れの
誘発、製織工程に於ける開口不良及び経糸切れの誘発等
が予想され好ましくない。撚止めセットに於いてはセッ
ト温度は65〜80℃がよい。該セット温度が65℃未
満となればポリエチレンテレフタレートを主成分とする
マルチフィラメント糸のガラス転移点以下となってしま
い、完全な撚固定は出来ず、撚糸トルクが残留してしま
い整経や製織工程等の工程通過性に支障を来してしま
う。また充分な撚固定を行うには処理温度を25〜40
分とすることが必要で、25分未満であれば撚固定は不
充分で撚糸トルクが残留してしまう。また該処理温度が
40分を超過すると、撚固定は充分になされているが糸
条は熱量を過度に受けており、自己伸長による織物のふ
くらみ効果が低減していまい、満足なバルキー感、ソフ
ト感が得られない。該撚止めセットにはバキュームヒー
トセッターやライドンボックス等が使用できるが、生産
性を考慮するとバキュームヒートセッターの使用がより
好ましい。
ステルマルチフィラメント複合糸条を構成するマルチフ
ィラメント糸Aが自己伸長してしまう為に、該糸条側面
にループや弛み部を形成し、整経工程に於ける糸切れの
誘発、製織工程に於ける開口不良及び経糸切れの誘発等
が予想され好ましくない。撚止めセットに於いてはセッ
ト温度は65〜80℃がよい。該セット温度が65℃未
満となればポリエチレンテレフタレートを主成分とする
マルチフィラメント糸のガラス転移点以下となってしま
い、完全な撚固定は出来ず、撚糸トルクが残留してしま
い整経や製織工程等の工程通過性に支障を来してしま
う。また充分な撚固定を行うには処理温度を25〜40
分とすることが必要で、25分未満であれば撚固定は不
充分で撚糸トルクが残留してしまう。また該処理温度が
40分を超過すると、撚固定は充分になされているが糸
条は熱量を過度に受けており、自己伸長による織物のふ
くらみ効果が低減していまい、満足なバルキー感、ソフ
ト感が得られない。該撚止めセットにはバキュームヒー
トセッターやライドンボックス等が使用できるが、生産
性を考慮するとバキュームヒートセッターの使用がより
好ましい。
【0012】経糸糊付けの場合には糊付温度25〜50
℃、乾燥温度50〜80℃、チャンバー内の条ドラフ
ト)1〜)3g/d の条件範囲で処理を施すことが必要で
ある。糊付けの理由は該ポリエステルマルチフィラメン
ト複合糸条の抱合性を増加させ整経工程や製織工程の工
程通過性、操業性を向上させることにあるから、糊材の
選定については充分考慮することが必要となる。糊材に
関してはポリエステル用としてPVA系糊材やアクリル
系糊材を使用することが出来るがポリエステルではPV
A系糊材のみでは接着性に乏しいため、アクリル系糊材
を適当量混合させた糊材とすることが好ましい。糊付け
に於ける糊材の粘度については糊材がマルチフィラメン
トを構成する単糸間に充分浸透する程度の粘度であるこ
とが必要で、PVA糊材やアクリル系糊材等ポリエステ
ルに使用される糊材では糊材温度、即ち糊付温度が25
〜50℃の範囲で適宜調整することが必要である。該糊
付温度が25℃未満であれば前記糊材の粘度が大きくな
り過ぎ、単糸間にうまく浸透しきれず、いわゆる天麩羅
糊状態となってしまい製織時の落糊の程度が著しく製織
困難を引き起こしてしまう。また糊付温度が50℃を超
過する範囲となれば糊材の粘度が小さくなり過ぎ、最終
的に糊材付着量が不足してしまい、充分な抱合力を得る
ことが出来ない。
℃、乾燥温度50〜80℃、チャンバー内の条ドラフ
ト)1〜)3g/d の条件範囲で処理を施すことが必要で
ある。糊付けの理由は該ポリエステルマルチフィラメン
ト複合糸条の抱合性を増加させ整経工程や製織工程の工
程通過性、操業性を向上させることにあるから、糊材の
選定については充分考慮することが必要となる。糊材に
関してはポリエステル用としてPVA系糊材やアクリル
系糊材を使用することが出来るがポリエステルではPV
A系糊材のみでは接着性に乏しいため、アクリル系糊材
を適当量混合させた糊材とすることが好ましい。糊付け
に於ける糊材の粘度については糊材がマルチフィラメン
トを構成する単糸間に充分浸透する程度の粘度であるこ
とが必要で、PVA糊材やアクリル系糊材等ポリエステ
ルに使用される糊材では糊材温度、即ち糊付温度が25
〜50℃の範囲で適宜調整することが必要である。該糊
付温度が25℃未満であれば前記糊材の粘度が大きくな
り過ぎ、単糸間にうまく浸透しきれず、いわゆる天麩羅
糊状態となってしまい製織時の落糊の程度が著しく製織
困難を引き起こしてしまう。また糊付温度が50℃を超
過する範囲となれば糊材の粘度が小さくなり過ぎ、最終
的に糊材付着量が不足してしまい、充分な抱合力を得る
ことが出来ない。
【0013】糊付け後の糸条乾燥温度、即ちチャンバー
内の雰囲気温度は50〜80℃である必要がある。該雰
囲気温度に関しては温度が高いほど糊材の乾燥が促進さ
れるが逆に糸条が過度に加熱されると織物にした際のバ
ルキー感、ソフト感を損なう恐れがあるため、よりマイ
ルドな条件で乾燥を行うことが必要なのである。該乾燥
温度が50℃未満であれば、織物にした際のバルキー
感、ソフト感は充分なものとなり得るが、逆に加工速度
が遅くなり生産性を考慮すると適当な条件とは言えな
い。また乾燥温度が80℃を超過すると該ポリエステル
マルチフィラメント複合糸条を構成するマルチフィラメ
ントAが自己伸長を示し始める為に該複合糸条側面にル
ープや弛みを形成してしまうばかりか、織物のバルキー
感やソフト感も不足したものとなってしまい、従来の異
収縮混繊糸使いの織物と何ら変わらないものとなってし
まうため、好ましくない。
内の雰囲気温度は50〜80℃である必要がある。該雰
囲気温度に関しては温度が高いほど糊材の乾燥が促進さ
れるが逆に糸条が過度に加熱されると織物にした際のバ
ルキー感、ソフト感を損なう恐れがあるため、よりマイ
ルドな条件で乾燥を行うことが必要なのである。該乾燥
温度が50℃未満であれば、織物にした際のバルキー
感、ソフト感は充分なものとなり得るが、逆に加工速度
が遅くなり生産性を考慮すると適当な条件とは言えな
い。また乾燥温度が80℃を超過すると該ポリエステル
マルチフィラメント複合糸条を構成するマルチフィラメ
ントAが自己伸長を示し始める為に該複合糸条側面にル
ープや弛みを形成してしまうばかりか、織物のバルキー
感やソフト感も不足したものとなってしまい、従来の異
収縮混繊糸使いの織物と何ら変わらないものとなってし
まうため、好ましくない。
【0014】糊付け時のチャンバー内の糸条ドラフトは
0.1〜0.3g/d とすることが必要である。該糊付け
にはワープサイザーや一本糊付機等一般に使用されてい
るサイジングマシンを使用することができるが、チャン
バー内の糸条ドラフトが0.3g/d を超過する範囲、即
ち過度の緊張状態にて糸条を乾燥させると該ポリエステ
ルマルチフィラント複合糸条を構成するマルチフィラメ
ントAの微視的な分子配向が変化してしまう結果、自己
伸長の程度が軽減してしまい織物のバルキー感、ソフト
感が充分なものとはならない。また該糸条ドラフトが
0.1g/d 未満となればチャンバー内で糸条は極軽度の
張力付与に留まっており、弛んだ状態になり易く、ワー
プサイザーなら隣の糸条と接着してしまったり、一本糊
付機であれば過度の弛みによる糸切れ等を誘発してしま
い好ましい条件とは言い難いのである。
0.1〜0.3g/d とすることが必要である。該糊付け
にはワープサイザーや一本糊付機等一般に使用されてい
るサイジングマシンを使用することができるが、チャン
バー内の糸条ドラフトが0.3g/d を超過する範囲、即
ち過度の緊張状態にて糸条を乾燥させると該ポリエステ
ルマルチフィラント複合糸条を構成するマルチフィラメ
ントAの微視的な分子配向が変化してしまう結果、自己
伸長の程度が軽減してしまい織物のバルキー感、ソフト
感が充分なものとはならない。また該糸条ドラフトが
0.1g/d 未満となればチャンバー内で糸条は極軽度の
張力付与に留まっており、弛んだ状態になり易く、ワー
プサイザーなら隣の糸条と接着してしまったり、一本糊
付機であれば過度の弛みによる糸切れ等を誘発してしま
い好ましい条件とは言い難いのである。
【0015】また本発明のポリエステル織物の製造方法
としては前記マルチフィラメントAとマルチフィラメン
トBを複合したポリエステルマルチフィラメント複合糸
条を撚糸した後、織物の経糸及び/又は緯糸として製織
するものである。該複合糸条に挿入する撚数は下記式を
満足する範囲とすることが必要である。 3000/D1/2 ≦Tw ≦27000/D1/2 ここでDはポリエステルマルチフィラメント複合糸条の
総デニール(Den.)を、Tw は該複合糸条に挿入する撚数
(T/m) を示すものである。撚糸の際にはダブルツイスタ
ー、イタリ式ツイスター、アップツイスター、リングツ
イスター等々が使用出来るが生産性を考慮するとダブル
ツイスターの使用が好ましい。撚数が3000/D1/2
未満となれば加撚の効果が少な過ぎ、フィラメント割れ
を起こし易く、且つ織物がペーパーライクなものとなっ
てしまい、適度な嵩高感を得られない。また撚数が27
000/D1/2 を超過すると、該マルチフィラメント複
合糸条のフィラメント割れの問題は皆無となるが、織物
の風合いが硬くなり過ぎ、ソフトタッチを得ることが出
来なくなる。この為に撚数は前記の如く3000/D
1/2 ≦Tw ≦27000/D1/2 の範囲でその目的、用
途、得られる風合い等々に応じて適宜選択することが必
要である。例えば織物のソフト感を向上させたい場合に
は3000/D1/2 〜7000/D1/2 程度の甘撚糸と
して使用すればよいし、ドライ感を向上させたい場合に
は10000/D1/2 〜27000/D1/2 程度の強撚
糸として使用すればよい。
としては前記マルチフィラメントAとマルチフィラメン
トBを複合したポリエステルマルチフィラメント複合糸
条を撚糸した後、織物の経糸及び/又は緯糸として製織
するものである。該複合糸条に挿入する撚数は下記式を
満足する範囲とすることが必要である。 3000/D1/2 ≦Tw ≦27000/D1/2 ここでDはポリエステルマルチフィラメント複合糸条の
総デニール(Den.)を、Tw は該複合糸条に挿入する撚数
(T/m) を示すものである。撚糸の際にはダブルツイスタ
ー、イタリ式ツイスター、アップツイスター、リングツ
イスター等々が使用出来るが生産性を考慮するとダブル
ツイスターの使用が好ましい。撚数が3000/D1/2
未満となれば加撚の効果が少な過ぎ、フィラメント割れ
を起こし易く、且つ織物がペーパーライクなものとなっ
てしまい、適度な嵩高感を得られない。また撚数が27
000/D1/2 を超過すると、該マルチフィラメント複
合糸条のフィラメント割れの問題は皆無となるが、織物
の風合いが硬くなり過ぎ、ソフトタッチを得ることが出
来なくなる。この為に撚数は前記の如く3000/D
1/2 ≦Tw ≦27000/D1/2 の範囲でその目的、用
途、得られる風合い等々に応じて適宜選択することが必
要である。例えば織物のソフト感を向上させたい場合に
は3000/D1/2 〜7000/D1/2 程度の甘撚糸と
して使用すればよいし、ドライ感を向上させたい場合に
は10000/D1/2 〜27000/D1/2 程度の強撚
糸として使用すればよい。
【0016】本発明のポリエステル織物の製造方法とし
ては下記式を満足するマルチフィラメント糸Aとマルチ
フィラメント糸Bを複合させたポリエステルマルチフィ
ラメント複合糸条を撚糸し、湿熱撚固定或いは糊材によ
る撚固定を行った後、織物の経糸及び/又は緯糸として
製織することが必要である。 30≦Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕≦75 10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕<30 0.005<Δna(A)<0.05 0.10<Δna(B)<0.17 SHD(A)<0% SHD(B)>0% ここで、Χρ(A)、Χρ(B)はポリエステルマルチ
フィラメント糸A、Bそれぞれの密度勾配管法より求め
た結晶化度(%)でありΔn(A)、Δn(B)は該糸
A、糸Bの平均複屈折率、Δna(A)、Δna(B)
は該糸A、糸Bの非晶部複屈折率、SHD(A)、SH
D(B)は該糸A、糸Bの乾熱160℃に於ける乾熱収
縮率(%)を示すものである。
ては下記式を満足するマルチフィラメント糸Aとマルチ
フィラメント糸Bを複合させたポリエステルマルチフィ
ラメント複合糸条を撚糸し、湿熱撚固定或いは糊材によ
る撚固定を行った後、織物の経糸及び/又は緯糸として
製織することが必要である。 30≦Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕≦75 10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕<30 0.005<Δna(A)<0.05 0.10<Δna(B)<0.17 SHD(A)<0% SHD(B)>0% ここで、Χρ(A)、Χρ(B)はポリエステルマルチ
フィラメント糸A、Bそれぞれの密度勾配管法より求め
た結晶化度(%)でありΔn(A)、Δn(B)は該糸
A、糸Bの平均複屈折率、Δna(A)、Δna(B)
は該糸A、糸Bの非晶部複屈折率、SHD(A)、SH
D(B)は該糸A、糸Bの乾熱160℃に於ける乾熱収
縮率(%)を示すものである。
【0017】本発明のポリエステル織物の製造方法によ
るポリエステルマルチフィラメント糸は公知の方法にて
溶融紡糸されたマルチフィラメント糸条が使用される
が、特にマルチフィラメントAには紡糸捲取速度が22
00〜4000m/min.で紡糸された部分配向糸、いわゆ
るPOYを供給原糸として使用し、非接触式加熱装置或
いは接触式加熱装置を用い弛緩熱処理することによって
該糸条に自己伸長能を付与することが出来るが、該自己
伸長能の付与は前記方法に限定されるものではない。ま
たマルチフィラメント糸Bは前記POYを延伸機を用い
て延伸した延伸糸やスピンドロー方式による紡糸直接延
伸糸等々が使用出来る。
るポリエステルマルチフィラメント糸は公知の方法にて
溶融紡糸されたマルチフィラメント糸条が使用される
が、特にマルチフィラメントAには紡糸捲取速度が22
00〜4000m/min.で紡糸された部分配向糸、いわゆ
るPOYを供給原糸として使用し、非接触式加熱装置或
いは接触式加熱装置を用い弛緩熱処理することによって
該糸条に自己伸長能を付与することが出来るが、該自己
伸長能の付与は前記方法に限定されるものではない。ま
たマルチフィラメント糸Bは前記POYを延伸機を用い
て延伸した延伸糸やスピンドロー方式による紡糸直接延
伸糸等々が使用出来る。
【0018】該マルチフィラメント糸Aの結晶化度と平
均複屈折率は前記の如く、30≦Χρ(A)/〔Δn
(A)×10〕≦75の範囲を満たしていなければなら
ない。Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕が30未満と
なれば該マルチフィラメント糸Aの平均複屈折率が自己
伸長性を与えるには大き過ぎ、染色加工工程に於ける湿
熱処理によって逆に収縮してしまい、織物にソフト感、
バルキー感を与えることが出来なくなる。またΧρ
(A)/〔Δn(A)×10〕が75を超過すると、該
マルチフィラメント糸Aの平均複屈折率が小さくなり過
ぎ、これも染色加工工程に於ける湿熱処理によって収縮
し、織物にソフト感、バルキー感を付与することが出来
ない。繊維の自己伸長は染色加工工程の高温湿熱処理等
によって、繊維軸方向への結晶成長が促進され、結果と
して糸条は伸長するものと推測されている。このため前
記の結晶化度、平均複屈折率は非常に重要なファクター
となる。結晶化度Χρ(A)、平均複屈折率Δn(A)
の各値については特に規定するものではないがΧρ
(A)は15%以下、平均複屈折率Δn(A)は0.0
2〜0.08、より好ましくは0.02〜0.05の範
囲である。
均複屈折率は前記の如く、30≦Χρ(A)/〔Δn
(A)×10〕≦75の範囲を満たしていなければなら
ない。Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕が30未満と
なれば該マルチフィラメント糸Aの平均複屈折率が自己
伸長性を与えるには大き過ぎ、染色加工工程に於ける湿
熱処理によって逆に収縮してしまい、織物にソフト感、
バルキー感を与えることが出来なくなる。またΧρ
(A)/〔Δn(A)×10〕が75を超過すると、該
マルチフィラメント糸Aの平均複屈折率が小さくなり過
ぎ、これも染色加工工程に於ける湿熱処理によって収縮
し、織物にソフト感、バルキー感を付与することが出来
ない。繊維の自己伸長は染色加工工程の高温湿熱処理等
によって、繊維軸方向への結晶成長が促進され、結果と
して糸条は伸長するものと推測されている。このため前
記の結晶化度、平均複屈折率は非常に重要なファクター
となる。結晶化度Χρ(A)、平均複屈折率Δn(A)
の各値については特に規定するものではないがΧρ
(A)は15%以下、平均複屈折率Δn(A)は0.0
2〜0.08、より好ましくは0.02〜0.05の範
囲である。
【0019】またマルチフィラメント糸Bの結晶化度と
平均複屈折率の値は前記の如く、10≦Χρ(B)/
〔Δn(B)×10〕<30の範囲を満たすことが必要
である。該マルチフィラメント糸Bは染色加工工程に於
ける高温熱処理にて収縮糸として作用しなければなら
ず、該マルチフィラメント糸Bまでもが自己伸長性を示
すと織物は大変ソフトでバルキー性に富んだものに仕上
がるが、はり腰感、特に織物の腰感が不足し、安っぽい
品位のものとなってしまうため前記の如く結晶化度、平
均複屈折率は10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕
<30の範囲を満たすものとすることが必要がある。Χ
ρ(B)/〔Δn(B)×10〕が10未満では平均複
屈折率が大き過ぎ、高配向度、高弾性の糸条となり、産
業資材分野には適しているが、一般衣料用途として用い
る場合、織物の曲げ剛性が大きくなる為にドレープ性に
乏しくなり、織物品位を考慮すると好ましいとは言い難
い。またΧρ(B)/〔Δn(B)×10〕が30以上
となるとマルチフィラメントBの結晶化度が大き過ぎる
ため、染色加工した際の染料吸尽量が小さくなり、マル
チフィラメント糸Aとの染着差が生じ、外観品位を損ね
てしまう恐れがある。結晶化度、平均複屈折率の組合せ
は前記範囲を満たすものであればよく、特に限定を加え
るものではないが、Χρ(B)は20%以上、Δn
(B)は0.12〜0.20の範囲であることが好まし
い。
平均複屈折率の値は前記の如く、10≦Χρ(B)/
〔Δn(B)×10〕<30の範囲を満たすことが必要
である。該マルチフィラメント糸Bは染色加工工程に於
ける高温熱処理にて収縮糸として作用しなければなら
ず、該マルチフィラメント糸Bまでもが自己伸長性を示
すと織物は大変ソフトでバルキー性に富んだものに仕上
がるが、はり腰感、特に織物の腰感が不足し、安っぽい
品位のものとなってしまうため前記の如く結晶化度、平
均複屈折率は10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕
<30の範囲を満たすものとすることが必要がある。Χ
ρ(B)/〔Δn(B)×10〕が10未満では平均複
屈折率が大き過ぎ、高配向度、高弾性の糸条となり、産
業資材分野には適しているが、一般衣料用途として用い
る場合、織物の曲げ剛性が大きくなる為にドレープ性に
乏しくなり、織物品位を考慮すると好ましいとは言い難
い。またΧρ(B)/〔Δn(B)×10〕が30以上
となるとマルチフィラメントBの結晶化度が大き過ぎる
ため、染色加工した際の染料吸尽量が小さくなり、マル
チフィラメント糸Aとの染着差が生じ、外観品位を損ね
てしまう恐れがある。結晶化度、平均複屈折率の組合せ
は前記範囲を満たすものであればよく、特に限定を加え
るものではないが、Χρ(B)は20%以上、Δn
(B)は0.12〜0.20の範囲であることが好まし
い。
【0020】マルチフィラメント糸A、Bの非晶部複屈
折率Δna(A)、Δna(B)は以下の式にて算出さ
れるものである。 Δna=(Δn−0.0022×Χρ)/(1−0.0
1×Χρ) ここでΔnは平均複屈折率、Χρは結晶化度(%)であ
る。マルチフィラメント糸Aの非晶部複屈折率Δna
(A)は0.005<Δna(A)<0.05であり、
Δn(A)の数値を越えることのない範囲である。該Δ
na(A)が0.005より著しく小さい値をとれば、
該マルチフィラメントAは自己伸長を示さず結果として
収縮してしまう。これは非晶部を構成する分子鎖は繊維
軸方向に配列しておらず、全くランダムなものとなって
いると思われ、あくまでも推論の域を脱するものではな
いが繊維の自己伸長は繊維軸方向、即ち結晶c軸方向に
結晶成長することによると考えられ、このことを考慮す
ると結晶部に取り込まれるべき非晶部の分子配向があま
りにも乱れてしまっているがために、結晶部に取り込む
ことができず結果として、糸糸条は自己伸長を示さない
ものになってしまうと考えられる。またΔna(A)が
0.05以上となると実質的に平均複屈折率Δn(A)
が大きくなり過ぎ、染色工程の高温湿熱処理にて自己伸
長性を示さなくなってしまう。
折率Δna(A)、Δna(B)は以下の式にて算出さ
れるものである。 Δna=(Δn−0.0022×Χρ)/(1−0.0
1×Χρ) ここでΔnは平均複屈折率、Χρは結晶化度(%)であ
る。マルチフィラメント糸Aの非晶部複屈折率Δna
(A)は0.005<Δna(A)<0.05であり、
Δn(A)の数値を越えることのない範囲である。該Δ
na(A)が0.005より著しく小さい値をとれば、
該マルチフィラメントAは自己伸長を示さず結果として
収縮してしまう。これは非晶部を構成する分子鎖は繊維
軸方向に配列しておらず、全くランダムなものとなって
いると思われ、あくまでも推論の域を脱するものではな
いが繊維の自己伸長は繊維軸方向、即ち結晶c軸方向に
結晶成長することによると考えられ、このことを考慮す
ると結晶部に取り込まれるべき非晶部の分子配向があま
りにも乱れてしまっているがために、結晶部に取り込む
ことができず結果として、糸糸条は自己伸長を示さない
ものになってしまうと考えられる。またΔna(A)が
0.05以上となると実質的に平均複屈折率Δn(A)
が大きくなり過ぎ、染色工程の高温湿熱処理にて自己伸
長性を示さなくなってしまう。
【0021】またマルチフィラメント糸Bの非晶部複屈
折率Δna(B)は)10<Δna(B)<0.17の
範囲を満たすものである必要がある。該非晶部複屈折率
Δna(B)が0.10より小さい値をとれば、平均複
屈折率Δn(B)がかなり小さい値となってしまい、分
子配向の程度が小さく染色加工工程の高温湿熱処理にて
糸条がへたってしまい織物に充分なはり、腰を与えるこ
とが出来なくなってしまう。また非晶部複屈折率Δna
(B)が)17を超過すると非晶部を構成する分子鎖ま
でもが繊維軸方向に充分に配向しており、染色加工では
充分に収縮しきれず、織物のメヨレ、スリップ等の発生
が予想され、好ましい条件とは言い難い。
折率Δna(B)は)10<Δna(B)<0.17の
範囲を満たすものである必要がある。該非晶部複屈折率
Δna(B)が0.10より小さい値をとれば、平均複
屈折率Δn(B)がかなり小さい値となってしまい、分
子配向の程度が小さく染色加工工程の高温湿熱処理にて
糸条がへたってしまい織物に充分なはり、腰を与えるこ
とが出来なくなってしまう。また非晶部複屈折率Δna
(B)が)17を超過すると非晶部を構成する分子鎖ま
でもが繊維軸方向に充分に配向しており、染色加工では
充分に収縮しきれず、織物のメヨレ、スリップ等の発生
が予想され、好ましい条件とは言い難い。
【0022】マルチフィラメント糸A、マルチフィラメ
ント糸Bの各々の乾熱160℃に於ける乾熱収縮率SH
D(%)はそれぞれSHD(A)<0%、SHD(B)
>0%を満たすことが必要である。特に該マルチフィラ
メント糸Bについては、好ましくは10%以上、より好
ましくは16%以上がよい。SHD(B)が0%未満と
なれば乾熱160℃処理にてマルチフィラメント糸B側
も自己伸長を示すことになり、ふかつき感がある仮撚加
工糸織物の如き安っぽい風合いとなってしまい本発明の
意図する適度なソフト感、ドライ感は付与できない。ま
たマルチフィラメント糸Aが0%以上の範囲となると、
乾熱160℃処理にて該マルチフィラメント糸Aが収縮
してしまうことになり織物に適度なソフト感、バルキー
性を付与することが出来なくなり好ましくない。
ント糸Bの各々の乾熱160℃に於ける乾熱収縮率SH
D(%)はそれぞれSHD(A)<0%、SHD(B)
>0%を満たすことが必要である。特に該マルチフィラ
メント糸Bについては、好ましくは10%以上、より好
ましくは16%以上がよい。SHD(B)が0%未満と
なれば乾熱160℃処理にてマルチフィラメント糸B側
も自己伸長を示すことになり、ふかつき感がある仮撚加
工糸織物の如き安っぽい風合いとなってしまい本発明の
意図する適度なソフト感、ドライ感は付与できない。ま
たマルチフィラメント糸Aが0%以上の範囲となると、
乾熱160℃処理にて該マルチフィラメント糸Aが収縮
してしまうことになり織物に適度なソフト感、バルキー
性を付与することが出来なくなり好ましくない。
【0023】またマルチフィラメント糸Aの沸水収縮率
SHW(A)は3%以下であることが好ましい。下限値
としては−1%迄に留めておくことが望ましい。この沸
水収縮率が3%を超過すると撚糸後の湿熱撚固定やサイ
ジング処理にてマルチフィラメント糸Aの収縮の程度が
大きくなり過ぎ、染色加工工程に於ける高温湿熱処理に
よって生じる自己伸長が実質的に相殺されてしまい、織
物に充分なソフト感、バルキー感を付与出来なくなって
しまい好ましくない。また−1%を超過するとマルチフ
ィラメントAは該撚糸後の湿熱撚固定やサイジング処理
によって自己伸長してしまう為にマルチフィラメント複
合糸条側面にループや弛み部を形成してしまい、製経工
程や製織工程通過性に支障を来してしまう恐れがあるば
かりか、織物に加工した際のソフト感、バルキー感も不
足してしまう為、好ましくない。
SHW(A)は3%以下であることが好ましい。下限値
としては−1%迄に留めておくことが望ましい。この沸
水収縮率が3%を超過すると撚糸後の湿熱撚固定やサイ
ジング処理にてマルチフィラメント糸Aの収縮の程度が
大きくなり過ぎ、染色加工工程に於ける高温湿熱処理に
よって生じる自己伸長が実質的に相殺されてしまい、織
物に充分なソフト感、バルキー感を付与出来なくなって
しまい好ましくない。また−1%を超過するとマルチフ
ィラメントAは該撚糸後の湿熱撚固定やサイジング処理
によって自己伸長してしまう為にマルチフィラメント複
合糸条側面にループや弛み部を形成してしまい、製経工
程や製織工程通過性に支障を来してしまう恐れがあるば
かりか、織物に加工した際のソフト感、バルキー感も不
足してしまう為、好ましくない。
【0024】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメト糸A、マルチフィ
ラメント糸Bの単糸デニールについてはdpf(A)≦
1.0den.、0.1≦dpf(A)/dpf(B)≦
0.5の双方を満足することが望ましい。dpf(A)
が1.0den.を超過する範囲となれば織物のソフト感が
軽減してしまい、良好なソフト感を得ることが出来なく
なる傾向にある。該dpf(A)の下限値については特
に限定されるものではないが、紡糸操業性や染色した際
の白茶け等の問題を考慮し0.3den.迄に留めておくこ
とが望ましい。該マルチフィラメント糸Aとマルチフィ
ラメント糸Bの単糸デニールの割合dpf(A)/dp
f(B)が0.1未満となれば、マルチフィラメント糸
Aの単糸と比較し、マルチフィラメント糸Bの単糸が大
きくなり過ぎてしまい織物のはり、腰感は向上するもの
のドレープ性に欠如し、品位を考慮すると適正な領域で
あるとは言い難い。またdpf(A)/dpf(B)が
0.5を超過すると、単糸デニールの割合としてはマル
チフィラメント糸Aの単糸デニールと比較しマルチフィ
ラメント糸Bのそれが小さくなり過ぎ、織物に適度なは
り、腰感を与えることが困難となる。
複合糸条を構成するマルチフィラメト糸A、マルチフィ
ラメント糸Bの単糸デニールについてはdpf(A)≦
1.0den.、0.1≦dpf(A)/dpf(B)≦
0.5の双方を満足することが望ましい。dpf(A)
が1.0den.を超過する範囲となれば織物のソフト感が
軽減してしまい、良好なソフト感を得ることが出来なく
なる傾向にある。該dpf(A)の下限値については特
に限定されるものではないが、紡糸操業性や染色した際
の白茶け等の問題を考慮し0.3den.迄に留めておくこ
とが望ましい。該マルチフィラメント糸Aとマルチフィ
ラメント糸Bの単糸デニールの割合dpf(A)/dp
f(B)が0.1未満となれば、マルチフィラメント糸
Aの単糸と比較し、マルチフィラメント糸Bの単糸が大
きくなり過ぎてしまい織物のはり、腰感は向上するもの
のドレープ性に欠如し、品位を考慮すると適正な領域で
あるとは言い難い。またdpf(A)/dpf(B)が
0.5を超過すると、単糸デニールの割合としてはマル
チフィラメント糸Aの単糸デニールと比較しマルチフィ
ラメント糸Bのそれが小さくなり過ぎ、織物に適度なは
り、腰感を与えることが困難となる。
【0025】一般的に単糸デニールについてはデニール
が小さくなるほど織物のソフト感は向上するが、染色し
た場合の白茶けが強調され易くなり品位面で問題が生じ
る。本発明の織物の製造方法ではマルチフィラメント糸
Aの効果によって従来のファインデニールフィラメント
の欠点であった染色性の白茶け現象が抑制されて濃色効
果が得られる他、該ファインデニールフィラメントより
単糸デニールが大きいにも係わらず、それ同等のソフト
感を得ることが出来る。本発明の製造方法による織物は
ドレス、ジャケット、スカート、ブラウス等の婦人衣料
用途に最適であり、該マルチフィラメント複合糸条の総
デニールは大略30デニール〜300デニールの範囲
で、その目的や用途、風合い等々を考慮し適宜選定する
とよい。
が小さくなるほど織物のソフト感は向上するが、染色し
た場合の白茶けが強調され易くなり品位面で問題が生じ
る。本発明の織物の製造方法ではマルチフィラメント糸
Aの効果によって従来のファインデニールフィラメント
の欠点であった染色性の白茶け現象が抑制されて濃色効
果が得られる他、該ファインデニールフィラメントより
単糸デニールが大きいにも係わらず、それ同等のソフト
感を得ることが出来る。本発明の製造方法による織物は
ドレス、ジャケット、スカート、ブラウス等の婦人衣料
用途に最適であり、該マルチフィラメント複合糸条の総
デニールは大略30デニール〜300デニールの範囲
で、その目的や用途、風合い等々を考慮し適宜選定する
とよい。
【0026】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明のポリエステル
マルチフィラメント織物の製造方法を更に具体的に説明
するが、勿論本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本文中及び実施例中の各種特性値については以下
の測定方法によるものである。 (1)結晶化度Χρ(%) n−ペンタン(比重)683)と四塩化炭素(比重1.
599)とで調整した密度勾配管を使用し、25℃の恒
温水槽内で繊維の密度d(g/cm3 )を測定し、次式
により計算して求めた。 Χρ=〔dk(d−da)〕/〔d(dk−da)〕×
100(%) ここでdk=1.470g/cm3 、da=1.331
g/cm3 である。
マルチフィラメント織物の製造方法を更に具体的に説明
するが、勿論本発明はこれに限定されるものではない。
なお、本文中及び実施例中の各種特性値については以下
の測定方法によるものである。 (1)結晶化度Χρ(%) n−ペンタン(比重)683)と四塩化炭素(比重1.
599)とで調整した密度勾配管を使用し、25℃の恒
温水槽内で繊維の密度d(g/cm3 )を測定し、次式
により計算して求めた。 Χρ=〔dk(d−da)〕/〔d(dk−da)〕×
100(%) ここでdk=1.470g/cm3 、da=1.331
g/cm3 である。
【0027】(2)平均複屈折率Δn(−) ニコン社製偏光顕微鏡POH型及びライツ社製ベレック
コンペンセータを使用し、光源としてスペクトル光源溶
起動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた。(Na光
源)。5〜6mm長の繊維軸に対し45°の角度に切断
した試料を、切断面を上にしてスライドグラス上に載せ
る。試料スライドグラスを回転載物台に載せ、試料が偏
光子に対して45°になるように、該回転載物台を回転
させて調節し、アナライザを挿入し、暗視野とした後、
コンペンセータを30にして縞数を数える(n個)。コ
ンペンセータを右螺子方向に回して試料が最初に一番暗
くなる点に於けるコンペンセータの目盛a、コンペンセ
ータを左螺子方向に回して試料が最初に一番暗くなる点
に於けるコンペンセータの目盛bをそれぞれ1/10目
盛まで測定した後、コンペンセータを30に戻してアナ
ライザを外し、試料の直径dを測定し、下記式に基づき
平均複屈折率Δnを求める。測定回数10回の平均値を
もってその測定値とする。 Δn=Γ/d (Γ;レターデーション=nλ0 +ε) λ0 =589.3mμ ε;ライツ社のコンペンセータの説明書のC/1000
0とiより求める。 i=(a−b) (コンペンセータの読みの差)
コンペンセータを使用し、光源としてスペクトル光源溶
起動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた。(Na光
源)。5〜6mm長の繊維軸に対し45°の角度に切断
した試料を、切断面を上にしてスライドグラス上に載せ
る。試料スライドグラスを回転載物台に載せ、試料が偏
光子に対して45°になるように、該回転載物台を回転
させて調節し、アナライザを挿入し、暗視野とした後、
コンペンセータを30にして縞数を数える(n個)。コ
ンペンセータを右螺子方向に回して試料が最初に一番暗
くなる点に於けるコンペンセータの目盛a、コンペンセ
ータを左螺子方向に回して試料が最初に一番暗くなる点
に於けるコンペンセータの目盛bをそれぞれ1/10目
盛まで測定した後、コンペンセータを30に戻してアナ
ライザを外し、試料の直径dを測定し、下記式に基づき
平均複屈折率Δnを求める。測定回数10回の平均値を
もってその測定値とする。 Δn=Γ/d (Γ;レターデーション=nλ0 +ε) λ0 =589.3mμ ε;ライツ社のコンペンセータの説明書のC/1000
0とiより求める。 i=(a−b) (コンペンセータの読みの差)
【0028】(3)非晶部複屈折率Δna(−) 前記の測定法により求めた平均複屈折率Δn、結晶化度
Χρ(%)を次式に代入して算出する。 Δna=(Δn−0.0022×Χρ)/(1−0.0
1×Χρ)
Χρ(%)を次式に代入して算出する。 Δna=(Δn−0.0022×Χρ)/(1−0.0
1×Χρ)
【0029】(4)乾熱収縮率SHD(%) 試料に1/30g/d の荷重をかけ、その長さL0 (m
m)を測定する。次いでその荷重を取り除き、試料を乾
燥機に入れ雰囲気温度160℃で30分間乾燥する。乾
燥後冷却し、再度試料に1/30g/d の荷重をかけ、そ
の長さL1 (mm)を測定する。これらL0 、L1 を次式に
代入し乾熱収縮率SHDを算出する。なお測定回数5回
の平均値を以てその測定値とする。 SHD=(L0 −L1 )/L0 ×100 (%)
m)を測定する。次いでその荷重を取り除き、試料を乾
燥機に入れ雰囲気温度160℃で30分間乾燥する。乾
燥後冷却し、再度試料に1/30g/d の荷重をかけ、そ
の長さL1 (mm)を測定する。これらL0 、L1 を次式に
代入し乾熱収縮率SHDを算出する。なお測定回数5回
の平均値を以てその測定値とする。 SHD=(L0 −L1 )/L0 ×100 (%)
【0030】(5)沸水収縮率SHW(%) 試料を枠周1.125mの検尺機を用いて、)1g/d の
初荷重をかけ、120回/分の速度で捲き返し、捲数が
20回の小綛を作り、初荷重の40倍の重りを掛けて、
綛長L2 (mm)を測定する。次に重りを外し収縮が妨げら
れないような方法で沸騰水中(98℃)に30分間浸漬
後、取り出して吸取紙或いは綿布等で水を拭き取り、水
平状態で風乾する。再度重りを掛けて綛長L3 (mm)を測
定する。これらL2 、L3 を次式に代入し沸水収縮率S
HWを算出する。なお測定回数5回の平均値を以てその
測定値とする。 SHW=(L2 −L3 )/L2 ×100 (%)
初荷重をかけ、120回/分の速度で捲き返し、捲数が
20回の小綛を作り、初荷重の40倍の重りを掛けて、
綛長L2 (mm)を測定する。次に重りを外し収縮が妨げら
れないような方法で沸騰水中(98℃)に30分間浸漬
後、取り出して吸取紙或いは綿布等で水を拭き取り、水
平状態で風乾する。再度重りを掛けて綛長L3 (mm)を測
定する。これらL2 、L3 を次式に代入し沸水収縮率S
HWを算出する。なお測定回数5回の平均値を以てその
測定値とする。 SHW=(L2 −L3 )/L2 ×100 (%)
【0031】(6)明度L* 染色布を東京電色社製色差計MODEL TC−150
0 MC−88型を使用してL* 値を直読した。L* 値
は明度に対応しており、0(明度が最も低い)〜100
(明度が最も高い)の範囲で示され、この値が小さくな
る程、白茶け感がなく濃色である。
0 MC−88型を使用してL* 値を直読した。L* 値
は明度に対応しており、0(明度が最も低い)〜100
(明度が最も高い)の範囲で示され、この値が小さくな
る程、白茶け感がなく濃色である。
【0032】(実施例1)ポリエステルセミダルレジン
(固有粘度〔η〕=0.633)を用い、通常の溶融紡
糸法で紡糸引取速度が3200m/分の条件にてポリエ
ステルマルチフィラメントセミダル丸断面未延伸糸35
デニール108フィラメントを得た。引き続き該マルチ
フィラメント未延伸糸を非接触式ヒーターにて弛緩率4
5%、滞留時間0.18秒の条件にて弛緩熱処理を行
い、52デニール108フィラメントのマルチフィラメ
ント未延伸糸の弛緩熱処理糸であるマルチフィラメント
糸Aを得た。該マルチフィラメント糸Aの結晶化度Χρ
(A)は14.69%、平均複屈折率Δn(A)は0.
0449、非晶部複屈折率Δna(A)は0.014
7、160℃に於ける乾熱収縮率SHD(A)は−4.
00%で実質的に自己伸長を示し、沸水収縮率SHW
(A)は−0.06%、単糸デニールdpf(A)は
0.46den.であった。
(固有粘度〔η〕=0.633)を用い、通常の溶融紡
糸法で紡糸引取速度が3200m/分の条件にてポリエ
ステルマルチフィラメントセミダル丸断面未延伸糸35
デニール108フィラメントを得た。引き続き該マルチ
フィラメント未延伸糸を非接触式ヒーターにて弛緩率4
5%、滞留時間0.18秒の条件にて弛緩熱処理を行
い、52デニール108フィラメントのマルチフィラメ
ント未延伸糸の弛緩熱処理糸であるマルチフィラメント
糸Aを得た。該マルチフィラメント糸Aの結晶化度Χρ
(A)は14.69%、平均複屈折率Δn(A)は0.
0449、非晶部複屈折率Δna(A)は0.014
7、160℃に於ける乾熱収縮率SHD(A)は−4.
00%で実質的に自己伸長を示し、沸水収縮率SHW
(A)は−0.06%、単糸デニールdpf(A)は
0.46den.であった。
【0033】またマルチフィラメント糸Bとしてポリエ
ステルセミダルレジン(固有粘度〔η〕=0.633)
を用い、通常の溶融紡糸法で紡糸引取速度が3200m
/分の条件にてポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル丸断面未延伸糸150デニール30フィラメントを得
た。引き続き該マルチフィラメント糸を延伸機を使用
し、延伸倍率1.5倍で延伸し、100デニール30フ
ィラメントのポリエステルマルチフィラメント通常延伸
糸であるマルチフィラメント糸Bを得た。該マルチフィ
ラメント糸Bの結晶化度Χρ(B)は24.34%、平
均複屈折率Δn(B)は0.1395、非晶部複屈折率
Δna(B)は0.1134、160℃に於ける乾熱収
縮率SHD(B)は15.4%で実質的に収縮を示し、
単糸デニールdpf(B)は3.33den.であった。
ステルセミダルレジン(固有粘度〔η〕=0.633)
を用い、通常の溶融紡糸法で紡糸引取速度が3200m
/分の条件にてポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル丸断面未延伸糸150デニール30フィラメントを得
た。引き続き該マルチフィラメント糸を延伸機を使用
し、延伸倍率1.5倍で延伸し、100デニール30フ
ィラメントのポリエステルマルチフィラメント通常延伸
糸であるマルチフィラメント糸Bを得た。該マルチフィ
ラメント糸Bの結晶化度Χρ(B)は24.34%、平
均複屈折率Δn(B)は0.1395、非晶部複屈折率
Δna(B)は0.1134、160℃に於ける乾熱収
縮率SHD(B)は15.4%で実質的に収縮を示し、
単糸デニールdpf(B)は3.33den.であった。
【0034】前記のポリエステルマルチフィラメント糸
A、Bをインターレーサーを使用して複合し、152デ
ニール138フィラメントのポリエステルマルチフィラ
メント複合糸条を得た。該マルチフィラメント複合糸条
を村田機械ユ 製ダブルツイスター 310−C型を使用
し、S撚方向に1200T/m の撚りを挿入した後、三共
汽缶工業社製SE−200型バキュームセットヒーター
を使用し、雰囲気温度70℃の条件にて30分間の湿熱
撚固定を行った。該マルチフィラメント複合糸条の撚糸
品を織物の経、緯糸双方に使用し、生機密度が経133
本/in、緯85本/inのサテン組織に製織した。
A、Bをインターレーサーを使用して複合し、152デ
ニール138フィラメントのポリエステルマルチフィラ
メント複合糸条を得た。該マルチフィラメント複合糸条
を村田機械ユ 製ダブルツイスター 310−C型を使用
し、S撚方向に1200T/m の撚りを挿入した後、三共
汽缶工業社製SE−200型バキュームセットヒーター
を使用し、雰囲気温度70℃の条件にて30分間の湿熱
撚固定を行った。該マルチフィラメント複合糸条の撚糸
品を織物の経、緯糸双方に使用し、生機密度が経133
本/in、緯85本/inのサテン組織に製織した。
【0035】該ポリエステル織物に精錬、プレセットを
実施し、引き続き減量率20%のアルカリ減量処理を行
った後、染料としてDianix Black BG-FSを使用し、染料
10%、酢酸1cc/l、ディスパー TL1g/lの染
液を作成し、繊維(織物)と染液を1:50として13
0℃水中で60分間染色した。引き続きハイドロサルフ
ァイト2g、水酸化ナトリウム2g/lの水溶液を調製
し、繊維(織物)と該水溶液の比を1:50として75
℃水中で20分間の還元洗浄を行った後、該染色布を乾
燥し、ファイナルセットとして乾熱160℃の条件で1
分間処理を行った。該染色布の明度L* 値を測定したと
ころ、12.8であり婦人向けブラックフォーマル用途
に好適な、深みのある色調が得られた。また風合いに関
してはフカツキ感のないやさしい感じ、適度なふくら
み、ソフト感、適度なドライ感、加えてはり、腰感も充
分な、婦人用ドレス、ブラウス、ジャケット、スカート
用途に好適な全く新規な風合いのポリエステル織物に仕
上がった。
実施し、引き続き減量率20%のアルカリ減量処理を行
った後、染料としてDianix Black BG-FSを使用し、染料
10%、酢酸1cc/l、ディスパー TL1g/lの染
液を作成し、繊維(織物)と染液を1:50として13
0℃水中で60分間染色した。引き続きハイドロサルフ
ァイト2g、水酸化ナトリウム2g/lの水溶液を調製
し、繊維(織物)と該水溶液の比を1:50として75
℃水中で20分間の還元洗浄を行った後、該染色布を乾
燥し、ファイナルセットとして乾熱160℃の条件で1
分間処理を行った。該染色布の明度L* 値を測定したと
ころ、12.8であり婦人向けブラックフォーマル用途
に好適な、深みのある色調が得られた。また風合いに関
してはフカツキ感のないやさしい感じ、適度なふくら
み、ソフト感、適度なドライ感、加えてはり、腰感も充
分な、婦人用ドレス、ブラウス、ジャケット、スカート
用途に好適な全く新規な風合いのポリエステル織物に仕
上がった。
【0036】(比較例1)ポリエステルセミダルレジン
(固有粘度〔η〕=0.633)を用い、通常の溶融紡
糸法で紡糸引取速度が3200m/分の条件にてポリエ
ステルマルチフィラメントセミダル丸断面未延伸糸35
デニール108フィラメントを得た。引き続き該マルチ
フィラメント未延伸糸を接触式ヒーターにて弛緩率0
%、滞留時間0.10秒の条件にて熱処理を行い、36
デニール108フィラメントのマルチフィラメント未延
伸糸の定長熱処理糸であるマルチフィラメント糸Aを得
た。該マルチフィラメント糸Aの結晶化度Χρ(A)は
42.25%、平均複屈折率Δn(A)は0.127
6、非晶部複屈折率Δna(A)は0.0600、16
0℃に於ける乾熱収縮率SHD(A)は2.32%で実
質的に糸条は収縮し、沸水収縮率SHW(A)は1.7
3%、単糸デニールdpf(A)は0.33den.であっ
た。該マルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸A
として使用した他は実施例1同様の方法にて染色加工布
を得た。該染色布の明度L* 値を測定したところ、1
7.5であり実施例1の染色布と比較し、糸調の濃色感
に劣るものであった。また風合いに関しては適度には
り、腰はあるもののふくらみ感、ソフト感、ドライ感の
何れも不足しており、従来の異収縮混繊糸と比較しても
特徴のない織物となった。
(固有粘度〔η〕=0.633)を用い、通常の溶融紡
糸法で紡糸引取速度が3200m/分の条件にてポリエ
ステルマルチフィラメントセミダル丸断面未延伸糸35
デニール108フィラメントを得た。引き続き該マルチ
フィラメント未延伸糸を接触式ヒーターにて弛緩率0
%、滞留時間0.10秒の条件にて熱処理を行い、36
デニール108フィラメントのマルチフィラメント未延
伸糸の定長熱処理糸であるマルチフィラメント糸Aを得
た。該マルチフィラメント糸Aの結晶化度Χρ(A)は
42.25%、平均複屈折率Δn(A)は0.127
6、非晶部複屈折率Δna(A)は0.0600、16
0℃に於ける乾熱収縮率SHD(A)は2.32%で実
質的に糸条は収縮し、沸水収縮率SHW(A)は1.7
3%、単糸デニールdpf(A)は0.33den.であっ
た。該マルチフィラメント糸をマルチフィラメント糸A
として使用した他は実施例1同様の方法にて染色加工布
を得た。該染色布の明度L* 値を測定したところ、1
7.5であり実施例1の染色布と比較し、糸調の濃色感
に劣るものであった。また風合いに関しては適度には
り、腰はあるもののふくらみ感、ソフト感、ドライ感の
何れも不足しており、従来の異収縮混繊糸と比較しても
特徴のない織物となった。
【0037】
【発明の効果】本発明の染色性とソフト感に優れたポリ
エステル織物の製造方法によると、ソフトな触感とドラ
イな触感、更には適度な嵩高性とはり、腰を兼ね備え、
なお且つ深みのある色調を織物に付与することが可能に
なる。この方法を用いることによって全く新規の風合い
を有する婦人衣料素材を提供することが可能となる。
エステル織物の製造方法によると、ソフトな触感とドラ
イな触感、更には適度な嵩高性とはり、腰を兼ね備え、
なお且つ深みのある色調を織物に付与することが可能に
なる。この方法を用いることによって全く新規の風合い
を有する婦人衣料素材を提供することが可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記式を満足するマルチフィラメント糸
Aと、マルチフィラメント糸Bを交絡度20〜100ケ
/mで交絡させたポリエステルマルチフィラメント複合
糸条を撚糸した後、85℃以下の温度で撚止めセット及
び/又は糊付け、乾燥を施した後、織物の経糸及び/又
は緯糸とし製織することを特徴とする染色性とソフト感
に優れたポリエステル織物の製造方法。 30≦Χρ(A)/〔Δn(A)×10〕≦75 10≦Χρ(B)/〔Δn(B)×10〕<30 0.005<Δna(A)<0.05 0.10<Δna(B)<0.17 SHD(A)<0% SHD(B)>0% ここで、Χρ(A)、Χρ(B)はポリエステルマルチ
フィラメント糸A、Bそれぞれの密度勾配管法より求め
た結晶化度(%)でありΔn(A)、Δn(B)は該糸
A、糸Bの平均複屈折率、Δna(A)、Δna(B)
は該糸A、糸Bの非晶部複屈折率、SHD(A)、SH
D(B)は該糸A、糸Bの乾熱160℃に於ける乾熱収
縮率(%)をそれぞれ示すものである。 - 【請求項2】 ポリエステルマルチフィラメント複合糸
条を撚糸する際の撚数が下記式を満足する請求項1記載
の染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方
法。 3000/D1/2 ≦Tw ≦27000/D1/2 ここでDはポリエステルマルチフィラメント複合糸条の
総デニール(Den.)を、Tw は該マルチフィラメント複合
糸条に挿入する撚数(T/m) を示すものである。 - 【請求項3】 撚止めセットをセット温度65〜80
℃、処理時間25〜40分の条件範囲で処理を施すこと
を特徴とする請求項1記載の染色性とソフト感に優れた
ポリエステル織物の製造方法。 - 【請求項4】 経糸糊付けを糊付温度25〜50℃、乾
燥温度50〜80℃、チャンバー内ドラフト0.1〜
0.3g/d の条件範囲にて処理を施すことを特徴とする
請求項1記載の染色性とソフト感に優れたポリエステル
織物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6299611A JPH08158196A (ja) | 1994-12-02 | 1994-12-02 | 染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6299611A JPH08158196A (ja) | 1994-12-02 | 1994-12-02 | 染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08158196A true JPH08158196A (ja) | 1996-06-18 |
Family
ID=17874873
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6299611A Pending JPH08158196A (ja) | 1994-12-02 | 1994-12-02 | 染色性とソフト感に優れたポリエステル織物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08158196A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002194658A (ja) * | 2000-12-25 | 2002-07-10 | Toray Ind Inc | 脂肪族ポリエステル糸の糊付方法および織物の製造方法 |
-
1994
- 1994-12-02 JP JP6299611A patent/JPH08158196A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002194658A (ja) * | 2000-12-25 | 2002-07-10 | Toray Ind Inc | 脂肪族ポリエステル糸の糊付方法および織物の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040715 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040910 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050428 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050929 |